Coolier - 新生・東方創想話

極東萃無双

2006/01/02 14:19:22
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ガヤガヤガヤガヤ・・・・・・


今日も人、妖怪、妖精が種類を問わずに集結し、賑やかな様子の博麗神社
「はぁ・・・これでお賽銭さえ入ればね・・・」
一人縁側に座り、巫女が茶をすする
ふと庭を見ると、騒がしく騒いでいる騒がしい人間と喧しい妖怪と煩い妖精
飛び散らかるゴミ、転がる酒樽、舞い散る桜、全部片付けるのは巫女である
「・・・もうそろそろ、我慢の限界・・・なのよね」
その右手に握られるは、針、針、針千本、針の山、針の塊、針そのもの

ああ、これから憐れな運命を辿るであろう弾娘達に、合掌










宴会騒ぎを纏う妖霧、それに潜むは一人の鬼
「皆集まってるなぁ~・・・よしよし、今日もぱーっと・・・」

「いまよ! 捕縛結界発動!!」

シャキーン!

幻想郷の大妖、八雲 紫のいきなりの命と共に、いきなり博麗神社全体を結界が覆った
「対鬼捕縛装置、スイッチオン! あ、ぽちっとな」
続いて魔理沙が掃除・・・ゴフン、妙なカラクリのスイッチを入れると
ひゅごーという音と共に

「なんなのよこれぇ~・・・」

と、鬼が吸い込まれてゆく事になった










  ― 極東萃無双

      鬼と亡霊と魔法使いと楽園の素敵な軍曹の物語 ―










事の発端は昨日の晩、物々しく厳戒な結界が貼られた博麗神社に
魔法使いやら、吸血鬼やら、魔女やら、メイドやら、冥界の主やら、隙間やら、いろいろ集まっていた
唯一つ言えることは、皆完膚なきまでにボロボロの状態であり、一部は立つ事も出来ない状態だということだ

「さて、今日は皆に集まってもらったわけなんだけど・・・」
「何よ、あなたが勝手に私達を誘拐『夢想封印 集』

不満を言おうとしたレミリアに、言い切る間も与えずにスペルカードを全力投球
もし今日の月が新月に近かったら、おそらくレミリアの運命はここで終わっていただろう

「口で毛玉たれる前と後に『サー』と言え! 分かったかみょん虫!」
もはや今宵の霊夢は本気で切れている、楽園の素敵な軍曹、ここに降臨せし
「サ、サー、一体私達を集めて何をする気なのですか、サー」
魔理沙が恐る恐る手を上げながら話しかける、あまりの恐怖に丁寧語だ
「よくぞ聞いたみょん虫ども! 最近散々神社で宴会を行い、ゴミを散らかしたまま片付けずに帰る輩がいる!」
その言葉を聞いて、その場にいる全ての者の肩がビクッとなった
「いくら言っても聞きやしない! 片付けやしない! だから私は悟った!」


「元から断てとっ!!」


ビックゥゥゥとその場の全員の肩が跳ね上がる
「だが、私もそこまでやりたくは無い・・・・・・よって君らにチャンスをあげようではないか・・・ってね」
みんなの方向を向きながら、にこーっと微笑む霊夢の笑顔が、ただただ怖い

「紫・・・、この頻繁に繰り返される宴会異変の元凶は何か、教えてくれるわよね・・・?」
「サー! 元凶は最近幻想郷に入ってきた新入りの鬼でありますっ! サー!」
大地震が来ても寝ているといわれるあのだらけ妖怪が、涙目で敬礼をしながらきちんとした姿勢で返答する
その様子を物陰から見ていた式の式が、あれは・・・逆らえないよ、と呟いたそうな

