Coolier - 新生・東方創想話

もう犬なんて言わせない!

2010/01/10 02:27:36
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『冬のイライラ解消に! 射命丸式椛運動法!』


「……意図がわからない」
「おや、とても簡単な内容に仕上がっていると思うのですが?」
「そうね、内容はわかりやすいわ」

 急に渡された、文々。新聞の号外。
 そこに書かれた内容はとてもわかりやすいものだった。
 室内でできる運動で、溜まった贅肉をシェイプアップ! 魅力的なボディを蘇らせるとかそう言った内容が書かれている。
 その方法も至ってシンプルで、妖怪らしいやり方だとは思う。
 けれど――

「喘息もちの私にどうしろと?」

 パチュリー・ノーレッジはやる気のない顔で、横に立つ人物を見上げた。
 だって彼女自身は『運動』と定義されるものから対極にいる存在。
 暇さえあれば椅子に座って本を読んでいるから、確かに運動不足ではある。だが魔法使いという不変な種族であるため体の変化が極端に生じにくい。ほとんど痩せたり、太ったりしないのである。
 なので、喘息と不変さ。
 その二点からシェイプアップのための運動というのが、ほぼ意味をなさない。だから彼女にとっては気晴らしという意味合いしか持たないが、気晴らしなら読書で十分。つまり『射命丸式椛運動法』というのは彼女にとってまったく役に立たないのである。
 
「いえいえ、ついでにお配りしておこうかと思いまして。
 最後の一人でしたし」
「それは賢明ね。じゃあ残りの幻想郷の妖怪たちにはもう配布したということかしら?」
「そうなりますな。日付を見ていただければわかると思いますが、ほら、昨日になっているでしょう?」

 確かに妖怪の中で病弱というのは、彼女しか当てはまらない。
 そもそも体の弱い妖怪というもの事体がまず稀なのだから。だから文は最初から配るつもりはなかったのかもしれない。

「それで私にこの号外を渡すのが『ついで』の用事なら、本命の目的は何かしら?」
「あやや、そんなこと決まっているじゃないですか」
「決まっていると言われてもねぇ、あら?」

 そのときパチュリーの視界に何か白いものが映った。
 入ればいいのか、それともそこで待っていればいいのか。図書館の扉を半分開けておろおろと視線を彷徨わせている見慣れない影。大きな耳と、可愛らしい尻尾。さらにその特徴的な赤い帽子から判断して。白狼天狗に間違いない。
 ということは、本命の用事は。

「まさか、この怪しいものを頼んだ者がこの屋敷の中にいるということ?」
「ええ、天気が悪いので、ずっと屋敷から出られずにいる誰かさんが、気晴らしを頼んだようで」
「またレミィか……」

 親友の名前を憂鬱そうにつぶやきながら、大きな本を抱えて図書館を出たのだった。
 




 文と椛が案内された、地下の一室。
 そこに足を踏み入れると、空中に浮かび上がった幼い吸血鬼の姿があった。蔑んだ瞳を向け、腕を組み。偉そうに胸を張る。けれどそれは実力に裏打ちされた自信によるもので、決して傲慢さのみからくるものではない。

 そして二人の天狗を見下ろして、蝙蝠に似た羽を開く。
 少しでも自分というものを大きく見せるための威嚇。たったそれだけの行動で怯え、先輩の天狗の後ろに隠れる者を指差しながら、彼女は笑う。

「ふふふ、そこの鴉天狗。一応確認しておくわ」

 紅く、燃えたぎる瞳はもう待ちきれないといったように客人に向けられ。
 哄笑にすら威厳を纏い、指差した手を胸の前に引き戻してからぐっと握りつぶした。
 その姿はまさに、永遠に幼い紅き月。
 朽ちることのない、吸血鬼の中の吸血鬼で――
 
「運動もいいが、別に殺してしまってもかまわんのだろう?」
「駄目です。っていうか、単なる運動に命のやり取りを持ち込まないでくださいよ」
「えー、いいじゃないの! 肉体の一回や二回の死亡くらい。あんたたちも精神さえ傷ついてなかったら元に戻るクチだろう?」

 ――でも、急に子供っぽくなるのが玉に瑕。
 ぶーぶーと不満を口にしながら文の前に下りてくる。そんな姿を前に、文は困ったように頭を掻いた。

「お願いしますよ。一応今日は後二人、依頼者がいるんですから。肉体が死んじゃったら一週間は治療に専念しないといけませんし。ねぇ、椛?」

 もう残像すら残す勢いで椛が首を上下に振る。もちろん、文の後ろに隠れたまま。
 そんな様子を離れたところで見ていたパチュリーは、咲夜に用意させた椅子に座りながら溜息を付く。

