※ 決して会話文だけを読まないで下さい。色々危険です。
「あー…、寒いわねぇ……。こんな日は炬燵で暖まるのが一番だわ」
こんにちは、霊夢です。冬の訪れに伴い冷え込む日々が続いているとは思いますが、みんなはどんな生活してるのかしら? まあ、私の知った事じゃないわ。
幻想郷は冬の寒さが一層厳しくなってきて、炬燵とミカンが嬉しい季節になりました。主に炬燵の温もりが良い。炬燵で温まっている間は全人妖に優しくなれる気がするわ。一歩でも外に出たらその限りではないけどね。
「むしろ厳しくなりますよ、寒さが厳しいだけに…」
あぁ寒い寒い。早いところ暖まらないと、こんな感じの小粋なジョークが飛び出し続けてしまうわ。それは私の尊厳をとても深く傷つけてしまうわけで、それだけは何としても回避したいと思うのでした。ん……、もう既に手遅れなのかしら?
いやいや、そんなことないって。私はまだまだ現役で頑張れます。そう、こんなジョークは紫の専売特許にしてしまえばいい……って、あぁ駄目だ。寒さで頭が回らないわ。暑い時は暑いで厄介だし、地球ももう少し頑張ってくれないかしら。なんというか、もっとこう…、融通を利かせて欲しいというか、私に優しくして欲しいとか色々とね。金銭面もカバーしてくれるならなお良し。
などと、荒唐無稽な思考が逡巡するほど寒い。なので、一刻も早く炬燵に侵入しなければマズイ。お、今ちょっとだけ韻を踏んだわね。さすが私。
「…さっさと入ろう。まったく、冬にこんなに寒くなるなんて本当に地球は大丈夫なの?」
独白が 増えているとは 知りつつも 自制できない このパラドクス
ふっ…、たまに自分の才能が恐ろしくなってしまうわ。好きでもないのに短歌なんぞがこぼれおる………。駄目だ、本格的にやられてきた。それもこれもすべて寒いのが原因だわ。
ところで、暑が夏いっていうギャグは良く聞くのに、寒が冬いっていうギャグをあまり聞くことがないのは何故かしら? どうでもいいか。とりあえず今度紫に聞いてみよう。何て答えるのかしらね。
「う~……、炬燵はやっぱりいいわぁ…。体があったまるぅ……、わひゃあッ!」
突然の奇声失礼。炬燵に足を入れてちょっとしたら、いきなり私の足に予想もしていなかった感触があったのよ。サラサラというか何というか、えもいわれぬ感触で私初めての体験でした。でも、心地よい暖かさも併せ持っていて、冷えた素足にはもってこいの一品。あなたの御自宅にもお一ついかがですか、な未体験ゾーンの突入に、思わず声をあげて飛びあがってしまったわ。
それはさておき、私の家にそんな便利アイテムは存在しないはず。ましてやそんなものを炬燵の中に仕込むことはしないわ。火事になったらどうするのよ。
というわけで、この中に何かが潜んでいることは明らかね。私の最愛の友の内部に忍び込むとは許せないわ。今すぐにその正体を暴いてやる、くらいの気持ちで中を覗くと、何やら蠢く黒い影が一つ。あぁ、成程。
「にゃあ」
「何してるのよ…、お燐…」
のそのそと炬燵から這い出てきたのは、ここ最近神社で飼うことになったお燐でしたとさ。猫は炬燵で丸くなるということを、体を張って証明してくれた彼女には感動を禁じ得ません。でもあれって誰かが迷信だって言ってた気がするわ。誰から聞いたんだっけ…? 駄目だ、思い出せない。まぁいっか、そんなこと。
ところで私を盛大に驚かせてくれたお燐さんは、私の目の前に鎮座して一鳴き。随分落ち着きはらった行動だけれども、さてはこいつ自分から擦り寄ってきたな…?
