ある日のこと、北風と雲山が互いに力自慢をしていました。
北風が雲山に言います。
「ボクはどんなものでも吹き飛ばすことができるよ。世界で一番強いのは、やっぱりボクだね」
すると、雲山は言いました。
「確かにおぬしは力持ちかもしれん。だが、一番というのはどうかな?」
そこで、二人は力比べをすることにしました。
北風が道を歩いている旅人を指差します。
「よし、ではあそこを歩いている尼さんの服を脱がせたほうが勝ちっていうのはどうだろう?」
「ふん、望むところだ。先は譲ってやろう。まずはおぬしの番だ」
「いくぞー!ふぅー!!」
北風が力を込めて息を吹きかけます。服を吹き飛ばそうというのです。そしてあわよくば、その裸体を自らの起こす風で余すところなく撫で回してやろうという魂胆でした。
ところが、尼さんの服は脱げません。
「あぁ、なんて寒い日なのでしょう。それに、何故か邪念を感じるわ。気をつけなくては」
北風はさらに力を込めて風を吹き付けます。
「ふぅー!!ふぅぅぅぅぅぅー!!……はぁはぁ……青空の下、生まれたままの身体をさらけ出す。想像しただけでゾクゾクするだろう?ほーら、ボクの風に身を任せてごらん。きっと、味わったことのない悦楽に浸れるはずさ。大丈夫、怖くないよ。ふぅぅぅぅぅぅぅー!!」
「寒い寒い寒すぎる!!しかも鳥肌が治まらない!!どうしてなの!?」
ですが、尼さんは余計に服を押さえつけるばかりで、一向に脱げそうにありません。
「ふぅー!!ふぅぅぅぅぅぅぅー!!どうしたんだい!?さぁ、キミの内に秘められた欲望を解放するんだ!!誰も見ていないよ!!……それとも、キミは見られるほうが好みなのかな?……ふふ、心配ないさ。異常なことじゃない。誰にだってそういう気持ちはあるものなんだ。だから、さぁ!!ふぅー!ふぅぅぅぅー!」
北風はその後も散々粘っていましたが、先日穴が空いたばかりの肺が痛み出し、ドクターストップが掛かってしまったのでした。
「ふはは、どうやら無理なようだな。今度はワシの番だ。よく見ているがいい!!」
北風はあまりの痛みで軽くショック症状を起こしながらも、雲山を見守ります。
「ふん!!」
雲山が威勢よく声を掛けると、雲山の身体が2本のたくましい腕を形作りました。
「風で吹き飛ばすなんてまどろっこしい!!これで直接、引き剥がしてくれるわ!!」
さすが常に全身全霊な雲山です。その方法はとても力業であり、九分九厘反則技でした。というか、ただの変態です。
「うりゃあ!!」
がしぃっ!!と、雲山の腕が尼さんの服に掛かります。
「だがしかし、焦ってはいかん!!」
雲山はいきなり全力で引っ張ったりはせず、少しずつ少しずつ力を込めていきます。さすが常に紳士な雲山です。その手つきは繊細で優しく、尼さんを労わる様でありました。ですが、どう見たって焦らしている様にしか見えません。
「わぁ!!何なの貴方!?……ぁ……優しい手つき……私、こんなの知らない……」
尼さんは突如出現した雲山に驚きましたが、身体を包むふんわりとした感触にどこか安らぎを感じざるを得ませんでした。
「……でも……こんなの……いけない!!いけないわ!!……私」
ですが、自分は仏門の者だと思い直し、その甘い誘惑から逃れることが出来ました。尼さんは衣服を手で押さえながらも、雲山の顔を見つめます。その頬は羞恥に朱に染まっており、その瞳は淡く涙に濡れていました。
「…………めっ」
雲山がその娘と添い遂げようと決心した瞬間でした。
一輪さんの「…………めっ」もひじりんと同じくらい殺傷力高ぇーーーー!!
雲山尊師に帰依するぞ!帰依するぞ!帰依するぞ!
変なところで紳士な奴めw
一輪さんに滅されてぇ
雲山最ぃぃいぃeぃ高ぉぉぉぉぅぃうっ!!
フリーダム過ぎるw