東方の金曜日
第9話「⑨のパーフェクトソード物語・誕生編(後編)」
チルノは「CAUTION」と書かれた箱を開けるのに必死だった。
しかし、チルノがどんなに頑張ってもなかなか箱が開いてくれない。
「チルノちゃん・・・どう?」
「うぐぐ・・・もう少し・・・!」
大妖精にそう答えるも、開かない箱にチルノは苦戦した。たまりかねて、レティが言う。
「チルノ、もしかしたら、誰かが戻ってくるかもしれないから急いで。」
そう言われ、チルノはある事を思いつく。
「こんな固い箱・・・あたいの氷で粉々にしてやるわよ!」
そう言い、箱に冷気を当てる。みるみるまに凍りつく箱。そして・・・。
「おりゃー!!」
チルノは持てる力を出し切って、蓋を開けようとする。その時・・・。
バキッ!蓋が外れた。というより割れたが。
「あでっ!」
あまりに力を出し過ぎて、チルノは箱から落ちて、尻もちをついてしまう。
「いてて・・・けど、開いたから、あたいったら最強ね!」
「流石はチルノね・・・中身がどうなっているか知らないけど・・・。」
「あ゛!?」
あまり考えずに凍らせたことに気づいたチルノは慌てて中身を見る。
見てみるとそこには、計6本の剣とそれを制御すると言われている鎧が入っていた。
チルノは目を輝かせた。全てはあいつ打倒の為に、そして死んだルーミア達の為に。
「遂に・・・遂に見つけた!あたいの新しい力!あたいの新しい武器!」
「チ、チルノちゃん・・・?」
「チルノ?」
チルノの喜びに驚きを隠せない大妖精とレティ。一方のチルノは中身にはしゃいでいる。その時、
「何奴っ!?」
「ここで何している!?」
ふと、ドアから銃を持った男達が現れる。
「も、戻ってきちゃった~!」
「何で!?」
「あんたが大きな音出すからでしょう!」
「あ・・・とにかく、もうここにはもう用がないから退却―――!!」
チルノ達は、箱の中身を取り出して、逃げた。それを追いかける2人。
「待て~!」
「待てと言われて待つ馬鹿はいないわよ!」
そんなやり取りしつつ、何とかチルノ達は外に出ることに成功した。
後ろを振り返ると追っかけている2人は見当たらなかった。
「まいたか・・・やっぱ、あたいは最強ね!でも・・・これさえあれば超最強ね!!」
チルノは高らかに笑う。
その背後の話し声など、聞いてもいなかった。
「こちらソルジャー805。3人は武器庫を脱出し、逃走しました。」
『例の物を持っていますか?』
「はい。チルノ氏が持っています。」
『あとは、チルノ様がそれを使いこなせるか、ですね・・・。』
何とか追手をまいたチルノ達は木陰で休んだ。レティなんか今にも溶けそうだった。
大妖精がZのホテルで手に入った武器の説明書(箱に同封していた)を読んでいる。チルノにとっては難しいからだ。
「チルノちゃん・・・別に止めろとは言わないけど・・・腕時計で何見たの?」
大妖精が恐る恐る尋ねる。脱落者の知らせを聞いた時、チルノが豹変したからだ。
大妖精も腕時計が付いてあるが、とても怖くて見れなかった。
チルノはしばらく黙っていたが、やがて話し出す。
「・・・スター、ルナ、リリーホワイト、橙、藍、パルスィが死んだのよ。」
「!?」
チルノの言葉に大妖精は驚いた。パルスィ除いてどれもチルノと馴染みのある者ばかりではないか。
特に、九尾の狐である藍が死んだとなれば・・・T‐Jはそんなにも強いのか?
