Coolier - 新生・東方創想話

可愛い妹には敵いません

2010/08/11 16:13:10
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ある日、博麗神社では宴会が催されていた。
特に理由はない。博麗神社に集う人妖にとって、宴会に理由などいらない。
それでも強いて理由を述べるなら、そこに宴会があるからだ、と皆笑って答えるだろう。






「お姉様~!」

宴会も半ばに入り、皆程良く酔っぱらった頃、
一人杯を傾けていたレミリアに、フランドールが抱きついてきた。
素早く首に手を回すと、レミリアの膝に腰を下ろす。
その顔は耳まで赤く、酷く酔っていることが見て取れる。
おそらく限度を知らず、周囲に進められるままに飲んでいたに違いない。

「どきなさいフラン」

そんな妹を優しく窘めるレミリア。
普段のフランドールなら姉に注意されれば、すぐに退いただろう。

「やだ」

しかし、フランドールは酔っているせいか強情だった。

「どきなさい」
「絶対にイヤ」

再度窘める姉に、腕に力を込め体を密着させることで拒絶の意志を示すフランドール。

「いや~ 仲いいね~」
「うむ、私たちにもあんな時代があったな」

近くで飲んでいた神2柱がニヤニヤしながら眺めていた。
だまれ蛙と蛇、とレミリアは内心罵る。

「フラン、いい加減にしなさい」
「う~」

少し口調を強めたレミリアだったが、それでもフランドールは引くつもりがない。

「どうしても放す気がないのね」

レミリアの口調に怒気が混じる。
ビクッと一瞬怯えたフランドールだったが、意を決したように口を開いた。

「キスしてくれたら放してあげる」
「はっ? なに言ってるの?」

妹からの唐突な要求に、怒りから一転戸惑うレミリア

「だから~、放してほしかったらキスして。あっ、もちろん唇にだよ」
「そんなことできるわけないじゃない!」
「じゃあずっと放さない」

ぎゅっと体を密着させ頬ずりをしてくるフランドール。
レミリアの顔に若干の朱色が混じる。

「やめなさいって、みんなが見てるでしょ」

今や2人は注目の真っ只中にいた。

「あやや~ どう転んでもいい記事になりそうです」
「ちょっと、私が先に目をつけたのよ」

2人の天狗がカメラをじっと構えていた。

「レミリアが暴れるに森で採ってきた茸を賭けるぜ」
「私も切れて暴れるに人形1体出すわ」
「私は隙を突いて逃げ出すに先月の賽銭全部」
「無いものは賭けられませんよ」
「うるさいわね、あんたもなんか出しなさい」
「では私はレミリアさんがう~う~鳴きだすに先週分のお賽銭を、
 あっ、もちろんきちんとありますからね。どっかの神社とは違って」
「くっ・・・・・・」
「ふふん♪」

更には賭事まで行われ始める。
紛いなりにも神社で賭博行為はどうなのだろう、とレミリアは考えたが
そんな事より皆暴れるだの逃げ出すだのに賭けていることが、非常に気に食わなかった。
そのためか、何とか口で説き伏せようとするレミリア。

「フラン、その話は帰ってからしましょ。だから放して」
「やだ、キスしてくれるまで放さない」

レミリアが示した、妥協案にもならない妥協案は、いともあっさり却下される。

「ふん、キスがなんだってのよ。吸血鬼も情けないわね」
「私と総領娘様はいつもしてますものね」
「ちょっと! なに人前で言ってるの!」

バカップルが騒いでいた。

「あらあら、キスぐらいであんなに慌てちゃって」
「あなたと違って若いんですよ。まったく年をとるとデリカシーが・・・・・・」
「ひどい! ゆかりん泣いちゃう!」
「キモイです。年を考えてください、年を」
「うえ~ん」

スキマと狐も騒いでいた。
あちらこちらで騒ぎはあったが、状況は概ねフランドールに好意的だった。

「お姉さま、私とキスするのはイヤ?」
「・・・・・・姉妹ですることではないわ」

酒を飲んでも節度は守るレミリアだったが、

「バカ~」
「ようじょ~」

周りからはヤジが飛んだ。
氷精がバカと叫び、子鬼がようじょと叫ぶ姿はある意味自虐的である。

「お姉様、このままだと場を盛り下げるだけよ」
「うっ・・・・・・」

レミリアとて空気が読めないわけではない。
皆がキスシーンを望んでいることぐらいわかっている。

キ~ス! キ~ス! キ~ス! キ~ス! キ~ス! キ~ス!

遂に宴会場中から巻き起こるキスコール。
この酔っ払い共め! とレミリアは心の中で悪態をついた。
未だ踏ん切りのつかないレミリアに、フランドールはそっと耳打ちする。

「お姉様はそんなにイヤなの? 私は家族として愛情を示してほしいだけなのに」

その言葉にレミリアは、ふと考えを巡らす。
確かに、自分たちは長い間まともな姉妹関係を築いてこなかった
もしかしたらフランはただ愛情に飢えているだけなのかもしれない
ならば、少しぐらい恥をかいても、応えてやるのが姉の務めではないのか!

自覚は無いだろうが、レミリアも少し酔っていた。

「しょうがないわね、ちょっとだけよ」
「うん!」

嬉しそうに笑うフランドール。
レミリアはフランドールの頬に手を当てると、

ちゅっ!

触れるか触れないか程度に一瞬だけ唇を合わせる。
おおー! と歓声に沸く酔っぱらい。焚かれるフラッシュ。
親総取りを宣言し、一部からブーイングを受ける賭元締めの紫もやし。

「・・・・・・フラン」

しかしレミリアにはそんな騒音は耳に入らず、薔薇のように微笑むフランドールを、可愛いなと見惚れていた。




宴会の翌日
レミリアが廊下を歩いていると、出会い頭にフランドールが抱きついてくる。

「キスしてくれるまで離さないわ」
「しょうがない子ね」

レミリアは軽く口付けしてやる。
触れ合う瞬間フランドールが頭を動かしたため、
唇が昨日より密着したが、レミリアは然程気に留めなかった。

「ありがとお姉様!」

向日葵のような笑顔で去っていくフランドール。
レミリアはその背中を、まだまだ子供ね、などと思いながら見送った。










「レミィのことだから1年持たないわね」
「いやいや、2,3年は持ちこたえるのでは」
「おっ、お嬢様に限ってそんな・・・」
「まあ、頑張って下さい咲夜さん」
その頃、別の場所では『お嬢様は何年で堕ちるか』という賭けが従者達によって行なわれていた。
 ここまで読んでくださってありがとうございます。
始めは他の話を書いていたのですが、なんか全然キーボードが進まなかったので、
力でも抜いてみようと、途中で放置していたフラレミを書いてみました。

 誤字脱字等あれば教えていただけると嬉しいです。
では、お粗末さまでした。
clo0001
http://twitter.com/clo0001
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コメント



0.1610簡易評価
4.100再開発削除
はやくデレろ、お嬢様!!
10.100名前が無い程度の能力削除
結婚するまで…
16.70名前が無い程度の能力削除
こういうのを落ち着いて見れるのは大人の証。
興奮して見るの紳士の嗜み。
27.90名前が無い程度の能力削除
1年もたないに1標