極めて近く、限りなく遠い世界の世界管理局の報告書:第1341号
Name. Sakuya Belmondo
Height. 163cm
Weight. Unknown
Age. 17
Bloodtype. Unknown
当該人物は、ヴァンパイア・ハンターとして名高いベルモンド家の娘だ。
身体能力が非常に高い上に、類稀な特質系の念能力者でもある。
高い身体能力を活かしたマーシャルアーツ、破邪の効果を持つ銀で作られた大型のナイフ、
古の錬金術師が制作したと云われる聖鞭ヴァンパイア・キラー、
そして、サブウェポンと呼ばれる多種多様な武器を念で具現化して操る。
また、サブウェポンの中には、時さえも停めてしまう恐ろしいモノもあるとか……。
僅か齢12の頃に超難関とされるハンター協会のハンター試験に合格。
プロライセンスを持つハンターである上に、吸血鬼をはじめ、多くのダークストーカー達を滅ぼした功績により、
一ツ星(シングル)の称号を得ていることも付け加えておく。
以上により、危険度認定はBとする。
RiskRating : B
☆☆☆
”西の都”から、山と荒野を越えたところに、とても大きく、屋根や外壁にいたるまで真っ赤な館がある。
吸血鬼レミリア・スカーレットの居館、『紅魔館』だ。
”西の都”をはじめ、数多の町や村を襲い、暴虐の限りを尽くしたレミリア。
レミリアは、その所業により、世界政府から”おたずねもの”とされてしまう。
彼女に懸けられた賞金額は、どんどん上がり、今や6億。
”ゆらぎ”から度々出現する、ハイクラスのドラゴンよりも高い金額だ。
そのため、プロ、アマチュア問わず、数多の賞金首(ブラックリスト)ハンター達がレミリアの首を狙ったが……。
強大なパワーと多彩な特殊能力を持つレミリア。
そして、レミリアの仲間や配下のダークストーカー達によって、殺害されるか、命からがら無様にトンズラするしかなかった。
それでも、新たなハンターは紅魔館にやって来る。
十六夜の月が照らす晩、吸血鬼の天敵、吸血鬼(ヴァンパイア)ハンターが聖鞭ヴァンパイアキラーを携えて……。
☆☆☆
サクヤ・ベルモンドがレミリア・スカーレットの姿を初めて見たのは、立ち寄ったレストランのテレビでやっていたニュース番組であった。
「アヤ・シャメイマルがライブでお伝えします。 現在、我々は吸血鬼レミリア・スカーレットが現れたという西方村に来ています。 ……あやややッ!? カメラさん、あっちを!!」
「ぎゃおー!」
「で、でましたー! レミリアです! こちらに向かって来ます!」
「たーべちゃうぞー!」
「ま、まるで伝説の怪獣、モケーレムベンベの如き勢いで……! 特派員の運命はいかに!?」
取材クルー達の悲鳴と断末魔。
ナニカを啜るような耳障りな音。
そして、地面に落ちたカメラが撮ったモノ。
それは、大量の返り血で服を真っ赤に染めたスカーレットデビルの姿。
サクヤは反射的にナイフをテレビ画面に向かって投げつけた。
「次はレミリア! 貴様だ!!」
画面のガラスが派手に飛び散り、バチバチとスパークするテレビを前に、これにまでにない高揚感がサクヤを包み込む。
そう、ついに宿敵といえる化け物を見つけたからだ。
「お、お客さん!? 困りますよ、ウチのテレビを壊してくれちゃ!」
「はーははははははッ!!」
「む、娘がプレゼントしてくれた大切なテレビがぁぁぁ……。 orz」
レストランの店主の悲痛な声が届かぬ程、サクヤのテンションはMAXヒート!
