Coolier - 新生・東方創想話

レミリアの野望

2010/04/06 22:44:10
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 プロローグ:レミリアの野望
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「とうとう完成したか」

紅魔館地下格納庫、そこにその巨大な艦は鎮座していた。

「ええ、総工費八千二百億円、建造期間は三年、とても長かったわ……」
「よくぞやってくれたわ、素晴らしい出来栄えね」

レミリアはその艦を見上げて思わずため息を漏らす、
その重厚さと圧倒的な存在感の前に身震いせずに入られない

「空中遊園艦グングニル、あなたの夢を体現した艦よ」
「夢じゃないわ、野望よ」
「……そうだったわね」

パチュリーは本の影にその顔を隠しながら、
ちらりとレミリアの横顔を見る。

「(野望ね……どう見ても夢見る少女の顔だけど)」

目を輝かせるレミリアを見て、パチュリーは微笑む。

「さっ、早く屋根を開いて! 月明かりでこの艦を照らすのよ!」
「今は昼よ?」
「……別に太陽でもいいわ」
「はいはい」

パチュリーが指を鳴らせば、格納庫の屋根が無機質な音を立てて左右に開く、
差し込んでくる太陽の光に照らされた艦は、まぶしいほどに輝いていた。



 一章:経営戦略会議
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「全員揃ったわね」
「フランドール様がまだ来ておりません」
「どうせうろついてるんでしょ、時間が惜しいわ、会議を始めるわよ」

紅魔館の主な者達は艦橋の一室に集い、円卓を囲む。

「紅魔湖レジャーランドに次ぐ第二のテーマパーク、その名もスカーレットスカイ、
 幻想郷の空を優雅に飛行する娯楽の園、いや堕落の園というべきね、
 だがそれも気を抜けば閑古鳥、常に客を楽しま……堕落させる努力をする必要がある!」

レミリアは力説し、咲夜に合図を送る、
すると咲夜はどこからかホワイトボードを出現させた。

「それではスカーレットスカイの完成図について説明をさせていただきます。
 幻想郷全土に素晴らしき娯楽をモットーに製造されました当艦ことグングニルは、
 飛行能力、垂直離着陸能力を備え、あらゆる場所での開園を可能にしました、
 遊園地に必須な観覧車、ジェットコースター、メリーゴーランドなどの遊具は勿論、
 外界でも人気のバンジージャンプなども取り揃えております」

ボードに図を書き、てきぱきと説明を続ける咲夜、
しかしレミリアやパチュリーの顔は優れない。

「ですが配置スペースと見栄えの関係上、これ以外の遊具を設置するのは難しく、
 またそれらの遊具も幻想郷の住人を惹きつけるほどの魅力は無いでしょう」
「確かにね……この観覧車とやらは高いところの景色が売りみたいだけど、
 大抵の住人が空を飛べるこの幻想郷では何の意味もないわ」

手元の計画書を見つつ、頬杖を付くレミリア、
すると咲夜は新たな用紙を取り出してそれを配る。

「これは?」
「改善案です、観覧車は景色を楽しむものですが、その一時を楽しむものでもあります、
 前者が駄目ならば後者を突き詰めればいい、そう考えた結果がこちらになりました、
 まず和室あるいは洋室に内装を改造し、妖精メイドを一室ずつに配備、
 観覧車が一周する二十分程の間、優雅な時間を過ごせるようにするというものです」
「中々よさそうね、遊具であることにこだわる必要はないし……これでいいかしら?」
「異議はないわ」
「賛成です」

それからも幻想郷にあう遊具の形を求めるために様々な意見が飛び出し、
会議はだんだんと白熱の一途を辿る。

「メリーゴーランドには本物の馬を使うと良さそうね」
「お待ちください、馬の維持費管理費、ついでに馬糞の処理が……」
「衛生面的に考えて問題があるわ」
「だったら回転速度を十倍速にするとかどうです?」
『それよ!!』

メリーゴーランドの時速はさながらサラブレッドに匹敵するようになり。

「ジェットコースターにはやっぱりジェットエンジンよ!」
「待ってレミィ! コスト面とスリルの観点からカタパルトを進言するわ!」
「カタパルト! そういう物もあるのか!」

ジェットコースターはカタパルトコースターとなり。

「バンジージャンプ? 飛び降りるだけ? つまらん!」
「ここは逆のベクトルで考えましょう、飛び上がればいいのです!」
「飛び上がるというと……艦砲があるわ」
「異議あり! 下手したらお客様が死ぬかもしれませんよ!?」
『棄却!!』
「なんですと!?」

バンジージャンプは人間大砲という原型すら残さない遊具に変わったりした。

「はぁはぁ……ひとまずこれで議論は終わったわけだけど……」

疲労困憊になりながらも、スカーレットスカイ完成図を見つめるレミリア、
しかし未だに満足気な表情を浮かべることはない。

「こうして再度見直すと、やっぱり遊具だけでは足りないわね」
「そうですね、普段は紅魔湖の一区画として使用しますから大丈夫ですが、
 宣伝も兼ねた幻想郷各地での興業となると、これだけでは難しいでしょう」
「となると、やはりこの艦の命運を握るのは……テナントということか」

テナントとはビルや百貨店などで見られる区画を借りて開かれる店舗のこと、
この艦では主に甲板の一部が賃貸用に割り当てられる。

「というわけでそれを確認しに甲板に降りてきたわけだが」
「ここ借りていいかしら?」
「何故貴様がここに居る、アリス・カレートロイド!」

テナント用の一区画に彼女はいた、背中にカレーの詰まった巨大な大鍋を背負って。



 二章:大往生したなどと誰が決めたのか
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「何が目的だ!」
「ふっ、私の目的はたった一つよ」

レミリアは声を荒らげ、アリスを威嚇する、
対するアリスはそっと鍋を降ろすと、両手と両膝を地面につけた。

「どうかここで一からやり直させてください」
「……!」

そして頭を下げて彼女は懇願した、
レミリアも流石に戸惑い言葉につまる、
しかしその隣で咲夜が怒りをあらわにしていた。

「あなた、自分が何をしでかしたか覚えているの?」
「覚えてるわ、だからこそなのよ」
「あなたはお嬢様に食い逃げをさせたのよ!!」
「そっち!?」

当時のお嬢様曰く、辛ぇ!

「その大罪を頭を下げたぐらいで許してもらえるとでも――」
「そこまでにしなさい、咲夜、これは私の問題よ」
「……申し訳ございません、出すぎた真似を致しました」

怒り心頭の咲夜をレミリアが一喝して抑える、
そしてレミリアはアリスの前に立ち、一枚のお皿をどこからか取り出した。

「ここから先は言葉など不要、私が手に持っているものがどういう意味か、あなたにならわかるわね?」
「そ、その皿の上に盛られたやや硬めに炊かれた白米は……!」
「アリス・カレートロイド! あなたにカレーバトルを申し込むわ!」

途端、二人の周りに電光が走り、暗雲が漂う。

「レミリア、まさかあなたは……」
「御託はいい! さぁ私のカレーを食しなさい!」

どこからか取り出したランプを使い、ご飯の上にカレーを注ぐレミリア、
それをスプーンと共にアリスに向かって投げつけると、アリスも慣れた手つきでそれを受け取った。

「この芳しき香り……間違いなく一級品のカレーね!」

アリスはカレーを一口掬い、自らの口に運ぶ、
そしてそれを舌の上に置いた瞬間その目が見開いた。

「(これは……一瞬で広がるフルーツの甘み! あっさりとしながらもコクのあるルー!
 辛味はほとんど感じないかと思えば、飲み込む際に舌の奥から喉にかけての僅かな主張!
 まるで水を飲むかの如くスムーズに喉を通るこのカレーは……美味い! 美味いわ!)」
「ククク……」
「間違いない、こんなカレーを作れるのは私と同じカレー十二神将だけ!」
「気づいたか……そう、私こそがカレー十二神将が一人、
 カレーの血液たる『スープ』を司る者! レミリア・スカレーットよ!」

