◆注意点
一部キャラが壊れます。また、極々一部に見る方によっては卑猥と思えるような表現が出てきます。
◆重要な注意点
現在日本で禁止されている薬物が出てきます。そういったものに抵抗がある方は閲覧をお控え下さい。
以上の点を踏まえた上で御覧下さい。それでは本文スタートです。
レミリア「煙草は二十歳になってから?私は五百歳よ!」
私、パチュリー・ノーレッジはいつものように書斎で本を読んでいる。最近になって知った『推理小説』というジャンルのやつだ。
読み始めの頃は下らないと思いつつ読んでいたのだが、読み進めて行くにつれてこれが意外と面白く、今ではすっかり興味を持っていかれてしまっている。
また、性質の悪いことにこの推理小説というジャンル、一度間隔を置くと面白さが半減してしまうという小癪な特性を持っている。
その為一度読み始めたら最後、読破するまでは机を離れられないという、中々に挑戦的な本なのだ。
故に、今私は誰にも邪魔されることなく読書をしたい心境なのだが……
「ねえパチェ、知ってる?」
「………」
隣にいる空気の読み方も知らない親友にそれを見事に邪魔されている。
この親友、かなり性質の悪い事に、私が無視し続けているにも関わらず何事もないかのように平気で話を並べてくる。
これだけ無視され続ければ普通ならそろそろおいとましそうなものだが、どうやらこの親友は普通ではないので、一向にそういった動きを見せようとはしない。
馬耳東風……ではないか。それでは私が馬になってしまう。
「巷の妖怪共の間で今、煙草が凄く流行ってるらしいわよ」
「………」
幾分付き合いが長い為、この親友がそういう性格である事は重々承知しているし、普段の私なら字を追っている目を止めて、一応話に耳を傾けたりもする。
しかし、今私が読んでいるのは後回しにしても別段問題ないグリモワールではない。推理小説なのだ。
第一、私はほんの数日前、彼女に言ったばかりだ。今は本に集中したいから余程の事が無い限りここには来るな、と。
「それで早速、咲夜に買ってくるよう言っておいたの。もうそろそろ来る頃じゃないかしら?」
「………」
どうやら、私の考えは甘かったらしい。余程の事が、などではなく、絶対に来るな、と言うべきだった。
後悔先に立たず、まさしくその通り。……不覚だ。
ガチャ……
「只今戻りました」
「おっ、来た来た。『噂をすれば木から落ちる』というやつね。ちゃんと買ってきた?」
「はい。仰せの通り六人分の十二箱、ご確認下さい。それとお嬢様、それを言うなら『猿も木から落ちる』ですよ」
「そうだったかしら? まあ、それはいいわ。お使いご苦労」
「………」
そして、さも当然の如くこの書斎に報告に来るこのメイド長。
恐らく主人の気配を敏感に感じ取ってここに来たのだろう。従者としては非常(異常、の方が適切かもしれない)に優秀な行動だ。
だが残念な事に、彼女はその優秀な行動によって私の興が覚める可能性までは計算出来ていないらしい。
類は友を呼ぶ、朱に交われば赤くなる、という言葉の例に漏れず、このメイド長も主人程ではないにしろ空気の読み方を知らない節がある。
「さてと、材料も揃った事だし、始めましょうか。フランと美鈴は?」
「もう呼んでおきましたよ。直に着く頃かと思います」
「ふふ、流石ね」
「ありがとうございます」
「………」
……何故だ。何故こいつらはこうも私の事情を無視できる?
確かに、この館はそこにいる親友の物だ。私は只の居候、この書斎だって借り物に過ぎない。そんな事は分かっている。
しかしだ。何かを催すに当たり、参加の是非は勿論、事前説明すらないのはどう考えてもおかしいだろう。
第一、何故ここでやる必要がある? この馬鹿広い館なら、催し事を開くに相応しい部屋なんて他に幾らでもある筈だ。
それなのに何故、読書の為に造られたこの部屋を使おうとする? ……嫌がらせか? 嫌がらせなのか?
