「んー、くはーっ!」
私はここ数年間やりたくてもできない行為に没頭してみた。
「こんな気持ちいいもんだったかな……」
って、いっても単なる深呼吸だ。
背伸びも加えて、超本格的なヤツ。
別に大したことでもないし、やましかったり、厭らしいことでもないんだが。まあ、そうだな、とにかくここまで本気でやったのはいつぶりか記憶にない。
もしかしたら、人里から魔法の森に移住したときくらい……
いや、さすがにそれはないか。いくら私でもそんなことは……
「ない、よな?」
ベッドの上に腰掛け、瞳を閉じて唸ってもまったく記憶にぶち当たらない。あいつと決別するために買った『魔法使い』っぽい帽子。そんな古くからの相棒を膝の上に置けば、もしかしたら思い出がよみがえるかなーっと試してみる。
しかし、いくらいじっても私が欲しい記憶が出てこない。それどころか、いじってるうちに毛玉ができるおまけつきだ。
「……そろそろ買い替えるか?」
リボンを撒きなおしたり、修繕して騙し騙し使ってきたけど、だいぶ古くなってきたと自分でもわかってる。だからさっき燃やした不要物と一緒におさらばしてもいいかな、と。なんてことを考えて帽子を撫でていたら、
「いっ!」
さっきの作業でささくれでもできてたのか。リボンと帽子の布地付近で指先が引っかかって、ちょっとした痛みが走る。
……ふむ。
詩人だったらこういうとき、
「おお、帽子が怒ってる」
なーんて言うのかね。
しっかしこいつはそんな女々しい帽子じゃない。だって私の持ちモノなんだからな。きっとこうだろう。
もしこいつの気持ちを代弁するなら、
「墓まで連れてけ糞野郎」
おお、こんな感じだな。
野郎じゃないけど。
まあ、何はともあれ、だ。
「よっ、と」
私はベッドから立ち上がって、すっかり広くなった自分の家を見渡した。
蜘蛛の巣のとれた天井。
魔法薬が丁寧に並べられた大きな棚。一番上は背伸びしないとやっと届かない子憎たらしい奴の横には、それよりも少し小さな本棚がぽつんっと。
やけにすっきりしたもんだと、自分でもびっくりだ。
反対側のには研究用の机がおいてあるけど、机の板が綺麗に露出しているのを見てるだけでもなんだか嬉しくなる。
「あ、テーブルはここじゃまずいか?」
ぴかぴかの新品のような床の上。
小躍りできるくらいに広くなった部屋の中央にぽつんっと残された丸テーブルだけが、なんだか場違いのようだった。
実際邪魔なんだけれど。
雑巾も置きっぱなしだしな。
とりあえず、は。
「……よし」
研究用の机の側の窓から外の天気を眺めれば、うん。雨の気配も、瘴気もない。それならば残された手段は一つ。
霧雨家に伝わる最終手段。
『天日干しという名の一時的な放置』大作戦。
そうときまれば善は急げ。
テーブルを掴み、へそ下に引っ掛けるようにして持ち上げて、と。このまま一気に外へ、と。
意外と重いテーブルにちょっぴりふらつきながら日の光の下に出てみた。
するとどうだ。
昼前の丁度良い日差しが、まるで私を待っていてくれたみたいじゃないか。私の新しい挑戦を称えてる、とかいうとなんだかむず痒くなるけど。
と、っと、そんなことする前にテーブルを……
「はぁ……、はぁ……」
こいつ、長く持ってたら結構重いっていうか。腰にくるっていうか、うん。辛いしな。
うん、辛い。
「はぁ……、はぁ……」
でも、だ。
別に激しい運動をしたわけじゃないからな。
息が荒くなるなんてことはあり得ないわけだ。
「はぁ……、はぁ……」
つまり、論理的に考えても、この変な息づかいは私の物じゃない。
っていうか、目の前になんかいるしな。
桃色のパジャマのおばけみたいなのが。
その見るからに体の弱そうなのが、体を折り曲げるくらい必死に息を吸い込んでは、吐いては。
あ、目があった。
こいつこんなところで何して――
「は、はぁ~~~~~っ!?」
って、うるさっ!
なんでいきなり叫ぶんだ。
しかも、化け物でも出たみたいに、目を見開いて私を指差しやがって。びっくりしたのはこっちだってのにまったく。
「ま、魔理沙! あ、あなた!」
腕を震わせながら指まで差してくる。
やっぱり怒ってるのか、これ?
「あなた、何でっ!」
いや、いやいや、例の件なら解決しただろ!
だから、落ち着けってパチュリー!
