とある昼下がり。
私は、徹夜明けのために少しだるい身体を、空の冷たい風にさらしていた。
どこまでも澄み渡る青い空。
私こと大妖精は、一路、霧の湖に向かっていた。
理由は単純。そこに当然の如くいるであろうチルノちゃ……チルノに、会いに行くためだ。
全速力で飛んでいれば、すぐに霧の湖に到達した。
霧の向こうに見知った姿を見つけて、スピードを落とす。
「チィルノォオオオオオオオ!!!」
叫びながら突っ込んで、驚きを隠そうとしないチルノちゃ……チルノの前で、急停止。
ずっと全力で飛んできたために肩で息をしながら、チルノに顔を向けた。
「お、おう、大ちゃん。おはよう、今日はやけに元気いっぱいね…………って、その腕、どうしたの!?」
私の腕を指して、叫ぶチルノ。
包帯を巻いているから、無駄な心配をしてしまったのだろう。
腕に触ろうとしてくるのをひょいと避けて、クックックと喉の奥で笑う。
一瞬むせそうになったのだけど、気合いで抑えて、おののくチルノから少しだけ離れた。
さあ、見るがいいチルノ!!
「お前の知る大妖精は死んだ!我が名はDie妖精!!」
ばっ!と右腕を左斜め上に突きだし、その腕にガッツポーズのような形を取る左腕を押し当てる。
「死を司る……」
伸ばしたままの右腕を半円を描くように移動させて、勢いよく左足をあげた。
「超大妖精だ!!」
最後にピシッと羽を突っ張らせて、ポーズが完成する。
……決まった。最高に決まった。
チルノはあまりの素晴らしさを目の当たりにしたせいか、固まってしまっている。
満足してポーズを解くと、チルノが口を開いた。
「な、何変なことしてんのさ、大ちゃん……」
えっ?と、知らず声が漏れていた。
変なの?え?何言って……え?
「……か」
「か?」
「かっこいいでしょ!?」
力んで言う私に、えー、と不満げな声を出すチルノちゃん。
「かっこわるいよ」
ガーン!と、金槌で頭を殴られるような衝撃に襲われた。
ひ、一晩中寝ないで考えたのに……!一生懸命考えたのに……!
「え!?ちょ、わ、悪かった!あたいが間違ってた!大ちゃん凄くかっこいいよ!!」
「ほ、ほんとに……?」
ツンとした痛みを訴えてくる鼻と、熱くなる目頭をぐしぐしと両手の甲で擦りながら聞き返すと、チルノちゃんは馬鹿みたいにコクコクと大きく頭を振った。
むふー、と息を吐いて、笑顔になる。それから、
「じゃあ、今からチルノちゃ……チルノは、私の配下ね!」
「え?」
困惑の表情を浮かべるチルノの手を取って、飛び出す。
私に引っ張られているチルノが、「ちょっと、どこいくのさ!?」と声をあげるのに、悪魔の館よ!と返してた。
霧をかいくぐって暫く飛べば、紅い館が見えてくる。
門の近くに降り立つと、チルノちゃんがたたらを踏んだ。引っ張って、支えてあげる。
門の元には、一人の女性が腕を組んで悠然と立っていた。
片方の眉を吊り上げて、不貞腐れるような顔をしているチルノ。
その、未だ何も理解していないらしいチルノの耳元に口を寄せて、説明する。
「今から、この館に攻め込んで、悪魔を倒すのよ!」
えー?と、またも不満気な声をあげるチルノ。ちょっと離れてからこっちを見て、何でそんなことするのさ、と疑問を投げかけてくる。
なので、教えてあげることにした。
「チルノには見えないかな、悪の波動が」
「波動?」
「そう。オーラみたいなもやだよ、あそこにいる門番にも纏わりついてる。あれはね、近い将来、幻想郷を大変なことにしちゃうんだよ!!」
「な、なんだってー!!……大変な事って?」
