ある朝目を覚ますと、霊夢は布団ごと檻に閉じ込められていた。
檻の幅は大体布団が3つ分といったところだろうか、高さは霊夢が立てるくらいで、材質は鉄のようだ。
なんにせよ、気分がいいものではない。
とりあえず蹴りをいれてみたがしっかりした造りのようでびくともしない。
殴ってみても結果は同じ、頑丈な檻だなと霊夢は思った。
ちなみに、これくらいの物を殴ったくらいじゃ霊夢の手にダメージはない、蹴りをいれた足だってノーダメージである。
博麗の巫女は伊達じゃないのだ!
とりあえず朝食をどうしようかなと考えていると、空間に歪みが出来た。
歪みはどんどん大きくなっていったかと思うとそこに裂け目がはいる。
霊夢は驚いたりしなかった、こんなもの何度も見たことがある紫の能力だし、今のこの状況の犯人も紫だと思っているからだ。
そしてその裂け目、「スキマ」から紫が顔を出して状況を説明するのかと思ったら……。
ドンッ
食事一式が載せられているちゃぶ台が落ちてきた。
てっきり紫が出てくると思っていたため、流石の霊夢もちょっと驚いてしまった。
ちなみにその時霊夢は「きゃっ」という小さな、しかしとても可愛らしい悲鳴をあげた。
しかし霊夢は可愛いだけの女ではない、強く、可愛く、逞しい少女なのだ。
「ちょっと紫!これはどういうことよ!説明なさい!!」
すぐに気を取り直して、力の無い妖怪ならばそれだけで怯えだすであろう程の怒気を込めた口調で怒鳴る。
だが、スキマは霊夢が可愛らしい悲鳴をあげている間に閉じてしまっていた。
相変わらず厄介な相手である。
霊夢はとりあえず朝食をとることにした。
紫が何を企んでいるのかはわからないが、腹が減っては戦は出来ぬというではないか。
例え相手があの大妖怪、八雲紫であっても霊夢は負ける気なんて全くない。
それでも万全の体調で挑んで損はない、だから食べるのだ。
決してお腹が空いたから食べるわけじゃない。博麗の巫女として冷静に状況を判断し、今後を計算した上での行動なのである。
どこかで聞こえた「クー」という腹の虫の鳴き声はきっとどこぞのマントをつけた虫の女王の悪戯に違いない。ああ違いない。
「ごちそうさまでした」
ちゃぶ台にのっていた食事を食べ終えた霊夢は手をあわせる。
それと同時にスキマが開いて、ちゃぶ台を吸い込んでしまった。
ちなみに献立は焼き魚と味噌汁とご飯と鶏肉の炒め物というそこそこ豪華な朝食だった。
恐らく紫が作ったものなのだろう、以前に一度だけ食べたことのある味だと霊夢の舌が感じていた。
食事中もお茶を飲んでいたが、霊夢は食後もお茶を飲む。
しかしちゃぶ台の上に用意されていたお茶はちゃぶ台と共にスキマの中に消えていった。
霊夢はまたスキマがあいてお茶を出してくれないかなぁと思っていたが、一向にその様子はない。
「おーい紫ー、お茶ー。あとお茶菓子もねー」
とりあえず声に出して主張してみた。
しかし、10分経ってもお茶は出てこなかった。
痺れを切らした霊夢はそれなら自分でお茶を用意すればいいんだと思った。
こんな檻がなんだ、私は博麗霊夢、楽園の素敵な巫女。ついでに可愛い。
そう意気込むと能力を発動して空を飛ぶ霊夢。
当然それは檻によって阻まれる、背中に檻のひんやりとした天井部分が触れた。しかしそれでも霊夢は飛ぶことをやめなかった。
すると、檻が浮いた。
霊夢の浮力が檻の重量に勝ったのである。
「なんだ、結構軽いのね」
霊夢は上機嫌だ。
もちろんこの大きさで、しかも鉄で出来ているこの檻は軽くなんて無い、霊夢の強靭な肉体と浮遊力のおかげでなんとかなっているのだ。
そうして浮遊に成功した霊夢は、寝室からの移動を試みた。
しかし檻の大きさが仇となり寝室からお勝手に続く扉を通る事が出来ない。
弾幕で扉を壊し、幅を強制的に広くすれば通れるだろうがそれでは自分が困ってしまう。
どうしたものかと少し考え込む霊夢だったが、それなら外出すればいいのだと結論をだした。
幸い、寝室は神社の居住区の側面の部屋に位置している。
だから障子を開ければ外出は可能なのだ。
結構大きな檻であるため、ちょっとぎりぎりだったが霊夢は外出に成功した。
