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風祝と紅魔館・2日目  ~風祝と図書館~

2008/03/29 01:25:13
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※この話は「風祝と紅魔館・序章」(作品集51)と「風祝と紅魔館・1日目」(同左)の続編に当たります。
※一応「今は早苗は紅魔館でバイト中」「門番は失敗」と言う事を理解していただければ読めるとは思いますが、出来れば前作を読んでからをお勧めします。






































紅魔館でのアルバイト生活2日目は、朝から騒々しかった。

「全くあなたたちはぁ…!!2人もいるのに門を守るどころか被害を増やして…!!
 第一この紅魔館の門を守ると言う事は、そのままお嬢様を守る事にも繋がると言う自覚が…!!」

先ほどから長々と続く、咲夜さんからの説教を正座しながら聞く私と美鈴さん。
昨日何らかの理由でブチ切れた霊夢さんに紅魔館の門を破壊され、魔理沙さんはちゃっかり何時も通りの強盗。
お陰で目覚めて食事をしてからの1時間ほど、こうしてずっと説教続きだ。

昨日咲夜さんからのお仕置きを喰らった後、気付いたら朝になっていたので、それ以降の経緯はよく分からないが…。
見せ付けられた出費項目に「治療費」と言うのがあったので、恐らく気を失ってる間に一度病院にでも行ったんだろうなぁ、という気はする。
それにしても、ナイフ刺されまくった人間を僅か一日で復活させるなんて、凄い医者がいるんだなぁ幻想郷には。

「早苗ッ!!聞いてるの!?」

「はいぃ!!聞いてます聞いてますぅ!!」

意味も無く敬礼してしまう。
危ない危ない、またナイフ刺されるのだけは勘弁して欲しい。
それにしても、毎日毎日あれを喰らっている美鈴さんは本当に耐久力抜群だなぁ…。

「全く!!早苗はまだ日が浅いから救いようがあるにしても、美鈴は4000歳の癖に何だってこうも役に立たないのかしらね!!」

…へっ?美鈴さんってそんなに長生きしてるんですか?

「…えっ?咲夜さん?私はまだ(乙女の秘密ですよ by美鈴)歳ですよ?そんなに年取ってる訳ないじゃないですか。」

「だって中国4000年の歴史でしょう?」

「うわああぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」

正座の姿勢から一瞬にして、大泣きしながら走り出す美鈴さん。
しかしその一瞬後にナイフの山になって倒れていた。
…ああ、なんだかもうこの光景にも慣れてしまった…。未だにどうやってるのかは分からないけど。
美鈴さんの友達としては心配しなくてはいけないんだろうけど、こうも度々だとなんだか心配するのが失礼に思えてくる。

「とにかくっ!!これじゃ門番にも何にもなりはしないわね!!3日くらいならって思ってたけど…!!」

「咲夜さぁん!!クビだけは勘弁してくださいぃ!!」

泣きついた。
ここでクビにされたら、またアルバイトを探さなくてはいけない。
八坂様が蘇生(?)するまでにアルバイトを終わらせて、もう一度八坂様と色々話をしなくてはいけない。
3日を過ぎるわけには行かない。そうしたらまた八坂様は何処かに布教活動に出てしまうだろう。
その時はもう一度椛さんあたりに捜してもらうという手もあるのだが、出来ればこんな事で人の手は借りたくない。
そんな訳で、あと2日はちゃんと紅魔館での仕事で終わらせたいのだ。

「家に帰れば3を頭に6人の子供がお腹をすかせて待ってるんですよぉ!!
 今ここで職を失ったら、一家全員共倒れなんですよぉ!!伝統ある守矢神社を私の代で終わらせるわけにはぁ!!!!」

「わ、分かった!!分かったから!!最初からクビにする気はないから安心しなさい!!そもそも結婚してないでしょあなたは!!」

咲夜さんのその言葉を聞いて、なんとか落ち着きを取り戻す。
こういう時には意味不明な言葉でも、必死に頼み込む事が重要だ。
ダメ人間(神様)の八坂様と洩矢様と付き合っていて覚えた処世術の一つです。

「こんなすぐにクビにするくらいなら最初から雇ったりしないわよ。それに合いそうもなかったら他のところも考えておくって言ったでしょう?
 とりあえず、こんな事になったから門番は流石に辞めてもらうけど、まだ仕事はしてもらうわ。」

…ああ、そうか、これで門番は終わりか…。
仕方ないとは思う。最初からこれだけ躓いてしまったのだから、クビにならなかっただけましだと思ったほうがいい。

「早苗さん…。」

いつの間にか復活した美鈴さんが、悲しそうな表情を浮かべている。
どうやら同じ心情だったようだ。ああ、きっと心細い事でしょう、美鈴さん。
私は美鈴さんの手を握り、真っ直ぐに彼女の眼を見つめた。

「大丈夫ですよ美鈴さん。ここで一度お別れとなってしまいますが、心は何時だって繋がっています。
 私の心は何時だって隣にいますから、美鈴さんも門番の方、頑張ってくださいね…。」

「さ、早苗さん…!!」

「美鈴さん…!!」





「やっかましいぃぃ!!!!さっさと門番に行きなさい中国うううぅぅぅぅぅぅッ!!!!」





ブチ切れた咲夜さんに言葉に、私は慌てて美鈴さんの手を離して別れを告げた。
美鈴さんも慌てた様子で駆けて行った。触らぬ神に祟りなし。怒った咲夜さんには反抗するな。私が学んだ紅魔館の鉄則だ。



「…さて、次のあなたの配属なんだけど…。…どうしようかしらね。」

…やっぱり考えてなかったんですか!!

「…やっぱり考えてなかったんですか!!」

「心の声がそのまま出てるわよ。
まさか一日で終わるとは思わなかったからねぇ…。私の予定としては3日なら門番だけで終わると思ってたからねぇ…!!」

うぅっ…。それを言われると辛い…。
だけどブチ切れた霊夢さんを止めるなんて不可能です。出来るなら咲夜さんがやってください…とは死んでもいえないが。て言うか言ったら死ぬが。
それにしても、なんだって霊夢さんは羊羹を湖に落としたんだろう…。それだけが不思議だ…。

「それにしても、空いてる部署と言っても部署そのものが少ないからね…。さてどうすれば…。」

「咲夜、丁度いいところにいたわ。」

咲夜さんが思案顔になった瞬間、静かにそんな声が響く。
私と咲夜さんが声の方へを目を向けると、紫色の長い髪を持った、なんだかうつろな目をした少女が立っていた。
紅魔館では初めての対面だ。

「パチュリー様、どうされたのですか?」

どうやらその少女はパチュリーというらしい。
咲夜さんが「様」とつけて呼んでいる以上、私もこれ以降はそう呼んだほうがいいのかもしれない。

「実は小悪魔が鳥インフルエンザに掛かって倒れちゃったのよ。
 一応今日ゆっくり休めば明日には元に戻るだろうけど、それまで不便だから妖精メイドを一人貸してくれないかしら?」

「悪魔が鳥インフルエンザに掛かるのかとか言うツッコミもありますが、ある意味グッドタイミングですパチュリー様。」

何となくこの時点で、この先の察しがついてしまうのは…、…いえ、誰でもわかりますよね?

「早苗、今日は図書館で司書をやってきなさい。」

やっぱりか。そんな事だろうとは思ったけど、見事なくらいに想像通りな仕事内容だった。
司書かぁ…。要するに図書館で本を管理する人のことですよね。
市民図書館で働いてた人みたいなことをすればいいのかな?