「え゛?え、えっと……さ、さいこーしんりゅーが天からおりてきて、幻想郷を滅茶苦茶にしちゃうんだよ!!」
「なんだって!それは本当かい!?なら仕方ないわね、最強であるあたいが、悪魔なんて一撃ころりよ!」
ふう、と息を吐いて、心の中だけで胸を撫で下ろす。誤魔化されてくれた。
ふんふんと鼻息を荒くして、一転やる気満々になったチルノと共に、門へと向かって歩いていく。
しめた!門番は眠ってる!そろり、そろりと慎重に横を通る。空気を読んだのか、チルノも私と同じように静かに動いてくれた。
「待ちなさい」
びくりと、身体が跳ねた。恐る恐る門番の方を見ると……あれ、まだ眠ってる。
むにゃむにゃと口を動かしているところを見れば、寝言だったみたいだ。
びっくりさせるわね、とチルノが言う。まったくだ。
眠っているとわかれば、もう怖くない。強張っていた身体の力を抜いて、軽い足取りで進む。
「待ちなさい」
二度目の声も、気にすることはなかった。どうせ寝言だ、その証拠に追ってはこない。
そのことがおかしいのか、ふふ、と笑いを零すチルノ。私も一緒になって、少しだけ笑いを零してしまった。ちょっと調子に乗った私は、包帯を巻いた左腕をチルノに見せて、得意げに語る。
「この腕に包帯を巻いてるのはね、私にも波動があるからなんだよ。それも、とびっきりのね」
胸を反らせて言うと、チルノは、包帯があるから抑えてられるの?と聞いてきた。察しがいい。
「うん。でもね、これはただの包帯じゃないんだよ。るしふぇるっていう堕天使が作った特別な包帯なの。だから、他の包帯じゃ代用はきかないんだよ」
「ふぅん。よくわかんないけど、凄いのね」
褒められちゃった。照れちゃうな、と頭の後ろを掻く。そうして歩いていると、
「二度に渡る警告を無視ですか。わかりました、いくら相手が弱くとも……容赦はしません」
ドン!!と重い音がして、続いて、背に強い風を受けて前に二歩ほど進んでしまう。シャオシャオシャオ……と耳が痒くなる様な音が聞こえてきていた。
チルノとまったく同じ動作で、振り返る。
そこには、黄金の光を纏った門番がいた。こちらを睨み付けて、腕を組んで立っている。
その瞳のあまりの冷たさに、足が竦む。しかし、どこからか吹いてくる風に揺れる門番の紅く長い髪が、場違いに綺麗に見えた。
「へ、へんっ!!何よ、輝いちゃってさ!そんなんであたいたちを止めれるとでも」
叫ぶチルノと私の間に何かが現れて、私とチルノが正反対の方向に吹き飛ばされる。
またも重い音がして、地面が揺れた。地面に打ち付けてしまった背をさすりながら身を起こすと、さっきまで私たちがいた場所に門番がいて、片足を中心に地面が陥没していた。
えええええええええええええ!!?そんなのありなの!!?
心の中で絶叫していると、果敢にもチルノが門番に飛びかかるのが見えた。
い、いけ!やっちゃえチルノちゃん!チルノちゃんがナンバーワンだよ!!
立ち上がって応援するも虚しく、チルノちゃんは門番に弾き飛ばされて、地面にぶつかった。
門番が、こっちに来る。
「だ、大ちゃん!波動を使うんだ!!」
チルノちゃんの声援が耳に届いた。何を無茶な、波動って何よ!!
あああ!門番が来るっ!
「ちっ、近づくな!それ以上近づくと酷いぞ!!」
咄嗟に左腕の包帯を外しながら、そんなことを叫ぶ。
「どう酷いんですか?」
と門番は聞き返してきた。
あああどうしようどうしよう殺されちゃうよいや殺されるのは平気だけどなんか響きが嫌だよねていうかそれ以前に痛いのってやだよ怖いよ助けてチルノちゃん!!