ガチャ……
「来たよー。何するかは知らないけど」
「お邪魔しますねー」
「………」
……のこのこ来るこいつらもこいつらだ。
ろくに事情も説明されていないままで、更にその事に何ら疑問も持たずに来たと見える。
……ああ、頭が痛い。この館の住人はいつもそうだ。
何かするわよ。わーい。何かするわよ。わーい。……子供か……!
それよりも、司書は何処へ行った……!
本の管理を生業とする司書が、明らかに本にとって危機的なイベントが今にも起きそうなこの状況下で姿を見せないのは何か理由があっての事なのか?
……まさか、何か策があってその準備を整えている……なんて、まさかねえ……
ガチャ……
「レミリア様ー。さっき言われた通りお菓子とコーヒー用意してきましたよー!」
「ありがとう小悪魔。よし、これで準備万端ね!」
ブルータス、お前もか……
◆
「皆揃ったわね。じゃあ始めるわよ、第一回紅魔館煙草パーティを!」
「「「「おー!」」」」
「ほら、パチェも!」
「……おー」
結局、私はいつものようにこいつらの馬鹿騒ぎに付き合う事になってしまった。はあ、頭が痛い……
ただ幸いな事に、先程読んでいた推理小説はまだ前半部、起承転結で言う承の冒頭部分だ。
読書を邪魔された事は不愉快極まりないが、楽しみを取って置いたと考えればいい。
この見るからに下らなそうなイベントをさっさと終わらせて、そのあとゆっくり堪能するとしよう。
「ねえお姉様。吸うって言っても、どんな感じに吸うの?」
「まず煙草の先っぽに火をつけて、その後はストローでジュースを飲むのと一緒よ。一回口の中にためて、ゴックン、て感じで吸うの。まあ、やってみれば分かるわよ」
「………」
ほう……レミィの奴、事前にかなり調べたらしい。しかし当然と言えば当然か。全員未喫煙者である以上、誰かが教えなければ話にならない。
……ただ、そこまで考えが及んでおきながら、書斎で喫煙するのは明らかに不適切だという事に何故気が付かない? ……矢張りこれは嫌がらせなのか?
「皆、記念すべき一本目よ! しっかり銜えた?」
「うん! でもちょっと緊張するなあ」
「大丈夫ですよフラン様。少し咳き込むかも知れませんが」
「なんだかドキドキしますねー」
「ほら、パチュリー様も早く!」
「……はいはい」
ぱく……
しかし……幾ら巷で流行っているからといって、こんな不健康の塊のようなものを何故レミィは吸おうと思ったのだろう。
これが『百害あって一利なし』なんて言われているのを知っての事だろうか?
「咲夜、どう? カリスマの権化みたいでしょ?」
「はい。ただ、おちょぼ口で銜えるのは少し不恰好ですよ」
「……!」
「………」
成る程……そういう事か。
つまりは、煙草を吸っている姿が格好良いと思い、この流行りに便乗して吸おうと思った。しかし、一人では少し心細く思った為、パーティと称して私達を巻き込んだ――そんな所だろう。
……全く、巻き込まれるこちらの事も少しは考えて欲しい。
「こう?」
「はい。凄く格好良いですよ」
「そ、そうかしら? うふふふ……」
でも……まあ、いいか。
確かに私もほんの少し煙草に興味があったし、いい機会と言えばいい機会だ。
喘息も最近は落ち着いているし、ここは一つ乗ってみるのも悪くないか。
「じゃあフラン、盛大な火種を頼むわ!」
「任せて! 禁忌『レーヴァテイン』!」
ゴオッ!!