落ち着いて私の話を……
テーブルを置き、何とか説得を試みようとしたそのときだった。
パチュリーの唇から、想像もしない言葉が解き放たれたのは。
「なんで生きてるの!」
「……」
うん、あまりにも予想外だったので。
「えいっ」
「うわぷっ!?」
とりあえず、テーブルの上の雑巾を投げつけてみる私であった。
◇ ◇ ◇
「は? 店?」
「そうだよ」
ほこりを吸い込みまくった雑巾の一撃で、再び大きく咳き込みはじめたパチュリーが回復したのは30分後だった。
なんだか恨みがましそうに睨んでくるから、仕方なく一度ベッドまで運んだ後で、一度出したテーブルをもう一度家の中に戻した。そして咳が落ち着くまでの間馴染みの変わり者から貰い受けた紅茶を作り、テーブルに置いて、
「はいはい、お客様どうぞこちらに」
「……ん」
ベッドの近くに置いてあった椅子をテーブルの側に持ってきて、座るように言ってみる。なのにパチュリーはどこか物珍しそうに私の家、というか部屋をぐるりと見渡して、勿体ぶった挙動で椅子を引き。
「え? 店?」
席に着くが早いか、また同じような質問を私にぶつけてきた。
って、そもそも建てた最初から店のつもりだったんだから、それ以外の何があるというんだろう。
「だから、そうだって」
当然だろ。と私が返しても、パチュリーは反対側に座る私をじーっと値踏みするように見つめて。
「ベッドが入口から丸見えなんだけど」
「ああ、寝てる間に客が来ても安心だろ? 魔法の森だといつ客が来るかわかったもんじゃない」
「……」
何か言いたそうな顔をするパチュリー。
あれ、私変なこと言った?
「こほんっ、……それで、どれが品物なのよ」
「ほら、そこの二つの棚の魔法薬とか」
「……値札は?」
「私の気分だからナシだ」
「……」
またしても、押し黙る。
なんか今度はテーブルの上に肘をついて、おでこを右手の上に乗せた。片手で頭を抱えてるようにも見える。
「薬の効果の説明書なんかは?」
「ない」
「定期的な生産は?」
「予定なし」
「看板は?」
「古くなったから燃やした」
「おつりの準備は?」
「そのあたりはおいおい」
「……」
「……」
「……商売する気ないでしょ?」
「え?」
だからあるって言ってるのに。
疑り深いなー、パチュリーは。
「あのねぇ、魔理沙、お店っていうのは……」
「本来なら、客にわかりやすく。だろ? それくらいわかってるって」
そうやって当然だろ、って返したら。余計に訳が分からないって顔をしてくる。一応これでも里の道具屋の娘だったんだ。
商売のイロハくらいは、わかってるつもりだ。
「まず、魔法の森で商売をするってことが大問題。だろ? でも、私の魔法の研究はここじゃないと難しい。それに瘴気が下手な野獣をおっぱらってくれるしな、ある意味安全に商売ができるのもここだ。そういう一般とは外れた場所で商売をするんだから、それこそ一般的な知識なんて役にも立たない」
「……どういうことかしら?」
「だから、あれだ。私のこの魔法薬は、一般的な人間が使っても効果がある。スペルカードバトルでも使ってるから、効果はパチュリーもよく知ってるだろ? 私の攻撃魔法のあり方ってやつを」
「ええ、厄介なものから大したことないものまでね」
「でもな、その大したことのない薬でも、下手な妖怪や。その辺の動物を追い払うには十分なんだ。そんな薬が簡単に手に入って、しかも大量に出回ったらどうなる? それってたぶん不味いことなんだと私は思うんだ」
「……そう、ね」
人間が、下手に力を持つとどうなるか。
たぶんそれはパチュリーが一番よくわかってると思う。
私が借りた本の中に、魔女と外の世界の内容が書いてあった本が混ざっていたから。きっと、パチュリーもそのことを知っているはずだ。魔法を使うものとして、自分の作った薬でそんなことが引き起こされたら、きっと悲しいどころじゃない。
「だから、最初は金で売り買いするつもりはないんだ。私が欲しいものを客が持ってきて、それで私がそれに見合った薬を渡す。物々交換、って商売方法だ」
「だから、おつりはいらないと?」
「そういうことだぜ。それで私が欲しいアイテムを集められるっていうことはある程度の実力者って条件が加わるからな。たとえそいつが妖怪でなくとも、そういう幻想郷の中の実力者の情報をあの胡散臭い大妖怪が管理していないわけもない、ってことはだ」
「だからその実力者が仲介となって過度に流用されたりとか、そういう悪用もされにくい?」
「そう! さすがパチュリー! 適度なら問題ないけどな、そのあたりはお任せだ」
「他人任せにもほどがあるわね、まったく。じゃあベッドの方は本当にお客が来た時の対応なわけ?」
「正直言うと、寝室がちょっと物置になってきてだな……ここくらいしかベッドを置くスペースがないというか」
「……だと思った」
「なんだよ、失礼な奴だな」
なんでそこで安心した風に笑うかね。
しかも、それが私らしいとか、おかしな言い分付け加えやがって。まあ、確かに一週間前くらいはここも足の踏み場なかったけど。
「今まではずっと開店休業状態だったから、それが最初の状態に戻るだけだ。そのために結構頑張って掃除したんだぞ。新装開店の気分ってやつを味わってみたわけだ」