そして、数日後……。
☆☆☆
~ ステージ: 紅門(こうもん) ~
紅魔館が誇るモノの一つが、真紅の巨大な正門である、『紅門(こうもん)』だ。
その紅門の番人、ニンゲン型のダークストーカー、紅美鈴。
数百年に渡るクンフーを積んだ武闘家であり、強化系の高い資質を持つ念能力者でもある。
オーラによって強化された肉体は、拳銃やライフルの弾を皮膚で弾き、バズーカ砲を片手で防ぐ程。
赤毛の美しきダークストーカーは、多くのハンター達を撃退してきた。
しかし、その晩やって来たハンターは一味も二味も違った。
年の頃は、10代後半ぐらいだろうか。
十六夜の月光に照らされた銀髪は輝き、幼さが残る端正な顔も相まって、非常に美しい少女。
きっと、ドレスが似合うであろう。
だが、彼女が着ていたのは、青色の戦闘服だ。
物陰から、メイリンと銀髪少女の戦いを、メイド服に身を包んだ2匹の妖精が見守っていた。
メイリンの使い魔として、『魔導器・妖精の素』から作られたシイナと、『魔導器・半妖精の素』から作られたヘキルである。
「メイリン様、頑張って~!」
「メイリン様、そんな”ピー”女なんか、コテンパンにしちゃえ~!」
いつもと変わらない妖精メイド達の応援。
ところが、それに応じる余裕がメイリンには無かった。
「(こ、このお嬢ちゃん、手強い!)」
メイリンは、銀髪の少女相手に苦戦していた。
銀髪少女のメイン武器は鞭。
その鞭は、強力な退魔の加護を得ているようで、鞭による攻撃を確実に防御しても、魔に属するダークストーカーであるメイリンは体力を奪われていく。
だからといって、距離をとれば、様々な『サブウェポン』を念で具現化し放ってくる。
凄まじいスピードと連射力があるナイフ。
放物線を描いて飛んでくる斧。
ブーメランのように戻ってくるクロス。
接地すると瓶が破裂して燃え上がる聖水。
距離、位置に応じて、それらを放ってくるのだから、接近戦を得意とするメイリンにとっては堪らない。
「くっ、気功拳!」
焦るメイリンは、苦し紛れに掌にオーラを集め、銀髪少女に向かって放つ。
飛んできた放出系の念弾に対し、銀髪少女は表情一つ変えず、鞭を振り回す。
すると、鞭に触れたメイリンのオーラはかき消されてしまう。
「気功拳が!? ……ならば、肉を切らせて骨を断つ! 快ホウ!」
メイリンは、全身にオーラを纏わせると、姿が見えなくなる程の速さで銀髪少女へと肉薄。
その勢いのまま、銀髪少女の顔面に向かって拳を放つ。
「メイリン様、いっけーーっ!」
「メイリン様、フルボッコよ!」
メイリンの勝利を確信し、妖精メイド達は歓声を上げたが……。
前のめりに地面に倒れたのは、メイリンであった。
「「メ、メイリン様!?」」
「他愛ないな……」
銀髪少女は、倒れたまま動かなくなったメイリンを一瞥すると、ナイフに付いた血を振り払った。
メイリンの突撃に対し、とっさに取り出したのは、大聖堂の銀十字を鋳溶かして作った大型のナイフ。
しかも、対化物用として法儀式済である。
それを、メイリンの拳を紙一重でかわしつつ、カウンター気味に胸に突き刺したのだ。
「終わりだ、化け物。 さあ、楽にしてやろう」
「「メイリン様ーー!!」」
メイリンに止めをさそうとした銀髪少女に構わず、シイナとヘキルは慌ててメイリンへ駆け寄ると、2匹がかりで彼女仰向けにし、胸の傷口に、羽を擦り付け始めた。
妖精の羽から出る鱗粉は、極上の薬として知られており、現存している妖精の粉は高値で取引されている。
そもそも、レミリアがメイリンの使い魔として妖精を選んだのは、敵と一番多く対峙するであろう彼女に対しての労いの意味でもあった。
メイリンに与えた使い魔の選定は間違えていなかったのだ。
「(……まさか、妖精? マナを生み出す神獣が姿を消してから、いなくなった聞いていたが……)」
突然の乱入者達に、銀髪少女は驚きの表情を浮かべた。
「……。 妖精の粉は極上の良薬。 運が良いダークストーカーだ」
2匹の妖精の甲斐甲斐しい姿を見たからだろうか。
懐から取り出した紙で、銀製のナイフの刀身についた血を拭う銀髪少女からは、すっかり殺意が消えていた。
妖精達の必死の救助活動から目を離し、紅門をくぐり紅魔館へと向かう銀髪少女。
「待っているがいい、レミリア・スカーレット。 すぐに行くぞ。 この吸血鬼(ヴァンパイア)ハンター、サクヤ・ベルモンドがな!」
☆☆☆
~ ステージ:紅魔館 ヴワル魔法図書館 ~
