Coolier - 新生・東方創想話

弾幕ごっこ

2015/07/15 21:46:24
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私は数年前から慧音の提案で自警団として里の警邏に加わっている。
不老不死の私は避けられるのではないかと考えていたが、幻想郷ではそんな不安は不要だった。
今では私のライフワークになっている。
ある非番の昼過ぎ、自分の小屋でまどろんでいると慧音が古いVHSを持って来た。
私の小屋にテレビやデッキはない。
いつものように、とりあえず寺子屋に行くことにする。
私たちは職員室の備品のテレビデオを借りるつもりだった。
私は寺子屋の裏にある小型のエンジンを始動させ職員室に向かった。
慧音がデッキにビデオを入れると、古い映画が始まった。
『I know what you're thinking. Did he fire six or only five ? Well, to tell you the truth, in all this excitement I've kind of lost track myself. But being this is a 44 magnum, the most poweful handgun in the world, and would blow your head clean off... you've got to ask one question:"do I feel lucky ? " Well, do ya, punk ?』
何を言ってるか分からんが、猛烈にかっこよかった。
ふぉてぃふぉまぐなむ?何か分からんが撃ってみたい。
銃はいい。
非力な女性でも男性と同じ殺傷力を持つことができる。
外にいたときは自衛のために短筒を使ったことがある。
妖術も使えるが、人間相手にはなるべく使わない。これが私のポリシーだ。
映画が終わると、私はとりあえずある人物に電話をした。
「もしもし、八雲様ですか。ええ、藤原妹紅です。ええ、お世話になっております。本日はお願いがありまして。いえ、ミニじゃないです。実は・・・」

数年後、やっと私にチャンスが回ってきた。

私が里でぶらついて(警邏して)いるとあたりが騒がしくなった。
発砲音
面倒なことが起こったらしい。
不謹慎ではあるが、退屈な警邏に刺激が加わったことに喜びながら、私はジャケットのボタンを外し、音がした方向に走った。
私が角を曲がると、ちょうど両替屋の前に古いモーリスのトラベラーが停めてあった。
そして、2人の男が車のトランクルームに乗るところだった。
里は基本的に車の乗り入れが禁止されている。
ここに車を乗り付けている時点で違反だ。
「止まれ」
私が叫ぶと1人の男が下りてきてライフルを構えた。
こいつら正気か。ここは荒野のウエスタンか?
私が回避行動を取るのと同時に、男は私に向けて発砲した。
弾は私がいた場所を通過し茶屋の壁にめり込んだ。
「相手から撃って来たんだから、こっちも撃っちゃっていいよね」
私は誰に聞かせるでもなく言い訳をした。
私はショルダホルスタから銃を抜き、とりあえず撃ってきた男の頭に照準し、撃った。
命中。
1人目の男が倒れて伸びた。
私の弾は非致死性のゴム弾だ。
犯罪者だとしても映画みたいに撃ち殺して良いわけがない。
ゴム弾といっても死にはしないが頭に当たれば気絶させられる程度の威力を持つ。
車は伸びた男を拾わないまま、私に向かって急発進した。
仲間を捨てて逃げるようだ。
私は威嚇射撃のつもりで運転手に向けダブルアクションで続けて2発撃った。
幸運なことに運転手は弾丸をよけるために、ハンドルを左に切ってくれた。
そして、車はそのまま魚屋に突っ込んで止まった。
運転手はハンドルに頭をぶつけて気絶していた。
私は銃を構えたまま、ゆっくりと車に接近する。
車の中から這い出た男が立ち上がり、私にライフルを向けようとした。
私は照準される前に撃った。
銀行強盗は4人でやるものだと本で読んだことがあるが、今回は3人のようだ。
全員が伸びていることを確認すると私は相棒に電話をした。
これだけ騒ぎになっていれば通報が行っているだろうが、仲間に早く来てほしかった。
「もしもし、妹紅だ。」
「妹紅さん、大変ですよ。強盗です。銃を持ってるんですよ。早く両替屋に行ってください」
「もう、片付けたよ。手錠が足りないんだ。なんでもいいから早く持って来い。2人分だ」
気絶した強盗を見張りながら私は相棒に指示を出した。
「二人ですか。通報だと4人という話ですが・・・」
「4人だと?」
その時、発砲音とともに左腕に激痛が走った。
「つっうぅぅ」
私は歯を食いしばり、叫ぶのをこらえた。
弾は骨を砕き、肉をそぎ落としながら私の左腕を通り抜け、穴をあけた。
私は、撃たれた方向に振り向いた。
両替屋の前には仲間と同じボルトアクション式のライフルを持った男が立っていた。
男はボルトを往復させ終わり私に銃口を向ける最中だった。
しかし、なんでこんな近距離でライフルなんて使おうと思うんだ。
私は鹿や猪じゃない。オーバーキルもいいところだ。
まぁ、死ぬことはできないが・・・。
それはさておき、今から撃っても男の射撃を止めるには間に合わない。
私は男の右側に回り込むように走り、回避行動を取る。
男の弾が私の髪を切り裂いて飛び去った。
男は急いでボルトを引き、次弾を装填しようとするがもう遅い。
私は銃を抜き撃った。
私の弾は男の腹にあたった。
男は銃を取り落とし、腹を抱えてうずくまった。
私が男に近寄ると、男は顔をあげた。
私はこれ見よがしに撃鉄を起こし銃口を男に向けた。
「派手にやってくれたな」
「てめぇか、藤原妹紅ってアマは」
「そうだ、お前のお友達を何人か捕まえたからな。有名人になっちまったか」
私はなんとか痛みを表情に出さないよう、精いっぱいの軽口をたたいた。
左腕は再生を始めているが、まだ痛い。
えぐられたような傷は治りが遅いのだ。
「くそったれが」
男は袖に手を伸ばそうとした。
「おっと、動くなよ。こいつが目に入らないのか。ゴム弾だが、この距離で当たればお前の不細工顔をちょっとはマシに整形してやれるぐらいの威力はあるんだぜ」
「弾切れだろ、ハッタリ野郎が。でなきゃもう撃ってる。」
「お前を担いで牢屋に入れても、歩かせて入れても、私はどっちでもいいんだ。なぁ、お前に運があるか賭けてみるか。撃った数を数えてたつもりだったんだが、5発撃ったのか6発撃ったのか覚えてないんだ。お前に撃たれた左腕のせいでな」
「やってみな」
私は躊躇なく引き金を絞った。
撃鉄が雷管に当たり、発生した小さな火花が火薬を爆発させる。
爆発のエネルギを受けたゴム弾はバレルで回転を加えられながら通過し、男の眉間に突き刺さって落ちた。
「あら、1発残ってたか。6発撃ち切ったつもりだったんだけどな」


