☆注意事項
・ⅠとⅡはありません。(キリッ)
・タイトルの通り、きんもーっ☆な内容です。(汗)
・つっこみ所も満載です。(汗)
きんもーっ☆クエストⅢ そして炎上へ…
きんもーっ☆
ずば抜けた知性とS級クラスの妖力値を誇り、なが~い、なが~い歳月を生きてきた妖怪、八雲紫。
『古の大妖』『妖怪の賢者』『神に匹敵する力を持つモノ』『チート妖怪』『妖怪スキマ☆若作りババァ』━━
数多の通り名を持ち、能力と経験に裏付けされた実力と、常日頃胡散臭さを湛えた笑みを浮かべている為、
「悩みなんかないんじゃない?」
と、紫に対して誰しもが思う。
でも、紫だって花も恥らう女の子。(?)
悩み事は、たぁ~くさん有るのだ。
その悩みの一つは、彼女自身に起こったある症状であった。
体の異常を自覚した場合、症状が何なのか把握できていれば薬を用いるものだ。
それは、妖怪も変わらない。
昨今、”外の世界”では、優れた薬がドラッグストアで手軽に入手出来る。
”外の世界”通の紫はもちろんそのことを知っており、真っ先にドラッグストアへ行き、悩みの症状に効く薬を購入した。
ところが、紫は姿形が人間そっくりでも、やはり妖怪。
人間様の薬は、効き目が無かったのだ。
”外の世界”の薬が効かなければ、どうするか?
「そうだ、永遠亭へ行こう!」
思いついたら即実行の紫は、幻想郷№1の薬師、八意永琳が住む永遠亭を訪れた。
今や幻想郷の住人であるとはいえ、宿敵とも言える月人に借りを作るなど有り得ないのだが、よほど事態を要していたのであろう。
稀代の薬師であり、人間のお医者さんであり、妖怪のお医者さんであり、モグリのお医者さんでもある永琳に頭を下げた。
「━━の薬を頂けるかしら?」
「ええ、お安い御用よ。 薬礼はゴキブリ千匹を前払いで」
「……はい!? ゴ、ゴキブリ!? 黒くてすばしっこくて、きんもーっ☆なアレのこと!?」
「そう、あのゴッキーよ。 新薬の研究に生きているゴキブリが大量に必要になったの」
「貴女達で捕まえればいいじゃない!」
「それがね~。 うどんげに、訪問先でついでにゴキブリを捕獲してくるように言ったのだけれど、思ったより生け捕りが難しいようで、全然集まらなかったのよ」
「だからって、なんでこの私がゴキブリなんかを!」
「嫌ならご所望の薬、処方してあげないわよ~♪」
「うぐぅ!?」
きんもーっ☆
薬がどうしても欲しい紫は、やむ得ずゴキブリの生け捕りを試みた。
紫は神に匹敵する力を持つモノだ。
ウサギ妖怪が行ったような、虫取り網で追い掛け回すようなマネはしない。
境界の妖怪は、”ひみつスキマ”の一つである”スキマ・ホイホイ”でゴキブリを生け捕ろうとした。
ところがどっこい、”スキマ・ホイホイ”にかかったゴキちゃんは、わずかであった。
どうすれば、ゴキブリを大量に生け捕りできるのだろうか?
