Coolier - 新生・東方創想話

東方X14

2011/02/26 19:34:12
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東方X戦記



第14話『桜散る時』
爆発の煙が晴れ、見渡せる視界となった時、そこに映ったのは・・・・・・。
「え~、皆さん明けましておめでとうございます。今年も良いお年でありますよう、これからも宜しくお願いしますね♪」
・・・・・・あ、いや、四由美さん・・・・・・何故に新年の挨拶を・・・・・・?
「あら?だって、この文章までは2011年の真夜中の元旦に書かれたんですもの。だから、皆さんに申し上げないと♪」
・・・・・・と、とにかく!オリジナルのスペルを放った四由美の前には何とか立っている状態の妖夢がいた。
「あらあら~?大丈夫かしら~?」
「何とか・・・・・・しかし、まだまだです!」
「ねぇ、妖夢ちゃん・・・・・・もう止めましょう・・・・・・確かに、妖夢ちゃんの性格だと、このままでは引き下がれないのは分かるけど、もう頑張ったわ・・・・・・続けたら妖夢ちゃんの身に何があったら・・・・・・。」
そう寂しそうに言う四由美を見て、何か親近感を思う妖夢。あの悲しそうな表情。あれは幽々子様そのものではないか。
「・・・・・・それはできません・・・・・・!」
「妖夢ちゃん・・・・・・!」
「私には霊夢さんや魔理沙さんのような力はなく、咲夜さんや永琳さんのような頼れる従者でもありません・・・・・・ですが、今ここで引いてしまったら、頑張っているかもしれない霊夢さん達に申し訳がありません・・・・・・私も・・・私も命がけで立ち向かえば!!」
そう剣を構えなおす妖夢。その時、彼女の体が光り・・・・・・
「な・・・・・・何だ!?」



一方、大きな屋敷の中で衣玖達はこれからの事を話し合っていた。
「まず、状況を説明しよう。①Zの策略で死んだ私達が何故、生き返ったのか。②ここは一体、どこなのか。③あの少女は何者なのか。最低でもこの3つについての情報が足りない事だ。そう言えば、あの少女の名前をまだ聞いていなかったな・・・・・・。」
屋敷内の巨大な一室で藍がそう言った。それに合わせて挙手する映姫、幽香、神奈子。
「1についてはいまだ不明ですが、ここが極楽でも地獄でも確かです。今の私達の肉体は痛覚もありますが、何となく浮いている様な感じがします。しかるに、私達の状態と言えば“生き返った”というより“魂の状態になった”と言った方が正しいですね。」
「2についてはリグルや周りの生命反応を探知できる妖精達を使って屋敷の周りを中心に探査したけど、結果は全然。猫一匹いやしないわよ。建物と言えば、この屋敷しかなかったし・・・・・・。そう言えばあんたのダチはどうしたの、リグル?」
「え!?え、えっと、周りを浮遊していたルーミアが言うには、井戸や橋があってもっと行って見たら店らしきものがあったんですが何か妙なんです・・・・・・。店の人はいないし、食べ物は新鮮そうですが、まるで売れていないのか多く残ってありました。」
「3はまだだな・・・・・・誰かが見張らないといけないが、問題はその誰か、だ・・・・・・。」
「あ、あの・・・・・・その適役がいると思いますが・・・・・・。」
神奈子が考えている時、恐る恐ると美鈴が挙手する。
「許可するわ。誰なの中国?」
「(ま、まさか・・・・・・!)」
「はい・・・・・・衣玖さんが適していると思います。」
「・・・・・・やっぱりですか―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!」
衣玖の叫びにビビりながらも美鈴は続ける。
「だって、衣玖さんなら空気読んで良い雰囲気になりそうですし、どこか保護者的な感じがしますし、何より丁寧ですし。」
「何が空気読んでるですか皆さんが空気読まない方々でたまたま自分がそんな能力を持っているからでしょう保護者的って何ですかそれでしたら藍さんが適しているじゃないですか丁寧ですしってそれだけで私が適役ですかはいそうですか・・・・・・・・・。」
「衣玖さん、落ち着きなさい。読点(、)が無ければ読みにくいじゃないですか。」
「まぁ、幻想郷一我儘でMな天人(天子)の教育係だと私より適役にしているな・・・・・・。正直、幽々子様や私のようだと、妖怪や幽霊などの雰囲気で警戒されそうだし、かと言って同い年っぽい橙ではもしもの時に危険だし・・・・・・。」
衣玖の暴走振りにさとりがツッコミ、藍が手を組んで考えている間も衣玖の胸中の危険信号は鳴っていた。
前にも言ったかもしれないが、彼女達は幻想郷の住人。自分達の都合で異変を起こす癖に面倒事はすぐに押しつけるタイプが多い。
従って、適任と思われた者が出ると、それに押しつける様に賛成者が多数出るのである。
普通なら多勢に無勢だろうと反論や意見するのが普通だが、そこは衣玖の“空気を読む程度の能力”の哀れな事。
皆の空気が美鈴の意見に賛成する空気が出始めたので、もはや反対する気力も失せたのである。ある意味、ヤケクソ気味?
「それでは、多数決で決めましょう。衣玖さんがあの少女を見張る役割に賛成の者は手を上げてください。」
映姫の言葉の後、もはや衣玖以外の全員が手を上げていた。衣玖曰く、「もうオワタ\(^∀^)/」
「・・・・・・そして私も賛成・・・・・・以上で少女の見張り役は亥玖さんに決まりましたが、その役割に何か意見はありませんか?」
「ありません・・・・・・ですが、せめて1名だけでも同行者が欲しいですね。1人だと万が一の時に危険ですし。」
「そうですね・・・・・・では、その同行者は衣玖さんが決めてください。」
そう言われて、衣玖は藍達を見た。しかし、一部を除いて誰もが「こっち選ぶな」オーラが感じられているのでもはや諦めた瞬間、1人だけ皆とは違う空気であった。まるで「自分を選んでください」と。
それに気付いたのはどうやら衣玖だけではなかった。突如、手を上げる者がいる。さとりだ。
「・・・・・・衣玖さんの同行者には椛さんが適任者だと思いますよ。」
「え、えぇっ!?あ、あのさとりさん!?」
「ふふふ、すみませんね・・・・・・貴方の心を読んでしまって・・・・・・貴方は文さんの行方を捜しているのでしょう?」
さとりの言葉に衣玖ははっとなって周りを見渡す。確かに、よく見るとあの天狗が見当たらない。
「彼女を探す為にはあの子から何かを聞きださなければならない・・・・・・そう思って自分から立候補したのですね。」
「・・・・・・椛さんはどうしますか?」
「・・・・・・私も衣玖さんと一緒がいいです・・・・・・。」
「決まりですね。では、もうそろそろ寝るとしましょう。こんな時間ですし。詳細は明日にしますので解散です。」
映姫が指した先はすでに夜中の時間を指している時計だった。周りが明るいので時間が分かりづらいのである。
映姫の言葉にぞろぞろと少女の案内した豪華ベッド付きの私室へと戻る一同。そんな中で、椛は衣玖に近づく。
「?どうかしましたか?」
「あの・・・・・・あ、明日、頑張りましょう!」
「そうですね、これからも宜しくお願いします。あ、私には別に敬語使わなくても結構ですよ。」
「そうですか・・・じゃなかった、そうね・・・・・・お互いに頑張ろうね。」
「はい。」
そうやり取りをしながら衣玖と椛はそれぞれ私室へと戻った。



