Coolier - 新生・東方創想話

鼠の報告書

2017/07/06 01:55:01
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注意、このお話は東方projectの二次創作です。
   オリ設定があります。





定期報告。毘沙門天様へ。
監視を続ける事、千余年。ご主人様の毘沙門天たる資質には疑問が残る。罷免の必要があるかどうかの決裁を頂きたい。いささか私の判断のみでは多少の偏りが起こる事は否めないと判断した。それ故、ご主人様の普段の生活態度、本尊としての務め、名目上の部下である私への接し方、その他の判断材料足りえる情報を書き添えたいと思う。多聞である毘沙門天様であれば、私の送付情報と普段より耳に入る情報を合わせれば私の監視報告など必要もないと思われる。しかしながら、毘沙門天様より信頼を得て与えられた役割をこなす私の務めを聞き届けて頂きたい。是非とも熟読して頂き、十分なご考察の上で決裁を頂きたいと思います。

毘沙門天使者兼代理監視役ナズーリン

~~~~~

命蓮寺毘沙門天代理である主人の寅丸星は、平素より規則正しい生活を行い本尊として務め命蓮寺住職聖白蓮の弟子としての務めも不足は見られない。幻想郷という世界に場を移し、水面下で妖怪と人間の争いがあるとはいえ、以前の古寺での生活を思えば比べ物にならない程の平穏な生活を送る事が出来る様になった。とはいえ、賊や野良妖怪の侵入が無いとは言い切れないのが実情。先日も寺内に野良妖怪が侵入してしまう事案が発生した。眠っていたご主人様は、すぐさま飛び起き自ら鉾を用いて野良妖怪と刃を交差させた。後に合流した白蓮達を指揮し撃退に成功したのは、戦神指揮下の戦い故に当然の結果と言える。毘沙門天としての条件は下限点であるが一応の満たしていると言える。

だが、問題はご主人様が休みの時である。毘沙門天たるもの常に威容を誇り何人をも侮らせてはならぬ。部下としてご主人様と買い出しに行く約束を取り交わしたのであるが、あろう事か私が部屋を訪れても静かな寝息を立てていた。時間を守る事は最低限の常識。怒りを堪えた私は彼女を優しく揺すり起こした。
寝ぼけ眼をこすり、癖のある髪は寝癖で普段以上に巻いている。妖獣だった頃の名残である虎耳を隠す事もせず、やや肌蹴け気味の寝間着を正そうともしない。まるで緊張感のない猫の様に手首を曲げて癖っ毛を整えていた。

「ご主人様、用事は覚えているかい?」
「え?ええ、覚えていますよ」
「私が来るまで寝息を立てていたのにかい?」
「ナズーリン、貴女は私の術中にはまっているのです。貴女に優しく起こしてもらうという我が玄妙な策に……」
「私に何か言う事はないかい?」
「……ごめんなさい」
「よろしい」

正直な部分は評価できる点であるが毘沙門天としては再考の余地ありと判断する。時には残酷、冷酷な決断をしなければならない。その点において彼女には重責を課す結果になりかねないと思われる。

また、部下として人里への物資の調達に同行した際、八百屋の店主に私達の姿を見て世辞を言う事象があった。ご主人様は裏表がない。店主の世事に乗せられるなど言語道断。その言の裏に何があるか読み取れないのであれば、軽々しく乗ってはならない事は古来より伝えられていること。戦神の部下として嘆かわしいという言葉しか出て来ない。

「お?寅丸さん毎度ご贔屓にありがとう。そちらのお嬢さんは奥さんかな?」
「うむ。私の妻であり恋人であり部下でもある、我が身に代えても守るべき大切な人だ」
「へへ、ごちそうさま。良い話を聞かせてもらったお礼におまけしますよ」
「ありがたい」
「それに普段から寺の親分と共にお世話になっていますからね」

信仰や人望がある事は良い事だ。だが、私に油断はない。店主の真意が分からぬ以上、下手な口出しをせず不穏な動きに備えていた。