「我侭を言うものではないわ、レミィ。せっかく足を運んでくれたのだから、決まりどおりのことを実行するだけ。それでいいと思うけれど」
「そうそう、弾幕無し、スペルカードなしの単純な物理攻撃のみの手合わせ。やりすぎても滅びるわけでもありませが、ちゃんと椛にも剣で攻撃するときは出来る限り寸止めや、峰打ちしなさいと言い聞かせておりますし」
「レミィ相手にそこまで条件絞らなくてもいいと思うけど……」
「いえいえ、あくまでもお客様相手の商売ですからね」

 そう射命丸式椛運動法。新聞で宣伝されたそれは、椛が暇な妖怪のところへ行き、安全な手合わせを行うことで運動不足を解消し同時にイライラも発散しちゃおう、というもの。その際は先ほどの文の台詞のとおり、弾幕、スペルカードはなし。それに加えて相手を滅ぼしかねない攻撃もなしと新聞に記載されてる。その運動を1時間だけ実施するというわけだ。
しかしどうしても納得できない部分もあるわけで。

「あなたたちの利益は何? 椛っていうその白狼天狗の訓練か何か?」
「訓練、ですか。ふむ、似たようなものですな。私としてはこの運動自体を記事にすることができる。ということと。一年分の定期購読の契約、といったところで」
「あら、そうなの? 咲夜」

 すると、パチュリーの斜め後ろで控えていたメイド長が一礼しながら一歩前に出る。なぜレミリアの側にいないかといえば『運動の邪魔』と言われてしまったから。
 
「ええ、ちょうどゴミ焼却用の紙が不足している状況でして」
「あの、いきなり燃やす前提で話を進められると悲しくなるんですが」

 レミリアに冷たくあしらわれてしまったのが不服なのか。いつもより刺々しいように思えるのは、文の気のせいだろうか。
 
「さあ、椛! お客様がお待ちです! さっそくいってらっしゃい!」

 手帳を取り出し、別の意味で準備万端の文の命令でしぶしぶ前に出る椛だったが。

 くぅぅん……

 レミリアの殺してもいいか? の脅しが効きすぎてしまったようで。
 なんだか高い声で鳴きながら、上目使いで何度も何度も文を振り返ってくる。
 腰もすっかり引けてしまっているし。
 すでに戦意喪失状態にも見える。

「子犬を捨てるときって、ああいう感じなんでしょうね」
「うん、的確だけど。その意見はどうかと思うわよ、咲夜」

 外野のお気軽発言の中、とうとう運動が始まってしまったのである。




 
「ねえ、確認したいのだけれど、別に殺してしま――」
「何度も言いますけど、駄目です」
「ケチねえ、まったく」

 手の平を天井に向け指を鳴らしてから、レミリアは半身になって椛と向かい合う。それを見て大剣と盾を正面に構える椛は一歩だけ後ろに下がった。いくら広々とした部屋だからといっても、必要以上に距離を取るのはあまり上策とは言えないかもしれない。
 それが人間相手なら。
 けれど、相手は吸血鬼。人間の家が丸々納まりそうなほど広いこの場所。しかしレミリアにしてみればこの程度の広さなど何の問題にもならない。

「あら、その程度の距離でいいの? ワンちゃん」
「む、犬と呼ばないで頂きたい! 私はこれでも、狼と天狗の血を引く者!」

 『犬』、そう呼ばれるのを最も嫌う椛は、逃げるような物腰から一変。
 牙を剥き、無礼な吸血鬼へと敵意を向けた。
 そんな威圧を受けても、レミリアは平然とした態度で床を右足で叩いて。

 トンっと。
 軽く体を浮かし、ステップを踏んだ。
 まるでワルツを踊るかのような、流暢な動き。
 その動きの美しさに、椛は少しだけ気を緩めてしまう。まるで何もない無骨な空間から、かすかな旋律が聞こえてくるよう……
 そう錯覚させるほど、洗練された動きだったから。

「ねえ、わんちゃん? 弱い犬ほど良く吠えるというけれど、あなたもそんなつまらない犬かしら?」

 最後に、軽くつま先を床に触れさせ。
 お辞儀をするように上体をわずかに沈めた。

「だから犬というなと言っているでは――っえ?」

 ふざけた態度を取るレミリアに椛は再び抗議の声を上げるが。
 その視界の中でさっきまで身を屈めていたはずの、小さな吸血鬼の姿が霞みのように消える。
 人間では、信じられないことなのだが。
 彼女は一歩だけ、前に進もうとしただけ。

「どちらでもいいけど。
 吠えすぎると、舌を噛むよ?」

 でも、その間合いはあまりにも彼女にとって狭すぎて。
 椛が気付いたときには、水色の髪が目を疑うほど近くで揺れていた。
 慌てて盾を前に構え、疾風のような体当たりを押さえ込もうとする椛だったが。
 レミリアの狙いはまさに、それ。
 口元から牙を覗かせながら微笑むと、同時に大地を踏みしめる。たったそれだけの動作。
 そんな単純な片足の力だけで、その尋常でない速度の突進を止めたのだ。
 椛の盾に鼻先を付けるほど顔を密着させながら。

