注意…暴力描写あり
「はあああああ!!!」
「ああああああ!!!」
二人の拳が互いの顔と、腹部にめり込むように突き刺さる。
同時に、弾き飛ばされ、1人は竹やぶに、もう1人は岩肌に激突をして、そこに大きく彼女の形をした傷をつける。本来なら致命傷になりかねない、その攻撃を受けながらも、二人は、ゆっくりと身体を起こす。
「フ、フフフフフ……フフフ……」
「あは、アハハハハハ……」
既に血だらけの二人は、笑みを浮かべながらも、その狂気の宴に心酔していた。もう何度も行なわれている血の宴。自分が生きていると感じることができる唯一の瞬間であり、もっとも、死というものに近づける時間でもある。
永遠に訪れない死。
それは牢獄に等しい。
もう愚かな感情、考えは捨てた。
今は…ただ、この宴を楽しむだけだ…。
ふたりのコロシかた
砕け散った竹やぶから身体を起こした長髪の女…蓬莱山輝夜は、頭に流れる自身の血を舌をだして舐めとる。
「頭蓋骨陥没させちゃって……女の子の顔は大事しないといけないって教わらなかった?」
「そんな道徳的なものが、人の内蔵破裂させるような奴にあるとは知らなかったな……」
直線上、岩から身体を起こす、白髪の女…藤原妹紅もまた、そのお腹を血で染めながら口から、血を吐き捨てる。
不老不死である二人にとって殺し合いとはまさにゲーム。弾幕ゲームとかわりはない。だが、弾幕ゲームでは生ぬるすぎる。もっとその腕に、身体に、互いの憎悪と殺気をこめてうちこまなくては、気が済まない。
「またやっているのか……懲りないねぇ」
歩いてきた上白沢慧音は、あちこちで竹やぶが折れる音と炎の舞う音、肉体同士がぶつかり合う音を聞きながら、先に見学をしている八意永琳のもとにと歩いてくる。永琳は慧音のほうを見て軽く挨拶をして再び前を見る。
「……私にはわかりますよ。これが生きているって言う実感を感じ取れることだっていうことに……」
「不老不死、私には残念ながらわかりかねる苦しみね……」
慧音は残念そうに声を落としながら永琳とともに、二人の戦いを見つめる。
永琳は、そんな妹紅を心配する慧音を自分と重ねることがある。供に、不老不死の喧嘩ばかりする存在の相方だから?それは違う。確かにそれもあるが……自分と慧音はお互い、あの戦っている二人にそれなりの感情を抱いている。でなければ、こうしてわざわざ巻き込まれる恐れがあるところに見にきたりなどしない。
今の二人は…自分たちのことなど頭の隅にもないだろう。
「輝夜っ!!」
「妹紅ぉおお!!」
二人の激突が大きな爆発を巻き起こす。様々なものが宙を舞いながらも、二人は戦い続ける。永琳はその様子を見て妹紅に強い嫉妬心を持つ。あんな姿を、あんな顔を、あんな高揚した姫は……あの人間だけにしか見せない。
「蓬莱ニートが!とっととくたばりやがれぇえ!」
「ホームレス妹紅に言われたくないわっ!!」
二人は互いの服の胸倉をつかみ合い、空いた手で、互いを殴り続ける。顔や、腹部、目の前に相手がいるのならば、そこがどこであってもかまわない。二人は自分の拳が砕けることも忘れて、その行為に没頭する。
飛び散る血…
響きわたる骨の折れる音…
互いの交わる声…
「……まったく、見てられないな」
慧音は、その二人の異常なやり取りから視線をそらす。
永琳は、そんな慧音に、人間の心を持っているんだなと感じる。自分は、慧音のような感情は持てない。勿論、物事の善悪は持っているものだし、これが異常だということも認識できる。
なぜだろう。
あんなにも血を流し、あんなにも潰し合っているというに……。
二人がとても楽しそうに見える。
「とっととくたばりやがれ!」
「あんたこそ、さっさと消えちゃいなさいよ」
「お前が死んだら消えてやる」
「フ、フフフ…それじゃー早く、私を消してよ妹紅」
「うるせぇ!!お前のその余裕な声が頭に来るんだ…よ!!」
まるで、恋人同士のダンス
だから、私は……あの人間が嫌い。
姫の顔をあんなにも楽しそうに変えてしまう、あの人間が……。
だけど、あの人間がいなくなってしまったら、きっと姫は壊れてしまうだろう。
不老不死という監獄は、人間の精神を狂わせていく。それは蓬莱人であっても同じだ。生きているという地獄の中で、姫がようやく見つけたものが、あの人間なんだ。私はそれを見守るしかない。この時間だけ、私は姫の頭から消えている。
「お前なんか嫌いだ、大嫌いだ!」
「私も、あなたのことが嫌い…」
「はやく、お前を殺したい…」
「…私もはやく、あなたを殺したい」
