Coolier - 新生・東方創想話

REVERIE

2009/09/23 21:21:05
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~第百二十四季、幻想郷のどこか~



東風谷早苗は風祝としての責の合間に、里の外れの川原の辺で一人佇んでいた。

川のせせらぎが早苗を包む。

既に川辺には彼岸花。

美しいのに何処か不吉な紅。

今は、ただ夕暮れにそまる川原に夏の暑さは無く、ただ秋の寂しさを湛えている。



「ふう……」

紅く染まる川を眺めてた早苗の口からため息が出た。

勿論、悲しいからでも疲れているからでもない。

心安らいで、自然と口から出たものである。



春にはUFOを追いかけ、夏は大祭。

あっという間に通り過ぎていった今年を回想した早苗は再度ため息をついた。

そろそろ秋支度を出さなきゃいけない。

今のうちに食料も買いだめしておかねば冬に食べるものも無くなる。

一年中あらゆる食物が手に入った外界に比べてやはり幻想郷は不便だ、と早苗は思う。

だが早苗も既にそれを受け入れている。

それが自然なのだと彼女自身納得していた。



「んーーーー。」

早苗は腕を上に伸ばし体をほぐす。

こちらに来てから自然と運動能力も上がった。

これもきっと人間として自然な姿なのだろう。

最近は妖怪退治も積極的に行うようになったのでそのせいもあるかもしれない。



「そろそろ、神社に帰って夕飯の支度でも……」

そう呟いてノビをした早苗の眼に川辺に座る人影が映った。

夕闇を背景にポツリと座る人はここからでは何者とも判断がつかない。



「ん? なんだろ」

すでに夕闇が支配しつつある。

妖怪も活発に活動を始める時間である。

人間ならば、危険なことである。



もし、妖怪ならば……。

この川辺は人里も近い。

人間を待ち伏せしてるのかもしれない。

「さて、妖怪退治の時間ですかねえ」

首を鳴らすと、玉串を持ち直しゆっくりと立ち上がる。

先ほど迄のゆったりとした顔は何処へやら、唇は好戦的に緩い三日月を作っていた。



まだ相手はこちらに気づいてはいないらしい。

ゆっくりと、一歩ずつ、歩み始める。

まるでTVで見た肉食獣の狩りだ、ライオンがシマウマに近づく姿を想像して頬を持ち上げる。



一歩、また一歩。

確実に相手へと近寄っていく。



そして相手との距離が十メートル程になったとき、

「人食い妖怪め、覚悟!!」

右手には玉串を構え、左手にはスペルカード『九字刺し』を携え一気に相手へと詰め寄る。

さすがに相手も気づきバネのように立ち上がる。

だが、遅い。

立ち上がる間に早苗の玉串は相手の喉笛を捕らえ、今まさに必殺のスペルカードを発動せんと空へとかがげられている。

妖怪には先手必勝、見的必殺。

妖怪を殺して平気なの?

知らないわ、神奈子様がそれで良いっていってたもん。



「ぐう」

呻き声を上げる相手。

と、そのときになって早苗に、その何者かの全体像が見えた。

小柄な体に藍色の着物。彫りは深く、東洋人の顔つきではなかった。

「こらあ、天狗め。アイアムドントスピークイングリッシュ!! ビコーズ キルユー!!」

自慢ではないが早苗は標準的な日本人であった。

それ故、日本語しかしゃべれなかった。

もし加減を違え、この妖怪を殺してしまっても、何か止むに止まれぬ事情があろうと誰が早苗を責められるのか?



