妖怪の山はすでに紅葉を取り戻し始めており山々は赤や黄色に染まり始めていた。これといったこともなくゆったりとした時間が流れていた。だが相変わらず人間が立ち入ることは無かった。
「えっと次はどっちでしたっけ?」
もちろん滝裏に待機して山に入ってくる侵入者を見つける役割の犬走椛も例外ではなく暇であり毎日のように河童たちと大将棋で暇をつぶしていた。
「次は椛さんです」
「ああそうですか、えっと……こうですかね」
木の台に駒が置かれパチンという音が滝裏に響く。
「相変わらず暇じゃないですか?」
将棋相手の河童が口を開く。
「私は基本的にいつでも暇ですが人里では何かあったらしいですよ」
「人里で?」
河童は興味を持ったかのように食い気味に話しかけてくる。持っていた駒から手を離し椛は話し始める。
「なんか『黒い水』が湧き出したとかなんとか。しかもそれを色々な見解の人がいるせいでお祭り騒ぎって聞きました」
「特に害がないなら全然いいと思いますけど」
すぐに興味がなくなったのかまた将棋盤に目を向け考え始める。
お互いに長考が続く。
「王手」
椛がそう告げると河童の方の守りは崩れ積んでいる。
「参りました相変わらずの腕前ですね椛さん」
「ほぼこれやっますからね」
少し苦笑い気味に椛は言うと滝の方を見る。夕暮れと紅葉が重なり橙色に輝いてるいる。
「相変わらず滝はきれ……」
そう河童が呟いこうとしたとき滝から見たこともない異常な水があふれ出した。その水は人里で話題になっている『黒い水』と酷似していた。黒といっても水の透明度はなく黒よりも漆黒だった。
「うわ……?なんなんですかあれ。あれが噂の『黒い水』ですか?あれでも人里だけでは?」
河童はうろたえたようにつぶやく
「わかりません。でも確実に『異変』ですね。大天狗様に伝えないと……」
椛には全く理解ができなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふう、ここらでひと段落にしましょうか。日が暮れ始めましたし」
そう呟いたのはエンジニアの河城にとりだった。にとりはにとり自身が『弾幕ごっこ』の時に使う光彩迷彩スーツの改造をしていた。飽き性のせいなのかあまり完成はしていない。
「どうしましょうか。温泉にでも行きますか」
ー温泉に行くのは何かと久しぶりな気がしますね。
考えてみると最近は人里と自分の家を行き来しているだけだった。そんなことを考えながら温泉に向かう。すると道中である声が聞こえた。
「うーん例の人里の『黒い水』は何かわからないですがあるのは事実ですし記事にしますか」
「あれ射命丸さんじゃないですか。何してるんですか」
「あ、河童のにとりさんじゃないですか。例の水の取材を。あなたこそ、此処で何を?」
その声の正体は『文々。新聞』の記者で鴉天狗の射命丸文だった。例の『黒い水』を記事ネタにしようと考えたらしい。
「少し温泉に行こうかと思いまして」
「いいですね私も行きます」
にとりは鴉天狗は河童よりも妖怪の位が上だからか珍しく敬語を使う。文はにとりに合わせるためか空から降りてくる。
「取材してたのは『黒い水』ですか?」
「はい。でも何か分からないんで記事にするか悩んでるんですよね。何かにとりさん知ってます?」
「わからないですね。でもそこだけならいいんじゃないですか?」
「そうなんですけどねえ」
そんなことを話しているうちに博麗神社に着いた。
「今日は色々やったんではなく浸かりたいすねー!」
そんなことを言いながら文は飛んでいってしまう。
ー私も早くいった方がいいか。
走って向かうとそこには驚愕の光景が広がっていた。
いつもは多くの妖怪が入っている温泉だが透明な水は完璧な黒に染まっており誰一人とはいっていない。
温泉の周りには驚愕している博麗の巫女と写真をバシャバシャ撮っている文が飛んでいる。
博麗の巫女は何かを決心したかのようにどこか駆けていく。