助けを求めるも、チルノちゃんはいかにも「すげぇ……なんて気だ…」みたいな表情をして動いてくれない。
混乱して、左手をびしっと門番につきつけて何か出ろ!と念じるも、混乱しているせいか波動どころか弾幕のひとつも出て来やしない。
何度も左手を突き出してみるが、結果は全部同じだった。
怖くて悔しくて……視界が歪む。
と、門番が足を止めた。ぼやける視界に映る門番は、ひどく困惑しているようだった。
「つあっ!!」
チルノちゃんの声がして、次いで、門番が揺らぐ。
門番の背中にしがみついているらしい。
「大ひゃん今ら!!」
まだ私が波動を出せると思っているのか、門番の手に噛みつきながらチルノちゃんが叫んだ。
思わず突きだした左手に力を込める。すると、今度はちゃんと光線が出て、門番に当た……るまえに、金色のオーラに阻まれて掻き消えた。
「えっ」
「えっ」
………。
門番とチルノちゃんの動きが止まる。
私は、こみあげてくる熱い何かに対抗するので精一杯になっていた。
ひぐっ、と情けない声が口から漏れる。目頭が熱くなって、手で押さえた。
「え、と………う、うわーなんてぱわーだー」
ずずーん、とやけに重い音と共に、門番が大の字に倒れた。倒れる直前に門番から離れたチルノちゃんが、
「じ、時間差攻撃ね!!やるわね大ちゃん!!」
と激しく言うチルノちゃん。
そ、そうよ、時間差攻撃だよ、さ、流石私ね!!
ぐしぐしと目を擦って、立ち上がり胸を張る。とととっと門番に駆け寄って足を乗せ、ピースサインを掲げる。
チルノは盛大な拍手を送ってくれた。
門番は「ぐふー」と漏らしていた。
館に潜入して、どんどん進んでいく。現れる妖精メイドを華麗にスルーしつつ長い廊下を飛んでいくと、大きな扉の前にたどり着いた。
『ヴワル大図書館』と丸っこい文字で書かれた板が扉にはっつけてある。
さっそく私たちは図書館に侵入することにした。
重厚な扉を、チルノと力を合わせて押し開ける。さっと中に入って、私たちはすぐに飛んだ。
背の高い本棚の間を、二人並んで飛んでいく。会話はない。ただ、先を目指すだけ。
遠くの方に、本棚が無く、開いた一角があるのが目に入った。
椅子があり、テーブルがあり、人がいる。
むっ!あそこにいるはメイド長!?それと、えっと……人形遣いの人!!
近づいており立てば、まずメイド長がこっちを向いた。
「あら、アリスたち以外にお客様が招かれているなんて、聞いてないのだけれど」
そういって、手に持っていた銀のお盆を脇に抱えて、小首をかしげるメイド長。
椅子に座っていた人形遣い……アリス、だったっけ?が、口をつけていたティーカップをゆっくりとテーブルに置いて、優雅にこちらを向き……紅茶を噴出した。
「ちょっ、汚いわよアリス!!」
メイド長の叱責もなんのその、口も拭かずに私を指さして、
「だだだいだだいだだだっ!!?」
と太鼓のような声ともつかぬ奇声をあげた。
かとおもえば、かあっと顔を赤らめて、両手で顔を覆う。
何この人、怖い。
後じさっていると、何の用かしら、とメイド長が言う。
「こ、ここの主に用があるの」
「パチュリー様に?」
いや、そっちじゃなくて、ここの主……ああ、そうなっちゃうのか。
「パチュリー様は、今別室にこもって何やら実験なんかをしてるけど」
「わた、私は経験を借りたいからってこ、ここによばれっ……!!」
関係ないのに口を出して、過呼吸に陥る人形遣いの人。うわあ、凄く……気味が悪いです。
気味が悪いわ、と、横でチルノちゃんが言った。まったくもって同感である。
「はぁはぁ……ななな、生の大妖精ちゃんうふっぐ!!」
また奇声を発して、今度は白目をむいて気絶した。
一瞬自分の名前を呼ばれた気がするんだけど、気のせいだよね、うん。
人形遣いの人がごとりと床に落ちるのを、メイド長は理解しがたいものを見る目で見つめて、ふとこちらに視線を向けてきた。
「そういうわけなので、お引き取りを」
物腰も口調も柔らかいが、目が語っている。『とっととけぇれ』、と。
