ここのところへそを曲げに曲げていた天道も少しばかり冷静に思い直してくれたのか。
三寒四温の変則的な日々に、久しぶり穏やかな日よりが続き始めた。
つまり気団の流れだとか、低気圧がどうとか、そういうことなのかもしれない。
しかし、この少しばかり外れた世界の住人はさして何も感じていなかった。
暑くても、寒くても、ただ日課として箒を走らせる霊夢は何一つ思考するわけでもない。
いつも通り、石畳を掃き、境内の一角に散らかった屑を集めて焚火する。
若い葉は若干燃えづらかったのも僅かの間、周辺の温度が上昇するにつれてのらりくらりと灰になる。
「……む?」
不意に背後に感じた視線を確認すべく、振りかえってみた霊夢の視界には誰もいない。
足音もしないが感じる視線は止まず、むしろ強くなっている。
無言で懐から封魔針を取り出して注意深く瞳を動かす。
傍目で無人の境内にうずまく、どことなく慣れた気配。
「何よ、出てきなさいよ」
「私はずっといるよ?」
問いかけに応じた声は、霊夢が知る人物のものではない。
「じゃあ私の視界に入りなさいよ」
「頑張れー」
全く気持ちのこもっていない棒読みの声。
徐々にフラストレーションがたまってきた霊夢は、箒を肩に乗せてぎょろぎょろ目玉を蠢かす。
やはりそこに映るのは、無人の境内と緑に囲まれただけの風景のみ。
さらりと風に葉擦れの音が優しく乗って耳元へ運んでくる。
ゆるやかな日差しは、自然と心地よくなってしまう。
ただその中で異質なのは霊夢である。
気が短くなってきている少女は、ついに青筋たつ勢いで怒鳴り散らした。
「出てこいって言ってんで痛っ!」
怨嗟の科白を言いきる前に脛にきた激痛で思わず悶絶する。
目の前に今の今まで誰もいなかったのに、どうして脛に衝撃がくるのかを理解するより早く、解答は出た。
「どう? これでようやく分かったかしら」
「……うぁ?」
片膝ついた霊夢の眼前に立ちそびえる影を見上げれば、小さな女の子が半眼になって見つめていた。
逆光でまぶしいだけの視界は徐々に光量を調節する。
端正な顔立ちに、可愛らしいフリフリワンピース。
しなやかにウェーブがかった金の髪はくすんでいた。
手にしていた日傘を優雅に差して、
「まあ、貴方のその平和ボケした頭じゃ少々答えが難しかったかしら?」
言うことは物凄く失礼極まりなかった。
霊夢がいくらなんでも、こんな小さな子供に罵倒されることをしでかした記憶は全くない。
酒におぼれて酒乱を起こし、知り合いの鬼と吸血鬼で暴れまわったのを粛清されたこともあったが、そんなことはたぶん関係ない。
気になることは、別のところにある。
ワンピース自体それなりの価値がありそうなのだが、いかんせん汚い。
あちこち泥はねや土がこびりついて、純白とはお世辞にも言い難い。
無論、それらが子供らしい元気さをアピールしている。
「どうしたの霊夢。私がこうやっているのだから、お茶のひとつでも提供なさい」
「厚かましいわよ。大体、あんたどこの子よ? 迷ったとか?」
幼子に本気で怒っては人間として、または人生の先輩として流石にいかがするものか?