散策中に出会ったボーイッシュな蟲の妖怪に相談をしようとしたが、
「ゴキブリ妖怪の貴女に相談に乗って頂きたいことがあるのだけれど」
「私は蛍の妖怪です!」
「……え!? ご、ごめんなさい。 貴女、見た目がゴキっぽいから、てっきりG妖怪だと思ってたわ……」
「うわーん! ゴキブリがこんなキレイな光を放つものかよ!!」
よっぽど、ゴキブリ妖怪だと勘違いされたことが悔しかったのだろう。
蛍の妖怪少女は、下着ごとズボンを降ろすと、丸出しのおケツを光らせ、泣きながら飛び去ってしまった。
「あ、ちょっと聞きたいことが……。 う~ん、男の子っぽい外見の割りに、なかなか私好みのお尻ね」
きんもーっ☆
とある日、紫は気分転換に人里にある貸本屋を訪れた。
「ふむ、結構”外の世界”の本が置いてあるわね」
以前、親しいビンボー神社の巫女、霊夢から珍しい本が沢山あると聞いていた通り、店に入ってすぐに明らかに”外の世界”から流れてきたと思われる本が平積みにされていた。
幻想郷でも印刷製本が行われているが、技術力の差により、”外の世界”の製本のように、キレイな印刷やカラー写真を載せる等できない。
そのため、幻想郷の製本か”外の世界”の製本かどうかは、紫のような事情通であれば、即判別できるのだ。
紫は、平積みされた本の山から、表紙に”もえ〇るぶ”というタイトル名と少女のカラーイラストが描かれた本を手に取った。
どうやら東京の観光スポットを案内するガイドブックらしい。
しかし、紹介されている場所が同人誌やフィギュアやトレカ等を扱う店だったり、メイド喫茶等だったりと、いわゆる”萌え”に特化した店等のガイドブックのようだ。
さらに、萌え~な絵をふんだん盛り込んだ、萌え~な漫画付き。
(もえ〇るぶってどないやねん! きんもーっ☆)
あまりの萌えっぷりに、さすがの紫も心の中で毒を吐く。
さらにページをめくっていると、店の奥から黄色いエプロンを身に付けた小柄な少女が姿を現す。
「いらっしゃいませ。 ……あ、その外来本、先日入荷したばかりの本ですね。 そういえば、最近その本の表紙に描かれた女の子みたいに、目がやたら大きかったり、髪の色が変だったりする女の子達が描かれた外来本をよく見かけるんですが、”外の世界”の流行なんでしょうか? きんもーっ☆ですよね~」
なかなかおしゃべり好きな上に、物怖じない少女のようだ。
人妖問わず、ほとんどの者は、紫の外見の美しさ、高い妖力によるプレッシャー、そして常に顔に浮かべる得たいのしれない胡散臭さを漂わせた笑みにより、話しかけるどころか近付く事さえ躊躇するのだから。
「元気が良いわね、貴女」
「あはは、それが私の取り柄でして。 えーと、何の本をご入用でしょうか?」
「特に決めてはいないのだけれど。 ……あっ。 昆虫図鑑は置いて有るかしら?」
「はい、何冊もございますよ。 確かここに……、はい、どうぞ」
「ありがとう」
少女から昆虫図鑑を受け取ると、さっそくゴキブリのページを開く。
ゴキブリの生態を詳しく知れば、生け捕りのヒントを掴めるかも知れない。
だが、記載されている行動パターンや習性等は、すでに紫が知っていることばかりであった。
(う~ん、一般的に知られていることばかりね。 ……うん?)
ゴキブリの繁殖の項目に紫の目が止まった。
そして、ひらめく。
(そうだ、生け捕りが難しいのなら、養殖すれば良いのよ!)
きんもーっ☆
紫は、人里の貸し本屋から帰宅すると、すぐさまゴキブリを養殖する為の行動へ移す。
紫の屋敷は、住人の数に対して無駄と思える程広大であり、部屋が数多くあった。
その中でも、屋敷の一番奥の部屋は、日当たりが悪い為、滅多に使用することがないので、そこでゴキブリの養殖を行うことに決める。
大量のエサや飼育するための容器等を揃え、生け捕り出来たわずかなゴキブリを基に養殖を開始。
なお、ゴキブリの飼育及び管理は、以前紫の屋敷の庭に”外の世界”から流れ着いたダッチワイフ人形(アソコ使用済み)に低級の式神を憑けてやらせることにした。
さすがの紫も、ゴキブリの世話は嫌だったのだ。
ゴキブリの養殖は順調に進み、目標数をはるかに上回るほどの繁殖に成功。
そして、ダッチちゃんに活きの良いゴキブリ千匹を大きい容器へ詰めさせ、それを永琳に渡し、それから数週間後に約束の薬を見事ゲット!