「…で、咲夜、誰なの?」

と、パチュリー様(早速様付けで)は私を見ながら、「誰やねんこいつ」と言いたげな目をする。て言うか実際言っているのだが。
私としては、美鈴さんが魔理沙さんと逢った時にも名前が出たのを覚えているので、初めて聞く名前ではないのだが…。
まあ、どちらにせよ名前しか知らないので、やっぱり自己紹介はしなくては。

「はい、私は東風谷早苗と申します。今はこちらでアルバイトをさせていただいております。」

「そう、私はパチュリー・ノーレッジよ。それじゃあ今日一日はよろしく頼むわ、早苗。」

あれ?もう決定なんですか今日図書館で働く事。

「よろしいのですかパチュリー様?」

いや、咲夜さんあなたが言い出したのに聞き返さないで下さい。

「構わないわよ人間でも。どうせオモチャが…、…いえ、時々の話し相手が欲しかっただけだから。」

今物凄く不穏な言葉が聞こえたのですが?

「そうですか、分かりました。…ほどほどにしてくださいよ?人間なんですから。」

いやほどほどにでも勘弁してください。なんだか物凄く怖くなってきたんですけど。

「じゃあ早苗、付いて来て。私の部屋はこっちよ。」

いや、あの、その前に仕事内容説明してください。私の恐怖心をどうにかしてからにしてください。
序にその図書館は完全にパチュリー様の所有物なんですか?
パチュリー様、そんなにさっさと歩いていかないで下さい。
咲夜さん、そんな明後日の方を見ながら見てみぬフリをしないで下さい。

…ああ、不安だ…。



 * * * * * *



図書館に着くまでにはそんなに時間が掛からなかった。そりゃ同じ建物の中にあるのだから、当然と言えば当然だが。
…勿論その間ずっと、私の心は暗雲立ち込め雨ザーザー降りだったけれど…。

「う゛~…。…ごほっ…ごほっ…。…ばぢゅりーさまぁ…。」

図書館の扉を開けると、その向こうから今にも高熱で倒れてしまいそうな声が聞こえてくる。
声の主は、血の赤と言うよりはワインレッドの長髪を持った、背と頭に二対の羽(ただし頭の羽は現在器用に頭の上に乗った氷水袋を支えているが)。
黄色い下地に虫歯菌みたいな悪魔のイラストがプリントされたパジャマ姿の、なんと言うか見た目と服装が少し噛み合っていない女性だった。
…普段と服装が違う設定の人を出すと、一々解説しなくちゃいけないから面倒ですね。

「小悪魔、今日はいいから寝てなさいと言ったでしょ。鳥インフルエンザは甘く見ると恐ろしい病気なのよ。」

甘く見なくても充分恐ろしい病気ですが。

「いぢおうあぐまでずがらだいじょうぶでずぅ~…。ねるまえにがわりのひどにじじをだざないどいけまぜんがらぁ~。」
(訳:一応悪魔ですから大丈夫ですぅ~…。寝る前に代わりの人に指示を出さないといけませんからぁ~。)

仕事熱心なのはいいのだが、こんな今にも倒れてしまいそうな人に色々説明されるのは気が重いというか…。
…鳥インフルエンザって、そうそううつりません…よね…?
…あれ?でも人から人ならともかく、悪魔から人はどうなんだろう…。

「そう、じゃあ早苗、小悪魔からとりあえず手短に仕事の説明をしてもらって。私はあっちで本を読んでるから、終わったら声を掛けなさい。」

いえ、パチュリー様、まだ心の準備が済んでないんですが…。
ああ、だからそんなにさっさと歩いていかないで下さいぃ~。
…こういう時に何か声を出せないアルバイトという立場が恨めしい…。

「ごほっ…。…で、ではがんだんにじごどないようをぜつめいじまずぅ~…。
 わだじはばぢゅりーさまのづがいまのごあくまといいまずぅ…。ごあぐまがごぁとよんでぐだざいぃ~…。」
(訳:ごほっ…。…で、では簡単に仕事内容を説明しますぅ~…。
 私はパチュリー様の使い魔の小悪魔といいますぅ…。小悪魔かこぁと呼んでくださいぃ~…。)

なんだか某国の45代副大統領みたいな仇名ですね。

「あ、私は東風谷早苗と申します。今日はよろしくお願いします…。…といいたいのですが、大丈夫なんですか?」

もうそろそろ我慢が出来なくなってきてしまったので聞いてしまう。
悪魔というくらいなのだから、勿論人間よりははるかに身体は丈夫なのだろうけど…。
…なんと言うか、こうも顔を真っ赤にして咳込んでいる姿を見ると、もう悪魔だとか妖怪だとかそんな事関係なく思えてくる。

「ごれがじごどですがらぁ~…。…ごんなじょうだいでもなげればごうじゃでもおだしずるんですがぁ~…。」
(訳:これが仕事ですからぁ~…。…こんな状態でもなければ紅茶でもお出しするんですがぁ~…。)

いえ、お構いなく。て言うかホントに構わないで今すぐベッドに直行してくださいと言いたい。
とは言っても、こんな状態でも仕事を頑張ろうとする彼女を見ると、そういう事を言うのも少し失礼に思えてくる。
…とにかく、出来るだけ早めに小悪魔さんが休めるように、パパッと仕事を覚えてしまおう。

「でばまずがんだんにじごどないようをせづめいじますぅ~…。
 どばいっても、きぼんでぎにばばぢゅりーざまのよみおわっだぼんをがえずだげでずのでぇ~…。…ごほっ…。」
(訳:ではまず簡単に仕事内容を説明しますぅ~…。
 とは言っても、基本的にはパチュリー様の読み終わった本を返すだけですのでぇ~…。…ごほっ…。)

やっぱり紅魔館の司書と言うのはそういうものだけなのだろうか。
外部からの本の輸入の管理とか、本を探し出すとか整理するとか、そういう事は…。

「いまばばぢゅりーざまががいだまどうじょがぶえでいぐだけでずので、ゆにゅうばじでまぜんのでぇ~…。
 さがずぶんにばばぢゅりーざまががっでにまほうでどりよぜまずじ、せいりばみっがもじだらまりざざんにばらばらにざれますからぁ~…。」
(訳:今はパチュリー様が書いた魔導書が増えていくだけですので、輸入はしてませんのでぇ~…。
 探す分にはパチュリー様が勝手に魔法で取り寄せますし、整理は3日もしたら魔理沙さんにバラバラにされますからぁ~…。)

大体は納得した。ああ、この人も魔理沙さんの被害者なのか…。
要するに輸入はしないから他の本の事を調べる必要もないし、本当に本を返すだけの仕事なのだろう。
それにしても、どうせバラバラにされるから整理はしないって、どんだけいい加減なんだろう…。

「えっと、それでは整理しなくてよいのでしたら、本は何処に返せばいいのでしょうか?」

「ぞのへんのあいでいるほんだなにでぎどうがえじでおいでぐだざいぃ~…。…ごほっ、ごほっ…。」
(訳:その辺の空いている本棚に適当に返しておいてくださいぃ~…。…ごほ、ごほっ…。)

ホンマ適当やわぁ~…。
まあ、仕事が楽に越した事はないのだから別に構わないのだけれど…。
…あまり退屈なのも勘弁して欲しいが。

「それにしても、自分で取るのに戻しはしないんですね。パチュリー様も。」

とりあえず思った疑問はぶつけておこう。…どうも私の質問は独り言みたいになってしまうなぁ。

「がんだんなごどでずよぉ。…ごほっ、ごほっ…。
 どるぶんにばわりどおおざっぱなとりよぜでずみまずけど、もどずぶんにばほがのほんがじゃまじだりじで、けっごうぜいみづなごんどろーるがひづようになるんでず…。」
(訳:簡単な事ですよぉ。…ごほっ、ごほっ…。
 取る分にはわりと大雑把な取り寄せで済みますけど、戻す分には他の本が邪魔したりして、結構精密なコントロールが必要になるんです…。)