チルノちゃんはそのT‐Jと戦うなんて、大丈夫だろうか・・・。
そんな心配をよそに、チルノは剣を興味津々に見る。
大サイズの剣が一つ、中サイズが二つ、小サイズが二つ、それに特殊な形の剣が一つと合計六本。
「何だか、どれもかっこいい剣ね・・・。これ名前なんて言うの?」
「え?えーと・・・大きなのが『メロス』、中位のが『アポロン』、小さいのは『イカロス』、そしてなんか凄いのは『ゼウス』。」
「へ~覚えにくいけど、カッコいいじゃん。他には?」
「この六本の剣は科学の力により魔力を込めた剣で、六本合体すると物凄い力を発揮するらしい。」
「合体するの!?凄いじゃん!」
「でも、あまり魔力が危険なので、それを制御するアーマーが必要だって・・・。」
「あ、これ?成程・・・。」
チルノはアーマーを見て、納得する。制御用の鎧にしては、なんか動きやすそうだ。
「所で、この鎧の名前は?」
「えーと・・・『アドベント・アーマー』だって・・・。」
「わーお!まさに最強の名に相応しい名ね!どれどれ・・・。」
そう言い、チルノはアーマーを着始める。
まずは脚部アーマー、次に腕部アーマー、最後に脚部アーマーと装着してみる。
「・・・完成!・・・えーと、アドバンス・チルノ!」
「アドベントよ・・・。」レティが訂正する。
「あ、そっか。アドベント・・・難しいから省略!完成!A(エース)チルノ!!」
ビシッと決めポーズを取るチルノ。何だか、超最強の気分で満喫していた。
おっと、自分のかっこいい姿に惚れ惚れしている場合じゃない。まずは、武器を使いこなさなければいけない。
そう思い、チルノは一番特殊な剣、『ゼウス』に手をかける。
「よしっ!まずは要練習!最初の目標は・・・あの木よ!」
大きな木に『ゼウス』を突き出し、チルノは思いっきり走る。
頭の中には、手本なのか半人半霊の剣士の事を想像していた。
「みょ―――――――――――――――――――ん!!!」
奇怪な言葉を叫びながら、チルノは『ゼウス』を振るう!
すると・・・。
バゴォォォオン!!
大きな音と共に木が一気に真っ二つになった・・・いや、粉々に割れた。
それを見て、ペタンと座りこんだチルノや大妖精達はポカーンとなった。
「ふふふふ・・・。」
「チルノ?」
「チルノちゃん?」
急に吹き出すチルノに後ろに引く2人。
「あ~はははっは!!これって凄いよ!これならあいつに勝てる!皆の仇をとれる!超最強・・・うんにゃ、究極最強の座を手に入れたのよ!あたいったら究極且つ、強靭・無敵・最強ね!!」
笑い出すチルノにレティはこう思う。
「(可哀想なチルノ・・・。自分の力に酔ったのね・・・。)」
ルーミア達の仇を取ってやるという言葉は嘘ではない。だが、今は自分の力に酔い始めたのだ。
チルノが本当にT‐Jを倒せた、と想像する。
きっと彼女はもっと強い奴と戦うことを望むかもしれない。更なる最強を目指して。
最悪、T‐Jの様な殺人鬼になる恐れが・・・。
そんな思考をレティは必死に振り払う。いくらチルノでも、そんなことは絶対しない。
だが・・・。
「ははははは!次はあの木だ―!」
そんな事を考えているレティにはお構いなしに両手に『イカロス』を持って、次の木に近づくチルノ。
その後、チルノが満足して練習を終わるまではレティ達は止めることができなかった・・・。
「ふ~、あとは合体剣を試したいけど、少し疲れたから休憩。」
練習の標的とされた木々は悲惨なものだった。
2つに切られたり、割れたり、粉々だったり、バラバラだったり・・・。辺りは伐採されたような感じだった。
「チ、チルノちゃん・・・。いいのこんな風にして?ここはZさんの島なんだよ・・・。」
「あ。・・・あー・・・。まぁ、あれよ。幽香に頼めばいいし、駄目だったら、戦闘でこうなったと言えばいいわよ。」
まぁ、頭はいつものチルノであり、なんとか誤魔化そうとしている。
「と、とにかく急ぐわよ!」
「ど、何処に・・・?」
決まっているんじゃない・・・とチルノは不敵に笑い、こう言う。
「デンジャーゾーン、つまり、T‐Jの出現場所よ!」
「「えぇぇぇぇえ!?」
突然の一言にレティ達は驚く。しかし、チルノは本気だった。
「チ、チルノ・・・。何故・・・?」
「理由は簡単よ。Zが言ったデンジャーゾーンという赤い円は多分、あいつの家かもしれない。そこをあたいが殴りこんで一気にやっつける、という作戦よ!」
「で、でも・・・。まず、霊夢さん達と合流しないと・・・私達では・・・。」
「大ちゃん・・・無理にあたいについて来なくてもいいよ。」
「っ!!」
突然にチルノの言葉に大妖精はショックを受けた。ついて来なくていい?
