Coolier - 新生・東方創想話

とある少女の幻想と現実のお話

2010/02/19 19:13:33
最終更新
サイズ
3.29KB
ページ数
1
閲覧数
897
評価数
1/14
POINT
480
Rate
6.73

分類タグ

「ねぇ、早苗ちゃんって神社の巫女さんなの?」
そんな質問も、言われなくなった。
「ねぇ、神様って本当にいるの?」
そんな疑問も、意味が無くなった。
「ねぇ、早苗ちゃんはどうして巫女をしているの?」
私は・・・、神奈子様と諏訪子様の為に・・・。
「ねぇ、早苗ちゃんって一体何者なの?」
私は・・・、何?
私はどうして巫女なの・・・?
私はどうしてここに居るの・・・?
私はどうして、普通の女の子じゃないの・・・?
私は一体何者なの・・・?
私は・・・。

「妖怪退治ったって、そう甘いもんじゃないわよ」
そんな事くらい分かっている。
けど、私にはできるはず。
「本当に大丈夫かい? 早苗」
大丈夫。
私には、神奈子様と諏訪子様がついているから。
私にはできる。
そう思っていた。
けど、現実はそんなに甘くは無かった。
当たり前のようにできると信じていた自分。
そんな幻想を、打ち砕かれた気分だった。
結局、麓の巫女には遠く及ばないのだろうか。
「だから言ったでしょう? 甘くは無いって」
何を、何を今更・・・。
私は・・・、そんな言葉は聞きたくない!
積み上げてきた自身を、こうも簡単に崩される気分!
貴女は・・・、味わった事があるの!?

私は一体何?
神奈子様と諏訪子様が見ていてくれているというのに、何一つできやしない。
私は今まで、自分の正しいと思った事。
その道を突き進んできたはず。
そんな自分に、うんざりした。
外の世界では、自分は特別な存在だと。
自分自身が、世界の理から外れた非常識な存在だと。
そう思っていた、そう信じていた。
そんな自身、今では何の役にも立たない。
この世界では、常識に囚われてはいけないと思った。
でも、「自分が非常識」という常識を、自分の中で壊す事ができなかった。
甘かった。
私はもう、守矢の巫女としての資格は無いのだろうか。

「そんな事は無い。早苗は私たちにとって特別な存在だよ」
・・・え?
「そうそう。それ以上に、大切な存在でもあるんだよ」
・・・そんな。
・・・そうだ、いつもそうだった。
二人はいつも私に言ってくれた。
私がどんな失敗をしようとも、どんなに挫けそうになっても。
二人はいつも言葉をかけてくれた。
「早苗、貴女はいつも少しでしゃばり過ぎる」
そういえば、昔こんな事を言われたっけ。
「でもね、自信を持ってて手を抜くのと、とにかく全力でやるのと、どちらが正しいか明白だろう?」
「何事にも失敗を恐れないで取り組むのは、決して悪い事じゃないよ。その上での失敗なら、名誉の傷痕じゃないかな」
そうだ・・・、今の私はそれを忘れていたのかもしれない。
失敗を恐れるようになった上に、自身を持ちすぎていた・・・。
ハハ・・・、最悪じゃない。
神奈子様と諏訪子様が仰った事、何一つ守れてないじゃない。
「何、早苗が頑張ってくれるから、私達だって楽できるんじゃないか」
私・・・、頑張れてますか?
「早苗と一緒にいるから、今日も頑張ろうって思えるんだよ」
私・・・、お役に立ててますか?
私が居て、迷惑してませんか・・・?
「早苗、自分が必要無いだなんて・・・。今度そんな事言ったら承知しないよ!」
あぁ・・・、そんな事も言われたなぁ。
もう二度と、そんな事思わないって誓ったはずなのに。

「妖怪退治も良いけど、アンタはちゃんと自分のやるべき事もやらなきゃ駄目よ?」
そう・・・、私のやるべき事。
「折角良くしてくれる神様が居るんだから。しっかり孝行しなさいよ?」
私がここにきた理由、私がここまで付いて来た理由。
「まぁでも、偶には息抜きに良いんじゃない? 私だって退屈してるだろうし」
私が居るべき世界。
私が守るべき世界、守るべき人々。
私にはまだ、やるべき事がある。
こんな所で立ち止まるわけにはいかない。
自分の中の幻想を壊して、自分の目の前の現実に立ち向かうために!
私はここ幻想郷で、今日も明日も・・・。
ただひたすらに、がむしゃらに、全力でぶつかっていく!
それが、今の私の現実となるのなら・・・。
お初お目にかかります、天森ゆーきです
以後お見知りおきを・・・

早苗さんが自らの心(幻想)と、目の前の現実との間で葛藤する物語
・・・というのをイメージしました、難しいですね

自信は同人サークルでひたすら修行中です
心の広い方、もしよければそちらの方もどうぞ・・・
感想、辛口意見など待ってます
天森ゆーき
[email protected]
http://tiramisu1028.blog103.fc2.com/
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.400簡易評価
14.80ずわいがに削除
守矢の絆は家族よりも強い
それにしても非常識が常識だったという表現は気に入りました