早苗が頭の中で自己弁護に勤しんでいる数瞬の合間、

「だ、いじょうぶ。私人間、日本語しゃべれる」

少し、おかしなイントネーションで彼がしゃべりだした。

ひどく驚いた形相のまま早苗と眼を逸らさずに首を横に振る。

早苗は怯まずさらに相手を睨み付ける。

「退治される前の妖怪は皆そういうんです。さあ、何が目的ですか!? 寺子屋を襲って子供達を襲おうとしたのですか? それとも誰かを待ち伏せしてるのですか?」

そこは正義に燃える早苗ちゃん。 

決して怯まずに相手を責め立てていく。

「い、い、違います。私人間、私人間」

必死に自分が人間であろうと『私人間、私人間』と繰り返す。



「……本当に人間ですか?」

流石に早苗も自身の誤解を理解し始めたのか声のトーンを落としつつ斜め四十五度で相手に尋ねる。

「だから、そうだと言ってるじゃないですか」

もはや彼は涙声だ。



二人の間に重い沈黙が流れる。

かたや気まずそうに無表情で玉串を突きつける。

かたやまるで、閻魔に弁解をするように首を振る。



「本当ですか?」

「本当です」



カラスが鳴いた。

どこか寂しげな鳴き声は二人の間を通り過ぎていくだけで決してその沈黙を軽くはしてくれない。



「す、すいませんでした!!」

素早く玉串とスペルカードを納め、三歩ほどバックステップで離れ、大きく頭を下げる早苗。

自分が命の危険から脱したことを察し、固まってしまった体を何とか動かし彼は息を整えた。



「まさか、こんな時間に人間が歩いているとは思わなくて。ごめんなさい」

早苗は体を直角にして頭を下げる。

その様子をみて、彼は一度大きく深呼吸をした。

「い、いや構わない。最近は町外れも物騒だから、しょうがない」

まだ荒い息で早苗を宥める。



「それでも、本当にすいませんでした」

「いや、構いません」



早苗が頭を下げては、男が宥めという押し問答をしばらくした後、ようやく二人は落ち着いて川辺へと腰掛けた。

未だ落ち込んだ顔をした早苗に、男は勤めて笑顔を作る。

「ま、まあ良くあることですよ」

川辺の平らな石を掴み川面へと投げ込む。

投げ込まれた石は何度か水面を跳ねた後、沈んでいった。

何時の間にやら川のせせらぎだけではなく、虫も鳴き声にも川辺は満たされていた。



「がんばっているつもりなんですけどねえ、なんでか何時も空回りしちゃうんですよ」

早苗は俯きながら小石で地面を掘る。

いじけた早苗の戯れのせいで彼女の手が届く範囲の地面はクレーターの群れを成していた。

「がんばるのは良い事です。例え結果が空回りでもね」

再び川面へと石を投げ込む。

「私、先生やってます。頑張ってましたが空回りばかりです」

そう言って、やや自嘲するように微笑む。

夕焼けに映えるその堀の深い顔つきがとても優しく見えて早苗もようやく微笑んだ。

「まだ、あなたはお若いでしょう。若い内はやってやりすぎることは決してありません」

投げる石も無くなったようで照れ隠しのように髭を弄り始めた。

「ふふふふ、本当に先生みたいですね」



と、そこで早苗の脳裏に疑問が浮かぶ。

はてさて人里の寺子屋は英語でも教え始めたのか?

落ち込んでいて気に止まらなかったものの、彼の言動には気がかりな部分が何箇所かあった。



「先生ってことは慧音さんとお知り合いですか」

男の顔を覗き込み早苗が尋ねる。

早苗を見返したその顔は考え事をしているようである。

「けいね……さんですか」

響きを確認するように呟き紅い空を仰ぐ。

「知りませんねえ。私が失念しているのかもしれませんが」

申し訳ない、といった様子で少し頭を下げる。

「い、いえいえ。大したことではないんです」



質問の結果として早苗の心の中に浮かんだ疑問の氷が解けることなく、その大きさを増す。

人里で教壇についていて、慧音をしらない?