「さて、ほぼ毎日!(強調) 行われる宴会の元凶は鬼・・・と言うことだが!」
お払い棒を右手に持ち、その先で左の掌をぽんぽんと軽く打ちながら、じっくりと全員を睨む
「君達はこれから何をするべきか・・・もはや聞くまでも無かろう?」
にらまれて縮こまっている者達から、ガクガクブルブルという音が今にも聞こえてきそうだ、むしろ聞こえる
「サ、サー・・・あの、厳密には何をすれば・・・」
庭師こと妖夢が恐る恐る手を上げて質問をした瞬間
ドカァンッ!! という音と共に、障子をぶち破り、庭を転げ周り、半人半霊だったものが鳥居に叩き付けられた
「シャラアアアアアアアアアアアアップ!! そんなことも分からんのかこのみょん虫がっ!」
鬼神のような表情で怒り狂う霊夢、その顔を見て失神してゆく妖精達
「どいつもこいつも! いいか! その新米の鬼とやらを私の前につれて来い! もちろん無傷でだ!
 その鬼とやらに幻想郷の規律を心の奥底のさらに奥底を構築している部分にこの針で
 それはもう生涯癒えることの無いぐらい深く! より深くえぐり! 刻み込んでくれるわぁ!」

かくして鬼捕獲作戦、コードネーム<弾娘達の神社>の発動が決まった


「まず、博麗神社の十六箇所に複合結界を張ります、これで鬼のあらゆる手段による逃走の可能性を断ちます」
ちゃぶ台の上に神社の見取り図を開き、念密な打ち合わせが行われる
「で、魔理沙、例のモノは・・・持ってきたわよね?」
「サー、香霖堂からかっぱらってきたであります、サー・・・」
途端、魔理沙の帽子を針が射抜き、壁に貼り付けた
「違うわ・・・これは香霖さんが自分から進んで協力したいと提供してくれたもの・・・そうよね?」
「は、はい、そうであります・・・」
ああ、こんな霊夢は霊夢じゃない・・・助けて魅魔さま、玄爺でもいいから、と心の底から切に願う魔理沙だった


ちなみに十五分ほど前
「な、何をするんだ君達! それは商品・・・うわぁぁぁぁ!」


それから約半日の間

「いいか! 貴様らが鬼を私の前に連れてくるまではみょん虫だ! 地球上で最下等の生命体だ!」
とか
「月に行く前に宴会が終わっちまうぞ、⑨!」
とか
「弾娘は巫女を愛しているか?」
「「「生涯忠誠! 命懸けて! 弾幕!弾幕!弾幕!」」」

などと、立派な教育・・・じゃなくて調教・・・でもなくて、えーと・・・・・・洗脳?



場面は戻って宴会当日の博麗神社へ


「なーんなーのよー・・・」
ガタガタと揺れ動く掃除機から鬼の声が響く
「・・・霊夢様、鬼をお連れしました」
なぜか不必要に四人に担ぎ上げられ、ゴトンと霊夢の前に掃除機が置かれた
「・・・・・・ふぅ~」
お茶を飲み干し、一息
「・・・開けなさい」

ガチャッ

「ぷはーっ!!」
一体あの狭い中にどうやって入っていたのかと疑問に思うが、とにかく鬼が飛び出してきた
「あんたね、私を閉じこ・・・・・・・・・」
鬼の声が詰まる、威勢良く指で指そうとした時、巫女の鋭い眼光が、いや、殺気が鬼を貫いた
「う、うあ・・・うあああ・・・」
口から恐怖の声が漏れる、足に力が入らない、腕も、体も動かすことが出来ない
目をそらすことも出来ずにただただ、その恐怖の権化とも言える物が視界に収まり続ける