「だから、大掃除でもしてみたというわけ? 看板も作り直して?」
「ああ、あの雑巾の埃くささでわかるだろ?」
「嫌なこと思い出させないで……」
幻想郷を影から操る魔法店を目指すっていうのも、ちょっとカッコいいかな、とかもおもったりしたが。なんかパチュリーにいうと馬鹿にされそうだ。
「なるほど、納得したわ。私の本が一部帰ってきたのはそのせい、ね」
「ああ、せめて玄関からここまでのスペースは綺麗にしたかったからな。さすがに本を外に置くわけにもいかないだろ?」
「だから、すっかり騙された」
「何を?」
「本が返ってきたから」
「うん、で?」
「だから、騙されたの!」
「え? いや、なんでそうな――」
あ、と。
うん、思い出した。
っていうか、うん、言ってるな。いつも。
ちょっと誤魔化すために紅茶を飲んでっと、冷静に、冷静に、
「……もしかして、死んだら返すとか自分で言っといて忘れたとか?」
「ば、馬鹿だなパチュリー! そんなわけないだろう!」
「……どうだか」
あー、なんかまた不機嫌になってるな。
ちょっとくらい忘れたからって、そんな怒ることないじゃないか。
「な、なぁ、パチュリー。機嫌直せって、そんなに眉を吊り上げてたら紅茶も美味しくなくなるってもんだ」
「もう冷めてるわ」
「じゃ、じゃあ淹れなおして」
「いらない」
う、強敵だなこれは。
マジックアイテムつながりでちょっと教えてもらいたいこともあったんだが、これじゃあ聞ける雰囲気でもないんだぜ……
「なあ、パチュリーさっきのは私が悪かったから、な?」
「……」
謝っても駄目、か。
ああもう、どうすりゃいいんだよ。
「初めてのお客にそういう態度とられると精神的に辛いんだよ。わかるだろ?」
「……」
こういう風に説得しても、絶対あれだ。
『わからない』って、突っぱねてくるに違いな――
「……私が、初めて?」
「え?」
あれ? なんか食いついてきた。
「あ、ああ、最初にここに店を構えてから魔法薬の値段とかそういう話題にはなったことがないからな。そういう会話をした相手を客だって言えるなら、パチュリーが最初のお客ってことになるだろ?」
「そ、そうね。そう受け取ってもおかしくはないわ」
「だから、な? 商談がまだ慣れてないだけと思って、本の件は水に流して……」
「……」
また静かになった。
でも今度はなんだろうな。
何かしきりにこっちをチラチラと気にしている様子なんだが……
「ネズミ……」
「へ?」
「最近、屋敷の地下にネズミが住みついて、本を荒らす恐れが出てきたの。小動物を撃退する術式をわざわざ組みあげるのもなんだか癪だから、ネズミ撃退用の魔法薬なんかはキノコでできないかしら?」
「あ、ああ、それで、本のことを水に流してくれるのか?」
「いいえ、それだとあなたのマイナス分が多くなるでしょうから、あなたが欲しい物品のリストを渡してくれればそれに見合った報酬を検討するわ」
「……え? パチュリー、それって」
「まあ、商売上の契約ってことかしら?」
「おお、初の商談成立ってやつだな! ありがとうパチュリー!」
「期待しているわね」
災い転じて福と成す。
まさしくそれだ。
パチュリーもちょっと嬉しそうにしてるから、ネズミには相当苦労してるんだろうな。そうと決まれば、小動物が嫌がるエキスと魔法薬の融合を今夜にでも試してみるか。
やっと心を落ち着ける雰囲気になり、私が一息ついていたら。
今度はパチュリーが『あっ』と何かを思い出したかのように声を漏らす。
「ねぇ、忘れていたのだけれど。本を返すのならば、今度から天狗には任せないようにしてくれると助かるわ」
「今朝のことか?」
「そうよ、あなたがどう言ったのか知らないけど、天狗の速度で本を運ばれては衝撃で傷んでしまう」
「あー、それはわるかったよ。私が部屋を掃除してた時にちょうど文がとおりかかって、新聞のネタくれってうるさかったからな。魔法店のリニューアルの情報も渡して、記事にさせてやるって言ったんだ」
「代わりに掃除して片づけた分の本を返しておいて、と。文に伝えたわけね」
ついでに、宣伝にもなる。
そう思ったんだが、どうもうまくいかなかったらしい。
「たぶん、妖怪の山に戻って号外を書き上げてから。紅魔館に来たんでしょうね」
なるほど、距離が単純に増えて、その分袋の中で本がぶつかり合う回数が増えたってことか。配りまわるなら文としてはそっちが効率的だしな。
「まあ、その記事も私が勘違いした原因の一つなのだけれど」
そう言ってパチュリーがその号外とやらを手渡してくる。
文め、自分のことじゃないから適当に書いたに違いない。
ため息を吐きながら、私はその記事を受け取る。
何が勘違いした原因なのかはわからない。
だって、私は、文にお願いしたはずなのだから。
『異変も落ち着いてきて、店をもう一回開きなおすからそういう記事を書いてほしい』
ついでに本を返してきて、とお願いした。
たったそれだけのことなのだ。
それがどうまわりまわって勘違いの原因になるのやら。
どうせパチュリーが深読みしすぎただけなんだろう。
そう思って、私は紙面に視線を落とし、
「ほぇ?」
おもわず、変な声が出た。
だってそうだろう。
『霧雨魔法店! 新装開店!』
そんな文字がバン!