要するに何だかんだでめんどくさがりなんですね、結構。口に出したら怒られそうなので言いませんけど。
まあ、大体の仕事内容は分かった。結局は読み終わった本を戻せばいいだけだ。

「そうですか、大体理解できました。
 …えっと、もう大丈夫だと思いますから、どうぞ休んでください。」

はい、もう本当にさっさと休んでください。これ以上その姿を晒されるのは精神的にきついです。

「ごほっ…。ありがどうございまずぅ~…。
 なにがあっだどぎはおごじでぎいでぐだざい…。わだじばおぐのづめじょでよごになっでまずのでぇ~…。」
(訳:ごほっ…。ありがとうございますぅ~…。
 何かあった時は起こして聞いてください…。私は奥の詰め所で横になってますのでぇ~…。」

詰め所なんて物があるんですかこの図書館は。
これだけ広い図書館だと、そこに行くだけでも相当な時間が掛かりそうなんですけど…。
…とりあえず、何かあっても起こすのは止めたほうがいいだろうなぁ、小悪魔さんの身の安全のため。

「ぞれでばじづれいじますぅ~…。…ごほっ…。
 …あ、ざいごにびどづだけよろじいでしょうが…?」
(訳:それでは失礼しますぅ~…。…ごほっ…。
 …あ、最後に一つだけよろしいでしょうか…?)

振り向いて立ち去ろうとする小悪魔さんが、またすぐに振り返る。
なんだろう、まだ何かあるのかと私は首を傾げた。

「ばぢゅりーざまが「まぼうじっげんにづぎあって」どいっでも、ぜっだいにごどわっでくだざいね…。
 …いのぢがおじがっだら、どうぜまられでもぜっだいにのっでばいげまぜんよ…。
 わだじはどりいんふるえんざぐらいでずみまずけど、にんげんだどどうなるがぞうぞうもできまぜん…。」
(訳:パチュリー様が「魔法実験に付き合って」と言っても、絶対に断ってくださいね…。
 命が惜しかったら、どう迫られても絶対に乗ってはいけませんよ…。
 私は鳥インフルエンザぐらいで済みますけど、人間だとどうなるか想像も出来ません…。)

それだけ言い残して、小悪魔さんはさっさと図書館の暗がりへと消えてしまった。
…えっと、物凄く不穏な言葉を言い残していなくならないでほしかったなぁ…。
悪魔が鳥インフルエンザに掛かるような魔法実験ってなんですか?どんなシチュエーションでそうなるんですか?
…そもそも小悪魔さんが鳥インフルエンザに掛かったのは、パチュリー様の魔法実験の結果なのか?
要するに実験に失敗(ひょっとしたら成功なのかもしれないけど多分失敗だろう)したから、小悪魔さんがああなったと…。
…拙い。非常に拙い。楽な仕事かもしれないと思ったけれど、これは相当デンジャラスな仕事になるかもしれない。
最後に「ああ、ナイフ刺されてもいいから門番無理やりやればよかった」、と思うようなことにはならないで欲しいなぁ…。

「…とりあえず、終わった事を報告しに行こう…。」

くよくよしていてもしょうがないので、とりあえずパチュリー様のところへ行こう。
問題が起こった後はその時に対処すればいい。いざとなったら咲夜さんにでも相談しよう。
…あれ?でも咲夜さんでパチュリー様を止められるのかな?幾ら咲夜さんが強いとは言えども、一応立場的には「咲夜さん<パチュリー様」ですよね?
しかも私がここに来る前、咲夜さんは「我関せず」と言いた気に明後日の方を見てましたよね?

…ああ、物凄く不安だ…。



 * * * * * *



「パチュリー様、お待たせしました。」

パチュリー様は本が積み上げられたテーブルで本を読んでいた。もうパチュリー様より本のほうがはるかに存在感がある。
出来るだけさっさと済ませた心算だが、まあ、形式上こう言っておこう。

「遅かったわね。30分遅刻よ。」

「まずここに来てから30分経ってません。10分くらいです。」

いきなりこんな返しを喰らうとは思わなかった。恐るべし、パチュリー様。
最初からこうとなると、終わる事にはもっと大変な事になってるんじゃないかと言う不安が付き纏う…。
ああ、小悪魔さん。あんな言葉を残さないで下さい…。せめてもう少し早めに言って欲しかったです…。

「まあいいわ。とにかく、早速仕事に入ってもらうわ。」

ああはい、この積みあがった本たちはもう読み終わった奴なんですかね?
あ、でも(目に見える範囲の)周りの本棚はあまり空いてないなぁ…。ちょっと奥のほうまで行かないと…。

「まず本棚と本のほこりを落として。この周囲の本棚はいいわ、私喘息持ちだから。」

…はい?

「それと床の本を片付けて、掃除もよろしく。」

…えっと…。

「それと奥のほうの本棚に古くなって壊れそうなのもあるから、それの修理もお願い。」

…ちょ、待って…。

「あと昨日無能な門番が魔理沙を通したせいで、あちこち床が壊れてる場所があるから、それの修理も。」

うっ…。それは言われると辛いです…。

「それが終わったら紅茶を淹れて。今日は咲夜は紅魔館の補修と霊夢とのいざこざで忙しいだろうから。」

「すみません、お言葉を返すようですが…。」

「返さなくていいわ。」

「返します。2つほど。まずさっき小悪魔さんから受けた説明と仕事内容が全く違います。
 それと、私は見てのとおり本職は巫女です。本棚の修繕くらいなら工具があればなんとかなるかもしれませんが、床の修繕は無理です。」

「仕事が増えただけよ。何処かの門番が無能だから。」

「うっ…。…て言うか、パチュリー様さっき私と初対面的な会話をしてたのに、私が門番やってた事は知ってたんですか?」

「あら?そうだったのかしら?私は美鈴のことを言った心算だったのだけれど?」

「はうっ!!」

み、自ら墓穴を掘るとはこの事か…。
分かってなかったと言うのに、「無能な門番」をやけに強調してた気が…。

「…くすっ…。」

…あの、今笑いました?実際に「くすっ…。」って笑う人初めて見ましたよ。普通喉を鳴らして笑うときは「くっくっく…。」ですよね。
いやもう、それ確実に分かってやってましたよねつまり。
完全に分かっていながら、私で遊ぶ気で言いましたよね?

