冬に空を見上げると、しんしんと降る雪のなか、箒星が見える事がある。
他の星はみんな命じられたかのように定位置に居るのに、彼ら─または彼女ら─は自らの命を輝かせ、天に白線を描く。それは儚く映るけど、地上の者達からは想像も出来ないスケールの話なのだ。
澄んだ冬の空には、かつての神話が踊っている。
私は、空を見上げるのが好きだ。明るい太陽が好きだし、物静かな月が好きだ。
星は特に好きだ。一つ一つに命があり、それが天に散りばめられている。指を走らせて新しい星座を宙に創って、楽しんだ。今だけ、私は星模様を操っている。
その内に、星が墜ちはじめる。それらは夜には明るすぎる程の光を放って、私の命はここに、と報せている。あれほど綺麗な命の失い様を、私は他には知らない。また一つ、星が墜ちた。だけどそれは、私が知る少し前に死んでいる。光が真空を越えて降ってくるのに、何百年もの時がかかるのだから。
流星群が、頭上遥かにある。私は真上を見上げる形になって、木の枝から落ちそうになった。
何とか体勢を整え、座りなおす。すると、雷のような轟音が辺りに響いた。
──何かしら。
空は星空一色で、どこにも雷雲など見つけられない。それに、私はずっと空を見ていたのだから、雷の光に気づかない訳がないのだ。
もしや、攻撃か。だが、もしそうだとしたらお粗末としか言い様がない。なにしろ、私は一切のダメージを負っていないのだから。だから恐らく、攻撃ではない。
だとすると、あれは聞き間違いという事になるのだろうか。だが、いくら何でも雷を疑うほどの轟音を聞き間違えはしないだろう。
私は目を凝らして空を見てみた。すると、星空を飛ぶ青龍の姿が見えた。
──ああ、青龍がはしゃいでいたのね。
多分、墜ちてきた星の子を食べようとしているのだろう。流星群が見えるから、さぞ入れ食いの様相なのかもしれない。
天には龍がいる。そして、それは天を統べている。
──星が綺麗ね。
星は、自分達の輝きを見てみたいのかもしれない。人のように儚く、剰りに大きい自分の命を。
他の星はみんな命じられたかのように定位置に居るのに、彼ら─または彼女ら─は自らの命を輝かせ、天に白線を描く。それは儚く映るけど、地上の者達からは想像も出来ないスケールの話なのだ。
澄んだ冬の空には、かつての神話が踊っている。
私は、空を見上げるのが好きだ。明るい太陽が好きだし、物静かな月が好きだ。
星は特に好きだ。一つ一つに命があり、それが天に散りばめられている。指を走らせて新しい星座を宙に創って、楽しんだ。今だけ、私は星模様を操っている。
その内に、星が墜ちはじめる。それらは夜には明るすぎる程の光を放って、私の命はここに、と報せている。あれほど綺麗な命の失い様を、私は他には知らない。また一つ、星が墜ちた。だけどそれは、私が知る少し前に死んでいる。光が真空を越えて降ってくるのに、何百年もの時がかかるのだから。
流星群が、頭上遥かにある。私は真上を見上げる形になって、木の枝から落ちそうになった。
何とか体勢を整え、座りなおす。すると、雷のような轟音が辺りに響いた。
──何かしら。
空は星空一色で、どこにも雷雲など見つけられない。それに、私はずっと空を見ていたのだから、雷の光に気づかない訳がないのだ。
もしや、攻撃か。だが、もしそうだとしたらお粗末としか言い様がない。なにしろ、私は一切のダメージを負っていないのだから。だから恐らく、攻撃ではない。
だとすると、あれは聞き間違いという事になるのだろうか。だが、いくら何でも雷を疑うほどの轟音を聞き間違えはしないだろう。
私は目を凝らして空を見てみた。すると、星空を飛ぶ青龍の姿が見えた。
──ああ、青龍がはしゃいでいたのね。
多分、墜ちてきた星の子を食べようとしているのだろう。流星群が見えるから、さぞ入れ食いの様相なのかもしれない。
天には龍がいる。そして、それは天を統べている。
──星が綺麗ね。
星は、自分達の輝きを見てみたいのかもしれない。人のように儚く、剰りに大きい自分の命を。