私は書籍棚から本を数冊取り出して、それを自室で呼んでいた。これらは母様の本なので無断で使うと少し良心が痛む。
それでも私は知りたかった。月に人がいる事と月への行き方を。全ては彼女の為に・・・・・・。
そう彼女のことを思い浮かべながらも研究に没頭していたその時・・・・・・
『あんた、何やっているのよ!』
そう怒声と共に戸が開けられ、姉が入って来た。余りの突然に私は驚き、本を隠す暇もない。姉は私の本を見ては更に怒鳴る。
『やっぱり、あんたがお母様の本を勝手に見ていたのね!駄目だって言っているでしょう、お母様の本を勝手に読むのは!』
『ご、御免・・・・・・でも、私は知りたいの・・・・・・月の事について・・・・・・。』
そう言い訳がましく言った瞬間・・・・・・
『・・・・・・あんた、馬鹿?』
『なっ!?』
ジト目の姉が放った冷ややかな言葉に私は絶句した・・・・・・否、心中カチンと来たのだ。
『あんた、それでも博麗神社の巫女なの?こんな御伽話っぽい事の何処が良いってわけ?』
『・・・・・・ね、姉さんは何が言いたいの・・・・・・何でそんな事を言うの!?』
『あ・の・ね・ぇ!私達、博麗神社の巫女はこの幻想郷の異変の解決や、外の世界との境界を維持するのが義務なのよ!仮に月に人がいようが、それに行ける事が出来ようがここから離れる訳にはいかない訳!全く、何羨ましがっているんだか・・・・・・。』
『!!姉さんに・・・・・・姉さんに何が分かるの!私達が博麗神社の巫女だからって何処にも旅できないのはおかしいじゃないの!』
『あんたねぇ・・・・・・もし、私達に何かあったらどうなるの!この幻想郷が消えてしまう事もあるのよ!』
『幻想郷が大切なのも分かるわよ!でも、どうせあのスキマ妖怪が外の世界の時代の変遷を恐れて、人間を食べる為に作った世界なのよ!そんな世界を守るなんて母様もご先祖も皆、どうかしているわ!そんなのは間違っていると言うのに!』
『!あんた・・・・・・そうだったんだ・・・・・・お母様達だけでなく紫さんをそんな風に思っていたなんて!そんな奴だったなんて!!』
私の言葉に姉は激昂して私の胸ぐらを掴み、手を振り上げようとした時・・・・・・
『・・・・・・お止めなさい、霊夢、霊華・・・・・・』
『『!!??』』
突然の言葉に私達は一時、揉め事を止める。大声でもないのにハッキリした口調。そして優しそうな声音・・・・・・。
『お母様!?』
姉が見た先には、私達の母様が微笑みながら入って来たのだった。
『霊夢・・・・・・もうお止しなさい・・・・・・霊華の気持ちを察してあげなさい・・・・・・。』
『で、でもお母様!霊華は・・・・・・!』
『・・・・・・!』
そうだった・・・・・・私は母様の本を勝手に持っていった挙句、母様達について酷い事を・・・・・・!もはや、言い訳など無用だった。
『覚悟はできています・・・・・・どんな罰でも・・・・・・。』
『いえ、霊華・・・・・・貴方は御友達思いですね・・・・・・友達の為に頑張って月へ行きたがっているのね・・・・・・。』
『えっ!?で、ですが!?』
『構いません・・・・・・貴方にはこの幻想郷が狭く見えるのですね・・・・・・だから月へ行く事はいいのですよ。』
母様の言葉に私は絶句した。見ると母様はいつもの様に微笑んでいたのだ。それが私には理解できない。
『(何故だ?私はとんでもない事を言ってしまったのだ!それなのに何故叱ろうともしない!?そう、母様は優しいがいつも私達に優し過ぎたのだ!私達は決して悪戯をしない性格だが、どんな事があっても叱ったりしなかった!何故何故何故何故!!??)』
『(そして姉さんもそうだ!母様が来た途端、何かを言おうとしても何も言わない!まるで母様が神かの様に?理解できない!)』
『(まるで分かった様な口ぶりで!何も知らない癖に!知らない癖に!)』
私の苦悩に気付かないのか、母様はいつもの様に優しそうに私に言ってきた。
『だけど、これだけは分かってください・・・・・・私達、博麗神社の巫女はとっても重要な役割なのです・・・・・。』
『っ!!』
母様の甘ったれた言葉に我慢できなくなった私はいてもたってもいられず、部屋を飛び出した。
『れ、霊華!?』
『霊華・・・・・・』