「里なら一緒についていってあげるから、ホラ、さっさと――」
妖怪に化かされた程度で取り扱おうとした霊夢の顔面に容赦なく日傘の先端が突きさされた。
丁寧なことに、一度傘はくるくると畳まれた、棒状の状態に一度してからである。
「眼がぁっ!! 眼がぁっ!! あぁぁー!」
顔面眼つぶしクラスの破壊力、そして予想外の奇襲。
霊夢は手で顔を覆ったまま、ごろごろ境内で高速横転を敢行した。
「誰が古代の浮遊都市のまねをしてって言ったの?」
「好きでやっているわけじゃないんだけどね!」
笑顔満面、独特のあどけない笑顔は醜く歪んだ少女と同期して般若が如く形相で詰めよる鬼巫女。
「名を名乗れ! 誰の差し金だ!」
「紫様だよ、霊夢」
霊夢からちょうど死角になっているところに、導師服を纏う化け狐が悠然と立っていた。
「はあ!? これが、紫?」
「ええ、間違いないわよ」
二転三転する自分の表情を愉快そうに見つめている紫に追い打ちを受けて、尚更霊夢の頭は混乱する。
霊夢の認識する八雲紫とは、似ても似つかぬ風貌だった。
古くからある大妖怪、賢者とも称えられ、どこぞの狭間に居を構えている、存在そのものが胡散臭い奴。
強くて、美しくて、しかし正体は年寄りくさいババア。
「誰がババアですって?」
「勝手に人の考えを読むな」
素早く薙いだ傘を今度は掴むことが出来た。
もしかしたら、見た目通りの力しか持っていないのかもしれない。
「……で、私におもりをしろと」
「おや、気付いていたか」
「ハッ、気付かないでか」
紫の面倒を主だってしている藍がこの神社に本人随伴で来ることなど余りない。
そして随伴して来た時、大体ロクでもないことを持ちこんでくる。
「私だって不本意だが、紫様たっての願いとあらば引かねばなるまい」
霊夢にとって、願いだろうが何だろうが関係はない。
彼女の判断基準は常にシンプルなのだ。
故に、彼女は即断即決を行う。
「却下」
「え~」
童の調子で反論した紫に一瞥をくれて黙らす。
「こんな爆弾抱えて、神社が倒壊するじゃない」
呆れてものも言えない、つく溜息が言外にそう伝えてくる。
見た目通りの力しか出せない紫など、そこらの三下妖怪でも赤子の手をひねるくらい簡単に殺せる。
大方護衛を兼ねて霊夢のところに押し付けに来たというところだろう。
ただし、それは紫の居宅がこの幻想郷の表にある場合の話である。
「境界のどこかにある方がよっぽど安全じゃない」
「うむ、私もそうやって何度も進言しているんだが……」
藍が紫の身を案じてこその進言とは分かる。
それすら蹴飛ばして、なお自分のそばにいると聞かない。
どれだけ損が付きまとうかを考えるより前に、一体何の得があるのだろうと考える。
「ねえ、紫」
「んー?」
見れば紫は足元から消えていて、縁側に腰かけていた。
日傘は霊夢の足元に置き去りにしたまま、靴は脱ぎ散らかして、ぷらぷら足を揺らしている。
「……あんた帰りなさい」
「やだ」
「帰って。私はあんたの世話なんて勤まらない。藍が適任よ」
「そうです。紫様、あまり霊夢や私を困らせないでください」
さりげなく、霊夢はダシにされていた。
「やーだ」
ぷいとそっぽを向いて、拒絶する。
ついでに土くれが廊下に飛び散る。
「(ちょっと待て、これ私が掃除しなくちゃダメなパターン?)」
頭が痛くなりそうな霊夢の隣では、藍が粘り強く紫を説得している。
これ以上ないくらいに頭を下げて懇願する姿にプライドのかけらも見当たらない。
「お願いいたします、紫様」
「いやだ」
「そこをどうにか」
「やだったらやだ!」
藍はほとほと困った様子で紫を見ていた。
どうにかして気をひこうとあの手この手で近づいてみても、紫は廊下をばたばた逃げて一定の距離を保つ。
比例してどんどん廊下は汚くなっていく。
待遇条件の見直しや、食生活の向上、果てには自らの身を顧みない条件が軽々と蹴飛ばされる。
見栄もプライドもありはしない、破格の条件を露骨なまでの否定する紫の態度に、藍のしっぽがしなりと地に落ちてゆく。