「ふふ、丸で何かのお祝いみたいですね」
「おおー! 豪華な火種です!」
「いよいよですねパチュリー様! ここに来て私も少し緊張気味ですよ!」
「………」
……どうやらここが書斎だという事を認識しているのは私一人らしい。
湿気が多いこの部屋であんな仰々しい炎を出したら空気が一気に乾燥して、少なからず本が傷む危険性がある事くらい分からないのだろうか。
全ての本に保存術式を利かせてあるから良かったものの、司書ともあろう者が事の重大さに何一つ気付いていないのには流石に肩を落とさざるを得ない。
「カウントダウン始めるわよ! 5、からだからね? いい?」
「「「「おー!」」」」
「……おー」
しかし……確かにいざとなると少し緊張する。
煙草、か。書物でしかその名前を確認したことはないが、一体どんな味なんだろう。
……ふふ、案外私も楽しみにしているらしい。それなら、折角だから楽しませてもらおうかな。
「「「「「「5、4、3、2、1……」」」」」」
「「「「「点火っ!」」」」」
シュボッ……
「すぅ……」
む、本で書かれている通りだ。確かにこれは苦い。
それにこの肺にかかる圧迫感のような何か。……私には少しきついかな。
「ふぅー……っ」
でも、この煙を吐くときに感じる爽快感は悪くないな。
成る程、これが煙草というものか。
さて、皆の反応は……
「すぅ……――!? けほっ、けほっ!」
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「うぇ……にっが……! 何これー……」
「へぇ、これは何とも言えない味ですね」
「ふぅー。うん、結構行けるかもです」
レミィとフランは思った通り口に合っていなさそうだ。普段から甘いものばかり食べている訳だし、この強い苦味は流石にきついだろう。
咲夜と美鈴、それとブルータスは万更でもなさそうだな。特に咲夜なんかは物凄く絵になる。いや、寧ろカッコいい。
ふむ、こうして見てみるとよく分かるが、矢張り煙草というのは似合う者と似合わない者の差が激しい。主に身長。
……ということは、私も似合わない、か。
「す、すぅ………ぶッ!? けほっ、けほっ……!」
「お嬢様、あまり無理をなさらない方がいいですよ」
「な、なんのこれしき!!」
「すぅ……、ふぅー……」
あの意地になる所、実にレミィらしいな。大方カリスマがどうのこうのと考えているんだろう。
言っちゃあ悪いが、似合っていないどころの話ではない。見てくれは明らかに非行少女……いや、非行幼女だ。
加えて横に咲夜がいる事でより一層似合わなさが浮き彫りになっている。
「咲夜は……けほっ! 何で、何とも……ごほ、ないのよ……!」
「ふぅー……うーん、私にも分かりません」
「くっ……わ、私だって! すぅ………ぶッ!?」
「お嬢様、しっかり」
「………」
……それにしても、どうして咲夜はこうも煙草が似合うのだろう。
隣で矢鱈と咳き込んでいる非行幼女とのギャップか? ……いや、それだけでは説明が付かない。
身長なら美鈴の方が高いし、メイド服に煙草はどちらかというとミスマッチなのだが……何というか、そう……纏う『オーラ』が違う、といった感じだ。
ふむ……それこそ、天性の物、というやつか。
「ふー……」
「あれ? 美鈴さん、それもう消しちゃうんですかー?」
「ええ。私は仕事柄、体が資本だから煙草にはちょっと抵抗があってね。こあちゃん、いる?」
「はい! 貰います!」
「……ふぅー……」
……おいブルータス。お前も仕事柄、煙草は厳禁中の厳禁だろう。そこら中に貼ってある『火気厳禁』の張り紙が見えないのか?
今は許すが、今後もし図書館内で煙草など吸っていたら亀甲縛りにして魔界に送り返すぞ。
「すぅ……、ふぅー……」
「わぁ……パチュリー、苦くないの?」
「……ん?」
そうか、フランはもう吸うのをやめたのか。
まあ、当然だろうな。フランは純粋だから、不味いと思った物は口にしようとしないだろう。第一レミィ以上に似合わない。
……いや、それ以前にフランの喫煙など全力で制止すべきと私は思う。イメージを守るためにも。
「まあ……苦いことは苦いわよ。ただ私はよくコーヒーを飲むから、貴女より苦みには慣れているの」
「へぇー……。それよりさ、何かお話しない? 煙草はもうやだし、退屈なの」
話、か。……そうだ、私もフランと話したい事があった。
恐らくこの子ならあれの素晴らしさが分かる筈だ。そう、推理小説の素晴らしさが。
「ええ、いいわよ」
◆
不愉快極まりない集団喫煙イベントが始まってから二十分。今私は真っ先に吸うのを止めたフランと、推理小説の話に花を咲かせている。
結局私も、煙草は最初の一本だけしか吸わなかった。
変に依存してしまったら読書に支障をきたすだろうし、何より書斎で軽々しく火を扱うのは気が乗らないからだ。
また、美鈴も私と同様に最初の一本で吸うのを止めていた。先程言っていたように健康面を気にしての事だろう。
つまり、今この部屋で喫煙しているのは、
「ぶふッ! ごえぁ! ……ふふふ……カリスマ、カリス……げほぁ!」
相変わらず無茶をし続けるレミィと、
「ふぅー……っ、煙草……癖になりそうだわ」
先程に増して煙草が似合うようになった咲夜。そして……
「ぷはあぁ~……あははは! 煙草おいしー!」
……おいブルータス。分かっているだろうな? 今だけだぞ?
