幻想郷の片隅にタンポポが咲いていました。
そこはとても強い妖怪の縄張りでした。
妖怪はタンポポを育てました。
大事に大事に育てられたタンポポは、妖怪の力にほんのちょっぴり影響され、とても賢いタンポポになりました。
お話ができる、賢いタンポポです。
(お母さん)
タンポポは妖怪をそう呼んでいました。
(大事に育ててくれたお母さんの力がボクに混ざったんだね)
「そうかもしれないわね」
ある日妖怪は、沢山の種をつけたタンポポを優しく地面から抜き取りました。
唇を近づけて、ふぅっと綿毛を吹きます。
ふわりと種が飛ぴました。
「さぁ、行きなさい」
ふわりふわりと飛んでいきます。
「お前は、外の世界にも行けるのかしら」
妖怪は優しく笑っていました。
「どんな世界でも、お前はお前。この私が育てた立派なタンポポ。どこであろうと臆せずに根を張りなさい」
(うん。ボク、頑張るよ)
「しっかり根を張って強く育って沢山増えて、いつか気が向いたなら、風に乗って帰ってきなさい」
沢山の種が飛びます。
(ボクはお母さんが大好きだから、きっと帰ってくるよ)
(またね、お母さん)
(行ってきます)
「ええ、元気でね」
お母さんにお別れを告げると、タンポポの種はふわりふわりと飛んでいきました。
一ヶ所に固まっていくのではありません。風に吹かれた綿毛が分かれ、沢山の種がいろいろな場所へと飛んでいくのです。
(みんな、頑張ろうね)
(お母さんのために頑張ろうね)
(頑張ろうね)
(またね)
(ばいばーい)
竹林に降りた種は、その場で沢山増えました。
沢山増えたタンポポを見て喜んだのは、竹林に住むウサギたちでした。
ごちそうウサ
食べるウサ
タンポポはウサギの大好物です。
(うわー)
(ウサギさんが沢山いるよ)
(食べられるよ)
(うわー)
「何食べてるのあの子達」
「今年はタンポポが豊作だったからね」
「貴女は食べないの?」
「うーん、食べないこともないけれど、人化して長いから、人間のご飯のほうが美味しいのよね」
「確かに、野草そのままより普通の料理のほうが美味しいわよね」
竹林のタンポポは根こそぎ食べられてしまいました。
神社に降りた子達もいました。
神社にはタンポポを食べる動物も妖怪もいません。
天敵がいないので思うさまに増えることができます。
しかし、
「タンポポって食べられたわよね」
「おひたしとかな。コーヒーにもなるぜ」
「あんたはキノコ獲ってなさいよ。神社の草は私の草」
「私の果てしない食欲ってか」
「ぶつわよ」
「手伝うから許すんだぜ」
(うわー)
(食べられるよ)
(うわー)
神社のタンポポは根こそぎ刈られました。
とても長い間飛ぶ子もいました。
その中の一つがなんという偶然か、幻想郷の結界を越えてしまったのです。
(ここはどこだろう)
タンポポには結界を越えたことなどわかりません。
だけど、違う場所だということはなんとなくわかりました。
(あ、人間がいる)
タンポポは、とある神社の境内にいる女の子を見つけました。
お母さんとよく似た髪の色をした女の子です。きっと徒者ではありません。タンポポはそう思いました。
(あそこがいいな)
ふわりふわりと地に落ちると、タンポポはここで育つことに決めました。
「なにか気配がすると思ったら……なんだお前」
不思議なお姉さんが突然姿を見せました。これが人間なら驚き叫ぶところですが、妖怪の住む世界から来たタンポポはこれくらいでは驚きません
(ボクはタンポポ)
「そうか、タンポポか」
(はじめまして)
「ほぉ、礼儀正しい子は好きだぞ。そうか、タンポポか。……タンポポ。蒲公英……うん、まぁ、お前のような蒲公英がいてもいいか」
お姉さんは、大きな注連縄を背中につけています。重くないのでしょうか。
「ここに咲くつもりか?」
(うん。しっかり根を張って強く育ちたいです。それから沢山増えたいです)
「ああ、そうだな。そう思うよな。うん、しっかりがんばれよ。よし、間違えて食べないようにあいつにも言っておこう」
(沢山増えたら、少しは食べてもいいですよ)
「自ら供物になろうとは見上げた心構えだな」
タンポポは頑張りました。
がんばって増えました。
お姉さんは、増えたタンポポに喜びました。
増えたタンポポのもとへ、お姉さんは緑髪の女の子を連れてきます。
「ほら、早苗、タンポポだぞ」
(はじめまして。ボクはタンポポ)
だけど、女の子にはタンポポの声が聞こえないみたいです。
「うーん、早苗ならもしやとも思ったが。今はまだ無理か」
もっともっと大きくなれば、もしかしたら声が聞こえるようになるかも知れないと、お姉さんは言います。
「もっとも、それまで我が残っていればの話だが……」
(お姉さんもどこかへ飛んでいってしまうの?)