膨大なるカレーオーラがレミリアを包み、その身を黄金に彩る、
そしてカリスマを凌ぐ圧倒的なカリー・スマが場を支配した。

「今まで力を隠していたってわけね……!」
「次はあなたの番よ、さあ私に証明しなさい! その覚悟を!」
「当然よ! 私だってここで退くわけにはいかないわ! 新たなるカレーを受けてみなさい!」

アリスも手元に香辛料の煙が集い、その中からカレーライスが現れる、
そして放たれたそのカレーライスをレミリアは受け取り、すぐさま口一杯に頬張った。

「(これは……何の変哲もないカレーライス? いや、違うわね、何かが違うわ、
 ルーも具もライスも、何も飛び抜けていないのにスプーンが止まらない……一体何故?)」
「ふっ……すでにあなたは私の術中にあるわ」
「ぬぐっ! まさかこれは!」
「あら、気づいた?」
「間違いない、この香辛料のブレンド比率……レミリア・スカレーットという一人の人物に
 最適とも言える比率で調合してある! これでは身体がカレーを欲して止まらない!」
「さすがカレー十二神将の一人なだけはあるわね、たった数口で見抜くなんて」
「成程……普通のカレーだと思ってしまうのはあまりにも私の味覚に適合している為か、
 ゆえに呼吸をするがごとくカレーを食べることができる……ふっ、美味としか言えぬ!」

レミリアの羽が大きくわななき、アリスのカレーの凄まじさを体現する、
しかしアリスはそのレミリアの姿よりも、もっと別なものを心に噛み締めていた。

「美味、ね……それよ、その言葉をどうしても聞きたかった」

かつての香辛料異変にて道を踏み外した自身の愚行、
その異変の最後に正気を取り戻した彼女が、今再び求めるものは美味しいの一言。

「確かに私の罪は重いわ、カレーで他人を苦しめ続けてきたのだから、
 だからこそ今度はカレーで救いたいの、償いたいのよ……!」
「……ふん」

レミリアはカレーを平らげると、皿とスプーンをカレーオーラに還元し、
そのままアリスの顔を見ることなく踵を返す。

「アリス・カレートロイド……テナント料は客の笑顔よ、せいぜい頑張りなさい」
「あ、ありがとう!」

レミリアは感謝の言葉を背で受け止めながら、颯爽とその場を立ち去った、
もしかしたら二人の出会いはゴッド・カリーの導きだったのかもしれない。



 三章:Mといえば
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「で、次の区画は?」
「はい、こちらになります、ファーストフード店を割り当てる予定です」
「ファーストフード、子供層を考えると外せないわね」
「でも売り上げはあまり見込めそうにないわ」
「……それはどういうこと?」

パチュリーは渋い顔を浮かべて区画を眺める、
レミリアが頭を捻ってその顔を覗き込めば、パチュリーは隣の区画に視線を移した。

「だって隣にカレー屋ができるのよ?」
「あっ」
「あれに太刀打ちできるファーストフード店はあるかしら?」
「……ま、まだ慌てる時間じゃないわ!」
「どうする気? 採算を考えなければ問題はないけど……」
「前向きに考えるのよ、お客様が多くても供給に問題はないと」

レミリアは汗を掻きながらも必死に冷静を装う。

「それにアリスのカレー屋とは方向性が全然違うファーストフード店を招致すればいい!」
「というと?」
「Mのマークでお馴染みのあの店をいれるのよ!」
「はっ! レミィ、まさか……!」
「そう、モスバーガーよ!」

それはまさに起死回生の一案であった。

「やるわね、モスバーガーの国産高品質志向ならカレーとは違う客層を強く呼び込めるわ」
「さすがはお嬢様、見事な案ですわ」
「ククク……もっと褒めたたえなさい」

パチュリーが感心する隣でふんぞり返るレミリアと、それに拍手を送る咲夜、
しかしこの完璧とも言える案に異論を唱えた者がいた、美鈴である。

「あのー、モスバーガーはやめにしませんか……?」
「美鈴、あなたはお嬢様の決定に異論があるというのね」
「ひぃっ! すすすみません!」
「落ち着きなさい咲夜、なんであろうと意見は貴重よ、で、どういうことかしら?」
「は、はい……といっても非常に単純なことなのですが……この方がちょっと」

問われて、美鈴は自らの陰に隠れている一人の少女を指さした。

「らんらんるー……」
「ふ、フラン!? いつからそこにいたの!?」

フランドールは美鈴の陰に隠れたまま、レミリアを小兎のような目でみつめていた。

「私、るーしたい」
「……駄目よ、マクドナルドは身体に悪いわ」
「やだ……るーがいい!」

目に涙を浮かべ、必死にレミリアに懇願の視線を送るフランドール、
レミリアは必死に視線をそらして対抗するが、限界が近い。

「お姉様っ!」
「わっ、落ち着くのよフラン!」
「お願い……るーがいいの……ぐすっ……るーじゃなきゃやだぁ……」
「(ジャスティスッ!)」

腰にすがり付き、上目遣いで女の最大の武器を惜しげも無く振るうフランドール、
助けを乞おうと従者を見るが、咲夜は鼻血を抑えるのに必死であった。

「くぅ……美鈴、マクドナルドに連絡を取りなさい」
「お姉様!!」
「(私もまだまだ甘いわね……)」

縋り付いてくる妹を突き放せず、自分が姉である事を噛みしめるレミリア。

「お姉様大好き! 大好き大好き大好き!」
「フラン、それ以上は理性が危ないからやめて頂戴」
「やだっ! もっとぎゅってするのー!」
「ああもう仕方ないわねフランは可愛いんだからうふふふふふふ」
「堕ちたわねレミィ……」

見事に陥落である、姉の威厳も何もあったものではない。



 四章:蘇るTake it Easy
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「気を取り直して次にいくわよ」
「はい、次の区画ですが……」

続いてやってきた場所には、すでに木造の小さな店が出来上がっていた。

「香霖堂グングニル支店です」
「もう建っているなんて、流石に仕事が早いわね」
「例の物もすでに用意してあると」
「それは楽しみね……お邪魔するわよ」

ガラガラと戸を開けると、その奥に山積みにされている商品がレミリアを出迎える。

「おお……これは……!」

大量の視線がレミリアを貫く、それを例えるならば生首の山、
かつて幻想郷にブームを巻き起こしたゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙である。

「僅かな量しか生産されず、幻と呼ばれたゆっくり人形がこんなにも!」
「おやこれはこれは、お気に召してくれたかい」
「最高よ、霊夢と魔理沙に許可を取った甲斐があったと言うものだわ」

ブームが終焉した理由がモデルとなった人物の怒りである、どうしようもない。

「さらにこのゆっくり人形にはあの機能を搭載してある」
「あの機能……まさか?!」
「ふふ……頭を撫でるといい」
「こ、こう?」
「ゆっくりしていってね!!」
「わあ! 凄いむかつくわ!」

ゆっくり霊夢を抱きかかえて飛び跳ねるレミリア、
その可愛さはすでに四割増しである。

「ここは霊夢のおうちだよ!」
「リボンを引っ張っても喋るのね!」
「頬を引っ張ってもしゃべるよ、こんな風にね」
「いたい! いたい!」
「かーわーいーいー!」

レミリアは子供らしさを隠そうともせずゆっくりと戯れる、
そんな微笑ましい光景の奥で、咲夜が霖之助に接触した。

「で、アレはできてるの?」
「勿論だよ、ほらここに」

霖之助が取り出したのは、レミリアを模したゆっくり人形だった。

「……パーフェクト」

咲夜がそれを手にした瞬間、鼻から忠誠心が溢れ出る。

「我が生涯に一辺の悔いなし!」
「いやいや、一つだけだと思っているのかい?」
「えっ?」

霖之助は不敵に微笑むと立ち上がり、押し入れの戸をがらりと開く、
するとその向こうからゆっくりレミリアの大群が雪崩のごとく。

「メイド長に逃走はないのよー!!」

咲夜は全力で飛び込んだ、決して主に背かぬメイド長の意地である。

「咲夜も幸せそうにしてるわね」
「ああ、で、これも売り出すのかい?」
「勿論よ、そろそろ新しいレミィちゃんグッズが必要だったもの」
「お待ちください! ゆっくりレミリアは私が買い占めさせていただきます!」
「……あとでたっぷり可愛がってあげるから自重しなさい」
「はいお嬢様!」