重力が藍の周囲一メートルだけ加重したかのように、藍が膝を折ってしまった。
俯いて時折首を振り、沈黙ばかり流れる。
こういう時、きっと顔は困ったを通り越して泣きそうになっているに違いない。
そんな後姿を見て、霊夢の心持は最悪である。
「(気分が悪いったらありゃしない)」
半ばヤケっぱち、半ば同情で藍を引きとめるべく声を後ろから投げた。
案の定、藍はもう一突きすれば泣きそうなほど顔がゆがんでいた。
僅かに後ずさりして、しかし一度声をかけて何もないでは通用しない状況であることを頭で再認識する。
もう、賽は投げてしまったんだ。
霊夢は頭を掻きながら鳥居の方へ視線をそらして、ぶっきらぼうに言った。
「紫はうちで預かるから、折をみて回収しに来て」
「本当か!?」
恐ろしく良い喰いつきだ。
やはり、こうなるのは予想出来ていた。
「ええ、見てられないわよ全く……」
泣きつく藍を鬱陶しく払いのけた後、石の上にある脱ぎ散らされた靴を右手で拾い上げる。
そして左手で小さな紫の体躯を持ち上げ、奥へと引っ込んでいく。
小さな紫の状態で、質量は大きなまま保たれていることが無かったために、見た目通りの軽さの紫はいとも簡単に捕まったのだ。
そして霊夢は紫を持ち上げてみて、初めて体臭がかなりキツイことに気付いた。
何日体を洗っていないかは知らないが、このまま家の中を歩かれてはたまったものではない。
「まずはお風呂に入るわよ。ここまで汚い姿でうろつかれたら迷惑だわ」
「ぶー」
風呂の単語に反応して、紫がやたらめったらジタバタ暴れだした。
見たまんまの力だったのが幸いして、霊夢は片手で押さえつけることが出来ていた。
ただ非常に鬱陶しい。よって脅すことにした。
「文句言うなら藍に引き渡す」
「う」
ぐいっと紫の首を藍の方へ向けてやる。
藍がこちらを見て手を大きく振っていた。
「さあ、選びなさい」
「うー……」
唸るだけ唸って、紫はあっさり抵抗を止めた。
行動がまるで本当に退行している。演技だったら相当な役者だ。
ただ眼下で大人しく捕まっている少女の顔に、演技くささは見られなかった。
またごねて暴れられても面倒である。霊夢はとっとと浴室へ向けて歩を進めた。
ついでにこの後起こるべく問題は、先手を打つべきだと本能的に感じ取った。
「らん~、こいつに好き嫌いは?」
地獄に仏、そういう目の藍に投げかけた疑問を、藍本人が正気に戻って理解するまでに数秒かかった。
「後でリストを送る!」
その声は、霊夢の耳に届きはしなかった。
「汚い!!」
靴は外の井戸付近に放置して、 脱衣所で服を脱がせた紫を浴室にたたきこむ。
湯をひっかけて軽く石鹸片手に洗い始めた途端、紫の体から汚れがぼたぼた零れた。
透明の湯は茶や黒に変色していき、排水溝へ消える前に、足跡として砂利や土を残していった。
もわっとした湯気に乗ってくる異臭がより鼻につく。
思わず嫌悪したくなる光景に突っ込まざるを得ない。
「ちょっとあんた! お風呂入っているの!」
「えー、面倒くさいから入らない」
「うえ……」
一度、こいつらの一家の衛生状況を問いただす必要があった。
独り身にしてはいささか広すぎる浴室、裸で騒ぐ二人の声は盛大に反響する。
「あーほら、ジッとしないと長引くわよ」
「いたいー!」
「だから目を開けるなって言ってるのに」
シャンプーが目にしみると涙ながらの抗議を無視して、優しく頭を洗う。
徐々にシャンプー独特の匂いが満ちてきた頃、ようやく紫は大人しくされるがままになった。
ころ合いかと思い、霊夢は異常事態について口を開いた。
「またどうして小さくなったのよ。境界でもいじくった?」
「……境界って何?」
目をつぶったまま振りかえる紫の頭から疑問符が飛び出しそうだ。
これがただの村娘なら当然の反応だろうが、この娘にしてこの反応はおかしかった。
八雲紫と言えば境界を操る妖怪である。
己が内に秘めたるその力、知らないはずがない。
