Coolier - 新生・東方創想話

東方くじ引き学園 プロローグ前編

2009/05/16 14:17:29
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注意:この作品はフクロウが全てくじ引きで選んだ結果です。
   これからも要所要所くじ引きの結果で話をつくります。
   以下のキャラがメインですが、サブとして新たにキャラを追加する場合も御座います。
   



「……はへ?」
 その世界で霊夢が発した第一声は、そんな間の抜けた言葉だった。
 もっとも霊夢がそんな事を言うのも無理はない。
 霊夢の記憶が正しければ、自分は今床について寝ている筈だからだ。
「ちょ、ここどこよ! 私の寝間着は! なにあのバカでかい建物は!」
 いつの間に着せ替えられたのか、霊夢はいつもの寝間着から永遠亭に居る鈴仙とよく似た格好で、広大な敷地の前にある大きなレンガ造りの門の前に立っていた。
「お、なかなか似合ってるぜ、霊夢」
「その声は魔理沙ね」
 頭を抱えて悶絶していた霊夢が、聞き覚えのある声の方に振り返ると、そこには自分と同じ格好をした魔理沙がいつもの笑顔で立っていた。
「てか、あんた今どっから出て来たのよ」
「どこって、あそこから」
 と、上を指差すと、上空に見慣れたスキマが開いていた。
「……なに、まさかあんたと紫が共謀して異変を起こしてるんじゃ」
「ちょ、違うって! 私も被害者の一人だって!」
 慌てて否定する魔理沙を、霊夢は疑わしげな眼差しでジ~~~~と見詰め、魔理沙が半泣きしかけたところでようやく目線を上にずらした。
「取り敢えず。あの中入って紫をとっちめてから聞きましょうか」
 そう言って霊夢はジャンプしたが、
「あれ?」
 ストン、とすぐに地面に着地してしまった。
「おいおいなにやってんだよ。私は箒が無いから飛べないんだぜ」
「……飛べない」
「は?」
「飛べないのよ! 何回やっても!」
 霊夢は何度もジャンプし、仕舞いには「シュワッチ!」や「デュワ!」とか両手を伸ばして掛け声を上げ始めた。
「いや霊夢、それは流石に古いぜ」
 見ている魔理沙の方が耐えられなくなって霊夢を止める。
「はぁ、はぁ、はぁ、ちょ、どうなってんのよ……ん?」
 スキマの空間が一気にその規模を広げたかと思うと、スキマの中から何かが沢山落ちて来た。
「うわああぁぁ!」
 霊夢と魔理沙が慌ててその場から離れる。
「いた!」
 リグルが小さく悲鳴を上げる。
「ちょ、重い!」
 真ん中あたりで潰されている美鈴が苦しそうに漏らす
「誰が重いのよ!」
 その上にいた咲夜が怒鳴る。
「ここどこ?」
 頂上から辺りを見回すメディスン。
「チルノちゃん! チルノちゃんどこ!」
 運よく山に埋もれなかった大ちゃんがチルノを忙しなく探す。
「厄いですね~」
 山の上の方で首だけ出た状態の雛が呆けた顔で呟く。
「どうでもいいから降りて下さい!」
 苦しそうにもがく椛。
「ジヌ、ジジョウ、クビ、クビニ、アジガ」
 永琳の足が見事に首に入って顔を青くする鈴仙。
「むにゃむにゃ」
「よくねれるなー」
 潰されているにもかかわらず、幸せそうに眠る萃香と、若干呆れた表情のルーミア。
「あんたらいい加減退いてあげなさいよ。下の連中死ぬわよ」
 霊夢が山の様に折り重なった知り合い達に突っ込みを入れる。
 霊夢の言葉にわらわらと起き上がって行き、一番下には、
「きゃああぁぁチルノちゃん!」
 ボロボロになったチルノがいた。
「……あたい、いつか最強になるんだ」
「誰かー! 誰か助けて下さい!」
「いや、だから古いって」
 魔理沙が手の甲で自分の真横を「なんでやねん」と言って叩く。
「いや~お待たせお待たせ!」
「その声は紫ね、一体なんだ……て」
 首謀者と思しき人物に全員が目線を向けると、そこには満面の笑みで霊夢達と同じ制服を着込む紫の姿がった。
 因みに、脇に控える二匹の式神はスーツ姿だった。