永琳製の薬の効果は抜群であった為、紫が悩んでいた症状は改善。
目的を果たした紫は、ゴキブリの養殖部屋に行かなくなった。
そして、しばらくすると、養殖のことなどすっかり忘れてしまう。
もちろん、残ったゴキブリの始末や後方付けをしていなかったことさえも……。
きんもーっ☆
紫が永琳から薬を入手してから数ヵ月後。
紫の式である妖狐、八雲藍が倒れた。
原因は、発情期であった。
妖獣の中でも、最高位に位置する九尾の狐とは言え、やはり本性はケモノ。
発情期ともなると、もうたまらん状態になってしまうのだ。
だが、藍は誇り高き九尾の狐であり、紫の壱の式。
下位の妖獣のように、本能の赴くまま妄りな行動をするわけにはいかない。
毎年、気合で耐え切っていた藍であったが、今年は性欲をもてあます。
理性と性欲が何度も何度もぶつかり合うことにより、体調を崩してしまい、ついにダウンしてしまったのだ。
八雲家の家事を取り仕切る藍が倒れたことにより、紫の生活レベルが下がるのは必須。
しかし、妖怪の賢者であり、グータラの天才である紫に抜かりはない。
藍の代わり作れば良いだけのことである。
きんもーっ☆
「掃除、洗濯、お風呂の準備も終わった~♪ 夕食の準備にとりかかろっと」
いつもなら金毛の九尾がゆらぐ台所であったが、その日は黒毛の二尾がゆらめいていた。
しっぽの持ち主は、藍の式である化け猫、橙だ。
水に弱いという弱点を持っていたが、家事が行える程度の耐水性が付くように、憑けられた式神を紫にバージョンアップしてもらったのである。
また、紫はさらに藍の家事の知識や経験を橙に憑けた式神にコピーしたのだ。
これらにより、橙の家事レベルは藍並みをレベルアッーーープ!
「にゃん、にゃん、にゃにゃにゃん~♪」
今まで家事などロクに出来なかった娘々(にゃんにゃん)であるが、出来るようになると、案外楽しいらしく、鼻歌を歌いながら、塩漬けの大根を手際よく切っていく。
「ただいま」
「お帰りなさいませ、紫様。 お風呂の準備が出来ていますので、お入り下さい」
「ご苦労様、橙」
紫は、橙の頭を優しく撫でてあげた。
「えへへへ♪」
「藍の具合はどう?」
「まだ体調が優れないようです……。 でも、この橙が、藍様の分まで一生懸命がんばります!」
「ちぇ、橙! 勘当、もとい、感動した! 貴女はまさに式の鑑だわ! これは、ごほうびよ」
紫は、空間にスキマを開け、ホットドッグを取り出して、橙に手渡した。
紫は長く生きてる妖怪のわりに、”外の世界”のジャンクフードが大好物であり、特に大手チェーン”姉さんズ”のホットドッグが大好物であった。
その為、”外の世界”に行く際には、必ず”姉さんズ”に寄ってホットドッグを大量に購入し、”ひみつスキマ”の一つである”保存のスキマ”へ入れているのだ。
「ワ~イ♪ ごちになります、紫様! ……あ、そういえば、最近ゴキブリをよく見かけるんです」
「へぇー……。 今度外の世界に行った時、ゴキブリ〇イ〇イとかを買ってくるわ。 (……うん、ゴキブリ?) じゃ、先にお風呂頂くわね」
紫は一瞬怪訝な顔をしたものの、すぐに浴場へ向かった。
「さてと、紫様はかなり長風呂だから、藍様の食事を先に作っちゃおうっと」
新妻のような初々しさで、橙は、藍のためにおかゆを作り始めた。
きんもーっ☆
ほどなくして、おかゆは出来上がり、橙は、藍の個室の襖を静かに開けた。
キレイに片付けれた部屋のちょうど中央当りに布団がしかれ、藍がうつぶせていた。
「藍様、お食事をお持ちしました」
橙の呼びかけに応じ、きんもーっ☆、もとい、金毛の九尾が動く。
食べるために起き上がった藍の顔は、いつもよりやつれていた。
心身ともに相当なダメージを受けているようだ。
だが、藍は辛さを堪え、優しく微笑んで橙をねぎらう。
「すまないな、橙」
「な、何をおっしゃいます。 私は、貴女の式なのですから……。 もっともっと、大好きな藍様のためにお役に立ちたいんです」
「ちぇ、橙!」
橙の可愛らしさと甲斐甲斐しさのコンビネーション・アタックに、藍の理性はプッツン。
必死に抑えていた性欲をもてあます。
藍は勢いよく立ち上がると、橙をお姫様だっこした。
「ら、藍様!?」
「ゆっくりニャンニャン出来る所に行こうか……。 久しぶりに………。 萌えちゃったよ!」
屋敷の一番奥に、使われず、滅多に行くことがない部屋を思い出し、橙をだっこしたまま自室を出ていく藍。
彼女達が向かう部屋。
そう、そこは……。
きんもーっ☆
藍と橙が不純同性行為に及ばんとする頃、紫はまったりと湯に浸かっていた。
「あら? ゴキブリ……」
浴室の壁をせわしなく這う黒光りする虫が、紫の目に留まる。
その時であった。
「……はッ!? そ、そういえばゴキブリの養殖部屋、片付けてなかったわ!」
紫は、驚愕の表情を浮かべ、勢いよく立ち上がったが、すぐにまた湯船に肩まで浸かる。
「ふー。 いけない、いけない。 この八雲紫ともあろう者が。 たかがゴキブリじゃない」
紫は、自らを落ち着かせるために様々な複雑な式を思い浮かべては、それを解いていった。
そして、ついでに現在繁殖し続けているゴキブリの数を算出しようと、複雑な式に様々な条件を当てはめていく。
(ダッチちゃんにゴキブリの数を最後に確認させた時、オスが****匹、メスが****匹。 ***日繁殖し続けたとすると……)
ぽくぽくぽくぽく……、ちーーーん!