とっさとは言え、思わず神社を飛び出してしまった私。これからどうしようかと思いながら歩いていると人影を見つける。
こんな森の中とは一体、誰が・・・・・・?妖精辺りかと思った瞬間、
『巫女さん?』
『えっ!?』
突然、そう言われて見るとそれは彼女だった。何故彼女がこんな所に?よく見ると目は真っ赤だった。
『ど、どうしたのよ!?こんな森の中は危ないのに・・・・・・』
『え、えっと・・・・・・巫女さんに会いに行こうとしたら迷っちゃって・・・・・・あの、巫女さん・・・・・・私の話聞いてくれる?』
彼女にそう言われた私は何やら只事じゃない事に気がつき、頷く。すると彼女は・・・・・・
『私ね・・・・・・私ね・・・・・・お父さんに私は本当の娘じゃないって言われたの・・・・・・!』
『なっ・・・・・・!?』
泣きじゃくりながらもそう言う彼女に私は絶句した。父親に娘ではないと言われた?一体、何故?
確か、彼女の両親はいつも口喧嘩しているらしい。それも自分達の娘の前でも事あるごとにやっている、と彼女から聞いた事がある。
『お父さんがね・・・・・・お母さんは子供(本当の子供)ができない体であって、数年前にお父さんが山の中でまだ赤ん坊だった私を見つけたの・・・・・・お父さんは私の事を捨て子だと思って拾って今まで育ててきたらしいの・・・・・・けど・・・・・・。』
『け、けど・・・・・・何?』
『だけど、1週間前からおかしいの・・・・・・お父さん達には「娘を渡せ。娘を山の中に置いていたのは“管理者”の為なのだ。もし、娘を渡さないと、汝らに多くの不幸が訪れるぞ。」という言葉が聞こえたらしくて・・・・・・それから気味の悪い雲が家の上空に浮かんでいたり、大きい地震がしょっちゅう起こったり、変な手紙が来て・・・・・・それでお父さんが「“管理者”らしい者がどういう訳かお前を欲しがっているらしい・・・お前には辛いが、私達と別れて“管理者”の元に行ってくれないか?私達の安全の為にも」って・・・・・・。』
『そんな・・・・・・それで家を出ていったの?』
『ううん、お母さんが「この子は私達の子供・・・地震等は偶然で“管理者”などは全てデタラメよ」って言って・・・・・・。』
『お父さんと大喧嘩したのね・・・・・・?』
『うん・・・・・・それもいつも以上に掴み合ったりして・・・・・・私は堪らずに・・・・・・!』
そう言って彼女は涙を流しながら俯いた。何て可哀そうな・・・・・・自分が本当の子ではないと言われて強いショックを受けたのだろう。
そして、私は内心、激しい怒りを感じていた。いつも優しくて親の件を除いては幸せだった彼女・・・・・・そんな彼女が何をした?
許せなかった・・・・・・彼女を山の中へ捨てた本当の親を・・・・・・彼女の幸せを間接的に奪った“管理者”という輩も・・・・・・!
『大丈夫・・・・・・貴方が誰であれ、私の友達であることは間違いないよ・・・・・・。』
『巫女さん・・・・・・でも・・・・・・。』
『私が貴方を守って見せる・・・・・・例え、全てを敵に回してでも大切な貴方を守って見せる。』
私は彼女を安心させる様に抱き寄せ、彼女に言った。決して、嘘ではない。心からの本音だった。
そうしているその時、何やら草むらから何かが動く音が・・・・・・まさか、この辺りの妖怪か!?
『な、何者!?』
そう言い放ち、私は彼女を守るかの様に彼女を後ろへ下がらせ、護身用の札を取り出して構える。すると・・・・・・。
『ま、待て!』
『うん?』
『あ・・・・・・!』
慌てた様に出てきたのは人間の様な女性だった。年頃は私達より少し上で服は下の方は網の様な穴が多くあった。そして頭部には変な形の帽子が。その謎の女性を見て、彼女は驚いた様な声を上げた。
『慧音さん!?』
『誰?』
『えっと、名前は“上白沢慧音”さんで、半分妖怪で半分人間の・・・・・・えーと・・・・・・。』
『正式にはワーハクタクで教師見習いだ。―――、心配したぞ。里の大人達も必死で探していたぞ。』
ハクタク・・・・・・確か、歴史を操る能力を持ち、人間とは親交的な態度を取る妖怪という事は母様から聞いた事がある。
どうやら、彼女はハクタクと人間の間の子供かその子孫だろう・・・・・・人間じゃない雰囲気を持ちながら結構、良い人っぽい。
『ご、御免なさい・・・・・・。』
『ご両親の事は長老達に任せているが、どうもまだ問題は解決していないらしい・・・・・・しばらくは私の家で泊って置こうか?』
『え!?いいのですか!?でも・・・・・・。』
『謎の声の事だな・・・・・・心配するな。私はこれでも教師としてはまだまだだが、戦いに関しては一流だ!(特に満月)』
『(本当に大丈夫かしら・・・・・・正直、私の神社の方が安全の様な・・・・・・。)』
『む?ちょっと待ってくれ。むむむ・・・・・・君は博麗神社の巫女の娘の1人だな?喧嘩して家出しているのか、ふむふむ・・・・・・。』
『!?///』
流石はワーハクタク・・・・・・どうやら、私のちょっとの過去を覗いていたらしい。もしかしたら姉と喧嘩した所まで・・・・・・いや、もしかしたら私が彼女に好意を寄せている事も・・・・・・!それはある意味、恥ずかしい!!言わないで、絶対に彼女に言わないで!
『成程・・・・・・―――、良い友達を持ったな。』
『?あ、ありがとうございます・・・・・・?』
頭に「?」マークを浮かべながらも返事する彼女。それに対し、私は鏡を見たら赤面しているだろう。
『博麗神社の巫女の娘・・・・・・霊華か・・・・・・心配するな、私が責任を持って彼女の面倒を見てやる。』
そう自信たっぷりと答えるワーハクタクこと慧音に私は異議を述べる事はできなかった。
しかし、私はあの時の行動に後悔していた。慧音の言葉を信じたのがいけなかったのだった。
何故なら「責任を持って彼女の面倒を見てやる」ってほざいたあのワーハクタクは・・・・・・彼女を・・・・・・!