それより……酔っ払いみたいなその謎のテンションは何だ……?
はあ……情けない。司書ともあろう者がこの場違いなイベントを楽しんでいるなんて――
「――でさ、中盤の終わりくらいが一番……って、パチュリー、聞いてる?」
「え……? ああ、ごめんなさい。そうね、推理小説は『転』の部分が最も盛り上がる場面だから」
「だよね! パズルのピースがやっと出揃った、って感じでワクワクするよね!」
「違い無いわ」
思った通りだ。矢張り、フランと話すのは楽しい。
何故なら、本を読むことの楽しさを知っている数少ない(推定で私を含めて三名)館の住人だからだ。
この子の置かれていた状況が幾らかそれを助長したという事もあるが、恐らくこの子はこの館に於いて私の次に読書家だろう。意見の一つ一つを見ても、その観点の鋭さが如実に伺える。
それに、物事を純粋に捉えるこの子の意見は非常に新鮮で、また斬新だ。
そしてそれは、百年近く本を読み続けている私ですら時折新しい発見をさせられる事がある程の物だ。
「もうさ、そこから先は本とのバトルだよね! ここまでのヒントからどれだけ正確に答えを読み取れるかのバトル!」
「正にそうね。『結』の段落を開く前こそ、フランの言う通り、本との闘い。答えを導き出せれば読者の勝ちで、導き出せなければ本の勝ち。でも、ただ犯人を言い当てるだけでは本当の勝利とは言えないわ。どういう事か分かるかしら?」
「勿論! 答えに辿り着くまでの経緯全部を見抜いてこそ、でしょ?」
「その通りよ。言うなれば、読者は探偵。そして本の中に存在する探偵は、天才的な頭脳を持った好敵手よ。彼に勝たなければ完全なる勝利とは言えない。それこそ、どんなに些細な事ですら、ね」
「うんうん! あ、それとさ、『ページを戻す』っていうのは絶対駄目だよね。だって自分だけ時間を逆戻りするのと一緒だもん」
「……成る程、特に意識した事はなかったけど、確かにそうね。時間を逆戻りするのと一緒、か。成る程」
……ううむ、何て素晴らしい時間なんだろう。
この有意義な時間を過ごせた事だけでも、今日の不愉快極まりないイベントに参加したのは(ほぼ強制ではあるが)正解だったとすら思えてくる。
元来、書斎で交わされる会話というものはこうあるべきなのだ。決して馬鹿騒ぎなどしていい場所ではない。
だというのに……
「ぷぷ……! あーっはっはっは! め、美鈴! あんた物っ凄い緑色ね! 紅なのに緑……緑美鈴、ってか? あーっはっはっは!!」
「お、お嬢様! どうしちゃったんですか!? さ、咲夜さん! 咲夜さんからも何か……」
「あー……やばい。この本が全部津波みたいにどばーってきたと思うと……やっば。明らか死ぬでしょ。こっわー……」
「さ、咲夜さんまで……! ……はっ!? こあちゃん、こあちゃんは!?」
「すたらららら~ちんちろりろり~ん」
こいつらは何なんだ……?
酔っ払ったなんてもんじゃない、明らかに狂って……
……ん? ……狂っている?