「じゅ、10万匹以上に繁殖!? ぎょえええええっ!!」
紫は、あらん限りの叫び声を上げた。
「す、すぐに確認しなきゃ!」
慌てて湯船から飛び出し、バスローブをすぐさま身に着けると、ゴキブリの繁殖部屋がある屋敷の一番奥へと駆けていく紫。
よぼっど、テンパッていたのだろう。
”どこでもスキマ”を使えば、後の悲劇は起きなかったかもしれない……。
きんもーっ☆
「さあ、橙! 共に禁断の扉、もとい、襖を開けよう!」
ようやくたどり着いた部屋の前で、紫は信じられないモノを目にした。
橙を抱っこした藍がゴキブリ部屋へと入ろうとしていたのだ。
「藍! 開けちゃ、らめえええッ!!」
「ゆ、紫様!?」
藍は、襖の取っ手に手をかけていた上に、慌てて振り向いたので、襖を開けてしまう。
その瞬間であった。
黒いうねりが飛び出してきたのは。
それは、凄まじい数の━━GO・KI・BU・RI!
「「「ぎゃああああ!? き、きんもーっ☆!!」」」
紫が、藍が、橙がパニックを起こしてゴキブリから逃げ回る。
妖怪と言えども、慌てふためて右往左往するのは無理もない。
大量ゴキが、ぶぁぁぁぁあって飛び回っているのだから。
この場に某レポーターがいれば、
『ここに10万匹のゴキブリがいます!』
と、そう叫んでいたに違いない。
「恐い! きもい! ら、藍! 貴女なんてことしてくれたの! ……くっ、戦略的撤退よ!!」
「にゃんとぉーっ!? お、置いてかないで下さい、紫様~!」
「紫様!? 橙!? ぶべっ!」
”どこでもスキマ”を開き、慌てて飛び込んだ紫。
必死に紫に飛びついた橙。
無慈悲にもスキマを目の前で閉じられ、床にキスをするはめにばかりか、逃げ遅れてしまった藍。
ヨロヨロと立ち上がる藍に、とっておきのダメ押しとばかりに、ゴキブリが群がっていく。
「きんもーっ☆な虫けらどもめ! まとめて燃え尽きろーーッ!!」
置いてきぼりをくらったこと。
性欲をもてあます。
そして、あり余る性欲で、橙と不純同性行為できなかった怒り。
その怒りの咆哮ともに、生み出された妖力MAX全開の狐火。
極大の狐火は、巨大な火柱となり、ゴキブリのみならず、広大な屋敷も包み込む。
その日、紫の屋敷は炎上した。
~ おしまい♪ ~
・ⅠとⅡはありません。(キリッ)
・タイトルの通り、きんもーっ☆な内容です。(汗)
・つっこみ所も満載です。(汗)
きんもーっ☆クエストⅢ そして炎上へ…
__,. -=- ,、
'「'_r.'´_r-、>r-、
//`Y´_>,_ノ<_ン'、
i | r'_r',!イノ)ノン,), 八雲 紫
ヽ>,_(.ノノ!^ ヮ゚ノ)´ 「さあ、皆さんも、ご一緒に叫びましょう! きんもーっ☆!!」
`ー '(kOi =ikb て
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`"-r_ォ_ァ-'"
きんもーっ☆
ずば抜けた知性とS級クラスの妖力値を誇り、なが~い、なが~い歳月を生きてきた妖怪、八雲紫。
『古の大妖』『妖怪の賢者』『神に匹敵する力を持つモノ』『チート妖怪』『妖怪スキマ☆若作りババァ』━━
数多の通り名を持ち、能力と経験に裏付けされた実力と、常日頃胡散臭さを湛えた笑みを浮かべている為、
「悩みなんかないんじゃない?」
と、紫に対して誰しもが思う。
でも、紫だって花も恥らう女の子。(?)