いや、気持ち良かったのは確かなんだけど、突然の接触というのは勘弁してもらいたいわ。心臓に悪いしね。ああでもこいつの毛並みって綺麗なのよねぇ。柔らかい手触りだし、どことなくフワフワしてるし……。そんなわけで、突然でなければ接触を認めることにします。
「わかったわね、お燐?」
「にゃ?」
全然分かってないみたいね。まったく、これだからキュートなにゃんこは困るのよ。そのくりくりした愛らしい瞳は何だというのかしら。一撫でしてみると今まで炬燵の中で温もってたからいい感じに暖かいし、顎下をくすぐってみると気持ち良さそうに目は細めるしホラホラここがいいのかしらなんて…、ああもう言葉で考えるのがもどかしいわ。これは何も言わずにとりあえず抱きしめてみたらどうよ、という神のお達しね。
したらば早速。ん~……、ぬくぬく。
「にゃ~…」
「気持ち良い…。あなたって最高ね」
ほんとう、最高の湯たんぽだわ。熱過ぎず、また決して温くもない。人肌とはちょっと違うけど、とりあえず他人の体温は最高ね。感極まって頬ずりすると、お燐の温もりがじわー…、っと私の頬に伝達されるのがこれまた良い。人間で言う項の辺りに鼻先を押しつけてみると、外の空気で冷え切ってしまった名残が消えていくのが良く分かる。
お燐の毛先がサラサラしてちょっとくすぐったい。それにしてもこの子はあまり臭わないわね。動物特有の、なんというか獣っぽい臭いが無い。それどころかちょっといい香り。まぁ妖怪だし、そんなこと気にしていてもしょうがないのかもね。
気にしないのでどんどん行きましょう。鼻先の次はこれまた冷え切って赤らんでしまった両の耳、かじかんだ指先、そして剥き出しの肩回りを順にお燐へと擦りつけていく。その間、彼女はずっとか細い鳴き声を上げるだけ。もしかしたら炬燵で暖まり過ぎたのかも知れないわね。ひんやりした私の体が、彼女にとっては気持ちいいのかも。
それなら互いの利害が一致するわ。私はお燐がいいし、お燐は私がいい。完璧じゃない。まるで信長の為に草履を温めていた秀吉の様な……、違うか。それはいいとして、
「お燐、私たち相性最高だわ」
「にゃー」
それでもやっぱり炬燵の外とは寒いもの。早く足を入れて蕩けるとしましょう。もちろんお燐は抱えたままで、いざ突入。
あぁ…、素晴らしきは人間の文明力かな。これほどの物を考え付いた人物はどれだけ冬の寒さを嫌っていたのかしら。名前も顔も知らないあなたのおかげで、今私は幸せです。ありがとう。このたかだか1メートル四方の狭い空間の中に、世界平和が宿っています。コングラッチュレーション。
お燐は今、私の膝の上で丸くなってうつらうつらとしているのだけど、厳密に言うと膝の上とはちょっと違ってたりする。彼女は私の膝というより、そこよりももう少しだけ高い位置にいて、私のお腹に体全体を密着させるようにしているのよ。普段は行儀よく膝に鎮座する彼女だけれども今日は少し違う。ここまで自分から積極的に擦り寄ってくるのは初めてかもしれないわ。
もしかしたらお燐も体が冷えちゃったのかもね。私は暖かいから一向に構わない。むしろもっと近う寄れ。あーれー、お止めくださいお代官様。そしてここで登場する正義の味方。うーん…、まさしく勧善懲悪の王道ね。そんなわけで、とりあえず私は炬燵に向かってたれてみる。瞬間、私に電流走る……ッ! ちょっと前屈みになった姿勢が功を奏して、お燐がお腹にジャストフィットしたのよ。これいいわ~…。あなたと私は二人で一つ、みたいな?
「もう離さない…。あなたは私のものよ、お燐…」
思わずこんな言葉が口から出てきてしまう。でもそれも無理からぬこと。だってお燐がこんなに快楽を与えてくれる存在だとは知らなかったもの、仕方の無い事だわ。一度これを味わってしまえばもう私は彼女の虜。もう離れたくない、離したくない。
とくん、とくん…、とお燐の生きている証が、今の私には心地よい子守歌。体だけじゃなくて、心まで温かくなるような…、そんな思いにさせてくれる。いや本当に冬の間はここにいて欲しいわよ。ご飯だってメザシから猫まんまに昇格してあげるわ。どんなもんよ?
いやぁ、紫からこの子を監視しろって言われた時は正直な話、うわ…面倒くさい、だったけどこんな特典が付いているなら大歓迎だって。んー…、でも欲を言えばもうちょっとだけこの子も肉付きがよかったらねぇ。もちろん痩せてガリガリだってわけじゃないんだけど、あと少しだけでいいから重みが欲しいところだわ。そしたらもっと暖かくなるんだけどなぁ。しかし、この子を太らせるほど家には余裕が無いのでした、残念。
もしそれが出来たならお腹を突ついて遊んだりもできるのだけど、まぁ贅沢は言うまい。しょうがないので現状で満足することにしましょう。そーれ、ぷにぷに。ついでに肉球もぷにぷに。
「ゴロゴロ……」
「気持ちいいの? ふふ…、もっとやってあげる」
あ~…、こんな状況をなんて言ったらいいのかしらね。まったり、それとものんびり? どっちでもいいわよぉ。ん…、本当に蕩けてしまいそうだわ。毎年思うのだけど、炬燵の持つ魔力って普通じゃないわね。そんじょそこらの妖怪よりよっぽど凶悪だと思うのよ。もしかして炬燵とは人間を堕落させようと考えた妖怪の罠なのかしら。いや、確かに家のこれは河童製だけども。だとすると黒幕はあいつ…?