「……年考えてよ」
 何人かが直視できず目線を逸らす。
「ちょヒドッ! 全然イケてるわよ!」
 うふ、とポーズを取るも、誰一人として目線を合わさない。
「それであの、ゆか……八雲さんは、どうして私達を呼んだんですか」
「何で敬語なのよ! いつものふてぶてしいタメ口は!」
「な、なに言っているんですか八雲さん。私はいつも通りに喋っていますよ」
 紫が慌てて霊夢に迫って肩を揺らすも、霊夢は頑なに視線を逸らし続けた。
「はぁ~。いい加減三文芝居にも飽きました。八雲紫、この事態をきっちり説明しなさい」
 映姫は厳しい目付きでみんなから一歩前に出て紫を指差す。
「説明も何も、見たままじゃない」
「見たまま?」
 紫に言われて映姫が周りを見渡す。
 スーツを着た者が数名、何故か一名ジャージ、他はお揃いの制服、広大な敷地を持つ建物と『東方くじ引き学園』と書かれたレンガ造りの門。
「……仮装パーティーですか?」
「いやいや映姫様何言ってるんですか! ここ、ここにもう正解書いてますよ」
 制服姿の小町が、門にでかでかと書かれた文字を指差す。
「学園って事は、ここは学校かしら」
「ピンポーン正解です」
アリスの言葉に、紫がおどけた調子で肯定する。
「ふ~ん……で、だから何?」
 少しイラついているのか、制服姿の幽香は目尻をヒクつかせて紫を睨む。
「って、あんたもその格好かい!」
「……だから早くなんとかして欲しいのよ」
 流石の幽香も太股を露出するのは恥ずかしいのか、足を擦り合わせて所在なくしていた。
 ちょっと可愛い。と、一部の者は思った。勿論その中には霊夢と魔理沙も含まれている。
「最近、私は思ったの」
「…………は?」
「弾幕ごっこも起きず。ただ漠然と日々が過ぎ、毎日毎日寝たきりの日々……」
 いきなり語り出した紫を、『こいつ大丈夫か?』的な雰囲気を醸し出して見詰める霊夢達。
「そんな時思ったのよ。そう! こんな時だからこそ青春すべきだって!」
「それにしてもこれ一体なんの服?」
「見た目は学生服ですね。ブレザーってやつですよ」
「お姉ちゃん。私達お揃いだね!」
「そうね穣子。赤のスーツがよく似合ってるわ」
「ふむ、スカートの丈が少し短いですが、動き易くていいですね」
「衣玖、だからってフィーバーポーズを取らないでくれる」
「って! 聞きなさいよ人の話!」
 話を聞かず好き放題お喋りし始めたギャラリーに、いい加減耐えられなくなった紫が怒りの形相で吠える。
「もういいわよ。簡潔に説明すれば、暇だから学園ごっこでもしようと思ったのよ」
「……そんなの一人でやりなさいよ」
 流石に呆れたのか、全員がしらけた目で紫を見詰める。
「もう遅いわよ。霊夢、さっき空を飛ぼうとしたけど無理だったでしょ。この空間では能力、スペカ、妖怪としての能力も殆んど封じてある。つまり、ここにいるみんな全員ただの人間になったって訳よ」
「……マジかよ」
 流石の魔理沙も絶句してその場に固まる。
「この空間を出るルールはただ一つ、一年後の卒業式を迎える事よ」
「一年!」
 流石にこの言葉には全員が反応する。
「ちょ、八雲紫! 私には魂を裁くという重大な仕事があるのですよ!」
「流石に一年も診療所を空けるのはまずいわね」
「そんなに付き合ってられるか!」
「ふふ、いいわ、ナイスリアクションよ!」
 思い思いの野次が飛ぶ中、むしろその野次を待ってましたとばかりに、紫は余裕の笑みでみんなを落ち着かせた。
「まぁまぁ聞きなさいって。この空間では一年だけど、向こうの世界では一日しか経ってないわよ」
「む? 時間の境界でも弄ったのですか?」
「流石に私だけじゃ無理だから、そこの河童と魔界の女王、それに月にいるあの姉妹にも協力させたわ」
 バッ! と全員がある三名に視線を向けるが、その三名は勢い良く首を捻ってその視線を逸らした。
「に~と~り~」
「い、いやだって、月の技術とか~魔界の技術学ぶチャンスなんて滅多にないし」
「アリス」