「くすくすくすくすくすくす…。」

うっ…、こうも笑われると少しだけ腹が立つ…。
…あれ?でも顔が全く笑って…。

「…って!!言ってるよこの人!!「くすくす」って言ってるだけですよ!!こんな人初めて見ましたよ本当に!!」

思わず突っ込んでしまった。誰に語りかけるまでもなく。
い、いけない、落ち着かないと。最初からこうも取り乱す訳には…。こういう時には…。
(3x^2-4x+5)(2x^2+2x-8)=6x^4+6x^3-24x^2-8x^3-8x^2+32x+10x^2+10x-40=6x^4-2x^3-22x^2+42x-40
…よし、落ち着いた。

「…えっと、床の修繕はとにかく出来ません。専門の人に頼んでください。
 それと、何故小悪魔さんの説明と実際の仕事内容がここまでかけ離れているのかの説明をお願いします。」

「簡単よ。ただの気まぐれ。」


…ぷつっ…。


…ああ、なんかまた何かが切れた音が…。
最近多いなぁこういう事…。ああ、でもこのすぐ後に意識が飛ぶ事が多いからなぁ…。
とにかく落ち着け私。パチュリー様の摩訶不思議空間に取り込まれるな。

「わ、分かりました。とにかく掃除をすればいいんですね。それは分かりました。
 ですが、これだけ広い図書館を掃除するとなると、簡単にやったとしてもそれだけで夜になってしまいます。
 ですので、最後の紅茶は期待しないで下さい。そもそも私は紅茶の淹れ方を知りませんので。」

私は代々続く風祝の家の生まれなので、お茶の淹れ方ならともかく紅茶の淹れ方は良く知らない。
仮にまぐれで上手くいった所で、味の方は全く保障できないだろう。

「咲夜なら秒と掛からずに掃除は終わるわよ。それも図書館だけじゃなく紅魔館全体を。」

咲夜さんと一緒にしないで欲しいなぁ…。て言うか本当にあの人は何者なんですか。
間違いなく人間のはずなのになぁ…。神出鬼没に現れては一瞬で大量のナイフを展開したり…。
それこそ時間を止めでもしない限りそんな事は出来ないはずだけど、人間に時間を止めるなんて事が可能なのかな…。
今日の勤務が(無事に)終わったら、美鈴さんあたりにでも聞いておこうかな…。

「…私はあくまで普通(?)の人間ですので、そんな大それた真似は出来ません。
 それにパチュリー様に淹れ方も知らない人間の紅茶を飲ませる訳にはいきませんので、我慢してください。」

「…まったく、仕方ないわね…。」

ああ、良かった、パチュリー様がまだ話の分かる人間(妖怪)で…。

「じゃあブルマンで我慢するわ。」

「コーヒーの淹れ方も知りません!!しかも何でさりげなく高級なの選んでるんですか!!」

駄目だ、全然話が通じてないわこの人…。
八坂様も話が通じるほうではないけれど、上には上がいるものだなぁ…。

「分かったわよ…、じゃあお茶でいいわ。玉露と言うやつを。」

「…やっぱり高級物なんですね…。…この館にそんな物があれば、と言う事で…。」

煎茶は普通のお茶よりもはるかに面倒だけど、まあ出来ない物をやるよりはましか…。一応茶道くらいなら心得はある…。
…そもそも、この洋風な館にそんな物があるとは到底思えないが。

「分かったならいいわ。それじゃ早速仕事の方をお願いするわ。」

「はい、分かりました…。」

多少意気消沈しつつも、私はとりあえず本棚のほこり落としから始める事にする。
ロッカーの中に入っていたはたきを持って、身体を浮かして本棚の上を飛ぶ。ちゃんと朝食は取れたのでもう飛んでも大丈夫だ。
それにしても、改めて上から見てみると…。…広い図書館だ…。
紅魔館って、外から見たときはここまで大きかったかな…。たしかに大きな館だとは思ったけれど…。
…う~ん、難しい…。確かに外面より内側の方が大きく感じる事はあるだろうけど、ここまで差が出るものかな…。
…考えても仕方がないか。とにかくバイトはバイトらしく言われたとおりの事はせめて片付けておこう。

…あれ?そう言えば何で外の世界の学校みたいに、図書館に掃除用具入れが…?



 * * *  少女掃除中  * * *



「…ふぅ、後はこの本の山ををそこに…。」

20冊くらいの本をいっぺんに抱えながら、私は一息つく。
はたき掃除は難無く終わり、今は床掃除のために本をどかす作業をしている。
はたき作業だけでも1時間半は掛かった気がする。寧ろこれだけの時間で済んだのはいい方なのか?
ただまあ、それから1時間ほど掛けて掃除に邪魔な本を拾い、また1時間掛けて整理して…。
これだけやってると、頭の上にまで達している本の山を抱えていても、上手くバランスが取れてしまう。
なんだかあるだけ無駄なスキルがくっついてしまったようだ。

「さて、これらを本棚に戻して、床掃除を…。」

本を置いて、さて次は邪魔にならないように本棚に戻して、そう思ったとき…。



「ぱ~ちゅりぃ~~~~!!!!」



どごんっ!!!!



なんだか以前も聞いたような殺人的な音と共に、私は高速で飛んで来た何かに撥ねられた。
いっその事意識を刈り取って欲しかったのだが、悲しい事に私はわき腹に感じる激痛にもだえ苦しんだ。これは肋骨逝ったかも…。
…確か香霖堂にいった時も、こんな事があったような…。

「妹様、ちゃんと入り口から入ってきなさいと何時も言ってるでしょう?」

「うん、だからちゃんと入ってきたよ。」

「わざわざ扉を突き破って入ってこなくてもいいでしょう?ほら、本がバラバラになっちゃったじゃない。」

「ん~、大丈夫大丈夫、こぁが片付けてくれるから。」

「残念だけど小悪魔は今日はいないわ。インフルエンザで倒れてるの。」

「えっ?じゃあ後でお見舞いに行ったほうがいいのかな?」

「駄目よ、インフルエンザは伝染る病気なの。
 小悪魔には悪いけれど、あなたにインフルエンザを伝染しては、レミィに合わせる顔がないわ。」

「う~…。…じゃあ元気になってからにする。
 それよりパチュリー、遊ぼ?魔理沙は昨日来たから今日は来ないんでしょ?」

「…そうね、丁度代わりの司書が来てるところだから。」

「えっ?代わり司書って「フランドール様ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!(早)」

わき腹に強烈なダメージを受けたせいで暫く声が出なかったが、ようやく出るようになったので、とにかく叫んだ。
フランドール様とは初対面ではない。昨日湖に沈んでたところを私と美鈴さんが助け…。

「…誰?」

「はぅあっ!!!!」

お、覚えられてなかった…。
い、いや、落ち着け私。そう言えばあの時フランドール様を介抱していたのは美鈴さんだ。
き、きっと私の顔は見なかったんだろう。そう言う事だろう。
…あれ?でも昨日咲夜さんにざっくざくにされた私たちを見つけたのは、フランドール様だと聞いたのだが…。
…あれ?あれあれあれ?

「これが今日の代理司書よ。妹様、ちゃんと挨拶はしなさい。」

「ん?私はフランドールよ、司書さん。よろしくね。」

…ああ、こうも何の気なしに自己紹介されると、本をバラバラにされた事に怒る気さえしなくなってくる…。

「私は東風谷早苗と申します…。…どうぞよろしくお願いします。」

ううっ…。落ち着いてきたらまたわき腹がじんじん痛んできた…。やっぱり肋骨数本死んでるかも…。

「…こちや…?…変な名前。」

ぐさーっ!!!!
き、気にしてる事をど真ん中160km/hで…!!
確かに変わった苗字ではありますよ!!でもそんなにはっきり変と言わなくてもぉ!!
…子供のような純粋な心は、時に人を殺しうる…。

