「しかし、呆れるほど弱いねチミ。 道端の砂利くらい薄いわ」
「路傍の小石にも劣るのね」
「悲観する事はないよ、私に敵う奴なんて数限られているものさ」
「そーなのかー」
「……少しは悔しがりなさいよ」
「スペルカードルールで強さは競わないもの」
「強さを競わないルールで一回も勝ててない件について」
「これが悪魔に運命を弄ばれた哀れな操り人形の姿よ! 笑うといいわ!」
「操るまでもなく弱いのよあんたが! ふざけた事言うとわき腹つつくわよ!」
「やめてよ痛いわ」
「あのね、つまんない遊びじゃ私は満足できねーのよ。 何事も本気で臨まなくちゃあ楽しくない、理解できるかしら?」
「吸血鬼は怒りっぽいのね。 血より乳を飲んだ方がいいんじゃない?」
「審議拒否。 それよりどうすればルーミアはやる気を出せるのかしらね」
「鴉にも似たような事を言われた気がする」
「それだけ怠けてるんだよ。 仮にも平等を売りにしてるスペカルールで勝てる程度のやる気は出しなさいな。
もっと妖怪らしく相手を威嚇してみたらどう? ほれ、「ぎゃおー」ってやってみ」
「うー☆」
「モケーレムベンベはそんな鳴き声しない」
「厳しい演技指導でやる気が萎えた」
「私わかった、こいつ実はナマケモノの妖怪なんだ」
「二言目には妖怪らしくとしつこく言われるけど、空くお腹の足しにもならない物には興味無いわ」
「妖怪といえば暴力が定石じゃない。 強いのはいいよ、他人を見下せる」
「見下す以外にする事が無いから欲しいとも思わないのよ」
「ドライだねぇ。 なんていうかアンタは欲がなさすぎだよ」
「美味しい物は欲しがるわ」
「そりゃあ、お腹が空いたら美味しいご飯は食べたいだろうね」
「ええ、必要に駆られるから欲が出る」
「原始的欲求以外の話をしている」
「どうせ頭悪いなら野性的に生きれば楽じゃない」
「頭悪い奴は頭悪いなんて言わないわ。 そう、貴女は少し人間的すぎる」
「元人間の妖怪なんて今時は珍しい事じゃないわ」
「それで今時の妖怪は暴力なんて振るわないのよとでも言うつもりかい」
「面倒くさーい」
「私わかるよ、これゆとり教育の弊害ってやつだ」
「心にゆとりがあったら人間らしく死んでたわよ」
「で、ゆとりないルーミアは恨めしくもないのに妖怪になったわけ?」
「人間は自虐が好きですので」
「ああ、人間ってそういうの好きよね。 でも妖怪に堕ちるのは人道とやらに反してそうだわ」
「考えるより先に化けちゃったんだもん。 だからせめて元同類は食べないようにっていう自戒」
「「一昨日人間食べた」ってルーミアが言ってた」
「我慢できなかったの」
「ははは人間的だねぇ、絶対的な誓約を欲望のままに裏切る様はまさしく卑しい人間そのものだ。
それでも自戒を止めようとしない、更に更にと罪を重ねて身を沈めていこうとするなんて宗教みたい」
「それはまぁ、キリスト教は立派な宗教ですから」
「またメジャーなリーグに入団したもんだ!