『魔法薬の専門店として生まれ変わった。幻想郷初めての専門店!』
内容がバババン! と、来るとおもったら。
『天変地異の前触れか、それとも、奇跡か! 霧雨魔理沙、本を返すっ!!』
まて、コラ。
店、どこいった。
題名のインパクトに打ちひしがれながら、目で魔法店の記事をさがしていけば……
『ついでに、霧雨魔理沙さんが魔法店を改装したようです』
と、申し訳なさそうにちょこんっと。
「ついでってなんだよ!」
つまり、主題と『ついで』が逆になるという致命的な不具合が発生。
「おいおい、これじゃあまるで私が図書館から本を奪っていっただけの悪者としかうつらないじゃないか、まったく!」
「……ねえ、今、突っ込んでもいい場所よね?」
パチュリーが何か複雑そうな顔をしているが、それはまあいいとして。
なるほど、これだけ本を返したという事実が前面に出ていたら。
『私が死にそうだから、文に本を返してくれと頼んだ』
そうパチュリーが推測してもおかしくはない。
それで確認しにパチュリーがやってきたのも、道理にかなっている。
でもまあ、
「もしかすると……」
これはこれで、いいのかもしれない。
私が本を返したという目を引く記事。
それならばきっとみんな最後まで目を通すに違いない。
と、なれば、自然と店のことも伝わるわけで
コンコン、コンコンコン!
ほら、予想通り。
この強いノックは私を必要とする熱いビート。
でもなー、残念だなー。
今、パチュリーの依頼を受けたところだからな。
『すみませんが、今抱えている仕事があって、予約なら承ります』
なーんて、繁盛してる店しか言えないことができるんじゃないか。
ドンドン、ドンドンドン!
あー、わかったわかった。今すぐ出るって。
いあぁ、人気者は辛いねぇ~。
と、ウキウキ気分でドアノブを回して、開いたら……
「魔、理沙?」
なんだろう。
めちゃくちゃ、泣き顔のアリスが家の前にいるんだけど。
「死んだんじゃ、ないの……?」
「……」
おいおい、お前もか。
まあ、確かにな。
アリスはパチュリーと話くらいしたことあるだろうから、な。
そういう勘違いも、
「おお、魔理沙! さっき妙な号外が降ってきたから、もしかしたらと思ってきてみたんだが、ああ良かった!」
……ああ、うん。
人里には親父たちもいるしな、慧音が来てもおかしくはないというか。
「こら、てゐ! 何が死ぬかも、なのよ! 魔理沙ぴんぴんしてるじゃない。どうするのよこの薬」
「……あれー? おっかしいなぁ。あの人間が本返す時って、死ぬ時くらいだと思ったんだけどなー」
……あ~、うん、おまえたち。
「よかったよー! 盟友が死んでなくて、本当によかったよぉぉぉ!