「妹様、新入りいじりはそれくらいにしなさい。今日は遊びに来たのでしょう?」

なんだか遠まわしにバカにされたような気がしたのは気のせいでしょうか。

「あ、うん!パチュリー遊んでくれる?それともこちやんが?」

なんか早速妙な仇名付けられたんですけど!?
ああ、でもこの仇名なら少なくとも何もないよりはマシかもしれない…。

「そうね、折角早苗が来ていることだし…。…放置して私が相手をするわ。」

「なんか微妙に前後の流れがおかしいですパチュリー様!!」

「あら、あなたは放置プレイは嫌いなタイプかしら?」

「生々しい言い方は止めてください!!そういう事を言ってるんじゃありません!!」

「妹様、何して遊びたいのかしら?」

「完全スルー!?幾らバイトだからって扱いが酷すぎる!!」

「弾幕ごっこ。」

「フランドール様自重してください!!これ以上私の仕事を増やさないでください!!」

ただでさえ本を散らかされたと言うのに、これ以上この場を散らかされてはたまった物ではない。
現主人のレミリア様の妹にこう言うのは失礼かもしれないが、言うべき事は言わなくては。

「う~ん…。…じゃあリアル鬼ごっこ。」

「誰ですかいたいけな少女にそんなの吹き込んだのは!!」

「私よ。」

「パチュリー様あああぁぁぁぁぁ!!!!」

「大丈夫よ、妹様は見た目は子供でも498歳(紅魔郷から2年(確か)+現在冬)だから。」

「精神的にはまだ幼いっぽいんだから止めてくださいそういうこと教えるのは!!」

「あなたもレミィみたいな事言うのね。」

「そりゃ妹にそんな事教えられれば言うでしょうね!!」

「子供のうちから教育しておかないと、大人になった時に大変なのよ?」

「リアル鬼ごっこだのそういう事教えるよりは何も教えない方がまだましだと思いますが!?」

「ねーねー、鬼ごっこも駄目なの?」

「駄目です!!せめてかくれんぼくらいにしてください!!」

「見つけたら倒しにかかっていいんだよね?」

「そういう発想は止めてください!!これもパチュリー様が教えたんですか!?」

「勿論よ。」

「あっさり言わないでください!!」

「それとかくれんぼは駄目よ。妹様ほど魔力が強いと、鬼でも隠れてる側でもすぐに分かるから。」

うっ…。…言われるとそうかもしれない…。
でもこんなところで鬼ごっこされても、本がバラバラになるわなんか弾幕の応酬がありそうだわでまるでいい事がなさそうだ。

「じゃあパチュリー、この間のゲームの続き教えてよ。まだクリア出来ないの。」

あれ?この館にもなんかゲームがあるんですか?

「ああ、あれね。ゲームくらいなら構わないでしょう早苗。これなら暴れるような事にはならないし。」

いやまあ、そうですけど…。
「教えて」と言う言葉から判断するに、恐らく一人用のゲームなのだろうし…。
…多分クリア出来ないからって、何かに八つ当たりするようなことにはならない…、…だろう。

「まあ、それくらいなら…。それにしても、幻想郷には電気がないのに、どうやってゲームなんか使えるようにしたんですか?」

「ああ、この間美鈴が「こーりんどー」とかいう場所で買ってきたらしいわ。
 電気についてはまあ、最近美鈴がその店でよく逢うって言う河童に色々教えてもらって、ついこの間自家発電できるようにしたのよ。」

ああ、そう言えば霖之助さんがメイド長に串刺しにされる華人小娘がたまに来るって言ってたっけ…。あれはやっぱり美鈴さんの事だったのか。
それに、確かにとりさんも香霖堂の数少ない客の一人だったっけ。
電気については機械に詳しいにとりさんなら、ひょっとしたらそれくらいの事は知っているのかもしれない。
なるほど、じゃあ外の世界から持ってきたゲームを紅魔館に持ってくれば、また使えるようになるかもしれない。
よし、今度美鈴さんが休暇の日があったら、ゲームを持って遊びに来ようかな。

「分かりました、それではその間に本の片付けは全て終わらせておきます。」

「助かるわ。さあ行きましょう、妹様。」

「あの『ぱそこん』っていうのも、重くて移動が面倒なのが嫌だよね。」

どうやらそのゲームはここには置いていないらしい。
て言うかゲームってパソコンだったんですか。確かにネット繋げなくてもゲームは出来ますけど。
まあいいけど、掃除をするのだから下手に騒がれるのは嫌だ。
…最も、暫く一人(なんかおかしな魔導書は沢山いたが)でいるのも嫌だけど…。

「それにしてもパチュリー、あのゲームの主人公、なんとなく霊夢に似てるよね。」

「そうね、名前も『霊』の字が旧字体になってるだけみたいね。名は体を現すとはよく言うわ。」

「髪が紫色なのと、腋出してないの位しか違わないよね。」

「それに10面のボスも何となく以前神社で見た悪霊に…。」

そんな会話を交わしながら去っていくフランドール様とパチュリー様。
…なんだろう、何故かこの会話を聞いてると、物凄く不安になってくるのだが…。
とりあえず、そのゲームはそれ以降のシリーズはやってはいけないと言いたくなった。
特に第六作目は。



 * * *  少女清掃中  * * *



「お、終わった…。」

ばたり、とその言葉と共に倒れこむ。
フランドール様が散らかした本を片付けるのに30分、それを本棚に戻すのに30分。
床掃除に2時間、本の整理に1時間半、本棚の補修に1時間、床の修理を出来る限りやって1時間。
今までのを含めて計10時間、殆ど休憩ナシでよく頑張ったものだ私。あ、そう言えば昼食食べてない…。
確か仕事を始めたのが午前9時くらいからだったから、今は午後7時くらいかな…?大雑把な計算だけれど…。

「あら早苗、ご苦労様。本当に全部片付けるなんて思わなかったわ。」

と、それを見計らったかのようにパチュリー様が図書館に帰ってきた。
…って、あれから今まで一度もこっちに来なかったけれど、まさかずっとゲームやってたんじゃ…。

「は、はい…。…やるとなったら…徹底的にやるのが…ポリシーですので…。」

息を切らしながらも答えておく。
まあ、アルバイトと言う都合上、こういうので手を抜く訳にはいかないだろう。

「そう、結構な事ね。それとメイド達の夕飯は8時からだから、それまではゆっくり休むといいわ。
 あ、それとお茶もやっぱりいいわ。さっき咲夜に聞いたら、玉露は置いてないそうだったから。」

ああ、やっぱりないんですか。あったらあったで驚きましたけど。
それにしても、夕飯まではあと大体一時間くらいか。…まあ、悲しい事に八坂様のせいで空腹には慣れてしまっている。
確かに物凄く疲れたし、今はこのまま休むとしよう。

「それにしても、本当に大したものね。3日前も小悪魔が掃除したけれど、それでもここまで全体的にはしなかったわね。」

パチュリー様はそうぼやきながら、椅子に座って本を読み始める。

…と、私はその言葉に、何か違和感を覚えた。

3日前…。この図書館を小悪魔さんが掃除している。
まあそれは分かる。小悪魔さんはこの図書館の正式な司書だ。それに真面目な性格だったから、それくらいの事は言われなくてもするかもしれない。
しかし、私に仕事を説明する際には、掃除の事は一切出てこなかった。
それはつまり、掃除する事は本来の仕事ではない事になる。
つまりその3日前の掃除と言うのも、小悪魔さんが自発的にやった事なのだろう。
そうでなかったとしても、私にそれを説明しなかったと言うことは、少なくとも今日はその日ではなかったと言う事になる。
…即ち、今回私がやったことは、本当にパチュリー様の気まぐれと言う事になる。
…だが、そうすると少しおかしな事が出てくる。
じゃあ何故、パチュリー様はフランドール様と遊びに行った時に、私をそのままにしておいたのだろうか。