悩み事は、たぁ~くさん有るのだ。
その悩みの一つは、彼女自身に起こったある症状であった。
体の異常を自覚した場合、症状が何なのか把握できていれば薬を用いるものだ。
それは、妖怪も変わらない。
昨今、”外の世界”では、優れた薬がドラッグストアで手軽に入手出来る。
”外の世界”通の紫はもちろんそのことを知っており、真っ先にドラッグストアへ行き、悩みの症状に効く薬を購入した。
ところが、紫は姿形が人間そっくりでも、やはり妖怪。
人間様の薬は、効き目が無かったのだ。
”外の世界”の薬が効かなければ、どうするか?
「そうだ、永遠亭へ行こう!」
思いついたら即実行の紫は、幻想郷№1の薬師、八意永琳が住む永遠亭を訪れた。
今や幻想郷の住人であるとはいえ、宿敵とも言える月人に借りを作るなど有り得ないのだが、よほど事態を要していたのであろう。
稀代の薬師であり、人間のお医者さんであり、妖怪のお医者さんであり、モグリのお医者さんでもある永琳に頭を下げた。
「━━の薬を頂けるかしら?」
「ええ、お安い御用よ。 薬礼はゴキブリ千匹を前払いで」
「……はい!? ゴ、ゴキブリ!? 黒くてすばしっこくて、きんもーっ☆なアレのこと!?」
「そう、あのゴッキーよ。 新薬の研究に生きているゴキブリが大量に必要になったの」
「貴女達で捕まえればいいじゃない!」
「それがね~。 うどんげに、訪問先でついでにゴキブリを捕獲してくるように言ったのだけれど、思ったより生け捕りが難しいようで、全然集まらなかったのよ」
「だからって、なんでこの私がゴキブリなんかを!」
「嫌ならご所望の薬、処方してあげないわよ~♪」
「うぐぅ!?」
きんもーっ☆
薬がどうしても欲しい紫は、やむ得ずゴキブリの生け捕りを試みた。
紫は神に匹敵する力を持つモノだ。
ウサギ妖怪が行ったような、虫取り網で追い掛け回すようなマネはしない。
境界の妖怪は、”ひみつスキマ”の一つである”スキマ・ホイホイ”でゴキブリを生け捕ろうとした。
ところがどっこい、”スキマ・ホイホイ”にかかったゴキちゃんは、わずかであった。
どうすれば、ゴキブリを大量に生け捕りできるのだろうか?