「・・・・・・デストローイ」


巫女の口から出たその言葉は、断罪の執行を示す一言だった・・・




 <都合により、この部分は省かせていただきます>




 <読者の皆様には、非常に残虐な場面を見せれずに、真に残念でございます>




 <では、極東萃無双の続きをご覧ください>




「あう・・・うああ・・・・・・たす・・・けて・・・誰か・・・」
とても口で言い表せない状態の鬼が、必死に周りの者へと助けを求める
「(許せ・・・今の霊夢にはとてもじゃないが逆らえない・・・)」
あまりの参上に目をそらす魔法使い
「(こんな化け物相手に、よくもった方よ・・・来世で誇りなさい)」
涙目でしかと見届ける亡霊嬢
「(霊夢怖い霊夢怖い霊夢怖い・・・)」
メイドにしがみつきながら半分壊れてかけた吸血鬼
「(あ・・・巫女と軍曹の境界を弄ったまま戻すの忘れてたわ・・・干渉はもう無理そうだし、どうしましょ?)」
やっちゃったー、という顔を浮かべる隙間妖怪
「(ちょ、紫様、今のは・・・)」
えー?! という顔で主を見つめる式
「(あ、あなたが原因ですかーっ?!)」
やっぱりかー!? という顔で隙間妖怪を見つめる庭師
「(・・・あとで絶対にしとめる!)」
無表情のままで鼻血を垂らしながら隙間妖怪に冷たい視線を送るメイド

しかし、誰も鬼を助けようとはしなかった、出来なかったというべきか


「逃げ場なんか・・・無いわよ?」
「ひっ!?」
白が無くなり、全身紅一色に染まった巫女が、もはや人ならざる顔をしながら鬼の後頭部を鷲づかみにする
「本番はこれからよ! じっくりかわいがってやる! 泣いたり笑ったり出来なくしてやる!」
その声はあまりにも重く、あまりにも冷たく、あまりにも無慈悲であった

「(ああ・・・私・・・死ぬんだな・・・)」
鬼の目から光が消えていく、走馬灯が駆け巡る、その時、ある声が頭に響いた

 ――力がほしいか?

「!?」
その声に、鬼の目に光が再度点った

 ――力がほしいか?

また声が頭へと響く
「・・・力が・・・欲しい・・・巫女にも負けない力が欲しい!」
鬼が最後の力を振り絞って叫ぶ
「ならばくれてやるっ!!!」
キーーーンという甲高い音と共に、でかい声が神社中に響き渡った
「誰!?」
巫女が声の元へと振り返るとそこには

「おーっほっほっほっほっほ! 月の使者参上!」

なんか月の戦士っぽい格好をした長髪のみょんな女性がからくりメガホン片手に神社の屋根の上に突っ立っていた
「そこの鬼よ、私の名前はエターナルマウンテン・てるよ、あなたはいま確かに力が欲しいと言ったわね?」

※萃無双は永○○より前のお話です、輝夜なんて姫は存在しません、彼女は エターナルマウンテン・てるよ です

「・・・やっぱいらない」
その姿を見てなんか別の種類の絶望を感じたのか、さっぱりと断る鬼
「問答無用! やりなさい永琳!」
「姫、私の名前はエイトです」

※しつこいようですが萃無双は○夜○より(省略

「あー、もう・・・ムーンライト光線発射!」
何だその安直な名前は、とツッコミを入れたくなる光線を、永・・・エイトが鬼に向かってビカーっと発射した
「はうっ・・・」
光線が照射されたのに、なぜか何かがぷすっと刺さったような声をあげながら、鬼の体が固まる
「あう・・・あうあうあうあうあう」
奇妙な声を上げながら鬼の体がざわつく

メキ・・・メキメキメキメキメキ・・・ズオオオオオオオン・・・

「アアールコオオーーーール・・・・・・」
そして彼女たちの視界に映ったのは、ミッシングパープルパワーなんて目じゃないぐらい巨大な鬼の姿、
「ふ、ふふふふふふ! これぞ永琳特製巨大化銃の効果よ! 名づけて巨大怪獣・ワーターメロン!」
「姫、私の名前はエイトです」
神社の屋根の上で、さらに高く聳え立つ鬼を見上げながら、何処かの姫が高らかに笑い声を上げる
「・・・まるで、そびえ立つ毛玉だ」
その足元でぽつりと呟く巫女
「アァールコォール・・・?」
鬼が足元の霊夢たちに気づく、ついでに目も光りだし、非常に危険な状態だ
「これはやばいわね・・・全員撤退!」
霊夢たちが全速力で階段のほうへと逃げる、しかしそこで結界に阻まれてしまった
「サー! 鬼の捕獲用に張った結界が強固すぎて逃げれません! サはぶわぁっ!?」
「中国の胸にド頭つっこんでくたばれ!」
きっちり報告した藍をきっちりと音速拳で霊夢が殴りとばす
その後、美鈴の胸がクッションになって助かったのは日中の奇跡であった
「(ごめんなさい藍・・・でも私だって命が惜しいのよ!)」
その様子を尻目に隙間へと逃げ込もうとする紫の姿

ガシッ!