「どこかへ、か。この国にはもう我のような……ん……待て、そういえばお前、どこから来たのだ? お前のような存在がまだこの国にいたのか」
(ボクはとても遠くから来たんだよ)
(お母さんは『幻想郷』と言ってたよ)
「幻想郷……蒲公英よ、お前がここまで来た話を詳しく教えてくれないか」
初めてお母さんとお話ができるようになってから今までのことを、タンポポは一生懸命お話ししました。
お姉さんは、話の途中で別の女の子を連れてきました。帽子を被った女の子です。
「そんな世界があるのか……調べてみる価値はあるな」
「うーん。昔、噂に聞いたことはあるような気がする。どこかの大妖がそんな名前の国を作るとか探すかと何とか」
その日から、緑髪の女の子がタンポポのお世話をしてくれるようになりました。
「八坂様とケロちゃんのお友達なんですね。私は東風谷早苗です。よろしくお願いします」
最初のお姉さんが八坂様、帽子の女の子がケロちゃんだと、タンポポは覚えました。
だけどやっぱり早苗ちゃんとはお話できないみたいなので、とても残念でした。
タンポポはいっぱい増えました。増えすぎると早苗ちゃんに収穫してもらい、八坂様やケロちゃんに食べてもらいました。美味しかったら嬉しいな、とタンポポは思います。
「蒲公英よ」
早苗ちゃんが大きくなった頃です。
「一緒に幻想郷に行かないか。いや、お前にとっては帰ることになるのか」
八坂様が言いました。
「お前がこの世界でやっていくというのなら無理にとは言わないが」
タンポポがこの世界でお話できるのは、八坂様とケロちゃんだけです。早苗ちゃんももっと大きくなったらお話できるようになるかも知れません。
だけど、みんな幻想郷へ行ってしまうのだと八坂様は言います。
「お前一人、我の負担になると言うほどでもない。そこは気にしなくてもよいのだぞ」
タンポポは八坂様にお願いしました。
(やさかさま、ボクもみんなと一緒がいいです)
「うむ。お前はそこでいつものように咲いていれば良い。必ず一緒に連れて行こう」
どんな風に飛んでいくんだろう。
タンポポはワクワクしながら、その日を待ちました。
ところが特にどうということもなく、気が付いたら幻想郷に帰っていました。タンポポもビックリです。
生えている地面もそのままです。神社の境内です。なのに、幻想郷なのです。神社ごと飛んできたみたいです。
八坂様はすごいなぁとタンポポは思いました。
「タンポポさんも無事ですか?」
早苗ちゃんがやって来ました。
(うん。大丈夫だよ)
「え」
なんだか早苗ちゃんが驚いています。
「……タンポポさんの声が、聞こえる?」
「聞こえるようになったのかい?」
早苗ちゃんの後ろにはケロちゃんがいました。
「幻想郷に来たことで、早苗にもあった神性が強化されたのかもね。もしかすると、力が使えるようになっているのかも」
「本当ですか? 洩矢様」
「諏訪子でいいってば。前みたいにケロちゃんでもいいんだよ。蒲公英くんだってそう呼んでるし」
ケロちゃんの名前は諏訪子ちゃんでした。タンポポは覚えなおします。
(すわこちゃん?)
