「こんばんは」
「やあ、8ヶ月ぶりねルーミア獣くせえ」
「やだ失礼しちゃう」
「「やだ」はこっちの台詞だよチミ。
そんな山田舎の臭いを撒き散らしてこの高潔なスカーレットハウスを汚さないでくれる?」
「あんただって血生ぐさい液体飲んでるじゃない、似たようなものよ」
「うちのメイドは優秀なの。ちゃあんと血の臭いは消してご主人様に献上しているさ」
「……減ってないのに冷めてるわね」
「良い香りでしょう?」
「ええ、体が痺れそうな植物の臭いがするわ」
「そうか良い香りか、なら今すぐ飲んでみるがいいわ」
「コウモリのくせに耳悪いのね」
「いい? 前にも言ったけれど、この時間のこの場所に来る奴はいないんだ。
もっとも、吸血鬼たるこの私を恐れず近づいてこれるような骨のある奴はそうそういないからね、当然でしょう。
何食わぬ顔で紅魔館の上から降りてきて図々しくもおやつをねだってきた大馬鹿者は貴女ぐらいのものよ。
まあ、そういう厚かましさは嫌いじゃあないからね、私も付き合ってやったわけさ。
それが突然いなくなって、おかげで夜のティータイムもまた一人きり。
この私をそんな目に遭わせた不届き者は罰せられるべきなのよ。
だからルーミアには咲夜が淹れた体が痺れる紅茶を飲む義務があるという事なの。
ドゥーユーアンダスタン?」
「レミリアがどういう子なのかがよく解ったわ」
「その、産んですぐの赤ちゃんを見つめる、今まさに母親になった女のような目はなにかな?」
「よく解ってるじゃない」
「獣くさい奴の子供になった憶えはないよ!」
「こっちだって10日離れたくらいで泣きべそかいちゃいそうな乳くさい吸血鬼なんて産んでないわよ」
「ルーミアってさ、使う弾幕は薄いけど吐く言葉は容赦ないよね。
しかも10日とか妙に具体的な数字まで出してきよって」
「何言ってるの、私とレミリアが会ってないのって10日くらいじゃない」
「えっ」
「えっ」
「最初に「8ヶ月」と発言した事実を知らないなら、お前もそれなりに耳が悪い事になるね」
「吸血鬼の時間感覚が人間みたいに短いだけよ」
「ほー、貴女の感覚でいう1日はどれだけ気長なのかしら」
「誰かにぶつかったら」
「やたら偶然性が高い件について」
「いいじゃない、いっそ耳も塞いで、触覚以外はなんにも感じ取れなくなって宙に漂うの。
まんまるくらやみ、ふわふわおよいで、だれかとぶつかり、いたみをわかつ、かぜふくままの、ろまんひこう」
「何かの呪文かな?」
「これが、闇の風物詩」
「その割には食べ物の匂いにつられる不思議」
「生きてるだけでもお腹は空くもの」
「で、こんな夜更けに姿を隠したままでいるのも闇の風物詩かい?」
「今宵は絶好調ですので」
「心なしか楽しそうに空を飛んでいるように見えるよ。中身は見えないけど」
「お腹が膨れると幸せだもの。美味しい物で満たされたならこれ以上ない幸福だわ」
「それはよかった。ちなみに目上の者に食べ物を貢ぐ法律が最近できたのは知ってるかしら?」
「まるで今の話を聞いて思いついたかのような法律ね」
「だから最近と言っただろう。さあ、今すぐに取ってくるんだ」
「うわあ、わがまま」
「偉いもの」
「しょうがない、明日のご飯にしようと背負ってたけど、お腹いっぱいで気分が良いからお裾分けしてあげる」
べちゃっ
「獣くせえっ」
「それはまぁ、当然」
「あんた、こりゃ、まんま、獣の死骸じゃないのよ!」
「お刺身にしてもいいかもしれない」
「生は私の美意識に反する」
「ならメイドを呼べばいいと思うわ」
「いえ、そもそもそういう問題ではなくて、アンタが背負ってきた公害レベルの悪臭に耐えられないのだよ」
「後で洗えば済む話じゃない」
「お前の意見はどうでもいい。私が耐え難いものを私の住処に刹那の限りだって置いておくわけにはいかないわ」
「あら、追い出されて出入禁止になっちゃうのかしら」
「……お風呂空いてるから私の機嫌を損ねる前に汚らしい臭いを落としてきなさい」
「今の間は?」
「何の事かなぁ」
「10日も待たせてごめんね」
「8ヶ月だよ、待たせておいて間違えるなっ」
「……待ってたんだ」