そして紅魔館一行は次の区画へと店を後にした。

「たっぷり可愛がるか……さすがは紅魔館、やるじゃないか」

その後ろ姿を見て、店主は少しメガネを光らせたとか光らせなかったとか。



 五章:始まりの始まり
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「何故この建物がここにある」

あれから甲板を一通りまわり、最後の区画を見終えたレミリアは、
何故か区画外にそびえ立っている建物を見て目を疑った。

「多分確実に結ばれる結婚斡旋所、とありますね」
「今すぐ撤去しろっ!!」
「やめて! 結婚できなくなるわ!」

レミリアの怒声にいち早く反応して飛び出てきたのは、
幻想郷独身女性の会の会長、八雲紫であった。

「何を考えている! ここは行楽地だぞ!」
「行楽地で浮かれている男性ならきっと心に隙があるはずよ!」
「無いわ!」
「あるわよ! 今度こそ素敵な旦那様ゲットよ!」

レミリアも本気で怒ってはいるのだが、流石に相手は八雲紫、
その怒りに負けない婚活へのオーラを放っていた、
さすがのレミリアも怒りを通り越して呆れるほどである。

「お嬢様、ここは私にお任せください」

その二人の間に割って入ったのが咲夜だった。

「あら、これはトップ同士の会談よ、邪魔をしないでいただけるかしら?」
「ご安心を、私はただご意見を申し上げるだけで御座います」
「というと?」
「遊園地にご来場するお客様は家族連れかカップルがほとんどですが、
 この二つの客層に対しまして成果をあげることはできるのでしょうか?」

咲夜の意見に、少しだけ紫の顔が強張る。

「だ、大丈夫よ、一人で来場するお客様もいるわ、寂しさを紛らわすために、ね?」
「そうでございますか、例えば我々が運営している紅魔湖レジャーランドなのですが、
 お一人でご来場されたお客様に対しまして、あらゆる接待技術を習得させた、
 まさしくプロフェッショナルと呼ぶにふさわしい妖精メイドのお付きを
 サービスさせていただいております、妖精の指名制から始まり、擬似デート体験など、
 お客様を孤独から開放するこのサービスはこちらでも提供する予定でございますが」
「……賃貸料は多めに払うから」
「それとこの位置なのですが、主砲の射線上に有りまして、誤射によって倒壊の恐れが――」
「えっ?」

紫が振り向いたとき、建物はすでに半分ほど破壊されていた、
壁を砕き、柱をへし折り、全てを粉砕してなお直進していく大砲の弾は、
紫の視点からはとてもゆっくりに見え、残酷に建物を粉々にしてゆくのだった。

「やめてぇぇぇー!!」

声を発する頃にはすでに粉砕され尽くした結婚相談所、
その破片が、頭の中の白いドレスに身を包んだ自らの姿と共に飛び散って行く。

「もう……結婚後の予行演習も脳内で済ませたのに……あふぅん」

新妻・紫である、もう意識はない。

「よくやったわ咲夜」
「ありがとうございます、ですがここは管制室にいち早く移動した美鈴を褒めるべきかと」
「そうね、いい一撃だったし、給料に色をつけてあげないといけないと」
「あしたも……こどく……ひとりで……おさんぽ……」
「このスキマ妖怪はどういたしましょう?」
「タダ券と一緒に放り出しなさい」

真っ白になった紫を妖精メイド達が頭の上に持ち上げて運び去っていく、
その時のレミリア達はまるで棺を見送るような目をしていたという。

「テナントは以上ね、パチェ、試算はすんだ?」
「ええ、集客に問題はなさそうね、でも客単価から考えて艦単独での黒字化はちょっと厳しいわ」
「そうなの?」
「だけど紅魔湖の一施設として運用している時の利益が見込めるから、相殺してなお真っ黒ね」
「つまり問題なしってことね」
「そうなるわね」

その答えを聞いてレミリアは邪悪な笑みを浮かべる、
すでに彼女の野望は実現段階に入ったのだ。

「咲夜、ブン屋に連絡を取りなさい! 幻想郷中にチラシをばら撒かせるのよ」
「すでに取っております、すぐにこちらに来るでしょう」
「ククク……準備はすべて整った、私の幻想郷征服という野望はこの艦によって成る!」

そして翌日、幻想郷中にスカーレットスカイの宣伝チラシがばらまかれた、
誰もがそのチラシに心踊らせる中、ただ一人だけ、博麗の巫女だけが――。

「私が賽銭難で苦労してるってのに……許せない! 何よ、何よ、何なのよーっ!」

悲痛な叫びを空に向かって放っていた。



 六章:レミリアちゃんモード
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「もこ姉もこ姉! 艦だよ! おっきい艦!」
「あはは、これは凄いね」

紅魔館の庭にそびえる巨大なグングニル号、その周りを取り囲む群衆の中で、
妹紅の肩の上に乗っている諏訪子は子供のようにはしゃいでいた。

「プレオープンご招待券かー、レミリアと仲が良くて良かったねー」
「(わしのところにはこんかったんやけどな……もこ姉に二枚届いててよかったわ)」

妹紅の頭の上で顔を上半分ほど黒くさせる諏訪子、
勿論下にいる妹紅は知る由もない。

「ご招待客の皆様ー、用意が整いましたので入場口にどうぞー!」
「おっ、入れるみたいだね」
「うん! 早くいこっ!」

行列に並び、入れるのを今か今かと待ち続ける二人、
そしてようやく自分達の入場の時を迎えた。

「スカーレットスカイによう――」
「輝夜、ここで何してんの?」
「げぇっ! 妹紅!」

入場口で出迎えたのは輝夜であった、しかもメイドの格好で。

「……労働してるのよ」
「な、何だって……幻想郷を滅ぼしたいのか?」
「それどういう意味よ! ここで叩き返されたい!?」
「なーなーお姉さーん」
「あら?」

輝夜が妹紅に対して威勢のいいところを見せたところで、
諏訪子の一声により両者の視線があう。

「……あ、あなたは!」
「もう一回ミシャグジパワーいっちゃう?」
「どどどうぞお通りください! こちらです! よき一時を!」

諏訪子の一言で輝夜の態度が一変し、二人は丁寧に誘導される、
艦に備え付けられたエレベーターに乗ると、輝夜は頭を下げながら上昇のスイッチを押した。

「諏訪子は輝夜と会ったことがあるの?」
「一緒にプロレスごっこしたのー」
「そうなんだ、楽しかった?」
「うん!」

上昇中のエレベータの中で仲睦まじく会話をする妹紅と諏訪子、
やがてエレベーターが止まり、扉が開くと、ある人物が二人を出迎えた。

「スカーレットスカイにようこそ、歓迎するわ妹紅」
『レミリア!』

そう、今や幻想郷一の人気者、レミリアちゃんである、
豪華で大きな椅子にふんぞり返っている彼女は、見下すような目線のまま二人を歓迎した。

「うわー、偉そう」
「諏訪子、何故あなたがここにいるのかしら?」
「もこ姉に誘ってもらったんだよーだ」
「(チッ、二枚送ったのが仇となったか)」
「(わてをのけものにするなんて許さへんでー)」