散策中に出会ったボーイッシュな蟲の妖怪に相談をしようとしたが、
「ゴキブリ妖怪の貴女に相談に乗って頂きたいことがあるのだけれど」
「私は蛍の妖怪です!」
「……え!? ご、ごめんなさい。 貴女、見た目がゴキっぽいから、てっきりG妖怪だと思ってたわ……」
「うわーん! ゴキブリがこんなキレイな光を放つものかよ!!」
よっぽど、ゴキブリ妖怪だと勘違いされたことが悔しかったのだろう。
蛍の妖怪少女は、下着ごとズボンを降ろすと、丸出しのおケツを光らせ、泣きながら飛び去ってしまった。
「あ、ちょっと聞きたいことが……。 う~ん、男の子っぽい外見の割りに、なかなか私好みのお尻ね」
きんもーっ☆
とある日、紫は気分転換に人里にある貸本屋を訪れた。
「ふむ、結構”外の世界”の本が置いてあるわね」
以前、親しいビンボー神社の巫女、霊夢から珍しい本が沢山あると聞いていた通り、店に入ってすぐに明らかに”外の世界”から流れてきたと思われる本が平積みにされていた。
幻想郷でも印刷製本が行われているが、技術力の差により、”外の世界”の製本のように、キレイな印刷やカラー写真を載せる等できない。
そのため、幻想郷の製本か”外の世界”の製本かどうかは、紫のような事情通であれば、即判別できるのだ。
紫は、平積みされた本の山から、表紙に”もえ〇るぶ”というタイトル名と少女のカラーイラストが描かれた本を手に取った。
どうやら東京の観光スポットを案内するガイドブックらしい。
しかし、紹介されている場所が同人誌やフィギュアやトレカ等を扱う店だったり、メイド喫茶等だったりと、いわゆる”萌え”に特化した店等のガイドブックのようだ。
さらに、萌え~な絵をふんだん盛り込んだ、萌え~な漫画付き。
(もえ〇るぶってどないやねん! きんもーっ☆)
あまりの萌えっぷりに、さすがの紫も心の中で毒を吐く。
さらにページをめくっていると、店の奥から黄色いエプロンを身に付けた小柄な少女が姿を現す。
「いらっしゃいませ。 ……あ、その外来本、先日入荷したばかりの本ですね。 そういえば、最近その本の表紙に描かれた女の子みたいに、目がやたら大きかったり、髪の色が変だったりする女の子達が描かれた外来本をよく見かけるんですが、”外の世界”の流行なんでしょうか? きんもーっ☆ですよね~」
なかなかおしゃべり好きな上に、物怖じない少女のようだ。
人妖問わず、ほとんどの者は、紫の外見の美しさ、高い妖力によるプレッシャー、そして常に顔に浮かべる得たいのしれない胡散臭さを漂わせた笑みにより、話しかけるどころか近付く事さえ躊躇するのだから。
「元気が良いわね、貴女」
「あはは、それが私の取り柄でして。 えーと、何の本をご入用でしょうか?」
「特に決めてはいないのだけれど。 ……あっ。 昆虫図鑑は置いて有るかしら?」
「はい、何冊もございますよ。 確かここに……、はい、どうぞ」
「ありがとう」
少女から昆虫図鑑を受け取ると、さっそくゴキブリのページを開く。
ゴキブリの生態を詳しく知れば、生け捕りのヒントを掴めるかも知れない。
だが、記載されている行動パターンや習性等は、すでに紫が知っていることばかりであった。
(う~ん、一般的に知られていることばかりね。 ……うん?)
ゴキブリの繁殖の項目に紫の目が止まった。
そして、ひらめく。
(そうだ、生け捕りが難しいのなら、養殖すれば良いのよ!)
きんもーっ☆
紫は、人里の貸し本屋から帰宅すると、すぐさまゴキブリを養殖する為の行動へ移す。
紫の屋敷は、住人の数に対して無駄と思える程広大であり、部屋が数多くあった。
その中でも、屋敷の一番奥の部屋は、日当たりが悪い為、滅多に使用することがないので、そこでゴキブリの養殖を行うことに決める。
大量のエサや飼育するための容器等を揃え、生け捕り出来たわずかなゴキブリを基に養殖を開始。
なお、ゴキブリの飼育及び管理は、以前紫の屋敷の庭に”外の世界”から流れ着いたダッチワイフ人形(アソコ使用済み)に低級の式神を憑けてやらせることにした。
さすがの紫も、ゴキブリの世話は嫌だったのだ。
ゴキブリの養殖は順調に進み、目標数をはるかに上回るほどの繁殖に成功。
そして、ダッチちゃんに活きの良いゴキブリ千匹を大きい容器へ詰めさせ、それを永琳に渡し、それから数週間後に約束の薬を見事ゲット!
