今日も一日が終わり、暑い夜を迎えた。
窓を開け放ち、涼しい風が気持ちよい。
今日は、慧音を家に招いて一緒にお酒を飲みながら夕飯を食べている。
明日は寺子屋が無いということで、竹林に隠れた家に呼んだのだ。
人里でお酒を沢山買ってきたので、一緒に飲んでいる、が……。
慧音は、正直言ってあまりお酒が得意ではない。
すぐにお酒に酔って、べろんべろんになってしまう。
しかし、別にお酒に酔うくらいならいいのだ。
問題は、お酒を飲んで喋り方が変わってしまうことだ。
「これひっでくどいのぉ。妹紅はくどいの好きやからなぁ~」
「慧音は薄すぎるのよ」
「ほうけの? まぁ、妹紅の味には慣れたんやけど」
最初聞いた時は全くもって分らず、適当に返事を返していた。
しかし、慣れというのは恐ろしいもので、もう何を言っているか大体分かる。
まぁ、自分で勉強したっていう部分もあるからこそだが。
これは、外の世界で方言というらしい。
その地方地方によって喋り方が違うらしく、そのうちの福井という場所の方言だそうだ。
なまっているし、聞いていて違和感がばっちりである。
普段先生としてしっかりとした言葉づかいをしている慧音だからこその違和感なのだろう。
なんというか、お酒を飲むと、田舎の美人さんという感じがしてしまう。
「ほれんしても妹紅んとこの家はおっぞいの~。はえめは飛んでるし、のくてぇったらありゃせんわ」
「余計なお世話よ……。私はこの家で満足してるんだから」
「おもっしぇえの~。鬼やらなんやらに頼めばすぐ作ってくれるやろうが」
「まぁ、いいのよ」
お酒を飲むと、性格が荒くなる上に福井弁である。
これじゃ本当に全くの別人のようだが、外見はどう見ても慧音だから仕方がない。
宴などでは、こんな風になるまでは飲まないのだが、私の前だと慧音自身が決めているはずの限度を超えて飲む。
なんというか、私と慧音の二人だと安心してしまうらしい。
まぁ、以前二人きりで飲んでて、今日みたいになってる時に来客があった時もあったが。
「妹紅、お酒いれとっけの」
「はいはい」
コップを差し出す慧音。
お酒の瓶を取ると、とくとくと注いでいく。
「おっとっと、ほんなつるつるいっぱい入れんでもええのに」
「沢山入れないと何か言うくせに」
「ほんなのくてぇことせんわ。私はほんなわらびしいもんじゃないわ」
なんというか、お酒に酔った人と話すのは疲れるが、話し方が変わると尚更疲れる。
こうして酔った慧音を見ると、お酒の怖さを実感できる。
お酒で人は変わってしまうもんなんだなぁと思いながらも、お酒の少しずつ飲んでいく。
「あ、ほやほや、ちょっと聞いてや妹紅」
「なぁに、慧音」
「寺子屋のもんで悪戯ばっかして、てなわん子がいるんやけどな、ほの子がこのまえなぁ……」
また、お酒が入るとよく喋る。
よく喋るから、方言がバンバン出てきて、聞きとるのでも精一杯である。
以前聞きとれなくて聞き返した際に、
「だわもんが、ちゃんと話し聞いとけま!」
って怒られた。
なので、しっかり方言を勉強したので、今は大丈夫である。
「ほんでそれがひって面白くて、思わずいっけぇ声で笑ってんたわ」
「そう、そりゃ面白いわね」
「なんかあんま聞いてないように見えたんやけど」
「え? そんなことないよ」
意外に鋭いので、ちょくちょく指摘される。
考えながら話を聞いたりするってのはやっぱり難しい。
「なんや、あなんぼん中耳くそつまってるんか。どれ、おちょきんするからお膝の上乗りねの」
「え? い、いいよ~。大丈夫だから」
「ほんなこと言わんとほら!」
正座をして、ぱんぱんと膝を叩く慧音。
酔ってるのに耳掃除なんてさせたら、耳が血だらけになる可能性大だ。
そんなことは例え不老不死の私とも勘弁してほしいものだ。