そんなわけは無い。



気づかれぬように横目で髭を弄る男を見た。

やはり西洋人の初老の顔つきである。

このような顔つきなら人里でももっと目立っていて良いはずである。

が、早苗の人里での記憶にはこの男を写したフィルムはない。

そういえば、一人で川辺に座って男は何をしていたのだろう。

人里の人間ならこの時間に里をでることの危険さを理解しているはずである。



今日、何度目か分からない沈黙が二人を包んだ。

川辺には彼岸花。

耳に届くは虫の声。



「「あの」」

二人同時に声を上げた。

両人とも驚きお互いの顔を見合わせ、照れくさそうに微笑んだ。

「そちらから……どうぞ」

早苗がしゃべる順番を譲った。

「いえいえ、そちらから」

オーバーリアクション気味に手を早苗へとむけたので、やや気まずそうな顔をして、一度咳払いをした。

「あなたは何をしてらしたのですか?」

そう、それが早苗の疑問であった。

何せ状況が奇妙すぎる。

早苗が問いを差し向けるのも当然のことであろう。



「迷ってたんです」

困ったような笑みで朗々としゃべり出す。

「夕飯を食べた後に散歩をしていたらいつの間にか、川の近くに居ました」

その言葉に早苗は一つの推測をつける。

「三途の川かと思ったら、どうも違うようでして。どうしていいか分からずに座り込んでしまっていたのです」

そこに早苗が現れて玉串を首に突き当てたのである。

「東京へはどう帰ればいいのでしょう?」

早苗の中にあった推測は、確信へと変わる。



(この人は外の人だ)

