東方創想話160『この月の光を忘れないため』の短編です
月の陰が染める部屋。
それが瞳を開けて見えた景色。
私は周りを見渡す。
前よりは綺麗になった部屋。
一緒に掃除をしたから。
私と少女が一緒で。
だからここは少女の部屋。
私と少女が眠る部屋。
私は夜が染める時。
目が覚めてしまった。
私は起き上って。
少女が眠る所まで歩く。
光が染める。
月から降る光が部屋を。
私は窓の景色を見た。
雪が薄く残っていた。
もうすぐ春が来る。
雪が消えた理由を私は聞いた。
聞いて少女はそう答えた。
雪とはまた遊べるの。
来年が来れば遊べる。
そんな風に会話は続いた。
私は歩くのを続ける。
続けて私は止まった。
そこには眠る少女の姿。
夢を見る少女の姿。
どんな夢かな。
そんなことを思い。
少女の顔に。
頬を引っ張るため。
妖精としての悪戯心のまま。
私は手を伸ばした。
「……れんこ。」
少女の声が聞こえて。
私は手を止めた。
少女の寝言。
私は耳を澄まして聞く。
夢の内容を。
「行かないで、蓮子。」
少女の顔が苦しく染まる。
彼女の夢を見て。
私は手を伸ばす。
少女の手に。
私は少女の手を握った。
握ってそして。
気配を送った。
少女の夢に。
私の気配を。
私は少女の顔を見る。
顔は少し楽になっていた。
それを見て私は微笑む。
微笑んで瞳を閉じる。
落ちてきた眠気に任せて。
私は眠った。
少女の手を握ったまま。
きっと二人ぼっちの夢になって。
「おやすみ、メリー。」
日の光が染める部屋。
差し込んだ光が瞳に入って。
私は目を覚ました。
それでも目は少し閉じていた。
私は目を擦ろうとして。
少女が手を握っていた。
強く優しく。
私のことを思って。
夢のように。
私は思い出す。
一人ぼっちになる夢が。
二人ぼっちの夢になったことを。
私は少女を見る。
微笑んで眠る少女の顔を。
それを見て私も微笑む。
微笑んで手を伸ばす。
伸ばして少女の紺色の髪を。
撫でてあげた。
きっと二人ぼっちの現でも。
「ありがとうね、シュガー。」
タグにもいれた方がいいんでね
ほんわか
大まかな世界観の下でこの二人を動かしてみて欲しいです。一読者の我儘ですが。