カラン コロン
草木も眠る丑三つ時。 人ならざる者達の起きる丑三つ時。
そんな時刻、私は一人で歩いていた。
暗い墓地を一人で歩いていた。
カラン コロン
草木も眠るとだけ言うだけあって、周りではほとんど音がしない。
それが墓地であればなおさらだ。
カラン コロン
聞こえるのは私の鳴らす下駄の音。
静かな闇に響く、軽くて、ちょっぴり切ないような、懐かしいような音。
昼間であれば喧騒に紛れて消えてしまうだろうけど、今は違う。
この音だけが私の周りの空間に響いている。
カラン コロン
ふと夜空を見上げてみる。
吸い込まるような闇の中に浮かぶ、小さく輝く星達を見つけた。
なんでだろう? 胸の奥がじんわりと痛むような、目の奥が熱くなるような感覚がする。
あんなにも大きくて、暗くて、恐ろしいのにどこか神秘的で。
そんな存在の中で小さく光輝く星達は、とても力強くて美しくて。
…… ……
それに比べて私はどうだろう?
小さくて、弱くて……他人がいなければ何も出来ない、そんな存在じゃないか。
私は何の為に生まれたのだろう? 何をすればいいのだろう?
恨みを晴らすため? 人に恐怖を与えるため?
なんだか……自分で自分が情けなくなってきたなぁ。
カラン コロン
顔を戻し、歩きだす。
静けさを取り戻した闇に再び響く下駄の音。
どこか切なく、ちょっぴり懐かしいそんな音。
難しい事を考えるのはよそう、今度は楽しい事を考えよう。
下駄の音に励まされるように歩を進める。
カラン コロン カラン コロン……
気づけば墓地のはずれまで来ていた。
振り返って自分の歩いてきた道を見てみるけど。
夜の闇に覆われた墓地は、先がほとんど見えない。
カララ……
でも……ちょっと心の中は逆に透明になった気分。
さっきは自分の矮小さに情けなくなったけど、今は違う。
歩いてるうちに頑張ろうって気がしてきた。
カラン コロン
自分が情けないって感じたのなら、努力して自分に自信を持てるようにしよう。
自分の小ささを感じたのなら、小さいなりに光輝けるようにしよう。
生きる意味が分からなくなったら、とりあえず自分に誇りがもてるような生き方をしよう。
カラン コロン カラン コロン
私は妖怪、まだまだ先は長いんだ。
いつか皆に大妖怪って呼ばれるくらいに努力しよう。
あの夜空のように大きくて、怖くて、深く神秘的な存在になってやろう。
カラン コロン
暗い夜道に下駄の音一つ、カラコロカラコロ響いてる。
夜の散歩は始まったばかり。
私の妖怪人生も始まったばかり。
カラン コロン カラン コロン
今はまだ、力は弱いけど。
まだちっぽけな存在だけど。
いつかきっと……。
まだ小さなスキマを開けるだけだけど……。
草木も眠る丑三つ時。 人ならざる者達の起きる丑三つ時。
そんな時刻、私は一人で歩いていた。
暗い墓地を一人で歩いていた。
カラン コロン
草木も眠るとだけ言うだけあって、周りではほとんど音がしない。
それが墓地であればなおさらだ。
カラン コロン
聞こえるのは私の鳴らす下駄の音。
静かな闇に響く、軽くて、ちょっぴり切ないような、懐かしいような音。
昼間であれば喧騒に紛れて消えてしまうだろうけど、今は違う。
この音だけが私の周りの空間に響いている。
カラン コロン
ふと夜空を見上げてみる。
吸い込まるような闇の中に浮かぶ、小さく輝く星達を見つけた。
なんでだろう? 胸の奥がじんわりと痛むような、目の奥が熱くなるような感覚がする。
あんなにも大きくて、暗くて、恐ろしいのにどこか神秘的で。
そんな存在の中で小さく光輝く星達は、とても力強くて美しくて。
…… ……
それに比べて私はどうだろう?
小さくて、弱くて……他人がいなければ何も出来ない、そんな存在じゃないか。
私は何の為に生まれたのだろう? 何をすればいいのだろう?
恨みを晴らすため? 人に恐怖を与えるため?
なんだか……自分で自分が情けなくなってきたなぁ。
カラン コロン
顔を戻し、歩きだす。
静けさを取り戻した闇に再び響く下駄の音。
どこか切なく、ちょっぴり懐かしいそんな音。
難しい事を考えるのはよそう、今度は楽しい事を考えよう。
下駄の音に励まされるように歩を進める。
カラン コロン カラン コロン……
気づけば墓地のはずれまで来ていた。
振り返って自分の歩いてきた道を見てみるけど。
夜の闇に覆われた墓地は、先がほとんど見えない。
カララ……
でも……ちょっと心の中は逆に透明になった気分。
さっきは自分の矮小さに情けなくなったけど、今は違う。
歩いてるうちに頑張ろうって気がしてきた。
カラン コロン
自分が情けないって感じたのなら、努力して自分に自信を持てるようにしよう。
自分の小ささを感じたのなら、小さいなりに光輝けるようにしよう。
生きる意味が分からなくなったら、とりあえず自分に誇りがもてるような生き方をしよう。
カラン コロン カラン コロン
私は妖怪、まだまだ先は長いんだ。
いつか皆に大妖怪って呼ばれるくらいに努力しよう。
あの夜空のように大きくて、怖くて、深く神秘的な存在になってやろう。
カラン コロン
暗い夜道に下駄の音一つ、カラコロカラコロ響いてる。
夜の散歩は始まったばかり。
私の妖怪人生も始まったばかり。
カラン コロン カラン コロン
今はまだ、力は弱いけど。
まだちっぽけな存在だけど。
いつかきっと……。
まだ小さなスキマを開けるだけだけど……。
下駄の鼻緒が切れて新しいのをスキマから取り出したりなどなど。
こういうの大好きです
この一文、個人的に大好きです。