たじろいで、チルノに目を向ける。人形遣いの人をつんつく突っついていた。
そんなもの触ったら汚れちゃうと思うんだけどな。
しかしそういうものこそ触れてみたくなってしまうというジレンマ。えーい鎮まれ私の左腕。
それはそうと、テーブルの向こうの席に見覚えのあるほうきが置いてあるんだけど、あれってきっと白黒な人のものだよね。
ここにいないのは、この図書館の主と何かをしてるからかな。
「無視しないでよ」
あ、メイド長の事を忘れていた。何を言われたんだっけ。邪気眼って格好良くない?って話しだったっけ。
まあいい。きっと、この人にこの館の主に会いたいって言っても、駄目って言うにきまってる。
ならば、勝手に行くまで。大丈夫、黒の波動が場所を教えている。
それに、こんなにも左腕が疼くのだ。もしかしたら、この館の主は『能力』を持ってるのかもしれない。
「む、待ちなさい!!行くというなら私を倒してから……」
私は、後ろから聞こえてくるメイド長の声を無視して、図書館を後にした。
「待っていたわ、妖精」
図書館の者よりも大きい扉をなんとか開けると、紅が広がった。
部屋の最奥に壇上があり、その上には王座があって、この館の主である少女が座っていた。
先の言葉は、その少女が私に向けてはなった言葉だ。待っていたとは、どういうことだろうか。
いや、それよりも。
「妖精、ではない。超大妖精だ、ハッ!」
ビシッ!と決めポーズをとる。今回も完璧だ。
うぬ、と主……紅き悪魔が声を漏らす。気のせいか、紅い目が輝いているように見える。
「かっこい……じゃなくて、フン。超大妖精とやらよ、貴様が来るのはわかっていた。私の右腕が、疼いていたからな……」
思わせぶりに右腕をあげてみせる悪魔。そこには、包帯が巻かれていた。
まさか!いや、やはり能力者!!
「そして、我が能力、『運命を操作する程度の能力』が、貴様のことを教えてくれたよ」
「なにっ!?」
運命を操作する程度の能力!?なんてかっこい……じゃなくて、恐ろしい力!
「私の攻撃とか色々見通してしまっているに違いない!!」
「ククク、そうさ。貴様が今朝食べたものから所持しているぱんてぃの数まで、全てまるっとお見通し、というわけさ!!」
お、恐ろしい!!く、これは……さっそく包帯を外すとき!!
いそいそと、左腕の包帯を外す。ばっと投げ捨ててから、構えた。
「ふん、やる気か。よろしい、ならば戦争だ」
悪魔が椅子から降り、両腕を軽く上げる。この胸に飛び込んでおいで、とでもいっているかのように。
運命「ミゼラブルフェイト」
ポウ、と悪魔が紅い光に包まれたかと思うと、先の鋭い鎖がいくつも迫ってきた。
やばい!!咄嗟に額に二本指をつけて、姿を掻き消す。
そして、一瞬のうちに攻撃の範囲外に姿を現した。
「ふふっ。瞬間移動ってやつだ」
「なん……だと……」
大袈裟に驚く悪魔。紅い鎖が消えて、悪魔は次の攻撃を繰り出すために妖力を高めている。
牽制に、二、三光弾を飛ばす。そして、おまけの言葉。
「運命を砕く青き光(フェイトブレイク・ブルーライトニング)!!」
光弾を弾こうとしていた悪魔は、何!?と顔を歪めて、真正直に光弾を受ける。
小規模の爆発を引き起こした青い光は煙と共に消えて、悪魔が姿を現した。
「少しはきいたわよ……」
ふ、と私は不敵な笑みを浮かべて、悪魔に指を向けた。
「これでお前はもう、運命を操作することはできない!!」
「っ!まさかっ!!……なんと、やはり!これが貴様の能力……」
「そう。『ありとあらゆる能力を打ち破る程度の能力』。能力者たちを倒すのが、私に課せられた使命」
「貴様まさか、カノッサ機関の!?しかし、あの機関はカノッサの屈辱で……」
「不死鳥の如く、蘇ったのよ」
「くっ……私の手には負えない!助けてフラン!!」
悪魔は、部屋の隅っこに座って本を読んでいたもう一人の悪魔に助けを求めた。
しかし、部屋の隅にいる悪魔は、本から顔を上げない。
