※百合注意。
※この話は全マリアリ好きに捧げたいんですよ。
───あんたが結婚なんてね……。アリスの苦労が知れないわ。
───アリスと一緒になればきっと返却率も上がるわね。期待しているわ。
───とにかく独身最後の夜なんだから飲め飲めー!騒げー!あはは~!
いつもと少し違う宴会の中、皆が口々に祝いの言葉をくれる。
明日は、私の結婚式。
誰よりも大切な彼女との、結婚式。
霧雨 魔理沙は走っていた。
全力で、速く速く。
とにかく少しでも早く彼女の元へ……!
「アリス!」
勢い良く扉を開ければ、もう既に準備の整った彼女と人形達がそこにいて。
一瞬で心も思考も、奪われた。
「───もうとっくに皆そろっているのに」
彼女のその言葉でハッとする。
そうだ、見とれてる場合じゃなかったんだ。
「わ、悪い!昨日霊夢達から独身最後の宴会だって引っ張り出されて……。あいつ、なんで起こさないんだよ!」
起きたら私だけが宴会場に取り残されて、もぬけの殻。
昨日居た面子の姿形、陰一つ見えない。
変わりにあったのは、一通の置手紙。
『二人で末永くお幸せに。まあ、とりあえず起きたらダッシュできなさい。
会場にて待つ一同より』
あいつら皆で謀ったに違いない。
この式が終わったら覚えとけよ……!
とにかく今は謝るしかない。
大事な人を不安にさせた事は謝ってすむものじゃないけど。
「ごめん!ごめんなさい!本当にすまなかった!もうこんな事無いようにするから!」
必死に頭を下げて謝っていると、頭上から一つため息が聞こえた。
「とにかく早く着替えて?早くしないとみんなにも悪いし……」
「お、おう!」
慌てて服を脱ぎ捨て、タキシードを持ち上げる。
着なれない服だから少し手間取る……というかたった一度最後のチェックで着たきりで、こんなの慣れるわけが無い。
後から着るであろうドレスにしてもそうだけど。
ふと横を見やればアリスが私の脱ぎ散らかした服を拾ってくれていて。
こんな大事な日なのに、落ち着いているアリスが少し羨ましかった。
と、そこで気づく。
そんなことしたら、折角のドレスが……!
「あー!いいよいいよ、私がやるから!そんな格好でそんな事したら汚れる!!」
「大丈夫よ、このくらい」
そう言うアリス手から自分の服を奪い、近くにあった椅子に座らせる。
「ダメだダメだ!いいからアリスは座ってるんだぜ!」
折角綺麗なのに、汚したらダメだ。
一生に一回の思い出なのに、汚したらいけない。
そんな私の思いを知ってか知らずか、彼女は微笑んでいる。
ドキン、と思わず心臓がなって。
思わず、ギュって抱きしめたくなって。
でも、今はそれよりこっちが大事。
さあ急げ魔理沙。これ以上大事な人を待たせてどうする魔理沙!
「だあああ!急いでるのに!!」
「そんなに急いでるからよ」
「だって急ぐんだもんさ!」
なんかもう、口調さえも変。焦りすぎて自分でもよくわからない。
それでもアリスはニコニコ微笑んでいて。落ち着いていて。
ああ、こいつには敵わないななんて少し思うのと。
その笑顔が私をもっと焦らせてるんだなんて少し思ったりして。
「よし、さあ行こう!」
やっと着終えて、アリスの手を取る。
急げ、急げ、急げ!
「ちょっと魔理沙!そんなに引っ張らないで!人形達が付いてこれないわ!」
後ろからそんな抗議が上がって、はっとする。
彼女の格好を考えたらすぐわかること。
歩きにくいに決まってるし、後ろを持つ人形が付いて来れなかったら転んでしまうかも知れないのに。
「あ、ああ。ごめん、つい……」
「もう……」
何か今日は失敗ばかりだな……。
自分にとっても一生に一度の、大事な日なのに。
思わず苦笑がもれる。
なんかもう、笑うしかない。
「もう……少しは落ち着いたら?せっかくの晴れ舞台なのに失敗しちゃうわよ?」
そう言いながら、アリスは私の頭を撫でる。
服もちゃんと直してくれて、なんかもう、本当情けない。
───アリスの苦労が知れないわ。
ふと、昨日の宴会での言葉を思い出す。
本当、こんな時まで迷惑かけるなんて。
「なんか今日はアリスに迷惑かけっぱなしだな……」
「あら?そんなのいつもの事じゃなくて?」
「それもそうか……」
そう返されて、頬を掻くしかなかった。
もう、その通り過ぎてそれ以外何も言えない。
こんなんで、私はアリスを幸せに出来るのか……?
