Coolier - 新生・東方創想話

素敵な本をもう一冊

2014/12/13 23:51:37
最終更新
サイズ
7.58KB
ページ数
1
閲覧数
1928
評価数
3/12
POINT
710
Rate
11.31

分類タグ

目録

ファンタジー / 大妖精 - 『ライオンと魔女』
絵本 / リリーホワイト - 『木を植えた男』
ミステリ / 因幡てゐ - 『人柱はミイラと出会う』
サイエンス・フィクション / 秋静葉 - 『幼年期の終り』
ノンフィクション / 犬走椛 - 『聖の青春』
サイエンス / キスメ - 『Mad Science ―炎と煙と轟音の科学実験54』
歴史 / 蘇我屠自古 - 『イヴァン雷帝』
エンターテイメント / 中ボス - 『素敵な本をもう一冊』





 うーん、この本はどこでしたかねえ。やっぱりしっかりした目録を作らないとだめですかねえ。とはいえ、アルファベット順というわけにもいきませんし。私ぐらいの悪魔じゃ発音さえできないタイトルの本もそこそこの量転がっていますからねえ。
 ……あら、こんにちは。大妖精さん、図書館まで足を運ばれるのは珍しいですね。何かお探しですか?
 なになに、秋の夜長に読む本を借りてみたい、と。なるほど。加えて、チルノさんとも一緒に楽しめるものがいい、ですか。
 うーん、そうですね。大妖精さんもチルノさんも、読書にはまだあまり慣れていないですからね。
 大妖精さんたちでも読みやすい本……というと、このあたりでしょうか。外の世界では今なお親しまれている大傑作です。
 主人公はペベンシー家の4人兄弟たち。とても古い屋敷の中にある、大きな衣装箪笥を開けると――そこには不思議な世界が広がっていました。
 ……まるでいっぱい部屋のある、紅魔館のよう? そうですね……もしかしたら、そんな箪笥もあるかもしれません。咲夜さんにかかればそれぐらいできそうです。あ、借りていかれますか。嬉しいですね、こうやって紹介した本を借りていかれると。是非、読み終わったら感想を聞かせてくださいね。



 ……はっ、す、すみません。パチュリー様。なんとなく春の陽気を感じて少し居眠りを……あ、リリーホワイトさんでしたか。なるほど、この春の陽気もリリーホワイトさんがいらっしゃったためですかね。え、来たのは少し前だから、たぶん関係ないと思う? ……まあまあ、そこは置いといて。
 今日はどうしたご用向きですか? ふむふむ、近くまで寄ったので、顔を出してみることにしたと。ありがとうございます。ではせっかく来て頂いたので、リリーホワイトさん向けの一冊を見繕いましょうか。
 元は短編小説なんですが、絵本になったこちらも有名ですね。リリーホワイトさんにはこちらのほうが楽しめるかと思います。
 ある丘――木も草もない荒れはてた土地です――に住む男は、一人息子と妻を亡くしたばかりの男。彼はこの土地を再生するために、ひたすら種を植え続けます。
 語り手の「私」が10年後にその土地を再び訪れると、その土地はナラの森になっていました。男はそれでも種を植え続け、20年経ち、30年経ち――荒野が一人の男の手によって森に再生するさまは、リリーさんは感情移入しやすいんじゃないでしょうか?
 あ、借りていかれますか。ではこちらの名簿にサインをお願いしますね。



 あら、てゐさんじゃないですか。お久しぶりです。
 ……なるほど、優曇華さんが本日は風邪でお休みだから、代わりに薬を届けに来たと。パチュリー様は今図書館にいらっしゃらないので、私がお預かりしておきますね。
 せっかくだから、本でも一冊どうですか。
 いつもてゐさんには騙されてばかりですからねえ、今回ばかりは騙されてもらいたいものです。ミステリなんかは読まれますか? あまり読まれない? では、読みやすい短篇集にしてみましょう。
 あったあった、これですこれです。こちらの舞台は少し変わっていまして……お歯黒や、人柱といった文化が奇妙な形で残っている現代日本の、パラレルワールドを舞台にしたミステリです。
 まあ、外の世界から見ると幻想郷も変な世界、パラレルワールドかもしれませんが……その住人の私達からみても、十分、”ヘン”な世界観ですね。
 とはいえ、イロモノというわけではなく、しっかりした論理の元で事件は構成され、解決される傑作です。
 ええ、ぜひ借りて行ってください。ふふふ、騙されずにすんだかぜひ聞かせてくださいよ。