休むにつれて頭が冴えてきたのか、そんな疑問が次々に浮かんでくる。

こういうのは難だけれど、私の今までの考えが正しいのならば、私は掃除なんかしなくても怒られるような事はなかっただろう。
そうではない。じゃあ何故パチュリー様は私に掃除を続けさせたのか。
最初この図書館に来る時に、パチュリー様は言っていた。この図書館を「自分の部屋」と。
パチュリー様が『紅魔館』ではなく『紅魔館の図書館』に住んでいると言う事を考えると、本を読む事が何より大好きなのだろう。
…だとしたら、何故フランドール様の誘いを受けたのだろうか?
まあレミリア様の事を『レミィ』と仇名で呼んでいたくらいだ。きっと仲がいいのだろうし、その妹の事を蔑ろにはしないだろう。
…だとしても、他のメイドに任せるなり、最悪私に任せる事も出来たはずだ。
そもそも私のアルバイトと言う立場を考えれば、ゲームの相手程度ならば私に任せても何の問題もなかったはずだ。

普段ならば、疑問に思うことでもないかもしれない。
普段ならば、単なる深読みだろうと、あっさり思考を切り捨てたかもしれない。

…だけど、何故か聞かずにはいられなかった…。


「…パチュリー様、どうしてわざわざ私を…いえ、そもそも誰かを小悪魔さんの代わりに使おうなどと考えたのですか?」

…パチュリー様の肩が、僅かに跳ねたのが見えた…。

「…なんの、事かしら?今日一日小悪魔がいないのは不便だから、と言ったと思うけれど?」

…いや、違う。嘘だ。と言うより、それが真意ではない。

「パチュリー様、私はあなたが一日どれだけの本を読んでいるのかは分かりませんし、本を読むスピードも分かりません。
 ですがどんなに早くても、あなたの読んでいるような分厚い本ならば、一日3冊程度が限界だと思いますが、違いますか?」

「正解よ。最も、今日は妹様に付き合っていたから、まあ今日はこの本だけかしらね。」

「では続きを。思えば最初に気付くべきでした。あなたの机に本が置きっぱなしであると言う事に。」

私は倒れた体勢から起き上がり、目線をパチュリー様の脇にある、山積みにされた本へと移す。

「小悪魔さんは真面目な性格のようでしたから、仮にインフルエンザだからって、本を置きっぱなしにするような事はしないはずです。
 つまりそこの本は、まだパチュリー様が読んでない本だと思います。この予想はあっていますか?」

「…正解。なかなか鋭いわね。小悪魔の性格を見抜いた上で、本の事に気付くなんて。」

「ありがとうございます。つまり、パチュリー様はまだ読んでいない本がすぐ傍にある。その本が読み終われば、そこの本をとればいい。
 そもそも小悪魔さんは、パチュリー様は魔法で本を取り寄せていると聞きました。」

「小悪魔も余計な事を言うわね。…それで?続けてみなさい。」

「それでは。つまりパチュリー様には、こういうのも小悪魔さんに失礼ですが、少なくとも今日は司書は必要なかったはずなんです。
 本は日の光と空気で劣化します。紙製ですからね。
 ですから、床においておく程度ならば、少なくとも今日中に劣化して読めなくなる、と言う事はまずありません。
 それが分かっているからこそ、パチュリー様は本を大事にしているわりには、床に落ちている本を拾おうとはしなかったのではないですか?」

私は最初掃除を始めた時の事を思い出す。
床には結構な数の本が散らかっていた。それこそ拾うだけで30分も1時間も掛かるほどに。
だが、パチュリー様も昨日までの小悪魔さんも、それを片付けようとはしなかった。
…それはつまり、その程度では本が痛む事はない、と言う事を何より理解している証拠だろう。
紙の劣化については、外の世界での理科の授業で教わった事だ。

「…そうね、そうなるわね。それで、それがどういうことなのかしら?」

「つまり、『本を片付ける』と言う本来の仕事は、別に明日小悪魔さんが復帰してからでも良かったはずなんです。
 小悪魔さんは初めて逢った人でも分かるくらいに真面目な人です。2~3冊整理する本が増えたくらいでは、文句なんか言わずにやったことでしょう。
 そこで最初の質問になる訳です。どうしてパチュリー様はわざわざ、今日誰かを司書としておこうと思ったのか、です。
 掃除はあなたの気まぐれで、本来の仕事も今日は必要ない。なのにパチュリー様がそういう行動を起こしたのは、とても不自然です。
 …これだけは答えが出てこなかったので、素直に聞くことにします。さっきみたいに誤魔化さないで下さい。」

…実を言うと、答えが出ていない、と言うのは嘘である。
何となくだが、答えは分かっていた。
…ひょっとしたら、パチュリー様は昔の私と、いや、どちらかと言うと今の私と似ているのかもしれない…。

「…早苗、たったそれだけの事で、そこまでの答えを導き出したのは見事だったわ。
 その敬意を表して、答えてあげるわ、あなたの質問に。」

ぱたん、とパチュリー様が本を閉じる音が、僅かに響く。


「…私は多分もう、一人でいる事が出来ないのよ…。」


…答えは、私の想像したとおりだった…。
フランドール様の誘いを受けたのは、逆にもう一つの選択肢であっただろう、私に任せる、と言う事が出来なかったから。
…私に任せてしまえば、図書館残るのは、パチュリー様だけになったかもしれないから…。


「妖怪と言うのは、親を持たぬものであれば、主に生物から妖怪になるか、事情の歪みから生まれるものか、二つに一つ。
 私は後者。生まれながらにして『魔法使い』と言う名の妖怪だった。どんな歪みから生まれたのかは、私自身も良く分からないけれど…。
 自然の中から生まれた妖怪は、家族も友人も何も持たずに生まれてくる。最初は一人なのよ。勿論、私も…。
 最も、最初はそれがどうと言う事はなかったわ。私は知識を求める存在。一人でも色んな事を知り、一人で生きていく事は出来た。

 …だけど、その中で私は『友』を知ってしまった。レミィと出会った事で、私は一人でいる事に、恐怖を覚えるようになった…。
 …だって、信頼できる者の傍にいると、とても心が落ち着いたから…。一人でいた時には知る事のなかった、特別な感情を覚えたから。
 だからこそ、私は小悪魔を使い魔として召喚し、傍において置くようにした。誰かに、信頼できる者に、隣にいて欲しかったから…。」


本に目を落としながら、静かに自らの事を語ったパチュリー様。
…パチュリー様は、一人でいる事を何よりも嫌っている。友を作った事で、一人でいる事を嫌うようになった。
…要するに、不安だったのだ。今日一日でも、一人で図書館にいる事が。
だったら外に出ればいいのに…。…とは、思わないでおこう。
きっと、パチュリー様にとってはそれも辛い事なのかもしれない。本の傍を離れるということが。
思えばパチュリー様の素っ頓狂な性格も、誰かと共にいる事を実感したいが為のものなのかもしれない…。
…流石に、それは考えすぎなのかな…。

「…早苗、答えた代わりに…私からも一つ聞かせて。…あなたはどうして、私にその質問をしたのかしら?
 あれだけの事を推理できたのだから、分かっていたのでしょう?私への質問の答えが。
 答えを知っていながら、どうして私にその質問をしたのか、その理由を聞きたいわね。」

…成る程、流石にパチュリー様は私の考えにも気付いていた。
確かに答えが分かっているのならば、こんな質問をするのは無粋極まりないだろう。
なにせ、パチュリー様自身の事なのだから。私が口出しするような事ではなかった。
なのに、私はその質問をした。その理由は…。