「!?・・・・・・また、嫌な夢を見てしまうとは、我もまだまだかもしれない・・・・・・。」
時は現代へ戻り、闇の巫女こと博麗霊牙は仮眠を取っていたが、悪夢を見たかのような表情で目覚める。
「(そう言えばあの時・・・・・・)」
ふと、1年前のある日を思い出す。それは自分が機械人形(T-J)の支配から脱し、憎き魅魔と愉快な仲間達を葬った時・・・
その中でハクタクが自分の仮の体に突進したが、逆に自慢の角を折られ、その角を腹部に突き刺された事があった。
あれはもしかして・・・・・・自分が闇に堕ちる前に出会ったあのワーハクタクの教師見習いではなかったか?
人間に例えるなら、あの時から5年位経っていた様な見た目ながらも100年生きている様な感じだったし。
「(事実、他の奴らも「慧音」と呼んでいたから同一人物に違いない・・・・・・我も甘かったな・・・・・・憎き奴を簡単に葬って・・・・・・。)」
自分にとって彼女(慧音)はかつて自分を封じた紫、魅魔、神綺、そして博麗神社の巫女以上に殺しても殺し足りない存在だった。
だが、今更言ってももう遅い。自分の怒りと憎しみをぶつける彼女はもういないのだから。
そう思いながらも彼女は部屋を出た。奴等が復活した以上、自分が迎えに行かなければならない。
そう、全てはコード“紅”の為に・・・・・・!