紅魔館には、地下墓地や地下水脈、焉道といった広大な地下エリアが広がっている。
そして、莫大な書物を保管する蔵書庫であるヴワル魔法図書館も地下にあった。
「シイナからの連絡です。 どうやら、メイリン様が賊の侵入を許してしまったようです」
「あら~ん? メイリンちゃんったら、だらしないんだから~」
携帯電話を持った司書風の格好をした赤い長髪の少女の報告に対し、執事風の格好をした鼻が異様に大きい男性がオカマ口調でしゃべりながら体をくねらせた。
どちらも、人間のような外見であったが、頭と背中に悪魔然とした羽が生えていた。
少女の方は、『魔導器・小悪魔の素』から作られた小悪魔であり、名前はヤナミ。
男性の方は、『魔導器・鼻悪魔の素』から作られた鼻悪魔であり、名前はジョージ。
ヤナミとジョージは、レミリアの友人であり、ヴワル魔法図書館の主でもある魔法使い、パチュリー・ノーレッジの使い魔だ。
「いかがいたしましょうか、パチュリー様?」
「ねえ~ん、ノーレッジ様~?」
使い魔達の呼びかけに、パチュリーは気だるそうに読んでいた本を閉じた。
「……いくら凄腕の妖怪武闘家であるメイリンとはいえ、彼女は紅魔館の幹部(ボス)の中では最弱」
使い魔達は、背筋を伸ばし、力強く主の言葉に肯定する。
「「Exactly!!(そのとおりでございます!!)」」
「レミィの手を煩わせるまでもない……。 我らで、その愚かな賊を丁重に返り討ちにしてあげましょう!」
「「Yes,my lord!!」」
魔法使いと使い魔達が力強く闘志を燃やしたが……。
レミリア・スカーレットの部屋は、紅魔館の最上階エリアにある。
そのため、彼女らにとっての賊であるサクヤ・ベルモンドが、地下エリアにワザワザ足を踏み入れなかった。
そうと知らないパチュリー達は、ホームグランドである図書館から動かず今か今かとサクヤを待ち続けた。
数時間後……。
「……賊、なかなか来ませんね」
「ふぁ~。 眠くなってきちゃったわ~。 ……あら~? ノーレッジ様ったら~♪」
「zzzzzz……」
パチュリー・ノーレッジ 寝落ちにより、再起不能(リタイア)
☆☆☆
~ ステージ:紅魔館 最上部エリア ~
パチュリーが寝落ちした頃、サクヤ・ベルモンドはレミリア配下の数多のダークストーカー達を蹴散らし、最上部エリアに到達していた。
最上部エリアにも、多くのダークストーカー達が蠢いていた。
アックスアーマー、ヘビーアーマー、アーマーナイト、ヴィクトリーアーマー、グレートアーマー、さまよう鎧、ビシャモンといった鎧属のダークストーカー達である。
「邪魔だ! どけぇぇぇ! アイテム・クラッシュ!!」
サクヤはサブウェポンの一つ、ナイフを具現化すると、ナイフにさらにオーラを込め次々と放出。
念で強化された具現化ナイフ。
その数、数百本。
凄まじい弾幕と化したナイフ攻撃により、鎧属のダークストーカー達は次々と倒れていく。
「トドメだ!」
ヨロヨロと、かろうじて立っていたグレートアーマーに、サクヤはスライディングから飛び上がるキックをかます。
強烈なキックをまともに喰らったグレートアーマーは、ガラガラと音をたてて崩れ落ちた。
「ザコどもが。 ……ムッ? この気配、レミリアは近い!!」
☆☆☆
~ ステージ:紅魔館 最上部エリア 屋上オープンテラス ~
レミリアは、十六夜の月を眺めながら血のように赤いワインを優雅に飲んでいた。
「来たか……」
近づいてくる足音。
足音の方に目を向けると、青い戦闘服を纏った銀髪の少女の姿があった。
「レミリア・スカーレット……! この私、サクヤ・ベルモンドと、いざ尋常に勝負!!」
「貴様が噂に聞く、ベルモンド家のハンターか。 ツェペシュの末裔たる私が葬り去ってやろう。 来るがいい……、ベルモンドォォォーーーッ!!」
ゴング代わりにとばかりに、レミリアはワイングラスをサクヤの足元へと投げつけた。
ワイングラスが割れるなり、先に攻撃を仕掛けたのはレミリア。
「ハァーーハッハッハッ! ヘルファイア!!」
レミリアから放たれた3個の火球がサクヤに迫る。
「なんの!」
サクヤは、鞭を振り回し、火球を全てかき消した。
「ほぉ~、やるじゃないか~! では、これはどうだ! ダークインフェルノ!!」
レミリアは、次々と迸る念弾を放つ。
「チッ! これは鞭ではかき消せないか!」
押し寄せてくる念弾を、サクヤはしゃがんだり、ジャンプして回避した。