 あら静葉さん。あ、おすそ分けにいらしたのですか、どうもすみません。いい色のサツマイモですね。あとで紅魔館の皆で焼くことにでもしましょう。お返しというわけではないですが、本を一冊お借りしていきませんか。
 私のお気に入りの一冊なのですが……秋らしい、という本ではないですけれど、確か静葉さんの異名は寂しさと終焉の象徴でしたか。
 この本はSFの大傑作にして、人類の幼年期の終焉の話です。
 当時行われていた宇宙開発競争を消し飛ばす衝撃からオープニングが始まり、ややミステリめいた雰囲気の第1部。オーバーロードとは何者か? なぜ頑なに姿を隠すのか? 何が目的なのか?
 そして、そうした状況に慣れていった人類社会を描く第2部。その中で、ある男はとんでもないことを試みます。
 衝撃的な結末の最終章、第3部。人類よりも限りなく進んでいるはずのオーバーロードから寂しさを感じ取れるはなぜなんでしょうね。
 はい、もちろんお貸ししますよ、どうぞどうぞ。期限ですか? まあ、死ぬまで借りると言って憚らない人もいますしねえ。今月中ぐらいに返していただければ問題はないですよ。
 


 こんにちは、椛さん。今日もパトロールご苦労さまです。妖精の動きが気になったので少しふもとまで降りてきたんですか。ええ、こうして顔を出して頂いたからにはお茶と……あと、本でもいかがですか?
 椛さんは将棋ファンですから、こちらなんかオススメしますよ。外の世界のある棋士について描いたノンフィクションです。
 「怪童」と呼ばれ、タイトル戦に登場しながらも29歳で夭折した、村山聖九段の生涯を描いたノンフィクションです。
 外の世界においては、新しい世代――『チャイルドブランド』と呼ばれた世代が将棋界を席巻し始めていたそうです。彼もその一人で、後々多くが超一流棋士に名を連ねるこの『チャイルドブランド』の内外で、村山さんは切磋琢磨して実績を積み上げていきます。
 ただし、彼は5歳の時から難病と闘いながら、です。
 死の直前までトップ棋士として戦い続けた彼はどんな気持ちで将棋を指していたのか。その一端がわかるかもしれないです。
 ぜひぜひ。お時間のあるときにでも読んでくださいね。
 お時間がなくてもぜひ。



 わ、キスメさんじゃないですか。地上に出向かれるのは珍しいですね。なになに、最近マンネリなので釣瓶落としとして新しく驚かせるような手を考えたい、と。
 うーん、なかなか難しいですからねえ。驚かせることに関してはキスメさんのほうが私なんかよりよっぽどお詳しいでしょうから。
 あ、でもキスメさんが知らないジャンルなら……じゃーん。これなんかどうでしょう。
 キスメさんはなんたって鬼火を使いますから、化学とは縁遠くないはずです……いやいや、とりあえず聞いてくださいってば。縁遠くないことにしてください。
 たぶん、鬼火を出すのに代えて単体金属のナトリウムと、塩素ガスの反応を使えばもう相手が鬼でもビビるはずです。ついでにお塩もできます。DIY水素なんかもなかなかビビらせる上でオススメです。お水も出来ます。
 ほとんど全面が鮮烈かつ色鮮やかな写真で出来ていますので、とても読みやすいかと思いますよ。
 はい、どうぞお借りしていってください。なお、実験は自己責任で。



 屠自古さんこんばんは。こんな時間に珍しいですね。
 咲夜さんにお菓子の作り方を教えてもらっていたと。いいですねえ、今度の中ボスの集まりでぜひ腕の披露をお願いしたいですね。
 あ、クッキーありがとうございます。お返しに本でもいかがですか?
 確か屠自古さんは『神の末裔の亡霊』でしたよね。本当に神様が多いですねえ、幻想郷は。この雨も静葉もいらしてましたよ。ええ、さつまいもを頂いて。大変美味しかったですね。
 ……とと、この本なんかどうでしょうか。屠自古さんならこれぐらいの本でも問題無いですよね。モスクワ・ロシアの初代ツァーリ、皇帝であるイヴァン4世の生涯を追った本です。渾名は、なんと『雷帝』! ロシア史上最大の暴君とも言われています。
 彼の幼少期からなぜ彼がああした暴君に至ったのか、そうしたことを描写しつつ、ロシアを躍進させた功績についても著述しています。
 ちなみに、生涯に7回結婚したそうです。ふふふ、気になりましたか。ええ、この前お作りした会員証をお願いしますね。



 わ、皆さんお揃いで。あれ、なにか集まりでもありましたっけ?
 ……この前貸した本について感想を伝えたいと。え、私にも薦めたい本が? もう、嬉しくなっちゃいますね。
 はいはい、みなさん返却記録をつけますから。リリーさん、勝手に持っていかない!

 ……さて、みなさまも本、読んでますか? 読書の秋も終わっちゃいましたが、ぜひ楽しんでくださいね。
読書の秋に投稿するはずだった予定はキスメちゃんに食べられました。
taku1531
http://twitter.com/taku1531
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.430簡易評価
2.90絶望を司る程度の能力削除
読書ですか?学校に遅刻する程度は読んでますねぇw
本を薦める会話の中に仲良しな様子を見れた気がします。
4.90奇声を発する程度の能力削除
読書楽しいですよね
7.100名前が無い程度の能力削除
中ボスへの愛を感じました。