「わ、私だって知らなかったんだから、むしろそっち側よ!」
「師匠~」
「流石に月の事まで面倒見切れないわよ」
 にとりは苦笑し、アリスは顔を赤らめて怒り、永琳は溜息を吐いて眉を顰めた。
「まぁ、取り敢えずそんな各所の技術と魔術によって作られたのがこの空間と、あんた達が着けているブレスレットよ」
「ああ、これもそうなんだ」
 全員が腕に取り付けられたブレスレットを眺める。
 作りはいたってシンプルナな白銀色のリングに、リングの幅に収まる程度の赤い色の宝石が四ヶ所はめ込まれている。
「このリングが能力を封じて、あなた達の服装を変えているの。ちなみに――」
「じゃぁこれを取ればいいのね! 私は人を巻き込むのは好きだけど、勝手に巻き込まれるのは好きじゃないのよ!」
 天子が勢いよくブレスレットを掴んで剥がそうとすると、
『拒絶反応感知。ペナルティを執行します』
「へ?」
 機械的な音声と共に突然リングが光ったかと思うと、次の瞬間天子の服が弾け飛んだ。
 つまりスッポンポンである。
「きゃああぁぁ!」
「おいおい大丈夫かい?」
 ヤマメが自分のスーツの上着を天子に被せる。
「え~因みに、無理矢理外そうとするとああなるから注意するように」
 あ、危なかった。
 霊夢含めた数名が、天子と同じ事をしようとしていたので安堵の溜息を吐く。
「ちょっと! どういう事よ!」
「生徒側には色々ペナルティがあるの。本来は三つ溜まったら発動するんだけど、無理やり外そうとすると、強制的に『素っ裸』が発動するからかそのつもりで。取り敢えず今回は戻してあげましょう、藍」
「はい」
 傍に控えていた藍が、制服を着ている者とは別の青い宝石がついたブレスレットの宝石部分を口元に持って行き、
「緊急要請、比那名居天子のペナルティを解除」
 と、呟いた。
『了解。ペナルティを解除します』
 またも機械的な音声が響くと、ブレスレットから天子の全身に光が走り、一瞬にしてもとの制服姿に戻った。
「改めて説明するわ。生徒側のブレスレットにはペナルティポイントが三つ溜まると、服装がランダムで変わるようにセットされているの。本来は一週間そのままの姿で過ごす事になるわ」
「なんだってそん……いえ、面白いからって理由ね」
 霊夢は紫に問い質そうとして、途中で諦めた。返事が容易に想像できたからだ。
「教師側のブレスレットにペナルティポイント機能は無いわ。ただし、何かの催しイベントで負けるとペナルティが発動、次のイベントまでその格好で居て貰うわ」
 青いブレスレットを付けた者達が複雑な表情をする。
「さっき藍が発動させたのは、『素っ裸』になった人用のシステムよ。まぁペナルティにも含まれているけど、むしろこれはラッキーね。一瞬恥ずかしいけど、すぐに元の制服に戻して貰えるわ。もっとも、それを決めるのは『教師側』だけだから、印象悪いとペナルティが終わるまで裸よ」
 最悪だわ。
 霊夢が青い顔で頭を抱える。
 他にも社交的でない、普段から迷惑をかけていると自覚している者達が青い顔で視線を彷徨わせる。
「大丈夫です。そうなったらすぐに私が直します」
「流石映姫様!」
「ただし小町、あなたは駄目です」
「なんで!」
 真っ先に褒め称えたにも関わらず、小町を糸も簡単に切り捨てる映姫。
「え~と師匠、まさか弟子を見捨てたりは」
「ああ、スッパになったらいつでも来な。可愛がってあげるよ」
 スーツ、つまり教師側の魅魔が、怪しい笑みで霊夢と魔理沙に向かって手招きする。
「早苗! すぐに私の所に来るんだよ。だたし諏訪子、お前は駄目だ」
「ちょ、神奈子あんた、教師役だからって調子にのってんじゃないの。このジャージマン」
「ジャージマン言うな! なんで私だけジャージなのよ!」
 体育教師だな。
 守矢家のやりとりを見ていた者全員が、一瞬にして神奈子の担当科目を当てる。
「はいはい。説明に戻るわよ。この学園の特別ルールを説明するわ。一度しか言わないから、真面目に聞きなさい」