「クックックッ! どうした、サクヤ・ベルモンド! 逃げてばかりでは、お遊戯にもならんぞ~?」
レミリアの挑発に対し、サクヤはサブウェポンの一つ、『懐中時計』を具現化し、手に持って構えた。
およそ武器とはいえないモノを見て、レミリアは目を丸くする。
「はぁ? ぷぷぷ……。(笑) 正気か貴様! そんな懐中時計で何ができる?」
腹を抱えて笑い出すレミリアをよそに、サクヤは懐中時計にオーラを込めた。
「……時よ、止まれ」
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「そして、時は動き出す」
「う~? 急に肌寒くなってきたぞって、な、なんじゃこりゃああああッ!?」
レミリアはメチャクチャ驚愕した。
無理もない。
いつのまにか、服ではなく、胸のところに”れみりあ”と書かれた幼児用の白いスクール水着を着用していたのだから。
「ふふふ……。 やはり、白いスク水が良く似合う」
一方サクヤはというと、怪しい目つきで剥ぎ取ったばかりのレミリアの服をクンカクンカしながら、レミリアへ熱い視線を送っていた。
「ヒッ!?」
その様子を見て約500歳の吸血鬼は、可愛らしい悲鳴を上げた。
「色即是空……!」
サクヤは、残像が生じるほどの高速移動術で、レミリアに接近した。
「ち、近付くなッ!!」
レミリアは、近付いて来たサクヤにパンチをかました。
ただのパンチも、吸血鬼の力でとなれば、バズーカ砲並の威力となる。
だが、殴られたサクヤは平然そのもので、全然ダメージを与えられない。
「ど、どういうことだ!? ち、力が入らない!?」
「そのスク水は、祝福儀礼されたモノ。 貴様のような闇のモノの力を大幅に抑えるのだよ!」
「ち、ちくしょおー!!」
レミリアはバックダッシュでサクヤから離れると、スク水を脱ぎ捨てようとした。
力を封じられる上に、屈辱的な恰好より、全裸の方がマシだと思ったからだ。
ところが、『白いスク水は呪われているので、外せない!』
「な、なんだ、今のナレーションは!?」
「無駄だ。 そのスク水は我が情念もたっぷりと注いである。 簡単には脱げないぞ!」
「私を無力化した上で嬲り殺すつもりか、貴様!?」
羞恥で泣きそうになりながらにも、鞭を手に持つサクヤを健気に睨みつけるレミリア。
「ふふふ……。 吸血鬼は永遠の命を持ち、そして永遠に容姿を保つ。 つまり、ずっと幼女。 サイコォォォーーじゃないかッ!! さあ、私好みの幼女になるよう、この聖鞭で調教してくれるわ!!」
若くして、プロハンターのライセンスを持ち、一ツ星(シングル)の称号を持つ凄腕ハンター。
その実態は、かなり重度のロリコンであった。
そして、レミリアはサクヤ好みの美幼女だったのである。
「こ、このHentaiめ! 貴様なんぞに付き合っていられるか!!」
レミリアは、捨て台詞を吐くなり、夜空へと羽搏く。
力を抑えられているせいか、飛ぶのにも一苦労であったが、翼が無い人間には付いてこられまい。
と、レミリアは勝ち誇ったが、
「空へ飛べば逃げられるとでも? ……甘いな。 聖水にはこういう使い方もある! ハイドロストーム!!」
サクヤは、具現化した聖水にオーラを込めた。
すると、聖水が暴雨のように降り注ぐ。
「はぅあ!?」
吸血鬼は雨等の流水に弱い。
さらに聖水の雨となれば、効果倍増である。
聖水の雨により、テラスに落とされたレミリアのHPは、僅かであった。
水もしたたるイイ幼女には、もう抵抗する力は残っていない。
レミリアの濡れ姿に、さらに欲情したサクヤは、ジャンプ&ジャンプキックを繰り返しながらレミリアに迫る。
「ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥエ!」
「こ、怖いよ、ママーーッ!!」
恐るべき力を持ち、さらに奇声を上げながら近づいてくるHentaiハンターに対し、戦意0となってしまい、ハイハイで無様に逃げるおぜう様。
サクヤとレミリアが”合体”するまで、あとわずか数メートル。
その瞬間であった。
「ア”-----ッ!?」
サクヤが着地したテラスの床がパカッと開いたのは。
偶然にも、テラスに仕掛けられた落とし穴が作動したのだ。
サクヤが落ちた穴を呆然と見続けるレミリア。
「た、たしゅかったぁ……」
レミリアの貞操は危機一髪のところで守られたのであった。
☆☆☆
~ ステージ:地下エリア 地下水脈 ~
ドボーーーン!!!