「いつもやってるじゃない。すぱーって切り裂いて」
「霊夢、頭おかしくなった?」
身ぶり手ぶりをしても、目を閉じた紫に見えるわけもない。
霊夢の言だけ聞く紫は椅子を少し前にずらして、霊夢からいくらかでも距離を稼ごうとする。
霊夢はその分だけ詰め寄って、今度は少し乱暴に髪を洗う。
「いたい、いたい!」
「おかしいのはあんたよ」
泥がなくなるまで延々と洗い続けて、沸かした湯で一旦泡を流す。
ようやく解放された目をおおきく開いて、小さな紫が身震いする姿は子犬そのものだ。
「終わった?」
「次は体」
「じゃあさ、流しっこしよ!」
鏡の下に置いていたスポンジを二つ、自分の手と霊夢の手に乗せる。
期待いっぱいの瞳で見つめられた霊夢の顔はすぐに綻んだ。
「いいわ。じゃあ、私が先で……」
笑顔満面の紫にもう一度背中を向けさせて、たっぷり石鹸を含ませたスポンジでその柔肌を撫でる。
童特有の張りの良さは、指でつつけば適度に弾力を与え、滑らかな肌触りは何度でもさすりたくなる。
白く美しい。まさにこれはミルクスキン。
「れ、霊夢。く、くすぐったいよお」
「ふふ、いいじゃない。こんなに気持ちいいんだから」
「や、やだ、もう」
肌を密着させてじゃれ合いながら洗うものだから、二人が浴槽で一息ついたのはそれから十五分後だった。
「紫」
茜の空が開かれた窓から差しこむ。
小さな紫の体を膝に乗せたまま霊夢も湯に浸かっている。
しばらくは雫が落ちる音が浴室の音の全てだったが、霊夢が口を開いたことで静寂は破られた。
「楽しい?」
まず普通訊くことを、霊夢は訊こうとはしなかった。
代わりに訊いたのは、現状への楽しさ一点のみ。
「うん、このくらい」
紫はぱしゃりと水を飛び散らせて両手を上げる。そのままくるくる腕を回転させ、楽しさの規模を伝えてくれる。
「良かったわね」
思ってもみないくらいに自然と作れた笑顔に、裏表のない、可愛らしい笑顔が返ってくる。
その笑顔を眺めて、霊夢は紫の行動や言動が時間と共に退行している事実を認めざるを得なかった。
生意気な態度をとりはするものの、基本的には里の子供と大差ないくらいだ。
紫だと気づかれなければ、寺子屋に連れて行っても分かりはしまい。
「上がったらご飯にするから、もう少し我慢しててね?」
「うー、おなか減ったー」
「だからってお饅頭とか食べちゃだめよ」
「ぶー」
ここまで素直な反応を示す女の子が、とても紫とは思えない。
きっとこれはほんのイタズラだ。
醒めれば終わる、夢なのだ。
大方これは紫の気まぐれか何かに相違はない。
いつも通り、脈絡なく始まって、いつの間にか終わってしまう。
「望むべくしてこれあり、かもね」
「なにそれ」
「あんたがそうしたいからそんなチビになったってこと」
理解できていない紫のあいまいな返事に霊夢は苦笑いをする。
二人は一度窓の外の茜の空を見てから、脱衣所へ向かった。
八雲藍は優秀な式神だと思う。
こと紫のことに関しては、優の一言に尽きている。
風呂からあがってきた二人が台所に行けば、すでに藍が夕食の手はずを整えていた。
一度はリストを書いておけばいいと考えていたのだが、書けば書くほど紫の好き嫌いが激しいことに気づいてしまう。
それならばいっそのこと自分が作ってしまえば面倒がないと結論したと藍は語った。
紫の好き嫌いは飲料にまで及ぶ。
だから「嫌いな食べ物は何?」と問うより、「好きなものは何?」と訊く方が速やかに済んでしまう。
霊夢自身、藍が夕食を作ってくれたことは素直にありがたい。
自分が好きな食材が、実は紫は嫌いな食材であることがいくつか判明したのだ。
勝手な判断をしなくて済んだ、溜息をつけた。
ちゃぶ台囲んで騒がしく食べていた夕食時から一刻。
流石に騒いでいた本人は早々に布団の中にもぐりこんでしまった。
まだ眠るには早い二人は、縁側に出て、邪魔にならない程度に酒を酌み交わす。
グラス片手に境内へと視線を向けている一匹の妖怪と、一人の巫女。