障子が開いたかと思うとそこから檻が出てきたのである、しかもその中には紅白の巫女。ちょっとシュールな光景だ。
「どうしよう、とりあえず人里にでも行こうかなぁ」
神社からは紅魔館の方が近いが、あそこは基本紅茶だ。
霊夢の言うお茶とは緑茶なのである。
ふよふよと飛んで人里へと向かう霊夢、傍からみるとふよふよと飛んで人里へと向かう檻。
ぬえもびっくりの光景である。
程なくして霊夢は人里の上空に到着した。
まだ午前中である為、通りはあまり活気のない時間帯なのだが、今日は多くの人々が通りに出てきていた。
「おい、なんだあれ!」
「檻よ!妖怪飛行檻よ!!」
「慧音様を、慧音様をお呼びしろ!」
そう、人里は突如飛来してきた空飛ぶ檻に大騒ぎである。
なまじ上空を飛んでいたため地上にいる人々からは檻の底の部分しかみえていないのだ。
妖怪が襲撃に来たと思い込んだ里の人間達はてんやわんやの大騒ぎ、パニック状態である。
「どうした!むむっ!なんだあれは!?」
人々に助けを求められ、人里の守護者兼教師の慧音がやってきた。
しかし流石の慧音も驚きを隠せない、空を飛ぶ檻の妖怪なんてものは慧音の持つ膨大な歴史の知識の中にさえ存在しないからだ。
「おい!そこの檻妖怪!人の里になんのようだ?」
「誰が妖怪よ、失礼ね」
「その声は……。お前、霊夢か!?」
返答の代わりに地上に近づいてくる霊夢。
低空に降りて来たため真下にいなければ檻の間から霊夢が覗けるようになった。
檻を妖怪だと思い大慌てしていた人々は、檻の正体が博麗の巫女だと分かった途端に落ち着きを取り戻した。
妖怪達には恐れられている霊夢も人間達にとっては異変を解決してくれるスーパーヒーローなのだ。正確にはヒロインだが。
巫女様ならば大丈夫、みんなそう思いこんでいるのだ。
例え檻に入って飛んでくるなんて奇行をしたとしても、巫女様なのだから大丈夫。もしかしたら修行の一環なのかも知れない。
人々にそう思わせるのも、長年妖怪退治に従事してきた博麗の巫女という肩書きのなせる業なのである。
だが、そんな霊夢を不信に思う人物が一人、そう慧音だ。
自身も充分に強く、守られるよりも守る立場にあり、霊夢とも知らぬ仲ではない慧音の目には霊夢の奇行はそのまま奇行として映った。
知り合いが檻に入ったままとことこと歩いている様を想像して欲しい、慧音の気持ちもよく分かるはずだ。
とりあえずじっくりと事情を聞くために慧音は霊夢を自分の家に招いた。
お茶を出すならいってもいいわ、という霊夢の条件を飲み込んで。
「あー、おいしい。あんた良いお茶っ葉使ってるわね」
「茶は今はどうでもいい、一体何をやっているんだ」
「何をやっているんだって言われてもねぇ」
霊夢はとりあえず慧音に全部話すことにした。
朝起きたら檻に入っていたこと、スキマからちゃぶ台とご飯が出てきたこと、食後のお茶が飲みたくて人里にやってきたこと。
話せる話は全部話したとしてもたったそれだけで、説明にも何にもなっていないが、霊夢自身にも何が何だかよくわかっていないので仕方が無い。
慧音もスキマの話がでた時点で、つまり紫が関わっていると知った時点で霊夢は本当に何も知らないんだなと思った。
もとより霊夢は嘘をついたりしない性格である事は知っているし、八雲紫がよく分からない事をする性格である事も知っているからだ。
それにしても、この巫女は檻の中にいるのになんという落ち着きだろうか。
この年頃の少女はもちろん、酸いも甘いも噛み分けた老婆でさえここまで動じない事は難しいのではないだろうか。
「それで、お前はこれからどうするつもりなんだ?」
慧音は、これでは逆にこちらが動じてしまうなと心の中で苦笑しつつ霊夢に問う。
「とりあえず神社に帰ってお昼まで待って、お昼ご飯が出てくるかどうか調べてみるわ。出てこなけりゃ紫を退治しに行くし、出てくるならご飯を食べる」
「お前はそれでいいのか?」
「だってさ、紫の作ったご飯って意外と美味しいのよ。あ、ご飯がちゃんと出てきた場合はまた食後のお茶を貰いに来て良い?」
慧音は黙って霊夢にお茶のたっぷりはいった水筒を差し出した。
れいむ は すいとう を てにいれた !