一方、博麗神社で霊夢を待っている依姫とリリーB達。しかし、何時まで経っても戻って来ないので只事じゃないと確信する。
「何処へ行ったのかしら、あの巫女・・・・・・。」
「まさか、機械人形に関する異変の黒幕を倒しに?」
言い合っているその時、2代目レイセンことレイ2(本当はレイセンだが、鈴仙の裏人格との区別する為)からの知らせを受ける。
「依姫様、何やら人影が・・・・・・。」
「あの巫女かしら?」
「いえ、それが・・・・・・。」
「?何なの?」
「人影が4つで、どれも博麗神社の巫女に該当しないのです・・・・・・。」
「何ですって?」
レイ2の報告を聞いた依姫は直ぐに鳥居前に向かうと、その人影がくっきりと表れた。確かに、霊夢ではなかった。
1つ目は青い髪に外の世界で言う“ポニーテール”をし、腰に剣を携え、武士の鎧に似た服装をした所、いかにもクールそうな雰囲気を持っていた少女だった。しかし、片目には火傷の様な傷跡が痛々しく付いており、隻眼からは威圧感を発していた。
2つ目は白い短髪に加え、どこかの格闘家みたいな軽装の鎧を着て細長い尻尾を持った少女だった。最初のより幼く、口から除く八十歯がやんちゃな印象を放っているが、腕には攻撃力が高そうな鋭い爪を持った武器を装備しているから、近づきにくい。
3つ目は赤い長髪であり、ドレスの様な華やかな衣装に身を包んでいた女性であった。他の者を圧倒させるきつめの眼差し、思わず振り返ってしまいそうな抜群のプロポージョンを持ち、腰にはナイフの様な刀を数本携帯していた。全く危ないお姉さんである。
最後の影は黒いボサボサ髪で、顔は何か学校の怪談に出そうな幼い少女で無表情もその上ともなく怖い。顔とは正反対に近代的な服を着ているが、右腕は人間の腕ではなく、黒く多数の銃頭を備えた義手であった。そして左肩からは何やら千切れたコードが。
その4人を見て、依姫は警戒した。この感じ・・・・・・嫌な感じがする・・・・・・その上、とてつもなく穢れている・・・・・・!
「到着~♪・・・・・・って何や?博麗神社にしてはあの時とちっとも変ってへん様な・・・・・・?」
白い短髪の少女がキョロキョロと辺りを見回しながら言う。その彼女に赤い長髪の女性が呆れつつ言う。
「それはそうですわ。御姉様の言うには、博麗神社は伝統に縛っている神社ですもの。100年経っても変わらない事は確かですわね。」
「確かにそうだな・・・・・・む?あの者達は何だ?もしや、この時代の巫女なのか??変わった巫女服を着こんでいるが・・・・・・。」
青い隻眼の少女に依姫は思わず、「違う」と言おうとするが、黒髪の幼い少女に遮られる。
「・・・・・・検索結果、あの者は月人において高位である綿月依姫、と判明。彼女の容姿からするとあの時から約1000年経っている模様。」
「ほうほう、そう言えばあんさんは月に関してはえろう、詳しいでんな~。ってかあの時っていつや?」
「なっ・・・・・・!?何なの貴方達!?それに貴方!何故、私の事を知っているの!?と言うよりあの時っていつなの!?」
「・・・・・・ふん・・・・・・。」
「あ、無視されとうた!何かムカつくで、あんさんのその態度!」
依姫が問うにも関わらず黒髪の少女はその質問に無視していた。だが、その眼差しからは決して友好的ではない。
その4つの威圧感に押されながら依姫は警戒しつつも更に問う。
「貴方達は一体・・・・・・。」
「確かに、紹介はまだだったな・・・・・・トウ!」
そうして、謎の4人は飛んで依姫達から1歩下がり、何やら戦闘態勢らしきものを構えて叫ぶ。
「我が名は東の冥界剣士、“青龍”!」
「西の冥界野獣、“白虎”や!」
「南の冥界皇女、“朱雀”ですわ!」
「北の冥界兵器、“玄武”・・・・・・。」
「「「「我ら、闇の冥界四天王!!!!!」」」」
そうビシッとポーズを決めて自らの名を明かす冥界四天王。その光景に依姫は只事じゃないと警戒する。
「闇の冥界四天王・・・・・・?聞いた事のない名前ね・・・・・・一体、何なの・・・・・・?」
「その質問に答える暇はない、我々は極めて重要な任務があるのでな。単刀直入に言う、この時代の博麗神社の巫女は何処だ?」
彼女達のリーダーなのか青龍が威圧的に依姫に問う。
「それは・・・・・・分からないわ。私達も彼女を探しているのよ。」
「嘘やな。」←白虎
「嘘ですわ。」←朱雀
「89.6%の確率で嘘ではないと断定・・・。」←玄武
「って何で認めてるんや!こういう時は『嘘・・・。』って言う方が正しいやろ!」
玄武のズケズケと(?)言う事に白虎が呆れつつツッコム。どうやら、彼女には嘘か本当かが分かるらしい、多分。
「そうか・・・・・・それならば仕方がない・・・・・・では、もう一つ質問をしよう・・・・・・そなたの故郷への行き方を教えてくれないか?」
「・・・・・・なっ・・・・・・!?」
青龍の言葉に絶句する依姫。月への行き方を教えてくれだって?何故そのような事を?思わず声を荒げる。
「ふざけないでよ!どんな理由であっても、穢れている貴方達を月へ連れていく訳にはいかないわ!!」
「穢れている、か・・・・・・確かに我が破滅の人生は穢れているかもしれん・・・・・・だが、無理ならば力づくまで・・・・・・!」
「せやかて、どうするんや青龍?月の奴らは不老不死って聞いた事があるで。拷問しても無駄やけど・・・。」
「なっちゃいませんわね、白虎・・・・・・あの女が喋らなかったら、そこにいる兎達に聞けば宜しいじゃありませんの?」
「ふぇ?そうなん、玄武?」
「・・・確かに、その方が確実性は高い・・・月出身とは言え、月の兎は不老不死ではない故に・・・。」
「っ!?」
青龍達の言葉に依姫は兎達を後ろに下がらせように手で指示する。このままではレイ2達が危険な状態に。
一刻も早く何とかしないと・・・・・・この者達は地上とは異なる雰囲気を持っている・・・・・・!そう考えて刀を向く依姫。
「ふっ、あくまでも我らに刃向かうつもりか、面白い・・・・・・一度でいいから月の者と手合わせを願っていた所だ・・・・・・!」
それに立ち向かうかの様に青龍も剣を抜いて、一歩進む。その表情には不敵な笑みを浮かべていた。その時、