目と目でお互いの心が通じ合うレミリアと諏訪子、
もしかしたら仲がよろしい気がしないでもない。

「じゃあ写真を撮るわよ、妹紅、ここに座りなさい」
「へー、サービス満点だねー」
「当然よ、ここはスカーレットスカイ、天空の楽園なのだから」
「んしょっと、これでいいのかな?」
「それでいいわ、それじゃ邪魔するわね」

レミリアは立ち上がり、自分の代わりに妹紅を座らせる、
そして妹紅の膝の上に自らが横向きに座った。

「(も、もこ姉の膝の上を占拠したやと!?)」
「写真をとりますよー、はいチーズ」
『にぱー!』

妖精メイドの合図に合わせて満面の笑みを浮かべる妹紅とレミリア、
この笑顔にわずかな曇りがあるようならば、ここまでの人気を得ることは無かっただろう。

「(くっ……妹紅とラブラブな写真を取って一歩前に出たつもりやな……)」
「諏訪子、次はあなたの番よ」
「なんやて!?」

レミリアは続けて諏訪子とのツーショットを取らんと椅子に誘う、
その一切の行動の揺らぎのなさに、諏訪子は戦慄を浮かべた。

「(れ、レミリアはわいに敵対心を持ってるはず……なのにその敵対心を見せないどころか、
 一緒に写真を撮るやて!? 違う、違うで! ここにおるのはレミリアやない、レミリアちゃんや!
 あらゆる客を魅了し、虜にし、そして愛され続けてきたまさしく幻想郷最強のマスコットや!)」

諏訪子はレミリアに手を握られ、為す術無く椅子へと座らせられた、
レミリアもその隣りに座ると、諏訪子の腕を両腕で抱きしめて距離を縮める。

「(くっ、それならばわいも全身全霊の笑顔で迎え撃ってやろうやないか!)」
「写真をとりますよー、はい、チーズ!」
「にぱー!」
「にぱぁ」
「(……な、なんやとぉぉぉ!?)」

全力で迎え撃たんと満面の笑顔を浮かべる諏訪子、
しかしレミリアちゃんの行動はそれをさらに上回るものだった。

「(わ、わずかに微笑んだだけ!? いや違う! これは……恋人の笑みや!
 彼氏の胸に頬を寄せて浮かべる魔性の微笑み! まさかわしの笑顔を逆利用したんか!?)」
「写真は退場の時に受け取りなさい、それじゃせいぜいゆっくり楽しむことね」
「(完敗や……ここは奴のホームグラウンド、最初から勝てるわけが無かったんや……)」

写真にはレミリアに身体を委ねられたことによって、
満面の笑みを浮かべているように見える諏訪子の姿があるだろう、
幻想郷最強のマスコットの異名は伊達ではない、それを表す一枚である。

「(くっ、こうなれば妹紅ととことん楽しんだろうやないかい!)」
「じゃあいこうか、レミリアもまたねー」
「(精々楽しんでいるところを指を咥えながら眺め――)」

諏訪子は心の中で悪態をつきながら、一度だけレミリアの方に振り返る、
すると不敵な態度で見送るレミリアの目の奥に、隠しきれない悲しさを感じ取った。

「(そうか、お前も辛いんやな……マスコットである限り、ここではどうあがいても
 妹紅と一緒に楽しむことはでけへん、一緒に遊びたいはずやのにな……)」

マスコットとして背負う悲哀の宿命に、諏訪子は心の中で涙を流す。

「諏訪子、どうしたの?」
「なんでもないよー! さ、いこいこっ!」
「はいはい、引っ張らないの」

元気にはしゃいで甲板へと繰り出す諏訪子、
苦笑いしながらそれに引きずられていく妹紅、
遠ざかる二人の姿を見て、レミリアは何を思うのだろうか。

「(お前の分まで楽しんだるさかい、それで勘弁な)」

諏訪子は心のなかでレミリアに謝る、
もしかしたら、本当にこの二人は仲が良いのかもしれない。



 七章:終わりの始まり
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「リアクター幽々子、出力良好」
「バランサー調整、1341です」

管制室にて、咲夜と美鈴、そして小悪魔が計器を真剣な眼差しで見つめていた。

「碇をあげます!」
「反重力プラントチェック、一、二、三番オーケー!!」
「セイル解放、ソーラレベル389!」
「機は熟した! 今こそ我らが力を見せるとき! 平和に満ちた幻想郷をこの手で支配してみせる!」

レミリアの演説に紅魔館一同、そして妖精メイド達に一層の緊張が走る、
離陸の準備はすでに整った、あとは発進するのみ。

「お嬢様! パチュリー様! 号令を!」
「……よし、離陸せよ!」
「了解! メインエンジン点火!」
「今よ! テイクオフ!!」

パチュリーの号令とともに、艦体を強い振動が襲う、
そして轟音と爆音を響かせながら、ついに艦はその巨体を宙に浮かび上がらせた。

「……飛んだの?」
「高度二十、三十……五十メートルに到達、艦体は安定しています」
「どうやら成功のようね」
「ほ、本当に飛んだの!? 嘘じゃないわよね!?」
「嘘じゃないわ、外を見てご覧なさい」

レミリアはまだ本当に艦が飛んでいることを信じれずにいた、
そしてパチュリーに促されるままに管制室の窓に張り付くと、
地面がゆっくりと遠ざかっていく光景が飛び込んでくる。

「やった! 見てよパチェ! 飛んでる! 私の艦が飛んでるわ! 飛んでるのよ!」
「わかってるわよ、まったくもう……あんなに嬉しそうにはしゃいじゃって」

外を見ながらはしゃぎ続けるレミリア、そこには本当にただの純粋な子供がいた、
一体誰が彼女を見て五百歳の吸血鬼と思えようか。

「はっ……!」

管制室にいる全員がその姿を見て微笑んでることに気づくのは、それから数分後の事である。

「コホン……さあ行くわよ! 目標、人里!」

艦は進路を人里へと向けて前進を始めた、人里のそばに着陸してそこで開園を迎える、
たったそれだけのこと、それを誰もが順調に行えると信じて疑わなかった。

「未確認敵機接近! 今までにない強大な力が近づいてきます! 気をつけてください!」

しかし、運命というものはあまりにも残酷過ぎた、
その幕開けは美鈴の悲鳴のような警告によって始まる。

「何だ!? 何が近づいてきている!?」
「今前方スクリーンに映し出します!」

電子音と共に映し出される敵機、それを見たとき誰もが絶望を感じた、
紅と白に包まれた衣装、そしてその顔の浮かべた邪悪な笑み。

「ケヒヒヒ……」
「ケヒ霊夢かっ!!」

ケヒ霊夢、それは霊夢が発作を起こすと発現する恐怖の具現、
レミリアが冷や汗を浮かべ、パチュリーは頭を抱え込み、
咲夜は額に手を当てて俯く、妖精メイドの中には失神する者も。

「まっすぐこちらに飛んできます!」
「コア! 主砲はどうなっているの!?」
「主砲準備オーケーです!」
「よし、ドカーンといきなさい! ドッカーンと!」

パチュリーの命で主砲が霊夢に向かって放たれる、
レミリア達の祈るような視線の中、直後に空中に小さな花火が出来上がった。

「砲弾命中!」
「よくやったわ! さすがに主砲の直撃を受ければケヒ霊夢でも……!」
「ひ、左ウイングにケヒ霊夢を確認!」
「何ですって!?」
「点滅しています! 残機があった模様です!!」
「エクステンドさせたのはどこのどいつよ!」

パチュリーは怒るが、それをぶつける相手はどこにもいない、
ケヒ霊夢が艦体に着陸した、それは最悪の状況を表す。

「落ち着いてパチェ、冷静に対処すればいいのよ」
「そ、そうね、こういう場合は……咲夜、スカーレッツを霊夢にぶつけなさい!」
「スカーレッツですか? しかし相手は……」
「ウイングから引き剥がすだけで構わないわ!」