血飛沫が飛ぶ中…、二人の激しさは、その夜の静けさを変えていく。
互いの流れ行く血が混じり、その土に染みを作っていく…。二人は、さらなる渇きを覚え、次はどう殺すか考え、その奥には、どう殺されるのかをかんがえている。
刺されるのか
燃やされるのか
粉々になるのか
跡形もなく消されるのか……。
二人は、血だらけになりながらも、その場でふらついた足取りのまま、互いを睨む。その目は、まだまだ死んでおらず、相手だけをしっかりと捕らえている。他の誰も見ることなく、ただ目の前のものだけを……。
「早くこんな時間終わってしまえばいいのに」
「あなたの顔なんか見たくもない」
「噛みたい、噛み千切って食べてやりたい…」
「燃やし尽くして、私の食事にしてやる」
「その髪で結って服にしてあげる」
「身包み剥いで晒してやる」
「黙ってよ…あなたと話すのが面倒なの」
「…お前と話すだけで反吐が出そうだ」
「妹紅を殺したい、何度も何度も」
「お前を……何度も何度も……」
永琳はそこではっきりと垣間見た。
二人の口元が歪み、血に満ちた顔で、身体で笑みを浮かべていることに。誰にも見せた事のない笑みで、二人しか知らない笑みで……。
「フッ……」
「……ハッ」
憎悪は…愛より深い。
二人の間には…誰も入れない。
幾ら私が優れたクスリをつくったところで、これより深い関係を作ることはできないだろう。
私はただ眺めながら、それが終わる瞬間を早くと待ち望む。
この無益で、無意味で、深く、憎しみと悦楽、酔狂に満ちた恋愛ゲームを……。
「フフフフフ……フフフ、フハハハハハ………」
「…ハハ、アハハハハハハハハ……ハハハ…」
高らかな笑い声が幻想郷の夜の空高く、月に届くかごとく響き渡る。
「はあああああ!!!」
「ああああああ!!!」
二人の拳が互いの顔と、腹部にめり込むように突き刺さる。
同時に、弾き飛ばされ、1人は竹やぶに、もう1人は岩肌に激突をして、そこに大きく彼女の形をした傷をつける。本来なら致命傷になりかねない、その攻撃を受けながらも、二人は、ゆっくりと身体を起こす。
「フ、フフフフフ……フフフ……」
「あは、アハハハハハ……」
既に血だらけの二人は、笑みを浮かべながらも、その狂気の宴に心酔していた。もう何度も行なわれている血の宴。自分が生きていると感じることができる唯一の瞬間であり、もっとも、死というものに近づける時間でもある。
永遠に訪れない死。
それは牢獄に等しい。
もう愚かな感情、考えは捨てた。
今は…ただ、この宴を楽しむだけだ…。
ふたりのコロシかた
砕け散った竹やぶから身体を起こした長髪の女…蓬莱山輝夜は、頭に流れる自身の血を舌をだして舐めとる。
「頭蓋骨陥没させちゃって……女の子の顔は大事しないといけないって教わらなかった?」
「そんな道徳的なものが、人の内蔵破裂させるような奴にあるとは知らなかったな……」
直線上、岩から身体を起こす、白髪の女…藤原妹紅もまた、そのお腹を血で染めながら口から、血を吐き捨てる。
不老不死である二人にとって殺し合いとはまさにゲーム。弾幕ゲームとかわりはない。だが、弾幕ゲームでは生ぬるすぎる。もっとその腕に、身体に、互いの憎悪と殺気をこめてうちこまなくては、気が済まない。
「またやっているのか……懲りないねぇ」
歩いてきた上白沢慧音は、あちこちで竹やぶが折れる音と炎の舞う音、肉体同士がぶつかり合う音を聞きながら、先に見学をしている八意永琳のもとにと歩いてくる。永琳は慧音のほうを見て軽く挨拶をして再び前を見る。
「……私にはわかりますよ。これが生きているって言う実感を感じ取れることだっていうことに……」
「不老不死、私には残念ながらわかりかねる苦しみね……」
慧音は残念そうに声を落としながら永琳とともに、二人の戦いを見つめる。
永琳は、そんな妹紅を心配する慧音を自分と重ねることがある。供に、不老不死の喧嘩ばかりする存在の相方だから?それは違う。確かにそれもあるが……自分と慧音はお互い、あの戦っている二人にそれなりの感情を抱いている。でなければ、こうしてわざわざ巻き込まれる恐れがあるところに見にきたりなどしない。
今の二人は…自分たちのことなど頭の隅にもないだろう。
「輝夜っ!!」
「妹紅ぉおお!!」
二人の激突が大きな爆発を巻き起こす。様々なものが宙を舞いながらも、二人は戦い続ける。永琳はその様子を見て妹紅に強い嫉妬心を持つ。あんな姿を、あんな顔を、あんな高揚した姫は……あの人間だけにしか見せない。