「ひっ!?」
「どーこに行くのかしら・・・?」
その首根っこをがっしりと掴み、隙間から引きずり出す
「ああああのあのそそそのそのその・・・ちょ、ちょっと厠に・・・」
「巫女見習いは許可なく逃げることを許されない!」
「わ、私は巫女見習いじゃな・・・ぐえっ」
霊夢がじわじわと手の力を強めようとしたとき、巨大な足音が響く
「アアアルコオオオーーールウウーー・・・・・・」
口からぷしゅうううと煙を噴出しながら、ゆっくりと鬼が近づいてきた
「・・・紫、あなたに三つの選択肢をあげるわ」
「ケホッコホッ・・・・・・うう、なんなのよ」
咳き込んでいる紫の前に、霊夢が指を三本立てて突きつける
「一つ目は、今この場であれをどうにかする案を出す
 二つ目は、あなたの妖力と全ての生命エネルギーを動員して神風特攻
 三つ目は、どっちも出来ずにこの場で私に葬られる、どれがいい?」
「いくらなんでも無茶があ『夢想封印 散』

五秒後、隙間妖怪は変わり果てた姿となって地に伏した

「隙間妖怪など爬虫類の脂汗をかき集めた値打ちしかない!」
セリフを吐き捨て、霊夢がぐるりと他の皆のほうへと顔を向ける
「そうね・・・咲夜、あなたに三つの・・・」
「あああああああああああああああああ!!!」
霊夢のセリフを全て聞く間もなく、叫び声を上げながら鬼へと突進してゆくメイド
「さすがは完全で瀟洒な従者、一を聞いて十を知るとはこのことね」

単に突撃したほうが生存確率が高いと判断したのだろう、限りなく極小の差だが
そしてそれを敬礼しながら見送る海兵・・・ゴフン、弾娘達

「大レミリア帝国ばんざあああああああああああい!!」
「アールコオオオーーーール!」

 ― 幻葬 夜霧の幻影殺人鬼 ―





 ― 手撃 蝿叩き ―

ベシッ・・・・・・ズドォンッ!!

平手一発の前に完敗を喫してしまったメイドのラストスペル、憐れ
ひゅるるる・・・ベシャッと、地面で景気よくワンバウンドした従者が、霊夢の足元へと落ちる
「あ、あんな化け物・・・勝てるわけ・・・無いじゃない・・・・・・ガクッ」
「「咲夜(さん)ーー!」」
レミリアと中国の声が神社に木霊する、しかし霊夢はそのメイドを足蹴にすると
「チルノのイージーアイシクルフォールの方がまだ気合いが入ってるわよ!」
と、容赦ない一言を浴びせた、それを目撃した者全員が、もう勘弁してやってください、と呟いたそうな

「さて・・・そこの亡霊達」
またグルーリと霊夢が振り向いて、恐怖の眼光を送る
「あなた達に三つの――」

「(妖夢・・・こうなったらあれしかないわ・・・)」
「(幽々子様!? まさかあれをなさるつもりですか!?)」
「(そうよ、こうなったらもうやるしかない・・・後はお願いね、妖夢)」
「(幽々子・・・様・・・、わかりました・・・止めはしません、主の戦う様、しかと見届けます!)」
この間のやりとり、およそ0.7秒

「霊夢、条件を言うまでも無いわ、私に任せなさい」
幽々子が一歩前に出て、霊夢を見つめながら言い放った
「・・・何か策でもあるの?」
「それは見てのお楽しみですわ、上官殿」


「アァァールコォォールゥゥー・・・」
「力に魅入られてしまった憐れな子鬼・・・いえ、大鬼ってとこかしら」
ふよふよと鬼に近づき、それを見上げる
「この技はあまり使いたくなかったのだけれど・・・妖夢の為ね」
そしてふぅぅーーっと息を吐き、目を閉じ、そして大きく息を吸い込んだ