うわぁぁん」
……えっと、
……あれ? 私って、もしかしてなんだけど、
「……ねえ? 魔理沙、なんでいきなりやってきてふて腐れてるの?」
「なあ、霊夢?」
「ん? 何?」
「霊夢ってさ、私のことなんだと思ってる?」
「は? 何言ってんのあんた? 普通の魔法使いってやつでしょ? 魔法の森で開店休業中の」
「そ、そうだよな! やっぱりそうだよな!」
ああ、うん。
やっぱり霊夢はわかってくれて――
「それと、普通の泥棒」
「……」
やっぱり博麗の巫女は容赦ないなと、私は再認識したのだった。
私はここ数年間やりたくてもできない行為に没頭してみた。
「こんな気持ちいいもんだったかな……」
って、いっても単なる深呼吸だ。
背伸びも加えて、超本格的なヤツ。
別に大したことでもないし、やましかったり、厭らしいことでもないんだが。まあ、そうだな、とにかくここまで本気でやったのはいつぶりか記憶にない。
もしかしたら、人里から魔法の森に移住したときくらい……
いや、さすがにそれはないか。いくら私でもそんなことは……
「ない、よな?」
ベッドの上に腰掛け、瞳を閉じて唸ってもまったく記憶にぶち当たらない。あいつと決別するために買った『魔法使い』っぽい帽子。そんな古くからの相棒を膝の上に置けば、もしかしたら思い出がよみがえるかなーっと試してみる。
しかし、いくらいじっても私が欲しい記憶が出てこない。それどころか、いじってるうちに毛玉ができるおまけつきだ。
「……そろそろ買い替えるか?」
リボンを撒きなおしたり、修繕して騙し騙し使ってきたけど、だいぶ古くなってきたと自分でもわかってる。だからさっき燃やした不要物と一緒におさらばしてもいいかな、と。なんてことを考えて帽子を撫でていたら、
「いっ!」
さっきの作業でささくれでもできてたのか。リボンと帽子の布地付近で指先が引っかかって、ちょっとした痛みが走る。
……ふむ。
詩人だったらこういうとき、
「おお、帽子が怒ってる」
なーんて言うのかね。
しっかしこいつはそんな女々しい帽子じゃない。だって私の持ちモノなんだからな。きっとこうだろう。
もしこいつの気持ちを代弁するなら、
「墓まで連れてけ糞野郎」
おお、こんな感じだな。
野郎じゃないけど。
まあ、何はともあれ、だ。
「よっ、と」
私はベッドから立ち上がって、すっかり広くなった自分の家を見渡した。
蜘蛛の巣のとれた天井。
魔法薬が丁寧に並べられた大きな棚。一番上は背伸びしないとやっと届かない子憎たらしい奴の横には、それよりも少し小さな本棚がぽつんっと。
やけにすっきりしたもんだと、自分でもびっくりだ。
反対側のには研究用の机がおいてあるけど、机の板が綺麗に露出しているのを見てるだけでもなんだか嬉しくなる。
「あ、テーブルはここじゃまずいか?」
ぴかぴかの新品のような床の上。
小躍りできるくらいに広くなった部屋の中央にぽつんっと残された丸テーブルだけが、なんだか場違いのようだった。
実際邪魔なんだけれど。
雑巾も置きっぱなしだしな。
とりあえず、は。
「……よし」
研究用の机の側の窓から外の天気を眺めれば、うん。雨の気配も、瘴気もない。それならば残された手段は一つ。
霧雨家に伝わる最終手段。
『天日干しという名の一時的な放置』大作戦。
そうときまれば善は急げ。
テーブルを掴み、へそ下に引っ掛けるようにして持ち上げて、と。このまま一気に外へ、と。
意外と重いテーブルにちょっぴりふらつきながら日の光の下に出てみた。
するとどうだ。
昼前の丁度良い日差しが、まるで私を待っていてくれたみたいじゃないか。私の新しい挑戦を称えてる、とかいうとなんだかむず痒くなるけど。
と、っと、そんなことする前にテーブルを……
「はぁ……、はぁ……」
こいつ、長く持ってたら結構重いっていうか。腰にくるっていうか、うん。辛いしな。
うん、辛い。
「はぁ……、はぁ……」
でも、だ。
別に激しい運動をしたわけじゃないからな。
息が荒くなるなんてことはあり得ないわけだ。
「はぁ……、はぁ……」
つまり、論理的に考えても、この変な息づかいは私の物じゃない。
っていうか、目の前になんかいるしな。
桃色のパジャマのおばけみたいなのが。
その見るからに体の弱そうなのが、体を折り曲げるくらい必死に息を吸い込んでは、吐いては。
あ、目があった。
こいつこんなところで何して――
「は、はぁ~~~~~っ!?」
って、うるさっ!
なんでいきなり叫ぶんだ。
しかも、化け物でも出たみたいに、目を見開いて私を指差しやがって。びっくりしたのはこっちだってのにまったく。
「ま、魔理沙! あ、あなた!」
腕を震わせながら指まで差してくる。
やっぱり怒ってるのか、これ?
「あなた、何でっ!」
いや、いやいや、例の件なら解決しただろ!
だから、落ち着けってパチュリー!