威容を誇る点には不満のみが残る。妖獣からの成り上がりが故か神たるものの理解が薄い点が散見される。雨の続く時、陰気が地上に満たされ生物はすべからく影響を受けてしまう。しかしながら病魔や悪鬼を滅する毘沙門天としては、陰気を多大に含む者と戦う関係上、陰気の影響を受ける事は好ましくない。
季節柄、霧雨霖雨の最中、憂鬱な表情で頬杖を着いていた。出てくる溜息は薄霧となって霧雨に消えていく。見れば普段と印象が違って見えてくる。何という事はない。櫛で梳いてやれば解決する程度の事である。この魅力的な姿のままでいて欲しい気もある。しかし、自らの身を整える事さえ出来ぬと在らぬ噂を立てられるのも癪に障る。

「なに溜息を吐いている」
「長雨の所為で髪が……」
「櫛で梳けば良いだろ。私に任せろ。主人の身なりを整えるのは部下の仕事だ」
「それでは、お言葉に甘えまして」
「……待っていただろ」
「あれあれ?主人の身なりを整えるのは部下の仕事ではないのですか?」
「……そうだよ。待っていないで、さっさと私に言えば良かったんだよ」



私は役目上、寺全体の監視を行っている。主に小鼠を使役して天井裏や床下、さらには人間体の死角から動向を探っている。しかし、ご主人様の監視を行っている小鼠のみ情報が送られてくる事はない。叛意有りと察するに余りある行為だと思われる。今の寺とは別に古寺に配属された当時、ご主人様は優秀で特に問題のある行動や本尊として堪えられない事項なしと送った事を覚えていると思われるが、小鼠の監視が筒抜けで忽ちの内に見つかって監視を全うできないのは、優秀さが関係している可能性も否定できない。

「ナズーリン、私に言う事はありますか?」
「先に用件を言いたまえ。私は超能力者ではない。君が思っている事なぞ分かる筈もない」
「ふむ……それでは、彼に見覚えは?」
「私の小鼠だな。それが何か気に障ったか?」
「監視?ですか?趣味が悪い……」
「ほう?趣味が悪いのか?真意を教えてくれないか?」
「私は超能力者ではありません。言葉のみで伝えられる程、器用ではないのですよ」
「ならば君の方法で教えてみたまえ。ふふ、最も私を説得できる手腕を期待してはいないがな」

言葉巧みに相手を陥れる事は相手に真心無し、と受け取られかねない。先に冷酷な判断をと記したが塩梅がよろしくない。乱世であれば有用稀有な能力であろうが、こと太平の世の中にあっては悪戯に恨みを買う様なもの。私に対してであったから良かったようなもの。寺外の人妖に対して同様の事が行われていたのであれば千年に渡る禍根を残した可能性も否めない。反省も兼ねて、以前よりも監視の目を強くする。小鼠に任せず、私自らが事に当たりご主人様を監視する。しかしながら、やはり彼女は詰めが甘い。俗的な言葉で言えば甘ちゃんである。非情さが足りないと常々思う通りだ。



部下である私の役割は、主人の身辺の世話をする事である。朝は主人より早く起き、夜は主人より遅く眠る。食事の用意、衣装の用意、補修、行事の際の着付け、化粧。息つく暇もない激務。その最中、猫の手も借りたい行事の前、彼女は私に言う。命令と称し私に休暇を言い渡した。忙しく体調を崩させる事を恐れたか行事に参加させない心づもりだろう。私は存在そのものを否定された気分であった。
ご主人様の手腕は、やはり優秀の二文字に集約される。慌てふためく現場に喝を入れ、的確な指示の元、混沌の無い動きを実現させた。同時に私の存在意義が揺らいだ。
行事が終わり、しっかりとした足取りで本尊待機場に戻って来た。悶々とする表情をする私を見るなりご主人様は、この数日の毅然とした態度からは想像も出来ぬ疲労具合を露呈させ、倒れそうになりながらも体を預けてきた。

「お……おい、大丈夫か!?」
「ナズーリン、少し頑張り過ぎた様だ。休暇を言い渡した身分で申し訳ないが」
「良い。命令しろ」
「ナズーリン、すまない。私の事は、お前に任せる」
「任せておけ」