「くっ!」

 レミリアの突進を予想していた椛は、それに耐えるため重心を前に置いていた。
 あの速度から急停止できるなんて、考えてもいなかったから。
 この間合いでは剣も有効に使えず、距離を取ろうにも前傾姿勢の状態では後ろに下がることができない。椛は苦し紛れに、盾を使った打撃をレミリアに加えようと、体重を加えて押し込むが。
 けれど、それもまだレミリアの手の平の内。
 左足を軸足にして、押し込まれる左腕を受け流し。
 そのまま左手で盾の端を。
 右手で椛の左肩を掴むと。
 細腕とは思えない膂力で、捻る。

 客観的に見れば、子供が軽く腕を振り回しただけ。
 それだけなのに、椛の体の上下があっさりと反転した。
 上下逆さま状態で浮遊する。そんな椛の無防備な腹部。
 それを見つけたレミリアのスカートが、ふわりと浮かび上がり。
 優雅に宙を舞う。

「はい、おまけ♪」

 けれど、そんなゆっくりと空中を流れる衣服とは対照的に。
 空気を切り裂くような回し蹴りが、彼女の腹部に叩き込まれた。
 椛の体はまるで蹴鞠のように地面をバウンドしながら吹き飛び。ほとんど勢いを殺せていない状態のまま無機質な壁に背中から激突する。
 その際椛の持つ剣と壁が激しく衝突し、耳障りな金属音を響かせた。高い音の余韻が残る中、逆さ状態で壁にはり付けにされていた椛は、やっと重力を思い出したかのように地面へ倒れ込む。
 レミリアはそんな、無様な犬に背を向けると。
 髪をかき上げながら、咲夜の元へと足を進めた。

「まあ、所詮は天狗の下っ端。この程度というところかな? 咲夜、時間は?」
「二分です、お嬢様。正確な戦闘時間は十秒に満たないかもしれませんが」
「当然の結果ね、もう少し頑張ってくれると思ったのに」

 懐中時計の針を見つめる咲夜の声を静かな表情で受け止め、微笑みながらその視線をもう一人の天狗に送る。その瞳はまるで、こう語りかけているようだった。

『たった二分だぞ、どうしてくれる。
 次はお前が相手をしてくれるのか?』

 まだまだ、体を動かし足りない。
 まだまだ、火の付いた妖怪の戦闘衝動が収まらない。
 まだまだ、欲しい。血が、肉が、身体を構成するものの全てが、生贄を寄越せと叫びを上げている。
 そんな親友のぎらついた視線。
 文の近くにいたせいでその瞳を見ることになったパチュリーは、何事もないかのように手帖にメモを書き記していく天狗の服を指で引っ張った。

「ねえ、レミィがすっごいやる気でこっち見てるんだけど?」
「おやおや? では今度はあなたと?」
「冗談、当然あの犬がやられたんだから、今度はその上司が出るべきね」
「なるほど、それは正論ですな。やはりお客様に楽しんでもらうのが第一ですし。やられたのなら、私が出るとしましょうか」
 
 そういうと、文は手帖を胸ポケットに仕舞い込み。変わりにカメラを取り出して、今にも飛び掛ってきそうなレミリアの表情をレンズに収める。
 続いてそこから少し位置をずらして。

「椛、服が乱れていますよ。ちゃんと整える」

 なんてことを言う。
 さっき綺麗にのされた惨めな部下に向かって。
 パチュリーが客観的に判断しても、起き上がれるような倒れ方ではなかった。頭から地面に落ちて、うつ伏せに転がったはず。
 そのまま気を失ったように脱力していたはず。

「うー、戦ったら服が乱れるのはしょうがないじゃないですか。おもいっきり投げられましたし」

 その声に、パチュリーだけでなく。文以外の全員が同時に視線を動かした。
 不機嫌そうな声を発し、平然と立ち上がっている椛へと。
 そんな驚きを見せる周囲の者たち、その予想通りの反応に文は手帖で軽く自分の額を叩いた。

「ん、それだけ憎まれ口が言えるなら大丈夫ね。
 ほら、まだ椛は元気そうですから、私が出る幕ではない。さきほどの言葉の揚げ足を取るようですが、そういうことで間違いありませんな?」
「……え、ええ、そういうことになるわね。けど、いくらなんでも頑丈すぎない?」

 視界の中の椛は、一応上司に言われたことなので襟元と、掴まれた左腕の部分の服を正しながら、耳や尻尾を小刻みに動かしていた。どこか痩せ我慢して立ち上がっているはず、そう思ったパチュリーはその仕草を細かく観察する。が、見れば見るほど無傷に思えるのだから。