何かがおかしいが全く理解できない。またせっかく走ってきたのに無駄に汗を余計にかいただけだと、にとりは思った。
「えっと次はどっちでしたっけ?」
もちろん滝裏に待機して山に入ってくる侵入者を見つける役割の犬走椛も例外ではなく暇であり毎日のように河童たちと大将棋で暇をつぶしていた。
「次は椛さんです」
「ああそうですか、えっと……こうですかね」
木の台に駒が置かれパチンという音が滝裏に響く。
「相変わらず暇じゃないですか?」
将棋相手の河童が口を開く。
「私は基本的にいつでも暇ですが人里では何かあったらしいですよ」
「人里で?」
河童は興味を持ったかのように食い気味に話しかけてくる。持っていた駒から手を離し椛は話し始める。
「なんか『黒い水』が湧き出したとかなんとか。しかもそれを色々な見解の人がいるせいでお祭り騒ぎって聞きました」
「特に害がないなら全然いいと思いますけど」
すぐに興味がなくなったのかまた将棋盤に目を向け考え始める。
お互いに長考が続く。
「王手」
椛がそう告げると河童の方の守りは崩れ積んでいる。
「参りました相変わらずの腕前ですね椛さん」
「ほぼこれやっますからね」
少し苦笑い気味に椛は言うと滝の方を見る。夕暮れと紅葉が重なり橙色に輝いてるいる。
「相変わらず滝はきれ……」
そう河童が呟いこうとしたとき滝から見たこともない異常な水があふれ出した。その水は人里で話題になっている『黒い水』と酷似していた。黒といっても水の透明度はなく黒よりも漆黒だった。
「うわ……?なんなんですかあれ。あれが噂の『黒い水』ですか?あれでも人里だけでは?」
河童はうろたえたようにつぶやく
「わかりません。でも確実に『異変』ですね。大天狗様に伝えないと……」
椛には全く理解ができなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふう、ここらでひと段落にしましょうか。日が暮れ始めましたし」
そう呟いたのはエンジニアの河城にとりだった。にとりはにとり自身が『弾幕ごっこ』の時に使う光彩迷彩スーツの改造をしていた。飽き性のせいなのかあまり完成はしていない。
「どうしましょうか。温泉にでも行きますか」
ー温泉に行くのは何かと久しぶりな気がしますね。
考えてみると最近は人里と自分の家を行き来しているだけだった。そんなことを考えながら温泉に向かう。すると道中である声が聞こえた。
「うーん例の人里の『黒い水』は何かわからないですがあるのは事実ですし記事にしますか」
「あれ射命丸さんじゃないですか。何してるんですか」
「あ、河童のにとりさんじゃないですか。例の水の取材を。あなたこそ、此処で何を?」
その声の正体は『文々。新聞』の記者で鴉天狗の射命丸文だった。例の『黒い水』を記事ネタにしようと考えたらしい。
「少し温泉に行こうかと思いまして」
「いいですね私も行きます」
にとりは鴉天狗は河童よりも妖怪の位が上だからか珍しく敬語を使う。文はにとりに合わせるためか空から降りてくる。
「取材してたのは『黒い水』ですか?」
「はい。でも何か分からないんで記事にするか悩んでるんですよね。何かにとりさん知ってます?」
「わからないですね。でもそこだけならいいんじゃないですか?」
「そうなんですけどねえ」
そんなことを話しているうちに博麗神社に着いた。
「今日は色々やったんではなく浸かりたいすねー!」
そんなことを言いながら文は飛んでいってしまう。
ー私も早くいった方がいいか。
走って向かうとそこには驚愕の光景が広がっていた。
いつもは多くの妖怪が入っている温泉だが透明な水は完璧な黒に染まっており誰一人とはいっていない。
温泉の周りには驚愕している博麗の巫女と写真をバシャバシャ撮っている文が飛んでいる。
博麗の巫女は何かを決心したかのようにどこか駆けていく。
何かがおかしいが全く理解できない。またせっかく走ってきたのに無駄に汗を余計にかいただけだと、にとりは思った。