「水!?」
屋上オープンテラスの落とし穴により、サクヤは紅魔館の地下に流れる川に落ちた。
かなりの高さであったが、落ちたところが川で、さらに体をオーラで強化していたので、ほとんどダメージを受けずに済んだ。
サクヤは川から這い上がると、周囲を見渡す。
「ここは……?」
サクヤの目の前に広大な洞窟が広がっていた。
洞窟の壁には光ゴケの一種が付いているらしく、懐中電灯が必要ない程明るい。
「噂の地下エリアか……。 ふ、待っていろよ、究極のロリっ娘。 すぐに戻り、この鞭でヒィヒィ言わしてくれるわ!」
「おねーさん、誰?」
「なッ!?」
ふいにかけられた声に、身を強張らせるサクヤ。
「(私に気配を察知させずに接近しただと……!?)」
サクヤは動揺を抑え込み、後ろを振り向くと、金髪をサイドテールにまとめ、ドアノブカバーに似た独特な帽子を被り、半袖とミニスカートを着用した幼い少女が立っていた。
金髪幼女の背中からは、一対の枝に七色の結晶がぶら下ったような特殊な翼が生えている。
サクヤは、金髪幼女を嘗め回すように見つめる。
「(この幼女、ダークストーカーか。 しかし!)」
「おねーさん、どこから来たの?」
「な、何ということだ! まさか、このような所で、レミリアたんに勝るとも劣らない程の至高の幼女に出会えるとは!」
「レミリア? ……テメェ! アイツの仲間かぁ!?」
突然口調が乱暴になる金髪幼女。
そして、金髪幼女のオーラが怒りにより爆発。
それにより、金髪幼女の服が全て弾け飛ぶ。
晒される幼い肢体。
それをガン見するロリコン・ハンター。
「うほっ!? 良いフル・フロンタル!! (こ、この幼女も、お持ち帰りしたい!! そして、レミリアたんと一緒に……ハァハァ♪)」
「いやらしい目つきで、何想像してんのさ! 爆ぜろ、ロリコンが! きゅっとしてドカーン!!」
金髪幼女は、サクヤを睨みつけると、禍々しいオーラを手に集中させ握りしめた。
全ての物質には『目』という最も緊張している部分があり、そこを攻撃することで対象を破壊する事ができる。
金髪幼女は、その『目』を自分の手の中に移動させることができ、手を握り締めて『目』を壊せば無条件で対象を破壊できる程度の能力を持っていたのだ。
ピチューーーーン!!!
サクヤ・ベルモンドは、バラバラになった。
☆☆☆
その後、サクヤ・ベルモンドのバラバラ遺体は、パチュリーからの命を受けた小悪魔達によって回収された。
回収された遺体の内、頭部はほとんど無傷であったが……。
大抵のことでは動じないパチュリーがドン引きする程、サクヤの生首は、とても良い笑顔であったという。
☆☆☆
次回予告
『恐るべき娘達計画』
パチュリー主導のもと、吸血鬼ハンター、サクヤ・ベルモンドの遺体から得た遺伝子と、
戦闘技術を組み込んだ最強のホムンクルス部隊を製造する計画が発動。
サクヤ・ベルモンドの容姿と能力を引き継いだホムンクルス第壱号は、
『十六夜 咲夜』と名付けられ、レミリア付きのメイドとなるが……。
~ パチュリーの日記より ~
「設備は、全て藍の考案と出費によるものだ。
栄養素、電気刺激、錬金薬溶液、
全てが見たこともなく高度で、そして高価だった。
藍を助手として雇った私であったが……。
藍の目は、何か得体の知れぬモノを内に秘めた獣の目に見えた」
レミリア・スカーレット
「『十六夜 咲夜』が量産の暁には、世界政府なぞ、あっという間に叩いてみせるわ!」
場面転換をステージ名で手抜きするのは構いませんが、そのステージの雰囲気(匂い、視覚、音)などを描写しないとただの説明文になってしまいます。現時点ではまったく足りてません。
戦闘描写も同様です。
寒い方に伸ばすというなら中2的な表現を多分に用いて突き抜けないと。
中途半端が一番ダメです。