西洋人の顔にやや、不釣合いにも見える藍染の着物を着た初老の男はそとから迷い込んできた人間である。

そう考えると今までのちぐはぐだったものにも説明がつく。



早苗は眉間に皺を寄せて考える。

彼女にとっては悔しいが、迷い人を送り返すのは博麗の巫女の仕事である。

博麗神社に行って貰って返してもらおう、そう早苗が判断し

「えっと、ここはですね」

と口を開いたとき。



「あれは! あれはなんですか!?」

男がいきなり大きな声をあげ、空を指差す。

「今、大きな黒い物が空を駆けていきました!!」

そう興奮した様子で早苗に尋ねてくる。



早苗もその様子に気押しされて言葉を失う。

そんな早苗を余所に、男はまくし立てる。

「カラスのようで、カラスじゃありません。大きな翼をもった人です」

きっと、彼は鴉天狗のことを言っているのだろう。

何も知らない外界の人が急に鴉天狗の滑空を見たら驚くに違いない。

「あ、ああ。あれは天狗です」

なんとか早苗が答えると、男は居ても立っても居られない様子でさらに早口になる。

「なんですって、天狗ですか!! 天狗が居るのですね」

男の表情が感激した様子へと変わっていく。

「私、嬉しい。天狗を見れて嬉しい」

いつの間にか早苗の両手を掴み、ぶんぶんと上下に振る。

その様子にあっけにとられてしまう早苗。

妖怪を見て怖がる人は居てもこんなに感激するなんて、聞いたことが無い。



今にも踊りだしそうな様子で笑っている西洋人と、あっけに取られている風祝を川面から見つめる一対の目。

「ありゃー、なにやってんだ」

河城にとりは川岸の二人を珍しいような物を見る目で、川面から頭一つ出し眺める。

にとりはあまりに観察に夢中になり、身を隠すことを忘れていた。

しばらく、じっと眺めていた河童に、男が気づく。



「今度のあれは、あれは何です!?」

男はにとりを指差し大声を上げる。

元々人見知りをする河童のこと、男の只ならぬ様子を恐れてすぐに身を隠してしまう。



「あれは河童です」

一言だけ早苗が言うと、男は早苗の手を離し、川面へと近づいていく。

「おーい、河童さん。聞こえますかーー!!」

そういって川面に手を振り続ける。

子供じみたその様子をみてため息をつく早苗。

この人は何者なんだろう。

まるっきり常識にとらわれないというか、今まで見てきたどの人間とも違う。



だが、何故か自分もその様子を見ているとあの幻想郷に来たときの不安と初めて見るものへの好奇心を思い出す。

だから男に親近感を感じた。

だから、早苗も川面へと走る。

「にとりさーん、返事してくださーい!!」

そういって男と同じように川面へと大きく手を振る。



さすがにこれにはにとりも答えなくては悪い気がしたのか、水面から手だけ出して二人へ手を振った。

すぐに手は見えなくなったが、

「河童が返事してくれました。これは嬉しいです」

男は満面の笑みで、早苗の顔を見る。

早苗もその顔を見返し

「ですねえ。よかったですねえ」

彼女も満面の笑みとなった。



「驚いた、ここには妖怪が居るのですねえ。ろくろっ首とかも居るのですか?」

興奮冷めやらぬ男は早口で問いかける。

「ええ、ろくろっ首は見たことないですが、傘お化けとか鵺とかなら」

「おー!!」

男は雄たけびのような声でその興奮を体現する。

「ここには妖怪がいる。失われてしまった者達が居る!!」

長年追い求めた物を手に入れたといった様子で感激し続ける男。

その姿にやはり、幻想郷に来たばかりの自分を重ねてしまう。

「そういえば、人々は、人々はどのように暮らしているのですか!?」

川面の静けさとは裏腹に男の様子は騒がしい。

「ここらから少し歩いた所にある里で……」



早苗は幻想郷の人々がどのように生きているのか男に説明した。

ことあるごとに男は歓喜の声を上げる。

不思議そうな顔、嬉しそうな顔、男の表情は目まぐるしく変わった。



そして大体を話終えたとき、男がポツリと漏らす。

「ここは良い。私が好きだった日本がここにはある」

男はそれを言ったきり俯いて押し黙ってしまった。

しばらくして不思議に思った早苗が男の顔を覗く。

夕闇の中で男は泣いていた。

歯を食いしばり、顔を大きく歪め大粒の涙を流している。

「今の日本は駄目です。西洋の猿真似です。微笑を、愛情を、みな失ってしまった」

そのまま蹲る男。

その背中をそっと撫でる早苗。

「幻想、そう幻想です。ここにはその幻想が有る。だから私は泣くのです」

人目を憚らず声を上げる男に寄り添うように早苗はただ黙ってその声を聞いていた。







いつしか星達がそらに輝き始めた頃。

泣き果て、落ち着いた男が立ち上がる。

「恥ずかしいところをお見せしました」

涙を拭うがその目は赤く充血している。

「いえ、お気遣いなく」

それは社交辞令でも男を気遣ったわけでもなかった。

早苗も男の言葉より気づかされることがあったからだ。



「ここからまっすぐ歩いていけば里に行き着きます。そのあとはまっすぐ抜ければ博麗神社があります。そこで外界へと帰ることが出来るはずです」