「宴会中の食物よ、私に力を分けて頂戴!!」

そう言い放ったと同時に、幽々子の口へと物凄い勢いで大気が吸い込まれ始めた
その風に乗ってケーキやらお酒やらお餅やらお酒やら団子やらお酒やらが幽々子へと吸い込まれてゆく

「く、この風は一体何なのよ?」
風の中心地へと皆の視点が集まる、ちなみに極一部の輩はスカートの中をのぞくので精一杯だ
「あれこそ、幽々子様の真の最終奥義、全ての食物を力に変え、究極の姿へと変身を遂げる技!」
そしてふと風が収まったかと思うと、膨大な光が幽々子から発せられ、その次の瞬間


「ハァァングリィィーー・・・」
ずぉぉぉぉぉぉぉぉん・・・・・・と現れるは、ただただ巨大な西行寺幽々子
「あれこそ幽々子様の最強のお姿、その名も幽々皇!」















ビシッ! ビシビシビシビシビシビシ!!!

「痛たたたたたっ?!」
唐竹割りやら逆水平チョップやら掌による裏拳やら凶器やら、と
その場にいた全員のツッコミが容赦なく妖夢の半身へと放たれる
「(幽々皇ってなんですか幽々皇って)」
「(どう考えても摂取量を体積が上回ってるわ)」
「(だからあの額のぐるぐるはださいっていってるじゃない)」
「(私にも巨大化しろってことか? ああん?)」
「(ハァハァ魔理沙ハァハァ)」
「(まるで聳え立つ毛玉リフレイン?)」
「(夜の王たる私が皇帝である幽々子に劣るって言いたいわけ!?)」
常人なら悪くすると即死、少なくとも昏倒は免れない威力だが、半身経由なのでその辺は大丈夫
ただしツッコミの内容に関しては、当局は一切関知しない

「アァァルコーーールゥゥー!!(五百文ドロップキックー!!)」
「ハングリイイイイイイイー!!(フライングボディプレース!!)」
ズドォーンという轟音をあげながら二つの巨大な怪獣が取っ組み合う
お互い巨大化して動きが鈍いせいか、繰り出される技がやけにプロレス寄りだ
「こ、こっちに来たわよ!!」
その足元で所狭しと結界内を逃げ回る弾娘達
「うお、ちょ、マジで死ぬマジで死ぬってうわぁぁぁ!」
「巫女見習いは許可なく死ぬことを許されない! だが今回に限って例外を認める!」
「「「認めるな!」」」

「あはははは、たーのしーぃー」
神社の屋根の上ではニートがのんきに観戦中であった
「えーりーん、もっと巨大化できないのー?」
「姫、私の名前はエイトです」
相変わらずなやり取りの二人、しかしそれが悲運を招いた
「ハングリッ!!」
「アルコッ!?」」
丁度その時、幽々皇の繰り出したタイガーアパカッが見事に大鬼を殴り飛ばしたのだ
「わー、見事に決まっ・・・・・・」
だんだんと大きく迫ってくる大鬼の背中
「・・・え・・・わわわ!? た、助けて永琳!!」
隣を振り向くがそこにはすでに誰もいない
「姫ー、私の名前はエイトですうぅぅ・・・・・・」
声の先には、ベン・ジョンソン張りのダイナミックなフォームで遥か彼方に逃げさる薬師の姿が
「え、ちょ、永琳! 置いてかないで・・・あああああ! 助けてえーりーー」

ブチゴシャッ! メキメキメキッ!! ズズゥゥゥン・・・

神社が崩れる音と共に、何かが潰れる音がしたのは気のせいだろう
その後も怪獣大決戦はさらに激しさを増してゆく
だが、その戦いもいよいよ終幕が近づいてきた、一つの兵器によって

「くそ、逃げ場がだんだん無くなってきたぜ・・・あっ!?」
「魔理沙!?」
段差に足をとられ、魔法使いが転ぶ、そして上から飛び散った破片が迫ってきていた
「う、うわ、うわぁぁぁ!?」

ズドォンッ!