 パンパンと手を鳴らして全員が注目するのを待ってから、紫は説明を開始した。
「この学園の特別ルール『くじ引きバトル』について説明するわ」
「くじ引きってあのくじ引き?」
 霊夢が一応確認のために尋ねる。
「ええ、生徒同士でいざこざがあった時に流石にリアルファイトをさせる訳にもいかないしね。それだと純粋に筋力に優れた、例えば勇儀なんて今のあんた達じゃ絶対勝てないでしょ」
 確かにと、出るとこ出てるくせいに、何故か筋骨隆々の星熊勇儀を、全員が一瞥する。
「そういうのを無くすために作ったのがくじ引きバトルよ。ただし、生徒は生徒と、教師は教師同士でしかバトル出来ないわ……そうね、実際に試してみましょうか。誰かやってみたい人いる?」
「はいはい! 私やりたい!」
 スーツ姿が何ともミスマッチなフランドール・スカーレットが元気良く飛び跳ねる。
「面白そうだな。生徒側は私がやるぜ」
「それじゃ、フランと魔理沙と戦いたい人いる?」
「はいは~い。私が魔理沙の相手をする」
「では、私がフランの相手をしましょう」
 と言う訳で急遽、魔理沙とこいし、映姫とフランのバトルが開始された。
「それじゃ、四人ともブレスレットの宝石に向かってバトルスタートって言って」
「バトルスタート!」
『了解、くじ引きバトルを開始します』
 リングから、周りに向かって光が走り、ポンという音とともにそれぞれの手元と、何故か霊夢とアリスの手に箱が出て来る。
「ちょ、どういう事?」
 霊夢が慌てて説明を要求する。
「霊夢とアリスが持っているのは種目が書かれたくじが入った箱、種目は第三者によって決定されるわ。そして、魔理沙達が持っている箱には能力の有無を決定するくじが入ってる」
「能力?」
「ええ。バトル中は本来持っている能力を使えるわ。ただし、種目によって能力の使用制限時間が変わるから注意すること。本当はここで霊夢達に引かせるんだけど、今は時間がないから教師側の二つ目の緊急機能を使うわ。じゃ、今度は橙がやって見せて」
「は、はい!緊急要請、最短バトル」
『了解。最短バトルを執行します』
 橙のブレスレットから光が飛び散り、魔理沙達四人の頭と胴に、紙風船が付いたヘルメットとプロテクターが取り付けられる。
「これは短い休憩時間、または授業中等でバトルが起きた時の為のシステムよ。まぁ、その場に教師がいないと意味無いのだけれど、取り敢えずバトル内容は先に紙風船を一つ割った方が勝ちよ。さ、能力の有無を決めて」
「へへ、こういう時の私のくじ運は強いぜ」
 と言って笑みを浮かべた魔理沙が引いたのは……ハズレ。
「ありゃ」
 魔理沙が目線をこいしに向けると、アタリと書かれたくじをこれ見よがしに魔理沙に向け、にっこり微笑むこいしの姿があった。
「あ~んハズレだ」
「私もハズレですね」
 教師側は二人ともハズレのようだ。
「ほら、霊夢とアリス、開始の合図をして」
「え! それも私達がやるの」
 黙って頷いて答える紫に、霊夢とアリスは溜息を吐いて肩を落とすも、さっさと終わらせるために声を絞り出す。
「それじゃ……始め」
 パン!
 と、なんともやる気の無い開始の合図とほぼ同時に、魔理沙の胴にあった紙風船が割れる音が響く。
「無意識に勝てる訳ないだろ」
 蹲って落ち込む魔理沙を余所に、こいしは大喜びでお燐と勇儀に勝利の宣言に向かった。
『ペナルティポイントが一つ追加されました。残り二つです』
「げっ!」
 魔理沙のブレスレットから物凄く嫌な宣告が発せられる。
「と、この様にバトルで負けるとペナルティポイントが増えるわ。それと、連続して同じ相手とバトルは出来ないから」
「きゃっ!」
 紫が他のみんなに説明している間に、フランの頭の風船を映姫が割る。
「伊達に毎日小町を叩いていませんよ」
「ぶ~」
 不服そうに頬を膨らませるフランとは対照的に、映姫は余裕の表情で小ぶりの胸を反らす。
『ペナルティを執行します』
「え?」
 フランのブレスレットから音声が響く。