「ちょ、フランってばどうして答えてくれないのよ!」
「言ったでしょ、お姉様。その恥ずかしい振舞いを止めないと一生口きかないって」
ひょいと本から顔を上げた悪魔が言う。
「口、きいてるじゃん」
「………」
壇上の前に立つ悪魔が揚げ足を取ると、部屋の隅にいる悪魔が手の内に目玉のようなものを出現させた。
「あぁんまってフラン!?お姉様死んじゃうわ!あっさりと逝っちゃうわ!!」
蹲って、なにやら防御態勢を取り始める悪魔。ああ、ややこしい。
しかし、あれが噂に聞くカリスマガード。生で見れるとは思わなかった。
その時、この部屋の扉が開いた。振り返ると、ボロボロな姿のチルノが片足を引きずりながら一歩、部屋に踏み込んで、ぱたりと倒れてしまった。
「チルノちゃんっ!?」
駆け寄って、抱き起す。力なく伏せられていた瞼が開いて、綺麗な青色の瞳が覗いた。
「ふ、ふふ……め、めいどちょーをこてんぱんにしてやったわ……」
震える腕をあげて、親指を立ててみせるチルノちゃん。誇らしげに口の端をあげて、
「だい、ちゃん……勝って…………」
そう言って、腕を落とした。
チルノちゃん!!と、いくら呼びかけても、揺らしても、何の反応も帰ってこなかった。
熱い雫がほおを伝い、チルノちゃんの顔に落ちた。
胸につかえる何かに押されて、しゃくりあげる。涙が溢れて止まらなかった。
私は、何を……。
こんな、こんな馬鹿なことにチルノちゃんを巻き込んで、こんな怪我をさせてしまって。
なにが超大妖精だ。ただの、馬鹿じゃないか。
「チルノ、ちゃ……」
嗚咽の中に、声が混じる。
後悔の念が押し寄せてきて、だけれども、何故だかチルノちゃんを愛おしく思う気持ちまでもが溢れてきたから。
あのメイド長と戦うなんて。私達妖精には、土台無理な話なのに。
それなのに、私の為に戦ってくれて……やっつけちゃうなんて……。
チルノちゃん、と、もう一度声をかける。
なんて、事だ。
私は、どうすれば……。
「うーん。ちょっと眠ったらすっきりしたわ」
がばりと、チルノちゃんが身を起こした。
そうして、私を見る。
「え!?だ、大ちゃんなんで泣いてるの!?や、やられたの!?」
狼狽して言うチルノちゃんに、吃驚して早鐘を打つ心臓を落ち着けながら、ううん、と首を振る。
「もう、いいよ。全部終わったから。一緒にかえろ、チルノちゃん」
「え?あ、うん。……うん!そうだね、大ちゃん」
チルノちゃんに肩を貸して、部屋を後にする。
長い廊下をゆるゆると飛ぶ最中、チルノちゃんは、如何にしてメイド長に勝ったのかを語ってくれた。
その横顔がとても素敵で、熱くなる胸を抑えることが、私にはできなかった。
その話がひと段落ついたところで、私はチルノちゃんに提案をする。
そのお洋服、私が直してあげるから、私の家に来ない?って。
正直、顔から火が出そうなくらい恥ずかしかったけれど、何とか最後まで噛んだりせずに言えて、そして、チルノちゃんが笑顔で「うん!」と答えてくれた時、思わずチルノちゃんに抱きついていた。
「な、なによ大ちゃん」
「ううん、別に。えへへ」
チルノちゃんの顔も、真っ赤になっていた。私はそれが嬉しくて、チルノちゃんに抱きつくのを止めなかった。
館の出入口が、見えてくる。
さて、今日は、腕によりをかけて夕飯を作らないと……。
ふと、扉のそばに誰かが立っているのが見えた。
それは、あの人形遣いさんで……
「だだだ、大ちゃんぅんんんんんんん!貴女の為に魔法を考えたのよ!!その名も『エターナルカオス』!!!!!!!!」
「チィルノォオオオオオオオオオオオオ!!」
私のバトルフェイズは、まだ終了しちゃあいねぇぜ。
ピクッ
何か終始自分の中で何かが疼き回ってた
中国の優しさに泣いた
そしてアリス。そういうのは上海か白黒にやっとけ。
いやー、普通に、いや、凄く面白かった。
だが終始胸がざわついてたのは…ナンデダロウネHAHAHAHA
美鈴の優しさとおぜうのノリの良さに俺の涙がアイシクルフォール。