永琳製の薬の効果は抜群であった為、紫が悩んでいた症状は改善。
目的を果たした紫は、ゴキブリの養殖部屋に行かなくなった。
そして、しばらくすると、養殖のことなどすっかり忘れてしまう。
もちろん、残ったゴキブリの始末や後方付けをしていなかったことさえも……。
きんもーっ☆
紫が永琳から薬を入手してから数ヵ月後。
紫の式である妖狐、八雲藍が倒れた。
原因は、発情期であった。
妖獣の中でも、最高位に位置する九尾の狐とは言え、やはり本性はケモノ。
発情期ともなると、もうたまらん状態になってしまうのだ。
だが、藍は誇り高き九尾の狐であり、紫の壱の式。
下位の妖獣のように、本能の赴くまま妄りな行動をするわけにはいかない。
毎年、気合で耐え切っていた藍であったが、今年は性欲をもてあます。
理性と性欲が何度も何度もぶつかり合うことにより、体調を崩してしまい、ついにダウンしてしまったのだ。
八雲家の家事を取り仕切る藍が倒れたことにより、紫の生活レベルが下がるのは必須。
しかし、妖怪の賢者であり、グータラの天才である紫に抜かりはない。
藍の代わり作れば良いだけのことである。
きんもーっ☆
「掃除、洗濯、お風呂の準備も終わった~♪ 夕食の準備にとりかかろっと」
いつもなら金毛の九尾がゆらぐ台所であったが、その日は黒毛の二尾がゆらめいていた。
しっぽの持ち主は、藍の式である化け猫、橙だ。
水に弱いという弱点を持っていたが、家事が行える程度の耐水性が付くように、憑けられた式神を紫にバージョンアップしてもらったのである。
また、紫はさらに藍の家事の知識や経験を橙に憑けた式神にコピーしたのだ。
これらにより、橙の家事レベルは藍並みをレベルアッーーープ!
「にゃん、にゃん、にゃにゃにゃん~♪」
今まで家事などロクに出来なかった娘々(にゃんにゃん)であるが、出来るようになると、案外楽しいらしく、鼻歌を歌いながら、塩漬けの大根を手際よく切っていく。
「ただいま」
「お帰りなさいませ、紫様。 お風呂の準備が出来ていますので、お入り下さい」
「ご苦労様、橙」
紫は、橙の頭を優しく撫でてあげた。
「えへへへ♪」
「藍の具合はどう?」
「まだ体調が優れないようです……。 でも、この橙が、藍様の分まで一生懸命がんばります!」
「ちぇ、橙! 勘当、もとい、感動した! 貴女はまさに式の鑑だわ! これは、ごほうびよ」
紫は、空間にスキマを開け、ホットドッグを取り出して、橙に手渡した。
紫は長く生きてる妖怪のわりに、”外の世界”のジャンクフードが大好物であり、特に大手チェーン”姉さんズ”のホットドッグが大好物であった。
その為、”外の世界”に行く際には、必ず”姉さんズ”に寄ってホットドッグを大量に購入し、”ひみつスキマ”の一つである”保存のスキマ”へ入れているのだ。
「ワ~イ♪ ごちになります、紫様! ……あ、そういえば、最近ゴキブリをよく見かけるんです」
「へぇー……。 今度外の世界に行った時、ゴキブリ〇イ〇イとかを買ってくるわ。 (……うん、ゴキブリ?) じゃ、先にお風呂頂くわね」
紫は一瞬怪訝な顔をしたものの、すぐに浴場へ向かった。
「さてと、紫様はかなり長風呂だから、藍様の食事を先に作っちゃおうっと」
新妻のような初々しさで、橙は、藍のためにおかゆを作り始めた。
きんもーっ☆
ほどなくして、おかゆは出来上がり、橙は、藍の個室の襖を静かに開けた。
キレイに片付けれた部屋のちょうど中央当りに布団がしかれ、藍がうつぶせていた。
「藍様、お食事をお持ちしました」
橙の呼びかけに応じ、きんもーっ☆、もとい、金毛の九尾が動く。
食べるために起き上がった藍の顔は、いつもよりやつれていた。
心身ともに相当なダメージを受けているようだ。
だが、藍は辛さを堪え、優しく微笑んで橙をねぎらう。
「すまないな、橙」
「な、何をおっしゃいます。 私は、貴女の式なのですから……。 もっともっと、大好きな藍様のためにお役に立ちたいんです」
「ちぇ、橙!」
橙の可愛らしさと甲斐甲斐しさのコンビネーション・アタックに、藍の理性はプッツン。
必死に抑えていた性欲をもてあます。
藍は勢いよく立ち上がると、橙をお姫様だっこした。
「ら、藍様!?」
「ゆっくりニャンニャン出来る所に行こうか……。 久しぶりに………。 萌えちゃったよ!」
屋敷の一番奥に、使われず、滅多に行くことがない部屋を思い出し、橙をだっこしたまま自室を出ていく藍。
彼女達が向かう部屋。
そう、そこは……。
きんもーっ☆
藍と橙が不純同性行為に及ばんとする頃、紫はまったりと湯に浸かっていた。
「あら? ゴキブリ……」
浴室の壁をせわしなく這う黒光りする虫が、紫の目に留まる。
その時であった。
「……はッ!? そ、そういえばゴキブリの養殖部屋、片付けてなかったわ!」
紫は、驚愕の表情を浮かべ、勢いよく立ち上がったが、すぐにまた湯船に肩まで浸かる。
「ふー。 いけない、いけない。 この八雲紫ともあろう者が。 たかがゴキブリじゃない」
紫は、自らを落ち着かせるために様々な複雑な式を思い浮かべては、それを解いていった。
そして、ついでに現在繁殖し続けているゴキブリの数を算出しようと、複雑な式に様々な条件を当てはめていく。
(ダッチちゃんにゴキブリの数を最後に確認させた時、オスが****匹、メスが****匹。 ***日繁殖し続けたとすると……)
ぽくぽくぽくぽく……、ちーーーん!