気を張り続け、皆の支柱であり続けた姿。傍から見れば美談であろう。部下を庇う優しい上司と言った具合に。しかし、中立的な立場から言わせてもらうと、彼女は部下である私を信用しなかった事に他ならない。優しさが故、また自らの能力に自惚れていたからこそ私を遠ざけて自らの能力頼みに無理に押し通そうとしていた。
目を覚ました際、傍で付いていた私を見るなり安堵の表情を浮かべて手を握って欲しいと言った。頼りにするなら最初から頼りにすれば良い。一に対して二人で当たれば負担は半分。主人だからと気にする必要なんてない。



確かに私は妖怪として単体の能力は非常に劣っていると言わざるを得ない。ネズミ元来の種族の弱さも去る事ながら、妖怪としても強さは下位に属する。もっとも他者との連携を取るという点に於いては劣っているとは思わない(毘沙門天様も知る所なので省略)
ご主人様が私に好意を持っている事は、よく知っている。他者の人目も憚らずに言うから。今でも覚えているが、千余年前最初に会った際に一目惚れした等と言われれば印象にも残るもの。
ご主人様は、やたらと私に休みを与える。確かに主人を支える部下の職務は激務の一言に尽きるだろうが、主人を差し置いて趣味を満喫するのも気が引ける。私の趣味はダウジング。主人が路頭に迷った際に支え養う為の先行投資だと思えば……(添削削除)(訂正毘沙門天印ナズーリン)

私は自らの趣味の関係上、外に出る事が多い。その為、寺を拠点とするのはいささか気が引けた。その際に丁度良い荒れた建物を見つけた。幻想入りした古寺。私とご主人様が共に過ごした場所。
妖怪といえど万能ではない。特に精神の弱さは人間以下。少しのきっかけがあれば風邪程度で妖怪だって死んでしまう(もっとも人間だって永遠亭が現れるまで、風邪と草葉の切り傷で死んだと言われているので変わりはない)その日、私は運悪く豪雨に降られてしまった。雨が上がるまで半日と言ったところ。待っても良かっただろうが、私の聴覚は周辺の異常を聞きとっていた。狭い狭い幻想郷。濡れて帰った所で高が知れている。私は濡れ鼠になって小屋に飛んで帰った。私が飛立ちしばらくたってから、私が雨をしのいでいた場所は土砂崩れによって大地に埋もれた。
小屋に帰った私を出迎えたのは、ご主人様。大きな手拭いを用意し玄関を開け放って待っていた。沸かしたばかりの湯で煎じた茶を差し出された。風呂も沸かされている。これでは丸で私が主人だ。

「ご主人様、人が見ていないとはいえ、この行為は主従が逆転している。ただちに正すべきだ」
「ならば、私が命令しよう。ナズーリン、貴女が万全になるまで世話をさせなさい」

命令と言われれば私に反論の余地はない。しかし不当な命令の乱発は非常に多い。私に休暇を与える際、私が体調を崩した際、私の為の命令乱発が多すぎる。今まで仕えた主人は、こんな事をした事なぞ無かった。弾劾に値する。

前記述は終わりではない。まったく情けない事であるが私はそのまま体調を崩して寝込んでしまった。ご主人様は、といえば当たり前の様に私の小屋にいる。
割烹着に身を包み、頭巾を被り、まるで私の連れ合いでもあるかの様に勝手知ったる我が小屋の台所に立つ。この姿を見て誰が悪鬼羅刹さえ怯え竦み天邪鬼を踏み潰し千年に渡る責苦を味わわせる戦神の毘沙門天を思い浮かべようか。新婚の若奥様だと紹介するならどんなに楽だろう。知らないのか?彼女は財宝を司る神様だよ。などと得意満面の表情で紹介した所で信じて貰える可能性など万が一どころか億が一さえあるか怪しくなる。料理と言えば財宝神にあるまじきもの。廃棄する部分を極力少なく扱い、それでいて材料にある苦み等を表に出さない処理をしてある。味に関しては次第点をあげられるが、どうにも貧乏臭い。

「何故、私の小屋に居る」
「部下が病に床に伏したと聞いて心配しない主人が居ましょうか?」
「普通はわざわざ部下を心配して慰労したりはしない」
「ならば、私は大切な部下を慰労します」
「帰ってくれ風邪がうつる」
「うつせば良いでしょう。主人の世話は部下がするのが普通、と貴女は言いますから」