「そうですな、我々鴉天狗であれば、今の攻撃でも十分な打撃となったでしょうが。椛は肉体派の白狼天狗の中でも丈夫な部類でして」

 天狗の身体能力は吸血鬼のような強力な妖怪に劣らない。
 確かにそう記載している文献はあるが、それはほとんど速度についてだけ。物理的な防御力がずば抜けているとか、そんな知識はパチュリーになかった。
 呆気に取られた様子で、彼女が瞬きを繰り返す中。
 
「ふふ、おもしろいじゃない……」

 瞳を紅に輝かせ、喜びに打ち震える吸血鬼が。
 再開の合図すら待たずに、床を軽く蹴る。
 ゆっくりとした動作から急激に動きを変化させ、残像を残すほどの速度で椛の間合いに入り込む。そこまでならさっきと同じ。さらにそこから地を蹴った。
 何の前触れもなく真横に、鋭角に飛ぶ。
 慣性の法則を無視するような動きで斜め上に飛び上がったレミリアは、空中で満月を象るように身を抱えて縦に回転。
 下を向くように体を調整し、垂直の壁に足をつける。
 眼下には哀れな獲物が一匹。
 きっと、また姿を見失って、無様に慌てているはず。
 それを舌なめずりするように見下ろし、壁を蹴って弾丸のように急降下。
 盾にも剣にも守られていない、無防備な首筋へとその鋭い右手の爪を振り下ろして――

 何故か。
 目が合った。

 白い髪で覆われてわかりにくかったけれど。
 その前髪の隙間から覗く瞳が、しっかりとレミリアの動きを追っていた。
 椛は剣を地面に付き、その反動を利用して素早く身を引く。それと同時に大きく体をひねりながら剣を持ち替えた。椛の視線の先には、高角度の攻撃を避けられたレミリアが片手を床につき、両膝を折り曲げてしゃがみ込んでいる。
 その体勢を立て直す隙すら与えないように。
 一歩踏み込み、刃の背を向けた大剣を真横に薙ぎ払う。

 目標は回避行動を、取らない。

「上出来だよ……」

 いや、取る必要がなかった。
 手加減された、峰打ちなど避けるに値しない。
 その剣閃へと左手の甲を差し出し。

「面白じゃないの! 犬ころ!」

 しゃがんだまま腕を軽く振っただけで、向かってきた剣を上に弾く。
 剣先がぶれてしまったせいで、椛の体制が崩れ。
 絶好の反撃のチャンスがレミリアに与えられるが、彼女は動かない。

 蹈鞴を踏む椛が愛しい恋人であるかのように見つめ。
 スカートの裾を掴み、淑女のような会釈をしてから。

「さあ、共に舞踏を楽しみましょう?」

 警戒する椛へ向けて、ダンスの相手を誘うように右手を差し出した。



 


 咲夜は、眉を潜める。
 
 ガンッ!

 剣術は妖怪の中では上の部類なのかもしれないが。
 剣撃の鋭さ、美しさにおいては、同じ片刃の獲物を持つ魂魄妖夢の足元にも及ばない。

 ガガッ

 盾を攻撃に使おうとする際も、思い切りが足りず。
 片手で大剣を扱っているせいで、切り返しがわずかに遅い。
 その隙を突かれて容易に接近を許し、苦手な間合いにさせられている。
 それでも剣での攻撃に拘ろうとするから余計に攻めがワンパターン。
 そう、咲夜からして見れば、隙だらけの。
 無駄だらけの動作なのに。
 視界の中で動く椛はなぜ――

「椛が何故先手を取り続けているか、それがわからない。
 といったところですかな?」
「……お嬢様が遊んでいるだけ。それだけですわ」
「そうですかねぇ、攻撃を仕掛ける前は結構本気の速度で動いているのではありませんか?」

 鋭い文の意見に、咲夜は口を閉ざし。
 前方の二人を静かに見守る。
 広く見えるこの空間。それでもこの部屋のすべてが、レミリアの間合い。
 床を蹴り。
 壁を蹴り。
 天井すら蹴る。
 縦横無尽に動き続けるレミリア。

 鴉天狗に匹敵すると言われる速度で、ほぼ全方位からの攻撃を加えられる吸血鬼の身体能力。
 十分スピードに乗った後の馬鹿げた動きに、対応しきるなど。
 達人の域でなければ成し得ないこと。

 しかし。

 椛は、不恰好に体勢を崩されても、必ず向かってくるレミリアに対して攻撃を加えている。
 避けられ、受け流され、まともに当たる事はないが。
 それでも、牽制という初手を放っているのは間違いなく椛の方が先。

