Coolier - 新生・東方創想話

パラレルライン未満

2020/12/27 12:24:43
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今年もこの季節がやって来た。

時計の針がピンと背筋を伸ばせば

街頭に火が灯り人々は家路へと急ぐ。

子供たちは少し不満げな顔で10月の太陽はケチだと笑いあう。

ああ昔となにも変わっていない。

暗い部屋のなかで君を待っているのに聞こえてくるのは世界の表情だけ。

退屈を泡に変えて珈琲に溶かして飲み込む毎日。

まだ帰ってこないの?

言葉が宙に浮かんだまま時を永久に思う。

まだいまでも長い夜が始まりの鐘

『鳴らしたばかりだろ。』と君は言っていたけど、その『ばかり』は私にとっては一瞬に等しいわ。

それにその長い夜を君の隣で過ごせないことが問題だから。

早くこの鐘に気づいて。そして早く帰ってきて。

後悔の意味を思い出してちょうだい。

手遅れになる前に..


夜空に星の粒が頼りなく浮かんでいる。

その線を繋いだら君に辿りつけるの。

だけどそれは苔むした神秘の森へ繋がる小路だから

辿る指を折り曲げて固く握った手でも掴めない。

特に私は悪魔だから..

『月』と名付けたはずの君だけど

いつからか私のなかで太陽のように強く光を放ち

目をそらした隙に逃げていってしまった。

鳥籠で歌うカナリアを飼っても君の声は消せない。

矛盾の言葉はナイフに変わりいまでも私の心臓に深く刺さったまま。

『この身は貴女の傘になるでしょう。』

そうね。その通り。

今では君が太陽になっているの。

傘がないとあなたを出迎えることができないわ。

もう手遅れかな..


交じったあとは離れていくだけみたい。

もう帰らないの?時計の針は。

君の大事にしてた時計。

その針はあのときで止まったまま。

短針と秒針。

君と私が仲良く寄り添っている。

七回の抱擁をしてきたけど悠久の中じゃ刹那に等しい。

でも長い夜はまだ長いまま。

浮かんだ時は永久のまま。

早く気づいて。私に気づいて。

これ以上待っていたら後悔の言葉を言うのは私じゃなくて

君に変わってしまいそうだわ。

















「おいパチュリー。レミリアがなんか一人でぶつぶついってるんだが。」

「ん..今日はあの人の命日だからね..最もレミィは『いつかきっと帰ってくる。』といって認めないけど毎年この日になると物思いに更けるし本当は気づいているんでしょうね。」

「命日?誰のだ?咲夜か?」

「失礼ね。私は生きてるわよ。」

「おおそうか。すまんすまん。で、誰なんだ?」

「......」

「パチュリー?」

「....恋人よ。レミィの。」

「は?恋人...レミリアに恋人がいたのか⁉」

「昔の話。もうなん十年も前の話よ。」

「でそいつが死んだと..ちょっと待て。レミリアの恋人ということは吸血鬼だろ?なんで死んだんだ?」

「......だったから..」

「え?」

「人間だったからよ。」

「人間?レミリアは人間に恋したのか?」

「そうよ。」

「どう言うことだ?詳しk....」

「魔理沙。もう聞かないで。誰でも知られたくない過去はあるのよ。レミィだって知られたくないことがあるの。」

「お....おう..じゃ..じゃあほかになんかいえることはないのか?」

「そうね..私から言えることはただひとつ。レミィはその人間を愛し、その人間はレミィを愛した。これだけよ。」
....なんでレミリアの東方ボーカルって悲しくて切ない悲恋の曲が多いんでしょうね?
『吸血鬼が人間に恋をする。』その設定が一番胸にくるからかもしれませんね。
ねこふらん
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コメント



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1.100ふー削除
いいですね
2.90奇声を発する程度の能力削除
良かったです
3.100うー☆削除
良かった
5.100モブ削除
音楽からインスピレーションを得る。素晴らしいことだと思います。ご馳走様でした。