※ギャグです。読み流してください
紅魔館で開かれた、幻想郷の勢力の多くが集ったパーティー。妖怪を恐れて出向かない人里の人間にとっては
やれいい御身分だ贅沢だなどと僻みの声も上がったりするが、この時消費される大量の酒、食材、装飾品は無論
ほとんどが人里で調達される。そのため多くの金が流通し、幻想郷の景気を保つ役割を持つ。
紅魔館が会場である以上、西洋式の立食パーティーの形となることが多い。しかし幻想郷は文化としてはもちろん東洋よりなため、
どうしても立ち食いが苦手な者も存在する。それが礼儀正しく行儀もよい者であればあるほどだ。そのため、屋外にもかかわらず
そのような者達のための場所が設けられた。畳が敷き詰められたスペースである。
畳を多数運ぶのは存外苦しいことだが、そこは会場責任者十六夜咲夜が鬼に『皆が気持ちよく宴会できるように』と交渉し
鬼も快く承諾したので無問題であった。
そして現在、その畳スペースには礼儀の正しさは幻想郷でもトップクラスの女性、聖白蓮がいた。
そこに酒が少々入って周りに絡んでいた魔理沙がアリスとパチュリーを連れてやってきた。
さらに魔理沙を見つけてついてきたフランドールも交え、ここに幻想郷の魔法少女が集結したのである。
それぞれ違った魔法タイプ…破壊特化、使い魔特化、属性魔法特化、身体能力強化特化と、己の得意分野不得意分野に関する話題に
全員が楽しんでいた。特に白蓮は魔法について語り合う相手が長らくいなかったため非常に喜んでいた。
そんな折、白蓮が尋ねた。
「みなさんの馴れ初め、出会いはどのようなものだったのですか?」
この質問に始めに答えたのは、意外にもパチュリーだった。彼女も表情には出してないが魔法の語らいに気分を良くしていたようだ。
「私はずっと図書館ですごしていたけど、レミィ…あっちで歌ってるちっこい友人が起こした異変がきっかけだったわね。あの時はてっきり巫女がやってくるものとばかり思ってたのに、この白黒がやってきて弾幕ごっこを始めたのが始まりだったわ」
しかも本の窃盗まで始めるし…と憎々しげな視線を魔理沙に向ける。
白蓮の膝枕でご満悦な魔理沙は「たはは」と笑うだけであり、パチュリーも溜息をつく。
その彼女に続いてフランドールが元気に答えた。
「そうそう、私はその少し後だったんだ! ずっと地下で過ごしてて外に興味はなかったんだけど、お姉様やみんなを倒した人間っていうのをどうしても見たくなってねー。その時に初めて魔理沙に会ったの!」
「おー、そう言えばそうだったなー。で、その次の冬に…いや春か。そん時にアリスに会ったんだっけ」
紅霧異変、春雪異変を思い出し、アリスのことを語る。しかし魔理沙の言葉にアリスが少々慌ててみせた。
「ちょ、ちょっと! あんたと会ったのはもっと前よ! それこそレミリアが霧を出した異変より前!」
「ぁー? そうだっけか?」
「忘れたとは言わさないわよ! あんたやあんたの師匠に受けた屈辱の数々、私は片時も忘れたりなんてしてないからね!」
「屈辱、ですか?」
穏やかでない言葉に白蓮がピクッと反応する。
「くつじょくー」
「くつじょく~」
紅魔館コンビが茶々を入れた。
忌々しい記憶を荒げた声で語りだす。
「そうよ! 弾幕で敗れた相手をメイドにしてこき使ったり、あまつさえロープで縛って吊るしあげたり…そこらの妖怪よりよっぽど悪魔くさいわよ」
「ロープで緊縛放置プレイ……アリね」
「アリアリ~♪」
「アリなの!?」
まさかの紅魔館コンビに突っ込まざるを得なかった。
「あらあら魔理沙、貴女は私に『人間の方が妖怪に虐げられている』と言ってませんでしたか?」
「い、痛い痛い!」
ニコニコと笑顔で膝の上の魔理沙の頭をグリグリする。
しばらく痛めつけられた後、膝から離れ涙目で魔理沙は抗議した。
「ぐすっ。ひどいぜひどいぜ。私はただアリスの持ってたグリモワールを研究しようとしたら、邪魔してくるから大人しくさせようとしただけなんだぜ……っと、そう言えば」