紅魔館特戦部隊スカーレッツ、弾幕に長けた妖精メイドのよる精鋭部隊である、
彼女らが状況を好転させてくれると信じて、レミリア達はスクリーンを食い入るように見つめた。

「左ウイング大破! 被害面積、約89.0%!」
「げげっ!」
「左右のバランスを崩しまくってます!」
「セイル収縮! 右ウイングの浮力を下げろ!」

しかし艦体の偏りと共にそれが叶わぬ夢であることを痛感する。

「ケヒ霊夢がダクト内部を進んでいます!」
「何をする気?」
「道に迷ったこぁ?」
「……待って、手立てを思いついたわ」

艦の内部に侵入され、万事休すかと思ったその矢先、
パチュリーの頭に一つの策が浮かぶ、そしてそれは危険な賭けだった。

「準備はいい?」
「本当にやるんですね?」
「きっと後悔しますよ……」

咲夜と美鈴が心配そうな顔でパチュリーを見る、
パチュリーの策は考えた本人すら躊躇わずにはいられない物、
しかし艦がいつ破壊されるか分からない今、それを実行しない選択肢は無かった。

「霊夢を倒すのは今しか無いわ! フランドール・スカーレット発進!!」

フランドールを霊夢にぶつける、それがパチュリーの策だった。

「……ケヒ?」

そして霊夢が壁を破壊して抜けた先に、彼女はいた。

「見つけた」

フランドールは怒っていた、心の底から怒っていた、
何故なら艦が飛んだことはフランドールにとっても嬉しいことだったから。

「許さない」

でも何よりもフランドールが嬉しかったものは、
甲板から管制室を見上げたときに、窓に張り付いて喜んでいる姉の姿だった、
目の前に居る巫女はそれを邪魔している、それが何よりも許せなかった。

「あんたなんか壊れちゃえ!」
「ケヒーッ!!」

とうとう、二匹の化物が激突した。

「あぁ、私達の戦艦が壊れていきます……」
「細かいことを気にしては駄目よ! 頑張れ妹様!」
「あぁ!? 二人が右ウイングに飛び出しました!」
「何ですって!?」

何度も響く揺れと轟音の果てに、二人は艦内から飛び出した、
艦体に膨大な傷跡を残して。

「二人の戦闘で右ウイングが破壊されました!」
「……さ、左右が壊れて丁度いいわ」
「フランドール様が霊夢と共に落下していきます!」
「(フラン……)」

スクリーンに映し出されたのは、落ちてゆくフランドールの姿、
艦体に損傷を負ったものの、彼女の手によって最大の脅威は去った、
レミリアはすぐにでも探しに行きたいのをこらえると、咲夜達に指示を出す。

「咲夜! 妖精メイドをフランドールの探索に当てなさい!」
「はい!」
「美鈴! 飛行を停止して艦をすぐに着陸させるのよ!」
「了解です!」

これで悪夢は終わる、レミリアもそう信じて疑わなかった。



 八章:サイレントヒル
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「うわー、羽壊れちゃったよー」

諏訪子は甲板から一部始終をずっと見つめていた、他の客が妖精メイドによって避難を促される中、
それを気にとめることすら無く、まるでレミリアを心配するかのようにじっと見つめていたのだ。

「レミリアは大丈夫かな?」

振り返り、そばにいる妹紅にそう訪ねようとする、
しかしそこにいるはずの妹紅がいない。

「あれっ、もこ姉? もこ姉ー?」

諏訪子は辺りを見回すが、妹紅がいる気配すら感じ取ることは出来なかった、
そして舞台は艦内の奥深くへと移る。

「クックック……」

奥深くにある一室、そこは艦の水の管理を一手に引き受ける場所だった、
艦は危険な状況だというのに、避難もせずにそこで妖しい動きをとる人影が一つ。

「このタンクに濃縮蜜柑を注ぎ込めば、ありとあらゆる水道がポン道へと変わるのだ……!」

ポンジュース道、通称ポン道、ひねればポンジュースが出てくる愛媛の名物である。

「ここをポンジュースで制圧すれば幻想郷全土は自然と愛媛に染まるのよ!」

オレンジは拳を握り締め、己の野望を叫ぶ、
彼女に取って艦の危険などどうでもよいのだ。

「ポンジュースの洗礼……とくと味わいなさい!」
「おっと、そこまでよ」
「な、何者!?」

タンクがポンジュースに染められようとした瞬間、一つの蜜柑がオレンジに襲いかかる、
オレンジはそれをすんでのところで受け止め、飛んできた方に顔を向けた。

「いけないよ、そんなことをしちゃ」
「この蜜柑は静岡蜜柑……貴様、何者!?」
「なに、通りすがりの静岡県民さ」

タンクの影から姿を現したのは妹紅であった、
フジヤマをスペルに持つ彼女が静岡県民なのはむしろ当然の事だろう。

「蜜柑によって幻想郷は救われる、それが理解できないのかしら?」
「蜜柑もいいけどねぇ……お茶もいいよ?」
「成程、私と同様にタンクをお茶で染めに来たってわけね」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
「邪魔はさせないわ! 愛媛の力を思い知るがいい!」

オレンジは一足飛びに妹紅に飛びかかり、その手に握った蜜柑を振り下ろす、
対する妹紅もため息を一つ付くと、ポケットから取り出した蜜柑で迎撃せんと腕を振り上げた。

「そこまでよ」
『っ!?』

しかし互いの蜜柑は間に割り込んできた何者かによって受け止められ、届かない。

「和歌山県民である私をのけものにするなんて、いつの間に愛媛と静岡は偉くなったの?」

二人の間で不敵に微笑んでいるのは、和歌山パワーを見にまとった橙であった。

「丁度いいわ、ここであなた達を倒して愛媛が頂点に立つ! ビン入りポンジュースを食らえ!!」
「蜜柑しか脳のない県民ね、和歌山の備長炭の硬さを思い知りなさい!」
「……お茶で戦いたいところだけどしょうがないな、静岡は冷凍蜜柑で行くよ!」

全国蜜柑頂上決戦、それがここで行われると誰が予想しただろうか、
そしてくしくもその開始のゴングとなったのは、右ウイングが大破する音であった。



 最終章:ランディング
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「お嬢様、悪い知らせがあります」
「え、何?」

艦を無事に着陸させようと頑張る中、美鈴が引き攣った顔でレミリアの方を向いた。

「……リアクターを破壊されました!!」
「リアクタールームに蜜柑と炭が散乱しています!!」

涙目で訴える美鈴、そしてわけの分からない言葉を発している咲夜、
さすがのレミリアもこれがあまりに異常な事態であることに気づく。

「パチェ、リアクターが壊れたってことは」
「この船の動力源が壊れたってことね」
「各部の機能が低下しています! 第三、第五エンジン停止!」
「もうぼろぼろです! このままでは艦が墜ちます!」
「パチェ、墜ちるって?」
「墜落するってことね」
「つまり?」
「あひぇぇぇぇ! この艦はもう駄目よぉ!! 私は逃げるわぁ!」
「……危険ってことね」
「じゃ、私は逃げるわ! 悪く思わないでね!」

パチュリーの丁寧な解説によってレミリアもようやく現状を把握した。

「咲夜、何か手立てはないの?」
「もう飛行を継続するのは無理です、ですのでこのまま滑空を続けて着陸するしか……!」
「……手段を選んでいる暇はないわね、その手で行くわよ!」
「はい!」

なんとか被害を最小限に止めようと、必死に艦の操縦するレミリア達、
しかし運命の歯車はさらなる悪夢を彼女達にもたらす。

「た、大変ですこぁ!」
「どうしたの!?」
「このまま滑空を続けていくと――!」

小悪魔の言葉で全員が一斉に正面を見る、
立ち並ぶ家屋、そして人の群れ、そこには人里があったのだ。

「何てことなの……!」
「最悪だ……!」

咲夜と美鈴の顔がみるみる青ざめる、
そして二人の頭の中を最悪の結末がよぎった。

「美鈴! ブレーキは!?」
「はっ……だ、駄目です! リアクターが停止しているためブレーキは使えません!」
「咲夜! エンジンはまだ動く!?」
「こちらも駄目です! リアクターが動かない限りエンジンも動かせません!!」
「ウイングは! ウイングは動かないの!?」
「ウイングは完全に大破しています、左右にも、上下にも動かせませんこぁ……」

