Coolier - 新生・東方創想話

キュウソネコカメズ

2013/01/28 15:05:37
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「お   っは  よう ございまああああああああああああああああす!!!!!!!!!!!!!」
幻想郷の朝に響子の目覚ましヤッホーが響き渡る。(ぬえの枕元から。)
目覚めを通り越して気絶したぬえを置いて、命蓮寺の面々は皆目を覚ます。
「ん~…いい天気だ」
今日は目覚めがいい。しかも天気もいい。最高だ。なんかいい事ありそうだ。
そう考えているのはナズ―リンである。
「今日はいい財宝が見つかりそうだな。うん」
思わずそんな独り言も言ってみる。とにかく気分がいい。調子がいい。絶好調だ。
「みんな、おはよう!」
ナズはいつも以上に元気に居間の障子を開ける。
あまりに元気な姿にみんながさぞ驚くだろう、そんな事とか考えて、開ける。
考えて開けたのだが、
「って、ど、どうしたんだ、みんな!?」
驚いたのは、ナズの方であった。


キュウソネコカメズ

「にゃむさ~ん」
「にゃず~ほうとー」
「UNYAAAN」

「ど、どうしたんだ、みんな!?」
『にゃ?』
障子の向こうにいた面々がみんな猫耳を生やしている。
響子も、マミゾウも、一輪も、寅丸も、村紗も、白蓮も、雲山も
みんな猫耳装備だ。
猫耳だけじゃない、尻尾まで完備してる。完璧に、猫だ。
「にゃ?じゃない!いったい、どうしたんだ、君たちは!?」
『にゃ~?』
「話通じねぇ!?つか雲山、君まで猫にならんでいい!!」
「NNYA?」
「やめろー!?」
どうやら、この猫命蓮寺メンバーは頭の中まで猫になっているようだった。
食べてるものがまずモン●チだ。魚の芳しい匂いが充満している。
「い、いったい何が…ん!?」
ナズが困惑していると、急に猫化した面々の目の色が変わっている。
これは、エサを見つけた時の目だ。
「ははは…猫だから鼠を食べるって事か…馬鹿馬鹿しいにも程があるぞ…」
新手のドッキリ。ナズはそう考えていたのだが、目つきをみる限り、マジだ。
さっきまでかわいい声で鳴いていたのだが、それが低い音色に変わっている。
寅丸に至っては、
「グルルルルル…」
虎になってる。
「主人、猫科っちゃ猫科だが、一応猫か虎どっちかにしてくれ」
『うみゃ~!!!』
「うわ!?逃げよう!?」
相変わらずドジっぽい寅丸にいつも通りツッコミを入れていたら、急に襲われた。
必死にナズは逃げる。そして、猫化した面々がナズを追いかける。もちろん雲山猫も
「UNNYAAAN!」
オヤジボイスが聞こえる。
「頼む!君だけは来るな!?キモチワルイ!!」
「NYAAA!!」
猫耳生やしたオヤジフェイスが、迫る。
「いやああああああ!?!?」
ナズは、猫雲山から必死に逃げた。