「目、ですよ。咲夜さん。
 あの子、異常なくらい目がいいんです。私の動きを軽々と追える位に」
「あなたの動きを?」

 耳を疑った。
 幻想郷で最速との呼び声高い文の動きを。あの危なっかしい動きでレミリアとの攻防を繰り広げている椛が知覚できるなど、信じられなかったから。

「ええ、必ずといっていいほどね。初めてあの子と訓練をしたとき正直肝が冷えましたよ。
 何度もフェイントを繰り返し、完全に不意を打った、そう思ったのに。
 瞳だけが、驚くほど冷静にこちらへと向けられていたのですから」
「でも、体がそれに付いていかない。そういうことかしら?」
「おや、さすが、パチュリーさん。話が早い。
 あんな大きな武器を無駄に振り回しちゃっていますからね、しかも妙なところで油断する癖もありますし、それが大問題ということです。でも一手目の攻防の精度だけは高いですから。あちらのお嬢様も、その目の良さを楽しむために攻撃を加えてもすぐ離れている」
「ヒットアンドアウェイってやつね。確かにこれならストレス解消にはなりそう。あれだけの速度の攻撃を初手だけでも防ぎ続けるなんて、この館の中でも妹様くらいしかできないんじゃないかしら。避け続けるだけなら咲夜もできるでしょうけれど、受けるとなるとね」

 一度、油断して投げ飛ばされたから、もう気を抜く可能性は少ない。
 だから一度攻撃を加えてから、すぐ離れるという戦い方を繰り返している限り椛のガードは安定する。安定するから何度も攻撃の初手を試すことができ、楽しめるというわけだ。

「それと、あの椛という子の成長も助けられると」
「まあ、成長というより。アレですな。自信回復のためといいましょうか、と。また後で説明させていただきましょうか。そろそろ限界のようなので」
「限界って、あの椛って子の体力が?」
「いえ、見ていればわかりますよ」

 文は、戦いの様子を手帖にこと細かく書き加えながら。
 限界を迎えようとする『ソレ』を観察し続けた。
 





 ピシ……ミシ……

 その破滅の音は、椛がレミリアの攻撃を防ぐ度。
 牽制する度に、大きくなる。
 文はこうなることを予想して、予備を用意しておいた方がいいと言っていた。けれど、椛はそんなことがあるはずがないと、その忠告を聞かず。
 変わりになるものなど準備していなかった。

 まさか。
 天狗用の武具が、歪み、軋み、悲鳴を上げるなんて思ってもみなかったから。
 吸血鬼の身体能力が優れていると聞いた後でも。まさかここまでとは考えていなかったから。
 それでも武具を気にして牽制と防御を疎かにするという選択肢は椛の中にはない。
 自分の技術の全てをもって、この手合わせに集中していた。
 レミリアが楽しんでいるように。
 椛もこの攻防を楽しみつつあったのだ。

 ガギンッ

 一撃を防ぐ度に細かなひび割れが走り、欠片が宙を舞う。レミリアも手ごたえで感じたのだろう。
 あれほど激しかった攻撃の手を止め、距離を取って醜く変形したその武器を見て。
 くすり、と嘲笑する。

「おい、犬ころ。あなたの健闘を称えて、このままやめてあげてもいいよ?
 予想以上に楽しめたし、無様に武器を失って帰ることもないだろう」

 その問い掛けが何を意味するか。
 椛でもそれを理解することは簡単だった。
 レミリアはこう言っているのである。
 次の攻防で、その武具を破壊する、と。
 それを破壊された後でも、私の攻撃を受け続ける自信はあるか、と。
 
「愚問です。犬呼ばわりされたまま引き下がるなど、犬走家一生の恥」

 だが、椛は迷わない。
 ガラクタ同然の武器を手に、変わらない構えを取り続ける。
 その瞳に、この部屋に入ってきたときのような怯えた色など微塵もなく。
 ただ真っ直ぐに、目の前の相手を映すだけ。

「……良く言った。さあ、ご褒美をあげようか!」

 迷いのない瞳に応えるように、レミリアは小細工なしで。
 全力で、地を蹴る。
 その速度はまさに、雷光が如し。
 轟き、うねり、空気を歪ませ。獲物に向かって遅い掛かる。

 しかし椛はその動きを正確に捉え、文の忠告を無視した本気の突きをレミリアに繰り出した。それは向かいくる彼女の左肩へと突き刺さるように見えたが。

 穿ち、切り裂いたのは一房の水色の髪だけ。
 身を屈め、突きを紙一重で避けたのである。
 そうやって身を屈めたまま体を横に捻り、髪を切り裂いた憎い大剣を弾き飛ばす。すると剣は柄の部分から折れ飛び、空中で粉々に砕け散った。
 まるでそうあることがその剣の運命だったかのように。
 煌く美しい破片を宙に散らした。