レミリアが天を仰ぐ、数時間前には己の野望と共に飛び立ったというのに、
今目の前にあるのは悪夢なのだから。

「……クルー全員に告ぐ! 至急本艦より脱出せよ!!」
『お嬢様!?』

レミリアは気力を振り絞り、強く強く叫ぶ、
そして同じ頃、艦の異常は人里にも伝わっていた。

「やっぱり、嫌な予感がしてたのよねぇ……」

紫は人里の外れでずっと空を見上げていた、
まっすぐにこちらへ向かってくる巨大な艦から目をそらさぬように。

「萃香、衣玖さん、準備はいい?」
「オーケー、任せて頂戴」
「……や、やっぱりやるんですよね?」

人里には今頃強力な結界が張られていることだろう、
しかしそれで受け止めれる可能性はあまりにも低い、ならばと紫は二人の妖怪に助力を仰いだ。

「いっくよー! ミッシングパープルパワー!!」
「横文字と縦文字の境界……秘められた紫の力!!」
「もうどうにでもなーれー!」

紫の前に二人の巨人が立つ、受け止めるき満々の鬼と、やけになりつつある龍宮の使い、
後方の人里からも驚嘆の声が響いてくるが、それを気にする余裕はない。

「……人里を、幻想郷を任せたわよ」

縋るように言い放つ紫、そしてその巨人の姿は艦からも確認出来た。

「どうやら向こうも対策はしてくれてるらしいわね」
「ええ、もしかしたら被害がでなくてすむかも……!」

ほんの気休め程度ではあるが、咲夜と美鈴の心に余裕が生まれる、
しかし状況は依然として最悪なのにかわりはない。

「さあ、次はあなた達が逃げる番よ」
「いえ、最後までお付き合いさせていただきますわ」
「それにお嬢様は計器類が読めないじゃないですか」
「……勝手にしなさい」

咲夜も美鈴も、レミリアの傍を離れようとはしない、
最後の瞬間まで共に抗うと決めたのだ。

「まったく、あなた達が逃げなかったら私が逃げるフリをした意味が無いじゃない」
「この声はパチェ!?」

艦内と連絡をとる無線からパチュリーの声が聞こえる、
レミリアはそれを見つけると急いでそれを手に取った。

「逃げたんじゃなかったの!?」
「自分で作った艦を置いて逃げる訳ないじゃない、それよりもよく聞きなさい、
 これから予備リアクターを起動させるわ、再度飛び上がるほどの出力はないけど、
 下部エンジンで逆噴射をかけるぐらいはできるはずよ」
「……さすがはパチェ、あなたは頼りになる親友よ」
「ありがとう、お褒めに預かり光栄だわ」

最後の最後でレミリア達に希望の光が差し込む、
たとえそれが僅かな光でも、その身体を奮い立たせるのには十分過ぎた。

「パチュリー様、片側だけエンジンを回してコースをずらすのは駄目なんですこぁ?」
「それをするには高度が低すぎるわ、下手に地面に接触したら……止まるどころか大惨事よ」
「小悪魔、あなたもここに残った以上腹をくくりなさい、着陸するわよ!」
「こ、こぁー……」

咲夜はまだ怯えている小悪魔を無理矢理に座らせ、自らも配置につく、
美鈴も、そしてレミリアも皆、自分がいるべき場所に。

「高度二十メートル……十五……」
「パチュリー! 予備リアクターの起動はまだなの!?」

地面はどんどん近づき、レミリアが無線を祈るように握り締める、
その無線の向こうで、パチュリーはひたすらに詠唱を唱えていた。

「(予備リアクターは賢者の石、その負担にどこまでもつかしら? ……いいえ、もたせるのよ)」

パチュリーは最後まで抗うレミリア達の為に、そう強く決心する、
そしてそれから数秒の後、彼女の周りに五つの石が浮かび上がった。

「高度十メートル!」
「……お嬢様! リアクターからのエネルギー供給再開しました!!」
「やった、やったわよパチュリー!」
「高度七メートル!」
「って喜んでる場合じゃないわね……総員対ショック体勢!!」

レミリアの号令と共に全員が身を構える、
着陸に失敗すれば全てが終わる中、誰一人恐怖を感じずに成功を信じていた。

「三! 二! 一! ……ランディング!!」

地面につくと同時に、とてつもない衝撃が艦を襲う、
艦がバラバラになったかと思うほどの揺れの中、
レミリアは眼を閉じること無く、前を見据えて号令を言い放つ。

「逆噴射始動!」
「りょ、了解! 逆噴射始動!!」

艦の下部でまさに最後の抵抗と言わんばかりにエンジンが唸りを上げた、
しかしそれを嘲笑うかのように艦は速度をほとんど落とさぬままに滑り続ける。

「来たよ来たよー!」
「ジョン・トラボルタ……どうかもう一度私に力を!」

そして身体を巨大化させた二人とも、もうすぐ衝突する位置まで艦は迫ってきていた。

「私が前! あんたが後ろ! いいね!?」
「はい!」

萃香を前に置き、二人が艦を止める体勢に入る、
腰を落とし、大きく息を吸い込んで、最も力をぶつけることのできる時を待つ。

「……今だーっ!!」
「フィーバァァァッ!!」

そしてひときわ大きな衝突音が、人里のみならず妖怪の山まで響き渡る。

「巨人二人と接触しました!!」
「艦の勢いはどうなった!?」
「速度は二割程低下しています! ……ですがこの勢いのままでは!」
「美鈴! エンジンの出力は上がらないの!?」
「もうこれで限界一杯一杯ですっ!!」

段々と窓に移る人里の景色が近づいてくる、
もはやレミリア達の打つ手はなく、後は人里の対策に頼るのみ。

「誰でもいい……誰か艦を止めて……!」

これをなんとかすることができる者がいるのなら、
レミリアはその誰かに届くように、必死に目を瞑って祈った。

「……あの二人でもう少し勢いをそげると思ったんだけど」
「八雲様! あの勢いだとこの結界では防げません! 避難してください!」
「なら私も全力で結界を張るだけよ、少しでも被害を抑えるために」

そして艦を迎える側の人里では、すでに住民の避難を終えた後だった、
しかし紫は慧音に避難するように言われても、艦の正面から動こうとはしない。

「分かりました、紫様、どうか御武運を……!」
「ええ、任せて」

今だに相当な速度で迫り来る艦、紫とて恐怖を感じないわけではない、
それでもなお、彼女は幻想郷の為にそれを心の奥底にしまいこむ。

「いくわよ……全身全霊全力の……四重結界!!」

紫が繰り出した両の手から、紫色の結界が人里を覆いきるほどに展開される、
されどこれでもあの艦を止めることは出来ないだろう、
艦の姿が視界を半分以上覆うほどの距離となって、初めて紫の足が震える。