「はぁ…はぁ…ここまで来れば…」
人気の無いような場所に逃げ込んだ。例の猫軍団、いや、猫雲山の姿は見えない。
「まったく、なんなんだあれは…ぬえの仕業か?まさかとは思うが…」
ナズは自分の頭を探ってみた。ここまで逃げて自分も猫だったというオチは勘弁だ。
「………!!!
ね、鼠耳…っ!」
ナズは思わずガッツポーズをしてしまった。すると、
カシャという音が聞こえた。そして、高速で何かがナズの近くに落下、いや、着地してきた。
「こんな所で何一人でガッツポーズしてるんですかねえ?」
「…君か」
文だ。めんどくさいものをめんどくさいやつに見つけられた。
「取材、いいですか?」
ナズは悩んだ。ここで、あのことを言っておくべきか、それとも適当にごまかすか。
(ここで言えば、もしかしたらこの文屋が何か手がかりを探してくれるかもしれない…しかし、信じてもらえるか…何よりあんな事、普通じゃ愛有り得ない、異変にしてもいくらなんでも意味が分から無すぎる…コイツに変に書かれるのがオチか…?)
「ナズ―リンさん?」
文が話しかけても、ナズは返事もせず考え込んだ。しかし、考える意味は無かったようだ。
ドドドドド…そんな轟音が聞こえてくる。瞬間、ナズは冷汗が出始めた。
「ナズ―リンさん?聞こえてます?」
轟音が、近づく。ナズの冷汗が、それに比例するように、増える。
「にゃああああ…」
悪魔の声が聞こえてきた。そして、姿が見えてきた。猫化した命蓮寺のメンバー、そして、猫雲山が。
「にゃあああ!!!」
「NYAAAAA!!!!」
しかも、人民を巻き込んだのか、なんか明らかに増えている。遠目でみてもそれが分かる。
猫魂と書かれた小さい人も見える。
「き、来た…っ!!」
「え?あれ何?一体とんでもないのが紛れてるけど。てか、ひろし混ざってるけど」
文も取材どころじゃなさそうな雰囲気をなんとなく感じ取ったようだ。でも、一応写真は撮ってある。
そんな文にナズは、
「君!私を助けてくれ!?」
「え?」
助けを求めた。もう距離はそう遠くない。もう逃げなければ。しかし、ナズの速さが限界がある。だから文に頼む。天狗のスピードには流石について来れまい。
「いいから!追われてるんだ!頼む!訳も全部話すから!」
「え?ああ、はい!」
必死のナズを文は抱えた。そして、
「しっかり捕まっててくださいよ!【風神少女】!」
「うわ!?」
強烈なGが掛かり、慣れないナズはそれに飛ばされそうになるが、必死にしがみつく。
そして神速でその場から逃げ去った。



「ここに来れば安全でしょう」
「あ、ありがとう…それにしてもここは?」
「天界です。ここまで昇ってくるのは時間が掛かるだろうし、そもそもあの猫みたいなものを私のスピードで、これだけ引き離したのです。まず追ってこれないはずです」
天界にやってきた事を説明した後、文がナズを降ろすと、ナズは力なく倒れた。
「あややや、大丈夫ですか?」
「あ、ああ、大丈夫だ。ちょっとビックリしただけだよ…」
体感したことの無いスピードに、全身の力がなにか抜けるというか、怖かった。
「そうですか。とりあえず、あれなんですか?」
「私も分からない。朝起きたらみんなああなっていた」
「朝起きたらですか?」
文の問いになんとか立ちあがりながら答える。文は“それじゃ曖昧すぎる”という顔をしているが、ナズもこうとしか答えようがない。
「すまない、本当にどうしてああなったか分からないんだ」
「う~ん、そうですか…」
二人が猫現象について考えていると、声が掛かってきた。
「どうしましたか?お二人さん」
『!』
優しそう、しかし、どこか疲れを感じる声が聞こえた。
衣玖だ。
美しき衣を纏った、細長い銀色の体。しかし薄っぺらい。空気を読む事に定評のある衣玖だ。空気を読んで姿を変えたようだ?
『って、ぎゃああああ!!リュウグウノツカイーー!!!』
「龍宮の使いですけど?」
『こいつ分かってねえええ!!!』
「まったく、人を化物みたいにいわないでくださいよー。妖怪ですけどー」
『そういう問題じゃないから!?』
二人が口を揃えてツッコミを入れてる時だった。
龍宮の使いっぽいリュウグウノツカイから鮮血が噴き出た。
『ギャーイクサーン!!』
「まったく、マズイわね、この魚」
色みが消えていく魚肉を食ってはペッと吐き出す。
長く伸びる青い髪。そしてまな板。天子だ。
「あら、天子さん!…あなたも、ですか」
魚を食う…何より帽子を突き破って見えるは猫耳。
「ひにゃにゃいてんちが会いに来てやったわよ」


「噛んだな」
「…ひにゃにゃにゃい」
「噛みましたね」
「比那名居天子が会いに!」
「君、猫化してる設定だぞ」
「ひにゃない天子が!」
「言えてないですねえ。尺足りなくなるので、ラストですよ?」
「ひにゃにゃうぃ天子が!!」
「言えてないな。次行こうか、文」
「そうですね、ナズ―リンさん」
…二人は天界を後にした。
「ところで、どうやって降りるんだ?大分高かったような気もするが」
「それはもう…『エエエェ(´Д`)ェエエエ』って」
「大問題な降り方だな。ネタの鮮度的に」
「…そうですね、普通に降りましょう」