落ち着いて私の話を……
テーブルを置き、何とか説得を試みようとしたそのときだった。
パチュリーの唇から、想像もしない言葉が解き放たれたのは。
「なんで生きてるの!」
「……」
うん、あまりにも予想外だったので。
「えいっ」
「うわぷっ!?」
とりあえず、テーブルの上の雑巾を投げつけてみる私であった。
◇ ◇ ◇
「は? 店?」
「そうだよ」
ほこりを吸い込みまくった雑巾の一撃で、再び大きく咳き込みはじめたパチュリーが回復したのは30分後だった。
なんだか恨みがましそうに睨んでくるから、仕方なく一度ベッドまで運んだ後で、一度出したテーブルをもう一度家の中に戻した。そして咳が落ち着くまでの間馴染みの変わり者から貰い受けた紅茶を作り、テーブルに置いて、
「はいはい、お客様どうぞこちらに」
「……ん」
ベッドの近くに置いてあった椅子をテーブルの側に持ってきて、座るように言ってみる。なのにパチュリーはどこか物珍しそうに私の家、というか部屋をぐるりと見渡して、勿体ぶった挙動で椅子を引き。
「え? 店?」
席に着くが早いか、また同じような質問を私にぶつけてきた。
って、そもそも建てた最初から店のつもりだったんだから、それ以外の何があるというんだろう。
「だから、そうだって」
当然だろ。と私が返しても、パチュリーは反対側に座る私をじーっと値踏みするように見つめて。
「ベッドが入口から丸見えなんだけど」
「ああ、寝てる間に客が来ても安心だろ? 魔法の森だといつ客が来るかわかったもんじゃない」
「……」
何か言いたそうな顔をするパチュリー。
あれ、私変なこと言った?
「こほんっ、……それで、どれが品物なのよ」
「ほら、そこの二つの棚の魔法薬とか」
「……値札は?」
「私の気分だからナシだ」
「……」
またしても、押し黙る。
なんか今度はテーブルの上に肘をついて、おでこを右手の上に乗せた。片手で頭を抱えてるようにも見える。
「薬の効果の説明書なんかは?」
「ない」
「定期的な生産は?」
「予定なし」
「看板は?」
「古くなったから燃やした」
「おつりの準備は?」
「そのあたりはおいおい」
「……」
「……」
「……商売する気ないでしょ?」
「え?」
だからあるって言ってるのに。
疑り深いなー、パチュリーは。
「あのねぇ、魔理沙、お店っていうのは……」
「本来なら、客にわかりやすく。だろ? それくらいわかってるって」
そうやって当然だろ、って返したら。余計に訳が分からないって顔をしてくる。一応これでも里の道具屋の娘だったんだ。
商売のイロハくらいは、わかってるつもりだ。
「まず、魔法の森で商売をするってことが大問題。だろ? でも、私の魔法の研究はここじゃないと難しい。それに瘴気が下手な野獣をおっぱらってくれるしな、ある意味安全に商売ができるのもここだ。そういう一般とは外れた場所で商売をするんだから、それこそ一般的な知識なんて役にも立たない」
「……どういうことかしら?」
「だから、あれだ。私のこの魔法薬は、一般的な人間が使っても効果がある。スペルカードバトルでも使ってるから、効果はパチュリーもよく知ってるだろ? 私の攻撃魔法のあり方ってやつを」
「ええ、厄介なものから大したことないものまでね」
「でもな、その大したことのない薬でも、下手な妖怪や。その辺の動物を追い払うには十分なんだ。そんな薬が簡単に手に入って、しかも大量に出回ったらどうなる? それってたぶん不味いことなんだと私は思うんだ」
「……そう、ね」
人間が、下手に力を持つとどうなるか。
たぶんそれはパチュリーが一番よくわかってると思う。
私が借りた本の中に、魔女と外の世界の内容が書いてあった本が混ざっていたから。きっと、パチュリーもそのことを知っているはずだ。魔法を使うものとして、自分の作った薬でそんなことが引き起こされたら、きっと悲しいどころじゃない。
「だから、最初は金で売り買いするつもりはないんだ。私が欲しいものを客が持ってきて、それで私がそれに見合った薬を渡す。物々交換、って商売方法だ」
「だから、おつりはいらないと?」
「そういうことだぜ。それで私が欲しいアイテムを集められるっていうことはある程度の実力者って条件が加わるからな。たとえそいつが妖怪でなくとも、そういう幻想郷の中の実力者の情報をあの胡散臭い大妖怪が管理していないわけもない、ってことはだ」
「だからその実力者が仲介となって過度に流用されたりとか、そういう悪用もされにくい?」
「そう! さすがパチュリー! 適度なら問題ないけどな、そのあたりはお任せだ」
「他人任せにもほどがあるわね、まったく。じゃあベッドの方は本当にお客が来た時の対応なわけ?」
「正直言うと、寝室がちょっと物置になってきてだな……ここくらいしかベッドを置くスペースがないというか」
「……だと思った」
「なんだよ、失礼な奴だな」
なんでそこで安心した風に笑うかね。
しかも、それが私らしいとか、おかしな言い分付け加えやがって。まあ、確かに一週間前くらいはここも足の踏み場なかったけど。
「今まではずっと開店休業状態だったから、それが最初の状態に戻るだけだ。そのために結構頑張って掃除したんだぞ。新装開店の気分ってやつを味わってみたわけだ」