「神奈子は八坂〝様〟で私は諏訪子〝ちゃん〟。ふふふふっ、アイツは年増に見えるって事だな、ふはははっ」
諏訪子ちゃんは楽しそうに笑っていました。
タンポポはすくすくと育ちました。
「タンポポさんは、幻想郷生まれなんですよね」
ある日、早苗ちゃんが尋ねます。
「幻想郷のどこなんですか?」
タンポポには上手く説明できません。
早苗ちゃんとお話ししていると、タンポポはお母さんに会いたくなりました。幻想郷のどこかにお母さんがいるはずです。
だけど、お母さんがどこにいるかはタンポポにはわかりません。
「タンポポさんは風に乗って移動するんですよね?」
(うん)
「……それなら、帰れるかも知れませんよ、タンポポさん」
早苗ちゃんは、いえ、東風谷早苗は奇跡を起こす程度の能力です。
さらに、風を起こすこともできます。
ならば、奇跡の風を起こすことだってできるのです。
「きっと、できます」
(ありがとう!)
タンポポはその年、いつもより頑張って種を作りました。
沢山、沢山、色んな人や妖怪に会いました。
タンポポの種は飛びました。
素敵な場所にも落ちました。
そして今、タンポポの種は奇跡の風で飛んでいます。
ああ、ここは。
そうだ、ここは。
お母さんが見えます。
お母さんは、タンポポを見つけるとあの日のように笑いました。
「お帰りなさい」
(ただいま、お母さん! あのね、お話がいっぱいあるんだよ)
風見幽香は、優しくタンポポの種を抱きしめるのでした。
そこはとても強い妖怪の縄張りでした。
妖怪はタンポポを育てました。
大事に大事に育てられたタンポポは、妖怪の力にほんのちょっぴり影響され、とても賢いタンポポになりました。
お話ができる、賢いタンポポです。
(お母さん)
タンポポは妖怪をそう呼んでいました。
(大事に育ててくれたお母さんの力がボクに混ざったんだね)
「そうかもしれないわね」
ある日妖怪は、沢山の種をつけたタンポポを優しく地面から抜き取りました。
唇を近づけて、ふぅっと綿毛を吹きます。
ふわりと種が飛ぴました。
「さぁ、行きなさい」
ふわりふわりと飛んでいきます。
「お前は、外の世界にも行けるのかしら」
妖怪は優しく笑っていました。
「どんな世界でも、お前はお前。この私が育てた立派なタンポポ。どこであろうと臆せずに根を張りなさい」
(うん。ボク、頑張るよ)
「しっかり根を張って強く育って沢山増えて、いつか気が向いたなら、風に乗って帰ってきなさい」
沢山の種が飛びます。
(ボクはお母さんが大好きだから、きっと帰ってくるよ)
(またね、お母さん)
(行ってきます)
「ええ、元気でね」
お母さんにお別れを告げると、タンポポの種はふわりふわりと飛んでいきました。
一ヶ所に固まっていくのではありません。風に吹かれた綿毛が分かれ、沢山の種がいろいろな場所へと飛んでいくのです。
(みんな、頑張ろうね)
(お母さんのために頑張ろうね)
(頑張ろうね)
(またね)
(ばいばーい)
竹林に降りた種は、その場で沢山増えました。
沢山増えたタンポポを見て喜んだのは、竹林に住むウサギたちでした。