が、化けて出たのは一体どういう事だろうね? よくあるお話だが、信じた宗派に裏切られたとか?」
「信じるも何も、知らない他人に大勢で来られたら相手するのも面倒くさいわ」
「知らない奴にも狙われるって悪魔じゃないんだから。 あんたそんな悪魔的な事したの?」
「私は悪くないわ」
「いじめっ子はみんなそう言うの」
「悪くないもん、イエス様の血が付いてたくらいで大袈裟なのよ!」
「えっ」
「えっ」
「誰の血が何に付いてたって?」
「イエス様の血が私の槍に」
「入団一年目の新人かと思ったら大メジャーリーガーだった件について」
「ええ、すっごく高名な人間だったんだから」
「むしろ高名な槍じゃないかな」
「そこらの木と鉄でできただけの粗悪品なんかと一緒にしないでちょうだい」
「キリストの血がついたらプレミアもつくってもんよ」
「でも普通の槍だったからとっくに壊れて無くなってるわよ」
「えっ、嘘だ!」
「なんでレミリアが驚くのかしら?」
「ぐぬぬ、いずれ私のコレクションにしてやろうと思ってた物だというのに……
何してるのよルーミア! そんなに大事な槍は私のためにちゃんと保管しておくべきでしょう!?」
「あんたみたいにわがまま言う奴ばっかりだったから嫌気が差したのよ。
そもそも血が起こした奇跡は目にかかった私にだけ起きたもので、槍はなんにも起こらなかったし、起こさなかったわ。
だから普通に使えば普通に劣化して普通に壊れる。
奇跡に目が暗んだ欲張りが勝手に「奇跡の槍は隠されてる」、「私が独り占めをした」って思い込んで吹聴しただけよ」
「え~~、そこは「聖なるうんたらで頑丈になりました」とか特典つけようよー」
「イエス様の奇跡は人を導くもの、そもそも乱暴ごとには使えないわ」
「あーあ、つまんない。 伝説にはヒレがつくものだけれど、まさか、かの聖槍が妄想でできた紛い物とはね」
「……だから、粗悪品だって言ったじゃない」
「ふん、まあいいよ。 ただの妄想だって解れば私もやりようはあるんだ」
「面倒くさい事を考えてそう」
「そもそも私は既に神の槍を従えているのでね――」
「却下」
「最後まで言わせてよ」
「悪魔が聖槍を持つなんて矛盾してるわ」
「それこそさっき言った通りだよ。 神も聖者も、その名が厳格足るものなら私が使ってやるに相応しい」
「馬鹿にしないでちょうだい」
「あはは! さっきまでナマケモノだった奴が妖怪らしく衝動的になってきたわ!
けど残念、ルーミアなんかじゃあ決して私に勝てないよ。 本気の十分の一でも敵わない。
しかし、憎たらしい相手には潜在能力を発揮する場合もある、今一度決闘を始めたら面白い運命に変わるかもしれないね」
「そうやって信じてる者を馬鹿にして遊ぶのが趣味なのかしら」
「嫌ならいいよ? アンタの大好きな聖者をダシに使うだけだから」
「最低な悪魔だわ。 子供みたいに自分勝手!」
「嫌われるのが本分だもの。 自分本位だから楽しいのさ」
「路傍の小石にも劣るのね」
「悲観する事はないよ、私に敵う奴なんて数限られているものさ」
「そーなのかー」
「……少しは悔しがりなさいよ」
「スペルカードルールで強さは競わないもの」
「強さを競わないルールで一回も勝ててない件について」
「これが悪魔に運命を弄ばれた哀れな操り人形の姿よ! 笑うといいわ!」
「操るまでもなく弱いのよあんたが! ふざけた事言うとわき腹つつくわよ!」
「やめてよ痛いわ」
「あのね、つまんない遊びじゃ私は満足できねーのよ。 何事も本気で臨まなくちゃあ楽しくない、理解できるかしら?」
「吸血鬼は怒りっぽいのね。 血より乳を飲んだ方がいいんじゃない?」
「審議拒否。 それよりどうすればルーミアはやる気を出せるのかしらね」
「鴉にも似たような事を言われた気がする」
「それだけ怠けてるんだよ。 仮にも平等を売りにしてるスペカルールで勝てる程度のやる気は出しなさいな。
もっと妖怪らしく相手を威嚇してみたらどう? ほれ、「ぎゃおー」ってやってみ」
「うー☆」
「モケーレムベンベはそんな鳴き声しない」
「厳しい演技指導でやる気が萎えた」
「私わかった、こいつ実はナマケモノの妖怪なんだ」
「二言目には妖怪らしくとしつこく言われるけど、空くお腹の足しにもならない物には興味無いわ」
「妖怪といえば暴力が定石じゃない。 強いのはいいよ、他人を見下せる」
「見下す以外にする事が無いから欲しいとも思わないのよ」
「ドライだねぇ。 なんていうかアンタは欲がなさすぎだよ」
「美味しい物は欲しがるわ」
「そりゃあ、お腹が空いたら美味しいご飯は食べたいだろうね」
「ええ、必要に駆られるから欲が出る」
「原始的欲求以外の話をしている」
「どうせ頭悪いなら野性的に生きれば楽じゃない」
「頭悪い奴は頭悪いなんて言わないわ。 そう、貴女は少し人間的すぎる」
「元人間の妖怪なんて今時は珍しい事じゃないわ」
「それで今時の妖怪は暴力なんて振るわないのよとでも言うつもりかい」
「面倒くさーい」
「私わかるよ、これゆとり教育の弊害ってやつだ」
「心にゆとりがあったら人間らしく死んでたわよ」
「で、ゆとりないルーミアは恨めしくもないのに妖怪になったわけ?」
「人間は自虐が好きですので」
「ああ、人間ってそういうの好きよね。 でも妖怪に堕ちるのは人道とやらに反してそうだわ」
「考えるより先に化けちゃったんだもん。 だからせめて元同類は食べないようにっていう自戒」
「「一昨日人間食べた」ってルーミアが言ってた」
「我慢できなかったの」
「ははは人間的だねぇ、絶対的な誓約を欲望のままに裏切る様はまさしく卑しい人間そのものだ。
それでも自戒を止めようとしない、更に更にと罪を重ねて身を沈めていこうとするなんて宗教みたい」
「それはまぁ、キリスト教は立派な宗教ですから」
「またメジャーなリーグに入団したもんだ!
