命蓮寺より除夜の鐘が鳴り終わる余韻が響き渡る中、一年で最も稼ぎ時のはずの博麗神社に人は疎ら……神社の奥から呪詛の様な声が聞こえてくるのは聞いてはいけない。
そんな中、妖怪の山の頂上にそびえ立つ守矢神社では多くの参拝客で賑わっていた。神奈子がこの日の為に山の上層の者達と交渉に交渉を重ね、諏訪子の力により山までの参道と河童のエスカレータを正月限定で設置したのだった。
さらに早苗の里での宣伝活動により、『幻想郷で(人が行ける場所としては)最も早く初日の出が望める風神の社』として多くの参拝客を呼び寄せたのだ。また、除夜の鐘終了の後、命蓮寺の面々が寺を聖輦船に変形させて大勢の参拝客を連れこの山に初詣に訪れる事になっていることもあり新年早々幸先がいい。
しかし、ただそれだけでこんなにも多くの参拝客が集まった訳ではない。そもそも年末の忙しい時期に早苗を里に赴かせたのには意味がある……宣伝なら山の鴉天狗を使えばいい事なのだから――
大晦日の昼、それなりに一年間の最後の片付けも一段落し始めた頃それは降ってきた。二つの影が高速で飛び交いながら幻想郷中にビラが配られた。そこには――
『幻想郷一バニーガール姿が似合うのは誰だin守矢神社2011』
こうして幻想郷の猛き者達がエスカレーターも参道も設置される前に山の頂を目指して決起したのだった……。
そして新年を迎え、神社の一角に設けられた紅白幕に覆われたステージより声が響き渡る――
「みなさーん!明けましておめでとーございまーす!!」
『おめでとー!!』
「さぁさぁさぁ、皆さんお待ちかねのステージが間もなく始まりますよ。進行は私、幻想郷の最速少女・射命丸文と」
「念写ガール・姫海棠はたてよ。そして」
「千里を見渡す犬走椛でお送り致します」
『うぉーあやや可愛いーっ!』
『ほたてーーーっ愛してるぞーーーっ!』
『モミモミーーーっ!モミモミさせ――』
その瞬間、英雄が一人刀の錆と散った――
「さぁ今回は干支が兎と言う事でですね、幻想郷で誰が一番バニーガール姿が似合うかという妖艶かつポロリもあれば私も嬉しいんですが……」
「文、本音が出てるわ。カメラ構えないの」
「そうですよ射命丸殿、今回は二人一組でタッグを組んで四角い土俵の中で肉弾言語する『夢の東方タ――』」
「それも違うわっ!てか怒られるわっ!?二人とも新年早々ボケはいいから」
「わかってますよ……ちなみにバニーガールと言う事で私達もバニー姿でーす、が私達は進行役なので票を入れて頂いても無効になりますのでご注意ください」
「でも入れて下さると嬉しいで~す」
「射命丸殿、これ取っていいですか?」
そう言いウサ耳を取ろうとする椛、すると――
『ダメ~っ!』
「大きなお友達の皆さんがダメと言ってるのでそのままでお願いします」
「えぇ~」
「まぁまぁ椛、新しいファン層の開拓は必要よ」
「それは貴女もでしょう、姫海棠殿」
「はいはいそれ位で、これ以上待たせますと後が怖いですから。では皆さん、始めちゃってもいいかな~?」
『いいとも~!!』
「じゃあ始めたいと思います、『いいとも選sy――』」
「文っ!」
「『幻想郷一バニーガール姿が似合うのは誰だin守矢神社2011』開催ですっ!!」
『Wooooooooooooooooooooo!!』
遂に幻想郷新年最初のお祭り、闘いの幕は切って落とされた――
「ではエントリーナンバー1番、この企画の主催者にして守矢神社の祭神、風神・八坂神奈子様です!」
その文の呼び出しに呼応する様に一陣の風が吹き、紅白の幕がバッと開いた。
『神奈子様結婚してくれー!!』
観客の声援を浴び颯爽と現れた神奈子。紫色の髪より生えたウサ耳をピョコピョコ揺らし、着てる水着は赤いスリングショット、その布地の間から山の神を象徴するがの如き二つの豊満なる双丘も耳の動きに合わせ揺れ、妖艶な太ももが歩く度に照らし出される。
「いやー流石は神奈子様、神様らしく堂々とした立ち姿でらっしゃいますね」
「ホントねー、でも初っ端から出て来て大丈夫なの?後になるにつれ印象薄くなったりしないのかしら?」
「それだけ自信があるということでしょう」
3人の会話の間、神奈子はステージの最前列にて観客と触れ合いそうになっている。豊満な胸を強調する様に右腕に抱き抱えながら前屈みになり、観客に投げキッスをした。
『ウォー神奈子様ーーーっ!!』
『我々の宗派では神徳です』と複数名の猛き者達が倒れた。河童や白狼天狗達に医務室へ運ばれたが今日はこういう日である、薬師も勿論水着である。医務室が紅き鮮血で染まるのはほぼ確定的に明らかだ。