ごちそうウサ
食べるウサ
タンポポはウサギの大好物です。
(うわー)
(ウサギさんが沢山いるよ)
(食べられるよ)
(うわー)
「何食べてるのあの子達」
「今年はタンポポが豊作だったからね」
「貴女は食べないの?」
「うーん、食べないこともないけれど、人化して長いから、人間のご飯のほうが美味しいのよね」
「確かに、野草そのままより普通の料理のほうが美味しいわよね」
竹林のタンポポは根こそぎ食べられてしまいました。
神社に降りた子達もいました。
神社にはタンポポを食べる動物も妖怪もいません。
天敵がいないので思うさまに増えることができます。
しかし、
「タンポポって食べられたわよね」
「おひたしとかな。コーヒーにもなるぜ」
「あんたはキノコ獲ってなさいよ。神社の草は私の草」
「私の果てしない食欲ってか」
「ぶつわよ」
「手伝うから許すんだぜ」
(うわー)
(食べられるよ)
(うわー)
神社のタンポポは根こそぎ刈られました。
とても長い間飛ぶ子もいました。
その中の一つがなんという偶然か、幻想郷の結界を越えてしまったのです。
(ここはどこだろう)
タンポポには結界を越えたことなどわかりません。
だけど、違う場所だということはなんとなくわかりました。
(あ、人間がいる)
タンポポは、とある神社の境内にいる女の子を見つけました。
お母さんとよく似た髪の色をした女の子です。きっと徒者ではありません。タンポポはそう思いました。
(あそこがいいな)
ふわりふわりと地に落ちると、タンポポはここで育つことに決めました。
「なにか気配がすると思ったら……なんだお前」
不思議なお姉さんが突然姿を見せました。これが人間なら驚き叫ぶところですが、妖怪の住む世界から来たタンポポはこれくらいでは驚きません
(ボクはタンポポ)
「そうか、タンポポか」
(はじめまして)
「ほぉ、礼儀正しい子は好きだぞ。そうか、タンポポか。……タンポポ。蒲公英……うん、まぁ、お前のような蒲公英がいてもいいか」
お姉さんは、大きな注連縄を背中につけています。重くないのでしょうか。
「ここに咲くつもりか?」
(うん。しっかり根を張って強く育ちたいです。それから沢山増えたいです)
「ああ、そうだな。そう思うよな。うん、しっかりがんばれよ。よし、間違えて食べないようにあいつにも言っておこう」
(沢山増えたら、少しは食べてもいいですよ)
「自ら供物になろうとは見上げた心構えだな」
タンポポは頑張りました。
がんばって増えました。
お姉さんは、増えたタンポポに喜びました。
増えたタンポポのもとへ、お姉さんは緑髪の女の子を連れてきます。
「ほら、早苗、タンポポだぞ」
(はじめまして。ボクはタンポポ)
だけど、女の子にはタンポポの声が聞こえないみたいです。
「うーん、早苗ならもしやとも思ったが。今はまだ無理か」
もっともっと大きくなれば、もしかしたら声が聞こえるようになるかも知れないと、お姉さんは言います。
「もっとも、それまで我が残っていればの話だが……」
(お姉さんもどこかへ飛んでいってしまうの?)