「? どうしたの?」
「そう言えば、アリスってそんな格好だったか?」
「は?」
「え?」
「魔理沙、何言ってるの?」
突然の魔理沙の的を得ない質問にパチュリー、白蓮、フランドールが疑問を返す。
「いや、確かにアリスと昔に会ったのは思い出したが、それは紅霧異変よりせいぜい1年かそこら前の話だ。幻想郷と魔界がつながっちまって、魔界の妖怪とかがこっちに溢れてきたりしたから元凶を懲らしめに行ったんだった。そん時に会ったっけ」
「そうそう。よくもあの時は縦横無尽に師弟ともども暴れてくれたわね」
「おいおい、霊夢や幽香もいただろ」
自分と師匠を目の敵にするアリスに残り2人の実行犯を提示する。しかしあまり意味はなかった。
「あいつらがいたからってあんたらの行いを許すわけないでしょ!」
しかし2人の喧嘩内容より、魔界にアリスと出会ったという点にパチュリーが驚いた。
「アリスって、魔界出身だったんだ…」
「ええ。パチュリーのとこの小悪魔がウチにいたかどうかは知らないけど、白蓮さんの封印のことは知ってたわ。ただ、人間がわざわざこっちに封印したのだから、私達が解放するのもどうかと思って放っておいたんだけど…」
若干気まずそうに白蓮を見る。しかし白蓮はいつもの聖母のような笑みをたたえて言う。
「いえいえ、私は別に気にしてませんよ。現に封印は解かれて、今は貴女達と友達になれたのですから」
「ともだちー♪」
白蓮にフランドールが抱きつき、白蓮をフランドールを抱き返す。
徒に排他的でなければ、どのような者とも交流を深めていこうと白蓮は考えていた。
若干逸れた内容をパチュリーが軌道修正した。
「で…魔理沙、さっきアリスの格好がどうのと言ってたけれど、何だったの?」
「ん、あれか。いやな、アリスってあの時超ちっさかったのさ」
「「「?」」」
よくわからない、と3人の顔。
「ああ。身長も体形も今と全然違ってた。いつものグリモワールを両手で抱きかかえなきゃ持てないくらいのロリっ娘だったぜ。今のフランと同じかどうかってくらいだったな」
「「ロリっ娘言うな!」」
ちっさい言われて喜ぶ大人も子供もいないのである。
「……ということは、アリスはそれからたったの1、2年で今の体に成長したということなの? ……妖怪どころか人間ですらありえない成長スピードだわ、貴重なサンプルね……調べさせてもらえない?」
「絶対嫌よ!?」
知識欲者の目をして手をワキワキ口をニヤニヤとさせながらパチュリーがアリスに迫る。当然了承するはずもない。
むしろ貞操の危機である。
「ずるいー! 私なんて500年近く生きててこんな体なのにー!」
実年齢だけなら白蓮の次に高いフランドールが胸をペタペタさせながら抗議する。
まだまだ幼い彼女はナイスバデーな体格に憧れたこともあるのだ。というか現在進行形で夢見ている。
そんなフランドールを(恐らく)最も年下な魔理沙がここぞとばかりにからかう。
「貧乳はス・テ・ー・タ・ス、だ☆ぜ☆」
その言葉にフランドールの堪忍袋の緒が切れた。
「うがー! その膨らみかけのみすぼらしい胸吸いつくして私とお揃いにしてやるー!!」
「やめて!?」
みすぼらしいってなんぞや。魔理沙に飛びかかり押し倒す。
そして魔理沙の服の胸のあたりを爪で引き裂――おっと、誰か来たようだ。
ちなみにパチュリーは顔を両手で覆いながらも指の隙間からしっかり見ていた。
魔理沙は「やめろ! やめて!」と赤い顔・涙目で懇願するも腕力で勝てるわけもなかった。
「みなさん、仲が良さそうでなによりです。アリスさん、貴女のその成長には何か秘密があるのですか?」
そんな情景をものともせず、娘達のじゃれあいを母親のように眺めながら白蓮がアリスに尋ねた。
「そうだそうだ、教えろー!」
魔理沙を押し倒した姿のまま顔だけ向けてフランドールも迫る。
「うん、いやまぁ、秘密ってほどでもないんだけどね、語るも涙な物語があったのよ――」