「(私ったら、もう少しだけ格好つけさせなさいよ――)」

自分自身に心のなかで苦笑しながら、紫はそっとその瞼を閉じた。

一拍。

二拍。

三拍。

「(あら?)」

そのすぐに訪れると思っていた瞬間が、中々訪れないことに紫は気づく、
そしてそれはレミリア達も一緒だった。

「……止まっ……た?」

窓の向こうには人里に張られた巨大な結界が見える、
それは何ら欠けること無く、悠然とそびえ立っていた。

「咲夜?」
「は、はい……人里手前にて急激に艦の速度が低下しました」
「何が起きたの?」
「さあ……誰かが何かしたのでなければ、奇跡としか」

レミリアも咲夜も、互いに何が起きたのか信じられないという顔で見合わせる、
そして艦を正面で待ち続けていた紫もまた、信じられないという顔を浮かべていた。

「……何が起きたのかしら?」

巻き上がった土煙の中、紫は結界をくぐり抜けてそっと艦に近づいていく、
人里の数十メートル手前で止まったそれは、静かに佇んでいた。

「あれは……艦の前に誰かいるの?」

徐々に晴れていく土煙の中、艦を止めた立役者が、そっと紫の前に姿を現した。

「俺を忘れてもらっちゃ困るな!」
「――テリーマン!!」



 エピローグ
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

沈みかけた太陽が、幻想郷を赤く照らす。

「はぁ……」

レミリアはがっくりとした表情で、紅魔館への帰路をとぼとぼと歩く、
夢が敗れた衝撃に、どうやら飛ぶ気も起きないようだ。

「お嬢様、元気をお出しになってください」
「うん……」
「そうよレミィ、あなたがいればまた何度でも挑戦できるわ」
「……そうね」
「ほら、テリーマンさんからお嬢様へってサイン貰ってきましたよ!」
「……ありがとう」
「お姉様ーっ!!」

咲夜が、パチュリーが、美鈴が、レミリアを励ましながら共に歩む、
ふとそこに、前方から妖精メイド達を引き連れたフランドールが現れる。

「フラン、無事だったのね」
「うん! お姉様こそ、艦は大丈夫だったの?」
「……艦は壊れちゃったわ」

レミリアはフランドールに心配させまいと気を持ちなおすが、
艦の事を聞かれると途端に表情を曇らせる。

「そうなんだ……」
「大丈夫よ、艦は壊れたけど、まだ死んではいないわ」
「……パ、パチェ! それはどういう事?」

パチュリーの言葉に、レミリアがほんの少しだけ目を輝かせる。

「修理すれば飛ぶ位はなんとかなりそうよ、テーマパークとしての運営は無理に近いけど」
「飛べるの!?」
「ええ、ちょっと時間はかかるけどね……」
「本当に飛べるのね!? やった! さすがはパチェ! 私の親友ね!」

また飛べる、そう聞いた途端にレミリアが元気を取り戻す、
咲夜から日傘をふんだくり、くるくると回りながら元気よく歩き始める。

「そうと決まれば艦を使って何をするか考えないといけないわね!」
「早急すぎるわよ、まだ直ってもいないんだから」
「いいじゃない、考えるだけならタダよ……そうね、あの艦で映画をとるなんてどう?」
「映画……?」
「そう、あの立派な艦を映像に残すのよ! ずっと記憶に残るように!」

レミリアは突拍子もない事を言い始めては、一人で期待に胸を膨らませる、
その元気にはしゃぐ姿を見て、友も従者もやれやれと溜息をつく。

「またレミリアの我が侭がはじまったわね」
「お嬢様ですから……しょうがないですわ」

夢を語りながら、夕日を背にくるりくるりと踊って見せるレミリア、
彼女の野望は、どうやらまだまだ終わる事は無さそうだ――。


.
 *     +    巛 ヽ
            〒 !   +    。     +    。     *     。
      +    。  |  |  無印通算百作品目だ
   *     +   / /   イヤッッホォォォオオォオウ!
       ∧_∧ / /
      (´∀` / / +    。     +    。   *     。
      ,-     f
      / ュヘ    | *     +    。     +   。 +
     〈_} )   |
        /    ! +    。     +    +     *
       ./  ,ヘ  |
 ガタン ||| j  / |  | |||
――――――――――――

というわけで皆様、毎度ご愛読ありがとうございます、
記念作品と言うことで過去作品からたくさん出演していただきました、
カオス過ぎて破綻している? それがいいんですよ!

こうして自分の作品を振り返ってみますと、本当に紅魔館勢が多いんですよね、
一番書いてるのがレミリアで、次が咲夜さんですから(ugigi調べ)、
つまるところそろそろ紅魔館全一を名乗っても(ハイスイマセンデシター)

ちょうどいい一区切りを迎えましたので、そろそろ連載作家を引退しようと思っております、
これからは適当なペースで作品を上げていく予定ですので、よろしくお願いいたします、
創想話も賑わっていますし、クオリティを求めるのもまた一興……ですよね?

::::::::::::::::::| |      ,,r' ゙i\
::::::::::::::::::| |´  ̄ ̄ ̄`゛''┘.,
::::::::::::::::::| |'   、 ,.     `' 、
::::::::::::::::::| ,r'l、\ j  ,r'l  ,   !、
::::::::::::::::::| |レ'rr=r レ. |/(,. ト゛'、`'、
::::::::::::::::::| |゙i       -=;ァ' l ,.!  }
::::::::::::::::::| | ゙i   '‐=ー     'レ.,r'レ  ほなサイナラ!
::::::::::::::::::| |゙i          ,' '{,  }
::::::::::::::::::| |            ,r' 「レ`'
::::::::::::::::::| |゛ヽ、 _.,_____,,.. ,r' `i~レ
::::::::::::::::::| |Y7´! ,.イ⌒ヽ
::::::::::::::::::L,.!、! !_/      〉ノ,....、__
:::::::::::::::::と_ ヽ.,ムゝ-=、_ンイ:::・:(<
::::::::::::::::::k,_   i /^'^'7!:::::`'::::::::!ソ
::::::::::::::::::| i\ `ヽ /! `>:::::ノ
::::::::::::::::::| | _ヽ、_ノ 〉く/ゝゝ
::::::::::::::::::| |ヽ、  /::::\
幻想と空想の混ぜ人
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コメント



0.3950簡易評価
3.100煉獄削除
結婚凱旋所って……あれですか。 フランのおねだりとか可愛かったですねぇ。
レミリアの『にぱー』とか会話など面白いお話でした。
4.100名前が無い程度の能力削除
通算100作目おめでとうでっす。さすが混ぜ人さん、安心のギャグクオリティでした。途中まで見つけたネタ数えてましたが、テリーマン再来で全部吹っ飛びました。これからもご活躍応援していきます。

混ぜ人検定二級は取れなくとも三級なら・・・!
5.100miyamo削除
混ぜ人さん通算100作品おめでとうございます!
おもえば創想話を知って初めて好きになった作家さんでした。
この作品も面白かったです!
今後もがんばってください、変わらず応援し続けます!
6.100名前が無い程度の能力削除
9個しかわからん俺は混ぜ人分が足りなさすぎる。
しかしメタナイトも1作目も懐かしすぎて泣いた。そして当然のように出てくるあいつ。
最後に、無印通算百作品目おめでとうございます。これからも作品集の最後で待ってます。
最後の最後に、全国蜜柑頂上決戦で再び盛大に吹いたw
8.100名前が無い程度の能力削除
何だろう……真面目にコメントしたら負けな気がする……
10.100奇声を発する程度の能力削除
おめでとう御座いますwwwww
11.100名前が無い程度の能力削除
モスバーガーの幻想入りがフラン様によって阻止された…!
ありがとう…ありがとう…
12.90名前が無い程度の能力削除
テリーマン万能すぎるwww
しっとパルスィが無かったのだけが残念だ。
13.100名前が無い程度の能力削除
いつくるのか待ってたら、やっぱり最後かテリーマン……!