「ちょっと待って!あんた達にこっちも質問をしたいんだけど!」
そう割って入るかのように言ったのはリリーBだった。
「何だ、そこの妖精?」
「あんた・・・・・・『T-J』とか言う機械人形の事を知らないの!?空飛ぶ船の事は!?」
彼女達なら知っているかもしれないと確信してリリーBは尋ねた。少しでもいい。それだけでもリリーホワイトの情報を得たいから。
「ふむ・・・・・・T-J・・・・・・?聞いた事のない様な・・・・・・?」
「何やそれ?食い物でっか?」
「ねぇ、貴方なら知っているんじゃありません事、玄武?貴方は冥界四天王一の物知りですし。」
「・・・・・・どのデーターベースにも該当なし・・・・・・その様な単語に聞き覚えがない・・・・・・。」
「じゃ、じゃあ『Z』は!?紫からそう言う事を聞いた事があったけど!?」
「「「「!?!?!?!?!?」」」」
リリーBの言葉に突如、冥界四天王達の顔付きが変わった。まさか、知っているのか!?リリーBはそう確信した。
「知っているの!?知っているなら・・・・・・。」
「・・・・・・成程な・・・・・・Z、という事はアレだな・・・・・・。」
「アレやな・・・・・・。」
「アレですわね・・・・・・。」
「・・・・・・コード“紅”・・・・・・そして試作型機械人形・Zとの関連あり・・・・・・。」
「だとしたら、紫から何らかの情報を聞いているかもしれん・・・・・・!」
「青龍、ここは私に任せて、貴方はあの月女を何とかして下さらない?」
「で、どないするんや?」
「勿論、御姉様と私達の計画を知った黒い妖精さんは消えてもらわなくてはなりませんわ・・・・・・うふふ♪」
そう怪しげに微笑み、腰から2本の短剣を取り出して構える朱雀。そんな彼女にリリーBは確信した。
この者達は何か知っている。T-Jの事も、Zの事も・・・・・・!だから、自分も戦闘態勢を取る。
「あんた達が誰であろうとここで死ぬわけにはいかない!リリーホワイトの為に!」
「あらあら~?そう威勢良く吠えても無駄ですのに、ふふ・・・・・・。」
そして睨みあう依姫と青龍、リリーBと朱雀。いかにも戦いが起こると誰もが予想していたのだろう・・・・・・その時!
「そこまでだぁ!!」
「「「「!!?」」」」
突然の声に一同は辺りを見回す。ふと、鳥居に何か立っている様に見えるが良く見ると・・・・・・
「!?博麗霊夢・・・・・・・・・!?違う・・・・・・博麗霊夢じゃない・・・・・・!?」
鳥居の上に立っていたのは霊夢に似ていて霊夢ではない巫女だった。顔は似ているが、巫女服と雰囲気が全く異なっていた。
霊夢に似た謎の少女に冥界四天王達も知っているのか驚いた様な口調でこう言う。
「主!?」
「ご主人たま!?」
「御姉様!?」
「マスター・・・・・・!?」
そして謎の黒い巫女はまるで劇の主人公かの様に鳥居から飛び降り、カッコよく決めてこう宣言する。
「この戦い、闇の巫女権限により中止とする!まぁ、何はともあれ久しぶりだな、青龍、白虎、朱雀、玄武・・・・・・そしてお初に願おう、月の者達よ・・・・・・我が名は闇の巫女、博麗霊牙・・・・・・この幻想郷と全てに闇をもたらす者・・・・・・そして闇の支配者・・・・・・。」
「闇の巫女・・・・・・?」
「今回は、うちの四天王達の迎えに行った所だが、とんだ大収穫があった様でな・・・最後に言う、どうしても月へ行かせないのか?」
「・・・・・・っ!当然よ・・・・・・!」
「ふ、そうか・・・・・・流石は月の守備部隊隊長とでも言っておこうか・・・・・・。月への混乱を防ぐ為にせっかくの有効的に行う最後の交渉のチャンスを棒に振るとは・・・・・・だが、我も手ぶらで帰るのは好きではないのでな・・・・・・!玄武!白虎!」
「了解・・・・・・。」
「合点承知の助!!」
霊牙が叫ぶと同時に玄武が義手から弾丸を発射した。しかし、それらは全て依姫達の目の前の地面に当たり、煙が生じる。その時!
「きゃぁぁぁぁぁ!」
「!!」
突如の悲鳴に依姫は煙を払って見ると、霊牙の所には白虎によって羽交締めにされたレイ2が!
恐らく、あの煙の中で依姫達に気付かずに兎達の中からレイ2をさらったに違いない。何と言う超高速・・・・・・!
「良くやったな、玄武に白虎・・・・・・。」
「全てはマスターの命じるままに・・・・・・。」
「いや~ご主人たまもナイス・アイコンタクトでっせ!」
「(しまった・・・・・・!さっきの銃撃は白虎という子の行動を隠す為の牽制だったなんて・・・・・・!)」
「・・・・・・神を降ろす行為は止めるべきだと警告する、この兎の命が惜しければ・・・・・・。」
そう言って、白虎に羽交締めされたレイ2に銃頭付きの義手を突き付ける玄武。この少女、明らかに私の事を知っている・・・・・・!
「貴方は・・・・・・一体・・・・・・!?」
「・・・・・・知りたければ月の過去のデータを調べる事を推奨・・・・・・。」
「何ですって?」
「つまりは“クグれ”、と言う事だ。綿月依姫とやら、聞け。我も元々はこの地上に生まれ、育っていた者・・・・・・だが、いつまでも我等が地上に留まっていると思うな・・・・・・地上に這いつくばる事に飽きた者は貴様の月、否、宇宙へと勢力を伸ばすだろう。」
そう言って、囚われのレイ2ごと飛び、どこかへと飛び去っていった。それを只、依姫達は見ている事しかできなかった。
「レイセン・・・・・・。」
闇の巫女と冥界四天王と名乗る謎の一団。月への行き方を探す為にレイ2を人質にした・・・・・・。一体、どうすれば・・・・・・。
「どうするの、あんた・・・・・・?」
隣からリリーBの心配そうな声が聞こえる。それは自分だって分からなかった。こんな時、八意様さえ、いてくれたら・・・・・・。
と、考えている途中で頭を振ってその考えをかき消す。八意様の事を思っても仕方がない。今は自分が何とかしないと。
「とにかく、博麗霊夢の行方を捜す事が第一ね・・・・・・彼女も少し辺りは知っていそうだし。夕方までに一通り探すわよ。」
そう、兎達に指示して博麗神社を出る依姫。今は情報が足りない。早く、あの巫女を見つけないと・・・・・・!