「…私も、同じですから。いえ、嘗ては同じでしたから。」


外の世界では、私は…自分で言うのも難ではあるが、特別な存在だった。
そうであるが故に、私の事を忌み嫌う人は少なくなかった。勿論、それを知った上で、友達として接してくれる人はいたが。
…私は、自分だけが周りの人と違う存在だと思っていた。私は、一人だとずっと思い続けていた。
…だけど、私は成長するにつれて、八坂様、洩矢様と関わるようになった。人知を超える存在である、神の事を知った。
人ならざる者の事を知って、私は初めて『自分も人間である』事を理解するようになった。
…それからは、私は『人でありたい』と思うようになった。人として、普通に生きていきたいと思った。
…一人でいる事を、嫌うようになったから…。

「…そう。だとしたら悪い事をしたわね。一人で掃除なんかさせるのは、間違いだったかしら。」

「…いえ、私はただのアルバイトですから。掃除くらい一人でやりますよ。」

それに、私はここに来る前に、新しい友達にこう言った。「心は何時だって隣にいる」と。
それを思うと、一人でも寂しくはない。だって、私は何時でも一人ではないのだから。
…最も、本気で時間内に仕事を終わらせようと思ったせいで、忙しさのあまりそんな事考えてる余裕がなかった、と言うのもあるが。

「…ふふっ、そうね…。」

…僅かだが、パチュリー様の初めての笑い声を聞いた気がした…。

「…早苗、そろそろ夕飯の時間よ。今日は仕事を頑張ってくれたから、咲夜にその事はちゃんと伝えておくわ。
 今日はもう上がってくれていいわよ。後は明日までゆっくり休んできなさい。」

…ああそうか、結構長々と話し込んでしまった。
実際にはまだ少し早いのだが、早めに上がれるに越した事はない。
うん、じゃあ今日の仕事はもう終わりにしよう。あとは、私の自由時間だ。

…そう思って、私はパチュリー様の向かい側に置いてあった椅子に、腰を下ろした。

「…何の心算かしら、早苗。」

訝しげに私の方を睨むパチュリー様。最も、元々そういう目つきなのだから、睨んでいるように見えるだけかもしれないけれど。

「もう少し、此処で本を読んでいく事にしますよ。面白そうな本が沢山ありますからね。」

私は机の上の本を手にとってみる。
はっきり言って何が書いてあるのかはさっぱり分からない。日本語でも英語でもない、見たこともないような文字が書いてあったりもする。
…だけど、私は精一杯読んでいるフリをする事にしよう。

「…上がっていい、と言ったと思うけれど?それに夕飯に遅れたら、咲夜に説教を喰らうかもしれないわよ?」

私の身を按じてくれるのは嬉しいのだが、既に咲夜さんの説教を喰らう覚悟は出来ている。
それでも、私は此処にいなくてはいけない気がした。せめて、パチュリー様が本を読み終わるまで。

「私はアルバイトですから。勤務時間が終われば後はフリーですよ。」

「…詭弁ね。もうどうなっても知らないわよ。」

「構いませんよ。アルバイトですから。」

自然と、小さく笑い声が漏れた。それも二つ。
今度は気のせいではない。初めて、パチュリー様の笑顔をはっきりと見ることが出来た。
それだけでも、此処に残った甲斐があったというものだ。
人として、この世に生きる者として、誰かに笑顔でいてもらえると言う事は、何よりの幸せだと思うから…。



…勿論、その後咲夜さんの1時間説教を喰らう事にはなったが…。





 * * *  フランの出番が少ないためのおまけ  『風祝と紅魔館2,5日目 ~風祝とレーヴァテイン~』  * * *



ふぅ、ようやく今日も終わりか、と暗い紅魔館の廊下を歩きながら思う。
今しがたお風呂に入ってきて、今日一日の疲れも殆ど吹き飛んだ。
それにしても、お湯に浸かりながら美鈴さんに聞いた咲夜さんの能力には驚かされた。
まさか本当に時間を操る力があるとは思わなかった。本当に人間離れした人が多いなぁ幻想郷は。

…それにしても、美鈴さんはやっぱり大きかったなぁ。
小悪魔さんもそうだったけれど、少しだけうらやましい。
いったい何を食べたらああも大きくなるんだろう。お風呂上りに牛乳を飲んでいたけど、やっぱりそういうのも大事なのかな?
次に逢ったら、何かそういう秘訣であるのか聞いておこう。


…何が大きいって?身長ですよ?


「ねーねー、こちやん。」


暗い廊下で、急に後ろから声を掛けられたのだからびっくりした。
振り返ってみれば、まあ私を「こちやん」と呼ぶ人は紅魔館には一人しかいないので予想するまでもなかったが、フランドール様がふわふわと宙に浮いていた。

「フランドール様、もう10時を回ってますよ?お休みにならなくて良いのですか?」

「こちやん、吸血鬼は夜行性なんだよ?」

即答された。
ああそうですね、忘れてましたよ完全に。あなたが昼間から図書館に遊びに来るから。

「…そうですか、で、何か御用でしょうか?」

「遊ぼ?」

これまた即答された。しかもこの時間に相応しくない言葉で。
別に眠いわけではないから構わないのだが、出来ればお風呂上りにそれを言わないで欲しかった。
…また後で2度風呂してもいいのかなぁ…。…まあ、ちょっと遊ぶくらいなら汗もかかないか。

「…分かりました、フランドール様がそう仰るなら、お付き合いいたしますよ。」

…と、何故か急にフランドール様が顔を顰める。
あれ?自分で遊ぼうと言ったのに、その誘いを受けてなんで嫌な思いをされなくてはならないんだろう。

「…ねえこちやん、その『フランドール様』っていうの、やめて。」

不思議と、今までよりも良く通る声に聞こえた。

「私ね、咲夜や美鈴に『妹様』って言われるの、好きじゃないの。だって、私をお姉さまの妹としか見てくれてない気がするから。
 勿論、そんな心算じゃないのは分かってるんだけど…。…でも、やっぱり私は、私の名前で呼んで欲しいの。
 こちやんが私の名前を呼んでくれたの、凄く嬉しかったんだよ?ああ、また私の名前を呼んでくれる人が増えたって。
 だから、『様』って付けるのはやめて欲しい。あと敬語も。『フランドール』って、普通に呼んで欲しいの。」

…急にこんな事を言われると、流石に戸惑う。
でも、分かる気はする。名前は重要なもの。パチュリー様ではないが、名は体を現すというくらいである。
フランドール様も、私やパチュリー様のように、自分の存在を確かめたいのかもしれない。
名前で呼んでもらうこと、それは自分を表すための、何よりの証拠となるからだ。

「…そうですか。ですが、今はアルバイトと言う都合上、それを受ける事は出来ません。」

…フランドール様に睨まれた。正直かなり怖い。
まあ、折角頼んだのにこう頭から否定されは、誰でも気を悪くするだろう。
だけど、いや、だからこそ、私はちゃんとフランドール様に思いを伝えなくてはならないのだろう。
フランドール(・・・・・・)は、私の事を友達だと、そう思っているのだろうから。

私は、フランドール様の頭の上に、そっと手を置いた。

「…ですが、このアルバイトが終わった時は、ちゃんとそう呼ばせていただきます。
 最も、敬語の方は普段しょっちゅう使っているので、それが直らなかった時はお許し願います。」