私は四級くらいです
基準は知りませんが
14.100名前が無い程度の能力削除
百作品目おめでとうございます
不思議なことに涙がとまりません
16.100名前が無い程度の能力削除
二級ゲットー!!!
17.100名前が無い程度の能力削除
一作目が懐かしくてしょうがないです。。
あの時は面白い作品が出てきたなあとしか思ってなかったけど、ここまでの連載を書かれる人だとは思ってもいませんでした。
数々の作品、楽しかったです。これからも楽しみにしています。
18.100デン削除
テリーマンが相変わらず全てを持っていくwwwwwww
19.100名前が無い程度の能力削除
欲を言えばリリーブリーダーも出してほしかったな
21.100名前が無い程度の能力削除
この作品はまさにテーマパーク
これからも応援しています
22.100名前が無い程度の能力削除
おそらく二級ゲット。
テリーマンでまた笑ってしまったw
23.100名前が無い程度の能力削除
恐ろしい程の飛ばしっぷりw
貴方が進む道の信号は常に青なのですね!!
25.100名前が無い程度の能力削除
百作品おめでとうございます
あんた本当に最高だよ
ネタを思い出すたびに爆笑してました

ちょっと過去作読み返してきます
26.100名前が無い程度の能力削除
ばーかばーか
大好き
28.100名前が無い程度の能力削除
テリーマン素敵!
29.100名前が無い程度の能力削除
テリーマンで超吹いたw

つーか、これ霊夢が悪いんじゃないの? カオス極まりないねw
30.100名前が無い程度の能力削除
ただただ圧倒されたww
31.100名前が無い程度の能力削除
この作品自体と過去ネタで二倍、三倍と楽しめる、お得!

次の作品も楽しみに待っています。
35.100名前が無い程度の能力削除
百作品おめでとうございます!
混ぜ人検定二級取得しました。次は一級か…
36.100名前が無い程度の能力削除
お嬢様、あなたも結婚幹旋所経験者でしょうが。

スプリングファームが無かったのは残念。あれの続編書かないんですか?

誤字?
「ゆっくりしていってね!!」の「!」は3つでございます。
38.100名前が無い程度の能力削除
突っ走りお疲れ様です! 五割くらいしか分からなかったので今から読んできますね。
41.100七人目の名無し削除
祝!!百作品!!おめでとうございます。

いろいろ見所はありましたが、テリーマンにぜんぶもってかれましたww
さすが超人。ぱねぇな。
42.100名前が無い程度の能力削除
おめでとうございます!
混ぜ人さんが投稿始めた辺りからのファンなので、非常に楽しめました。
今後も楽しみにしています。
お疲れさまでした。
45.100名前が無い程度の能力削除
100作品おめでとうございます。これからも適度にカオスな作品を期待してます。
輝夜と諏訪湖のプロレス、テリーマン以外は分かった。と思う
テリーマンってどの作品だったかな…?
そこそこ分かったと思うので3級頂いてもいいですか?
47.100名前が無い程度の能力削除
読み進めるごとに懐かしいネタが出てきてなんとも言えない感動を覚えました。
検定はたぶん準2級くらい。ケヒ霊夢ってなんだっけか……
52.100名前が無い程度の能力削除
二級ゲトォォォォ!!
しかし相変わらずテリーマンはすべてを持っていくなwww
これからも期待してます!
55.80名前が無い程度の能力削除
うーん、流石に霊夢分がうざった過ぎる気がしますね


静岡には、他にも山葵や薔薇もありまっせ!
56.100名前が無い程度の能力削除
無印通算百作品おめでとうございます!
そしてわかっていたのにテリーマンでフイタwww
57.100名前が無い程度の能力削除
100作品おめでとうございます! 1000作品目指してこれからも頑張って下さい。馬車馬の如く。
58.100てるる削除
懐かしすぎるww
そして相変わらずテリーマンに笑ってしまうww

大体全部分かったし2級ぐらいになってるといいなぁw
62.100名前が無い程度の能力削除
100作品おめでとうございます!
カービィネタぐらいしか分かりませんでした;
63.100名前が無い程度の能力削除
テリーマンに全部持ってかれた
悔しい…
64.100名前が無い程度の能力削除
2級ゲットォ!!
すっかり存在を忘れていたテリーマンに不意をつかれてしまったwww
今後もあなたの作品を楽しみにしています!
69.100名前が無い程度の能力削除
相変わらずネタが多いことwww
70.100名前が無い程度の能力削除
読み進める度に過去作品の思い出したよwww

>>「俺を忘れてもらっちゃ困るな!」

まさか超人レスラーが再び出るとはwww
71.100名前が無い程度の能力削除
くそっw懐かしい面子に思いを馳せてたのにテリーマンに全部持ってかれたwww
使い所が良すぎるぞww
72.100名前が無い程度の能力削除
これぞ混ぜ人さんwww

しかしこの霖之助、『たまにはゆっくりすべきである。』後の霖之助だとしたら
このカレートロイドさんと……
74.100名前が無い程度の能力削除
いいお祭り騒ぎですねw

100作品目おめでとう!
混ぜ人さんの作品とは長い付き合いでしたが、毎回楽しませてもらっていました
スタンス変われども今後とも頑張下さい!
78.90ずわいがに削除
豪華ダイジェストwwww

ダメだ~、俺はせいぜい準二級ぐらいですかねぇ;ww
82.100名前が無い程度の能力削除
混ぜ人二級?そんな肩書きに興味は無いね。
カレーがあればそれでいい。

あと、100作目乙です。
84.100名前が無い程度の能力削除
良きオールスター劇場版を見させていただきました、ありがとうございます。
100作目乙!
89.100賢者になる程度の能力削除
テリーマン自重ww
100作品おめでとうございます。

それと引退なんて許早苗
90.100名前が無い程度の能力削除
あえて一つだけ苦言を。
カタパルトコースターは凄く普通。
93.100名前が無い程度の能力削除
ほんとテリーマンがいっちばん大笑いしたわ
これからも頑張って
95.100名前が無い程度の能力削除
冷凍蜜柑うめぇwww
100作品おめでとうございます。
98.100名前が無い程度の能力削除
まさに夢の楽園
100.100名前が無い程度の能力削除
なんでだろう…、涙が出ちゃうんだ。
この作品には混ぜ人さんの歴史がつまってる。
101.90名前が無い程度の能力削除
テリーマンおいしいなあw
102.無評価名前が無い程度の能力削除
100作品達成おめでとうございます。

タグ見た瞬間にアンタ何様なのって思ったわ
103.100名前が無い程度の能力削除
100作品おめでとうございます!

何と……もこ姉はサイレントヒル出身であったのか……!
貴女、ご親戚かお友達にアレッサって居られませぬか?
104.100名前が無い程度の能力削除
俺は3級ぐらいかな……

100作品、お美事にございまする!
そして相変わらずの超人レスラーの人気ww
105.100名前が無い程度の能力削除
謎の感動で泣いた……。100作品おめでとうございます。
107.100名前が無い程度の能力削除
等速直線運動を続けるあなたが大好きです
108.100名前が無い程度の能力削除
手リーマンwwwwwwwwwどっからわいてでたwwwwwww
109.100名前が無い程度の能力削除
100作品おめでとうございます。
本当に「混ぜ人検定」と言っていいくらい、
何もかもがごちゃ混ぜに詰め込まれてるのですが、
それでもしっかりと構成がまとまっていて、十分楽しめました。
110.100名前が無い程度の能力削除
うーん、まさしく総集編w
112.100名前が無い程度の能力削除
か、カービィwwww
114.100名前が無い程度の能力削除
懐かしきネタに目頭熱くなる。
百作品御目出度う御座います。
ケヒ霊夢は時代の生んだ悲劇……。
そしてお嬢様可愛いよお嬢様。
116.100名前が無い程度の能力削除
自分の作品ほとんどを混ぜるとは…
素晴らしいです!
後、新妻・紫とテリーマンの使い方でお茶吹いたw
119.100名前が無い程度の能力削除
テリーマンでやっぱり盛大に吹くw
132.100名前が無い程度の能力削除
だいだい、わかった!はず…
138.100名前が無い程度の能力削除
もう一年か、引退してしまわれたのか
でもずっと待ってます
あなただけの謎の世界
140.100名前が無い程度の能力削除
過去作全部もっかい見てしまった
152.100名前が無い程度の能力削除
今更過ぎるけど全部読みました
とっても面白かったです
ありがとうございました