「ねぇ、魔理沙」
俯きかけた私に彼女は声をかけてくれて。
「今日の私、どう?」
「どうって……そりゃあ……」
そんなわかりきった事、聞かなくてもいいのに。
視線を思わず逸らしてしまって。
いつもはごまかそうとするけど、さすがに今日はちゃんと言わなきゃ。
こんなに迷惑かけてるし、な。
「……すごく、綺麗だ」
ボソッと呟けば、彼女が嬉しそうにありがとうと言ってくれた。
言って良かったな、って思う。
これで少しでも、彼女を喜ばせてあげられただろうか?
そう思えば、何か嬉しくなった。
「魔理沙はこんな可愛いお嫁さんが貰えて幸せでしょ?」
その言葉に思わず彼女の方を振り向いて。
彼女はイタズラっぽい笑顔で、少し首をかしげていて。
そうかって、気づいた。
きっと彼女も、私と同じ。
「今、最高に幸せだ」
だからアリスも、今日はずっと笑顔なんだ。
そう思ったら、自然と彼女に笑顔を向けられた。
彼女が顔を逸らしたのは、きっと照れている証拠。
扉の前に、二人で立つ。
君と腕を組んで、空いている方の手は扉に当てて。
「さぁ、行くか!」
「えぇ、行きましょう」
二人で、扉を開け放つ。
そこに広がるは、皆の笑顔。
祝福の言葉と茶化す言葉が入り乱れる中、私たちは前に進んで行く。
これから先も、拡がるのはきっと皆の笑顔。
君の、笑顔。
泣かせることも、泣くこともあるかもしれない。
苦しめることも、苦しむこともあるかもしれない。
それでも、きっと私と君は笑顔でずっと一緒にいるんだろうと思うんだ。
この両手に持ちきれない幸せを、笑顔に変えて。
君と二人で、みんなに笑顔を振りまきながら。
※この話は全マリアリ好きに捧げたいんですよ。
───あんたが結婚なんてね……。アリスの苦労が知れないわ。
───アリスと一緒になればきっと返却率も上がるわね。期待しているわ。
───とにかく独身最後の夜なんだから飲め飲めー!騒げー!あはは~!
いつもと少し違う宴会の中、皆が口々に祝いの言葉をくれる。
明日は、私の結婚式。
誰よりも大切な彼女との、結婚式。
霧雨 魔理沙は走っていた。
全力で、速く速く。
とにかく少しでも早く彼女の元へ……!
「アリス!」
勢い良く扉を開ければ、もう既に準備の整った彼女と人形達がそこにいて。
一瞬で心も思考も、奪われた。
「───もうとっくに皆そろっているのに」
彼女のその言葉でハッとする。
そうだ、見とれてる場合じゃなかったんだ。
「わ、悪い!昨日霊夢達から独身最後の宴会だって引っ張り出されて……。あいつ、なんで起こさないんだよ!」
起きたら私だけが宴会場に取り残されて、もぬけの殻。
昨日居た面子の姿形、陰一つ見えない。
変わりにあったのは、一通の置手紙。
『二人で末永くお幸せに。まあ、とりあえず起きたらダッシュできなさい。
会場にて待つ一同より』
あいつら皆で謀ったに違いない。
この式が終わったら覚えとけよ……!
とにかく今は謝るしかない。
大事な人を不安にさせた事は謝ってすむものじゃないけど。
「ごめん!ごめんなさい!本当にすまなかった!もうこんな事無いようにするから!」
必死に頭を下げて謝っていると、頭上から一つため息が聞こえた。
「とにかく早く着替えて?早くしないとみんなにも悪いし……」
「お、おう!」
慌てて服を脱ぎ捨て、タキシードを持ち上げる。
着なれない服だから少し手間取る……というかたった一度最後のチェックで着たきりで、こんなの慣れるわけが無い。
後から着るであろうドレスにしてもそうだけど。
ふと横を見やればアリスが私の脱ぎ散らかした服を拾ってくれていて。
こんな大事な日なのに、落ち着いているアリスが少し羨ましかった。
と、そこで気づく。
そんなことしたら、折角のドレスが……!