驚いたわ。のほほんとした見た目に反してかなりの策士だったのね。これからは気をつけるとしましょう。とりあえずこの炬燵に関してはいい仕事してるわ。でもそうねぇ、河童たち、というかあいつに核エネルギーなんて物騒なものを渡してはいけないと思うの。とてもとても嫌な予感がノンストップだから。うっかり幻想郷壊滅なんて未来がリアルに想像できるもの。その癖、張本人は爆心地にいたにもかかわらず黒こげのアフロになるだけで済むのです。どこのギャグ漫画か。コラ河童、『あはは、失敗しちゃった』で済む問題じゃないの。そこんとこ分かってるの、あんた?
とまあ、そんな仮想世界を疑似体験しつつもお燐を弄る手は止まっていなかったのです。だって気持ちいいんだもん。お燐だって気持ち良さそうな顔してるから何も問題なんてないでしょう。かくして、かつては敵対していた者同士が戦いの中で友情に目覚め、日常の中でその絆を深めて、次なる戦いの折には力を貸してくれるのです。それなんて○塾?
いや、早苗がそんなタイトルの漫画を持ってたのよ。結構面白かったわ。そういえばこの前会った時には新しいスペルカードを作ってたわね。ミラクルフルーツだったっけ。正直その名前はないと思うわ。本気でやってるとしたらレミリアに並んでネーミングセンスが無いわね。ネタでやってるとしたらもうちょっとこう…、『ミラクルフルーツ(笑)』とか…。駄目だ、絶対に被弾する。そんなもの避けきる自信がないわ。真面目な顔してそんなこと声高に宣言しないでちょうだい。やっぱりあの子はあれくらいがちょうどいいのね、幻想郷的に。早苗が天然で良かった。
しかし私のこの思考はどうしたものだろう。さっきから妙な考えに歯止めが利かなくなっている気がするわ。これも炬燵の魔力かしら…? あぁ、それにしてもお燐がいい。どれくらいの時間が過ぎたのか分からないけれども、まだまだ手が止まらないわ。
おや、お燐が私の手をすり抜けて突如人型になったわね。どうしたのかしら。どこかに行こうとしているの? だとしたら大変だ。心地良い温もりが逃げちゃうじゃない。
「お燐、どこへ行くの? ずっと私の傍にいて…?」
「……お姉さん…」
なんか彼女の様子がとても変です。顔は上気したかの様に赤くって…、いえ、顔だけじゃなくって耳も、それに首筋までほんのり赤くなっているわ。そして潤んだ瞳で私を見つめているのよ。いきなりそんな目で見られるとさすがにちょっと怖いわ。
というか人型にはあまり興味ないから、早いとこ愛しのにゃんこモードに戻ってちょうだい。そして私に再び温もりをプリーズ。心にぽっかり空いてしまったこの隙間を埋められるのはあなただけなの。
「知らなかったよ…。お姉さんがそんなにあたいの事を想ってくれてたなんて…」
「そう…、わかってもらえたのね。今の私にはあなたさえいればいいの」
だから早く猫になって。思いっきり抱きしめてあげるから。いや、それだけじゃないわ。一緒に寝てあげる。きっと気持ちいいだろうなぁ…。よし、今日からは毎日一緒に寝ることにしましょう。今夜が楽しみだわ、一体どれだけ気分良く眠れることだろう。
でもそれは後のお楽しみとして、今はもう一度私のお腹にフィットして欲しいの。あれ本当に良かったんだから。
というわけでお燐、いつまでそんなところに突っ立ってるのよ。さっさとしなさいって。何をそんなに赤くなってるのか知らないけど、いい加減我慢の限界だわ。
「お燐…、早く来て…?」
「お姉さん…! 嬉しい!」
そんな事を言いながら私にタックルしてくるお燐ちゃん。はっきり言ってこれは予想外。どうして人型のままで突っ込んでくるの? 結構痛かったんだけど、どうしてくれるの?