「カーリースマッ、そーれカーリースマッ、ってか? あーっはっはっはっは!!」
「すぅ……はあぁー……。あー……効くー。この脳味噌がじーんて痺れる感じ……たまんない……」
「たららら~~ら~~たららららてててて♪」
……おかしい。
盛り上がるにしても、流石に度が過ぎている。
「ねえパチュリー、ちょっとこれ……様子がおかしくない?」
「ええ。幾ら何でもこれは異常ね」
変になっているのはレミィ、咲夜、そしてブルータス。となると原因は間違いなく煙草なのだが、こんな人(咲夜以外は人外だが)をおかしくするような作用はない筈だ。
実際私が読んだ煙草が出て来る本の中にそんな描写は無かったし、更に言えば今読んでいる推理小説などは探偵役がヘビースモーカーという設定だ。
「くるくるくる~~クララくらくら~」
「……ちょっと来なさい」
「はい~。ハイハイハハハイハイハハ~イ。あはははははは!」
「………」
……こいつは普段からふざけているが、流石にここまで変な奴ではない。
それに、どういう訳か目の充血が酷い。……煙草の煙が染みたのか?
いや、それなら私達も同様に充血する筈だ。しかし、フランや美鈴の目には変化が見られない。恐らく私もしていないだろう。
となると、やはり喫煙が原因としか考えられないが……
「ぷぷ……! あーっはっはっはっは! ぱ、パチェ! あんた物っ凄く紫色ね! ぱ……パプリー……? あーっはっはっはっは!!」
「ど、どうしちゃったのお姉様……? しっかりして!」
「ふ、フラン……かわいい……! 大好きよフラン!」
「え……? ち、ちょっとお姉様…!」
しかし……どう解決したものだろう。
こいつらをこのままにしておいたら、何をしでかすか分かったものじゃない。
だから出来る限り早い段階で解決したいのだけど……
「ちゅーしましょ! ちゅー!」
「な、何するの? お姉様、止めて!」
「いいじゃない! ね? 一回くら――ごわっ!?」
「――!? 咲夜……?」
「お嬢様……私の前でそんな事、許されるとでも?」
「……何だとォ……!」
煙草に関する知識がそれ程ない私ではどうしようも出来ない。
出来ればこういう時は永遠亭の薬師辺りに頼りたい所だが、こんな馬鹿みたいな姿を見られたらそれこそレミィなどは立ち直れない程落ち込むだろう。それは少し可哀想だ。
「私に手ぇ上げるなんて、随分偉くなったもんだなぁ……えェ? 咲夜ぁ……」
「私が目の前に居ながら、姉妹とはいえ他の誰かと唇を交わそうとするなんて……何かの挑発ですか……? お嬢様……」
「ち、ちょっと、二人共……」
仕方ないな。何にしても今私に出来ることは特に無さそうだ。
時間の経過で治るかもしれないから、おかしくなった奴らを取り敢えず亀甲縛りにしてリビング辺りに置いておくか。
ここに放置してもし暴れられでもしたら貴重な書物に被害が――
ドガアアアァン!
「咲夜ァァァァァァァァァァァァ!!」
「お嬢様ァァァァァァァァァァァァ!!」
書物に……被害が……
「ふ、二人共やめ――きゃっ!?」
「フラン様っ!? 大丈夫ですかっ!」
「……やったね……? お返しはさせてもらうよ! 禁弾『スターボウブレイク』っ!」
「わーっ! フラン様落ち着――」
ズドォォォォォォォォォン!!
わ、私の本…… 私の、だ……大事な……
「死ねェェェェェェェェェェェ!!」
「URYYYYYYYYYYY!!」
「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ガシャアァン! ガゴォン!