ステージを終え振り向き様に見えた神奈子のお尻に付いた兎の尾でまた数人が倒れた……。
「さぁ開始早々ヴァルハラに旅立ちましたが彼等の死を無駄にしない様に戦い抜きましょう!」
「そうね、では続きまして……って文っ、こんなの聞いてないわっ!!」
「いやだってご本人が出たいって言うんだもの……」
「覚悟決めましょう射命丸殿、姫海棠殿……っ、エントリーナンバー2番、語られる怪力乱神・星熊勇儀様ですっ!」
『勇儀姐さん抱いてくれーーーっ!!』
観客の熱気に包まれながら現れた勇儀の胸にはさらし、腰には赤褌一つで大股でステージを進んでいく。地を踏みしめる度にさらしからはみ出すが如く胸が揺れ、割れた腹筋が逞しく映えた。それでも頭に付けたウサ耳とのギャップがまた可愛らしい。
「いやはやこれはまた……」
「何と言うか……」
「バニーガールというより『漢』ですね……」
3人が感服する間に最前列へと歩を進めた勇儀、そこで立ち止まりおもむろに片脚を天高く上げた。
観客が固唾をのんで見守る中、勇儀はその脚を振り下ろし地を鳴り響かせた。俗に言う土俵入りと一緒であるが、その衝撃で山よりも勇儀の巨乳が揺れたのは言うまでも無い。
最後は蹲踞のポーズで舞台を終えた勇儀、その勇ましさに胸打たれた屈強な男達がまた逝った。
『勇儀姐さんと相撲取りたい!!』――そう言い残して。
「いやはや、言葉になりませんね……」
「あまりの凄さに姫海棠殿が気絶しましたからね……流石は肉体言語を地で行くお方ですね……」
「……行きましょうか、次」
「はい、エントリーナンバー3番、三途の川に流るる一輪の彼岸花・小野塚小町さんですっ!」
『キャーっ、こまっちゃ~んっ!!』
続いては小町、白黒に蝶をあしらった三角ビキニに包まれた胸が大きく振動し、猛者達はその光景を神々しく魅せられている。モデルさながらにステージを進む度、男達のボルテージも振り切れんばかりに上がっていく。紅い二つのおさげの先からウサ耳が覗いている。
「さぁ、お仕事をサボってばかりいるせいか妙に色っぽいスタイルを誇る小町さんですね」
「本当ですね、少し位分けて頂きたいものです」
「文、椛、僻みが入ってるわ……さっきの二人に刃向かえないからって何もパルパルパルパル私も妬ましいわ」
3人がどこかの橋姫の如く妬み始めたのを余所眼に、小町はステージに座り込み身体を仰け反らせ始めた。勿論自信たっぷりに胸を強調しながらウィンクを飛ばした。何人かが三途へと我先に旅立っていった。
小町のステージの後には死屍累々となった。
『地獄で映姫様のウサ耳見るんだ!!』と言って去っていった。
「……まだ3人目なんですけど人が凄いスピードで消えていきますね」
「選ばれた者のみが残れるのよ」
「ではまだまだいきます。エントリーナンバー4番、武神の代理だって女の子・寅丸星君ですっ!」
『TORA☆MARU星ちゃ~んっ!!』
その呼び掛けに戸惑いながらもオドオドしながら4人目の寅丸が現れた。虎の毛皮を胸と太ももを被っただけの姿で内股気味に進んでいく。若干震えているためか、胸も小刻みに震え、ウサ耳の後ろからは隠れきれていない虎の耳が元気良く動いていた。
「何ですかねこれは、巨乳祭りですか新年早々っ!?」
「もう実家に帰らせて頂きますっ!」
「落ち着いて二人とも!?私一人じゃ進行出来ないからっ!!」
文と椛が地団太を踏みはたてがオロオロする中、寅丸は村紗やぬえから教わったセクシーポーズを取っていた。両手を地につけ谷間を強調したり、持ってみたりしている。
『財宝は、ワンピースはここにあった!!』と叫びながら猛者が天高く拳を上げ果てていく。
最後に『TORA☆!!』と某歌姫のポーズを取り止めを刺した。
「さぁもういきましょう」
「巻きで巻きで」
「はい続きましては瀟洒にして可憐なる悪魔の華・十六夜咲夜さんですっ!」
『咲夜さ~んご奉仕して~!!』
そんな男共にナイフ(照れ隠し)を投げながら優雅に現れた咲夜、スクール水着である。そんな水着であっても大きめの胸は映え、強調し過ぎる事も無いのは流石瀟洒である。
「いやようやく普通サイズですね~」
「ホッとしますね」
「いやあれ案外PA……」
はたてが猛々しい男達と共に旅立っていった。
そんな咲夜もバレリーナの如く身体を仰け反らせ身体の柔らかさを見せつける。心なしか胸も強調されている。
『PAD長モミモミ――』
勇者は散ったのだ……。
「いや~盛り上がって参りましたね~」
「そうね」
「ではこのままの勢いで続いて――」
というかキャラ登場しただけで終わり?