私はお酒を飲み、慧音を無視していると……。
「いつまでお酒飲んでるんや! 待ってるんやで、やようしねま!」
「わ、わかったからそんなに怒らないでよ!」
はよしねま! と怒られてしまった。
最初聞いた時、しねと言われたので、何かと思ったので、いち早く調べた。
意味としては、はやくしなさい、という意味らしい。
とりあえず、これ以上酔っ払いの機嫌を損ねたくないので、急いで膝の上に頭を乗せる。
「素直に言うこと聞いとけばよかったんや。ほら、耳かきしてあげるでな」
「う、うん……」
膝の上に乗ると、ほんのりと温かかった。
しかし、今はそんなこと気にしてはいられない。
上を見ると、慧音が耳かきをもっている。
あぁ、死刑執行の時が来た。
「ほれじゃあ、いくでな」
「うん」
私は意を決して目を瞑る。
耳にゆっくりと耳かきが入ってきたかと思ったその時だった。
ぐしゅ。
嫌な音がしたかと思えば、耳に鋭い痛みが走る。
「も、もういい! 十分耳は綺麗になったからぁあああああああああああああ!!」
「おもっしぇえったって、ほんな叫ばんでもいいがの」
「わ、わかったから、もう許してッぇええええええええ!」
私の意識が朦朧としていくのがよくわかった。
その夜、竹林から叫び声が幾度となく聞こえたそうな。
少し隙のある女性って素敵。
>やようしねま!
下の文では、はようしねま、になってるので誤字かな?
わかりにくいw
なら妹紅は由緒正しい京都弁ではなかろうか!
でも面白かったです。方言って良いよね!
思いついたシチュエーションをとりあえず書いてみたい!をお気軽に形にするのもSSの醍醐味
あり方として とても正しいと思う
方言SSもっと流行れ
そういやどっかで妹紅は静岡県民になってたな。こういう地方×東方ってのも面白い。
あと自分でした耳かきで中耳炎になった自分としては最後のシーンが痛かったw
慧音先生みたいな正統派美人さんだとさらにポイントは高い!
妹紅「輝夜!、きさん殺しちやるき、覚悟しんしゃい!」
輝夜「あんたなんばいいよっとね、ウチはあんしゃんに殺さるっ謂われはなかたい」
あと、日本てるもこ協会を設立しましたのでご協力をお願いします
評価ありがとうございます。
正直、東方でやる意味がない作品になってしまいました、すみません。
慧音好きの方には申し訳ない気持ちでいっぱいです……。
>6 様
評価ありがとうございます。
賛否両論ですね、この慧音。
>葉月ヴァンホーテン 様
評価ありがとうございます。
酔ってる田舎の美人さん、素敵ですよね!
完璧じゃつまらないですよね。
指摘ありがとうございます、修正いたしました。
>自称ネイティブ関西人 様
評価ありがとうございます。
方言っていうのは本当に不思議なもので、聞いていて面白いです。
>13 様
評価ありがとうございます。
京都弁分らなかったんです、すみません……。
>15 様
評価ありがとうございます。
微妙な作品……、だめですね。
嬉しいお言葉です、方言もっと増えろ!
>16 様
評価ありがとうございます。
SSはその作家が書きたい!っていう思いが現れてると思うんです。
もっと流行って欲しいものです。
>17 様
評価ありがとうございます。
きもけーねじゃなく、福井弁で喋るなんて誰も予想できませんよね~。
静岡県民、いいですね
中耳炎……怖いなぁ。
>22 様
評価ありがとうございます。
美人さんが方言使ってるってなんかいいと思うんですよ!
>ダイ 様
評価ありがとうございます。
九州弁は聞いていて面白いですよねぇ。
東北の方に行くとよくわからないんですけどw
>26 様
評価ありがとうございます。
紫が東北訛り……想像もできませんねw
>30 様
評価ありがとうございます。
あなた……福井県人ですn(ry