「だから、大掃除でもしてみたというわけ? 看板も作り直して?」
「ああ、あの雑巾の埃くささでわかるだろ?」
「嫌なこと思い出させないで……」
幻想郷を影から操る魔法店を目指すっていうのも、ちょっとカッコいいかな、とかもおもったりしたが。なんかパチュリーにいうと馬鹿にされそうだ。
「なるほど、納得したわ。私の本が一部帰ってきたのはそのせい、ね」
「ああ、せめて玄関からここまでのスペースは綺麗にしたかったからな。さすがに本を外に置くわけにもいかないだろ?」
「だから、すっかり騙された」
「何を?」
「本が返ってきたから」
「うん、で?」
「だから、騙されたの!」
「え? いや、なんでそうな――」
あ、と。
うん、思い出した。
っていうか、うん、言ってるな。いつも。
ちょっと誤魔化すために紅茶を飲んでっと、冷静に、冷静に、
「……もしかして、死んだら返すとか自分で言っといて忘れたとか?」
「ば、馬鹿だなパチュリー! そんなわけないだろう!」
「……どうだか」
あー、なんかまた不機嫌になってるな。
ちょっとくらい忘れたからって、そんな怒ることないじゃないか。
「な、なぁ、パチュリー。機嫌直せって、そんなに眉を吊り上げてたら紅茶も美味しくなくなるってもんだ」
「もう冷めてるわ」
「じゃ、じゃあ淹れなおして」
「いらない」
う、強敵だなこれは。
マジックアイテムつながりでちょっと教えてもらいたいこともあったんだが、これじゃあ聞ける雰囲気でもないんだぜ……
「なあ、パチュリーさっきのは私が悪かったから、な?」
「……」
謝っても駄目、か。
ああもう、どうすりゃいいんだよ。
「初めてのお客にそういう態度とられると精神的に辛いんだよ。わかるだろ?」
「……」
こういう風に説得しても、絶対あれだ。
『わからない』って、突っぱねてくるに違いな――
「……私が、初めて?」
「え?」
あれ? なんか食いついてきた。
「あ、ああ、最初にここに店を構えてから魔法薬の値段とかそういう話題にはなったことがないからな。そういう会話をした相手を客だって言えるなら、パチュリーが最初のお客ってことになるだろ?」
「そ、そうね。そう受け取ってもおかしくはないわ」
「だから、な? 商談がまだ慣れてないだけと思って、本の件は水に流して……」
「……」
また静かになった。
でも今度はなんだろうな。
何かしきりにこっちをチラチラと気にしている様子なんだが……
「ネズミ……」
「へ?」
「最近、屋敷の地下にネズミが住みついて、本を荒らす恐れが出てきたの。小動物を撃退する術式をわざわざ組みあげるのもなんだか癪だから、ネズミ撃退用の魔法薬なんかはキノコでできないかしら?」
「あ、ああ、それで、本のことを水に流してくれるのか?」
「いいえ、それだとあなたのマイナス分が多くなるでしょうから、あなたが欲しい物品のリストを渡してくれればそれに見合った報酬を検討するわ」
「……え? パチュリー、それって」
「まあ、商売上の契約ってことかしら?」
「おお、初の商談成立ってやつだな! ありがとうパチュリー!」
「期待しているわね」
災い転じて福と成す。
まさしくそれだ。
パチュリーもちょっと嬉しそうにしてるから、ネズミには相当苦労してるんだろうな。そうと決まれば、小動物が嫌がるエキスと魔法薬の融合を今夜にでも試してみるか。
やっと心を落ち着ける雰囲気になり、私が一息ついていたら。
今度はパチュリーが『あっ』と何かを思い出したかのように声を漏らす。
「ねぇ、忘れていたのだけれど。本を返すのならば、今度から天狗には任せないようにしてくれると助かるわ」
「今朝のことか?」
「そうよ、あなたがどう言ったのか知らないけど、天狗の速度で本を運ばれては衝撃で傷んでしまう」
「あー、それはわるかったよ。私が部屋を掃除してた時にちょうど文がとおりかかって、新聞のネタくれってうるさかったからな。魔法店のリニューアルの情報も渡して、記事にさせてやるって言ったんだ」
「代わりに掃除して片づけた分の本を返しておいて、と。文に伝えたわけね」
ついでに、宣伝にもなる。
そう思ったんだが、どうもうまくいかなかったらしい。
「たぶん、妖怪の山に戻って号外を書き上げてから。紅魔館に来たんでしょうね」
なるほど、距離が単純に増えて、その分袋の中で本がぶつかり合う回数が増えたってことか。配りまわるなら文としてはそっちが効率的だしな。
「まあ、その記事も私が勘違いした原因の一つなのだけれど」
そう言ってパチュリーがその号外とやらを手渡してくる。
文め、自分のことじゃないから適当に書いたに違いない。
ため息を吐きながら、私はその記事を受け取る。
何が勘違いした原因なのかはわからない。
だって、私は、文にお願いしたはずなのだから。
『異変も落ち着いてきて、店をもう一回開きなおすからそういう記事を書いてほしい』
ついでに本を返してきて、とお願いした。
たったそれだけのことなのだ。
それがどうまわりまわって勘違いの原因になるのやら。
どうせパチュリーが深読みしすぎただけなんだろう。
そう思って、私は紙面に視線を落とし、
「ほぇ?」
おもわず、変な声が出た。
だってそうだろう。
『霧雨魔法店! 新装開店!』
そんな文字がバン!