――そう、あれは私が仕返しをしようと幻想郷に乗り込んで返り討ちに遭って、プライドをズタズタにされて魔界に帰った日のことだったわ――
「神綺様……」
「あ、お帰りなさ…あ、アリスちゃん!? どうしたのその格好!?」
人形のようなドレスが、あちこちほつれ破れさえしていた。アリスは下を向いたまま答えない。
「………………」
「ど、どうしたの?」
「…………さぃ」
よく聞こえなかった。
「え?」
もう一度尋ねた時、アリスの目から堰を切ったように大粒の涙が流れ始め、口から想いがこぼれ出す。
「ご、めんな、さい!! みんなの仇を取るって言ったのに! 神綺様に最高のグリモワールも借りたのにぃっ、誰も倒せなかったよぅ…悔しいよぅ…神綺様ぁ…ごめんなさい…っ!」
アリスの痛々しい懺悔に、肩に手を乗せて慰める。
「……いいのよ、アリスちゃん。私だって負けたのだから、アリスちゃんが負けても誰も怒らないわよ、だから泣かないで?」
「…ちがぅ、のぅ」
「? 何が違うの?」
「みんなにっ、怒られるのが怖くてっ、泣いてるんじゃ、ない…」
「じゃあ、どうして?」
「悔し、かったの…」
「え?」
「人間なんかに、よその世界の人間なんかにぃ! 負けたのが、悔しくて悔しくてぇ! う、うわ~ん!」
とめどなく流れる涙とこみ上げる想いに喋れなくなったアリスを落ち着かせるため、神綺が彼女を抱きしめる。
「よしよし……もっと、聞かせて?」
「えぐっ…あの紅白はっ、巫女って言って、妖怪とか魔物退治とかの専門家なんでしょぅ? そんなのに負けても、まだわかるよ……」
「うんうん」
「あの緑の髪の2人だって…すっごく長く生きてる化け物、でしょっ…だからぁ、勝てなくてもっ、まだわかるよぉ……」
「うんうん、それで?」
最後の想いを吐き出す。
「でも、でもぉ! あの黒いヤツにだけはぁ! 負けたくなかった! ただ魔法が使えるだけの人間のくせにぃ! 大魔法だって何にも使えないくせにぃ! そんなやつに勝てなかったよぉ…神綺様ぁ…悔しいです…」
「うんうん。そうだね、悔しかったね? でも大丈夫、きっとアリスちゃんならいつかあいつらを倒せる日が来るわ。私の自慢の娘ですもの」
慰めとともに本心から伝え、抱きしめる力を強めた。
「う、うう~……うん……」
「うん! だから、今はお休みして、傷を癒しましょう?」
「……うん……」
数日後
「神綺様! おはようございます!」
「あ、アリスちゃんおはよう! こんな朝からどうしたの?」
「神綺様。私、決めたの! 私、幻想郷に行く!」
「な、なんだってーーーーーー!?」
突然の告白に近くにいた夢子・ユキ・マイもΩΩ、Ω<(ry 状態になる。
希望に輝く瞳でアリスが続ける。
「うん! たくさん勉強して!! もっと魔法を覚えて!! あの黒いのをぶちのめしてやるの!! みんなの仇とかじゃなく、私自身の誇りのために!」
わずか数日で心の傷を克服し、未来を見据えるようになった娘に神綺は心の中で感涙する。
(アリスちゃんが、末っ子のアリスちゃんがこんなにも希望に向かってる! ……なら、魔界の神として、母としてしてあげるべきことは……!)
「応援してあげることだけ!!」
「えっ!?」
「アリスちゃんが頑張ろうとしているんだもの、それを止める理由なんてないわ!」
「本当!? ありがとう神綺様! じゃあ私、行ってきます!」
イケイケモードのアリスであった。
「あ、待って!」
「え、どうしたんですか?」
「その姿格好だと、色々不便があるかもしれないかも」
魔界の住人は魔力こそ強いが、身体能力自体は生活に困らない程度にしか高くない。それこそ一般の人間より少し高い程度だ。
加えてアリスは非常に幼く、その弱さは顕著と言えた。この状態で1人放りだしたら色々危ないのは明らかだった。
妖怪とか悪霊とか猛獣とか□リコンとか口リコンなどなど。ってだから伏字になってない!