蛇足

「妹紅さん派手にやりましたね」
私がオフィスで書類整理をしていると相棒が声をかけてきた。
「うるせぇよ。ちょっと報告書と始末書を書くの手伝ってくれよ」
「ダメですよ。私だって妹紅さんの尻拭いで忙しんですから。妹紅さんのおかげで魚屋は半壊。奇跡的にあの銃撃戦で負傷者は出ませんでしたが、里のど真ん中で銃撃戦とか正気の沙汰じゃないですよ」
「お前な、負傷者なしって言うが私は左腕を吹き飛ばされたんだぞ。心配しろよ」
「最初に会った時に、すぐに治る体質だから心配するなって言ってたじゃないですか」
「そういう意味で言ったんじゃぇよ」
「そうですか、じゃぁ、包帯と赤チンでも要りますか。痛くないですか」
「いらねぇよ。もう、治ってる」
「じゃぁ、さっさと報告書を書いちゃってください。あ、そうだ、これ、ゴム弾の補充分です。撃ちすぎないようにしてください。これ、高いんですから」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
分かる人にはわかると思いますが、キャラハン警部かっこいいですよね。
憧れです。
今回はただ単に妹紅に"you've got to ask one question:"do I feel lucky ? "と言わせたかっただけです。
あまり意味はないストーリなので軽く読んでいただければ幸いです。
mini
[email protected]
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コメント



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1.70たか削除
キャラハン警部本当に格好いいよね
今でも憧れよ
3.10名前が無い程度の能力削除
全く東方の二次創作に見えませんでした。
4.30名前が無い程度の能力削除
パラレルな幻想郷は良いのですが
銃が出回ってる理由、機会車輛やそれを維持できる理由、この世界での八雲紫の立ち位置、etcetc、などをサラっとでも入れ作品世界に連結性、説得性を持たせた方が読者も違和感無く読むのでは? 書きたい部分だけ書きましたでは、なかなか評価は貰えないでしょう。文章其の物に力が有れば又別ですけど。