『魔法薬の専門店として生まれ変わった。幻想郷初めての専門店!』
内容がバババン! と、来るとおもったら。
『天変地異の前触れか、それとも、奇跡か! 霧雨魔理沙、本を返すっ!!』
まて、コラ。
店、どこいった。
題名のインパクトに打ちひしがれながら、目で魔法店の記事をさがしていけば……
『ついでに、霧雨魔理沙さんが魔法店を改装したようです』
と、申し訳なさそうにちょこんっと。
「ついでってなんだよ!」
つまり、主題と『ついで』が逆になるという致命的な不具合が発生。
「おいおい、これじゃあまるで私が図書館から本を奪っていっただけの悪者としかうつらないじゃないか、まったく!」
「……ねえ、今、突っ込んでもいい場所よね?」
パチュリーが何か複雑そうな顔をしているが、それはまあいいとして。
なるほど、これだけ本を返したという事実が前面に出ていたら。
『私が死にそうだから、文に本を返してくれと頼んだ』
そうパチュリーが推測してもおかしくはない。
それで確認しにパチュリーがやってきたのも、道理にかなっている。
でもまあ、
「もしかすると……」
これはこれで、いいのかもしれない。
私が本を返したという目を引く記事。
それならばきっとみんな最後まで目を通すに違いない。
と、なれば、自然と店のことも伝わるわけで
コンコン、コンコンコン!
ほら、予想通り。
この強いノックは私を必要とする熱いビート。
でもなー、残念だなー。
今、パチュリーの依頼を受けたところだからな。
『すみませんが、今抱えている仕事があって、予約なら承ります』
なーんて、繁盛してる店しか言えないことができるんじゃないか。
ドンドン、ドンドンドン!
あー、わかったわかった。今すぐ出るって。
いあぁ、人気者は辛いねぇ~。
と、ウキウキ気分でドアノブを回して、開いたら……
「魔、理沙?」
なんだろう。
めちゃくちゃ、泣き顔のアリスが家の前にいるんだけど。
「死んだんじゃ、ないの……?」
「……」
おいおい、お前もか。
まあ、確かにな。
アリスはパチュリーと話くらいしたことあるだろうから、な。
そういう勘違いも、
「おお、魔理沙! さっき妙な号外が降ってきたから、もしかしたらと思ってきてみたんだが、ああ良かった!」
……ああ、うん。
人里には親父たちもいるしな、慧音が来てもおかしくはないというか。
「こら、てゐ! 何が死ぬかも、なのよ! 魔理沙ぴんぴんしてるじゃない。どうするのよこの薬」
「……あれー? おっかしいなぁ。あの人間が本返す時って、死ぬ時くらいだと思ったんだけどなー」
……あ~、うん、おまえたち。
「よかったよー! 盟友が死んでなくて、本当によかったよぉぉぉ!
うわぁぁん」
……えっと、
……あれ? 私って、もしかしてなんだけど、
「……ねえ? 魔理沙、なんでいきなりやってきてふて腐れてるの?」
「なあ、霊夢?」
「ん? 何?」
「霊夢ってさ、私のことなんだと思ってる?」
「は? 何言ってんのあんた? 普通の魔法使いってやつでしょ? 魔法の森で開店休業中の」
「そ、そうだよな! やっぱりそうだよな!」
ああ、うん。
やっぱり霊夢はわかってくれて――
「それと、普通の泥棒」
「……」
やっぱり博麗の巫女は容赦ないなと、私は再認識したのだった。
みんなに心配かけちゃうし・・
合理的な説明を与えるいい作品でした
確かに、あえて敷居を高くすることも商売にとっては重要ですし、実際にそういう商売も多いですしね それに魔理沙なら有力者相手のみを相手に商売をしたほうが断然効率がいいでしょうね
まあ、有力者には泥棒で通っているのでこの方法も余程改心しない限り厳しそうですがw
ただ、魔理沙が商売する系で有力者のみを相手にしようとする系魔理沙は個人的にもっと流行って欲しい気がします
役務提供を含めた物々交換で、アクセス悪いところに店を構えて知り合いだけ相手にして、そしてその知り合いの数、質は抜群。これって店というよりブローカー業、あるいは古き良きマーチャント・バンクの仕事ですね。
魔理沙の周りには自然と人妖が集まりそうだよなぁー。
普段あれだけ色々やってても。