「・・・・・・・・・・・・あれ?」
死を覚悟して瞑っていた目を、恐る恐る開ける
「なんだこれ?」
次元の裂け目のような場所から突き出るように飛び出していた巨大な物
「・・・腕か?」
よく見ると巨大な腕っぽい、どうやらこれが破片を防いだようだ
「危なかったわね魔理沙」
「あ、ああ・・・これ、なんだかわかるか?」
駆け寄ってきたアリスに、この正体不明な物体を尋ねた
途端、アリスに不気味な笑みが浮かぶ
「ふふ・・・始動が間に合ってよかったわ・・・」
「・・・へ?」

その腕が徐々に次元をこじ開ける音と共に、少しずつ上腕、肩・・・と姿を現す
「これこそ、私が魔界に送り返されていた間にコツコツ作り上げた愛の結晶!」
裂け目から左腕も飛び出し、頭、体も徐々に這い出てくる、その姿を詳しく書き記すと

白いリボンの付いた黒いとんがり帽子に、黒い服+エプロン、そして左腕には箒が握られていた

「スパァァァクゥゥゥー・・・」
「うふふふふふふ! これこそ、私の最高傑作にして魔理沙に捧げる愛の人形、ウルトラ魔理沙よ!」
「はふぅん・・・」

 魔理沙は気絶した! アリスはケタケタと笑っている・・・。

「さぁ、行くのよウルトラ魔理沙! 私と魔理沙の愛の幻想郷の為に!」
「スパァクゥゥー!」
アリスの指示でデカ魔理沙が胸元からアレを取り出す
ミニ八卦炉ならぬビッグ八卦炉、勿論フルヒヒイロガネコーティングだ
「アルコォルッ!?」
「ハングリィッ!?」
それに気づいて、大鬼がさらに巨大化して巨鬼になったり、亡霊がもともとでかかった扇を展開したりしていた
だが、全ては遅すぎた、ウルトラ魔理沙はすでに発射態勢に入っていたのだ
「マスタァァァァスパァァァァァクゥゥゥゥゥ!!」
声と共に光が八卦炉へと圧縮される、その次の瞬間


ぽふっ!


「ゥゥゥゥ・・・・・・?」
やけに気の抜けた音と共に、八卦炉から煙がちょこっとだけ発射された
「スパァク?」
訳が分からず、首をかしげながらアリスの方を向くウルトラ魔理沙、大きくさえなければ可愛いのに
「おかしいわね・・・?」
アリスもつられて首をかしげる
「ん~・・・あ、私は・・・・・・はふぅん」
その時、丁度良く魔理沙が目を覚ましたのだが、即座に気絶した、無理もない

ビキッ!!

その直後、いやな音が神社中に響いた
「スパァク・・・?」
ウルトラ魔理沙が手に持っている八卦炉を見る、するとヒビがびしびしと
「あ、しまったーーー!!」
アリスがそれを見て頭を抱える
「ど、どうしたのよアリス!?」
いつの間にか駆け寄ってきていた霊夢が尋ねると、アリスはやっちゃったーという顔でそれに答えた
「・・・八卦炉、内部に呪印掘り込むの忘れてた・・・・・・」
「掘り込んでないとどうなるわけ?」
「魔力が放出されずにどんどん蓄積されて・・・」
「蓄積されて?」
「どっかーん、よ」
「へぇ・・・どっかーんねぇ、どっかーん・・・って、え?」
「良かったじゃない、掃除する手間が省けて」
「いいわけあるかああああああ!! 歯ぁ食いしばれぇぇぇぇぇ!!」





その頃、○遠○では
「レイセーン、あれ見てー!」
「一体どうしたのよ? 忙しいんだからこっちも手伝・・・」
「ほらほらー、変な雲がー」
「・・・・・・キ、キノコ雲?」
「なんか凄いね~・・・鈴仙?」
「ち・・・・・・地上の民めっ!! こんな所にまであんな兵器をぉぉ!!」
「れ、鈴仙!? し、しっかりして鈴仙!! まずは落ち着いて!」
「てゐ! 全ての兎に動員をかけろ! 戦争だ! 血で血を洗う醜い争いの幕開けだっ!!
 今度は逃げぬ! 今度こそ地上の民に我らウサーギ一族の妖力の恐ろしさを八代先の遺伝情報にま――」

ゴスッ! メキッ! ゴキャッ!

