注意、この物語は東方projectの二次創作です。
オリ設定、オリキャラが存在する可能性があります。
ナズーリンは主人に呼ばれ自宅のある無縁塚から命蓮寺という寺に移動をしていた。
今日もご主人様に呼ばれて寺に行く。
用件は一体何だろうか?
そもそも、優秀で問題行動を起こさない彼女に私は必要なのだろうか?
大方、お茶をしましょうとか美味しいお菓子を貰いましたとか
寺の業務を手伝って欲しいとかそんなところだろう。
彼女を補佐する事が表向きの私の姿だが
彼女を監視する事が毘沙門天様から私に命じられた本当の姿だ。
今の私は幻想郷中を飛び回り、宝探しに没頭しているから半ば形骸化しているがね。
~~~~~
「聖も復活しましたし、貴女も監視なんて辞めて好きな事をして良いのですよ?」
「な、何故それを……」
「ふふ、やはりそうでしたか……
何故と言われれば、貴女を送り込んだ者が毘沙門天だからです」
~~~~~
すぐにカマをかけて言ったと言われたが、
威厳少なく感情的な言動の多いご主人様にあそこまで冷や汗を掻かされたのは初めてだ。
おっ、到着っと。
さてさて、ご主人様は何処かな?
いつも通りなら自室で庶務の仕事でもしていると思うのだが。
「おはようございます」
響子か……相変わらず元気な奴だ。
「ああ、おはよう」
門をくぐって、社務所に入って、次は何処だったか?
長い間住んでいた筈なのに、住まなくなったとたんにコレだ。
確か廊下の先だったな……んっ?
話し声?……村紗に一輪にぬえとマミゾウか……折角だから……。
「邪魔するぞ」
「ナズーリン」
「少し興味があってね、聞かせてもらっても良いかな?
あっ、いや、マミゾウみたいに君達が話しているのを聞くだけなのだがね」
「いいよ~、じゃぁ話を戻すけど……」
聖を助けた時の話か……。 誰が一番功績があったか話し合っていたのか……。
勝気に語り始めたのは船長か、思い出すな……
荒れ寺になった元の命蓮寺に船長達が戻って来た時の事を……。
~~~~~
小さな小さな寺、壊され焼け焦げ、一見しただけでは寺に見えないその建物。
その正面に座り、写経を繰り返しているのは寅の妖怪、寅丸星。
それを眺めているのがナズーリン。
と、足音が聞こえて来た為、星は筆を止めて顔を向けながら来客者に声を掛けた。
「この様な荒れ寺に一体何用で? ……貴方達は」
「星、星。 聖を、聖を助けたい……でも私達には分からないんだ……
どうしたら聖を助けられるか分からないんだ……」
星に言葉を発した村紗は涙で顔をグシャグシャにしていた。
遂には己の無力さに膝を着いてしまう。
「そうですか……私もそろそろ自分の罪に耐え切れなくなってきました……
村紗、貴女が前に言っていた船……それと弟様の力をお借りしましょう」
~~~~~
その後、騒ぎに乗じて地底から船を発進させて、魔界に向かう筈だったな。
まぁ、結局うまくはいかなかったんだが。
あぁ、ぬえが如何にもな感じで話しているな、聖が復活した後に知らずに妨害していて、
聖が復活した時に泣きながら抱き付いて謝っていた奴が何を言っているのか……。
あの騒ぎと言えば、何か忘れているような……。
そういえば、ご主人様が宝塔を失くして私が探しに行くという事が……。
いや、まだ何か忘れている。
~~~~~
「ナズーリン、弟様の力の篭った倉は砕けて欠片になってしまいました」
「説明されても、私も知っているのだが……それよりここは何処だ?」
「確認の為に言ったのですよ。 ここは無縁塚です。 地底と空間が近く又魔界とも近い。
ここに宝塔を置きます。 毘沙門天の力と私の力で欠片は集まってくれるでしょう」
「おおっ、本当に集まってきているな」
「しかし、集めきれなかった場合も考えられます。
ナズーリン、貴女の能力で回収できそうな物は直接回収をお願いします。
時期が来たと判断したら宝塔も回収して下さい」
~~~~~
あの後、宝塔は無くなっていて、回収の為に私が探すはめになったんだ。
聞いた話では、吹っかけて来たあの店主、無縁塚によく入り浸っているらしい。
人様の物を盗んでおいて、よくもまぁあんな額を提示したものだ。
その所為でご主人様はドジっ虎の汚名を着せられてしまった。
ご主人様は”聖が復活したから良いではありませんか”と言っていたが、
口止めさえしなかったら、皆に言ってやるのに。
復活の手段、回収の為の策と修正策、異変扱いされ巫女達に襲われた時の機転。
すべてご主人様の功績だ、君達がいくら騒いだ所で何の意味も無い。
むっ、何故私はこんなにも熱くなっているのだ? らしくもない。
ようやく、終わったか。 当然と言えば当然だが話は平行線のままだな。
えっ? 第何回と言った? こんな下らない議論を続けるとは君達は本当に馬鹿だな。
まぁ、レクリエーションの一環で話し合っているのなら悪くはないか……。
表情も実に良いものに変わっているしね。
「さて、それでは邪魔したね」
ご主人様の部屋は……っとここか。 私も住んでいたのにおかしな気分だ。
「ご主人様? 入りますよ?」
「どうぞ~」
「いらっしゃい、ナズーリン」
「今日は何の用件ですか?」
「そんなに急がなくても良いではありませんか。
少し休んで、ほら洋菓子と洋茶を頂いたので、用の前に楽しみましょう」
やれやれ、まったくご主人様は……。
今日も毘沙門天様に送る書類に
特に記すべき事項無しと書く私の気持ちも考えて欲しいものだ。
ナズーリンはあんな小さい体で態度が大きいのも魅力