「ちょっと! 教師側はイベント以外でペナルティはないんじゃないの!」
 レミリアが紫に詰め寄る。
「あくまでも日常的な面でペナルティが無いだけよ、バトルは別。けれど安心しなさい。バトルの場合でのペナルティは生徒側と同じで一週間で解けるわ」
 青い光がフランを包み、一瞬にしてスーツ姿からゴスロリファッションに変わる。
「きゃー可愛い! 見て見てお姉様」
 全身ピンクのゴスロリ姿を見て、レミリアが安堵の溜息を吐く。
「良かった……本当に良かった」
「ある意味大当たりね。さ、必要な説明も終わったし、取り敢えず入学式を始めましょう。藍、橙、みんなに配って」
 紫の足元に置いてあった大きな鞄から、藍と橙が生徒手帳と学生鞄を取り出して生徒役の全員に配る。
 ここまで凝るか。
 霊夢は、いつの間に撮られたのか分からない自分の顔写真が貼られた生徒手帳と、教科書と筆記用具がびっしり詰まったカバンを見て、口元をヒクつかせた。
 取り敢えず、写真は奴ね。
 生徒手帳を覗いていた全員が、後ろで素知らぬ振りして口笛を吹く射命丸を睨む。
「生徒役には生徒手帳の方にさっきした説明も含めてこの世界の事が詳しく書いてあるわ。教師役には出席簿とは別に冊子を用意したから、ちゃんと読んどきなさい。特に校長の映姫はね」
「……は? 今なんと言いました?」 
 映姫が珍しく呆けた表情で読んでいた冊子から目線を上げる。
「だから、校長って言ったのよ。出席簿渡してないでしょ。ちなみに、幽々子は教頭よ」
「ちょ、あなたが校長じゃないのですか!」
「私は今のところただの生徒よ。ほら、生徒手帳の委員会欄や部活欄に何にも書いてないでしょ」
 紫は生徒手帳の表拍子を捲って一ページ目を見せる。
 そこには『所属委員会欄』『所属部活欄』という項目が記載されていた。
 慌てて生徒役の全員が手帳を開く。
「あら、私生徒会長だわ」
 永琳がちょっと嬉しそうに呟く。
「なんで私がクラス委員長なんだよ!」
 妹紅が頭を抱えて全力で吠える。
「ふふ、ふふふ、いいんです分かっていましたよ。どうせ私は永遠の二番なんです。なんで、なんでこんなふざけた世界なのに副クラス委員長!」
 早苗は蹲り血涙を流さんばかりに顔を歪めて地面を叩く。
「必要最低限の役職だけあらかじめくじを引いて決めたのよ。因みにあなた達もくじで選ばれたのよ。だから結構人選がバラバラなの」
 そう言えば教師役なら慧音がいてもおかしくないのにと霊夢は思っていたが、紫の言葉を聞いて納得した。
「ところで、藍はともかく、こいつらに教師なんてできるのか?」
 いつの間にか立ち直っていた魔理沙が、教師役のみんなを指差す。
「さぁ? 授業内容は教師に一任してるから。あ、ちゃんとテストもあるから赤点取ったりしたら追試もあるわよ」
 その流れだと映姫が校長って最悪なんじゃない? ほら、あそこで何もかも終わったように落ち込んでいる船頭が一人。
 全員が校長役の映姫に視線を送る。
「校長……学園のトップですか……成程、そう言う事ならこの学園をよりよいモノにする為に頑張りましょう!」
 校長と聞いた途端、先程までやる気の無かった映姫の瞳にやる気の炎が宿っていた。
 …………幽々子に期待するしかない!
 霊夢と他数名は祈るように制服姿の妖夢の隣で、ニコニコと佇んでいる幽々子に向かって手を合わせて祈った。
「それじゃ藍、教師側の説明はお願いね。私は生徒側の説明をしながら体育館に向かうから」
「はい。それじゃ入学式の説明も踏まえて冊子の説明もしますから、こちらに」
 藍を先頭に教師役の人達がぞろぞろといなくなる。
「さ、今日は特別に私が先導するけど、これからは妹紅と早苗がやるのよ」
「なんで私なんだよ」
「どうせ、どうせ私なんて」
 やる気の無い妹紅に鬱状態の早苗……大丈夫かこのメンツで。
 先行き不安な状況に、霊夢は早くも頭痛を起こしそうになっていた。
お久しぶりです、フクロウです。
如何でしたでしょうか? 楽しんで頂けたなら幸いです。