「……う~」
「そんな目で睨んでも無駄です。なんなら、口でも付けて私に病魔がうつるよう促しましょうか?」
「わかった。私の看病を許容する。だから、近付けた顔を離してくれ」
「残念。それに折角作った料理を放置して帰るのも何ですし」
「ありがたい。少々、小腹が空いた所だった……何をしているんだ?」
「はい、あーん」
「自分で食べられるよ」
「ああ、そうか」
「ふーふー、するんじゃない。私は子供か」
「はい、あーん」
「……あーん、あちち」
「どうですか?」
「悪くない。君が主人で良かったと思う」

京歩譲って主人として私を慰労する事は許容できる。その後は満足して帰るとばかり思っていた。私が甘いと評した主人と同様。上司が甘いと部下も似てしまうのかと溜息が出る。そのまま看病する心づもりだったのか、ご主人様は私の小屋に泊まっていってしまった。主人と同じ床を共にする事など恐れ多い行為だ。しかし、病魔によって弱った私では抗うこともできず、毘沙門天の遣いでありながら病魔程度に弱らせられてしまった事は私の力不足であり、ただただ己の不明を恥じる他ない。主人に我が身を守られ肝心な時に力を発揮できぬとあれば死を賜ってもおかしくない大罪。慈愛の心を持って接する事は鎮撫するには効果的であろうが、非情の戦神である毘沙門天としてはどうかと、私が疑問を持つのも仕方が無いと思えるだろう。
我が身を案じ同じ床で向けられる笑顔の輝きは三千世界を照らす法の光である事は疑いようのない事実だが、それを私のみに向けるのは些か早計ではないだろうか。世には毘沙門天に救いを求める者も多い。身近な者から助けるとはいえ、私なぞが先で良いのか。本来は助ける側にいる私が最初に救われる。いや、毘沙門天を一番身近で信仰している私に加護が、と考えるのが妥当だ。

私は自らの弱さを知っている。肉弾戦ともなれば妖怪は愚か人間の強い個体にさえ負けてもおかしくない。そんな私は話術や知識、経験や法力(これもそれ程強くはない)、相手よりも優れた点を用いて戦わざるを得なかった。主人を思い、などと大層な事を述べつつも一人で暮らす事に不安がないと言えば嘘になる。道教の言葉を借りれば、各々の体に神(心と同義だと思われる)が宿り時折弱り、快復し、神が死ぬ時は自らの死の時である、と言われている。病魔に侵され自らに宿る神が弱っていた私は、体から自然と現れる震えに怯えていた。何事にも形容し難き恐怖。六腑が言う事を聞かず、五体がバラバラになるのではないかと私の神を侵し続けた。救いの神があるとすれば、私のご主人様は無意識の内に私の手を握っていた。震えが伝わったか目覚めるまで一拍を置いて。
何も言わず何も語らず、ただ握った手を手繰り私を抱き締めてくれた。子に接する母の様に落ち着くまで、ただ静かに。やがて、落ち着いた私であったが先までの不安感が拭えぬ為に、その場から動けずにいた。そんな私に呆れるでもなく肩を引き寄せ優しく声をかけてくれた。

「普段から自分の居場所がどこかと思う事があるのです。今の生活に不満があるとは思っていませんが、どうにも気にし始めると止まらないもので。寺にある私の部屋、私が立つ寺の内陣の檀、経を読み上げる内陣外陣、皆と談笑する居間、どこも何か違う気がするのです。人の思いが私を形作ったというのに毘沙門天である私は、どこか私ではないと感じてしまう時があります。ですが、貴女が見ている時、貴女のいる時、貴女と接している時、その時だけは、私がここに居ると実感が持てている。貴女は私にとっての生き甲斐でもあるのです」
「……ありがとう」
「そういえば以前、二人だけの時に同じ様な場面がありましたね。あの時は百里四方すべてが隠れてしまう様な酷い霧雨の時でした。寒さと寂しさに震える私を案じてくれた。そんな貴女に私は……雨、止みませんね。と……」
「待て、その状況は逆だ。寒さと寂しさに震えていたのは私だった筈」
「そうでしたか?では、今でも言います。丁度、外も……雨、止みませんね」