「・・・鈴仙、落ち着いた?」

イナバー・・・こっちの死神は強欲よ~・・・

「三途の・・・川で・・・姫が呼んで・・・る・・・・・・」
「そ、そっち逝っちゃ駄目ぇー!」










 翌日――

跡形もなくなった神社、地形が完全に変わった山、なぜか無傷で不動の賽銭箱
左を見れば地面に頭から突き刺さっている鬼、焦げ焦げの魔法使いのスカートの中に頭を突っ込んだままの人形遣い
右を見ればスッパな天狐、隙間からはみ出ている血まみれの腕、メイドの下敷きになり全身蒸発は免れた吸血鬼
後ろを見れば右半分だけ残ったまま地面にめり込んでいる巨大な魔理沙の顔、その下に紫色の扇の端が見え隠れする
前を見れば結界に体がめり込んでいる半人と半霊、服はボロボロなのに体はまったく無傷の状態でがーがー寝てる門番
その骸達の間でカラフルな妖精達の骸が素敵な色合いをかもし出していた
そして中央で、平然と掃除をしている巫女が一人

「はぁ・・・何があったか知らないけれど、派手にやったわね・・・」

彼女に昨日の記憶が無かったのは幸か不幸か、それとも必然か

今回の異変はこれで終わり、また明日からいつもの日常が始まるだろう
ただほんの少し、隙間妖怪が悪戯を控えめにしたり、魔理沙の家がアリスの家から遠ざかったり
門番と苦労人の中が良くなったり、庭師のボケが上手になっていたりするだろう。

ただし、博麗神社の賽銭箱に、お賽銭が入ることは決して無い――。





            終劇



元が宴会騒ぎなので私もタガを外してみました


    本当にごめんなさいorz


というか明けましておめでたい日に何を書いているんだこの作者はと小一時間

※一部訂正、いいツッコミ頂きました。
幻想と空想の混ぜ人
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コメント



0.3340簡易評価
1.80名無し三等兵削除
Sir,次はキルゴア中佐でお願いします。
「朝に嗅ぐマジックナパームの匂いは最高だ!」
2.70K-999削除
紫・・・・・・ま た お ま え か !

それから幽々子は「アングリー」よりも「ハングリー」ではないでしょうか。火の玉ボーイみたいに。
8.60翔菜削除
ちょちょwww
素敵な壊れっぷりだw
16.50空欄削除
サー!
 ゴーマーパイル役がいません。奴役の人妖は誰ですか?
サー!

サー!
 あと霊夢の場合性別からしてサーではなくマムをつけるのが正しい筈です!
 それとも其処まで混ぜてたんですかあの訓練されたヤク○は!
サー!
17.60削除
サー!
 “永琳”が全部“永淋”になってやがります!
サー!
20.70名前が無い程度の能力削除
サー!
えーりんえーりんたすけてえーりん
サー!
26.70きょう削除
ニート姫をも圧死させる巨大幼女鬼、
緋々色金コーティングも吹き飛ばすキノコ雲、
そしてレームマン軍曹。
もうハジケ過ぎ。最高にワロタ。
42.100Singo削除
サー!
遠慮無く爆笑させていただきました!
サー!
70.70名前が無い程度の能力削除
巫女と軍曹の境って…
紙一重だったのですか、サー!!
71.100名前が無い程度の能力削除
霊夢がおかしくなりすぎwwwwwwwwww
73.70名前が無い程度の能力削除
最後の場面を想像するとカオスだな
76.100名前が無い程度の能力削除
めーりん服はボロボロだが体は無傷wwwスゲェwww