アリスもそれを理解し、途端不安そうな顔になる。
「え……それじゃあどうしたら……」
しかし神綺もイケイケモードだったので問題なかった。背中に6枚の羽根を出してるあたり本気だった。
「……うん! 私に任せて! アリスちゃんをパワーアップしてあげる! あの黒い娘に負けないくらい!」
「! 本当ですか!」
「ええ! さぁ、どんなパワーアップがいいかしら!?」
「ええと、それじゃあ…」
ん~ん~と呻きながらアリスは思考し、やがて嬉々として口を開く。
「あいつを見下ろせるくらいおっきい身長が欲しいです!」
「よしきたそぉい!!」
身長が高くなった。
「あいつを子供扱いできるくらいのナイスバデーになりたいです!」
「よしきたそぉい!!」
胸が出てきた。
「あいつのなんかよりもっともっとオシャレな服が欲しいです!」
「よしきたそぉい!!」
服装が現在のものにチェンジした。
「あいつのなんかよりずっとずっと可愛い使い魔が欲しいです!」
「よしきたそぉい!!」
上海人形が誕生した。
「その使い魔にたくさんお友達を作ってあげられるようになりたいです!」
「よしきたそぉい!!」
スキル・人形作りが身に付いた。
「それであいつなんかに負けない素晴らしい夢も欲しいです!」
「よしきたそぉい!!」
自律人形制作の目標が生まれた。
「立派な肩書きも欲しいです!」
「よしきたそぉい!!」
二つ名が『七色の人形遣い』になった。
「魔法使いらしくて、それでいてオシャレな家が欲しいです!」
「よしきたそぉい!!」
魔法の森に洋館(生活に必要なものは軒並み勢揃い)が出現した。
「もっとたくさんの魔法を勉強できるように魔導書がいっぱい欲しいです!」
「よしきたそぉい!!」
その洋館に多くの魔導書が配達された。
「立派な名字も欲しいです!」
「よしきたそぉい!!」
名字が『マーガトロイド』になった。
「あいつに自慢できるカッコイイ彼氏が欲しいです!」
「よしきたダメだーーーー!!」
「ダメですかーーーーーー!?」
ΩΩ、Ω(魔界の男住人:左から順にオマ エラ タチ)<な、なん(ry
そんなこんなで旅立ちの日
「では、神綺様……行ってきます」
「うん。アリスちゃんがいなくなって寂しくなるけど…でも、頑張ってね!」
「はい! きっといい報告ができるよう努力します!」
「うん! 待ってるからね!」
「うん!…ありがとう…お母さん」
「!!!!!!」
「っ~~~~っ!! じゃ、じゃあ、行ってくるから!」
「……うん! 行ってらっしゃい!!」
――待ってなさいよキリサメマリサ! 今度こそあんたをぶちのめしてやるんだから!――
――そして舞台は妖々夢へ――
「――こんなことがあったのよ。というわけで魔理沙、今の私はあんたに劣るものなんて何一つとして持っちゃ――みんな、どうしたの?」
アリスが語り終え、妙に薄い反応を怪訝に思ってみんなを見渡す。
「えーと……そうですか……」
白蓮が冷汗ダラダラでアリスから目を逸らし、
「……パチュリー?」
「さよならアリス、私貴女のこと忘れない(棒読み)」
パチュリーがどこぞの王女(CV:横沢K子)のように返事をし、
「……フランドール?」
「ねぇ、魔理沙ぁー、ホントにこれで綺麗な花火が見れるのー?」
何時の間にやら魔理沙の胡坐の上に座り込んだフランドールが
「ああもちろん。七色に輝く花火だお前にレインボー、だぜ」
魔理沙と共に八卦炉に魔力を込めていた。
「……魔理沙?」
不思議に思い魔理沙に尋ねる。
魔理沙はアリスの目を見ず呟くように答えた。
「ああよくわかった。とりあえずお前は私の敵だ。いつかまた会おうぜ、今度はちゃんとしたライバルとしてな」
努力家の敵は今も昔も天才もしくはボンボンである。
八卦炉に込められた魔理沙とフランドールの魔力が発射され、アリスに直撃した。
アリスは天高く舞い上がり、そして七色の星になった。
GAMEOVER
もう一度戦う
ニア タイトルに戻る
ところで後書きの最後、真偽はわからんけど一応言っとく
誤字には気を付けとけ
この話内に幾つかあるぞ
ダメダメなアリスに呆れるのはともかく、撃つ理由がない。ここんちの幻想郷には、甘ったれたボンボンは殴っても良いなんて流儀でもあるんだろうか。宣言なしの不意打ちはスペカルールを無視しているし。
しかもそれに才能持ち+ボンボンなフランが参加しているあたり、ギャグ作品のオチとして手抜きにしか見えない。
いや……これ魔理沙の方がどうみても子供だろ。
勿体ない。非常に勿体ない。
投げやりにならずもう一捻り出来てたらよい話になっていたのに。
「よしきたダメだーーーー!!」
まさにΩΩ、Ω<ナンダッ(ry
とりあえず神綺さまノリノリww
でもいきなりマスパかー。ギャグだからなんでも良いってわけでもなぁ。
まぁ気持ちは分からんでもないが。