 そんな金属の破砕音が響く中で。レミリアはさらに加速。
 捻った体の勢いを殺さないまま、椛に体当たりを仕掛ける。
 それをわざと後ろに飛ぶことで衝撃を減らし、全身で受け止めるが椛だったが。レミリアは椛の体から離れる直前に手刀を放つ。
 その狙いは明らかに。
 椛を守ってきた盾に向けられていて。
 硬いものが触れ合う音の後に。
 中央から上下に両断された、盾の残骸が床の上に転がった。

 これで身を守るものは、何もない。
 後ろに飛んだことで、なんとか一時的にレミリアとの距離は離れたものの。椛は両手をだらりと垂らしたままだった。二回の攻防、体当たりで腕がしびれたのか。
 防御の構えすら見せず、立ち尽くす。

 そこへ止めといわんばかりにレミリアが舞い上がり。
 羽を大きく広げ、全力で空気を打つ。
 瞬間、部屋全体を震わせるような、目に見えない波紋が広がり。
 その反動で鬼神のような勢いで、まるで閃光のように急降下する紅い悪魔は。
 椛の無防備な胸へとその無慈悲な足を突き刺し――
  
 刹那。

 激流に飲み込まれた哀れな影は。
 轟音と共に、弾き飛ばされ、瞬きをする間に冷たい壁へと叩き付けられた。
 その影は、二つ。
 背中を強く打ち、無理やり肺から空気を奪われて、昏倒する椛と。
 目を見開き、驚愕し、混乱し。
 自分が何故壁を背負わされているかわからないレミリア。

 何が起きたかわからない者と。
 どう声を掛けていいかわからない、観客たち。
  
「あの…… 
 一時間、経過しましたわ。お嬢様」

 そんな事務的な声が、静かに響く中で。
 
(まったく、なんていい顔で気絶してるんでしょうね、あの子は)

 体を横にして倒れている椛の顔が、とても清々しい表情をしていて。
 文は思わず苦笑してしまっていた。


 





 運動が終わった後、その場にいた全員はソファーの置かれた広い客間に移動していた。
 咲夜を除いた紅魔館の住人はソファーに座り、紅茶を楽しみ。客人の天狗二人組みはというと絨毯の上で腰を下ろしている。

「……は? 弾幕勝負に勝てなくて落ち込んでたから?」
「ええ、まあ、そういうことですよ、パチュリーさん。この子、身体能力は高いんですけど。何か物を持たせたり、弾幕のみで戦えとか言うと、びっくりするほど下手なんですよ。スペルカードを作れと言っても、通常弾幕くらいしかイメージできない始末で」
「あの、文様? さすがに至近距離でそんなことを言われると傷つくんですが……」
「はい、そこ静かに」
「い、いたあぁぁあぁぁぁあああ゛~~~~!!」

 しゃがみ込みながら包帯を巻いている途中の足首を軽く捻ると、腰を下ろして右足を預けている椛が大げさに暴れ出す。バンバンっと床を叩き、格闘技でいう『まいった』という仕草を何度も何度も繰り返し、文に捻った足首を離すよう訴えるが。
 それが聞き入れられたのは、20回ほど手を打ち付けた後だった。
 さきほどの手合わせの疲れに加えて、今の追い討ちが効いたのか。椛は口から魂を吐き出すんじゃないかというほど、脱力し、放心してしまう。そうやって椛を物理的に静かにしてから、文は椛の足首の治療を続け手際よく包帯を固定した。

「でも、妖怪はあまり精神状態が良くない場合、それが肉体にも影響を及ぼしますからな。どこかで息抜きをさせないといけないかと。でも、単なる遊びや、会話程度では簡単に修復できそうにないほどの落ち込みようでして」
「ふーん、何か原因があるってこと?」

 文はまだ絨毯の上で気を失っている椛を抱えると、軽く飛び上がりながらソファーに着地。自分の横に椛を寝かせてから、パチュリーの正面に座る。
 そして膝の上に乗せた椛の頭をぽんぽん、と二回軽く叩いた。

「まあ、何と言いますか。弾幕勝負で妖怪ではなく、妖精に負けたわけで」
「……それは落ち込むわね」
「油断する悪い癖も出ましたし、と、これはどうも」

 文が席に着いてから咲夜が紅茶をそっと差し出す。そして意識のない椛の前にも同じようにカップを置いた。
 妖怪なのに妖精に敗れ、凄く重い空気を背負ってしまった椛に上司として何かできないかと考え。その結果思い当たったのが、この方法なのだった。

「というわけで、天狗の力ってほんとは凄いんだぞ! ということを思い出させるために、こういう場を考えたわけですよ」
「へえ、それで私がその最初の当て馬になった。そう思っていいのかしら?」
「そのとおりですが、何か文句でも? 珍しい娯楽として楽しめたでしょう?」
「否定はしないけど、気に入らない言い方ね」
「あやや、すみません。一応訓練とか運動、そう自分自身にも言い聞かせているつもりなのですが。やはり天狗という血が少しだけ表に出てきてしまうようで」