一方、北方勇者帝国の本部では・・・・・・どこかの部屋が突如、爆発した。
「何、妙な所から始めるのじゃ、作者ぁ!と言うよりどこかの部屋って・・・・・・わしの部屋じゃん!」
慌てふためきながら総帥室へ急ぐキリュウ。まさか、紫のスキマによる奇襲か!?それ以外しか当てはまらないし!?
そう思いつつ総帥室へ着くと、突然の閃光に目を眩ます。目を細めて見ると何かが何処かへ飛び立っているのが見える。
閃光が止んだので辺りを見回す。意外にも壁に穴が開いているだけでどこにも被害はなさそうだ・・・・・・。
「・・・・・・あり?」
ふと、キリュウはちょっとの異常に気付き、首を傾げる。何かが無い様な・・・・・・?
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・半人半霊の庭師から奪った剣が無いのじゃが・・・・・・?」
そして、舞台は妖夢達へ・・・・・・
「ちょ、わしの出番これだけ!?」



「む・・・・・・?」
妖夢は自分の体が輝いている事に戸惑いながらも何か空を切り裂く音を聞こえた気がし、上を見上げた。すると・・・・・・
ドゴォォォン!!
「えぇっ!?」
「あらまぁ。」
何と天井を突き破って剣が飛んで来たのだ。その光景に驚く妖夢と四由美(驚いていたのかは疑問だが)
「ととっ!・・・・・・!?この剣は・・・・・・!」
飛んで来た剣を片手で慌てて受け取って見ると、その剣はかつて1年前にキリュウに奪われたもう一つの剣だったのだ!
「しかし、何故・・・・・・?」
「凄いわね、妖夢ちゃん・・・・・・。」
見ると、四由美は何やら嬉しそうに笑っていた。何やら笑顔が幽々子様と同じようで少し微妙な気分になってしまう。
「妖夢ちゃんのお友達を思い、決して諦めない気持ちがその剣に反応したのね・・・・・・本当に凄いわ・・・・・・。」
「いえ、まだまだです・・・・・・もっと私に力があれば、あの時、誰もがT-Jに殺されずに済みました・・・・・・もっと私に剣の腕があれば、幽々子様を失わずに済みました・・・・・・だからこそ、私の剣の修業はまだ途中なのです!」
そう叫ぶ妖夢の前に何処からかスペルカードが現れた。それを手に取って驚く妖夢。このスペルカードは・・・・・・!
「これはまさか、大神・天照の・・・・・・一か八かだ・・・・・・スペル発動!“夢想妖々風”!!」
発動するや否や自分の周りに風が立ち上り、それに乗って浮き上がる妖夢。両手には特徴の二刀流が。
そして回転し始め、その速さが高まり、そして妖夢はミサイルの如く真っ直ぐ四由美に突っ込んだ。
「四由美さん・・・・・・覚悟―――――!!」
それに対し、四由美は・・・・・・全く防御せず・・・・・・
「なっ・・・・・・!?」
ピチュチュチュ―――ン!!
被弾した。