そして今、私は彼女に押し倒されている状態。というか、お燐が私に覆い被さってるわ。あ、でもこっちはこっちで結構温かいかも。とりあえず体温を感じる為に背中に手を回してみる。ん~…、温かいことは温かいんだけど、抱き心地はいまいちねぇ。やっぱりにゃんこがいいわ。だからさっさと戻れっての。
ところで、私が背中に手を回した時あたりからお燐も私を抱きしめてきているのよ。体が密着して温かいのは大変結構なんだけど、かなり力が強いのよね。
「お燐…、ちょっと……、痛い…」
「あ…、ごめん、お姉さん」
そう言って力を緩めてくれて、お燐は私から離れようとする。あ、寒い。寒いくらいならこっちのお燐でもいいわ。逃がさないわよ、湯たんぽ。
「だめ…。離れないで」
「お姉さん…?」
「このままでいいから…、傍にいて?」
「うん、わかった…」
さっきよりかは遥かに弱い力で抱きしめてくれるんだけど、う~ん…、これじゃあちょっと物足りないような気がするわ。しょうがないわねぇ、私が調節する必要があるようね。まったく、私の気持ちが分かったとか言っておきながら…。あれ、言ってはいなかったかしら。
まあそんなことはどうでもいいの、今は私が温まるそれが一番大事なんだから。あぁ、さっきも言ったけどこっちのお燐も結構いいわ。体全体がぽかぽかと温まるから、これはこれでナイス湯たんぽ。
むぅ…、それにしてもなんだか眠くなってきたわ。温まり過ぎたかしら。炬燵で寝たら風邪をひいちゃうし、だからと言って動く気もしないし…。そうだ。
「ねぇお燐…。寝室まで、連れて行って…」
「お姉さん……、いいの?」
「えぇ…、お願い…」
そんな訳で、お燐は私を抱き上げてくれたのだけど、うぅ~…、炬燵の外はやっぱり寒いわ…。ということなので、身近なお燐を強く抱きしめることにするわ。
ああでもまだ寒い。早く布団の中に潜り込みたい。でも入ったばかりの布団って結構冷たいのよねぇ。まあ今日はお燐と一緒に寝ると決めたから何とかなるかしら。
それにしても寒いわね…。この子が先に布団に入って温めてくれてたならこんな心配だってしなくって良かったのに。寒さと冷たい布団を思うと体が震えるわ…。
「お姉さん…、震えてるけど、怖いの?」
「えぇ…、ちょっとだけ」
冷たい布団なんて誰だって嫌でしょう。そういえば、以前紫が「電気布団」なるものを自慢してきたことがあったわね。なんでも、電気の力で布団を温めておくことができるのだとか…。今度それと同じものを河童に作らせましょう。それか強奪。戦争も辞さないわ。
欲しがりません、勝つまでは。
「大丈夫、優しくするから…」
なにが? もしかして、さっき私が痛いって言ったことを引きずってるのかしら。少し、なんて言ったけどあれ結構痛かったのよ。次があるとすれば本当に勘弁だわ。私だって人間なんだし、妖怪の面白パワーには耐えられない。
相手はお調子者のお燐だし、ここはしっかりと釘を刺しておかないと駄目ね。ベアハッグで死にたくはないのよ。
「痛く…、しないでね…?」
「うん……、お姉さんのこと、あたい大事にするよ」
かくして、寝室の扉は開かれたのであった。とりあえず眠い。
◆ ◆ ◆
そうして翌朝を迎えた訳だけど、なんだかとっても不思議な事態に陥っているのよ。お燐が隣で寝てるのは、まあ私もそのつもりだったからいいんだけど、なんだって私は一切の衣類を身につけていないのか。ついでに言うとお燐も。
これは一体何が起こったの? 昨夜の行動を思い返してみても原因がさっぱり分からないわ。世の中にはまだまだ不思議がいっぱいあるのね。私も修行が足りないのかも。
それにしても寒い。朝方は冷え込むわ。というわけで湯たんぽ湯たんぽっ、と…。
「お姉さ~ん……。むにゃむにゃ…」
-了-
まぁ眠さマックスの人の頭の中なんてこんなもんなのかも。 でもちょっと読みにくかった、というのが感想。
とりあえずお燐の可愛さは異常。 というのが魂の慟哭。
今回は空回って逆においしくいただかれちゃいましたがw
それにしてもお燐のお姉さんって呼び方は最高だなー
地の文がなんか凄く好みでした。
よ~し次はお燐ちゃんがイタダキマスされて下さいませお願い。
たまにはお燐ちゃんがたべられちゃっても良いじゃない…………良いじゃない!(泣)
お燐→火車→死体大好き
……
屍姦プレイですね、わかりまs(スプリーンイーター
これはいい霊燐だ
ご馳走様です(主に性的な意味で
霊夢さん、そりゃ勘違いしますって。
すみません。誤字です。orz
会話文だけは読んじゃいけないという事で読みましたが…いやいや、この組み合わせも(ry
実は俺…猫…嫌いなんだ…