~~~~~

以上が、監視を行った詳細な内容である。
毘沙門天たる戦神、武神、勝負神としての非情さは影も見当たらず、他者を威圧する事もせず、慈愛や親愛の情を持って接する事は必要以上。特に部下である私に対しての情は更に大きい。
財宝神としての才覚も不十分。確かに集まった物を財貨に変えるのであれば巨万の富を独占する事も十分に可能だと思う。ご主人様であれば迷う事無く仲間や他者、または私に対して放出し財を溜めこむ様な事はしない。地下の財宝を守る事もしないだろう。事実、監視の結果から彼女は大した資産を持ち合わせておらず、財宝神としての意義に疑問をもたざるを得なかった。

しかしながら、古寺に於いて信仰を完全に失いながら。我が身を省みず仲間を救出して一から寺運営を再開したにも関わらず、現在でこれだけの信仰を得た事は正当に評価して然るべきである。住職の白蓮の手腕を評するのであれば彼女の信仰する本尊あればこそだと思うのが筋。

毘沙門天様の正当な評価に関して反論をするような愚行はございませんが。莫大な信仰を得ている現在、現状維持を上として引き続き私に監視させて頂ける事を願いま……

~~~~~

「……なんだこれは?報告書なのに、毘沙門天様を差し置いてご主人様の表記がある。それに途中から感情が先立ちすぎている。問題だらけの文章だ。修正内容が多すぎるな。簡素に書き直そうか……」
「ナズーリン、少し良いですか?」
「少々書き物がある。少し待っていてもらっても良いか」
「はーい」

~~~~~

定期報告。
命蓮寺毘沙門天代理寅丸星に関する監視内容を以下に報告する。
生活態度問題なし。本尊としての務め問題なし。寺の生活問題なし。主人として私への態度問題なし。ただし、やや気を遣い過ぎる傾向があり接し方には若干の問題があるが些細なものである。信仰の獲得は上々、幻想郷内の他の宗教に比べると人間や人里内の信仰は非常に高く、現在の本尊であれば特に大きな問題に発展することはないと判断する。引き続き継続的な監視が必要だと思われる。

現状、毘沙門天代理が私に対して好意を抱いている節が散見される。他の者との交代は得策ではない。諜報間諜の特技を持つ私との相性も悪くない点から引き続き任務の続行をさせて頂く事を上奏します。

毘沙門天使者兼監視役ナズーリン。

~~~~~

「終わったから今行くよ、ご主人様……こ、こら抱き締めるな」
「うーん、ナズーリンを抱き締めると落ち着きますね」
広目天「頭なんて抱えてどうした?」
毘沙門天「俺の部下の事なんだが」
持国天「噂の二人か?」
毘沙門天「そうだ」
増長天「天下の武神に頭を抱えさせるとは相当の事だな」
毘沙門天「早く結婚して落ち着いてくれないものか。惚気を報告してくるのだ」
広目天「ははは、こいつは相当だな」
持国天「日々、心を占めているのが丸判りだ」
増長天「多聞、お前は認めてやってはいないのか?」
毘沙門天「いや、二人で千年ぐらい一緒に居れば勝手にくっつくと思っていたのだ」
増長天「ふむ、では二人の仲が進展する様に手を打つか」
持国天「国を持たせるのも悪くない」
広目天「やめておけ。この文から滲み出るものに手を加える必要はない」
毘沙門天「薄情者め」
広目天「すれ違って離れる事になるのなら、その時は我らも助け舟を出してやる」
持国天「それまでは、ずっと頭を抱えて過ごすのだな」
増長天「ところで、報告の使者が来た様子が無かったが」
毘沙門天「ああ、報告用の紙に文字を書くと私の所に転送されるようになっている」

広目天「ところで疑問に思ったのだが、報告はいつもこうなのか?」
毘沙門天「そうだ」

~~~~~

ここまで読んで頂きありがとうございます。
素直じゃないナズーリンは可愛いと星ちゃんが言っていました。
文中にあった星ちゃんの放出した財宝は、ナズーリンがしっかり蓄えてご主人様の為に使っていますので悪しからず。
まいん
http://twitter.com/mine_60
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コメント



0.270簡易評価
2.100名前が無い程度の能力削除
まいんといいえばナズーリン
4.100名前が無い程度の能力削除
ナズ星がお気に入りであることがビンビン伝わってくる文章でした。
8.80沙門削除
早く結婚しろ。
10.100名前が無い程度の能力削除
あとがき!
11.70名前が無い程度の能力削除
こういうスタイルもいいですねえ。
くどいくらいの惚気でうっときてしまいました。毘沙門天さま頑張れー。
12.90名前が無い程度の能力削除
なんと素晴らしきナズ星