「あ」
「やあ、8ヶ月ぶりねルーミア獣くせえ」
「やだ失礼しちゃう」
「「やだ」はこっちの台詞だよチミ。
そんな山田舎の臭いを撒き散らしてこの高潔なスカーレットハウスを汚さないでくれる?」
「あんただって血生ぐさい液体飲んでるじゃない、似たようなものよ」
「うちのメイドは優秀なの。ちゃあんと血の臭いは消してご主人様に献上しているさ」
「……減ってないのに冷めてるわね」
「良い香りでしょう?」
「ええ、体が痺れそうな植物の臭いがするわ」
「そうか良い香りか、なら今すぐ飲んでみるがいいわ」
「コウモリのくせに耳悪いのね」
「いい? 前にも言ったけれど、この時間のこの場所に来る奴はいないんだ。
もっとも、吸血鬼たるこの私を恐れず近づいてこれるような骨のある奴はそうそういないからね、当然でしょう。
何食わぬ顔で紅魔館の上から降りてきて図々しくもおやつをねだってきた大馬鹿者は貴女ぐらいのものよ。
まあ、そういう厚かましさは嫌いじゃあないからね、私も付き合ってやったわけさ。
それが突然いなくなって、おかげで夜のティータイムもまた一人きり。
この私をそんな目に遭わせた不届き者は罰せられるべきなのよ。
だからルーミアには咲夜が淹れた体が痺れる紅茶を飲む義務があるという事なの。
ドゥーユーアンダスタン?」
「レミリアがどういう子なのかがよく解ったわ」
「その、産んですぐの赤ちゃんを見つめる、今まさに母親になった女のような目はなにかな?」
「よく解ってるじゃない」
「獣くさい奴の子供になった憶えはないよ!」
「こっちだって10日離れたくらいで泣きべそかいちゃいそうな乳くさい吸血鬼なんて産んでないわよ」
「ルーミアってさ、使う弾幕は薄いけど吐く言葉は容赦ないよね。
しかも10日とか妙に具体的な数字まで出してきよって」
「何言ってるの、私とレミリアが会ってないのって10日くらいじゃない」
「えっ」
「えっ」
「最初に「8ヶ月」と発言した事実を知らないなら、お前もそれなりに耳が悪い事になるね」
「吸血鬼の時間感覚が人間みたいに短いだけよ」
「ほー、貴女の感覚でいう1日はどれだけ気長なのかしら」
「誰かにぶつかったら」
「やたら偶然性が高い件について」
「いいじゃない、いっそ耳も塞いで、触覚以外はなんにも感じ取れなくなって宙に漂うの。
まんまるくらやみ、ふわふわおよいで、だれかとぶつかり、いたみをわかつ、かぜふくままの、ろまんひこう」
「何かの呪文かな?」
「これが、闇の風物詩」
「その割には食べ物の匂いにつられる不思議」
「生きてるだけでもお腹は空くもの」
「で、こんな夜更けに姿を隠したままでいるのも闇の風物詩かい?」
「今宵は絶好調ですので」
「心なしか楽しそうに空を飛んでいるように見えるよ。中身は見えないけど」
「お腹が膨れると幸せだもの。美味しい物で満たされたならこれ以上ない幸福だわ」
「それはよかった。ちなみに目上の者に食べ物を貢ぐ法律が最近できたのは知ってるかしら?」
「まるで今の話を聞いて思いついたかのような法律ね」
「だから最近と言っただろう。さあ、今すぐに取ってくるんだ」
「うわあ、わがまま」
「偉いもの」
「しょうがない、明日のご飯にしようと背負ってたけど、お腹いっぱいで気分が良いからお裾分けしてあげる」
べちゃっ
「獣くせえっ」
「それはまぁ、当然」
「あんた、こりゃ、まんま、獣の死骸じゃないのよ!」
「お刺身にしてもいいかもしれない」
「生は私の美意識に反する」
「ならメイドを呼べばいいと思うわ」
「いえ、そもそもそういう問題ではなくて、アンタが背負ってきた公害レベルの悪臭に耐えられないのだよ」
「後で洗えば済む話じゃない」
「お前の意見はどうでもいい。私が耐え難いものを私の住処に刹那の限りだって置いておくわけにはいかないわ」
「あら、追い出されて出入禁止になっちゃうのかしら」
「……お風呂空いてるから私の機嫌を損ねる前に汚らしい臭いを落としてきなさい」
「今の間は?」
「何の事かなぁ」
「10日も待たせてごめんね」
「8ヶ月だよ、待たせておいて間違えるなっ」
「……待ってたんだ」
「あ」