数分後
「ひにゃにゃゐてんしが!会いに来てやったわよ!
言えた!言えたよ!さあ、猫になった私に驚くがいい!!」
…………………………しかしだれもいなかった。



そんなこんなで場所は変わって霧の湖。
「この辺りなら猫化した気配はありません。しばらくは安泰でしょう」
と文。辺りには猫どころか、人間の姿も無いから、当然といえば当然の話だ。
「すまないな。こんな所まで」
「いえいえ、お礼にネタの一つでも聞かせてもらえばいいですって!」
「まだネタを要求するか。さっきの猫軍団で十分ネタになっただろう」
天狗はやはりめんどくさい。ナズは溜息一つつきそう考える。
「あれ?しゃめーまるにナズチューじゃん」
そんな所にまた二人に声が掛かる。二人がそちらに振り向くと、
「こんな所で何してんの。あたいと勝負でもしにきたの?」
チルノだ。しかも猫耳生やした。
(この⑨、耳生えとる!!)
が、猫耳が生えているにも関わらず、チルノは猫言葉になってない。そしてナズを襲おうとしてこない。単なる付け耳なのか、それとも⑨だから気づいてないだけなのか。
「な、なあ、チルノ…」
「どうしたナズチュー」
「その猫耳はどうした?あと、ネズチューみたく言わないでくれ」
「ん?」
チルノが自分の頭部を探り出した。そして猫耳を掴むと…
「ん?お?なんか生えてる!」\やべえ!/
(やっぱり、気づいてなかったか、この⑨!!!)
「なにこれ、取れなiいたたたた!!」
チルノは猫耳を取ろうと引っ張るが、やはり生えているようだ。まったく取れる気配は無いし、痛覚も通っているようだ。
「あ、あんた達!見てないで取るの手伝ってよ!」
『え?』
「いいから!」
チルノはとることに必死のようだ。襲われる気が全くしないナズと文は仕方なく手伝うことにした。チルノは一度座り、ナズと文が片方ずつ耳を掴む。そして、
『せーっの!!』
「いたいいたいいたいいたいいたい!!!!」\いてえ!/
引っ張る。
「抜けないな…」
「抜けませんね。じゃあ、もう一度」
『せーっの!!』
\いてえ!/
引っ張る。
「ほんとに生えているようだな、これ」
「くっついてるって感じじゃないですね」
『せっーの!!』
\いてえ!/
引っ張る。
「これ以上は流石に可哀そうになってきたぞ」
「そうですね、これで抜けなかったら止めましょう」
『せーっの!!』
「に゛ゃ゛あああああああああ!!!!!」
抜けた。が、血ではないものの、水がぶしゅっと飛び出て、チルノは倒れてピクリとも動かない。まるでしかばねのようだ。
「…文。私達は今モノスゴイ事をやってしまった気がするぞ…」
「あ、あれ、チルノさん?…に、逃げましょう!証拠隠滅はわ、私に任せてください!」
「あ、ああ!」(聖…私はもう戻れないかもしれない…)


数十分後
「チルノちゃ~ん!どこ~?」
大妖精はチルノを探していた。いつもならここで遊んでいるはずのチルノが見つからない。
今日はチルノと遊ぶ約束をしていた。チルノの事だから忘れててもおかしくは無いが。
「…おかしいな?チルノちゃ~ん?」
大妖精は何か妙な胸騒ぎを感じた。
そして、その胸騒ぎは当たる事になった。
「…にゃああああああああ!!!!」
湖にプカプカ浮かぶチルノの無残な姿を見てしまった。