一応登場人物の名前は文中に全員出しましたが、次の話でもう一度分かり易く登場させます。

今回のフクロウのくじ引きの結果↓
魔理沙負け・能力有りバトル。
フラン負け・能力無しバトル。
で、上の話になりました。能力無しの場合は両方無し。
能力有りの場合は試合内容と勝敗の都合で決めます。
今回は引きませんでしたが、試合内容もフクロウがくじ引きで決めます。

誤字などありましたら教えて下さい。
よければ感想を頂けると嬉しいです。

学園の周りの説明(町等)をし忘れたので、急遽こちらを前編にしてもう一つ後編を作りました。
フクロウ
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コメント



0.910簡易評価
5.60煉獄削除
いざこざを解決するくじ引きバトル…面白そうですね。
これから学園生活を送っていくわけですが、どうなるのか気になりますね。
寮(あるのかな?)での生活とか授業がどんなものなのか楽しみです。

脱字の報告です。
>それに月いるあの姉妹にも協力させたわ」
『月にいる』ですよ。
6.100Ren削除
『メディスン』が『メディス』になってます。

文の撮ったみんなの写真が欲し(ry
続き、楽しみにしてます。というのを点数に込めて
12.無評価フクロウ削除
>>煉獄さん
直しておきました。ありがとう御座います。
寮はちゃんとありますよ。勿論部屋割りもくじ引きにするつもりです。

>>Renさん
直しておきました。ありがとう御座います。
頑張って楽しんでいただける物を作ります。
13.無評価名前が無い程度の能力削除
>「見た目は学生服ですね。セーラー服ってやつですよ」

>霊夢はいつもの寝間着から永遠亭に居る鈴仙とよく似た格好で

うどんげの服は「ブレザー」では?
14.70神無 馳削除
くじ引きで試合内容を決定…

くじアンか?くじアンなのか?!
17.60名前が無い程度の能力削除
オー。ガクエンモーノ。イイデースネ。
異シチュエーション物の第1回ということもあってか、ちょい悪い意味で落ち着かない感が強く感じてしまった。
次回以降に期待。
19.80名前が無い程度の能力削除
学園モノか・・・続きに期待!
21.70名前が無い程度の能力削除
くじ引き任せなあたり、SSというか企画ものな感じですねー。
でもそれはそれで面白いかもしれません。
全ては次以降ですね。期待しています。
23.無評価フクロウ削除
>>13
似たような服であるっと伝えたかったのですが、分かり難かったみたいなのでブレザーに書き直しました。
御指摘、有難う御座います。

>>神無 馳さんへ
実は自分、その作品名前しか知らないんですよ。
くじ引きってついてるので、もしかしたら似たような作品なんでしょうか?

>>17
次も説明が多いので、ちょっと読み難いかもしれませんが、もし良かったら見て下さい。

>>19
頑張ります!

>>21
真面目なのは既にRenさんが書いていたので、
ギャグ重視でいくにあたって、こういう遊びを入れた方が面白いかなと思いくじ引きを取り入れました。
これからもどうぞよろしくお願い致します。