「あー!いいよいいよ、私がやるから!そんな格好でそんな事したら汚れる!!」
「大丈夫よ、このくらい」
そう言うアリス手から自分の服を奪い、近くにあった椅子に座らせる。
「ダメだダメだ!いいからアリスは座ってるんだぜ!」
折角綺麗なのに、汚したらダメだ。
一生に一回の思い出なのに、汚したらいけない。
そんな私の思いを知ってか知らずか、彼女は微笑んでいる。
ドキン、と思わず心臓がなって。
思わず、ギュって抱きしめたくなって。
でも、今はそれよりこっちが大事。
さあ急げ魔理沙。これ以上大事な人を待たせてどうする魔理沙!
「だあああ!急いでるのに!!」
「そんなに急いでるからよ」
「だって急ぐんだもんさ!」
なんかもう、口調さえも変。焦りすぎて自分でもよくわからない。
それでもアリスはニコニコ微笑んでいて。落ち着いていて。
ああ、こいつには敵わないななんて少し思うのと。
その笑顔が私をもっと焦らせてるんだなんて少し思ったりして。
「よし、さあ行こう!」
やっと着終えて、アリスの手を取る。
急げ、急げ、急げ!
「ちょっと魔理沙!そんなに引っ張らないで!人形達が付いてこれないわ!」
後ろからそんな抗議が上がって、はっとする。
彼女の格好を考えたらすぐわかること。
歩きにくいに決まってるし、後ろを持つ人形が付いて来れなかったら転んでしまうかも知れないのに。
「あ、ああ。ごめん、つい……」
「もう……」
何か今日は失敗ばかりだな……。
自分にとっても一生に一度の、大事な日なのに。
思わず苦笑がもれる。
なんかもう、笑うしかない。
「もう……少しは落ち着いたら?せっかくの晴れ舞台なのに失敗しちゃうわよ?」
そう言いながら、アリスは私の頭を撫でる。
服もちゃんと直してくれて、なんかもう、本当情けない。
───アリスの苦労が知れないわ。
ふと、昨日の宴会での言葉を思い出す。
本当、こんな時まで迷惑かけるなんて。
「なんか今日はアリスに迷惑かけっぱなしだな……」
「あら?そんなのいつもの事じゃなくて?」
「それもそうか……」
そう返されて、頬を掻くしかなかった。
もう、その通り過ぎてそれ以外何も言えない。
こんなんで、私はアリスを幸せに出来るのか……?
「ねぇ、魔理沙」
俯きかけた私に彼女は声をかけてくれて。
「今日の私、どう?」
「どうって……そりゃあ……」
そんなわかりきった事、聞かなくてもいいのに。
視線を思わず逸らしてしまって。
いつもはごまかそうとするけど、さすがに今日はちゃんと言わなきゃ。
こんなに迷惑かけてるし、な。
「……すごく、綺麗だ」
ボソッと呟けば、彼女が嬉しそうにありがとうと言ってくれた。
言って良かったな、って思う。
これで少しでも、彼女を喜ばせてあげられただろうか?
そう思えば、何か嬉しくなった。
「魔理沙はこんな可愛いお嫁さんが貰えて幸せでしょ?」
その言葉に思わず彼女の方を振り向いて。
彼女はイタズラっぽい笑顔で、少し首をかしげていて。
そうかって、気づいた。
きっと彼女も、私と同じ。
「今、最高に幸せだ」
だからアリスも、今日はずっと笑顔なんだ。
そう思ったら、自然と彼女に笑顔を向けられた。
彼女が顔を逸らしたのは、きっと照れている証拠。
扉の前に、二人で立つ。
君と腕を組んで、空いている方の手は扉に当てて。
「さぁ、行くか!」
「えぇ、行きましょう」
二人で、扉を開け放つ。
そこに広がるは、皆の笑顔。
祝福の言葉と茶化す言葉が入り乱れる中、私たちは前に進んで行く。
これから先も、拡がるのはきっと皆の笑顔。
君の、笑顔。
泣かせることも、泣くこともあるかもしれない。
苦しめることも、苦しむこともあるかもしれない。
それでも、きっと私と君は笑顔でずっと一緒にいるんだろうと思うんだ。
この両手に持ちきれない幸せを、笑顔に変えて。
君と二人で、みんなに笑顔を振りまきながら。
結婚前夜ってドラえもんのせいかかなり夢みちゃってる自分にはもろストライクでした!
この話の前後を期待したくなるほど良い。
面白かったです。
末長くお幸せに!