「な、なあ、文。あれで本当に良かったんだろうか?」
「わ、私達は、チルノさんに頼まれて耳を引っこ抜いただけです…な、何も悪い事は…
と、とりあえず、この手の異変はあの人に頼むのが一番ですから。行きましょう!」
二人が逃げた先は博麗神社。目的はもちろんあの人物だ。
博麗霊夢。訳を話せば、動いてくれるはずだと文は考え、ここに来た。
「猫耳が無かった事になれば、チルノさんも猫耳のあった部分は修復されるはずです。私達の為にも動いてもらわなければ。霊夢さ~ん!」
霊夢は外にいないようだった。まあ、呼べばでてくるだろうと、二人は声を出す。
「霊夢さ~ん!聞こえますか~!」
「霊夢!話があるんだ!」
しかし二人が外から呼びかけても霊夢が出てくる雰囲気は無い。いる気配すら感じないほどだ。
「…いないんでしょうか?」
「そんな気がしてきた」
しかし、それで引き返す訳にはいかない。居留守しているのかもしれないと、二人は中に入ることにした。
「霊夢さ~ん、入りますよ~…あややや!?」
「入るぞ。霊夢…うわ!」
そこにいたのは炬燵で寝ている霊夢と魔理沙。しかも猫耳生やした。
二人はそっと、外に一度出た。
「どういうことだ…あの二人も猫になっているじゃないか」
「困りましたねえ…」
異変解決のプロ二人が戦力外。しかも、
「にゃああ…」
中から猫霊夢の声が聞こえた。
「まさか起きたんじゃないだろうな…」
「どうにしろ、あまり考えている時間は無いですね」
物音も少しする。起きた感じがする。
「逃げよう!」
「そうですね」
このままだと霊夢から逃げるという厳しい事を強いられる。そう感じた二人は早速逃げる準備をした。が、
『にゃあああああああ…』
いやーな鳴き声が響きわたってくる。ドドドドドという轟音と共に響きわたってくる。
「あれ~?追いつかれましたか?」
「そ、そんな!」
物凄いスピードで、何かが近づいてくる音が大きくなる。そして、だんだんとその姿を現してくる。
「にゃああああああ!!!」
顔だけ猫の連中が、見えてきた。
「なんかもう気持ち悪くなってないか、あれ!?」
「猫耳どころか猫顔!!」
しかも命蓮寺の連中だけじゃない。御柱にまたがって突撃してくる猫、人の耳も生えて6つ耳のある猫、吸血鬼の羽を生やした猫、というか猫っぽい連中が大量に。
そしてもちろん
「UNNYAAAAANN!!!!」
ピンク色の猫顔も飛んできている。一刻も早く逃げなければ、捕まる。
「ああああああああ文!早く逃げよう」
「な、ナズ―リンさん…逃げて…ああああ…」
しかし、文が急に頭を抱えてしゃがみだした。そして
文の頭が急に盛り上がったかと思えば、頭皮を突き抜けるかのように猫耳が生えてきた。生えたての猫耳は血の色をしていた。そして、その血はだんだんとピンク色の肉のような色になり、だんだんとそれが肌色を纏い、最後には文の髪色に合わせた黒い毛が生えて立派な猫耳と化した。
「にゃああ…にゃず―りんさん逃げて…理性が保て…」
文猫は必死に襲いたい衝動を抑え逃げる時間を作ろうとする。
が、後ろにも猫。前からも猫。唯一の仲間と思っていた存在も猫に。その恐怖で、ナズは動くことができなかった。四面楚歌。いや、四面猫歌か。
動けないナズをさらに何者かが掴んできた。スキマから猫と化した紫が現れていた。
ナズはスキマに引きずり込まれて、ようやくそれに気づいた。
「いただくにゃ~」
「あ…」
大量に迫りくる猫の姿が遠くなる。それと同時に意識も遠くなる。



「…はっ!?」
ナズ―リンは目を覚ました。命蓮寺の自室だ。
「夢、か…」
寝間着が汗でビッショリになっている。この汗の量を見て、改めて夢であった事に気づく。
夢である事に安心したナズはいつもの服装に着替えた。
廊下に出て、外を見てみるといい天気であった。悪夢こそ見たが、目覚めはいい。
「ん~…いい天気だ」
あんな夢を見たんだ。現実ではいい事があるかもしれない。
「今日はいい財宝が見つかりそうだな」
そんな独り言を言いながら廊下を歩いていると、居間の前にたどり着いた。
障子をすぐに開けようと思ったが、夢の中ではこれが全ての始まりだったことに気づき手が止まる。
「…まあ所詮は夢だろう」
しかし、夢は夢、現実は現実。何よりあれは夢だったんだ。現実でなくて良かった。そう思うとナズはいつも以上に元気に障子を開けた。
今日もまた命蓮寺の一日が始まる。
「みんな、おはよう!」
『にゃあ』
「って、ど、どうしたんだ、みんな!?」



この前投稿した時よりだいぶ時間がたってしまいました。
今回もまた命蓮寺です。猫と鼠のキャッキャウフフを書いてみたいなと。
八咫鳥。
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コメント



0.40簡易評価
2.80名前が無い程度の能力削除
割と平凡なパニックものに収まってしまったのが残念
もっと突き抜けるか掘り下げるかが欲しかった
5.603削除
もうちょい文章をしっかり書けばもっと面白くなりそう。