ほくほく顔で神社に帰る霊夢。
慧音からお茶の入った水筒を手に入れた上に、人里を出るときに人々から日頃の異変解決、妖怪退治のお礼と称して色々貰ったのである。
霊夢の好物を知っているのか、はたまた檻の隙間から渡せるものを選んだのか、お礼の品の内容はお茶っ葉やお茶菓子が大半であった。
物品を貰えた事はもちろん嬉しかったが、霊夢が一番嬉しかったのは人々に感謝されたという事だ。
戴いた物には強力な保存用の結界を張って大切に仕舞っておいて、普段は使わずに特別な時に使おうと思った。
もし魔理沙がこれに手をだしたりするならば、問答無用で夢想天生だ。
神社に着いた頃にはもう日も高くなっていた。
とりあえず里の人達に貰った品は檻の中からだし、慧音から貰った水筒だけを持って朝食の時と同じ位置で反応をみてみる。
今回は別にお腹はそこまで空いていない為、2時間くらいなら充分待てる状態であったが、5分だけ待って昼食が出てこなければ即紫を退治しに出かけるつもりであった。
やっぱり檻の中なんて窮屈だし、日向ぼっこも出来ないしお茶も自分では淹れる事が出来ない。
だから霊夢としてはさっさとこの檻から出たいのだ。
しかし、待ち始めてから1分も経たずに、また空間に歪みが出来てきた。
歪みはどんどん大きくなり、裂け目が出来た。
どうせまたちゃぶ台が落ちてくるんだろうな、と霊夢が思っていると……。
ドンッ
やっぱりちゃぶ台が落ちてきた。
今回の料理の品数は朝の時よりも少なかった。ご飯と味噌汁ともう一品だけだ。
だがその一品は、霊夢の目を大きく見開かせるだけの力をもつ一品であった。
霊夢の顔くらいある鉄板、その鉄板の中央にどっしりと乗せられた牛肉の塊である。
牛肉、それは幻想郷において鶏や豚や兎の肉よりもワンランク高い肉なのだ。
鉄板の上でじゅうじゅうと美味しそうな音を立て、ぱちぱちと脂を跳ねている牛肉の塊。
その横にはほくほくした太目のフライドポテトと、にんじんのグラッセが添えられていた。
そう、これはステーキだ。幻想郷では牛肉を食べる文化はあるものの、ステーキは食べられていない。
よって普段牛肉を食べるとすればすき焼きか牛丼レベルである霊夢にとって、初めて見るこの分厚い肉の塊が与える衝撃は大きかった。
「おおっ。紫も奮発したわね。いただきまーす」
箸で器用にステーキを食べる霊夢。
途中、付け合せのにんじんが甘い事に驚いたりする小さなハプニングはあったものの、美味しく楽しく食事を終えた。
もうこれ以上食べられない程に満腹である。
程なくしてまたもちゃぶ台がスキマに吸い込まれ、霊夢が満腹の腹をさすっている時、ふと本来ならば今日食べているであろう朝食、昼食が思い浮かんだ。
ご飯、うめぼし、納豆、たくあん、鶏胸肉、鶏腿肉、山菜、豆腐。
大部分の物はこの檻から脱出出来た後に食べればいいだろうが、ご飯はそうもいかない。