「そうか、紫さまご自身の能力については覚えておられないと仰ったのだな?」
藍は霊夢の方を見ないで静かにグラスを傾ける。
乳白色の液体がのどの奥に沈んでいく。
「だいぶ退行化しているわね。ねえ何か変なもの飲ませた?」
「まさか、そんなことはせんさ」
霊夢の発言に藍はくすりと穏やかな笑いを返した。
「まあ、大方の見当はついているんだけどな」
「どういう見当がついているのかご教示願いたいものだわ」
霊夢もお猪口になみなみと注がれた日本酒をぐいっと呷る。
「うむ、あれは紫様の願望だと思う」
「願望?」
口で返す霊夢も、その答えが全くもって外れているとは思えなかった。
「長く生きていれば、ふと童心に帰りたくなることがある。
しかし、紫様はすでに一定以上の地位を得ている。
そんな方がそのままの姿で童女の如く振舞ってみられよ」
「それにしては、また突然よね」
「だから紫様なのだ」
どこか呆れた霊夢と諦めたような藍。
紫がこの二人に何を求めているのか、考えてみればそう難しい答えではない。
「つまり家族の役さ」
先取りする形で藍が正解を導いた。
ある種素直で、どこかひねている。
紫らしい、回りくどさとまっすぐさが一連の結果になる。
徳利を傾けて再びお猪口に酒を満たし、それを持ち上げる。
小さな杯に月がゆらめきながら映り、一通り眺めて飲みほした。
「慌てていた割に、あっさり冷めたじゃない?」
「紫様の性格をもう一度見直してみれば、すぐに」
あそこまで狼狽える藍の姿はそうそう見られない。
貴重な藍の困惑を見られて、さらに小さな紫を見られたのを合わせて、これらのどたばたの清算にあてるとしよう。
霊夢は藍にお猪口を見せるように上げる。
藍はすぐその行動の意図に気づいて、コップを上げる。
お互いに酒で満たされた二つの器が、乾いて澄み切った音を響かせた。
「こりゃ二人まとめて二日酔いが確定しそう」
「くくっ、それはまた面白い光景じゃないか。もれなく紫様に叩き起こしてもらえそうだ」
二人で顔を見合わせて無言のまま見つめ合って、堰が切れたように笑い合った。
「いいわね、傑作よ! 普段起こされる側のあいつが起こす側になるの!」
「布団ひっぺがして『起きろー!』とか叫ばれるに違いない!」
それから二人は、性格が子供っぽくなった紫が普段からでは予想もできないほど行動的になると勝手に想像しては笑い、
笑いついでに酒をがばがば胃腸に送り込む。
興が乗ってきた二人は時が過ぎるのを忘れてひたすらに呑んで笑う。
酒のみは風景がぶれだした頃にようやくお開きとなった。
それからわずか数時間の後の出来ごとだった。
「朝だー!」
二人が寝ていた寝室の障子が勢いよく、それこそ外れそうな速度で開かれた。
朝の冷えた空気と鳥のさえずりが、ようやく眠りの底にもぐった両者の脳内を激しく殴る。
せめてもの抵抗として、布団の中に潜り込んだが、頬をひきつらせた紫の手で一息に引っぺがされる。
「起きろー!」
「いや……紫、ホント勘弁して……」
「私もです……今、ようやく夢が見られるようになったというのに……」
「そんなの知るかー!」
二人の予想通りに、ミニ紫によって叩き起されたのだった。
起きるまでに散々抵抗した酔っ払い達に、紫は容赦なく攻撃を加える。
格闘して数十分、無理やりに覚醒した二人は容体を急変させ、すぐさま永遠亭に搬送。
八意永琳によって、絶対安静が言い渡された。
「二日酔いにボディーへのキック……致命傷よ」
ミニ紫はとりあえず、寺子屋にいる慧音が責任もって預かる結末で落ち着いた。
ちなみに、まだ紫はミニのままである。
続きを激しく希望!!
小さくなったからにはセリフを全文ひらがなにするのがお約束だろう!
ゆかりんかわいいよゆかr(ry
あまりの可愛さにボルテージMAX! フォォォオオオッ!!
オチがあれってことは続きがあるってことでいいんだな?いいんだな!?
期待してますぜ、旦那
で、続きはまだですか!?w