「どこかへ、か。この国にはもう我のような……ん……待て、そういえばお前、どこから来たのだ? お前のような存在がまだこの国にいたのか」
(ボクはとても遠くから来たんだよ)
(お母さんは『幻想郷』と言ってたよ)
「幻想郷……蒲公英よ、お前がここまで来た話を詳しく教えてくれないか」
初めてお母さんとお話ができるようになってから今までのことを、タンポポは一生懸命お話ししました。
お姉さんは、話の途中で別の女の子を連れてきました。帽子を被った女の子です。
「そんな世界があるのか……調べてみる価値はあるな」
「うーん。昔、噂に聞いたことはあるような気がする。どこかの大妖がそんな名前の国を作るとか探すかと何とか」
その日から、緑髪の女の子がタンポポのお世話をしてくれるようになりました。
「八坂様とケロちゃんのお友達なんですね。私は東風谷早苗です。よろしくお願いします」
最初のお姉さんが八坂様、帽子の女の子がケロちゃんだと、タンポポは覚えました。
だけどやっぱり早苗ちゃんとはお話できないみたいなので、とても残念でした。
タンポポはいっぱい増えました。増えすぎると早苗ちゃんに収穫してもらい、八坂様やケロちゃんに食べてもらいました。美味しかったら嬉しいな、とタンポポは思います。
「蒲公英よ」
早苗ちゃんが大きくなった頃です。
「一緒に幻想郷に行かないか。いや、お前にとっては帰ることになるのか」
八坂様が言いました。
「お前がこの世界でやっていくというのなら無理にとは言わないが」
タンポポがこの世界でお話できるのは、八坂様とケロちゃんだけです。早苗ちゃんももっと大きくなったらお話できるようになるかも知れません。
だけど、みんな幻想郷へ行ってしまうのだと八坂様は言います。
「お前一人、我の負担になると言うほどでもない。そこは気にしなくてもよいのだぞ」
タンポポは八坂様にお願いしました。
(やさかさま、ボクもみんなと一緒がいいです)
「うむ。お前はそこでいつものように咲いていれば良い。必ず一緒に連れて行こう」
どんな風に飛んでいくんだろう。
タンポポはワクワクしながら、その日を待ちました。
ところが特にどうということもなく、気が付いたら幻想郷に帰っていました。タンポポもビックリです。
生えている地面もそのままです。神社の境内です。なのに、幻想郷なのです。神社ごと飛んできたみたいです。
八坂様はすごいなぁとタンポポは思いました。
「タンポポさんも無事ですか?」
早苗ちゃんがやって来ました。
(うん。大丈夫だよ)
「え」
なんだか早苗ちゃんが驚いています。
「……タンポポさんの声が、聞こえる?」
「聞こえるようになったのかい?」
早苗ちゃんの後ろにはケロちゃんがいました。
「幻想郷に来たことで、早苗にもあった神性が強化されたのかもね。もしかすると、力が使えるようになっているのかも」
「本当ですか? 洩矢様」
「諏訪子でいいってば。前みたいにケロちゃんでもいいんだよ。蒲公英くんだってそう呼んでるし」
ケロちゃんの名前は諏訪子ちゃんでした。タンポポは覚えなおします。
(すわこちゃん?)
「神奈子は八坂〝様〟で私は諏訪子〝ちゃん〟。ふふふふっ、アイツは年増に見えるって事だな、ふはははっ」
諏訪子ちゃんは楽しそうに笑っていました。
タンポポはすくすくと育ちました。
「タンポポさんは、幻想郷生まれなんですよね」
ある日、早苗ちゃんが尋ねます。
「幻想郷のどこなんですか?」
タンポポには上手く説明できません。
早苗ちゃんとお話ししていると、タンポポはお母さんに会いたくなりました。幻想郷のどこかにお母さんがいるはずです。
だけど、お母さんがどこにいるかはタンポポにはわかりません。
「タンポポさんは風に乗って移動するんですよね?」
(うん)
「……それなら、帰れるかも知れませんよ、タンポポさん」
早苗ちゃんは、いえ、東風谷早苗は奇跡を起こす程度の能力です。
さらに、風を起こすこともできます。
ならば、奇跡の風を起こすことだってできるのです。
「きっと、できます」
(ありがとう!)
タンポポはその年、いつもより頑張って種を作りました。
沢山、沢山、色んな人や妖怪に会いました。
タンポポの種は飛びました。
素敵な場所にも落ちました。
そして今、タンポポの種は奇跡の風で飛んでいます。
ああ、ここは。
そうだ、ここは。
お母さんが見えます。
お母さんは、タンポポを見つけるとあの日のように笑いました。
「お帰りなさい」
(ただいま、お母さん! あのね、お話がいっぱいあるんだよ)
風見幽香は、優しくタンポポの種を抱きしめるのでした。
少し絵本のような読み味に感じました。
神社と共に郷に帰ってきただけで終わらないのが良いなと思いました。
ふわふわしていて暖かいお話でした
最後は幽香のところに戻れてよかったです