男は着物を手で払うと早苗に一礼する。

「ありがとう、色々と申し訳ないでした」

心底、申し訳なさそうな表情を浮かべる男に早苗も礼を返す。

「いえいえ、こちらこそ。ですがこれだけは言わせてください」

そこで早苗は一息つき、男をの眼を見据える。

「決して外界から、大切な物が失われているとは私は思いません。きっと人々の心の奥底にそれらは息づいているはずです」

その言葉に男は微笑んだ。

「そうかもしれません。そうですね……ようやくここがどういう場所がわかりました」

また楽しそうに男は笑うと、一礼をする。

「それでは」

男は踵を返し、里への一本道を歩いていく。

秋風に着物の袖を揺らされる後姿はどこか寂しげで、消え入りそうに見えた。

その後姿が宵闇に紛れ見えなくなるまで、早苗は見送った。







しばらくして、早苗はため息をついた。

「お疲れ様です」

「いえいえ、って!?」

突然上から聞こえた声に早苗は驚いて飛びのく。

頭上を見上げると、朧月夜を背景に笑みを浮かべる射命丸文がいた。

闇夜に紛れるような漆黒の羽を羽ばたかせていた。

その少し人を小ばかにしたような笑みに早苗の青筋が刺激される。

「こんなところでなにやってるんですか!?」

文はそれに答えることなく、地上にと降り立つ。

「いえいえ、貴女に二つほどお伝えしたいことがありましてねえ」

早苗は眉間に力を込めて、威嚇するが全然動じない。

「まず一つは、貴女が収穫祭の準備のあと行方不明になって二柱が大騒ぎしていることです」

「あっ」

そういえば、秋の収穫祭の準備を終えて休んでいたんだ、とを早苗は思い出す。

右往左往する二柱を脳裏に浮かべため息をつきながら肩を落とした。

そんな早苗を面白そうに見ながら、文は言葉を続ける。

「どうやら、外界の人間が迷い込んだようなんです。ここに来る前に里に行ったのですが、各所が大騒ぎになってるんです」

それを聞いた早苗が無言で、文を見返した。

急に真顔になった早苗に、文は心の中で動じながらも表面上は平常を装う。

「ここに来るまでの道には居ませんでした。小柄な天狗のような男、と聞いていますが、見ませんでしたか?」

早苗は無言で空を仰いだ。

ここから里は一本道である。

男は里へと向かった。

だから文が見てないはずは無い。

「そうなると、山の中ですか。こまったことになりま……」

構わず捲し立てる文の言葉は早苗の耳へと入っていかなくなっていく。





あの人は何処に行ったのだろう?

男はまるで夢幻のように消えてしまった。

黄昏の中で跡形も無く……





~以下は有る女性の手記より抜粋したものである。



明治三十七年九月二十六日



その日の朝六時半頃、書斎に参りますと夫は既に目を覚まし、楽しそうに座布団の上で煙管をふかしていました。

「おはようございます」

私は夫の前に正座して夫の顔を覗き込みました。

そのお顔は何か考えておられるように見えます。



「昨夜とても珍しい夢をみました」

と不意に口にするのです。

私共は良く、このように夢の話をするのですが、今朝の夫は格別に上機嫌に見えます。

「どんな夢でしたか?」

私は夫の機嫌に釣られて笑顔になってしまいます。

「大層遠い、遠いたびをしました。今こうして煙草を吹かしていますが、本当に旅をしたのです」

そこで、雁首を揺らし灰を転がします。

「西洋でも東洋でもない、そして日本でもない。とても珍しい所でした」

そういってことさら笑みを作って見せてくれました。





夫が亡くなったのはその日の午後のことでした。
さて、まずは最初に説明をさせてください。

この話で出てきた『男』はラフカディオ・ハーンこと小泉八雲をモデルにしています。

マエリベリー・ハーンと関係があるのでは? と度々、東方考察の場で話題に挙がる人物です。

彼の詳しい話はグーグル先生にお任せするとして、八雲は日本に幻想を抱き、そして幻滅しこの世を去ったということになっています。

しかし、その妻、小泉節子の手記を見て欲しいのです。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000224/card1119.html



以下引用

亡くなった二十六日の朝、六時半頃に書斎に参りますと、もうさめていまして、煙草をふかしています。『お早うございます』と挨拶を致しましたが[#「致しましたが」は底本では「致したが」]、何か考えて居るようです。それから『昨夜大層珍らしい夢を見ました』と話しました。私共は、いつも御互に夢話を致しました。『どんな夢でしたか』と尋ねますと『大層遠い、遠い旅をしました。今ここにこうして煙草をふかしています。旅をしたのが本当ですか、夢の世の中』などと申して居るのです。『西洋でもない、日本でもない、珍らしいところでした』と云って、独りで面白がっていました。



引用以上。



彼は最後の日に何処を旅したのでしょう?

「西洋でも東洋でも日本でもない不思議なところ」とは何処のことなのでしょう?