「蓬莱ニートが!とっととくたばりやがれぇえ!」
「ホームレス妹紅に言われたくないわっ!!」
二人は互いの服の胸倉をつかみ合い、空いた手で、互いを殴り続ける。顔や、腹部、目の前に相手がいるのならば、そこがどこであってもかまわない。二人は自分の拳が砕けることも忘れて、その行為に没頭する。
飛び散る血…
響きわたる骨の折れる音…
互いの交わる声…
「……まったく、見てられないな」
慧音は、その二人の異常なやり取りから視線をそらす。
永琳は、そんな慧音に、人間の心を持っているんだなと感じる。自分は、慧音のような感情は持てない。勿論、物事の善悪は持っているものだし、これが異常だということも認識できる。
なぜだろう。
あんなにも血を流し、あんなにも潰し合っているというに……。
二人がとても楽しそうに見える。
「とっととくたばりやがれ!」
「あんたこそ、さっさと消えちゃいなさいよ」
「お前が死んだら消えてやる」
「フ、フフフ…それじゃー早く、私を消してよ妹紅」
「うるせぇ!!お前のその余裕な声が頭に来るんだ…よ!!」
まるで、恋人同士のダンス
だから、私は……あの人間が嫌い。
姫の顔をあんなにも楽しそうに変えてしまう、あの人間が……。
だけど、あの人間がいなくなってしまったら、きっと姫は壊れてしまうだろう。
不老不死という監獄は、人間の精神を狂わせていく。それは蓬莱人であっても同じだ。生きているという地獄の中で、姫がようやく見つけたものが、あの人間なんだ。私はそれを見守るしかない。この時間だけ、私は姫の頭から消えている。
「お前なんか嫌いだ、大嫌いだ!」
「私も、あなたのことが嫌い…」
「はやく、お前を殺したい…」
「…私もはやく、あなたを殺したい」
血飛沫が飛ぶ中…、二人の激しさは、その夜の静けさを変えていく。
互いの流れ行く血が混じり、その土に染みを作っていく…。二人は、さらなる渇きを覚え、次はどう殺すか考え、その奥には、どう殺されるのかをかんがえている。
刺されるのか
燃やされるのか
粉々になるのか
跡形もなく消されるのか……。
二人は、血だらけになりながらも、その場でふらついた足取りのまま、互いを睨む。その目は、まだまだ死んでおらず、相手だけをしっかりと捕らえている。他の誰も見ることなく、ただ目の前のものだけを……。
「早くこんな時間終わってしまえばいいのに」
「あなたの顔なんか見たくもない」
「噛みたい、噛み千切って食べてやりたい…」
「燃やし尽くして、私の食事にしてやる」
「その髪で結って服にしてあげる」
「身包み剥いで晒してやる」
「黙ってよ…あなたと話すのが面倒なの」
「…お前と話すだけで反吐が出そうだ」
「妹紅を殺したい、何度も何度も」
「お前を……何度も何度も……」
永琳はそこではっきりと垣間見た。
二人の口元が歪み、血に満ちた顔で、身体で笑みを浮かべていることに。誰にも見せた事のない笑みで、二人しか知らない笑みで……。
「フッ……」
「……ハッ」
憎悪は…愛より深い。
二人の間には…誰も入れない。
幾ら私が優れたクスリをつくったところで、これより深い関係を作ることはできないだろう。
私はただ眺めながら、それが終わる瞬間を早くと待ち望む。
この無益で、無意味で、深く、憎しみと悦楽、酔狂に満ちた恋愛ゲームを……。
「フフフフフ……フフフ、フハハハハハ………」
「…ハハ、アハハハハハハハハ……ハハハ…」
高らかな笑い声が幻想郷の夜の空高く、月に届くかごとく響き渡る。
それが一番しっくり来る表現だと思いますよ。
だれにもマネできない愛ということでしょうねぇ。
誤字・脱字の報告
>頭に流れる自身の血を舌をだして舐めとる。
『頭から』ではないでしょうか。
>女の子の顔は大事しないといけないって
『大事に』ですよね。
こういうのも彼女達らしいですねぇ
この場合「言う」は平仮名表記ではないでしょうか?「生きていると言っていることの実感」を感じているなら別ですが。
この台詞の終わり方も「に」ではなく「が」ではないでしょうか。倒置されている前の文に繋げる文にするべきですから。
慧音の最初の台詞は、誰かわかりませんでしたよ。「懲りないねぇ」って言ってる慧音が想像できない。台詞の内容ではなく、喋り方が。
これは殺し愛である。異論は認める。
カグヤとモコウの関係も今更というか、作者さん独自の訴えるものもないようで、
ハッキリ言うとつまらなかったです。
シリアス路線ならニートやらホームレスやら言わせない方が良いのでは?