なぜならば霊夢は朝からお米を炊くのが面倒なので、前日の夕飯の時に多めに炊くようにしているのだ。
そしてそれを朝食、昼食で食べきり、また夕飯時に多めに炊いて翌日の朝食、昼食に食べきる。それが霊夢の習慣であった。
つまり今お勝手のお櫃の中にあるご飯は、もう既に炊かれてから一晩過ごしたご飯なのである。
「ご飯、あんまり放っておくとかぴかぴになっちゃうのよね」
まぁ今日の晩御飯までならば放っておいてもなんとかなるかな、と考える霊夢。
多少かぴかぴになったくらいならば、お雑炊にすれば美味しく食べられるのだ。
そうと決まればさっさと紫を退治して檻から脱出しようと意気込む霊夢。
またふよふよと空飛ぶ檻の登場だ。目的地は紫の家である。
本来ならば辿り着こうと思っても辿り着けない紫の家、だが結界に詳しい霊夢ならば多少手間はかかるもののちゃんと辿り着くことが出来る。
幾重にも張られた人避け、妖怪避けの結界をばりばりと破り、邪魔をしてくる防衛用の式を叩きのめす。
そんな事を続け、そろそろ破った結界と倒した式の合計が三桁に達し、日も傾こうかという頃。
「あら霊夢、人様の張った結界を破くなんてマナー違反だわ」
「人様が眠っているうちに檻に閉じ込めることはマナー違反じゃないのかしら?」
八雲紫の登場である。
スキマから上半身を出して霊夢を見据え、胡散臭く微笑む紫。
対する霊夢は檻の中から右手をだして、お払い棒を紫に向かって突きつける。
「さっさとあたしをここから出して退治されるか、退治されてからここから出すか選びなさい!」
「どっちにしろ、退治されるなんて酷いですわ」
「うるさい。まぁ先に出してくれるなら夢想天生に制限時間つけてあげるわよ」
つまり出さなければ制限時間なしの夢想天生を放つという事である。
相手が紫ならばそれでも死にはしないだろうが、怪我が全治するまではさぞ時間がかかる事だろう。
「あら嬉しい、ならすぐに出してあげますわ」
「へ?」
パチンと指を鳴らす紫。
それと同時に檻の天井、つまり霊夢の背中と密着している部分にスキマが出来て檻が落ちていく。
てっきり戦うものだと思っていた霊夢はきょとんとしてしまった。
だがそこは霊夢、すぐに気を取り直して戦闘体勢をとる。
「えらく殊勝な心がけね、制限時間減らしてあげるわよ」
「それはどうも、でもその前にちょっとこっちに来てちょうだいな」
そういうとスキマをあけてその中に入っていく紫、またも肩透かしを食らう霊夢。
どうやら珍しく紫のペースに飲まれてしまっているようだ。
霊夢は一瞬、罠だろうかと疑い、ついて行くことを躊躇ったが、すぐに考えを改めて紫についていくことにした。
もし罠ならば罠だったで、その場で罠ごと破壊すればいいだけの事だ。
そして、スキマの先には恐ろしい光景が広がっていた。
部屋の中に所狭しと詰め込まれた妖怪、妖精の群れだ!