「わーわー! 大玉どかーん! 中玉ばこーん! スターボウぴちゅーん!」
「ああああ……もう駄目だ……! パチュリー様、どうすれば……パチュリー様……?」
「きさまらァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
◆
「これは大麻草ね。俗に言うマリファナよ」
「成る程……だから吸引した事でおかしくなったという訳ね」
「ええ。最近同じような相談が頻繁にあったからすぐに分かったわ。聞くところによると、八雲の隙間妖怪が各地で売り回ってたらしいのよ」
「あいつか……」
「でも激怒した博麗の巫女が止めさせて、今はもう流通はしていないみたい。何でも同居してる鬼が吸引して、それで突然巨大化して神社を大破させたのが怒りの原因らしいわ。ここと同じようなものね」
「………」
「……まあ、取り敢えずもう抜けている筈だから心配はしなくていいわ。一度吸った程度なら依存の心配もないし。……じゃあ私はこの辺で」
「ええ。わざわざ悪かったわね」
「いえいえ……最後に一つ聞いてもいい?」
「何かしら?」
「この人達が黒焦げなのは恐らく貴女がやった物でしょうからいいとして……『それ』は何なの?」
「何って、拘束してるだけよ。それがどうかしたの?」
「……成る程(ふむ、これは中々よさそうね…使ってみようかしら?)」
「……? 何が成る程なのかよくわからないけど、他に聞きたい事は?」
「いえ、それだけよ。それじゃ……」
バタン
「……さて、と……」
レミリア「もがもが……もごもがもー……(私は……私は一体何を……)」
咲夜「………」(レミリアを睨んでいる)
フランドール「………」(レミリアを凄い目で睨んでいる)
小悪魔「……もががー……もごごもがもがー……(パチュリー様ー……許してくださいよー……)」
美鈴「も、もーもごもご……(な、何で私まで……)」
「そろそろ始めましょうか……」
「「「「「……?」」」」」
「楽しい楽しいお仕置きを、ね。……ふふふふ……」
「「「「「……!」」」」」
この日、図書館の奥から響いてくる複数の桃色の声は一日中止む事がなかったという。
余談だが、これ以後永遠亭では何故か懲罰に『亀甲縛りと玉口枷』というスタイルが確立され、姫君と兎達(一部を除く)を震え上がらせた事はあまり知られていない。
おしまい
おそらく、このような意見も見越してらっしゃるでしょうから、それを思うと少々悪質な感じも受けます。
作品を書く上で自尊心は大事でしょうが、なればこそ、もう少し考えて行動してはいかがでしょうか?
内容的にはキャラクターを崩しギャップを狙ったのでしょうが、それぞれがバラバラの向きを向いてしまっていて、シーンがその場その場で終わってしまい、残念ながら面白さには繋がらなかったかな? といった印象でした。
ギャグだからといって甘く見ず、全体の仕組みを意識しながら書けばもっと面白くなるのではないかと私的には思いました。
ゆかりんはヤクを撒き散らして何をしたかったのか非常に気になる……
あとこのパチュリー強すぎwwwイメージ変わりましたwww
詠唱にすら影響が出るほど酷い喘息なら発作起きると思う。
リアル喘息持ちなので気になった。
小悪魔はもうブルータスなんですねww
煙草と“煙草”を掛けたジョークは良くありますよねw
喘息持ちのスモーカーな自分としてはパチュリーの肺は綺麗なままでいて欲しい
また、題材で不快に思わせてしまったなら申し訳ありませんでした。対策として冒頭の注意書きを追加しました。
妖怪は分からんけれど、人間だったら(人によるけど)一回でも依存の心配ありありです
摂取量多いし
それと、煙草を止めても煙を吸ってたら影響あるはずだけど、魔法か何かで煙りが来ないようにしてたわけ?
妖怪は精神の生き物と言うが、だからこそ良く効くのか、だからこそ全く効かないのか、どうだろう?
長命の妖怪連中は自生の弱いのを嗜んでてもおかしくなさそうだ
麻薬だろうが煙草だろうがフィクションの話ですしね。
面白かったし次も期待。
なぜ流行らせたのか?や、大麻で支離滅裂になるのか?といった点がちょっと気になったり
魔法使いならトリップ剤使ったことがあるだろ。という認識持ってるのは自分くらいなのかね
できればオランダでジャンキー観察するのをおすすめ。だいたいボーっとどっか見てるだけです。
酔っぱらいの方が危険極まりない。
イジメと同じです。偶に煙草で楽になる方もおられるようですが、稀過ぎなようで。
なので、パチュリーの対応にはちと首を傾げざるをえません。
それと、わざわざ軽いとはいえ有害なドラッグを広める目的が不明な事の
二点を私的マイナス要素にしました。
もうちょっと全体的にお馬鹿なテンションが高ければ、また違った印象に
なったとは思いますけど。
全体としては中々楽しませて貰いました、次回作も期待しています。
紫はただ面白そうだから広めたんだろうなw
幻想郷が悪い方向に進むのを紫がやるはずがないですしwww
まぁ今回はギャグだからあんまり気にする必要もない気がしますがwww