案外、幻想郷は実在するのかも……と思ってしまいます。

出来れば彼がその旅路で救われたと私は思いたいのです。





さて、九月二十六日はハーンの命日です。

是非とも怪談など、未読の作品があれば皆様もいかがでしょうか?
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コメント



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7.100名前が無い程度の能力削除
好泣
15.100名前が無い程度の能力削除
良かった
16.90名前が無い程度の能力削除
おお!面白い!
あとがきの小泉氏の夢の話も気になりますね。彼がどの様な「幻想」を観たのか興味深いです。
17.100名前が無い程度の能力削除
素晴らしい……。
現代人が「かつての日本」を想うとき、そのイメージは小泉八雲が見聞きし体験して書き残した作品に拠るところ大です。
そんな八雲の事だから、もし幻想郷があるならば彼は間違いなくそこへ行けたと思いますね。
20.100名前が無い程度の能力削除
読んでいて少し泣きました、いい話だなぁ。
21.90名前が無い程度の能力削除
良い話でした。八雲氏が幻想に着たらこうなるのか
23.100名前が無い程度の能力削除
途中でラフカディオ・ハーンかな? と読めました。
案外本当に幻想郷に行ったのかもしれませんねえ……
24.100名前が無い程度の能力削除
良い話だな
26.100名前が無い程度の能力削除
こりゃいいや!
29.100名前が無い程度の能力削除
最後の方まで読み切ったとき全身鳥肌立った。
とても良かったぜ!
32.100名前が無い程度の能力削除
そうか、今日はあの幻想人の命日か。
いい機会だしちょっと雑司ヶ谷まで墓参り行ってこよう。
34.100名前が無い程度の能力削除
墓に参ることができないので、ここで言います。

八雲さん、日本を好きになってくれてありがとう。
35.100名前が無い程度の能力削除
この作品を26日に読むことができて良かったです。
39.100名前が無い程度の能力削除
小泉八雲の日本の紀行文を読むと、申し訳ない気持ちで一杯になる。
彼の目に映った日本が、あまりにも眩しすぎて。
幻想郷がこんなに人をひきつける理由は、きっと彼が抱いた感動と近代化で失われていったその豊かさへの憧憬があるんだろう。
幻想郷の本質に迫った小説を読めてよかった。
40.100名前が無い程度の能力削除
なぜか田舎にある実家に住んでいたときのことを思い出しました。
河童がいると噂の沼なんかがあったなぁ。
42.100名前が無い程度の能力削除
途中までは幻想入りの話にありがちな寂しい結末だと思った
だけど最後に希望を持たてくれてありがとう
46.100名前が無い程度の能力削除
変わった人だよねえ、八雲さん。
死してホントに幻想郷に行けてたらいいんだが……
47.100名前が無い程度の能力削除
いいなあ、この話。
私も途中から彼と一緒になって騒いでました。
50.100名前が無い程度の能力削除
素晴らしい。
51.100名前が無い程度の能力削除
星蓮船の頃の異人感とお馴染み感を併せ持った時期の早苗が八雲を迎えるホスト役としてぴたりと嵌っており、「外の世界は大切なものを失ってはいない」という言葉にきっと彼を安らげただろうと思わせる力強さと優しさがしっかりと宿っていたように思います。
この作品が書かれた後に伊弉諾物質で幻想が一見死んでしまったように見えるけれどもよく目を向ければ未だ日本中に不思議が眠っているという世界観が描かれましたが、その答えを言い当てていた所に作者様の先見と、神主と同じこの世界への信頼・願いが感じられました。
八雲が最期の日に夢を旅したと嬉しそうに語ったという話が史実であるのもぐっと来る所です。実在した八雲が旅したのはもちろん我々の知る幻想郷ではないでしょうが、その旅で彼の心に救いがあった事を作者様と共に願わずにはいられません。
52.100名前が無い程度の能力削除
外の世界から幻想郷に移り住んだ早苗さんが男に伝えた「心の奥底にそれらは息づいているはずです」という言葉がとても印象的でした。
早苗さんと男、どちらにとっても外の世界は故郷、住み続けるはずだった場所なのかなと思います。もう戻れない早苗さんがまだ戻ることのできる男に対して外の世界の望みを伝える様は、男にとってある種の希望になったのではないのかなと想像しました。
男が長い人生の中、異郷の地に幻想を求め続け、幻滅し続けていたのではないかということを思うと、最期に視た幻想で得たものは、彼なりの人生への答えなのかもしれませんね。
タイトルが『REVERIE』なのも、男の現と夢の不思議な重なりを表しているようで素敵でした。