が、化けて出たのは一体どういう事だろうね? よくあるお話だが、信じた宗派に裏切られたとか?」
「信じるも何も、知らない他人に大勢で来られたら相手するのも面倒くさいわ」
「知らない奴にも狙われるって悪魔じゃないんだから。 あんたそんな悪魔的な事したの?」
「私は悪くないわ」
「いじめっ子はみんなそう言うの」
「悪くないもん、イエス様の血が付いてたくらいで大袈裟なのよ!」
「えっ」
「えっ」
「誰の血が何に付いてたって?」
「イエス様の血が私の槍に」
「入団一年目の新人かと思ったら大メジャーリーガーだった件について」
「ええ、すっごく高名な人間だったんだから」
「むしろ高名な槍じゃないかな」
「そこらの木と鉄でできただけの粗悪品なんかと一緒にしないでちょうだい」
「キリストの血がついたらプレミアもつくってもんよ」
「でも普通の槍だったからとっくに壊れて無くなってるわよ」
「えっ、嘘だ!」
「なんでレミリアが驚くのかしら?」
「ぐぬぬ、いずれ私のコレクションにしてやろうと思ってた物だというのに……
何してるのよルーミア! そんなに大事な槍は私のためにちゃんと保管しておくべきでしょう!?」
「あんたみたいにわがまま言う奴ばっかりだったから嫌気が差したのよ。
そもそも血が起こした奇跡は目にかかった私にだけ起きたもので、槍はなんにも起こらなかったし、起こさなかったわ。
だから普通に使えば普通に劣化して普通に壊れる。
奇跡に目が暗んだ欲張りが勝手に「奇跡の槍は隠されてる」、「私が独り占めをした」って思い込んで吹聴しただけよ」
「え~~、そこは「聖なるうんたらで頑丈になりました」とか特典つけようよー」
「イエス様の奇跡は人を導くもの、そもそも乱暴ごとには使えないわ」
「あーあ、つまんない。 伝説にはヒレがつくものだけれど、まさか、かの聖槍が妄想でできた紛い物とはね」
「……だから、粗悪品だって言ったじゃない」
「ふん、まあいいよ。 ただの妄想だって解れば私もやりようはあるんだ」
「面倒くさい事を考えてそう」
「そもそも私は既に神の槍を従えているのでね――」
「却下」
「最後まで言わせてよ」
「悪魔が聖槍を持つなんて矛盾してるわ」
「それこそさっき言った通りだよ。 神も聖者も、その名が厳格足るものなら私が使ってやるに相応しい」
「馬鹿にしないでちょうだい」
「あはは! さっきまでナマケモノだった奴が妖怪らしく衝動的になってきたわ!
けど残念、ルーミアなんかじゃあ決して私に勝てないよ。 本気の十分の一でも敵わない。
しかし、憎たらしい相手には潜在能力を発揮する場合もある、今一度決闘を始めたら面白い運命に変わるかもしれないね」
「そうやって信じてる者を馬鹿にして遊ぶのが趣味なのかしら」
「嫌ならいいよ? アンタの大好きな聖者をダシに使うだけだから」
「最低な悪魔だわ。 子供みたいに自分勝手!」
「嫌われるのが本分だもの。 自分本位だから楽しいのさ」
またこの掛け合いが見てみたいです