「じゅ、10万匹以上に繁殖!? ぎょえええええっ!!」
紫は、あらん限りの叫び声を上げた。
「す、すぐに確認しなきゃ!」
慌てて湯船から飛び出し、バスローブをすぐさま身に着けると、ゴキブリの繁殖部屋がある屋敷の一番奥へと駆けていく紫。
よぼっど、テンパッていたのだろう。
”どこでもスキマ”を使えば、後の悲劇は起きなかったかもしれない……。
きんもーっ☆
「さあ、橙! 共に禁断の扉、もとい、襖を開けよう!」
ようやくたどり着いた部屋の前で、紫は信じられないモノを目にした。
橙を抱っこした藍がゴキブリ部屋へと入ろうとしていたのだ。
「藍! 開けちゃ、らめえええッ!!」
「ゆ、紫様!?」
藍は、襖の取っ手に手をかけていた上に、慌てて振り向いたので、襖を開けてしまう。
その瞬間であった。
黒いうねりが飛び出してきたのは。
それは、凄まじい数の━━GO・KI・BU・RI!
「「「ぎゃああああ!? き、きんもーっ☆!!」」」
紫が、藍が、橙がパニックを起こしてゴキブリから逃げ回る。
妖怪と言えども、慌てふためて右往左往するのは無理もない。
大量ゴキが、ぶぁぁぁぁあって飛び回っているのだから。
この場に某レポーターがいれば、
『ここに10万匹のゴキブリがいます!』
と、そう叫んでいたに違いない。
「恐い! きもい! ら、藍! 貴女なんてことしてくれたの! ……くっ、戦略的撤退よ!!」
「にゃんとぉーっ!? お、置いてかないで下さい、紫様~!」
「紫様!? 橙!? ぶべっ!」
”どこでもスキマ”を開き、慌てて飛び込んだ紫。
必死に紫に飛びついた橙。
無慈悲にもスキマを目の前で閉じられ、床にキスをするはめにばかりか、逃げ遅れてしまった藍。
ヨロヨロと立ち上がる藍に、とっておきのダメ押しとばかりに、ゴキブリが群がっていく。
「きんもーっ☆な虫けらどもめ! まとめて燃え尽きろーーッ!!」
置いてきぼりをくらったこと。
性欲をもてあます。
そして、あり余る性欲で、橙と不純同性行為できなかった怒り。
その怒りの咆哮ともに、生み出された妖力MAX全開の狐火。
極大の狐火は、巨大な火柱となり、ゴキブリのみならず、広大な屋敷も包み込む。
その日、紫の屋敷は炎上した。
~ おしまい♪ ~
>>おお。がんばれよ。
PROJECT X PHANTASM 第二話 と、三月精の百合モノが頭の中でまとまりました。
がんばって書きますので、宜しくお願いします。
>>最初のⅠとⅡはないぜ(キリッ)でめっちゃ笑ったwww
もしかしたら、ⅠとⅡも書くかもしれませんので、お楽しみに。
きんもー☆シリーズ(?)は結構おもしろいと思うけど
PROJECT X PHANTASMはマジ勘弁してくれよ…という訳でⅠとⅡの方に期待
>>PROJECT X PHANTASMはマジ勘弁してくれよ…
もうすでに第二話を書き始めているものでして……。(汗)
できる限り、面白くて良い作品にするよう努めます。
とりあえずリグルをG扱いしていたので屋上ね。