 天狗は、上下関係、仲間の関係を大切にする。
 もし仲間が誰かの手によって傷つけられた場合、種族全体で報復行動を取る。それほど絆の強い種族であるため、文も知らぬ間に気が立ってしまっていたようだ。そのせいで椛と手合わせをしていたレミリアに対し、自然と冷たい言葉遣いになってしまったのである。 
 軽く謝罪してから自分の額を指で軽く叩いておどけて見せるが、レミリアはまだ不満そうに足を組み、瞳を細める。

「いやぁ、未熟ですねぇ、私も。記事にするときはちゃんとそちらよりの記事にしますので、ね♪」
「ね♪ じゃない。そんな取材のことはいいから、ほら、教えなさい」
「は? 教えるとは?」

 素っ頓狂な声を上げて、文が首を傾げるのを見てレミリアは腕まで組んで不満を露にする。どうやら彼女の不機嫌さは、文の失言とはまた別なところにあるらしい。しかいそれが皆目検討の付かない文は、パチュリーの方へと視線を向け助け舟を求めるが、パチュリーは紅茶を飲み、読書を始めるというマイペース振り。

「……わからないなら、わからないと言いなさい」
「はははは、申し訳ないですね。全然思い当たりません」

 パチュリーの方へ顔を向けたことで、自分の言葉を理解していないと判断したレミリアは、また不満そうな声を漏らす。溜息を付きながら瞳を閉じた後、ソファーの上で横になり文のふととももに頭を乗せた椛を指差した。

「その子、最後に何をしたのよ? 
 あのタイミングで弾かれるなんて想定外だわ」
「ああ、なるほど、そのことですか。確かにあの位置からでは見難かったかもしれませんね。
 単純なことなんですけど」
「だから、回りくどい言い方しない。何をしたかさえ言えばいいの」
「ふむ、向かってきたあなたの足を蹴っただけ。ただそれだけですが?」
「ふん、蹴っただけって? 嘘を吐かないでよ」

 だから椛の効き足である右足はを傷し、さきほど文が治療を行っていた。
 それでもレミリアは疑いの眼差しを向けたまま文を睨む。

「あのタイミングで。アレだけの威力よ? 重力も何も味方しないあの状況で、純粋に力だけで私の脚を迎え撃ったというの? 有り得ないわよ、そんな――」
「白狼天狗は、天狗とは言うものの。私たち鴉天狗と比較すれば自在に空を飛んだりできません。まあ中には努力によって、それに近い速度まで出せるものもいますが。地面を蹴って移動する方が得意だったりするんですよ」

 レミリアの声を遮り、文はいきなり天狗という種族に説明のようなものを始めてしまった。言葉を途中で止められ、少々不機嫌な顔をするものの。その文の言葉の中に何かをみつけようと、組んだ膝の上に肘を置き、顎を手の甲に乗せた。
 そんな目の前の吸血鬼の動きを気にせず文は説明を続ける。

「普通は妖怪の山の中で行動するだけなんですが。
 私は取材のために椛を数多く連れまわすわけで。そのとき本気ではないとは言っても、流す程度で飛ぶ私に走って付いてくるんですよ。あの重い剣と盾を背負ってね。そんなことを毎日のように繰り返した場合。どうなると思います?
 しかも雪のような足場の悪いときから、嵐のようなときまで」
「上司を恨むわね」
「いやいや、そういうことではなく」
「わかってるよ、足腰が極端に強くなる。そういうことだろう?
 その自然に鍛えられた足で繰り出された蹴りが、私を弾き飛ばした。まったく常識はずれな種族ね」
「いやいや、あなたの種族も大概だと思いますよ?
 素手で武器壊すなんて、どんな全身凶器なんですか」

 それでも、文は思う。
 眠っているように見える椛の頭を撫でながら思う。
 もしこの子が、その目の良さと身体能力を全て活用できれば。
 弾幕戦でも、負けることはそうそう無いはず。レミリアに向かっていった気迫が、あれだけの本気がいつも出せていれば。
 そうやって、眠っているように見えて。
 尻尾を振り始めた椛の髪を。

「はい、狸寝入り禁止」

 一束だけ摘んで引っ張った。
 すると、ゆっくり振られていた椛の尻尾が、おもしろいくらいまっすぐに伸び。耳も雷を浴びたように逆立つ。

「いたっ! 痛いです! 起きます! 起きますから!
 ……気持ちよかったのに、もうちょっとくらい」
「何か不満でも?」
「い、いえ、何でも!」

 そして、慌てて文の膝枕から頭を上げて、頬をポリポリと掻き始める。
 ほんのりと、頬を朱色に染めながら。
 そうやって、のほほんと文を見つめる椛を見て、レミリアはため息をついて肩を竦める。