…フランドール様の顔が、花が咲いたような笑顔へと変わる。
どうやら分かってくれたみたいだ。私の立場と言うものも含めて。

「…うん、約束だよ!」

はい、と私は一度頷いた。約束は、それだけで充分な意味を持っただろう。
だって、友達との約束は、そうやって軽く結ばれて、そして決して切れないものだと思うから。




「さて、では何をして遊びますか?明日も仕事がありますので、出来るだけ早めに終わるものでお願いします。」

フランドール様がうーっ、と小さく唸るのが聞こえた。
早めに終わらせると言うのは許して欲しい。明日寝坊でもしたら、また咲夜さんの説教を喰らう。

「じゃあ弾幕ごっこ。」

…それは果たして早めに終わるのだろうか?
…まあ、少しだがフランドール様を不機嫌にさせてしまった負い目もある。

「…じゃあ、スペルカード一枚勝負でしたら…。」

妥協条件として、そうしておいた。
納得してくれたのか、フランドール様の顔が、今度は強気な表情へと変わり…。

…さっと、スペルカードを取り出した。

…えっ?こ、この場で…?急ぎたい気持ちは分からなくも無いけれど、せめて外で…。

「じゃあ早速いくよ!!禁忌『レーヴァテイン』!!!!」


それは まるできょだいなほのおのつるぎのようだった


…て言うか、まんま巨大な炎の剣だった。

「ちょ、フランドール様、待って…!!」

「こちやん、早くスペル出さないと死んじゃうよ!!」

軽々しく言わないで下さい!!ああもうパチュリー様なんと言う教育を!!
わ、私のスペルは出が遅いから、そんなに急に来られても…!!
ああ!なんか似たような展開が以前にもあった気が!!




「ぎにゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」




私の悲鳴は、紅魔館じゅうに響き渡っていたらしい…。
 ~オマケその2 忘れられてる人の現状~

「さ~な~え~っ!!!!どこにいったのぉ~!!!(諏訪子)」
「あーもーうるさいなぁ…。三途の川に来てまでこんな事叫んでる奴は珍しいよ…。(小町)」
「ねぇねぇそこの死神みたいな人!!」
「あたいはまさに死神だよ。」
「なんでもいいから!!ねぇまさか早苗が此処を渡ったりしてない!?」
「その早苗ってのが誰だか知らないけど、そもそも魂は大概同じ姿だからねぇ。四季様じゃないとそんなのは分からないよ。」
「その四季様って言うのは何処に!?」
「ん、閻魔だから川の向こうさ。だけど三途の川を渡るには…。」
「さなえ~~~~ッ!!!お願いだから無事でいてぇ~~~~!!!!」
「お、おいちょっと待…、…行っちゃったよ…。…川を渡った者に無事も何もないと思うけどなぁ…。
 …それにしても、これで今のが死んだ事になったら、あたいの責任なのかなぁ…。…四季様、絶対許してくれないだろうなぁ…。」


洩矢諏訪子、ただいま暴走中。一応神なので三途の川渡ったって死なないと思いますけど。

そんな訳で今日は、酢烏賊楓です。近所にクーリエと言う名の散髪屋さんがあって驚きました。そんな事はどうでもいいです。それではあとがきみたいなものを。

え~っと…。今回の話は今までより少し温度差があるかもしれません。
いえ、書き始めた当初は「どんなネタを使おうか」と、そればかり考えていたのですが…。

 * * * 考え中…( ゚д゚ )… * * *

…あれ?全然ネタ話にならないぞ?思いつく話思いつく話そこそこまともな展開…。
…-(ちょっと精神壊れ気味的な意味で)の早苗×-(マッド的な意味で)のパチュリー=+、と言う事なんですかね。
そんな訳で、いっそ無理するのは止めて少し温度差を作ってみるのもいいかな、と言う感じでこんな話になりました。
パチュリーは最初から妖怪設定です。求聞史記の「生粋の魔法使い」と言う言葉はそう言う事だと解釈しています。
レミリアとの出会いについて大して触れていないのは…。…まあ、あくまで主人公早苗ですから。
…まあ、結局最後は何時も通りですが。

…携帯電話が幻想郷入りしているのならば、靈異伝の一つくらいは幻想郷入りしててもおかしくないと思います。

それでは、何時もの事ながら少しでも楽しんでいただけたならば幸いです。
次回で「風祝と紅魔館」は最後になります。こっちは多分何時もの調子に戻ると思いますので。
予告タイトルは「風祝と紅魔館・3日目 ~風祝とメイド~」です。あ、次の話では小悪魔復活しますので。
少しでも期待していただけたならば重畳です。
酢烏賊楓
[email protected]
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コメント



0.940簡易評価
3.100てるる削除
確かにもはや靈異伝も、幻想みたいなものですかねww

にしても・・・・
今回こちやん壊れなかったなぁ・・・orzw
ほとんどアレが目的だったりするんでwww

最終回、待ってますね~。
4.80名前が無い程度の能力削除
>私を見なが、「誰やねんこいつ」
ら抜き言葉というヤツですか?

こちやんとパチェが分かり合った?件がとても良かったです。
壊れたこちやんも見たかったなww
5.80名前が無い程度の能力削除
鳥インフル、危険!危険!!
小悪魔は頑張りやさんだなあ

>小悪魔の正確を見抜いた上で
小悪魔の性格を見抜いた上で
6.80名前が無い程度の能力削除
レスのら抜き言葉吹いたwww

今回は発狂しませんでしたね。毎回発狂するのもマンネリだとは思いますが、
前作など読んで期待していたので少し物足りない気分です。
7.100☆月柳☆削除
前作までに比べて、一気にクールダウンした感じですね。
早苗がまとも?な分、パチュリーやフランが目だってて、これはこれでなかなかいけるじゃないか!と。
次回で最終回みたいなので、楽しみにして待ってます。
9.90名前が無い程度の能力削除
早苗さんがまともだとサクサク進みますね。次回は盛大にぶっ壊れてメイド長にトラウマを!それにしてもこのパチュリー様は淋しがり屋の極致ですな。
誤字らしきモノ
「ホンマ適用やわぁ~」→「適当」すぐ上のこぁさんの台詞もなってます。
「小悪魔の正確を~」→「性格」ではないかと。
13.無評価酢烏賊楓削除
コメントありがとうございます。

>てるるさん
>今回こちやん壊れなかったなぁ・・・orzw
それを期待していらしたのでしたら申し訳ありません。
…本当に全然思いつかなかったんです、崩壊早苗とマッドパチュリーの辛味と言うのが…。

>21:41:32の名無しさん
>ら抜き言葉というヤツですか?
おお、良くそれに気付きましたね、そのとおりですら抜き言葉で…。…ごめんなさい、嘘です。諏訪子と一緒に四季に裁かれてきます。
報告ありがとうございます。

>23:20:19の名無しさん
>小悪魔は頑張りやさんだなあ
こぁは何時だって頑張りやさんです。
>小悪魔の性格を見抜いた上で
報告ありがとうございます。

>00:15:29の名無しさん
>今回は発狂しませんでしたね。
…発狂しない話が流れの都合上もう一つあるのですが…。
…これはその前の話で通告するのが必要になりそうですね…。

>☆月柳☆さん
>前作までに比べて、一気にクールダウンした感じですね。
どちらかと言うとクールダウンせざるを得なかったと言う感じです…。

>03:58:22の名無しさん
>次回は盛大にぶっ壊れてメイド長にトラウマを!
ん、咲夜はともかく、狂乱早苗と変態メイド長の2人が交わった場合、最大の被害者はおのずと一人しかいない気がします。
>パチュリー様は淋しがり屋の極致ですな。
個人的なパチュリーのイメージがそんな感じなんです。
人には決して話さないけど、常に内心に何かを抱えている、そんな感じです。