妖夢は地面に降り立つとすぐに四由美に駆け寄る。何故だ、何故あの時・・・・・・?そして四由美は立ち上がる気力が無い状態だった。
「凄いわ、妖夢ちゃん・・・・・・貴方のご主人もきっと喜んでいるわ・・・・・・。」
「茶化さないでください・・・・・・!何故です・・・・・・何故、あの攻撃を防がなかったんです!?そうすれば、少しはダメージを抑える事が出来たのに・・・・・・!自分の力だけで戦っている四由美さんに対し、私は自分の力ではなく、伝説の夢想技で・・・・・・!」
「もういいわ、妖夢ちゃん・・・・・・私だってオリジナルである貴方や西行寺幽々子の能力の寄せ集めに過ぎないの・・・・・・やっと確信したわ、妖夢ちゃん・・・・・・貴方ならキリュウちゃんを苦しみから解放できる・・・・・・貴方ならキリュウちゃんを幸せにできる・・・・・・。」
そう言い、四由美は妖夢に何かの地図を渡す。良く見ると外の世界の地図であり、何やら丸印が・・・・・・
「これは・・・・・・まさか、帝国の本部の!?」
妖夢が振り向くと四由美は微笑みながらスキマで移動していた。
「約束は約束だもんね♪妖夢ちゃん、頑張ってね・・・。」
そう言って、四由美はスキマを閉じた。残っているのは妖夢只1人だった。
「四由美さん・・・・・・分かりました・・・・・・自分にできるかどうかは分かりませんが、貴方との約束、必ず果たします!」
そう言って妖夢は誰もいない勇者の基地を離れ、一度、紫の所に向かう事にした。
自分の剣の修業は・・・・・・いや、自分達の戦いはまだ終わっていないが故に・・・・・・。



一方、サボテンが立ち並び、線路が延々と続いているテキサスっぽい所で早苗とにとりは歩いていた。
「あの、にとりさん・・・・・・せめて、勇者の特徴について何か知っていませんか?」
「御免、早苗・・・・・・勇者は私達のクローンで多くの能力を持っている事にしか分からないんだ・・・・・・。」
「そうですか・・・・・・。」
亡き椛さんの剣を背中に背負って線路を頼りに歩いている早苗は落ち込んでいる雰囲気のにとりの様子を見ていた。
彼女はかつて、Zに脅されてあのチート殺人機械人形T-Jを造りこんだ1人なのだ。きっと罪悪感が彼女を蝕んでいるのだろう。
何とかしてにとりさんの苦しみから解放させたい。そう思ってはいるけど、どうすればいいのか分からない。
そんな中、地図と線路を頼りに歩いていると・・・・・・。
「もう少しで駅に着きますから、そこで情報と食べ物類を調達しておきましょう・・・・・・ん?」
「どうしたの、早苗?」
「・・・・・・何か・・・・・・来ます・・・・・・!」
そう言い、警戒する2人。するとそこに現れたのは・・・・・・何と巨大な装甲機関車だったのだ。
その圧倒的な大きさに驚く早苗。にとりも近代の象徴である機関車に絶句している様だ。
「これは一体・・・・・・!」
「・・・・・・東風谷早苗・・・・・・それに、生きていたのか河童・・・・・・。」
「「っ!!??」」
その冷たい声に反応し上を見上げるとそこには勇者らしき人物が・・・・・・!
金色の長髪で目は紫、後ろには漆黒の翼と白い尾があり、動きやすい服には紅葉と渦巻き模様が。そして腰には剣を携えている。
そのクールな印象を持つ謎の少女に早苗達は戦慄する。彼女はまさか勇者では・・・・・・?
だが、彼女達は知らなかった。残りの勇者の1人の特徴についてかつて勇儀と戦ったスィガが言っていた事を。
“上級の勇者はオリジナルのスペルカードを2枚持っている。”
その事を知らずに戦闘態勢を身構える早苗達に彼女・・・・・・勇者2号はボソっとこう言った。
「おい・・・・・・・弾幕しろよ・・・・・・。」
果たして、今の早苗達に上級勇者の勇者2号に勝てるのか!?



続く



次回:「北方勇者帝国の総帥・キリュウの命によって都市に向けて暴走する無人の装甲機関車!そのタイムリミットは13時間!暴走する装甲機関車を止める為、足場の悪い所で何とか量産型機械人形と戦う早苗とにとり!それに立ち塞がったのは勇者の中でも上級の1人、勇者2号!自慢の剣で早苗を追い詰めるが、その戦い方とキリュウに嫌々従う理由にはある悲しい出来事があったのだ・・・・・・。一方、衣玖と椛は謎の少女を監視するが、その少女を狙う謎の人物が現れ・・・・・・!次回、『暴走!誰かの為に』にご期待下さい!!」



キャラ紹介
「冥府勇者:四由美」
クローン勇者8号。どこかのほほ~んとしており、周りを癒している存在。プロポーションの大半は幽々子。
勇者の中でも仲間思いであり、只1人のキリュウの理解者。仲間の為ならば、戦う事も構わない性格。勇者の中では末っ子。
鳥の唐揚げを好物とし、鴉を式神としており、それを使って偵察させている。他の勇者等からはその不思議そうな雰囲気故に避けているが、彼女としては皆と一緒にいる事が大好きであり、他人から見れば勇者帝国のお母さん的な存在と見られる事もある。
ZRXです。2月ももう終わりですね。実は上にも書いてある通り、最初辺りは1月の正月に書いておりました。(汗)
次回は早苗編です。少しスピード戦っぽく書いていきます。
ZRX
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コメント



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3.100名前が無い程度の能力削除
文学使いめ……
大した文学能力だ
9.10名前が無い程度の能力削除
いいから黙って消えてくれませんか?
16.無評価名前が無い程度の能力削除
まぁ、全作品のコメント+αしか見てないが……あれだ。
とりあえず、周りの作品と見比べたりとか、SSの書き方とか調べてみてはいかが。

それと、あなたの東方オンリーを見てみたいです。
25.無評価名前が無い程度の能力削除
正直ここまでくると凄いと思う。