「私を弾き飛ばしたのが、こんなお気楽な犬とはね、まったく。仕事が終わったならもうどこにでも行きなさいな」
「む、だから私は犬ではないと! むぐぅ!?」
「はい、ではそうさせていただきましょうか、椛。次のところの時間も押しているようですし。それに、壊れた装備の再発注を河童にしておかないといけませんし、やるべきことは山積みですからね」

 文句を言いたそうに暴れる椛の口を押さえ、体を抱き。文はふわりっと宙に浮かび上がる。
 そんな客人に向け、咲夜は丁寧に一礼し。
 レミリアは控えめに手を横に振る。
 そして未だに不満そうな目をしたままの引っ張られていく椛に対し、くすり、と微笑み。 

「ま、それでも、最後に逃げ出さなかった根性を称えて。盾と剣の修繕費はこちらで受け持ってあげる。怪我が癒えたら貴方が請求書を持っていらっしゃい、『椛』」

 瞬間、文に抱えられたまま出口へ向かっていた椛の尻尾が。
 その日で一番激しく左右に振られたという。









「文様! 最後見ました? 私の渾身の蹴り! こう、バーンって。
 ふふ~、私だってあれぐらいできるんですから!」
「はいはい、すごいすごい」
「吸血鬼だって最後私のこと、椛って名前で呼んでましたし! えへへ~、もう一人前ですかねぇ」

 レミリアにあれだけ犬呼ばわりされた後に、名を呼ばれたのがそんなに嬉しかったのか。妖怪の山へ戻る途中しゃべることしゃべること。文は呆れた様子でおしゃべりな部下を振り返り、その包帯の巻かれた右足首を指差す。

「そういうのはまずその怪我を治してからいうこと。それに、その怪我じゃすぐ次の人との運動できないじゃない? どうするつもり?」
「え、あの、それは。す、すみません。調子に乗って……」

 空中に浮いたまま耳をぺたん、と倒し尻尾まで力なく下がる。
 笑ったかと思ったらすぐ泣きそうな顔をする。
 そんなしょうがない部下が下げた頭を、軽く叩いた。

「そうやって、すぐ落ち込まない。武器防具のこともあるから、今日のところはこれで終わり。あなたも今日はゆっくり休むこと」
「え、でも……」
「相手には私から謝っておくわ。明日に回してもらうように。哨戒任務の日程も調整しておくから何も心配せず、ね」
「文様……
 はい、わかりました! この犬走 椛。期待に答えて明日も頑張りますよ!」

 ぐっと握り拳を作って気合を入れ、元気良く空中で一回転。
 そんな姿を見て、文も釣られて微笑んで。

「では、私は残りのお二方に挨拶に行ってくるから」
「わかりました。ところで文様。残りのお二方というのは?」
「聞きたい?」
「はい、参考までに。大丈夫ですよ、あの吸血鬼の前でも逃げなかったんですから」
「しょうがないわねぇ、今回だけよ」

 文は、困ったように笑いながら指を二本立てて。

「“風見 幽香” と “八坂 神奈子”。 
 な~んてね、冗談……
 椛? お~い、しっかりしない椛~~」

 その名前を聞いた直後。
 椛は泡を吹いて気絶してしまったのだった。
 









 

 そうやって、文が椛で遊んでいる頃。
 紅魔館では。

「……パチェ、ちょっと包帯と、傷薬持ってきて」
「みんなの前で見栄なんてはるから……」

 図書館で足を押さえ、涙目になっている吸血鬼がいたという。
 
 読んでいたただ気ありがとうございます。

 戦闘モノを書いてみたかったのでこういう作品を仕上げてみました。
 好きなキャラの椛を生かしたかったので、どうしても弾幕バトルじゃない戦い方で!

 ご意見、ご感想等あればよろしくおねがいします。
pys
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コメント



0.1860簡易評価
7.90名前が無い程度の能力削除
実際どんなもんなんでしょうね、身体能力的には…
…おっと、オタ特有の比べたがりの悪いクセが出てしまった。
13.100名前が無い程度の能力削除
レミリアの強がり
それもまたよし
15.100煉獄削除
椛が『くぅぅん』って鳴いてる姿、二人の戦いや、その合間の会話とか良かったです。
戦闘後の会話や雰囲気なども面白かったですよ。
21.80名前が無い程度の能力削除
句読点の間違いがいくつかありましたけど、物語はすごく面白かったですよ~
29.90名前が無い程度の能力削除
流石ネタでファンタズムボスにされるだけあるなwww
31.無評価名前が無い程度の能力削除
>だから椛の効き足である右足はを傷し、さきほど文が治療を行っていた。
負傷、かな?
34.100ずわいがに削除
レミリアも犬もカッコ良かったよ。
吸血鬼相手に健闘した犬はホント凄いわ。流石犬走犬。

相手の前で弱った姿を見せないのは普通に立派。