右手でお払い棒を握り締め、左手で札を掴む。
「あっ!霊夢だ!!」
その時、聞き覚えのある声がした。その声の方向を向くと……。
「霊夢も私の開いたパーティーに来てくれたの?ありがとう!!」
嬉しそうに、満面の笑顔を浮かべた橙がいた。
いきなりの感謝と笑顔に状況が飲み込めない霊夢。
しかし先ほど確認した妖怪と妖精の群れも、よくみてみると見知った顔ばかりである。
「れいむもきたの?あたいったらさいきょうね!」
「チルノちゃんは別になにもしてないんじゃ…。あ、こんばんはです霊夢さん」
「巫女~♪みこみこ~♪霊夢は巫女~♪」
「巫女は食べちゃいけない人類なんだよね」
「わー、賑やかになるね」
「お久しぶりです、霊夢さん」
上からチルノ、大妖精、ミスティア、ルーミア、リグル、そして妖夢である。
お子様軍団+αの挨拶にますます混乱する霊夢。
紫の方をキッと睨みつけ説明を強要しようとしたところ……。
「あら霊夢、いらっしゃい」
割烹着を着た九尾の狐、八雲藍が両手に料理の載った大皿を持って現れた。
「うわーおいしそー!」
「パーティってすごい!」
「へへっ、藍さまの料理はほんとうにすっごくおいしいんだよ!」
お子様軍団から歓声があがり、橙が嬉しそうにそれに答える。
凄まじい和やかムードに毒気も怒気も完全に抜かれてしまった霊夢は両の手から力を抜き、藍に尋ねる。
「いらっしゃったけど、これは一体どういうことなの?」
「あら、紫様から聞いてないの?今日は橙主催のパーティを開くのよ」
「パーティ?」
つまり、こういう事であった。
橙がパーティを開きたいと言い出したので藍はそれを叶えてやろうと思った。
だから前もって、普段から橙と仲の良いお子様軍団と、主同士が友人であり交友の深い妖夢を招待していたのだ。
そして当日になり、折角だから橙が懐いている人間の霊夢も呼ぼうと思ったが、藍は料理や部屋の飾り付けなどの支度で朝から忙しく、仕方がなく霊夢の招待を紫に頼んだのだ。
「つまり悪いのは紫、あんたね」
「あら、愛すべき式の式の為に尽力したのに悪者扱いとは心外ですわ」
「うるさい、だったら普通に呼べばいいでしょ!」
「じゃあ聞きますけど、私がちゃんとパーティがあるから来いと言ったら、霊夢はちゃんと来たかしら?」
「ぐっ」
そう、普段から胡散臭い紫の誘いでは、霊夢がここに来る確率はあまり高くない。
別に紫が嫌いなわけではないが、基本出不精な霊夢は他人の家に行く事を面倒臭がるのだ。
しかし、紫が悪戯を仕掛けたとなると霊夢は必ず紫を退治しに来るだろう。
紫は霊夢を確実に呼ぶ為に今回の檻騒動を起こしたのだ。
「霊夢は、私のパーティにくるのいやだった?」
橙がちょっと不安そうな顔をしながら聞いてくる。
お子様軍団も霊夢の方をじっとみている。
「ぐぐっ」
霊夢はこう見えて動物は結構好きなのだ。無邪気な子供だって嫌いじゃない。
だから実年齢はともかく、その二つを兼ね揃えている橙に対しては当然好意的だ。
霊夢は紫の方を一瞥し、ふぅっを息をついてから橙の方をみた。
「全然嫌じゃないわよ。招待してくれてありがとう、橙」
にっこりと笑顔を浮かべて答える霊夢。
その言葉を聞き、顔から不安を吹き飛ばし、代わりに喜びを詰め込んだような顔で橙は笑った。
お子様軍団も嬉しそうだ。
「わーい!じゃあきょうはじゃんじゃんいこー!」
「1番ミスティア、歌います!」
「なんだか楽しいね!」
「さぁ、料理はまだまだあるわよ!」
「この料理美味しい!」
「ジュースもおいしー!」
そしてその夜、霊夢は橙主催のパーティを心の底から楽しんだ。
夜通し騒いで、皆で笑って、お酒はないけどジュースを飲んで、藍の美味しい料理を食べて。
お子様軍団の有り余る元気に、部屋は常に活気付き笑顔が絶えることはなかった。
たまにはこういうのもいいかな、と霊夢は思った。
結局その日はみんな紫の家に泊まる事となった。
翌日、霊夢が帰った頃にはご飯はもはやかぴかぴを通り越してかっぴかぴに乾いていた。
余りにもかっぴかぴなので、霊夢はそのご飯を適当な大きさにちぎって油で揚げておこげにし、塩を振って食べた。
かりかりとして美味しいおこげは、どこか優しい味がした。
めでたしめでたし。
でもほのぼのしたので良いと思う
個人的には65点くらいの作品だと思った
人里で感謝されたことを嬉しく思う霊夢が新鮮でよかったです
話は良かったし発想も面白かったです
ですが、オチらしいオチがなくてすっきりしなかったのでこの点数で