「(チルノちゃんは剣で強くなったから、もう私を必要としないの?そんなのチルノちゃんじゃない・・。)」
そんな大妖精にはお構いなしにチルノは続ける。
「正直、大ちゃんもあたいのかっこよさを見させたいけど、相手がT‐Jだしなぁ・・・。」
「チルノちゃんは・・・私が足手まといだと思っているの?」
「いや、大ちゃんが一緒にいると、なんか大ちゃんが危ないし・・・。大丈夫よ!1人でもあたいはやってのけるわ!」
「チルノちゃん・・・。」
大妖精は首を振る。自分がいると彼女の足手まといになってしまう恐れがある。
だが、それだと、チルノちゃんが私を必要としなくなる。いつものように一緒にいられなくなる・・・。
「私なら大丈夫よ・・・心配しないで・・・。」
「そうかぁ・・・。」
「仕方がないわね・・・。私も同行するわ。」
レティもそう言う。彼女もチルノのことが心配なのだ。
何としてでも、復讐鬼ではなく、いつもの馬鹿な氷の妖精に戻したかった。
憎むべき者を倒す為に力を欲するなどチルノではない。
「サンキューレティ!」
そう言い、チルノは腕時計の地図を確認する。いくら馬鹿でも、3人の内、唯一使いこなしている。
「えーと、デンジャーゾーンはここから北と西・・・今はお昼だから、お日様に背を向けて行けばいいのね!」
そして、チルノは勇敢に2人に言う。
「行くわよっ!打倒T‐J!ルーミア達の弔い合戦だ―――――!!」
ここに、後に「氷の魔剣士妖精」として歴史に名を残す戦士・・・
『Aチルノ』が誕生したのだった・・・。
だが、Aチルノの活躍はこの惨劇の後にとんでもないこととなってしまう。
その未来は、今の3人には想像もつかなかった・・・。
続く
第9話「⑨のパーフェクトソード物語・誕生編(後編)」
チルノは「CAUTION」と書かれた箱を開けるのに必死だった。
しかし、チルノがどんなに頑張ってもなかなか箱が開いてくれない。
「チルノちゃん・・・どう?」
「うぐぐ・・・もう少し・・・!」
大妖精にそう答えるも、開かない箱にチルノは苦戦した。たまりかねて、レティが言う。
「チルノ、もしかしたら、誰かが戻ってくるかもしれないから急いで。」
そう言われ、チルノはある事を思いつく。
「こんな固い箱・・・あたいの氷で粉々にしてやるわよ!」
そう言い、箱に冷気を当てる。みるみるまに凍りつく箱。そして・・・。
「おりゃー!!」
チルノは持てる力を出し切って、蓋を開けようとする。その時・・・。
バキッ!蓋が外れた。というより割れたが。
「あでっ!」
あまりに力を出し過ぎて、チルノは箱から落ちて、尻もちをついてしまう。
「いてて・・・けど、開いたから、あたいったら最強ね!」
「流石はチルノね・・・中身がどうなっているか知らないけど・・・。」
「あ゛!?」
あまり考えずに凍らせたことに気づいたチルノは慌てて中身を見る。
見てみるとそこには、計6本の剣とそれを制御すると言われている鎧が入っていた。
チルノは目を輝かせた。全てはあいつ打倒の為に、そして死んだルーミア達の為に。
「遂に・・・遂に見つけた!あたいの新しい力!あたいの新しい武器!」
「チ、チルノちゃん・・・?」
「チルノ?」
チルノの喜びに驚きを隠せない大妖精とレティ。一方のチルノは中身にはしゃいでいる。その時、
「何奴っ!?」
「ここで何している!?」
ふと、ドアから銃を持った男達が現れる。
「も、戻ってきちゃった~!」
「何で!?」
「あんたが大きな音出すからでしょう!」
「あ・・・とにかく、もうここにはもう用がないから退却―――!!」
チルノ達は、箱の中身を取り出して、逃げた。それを追いかける2人。
「待て~!」
「待てと言われて待つ馬鹿はいないわよ!」
そんなやり取りしつつ、何とかチルノ達は外に出ることに成功した。
後ろを振り返ると追っかけている2人は見当たらなかった。
「まいたか・・・やっぱ、あたいは最強ね!でも・・・これさえあれば超最強ね!!」
チルノは高らかに笑う。
その背後の話し声など、聞いてもいなかった。
「こちらソルジャー805。3人は武器庫を脱出し、逃走しました。」
『例の物を持っていますか?』
「はい。チルノ氏が持っています。」
『あとは、チルノ様がそれを使いこなせるか、ですね・・・。』
何とか追手をまいたチルノ達は木陰で休んだ。レティなんか今にも溶けそうだった。
大妖精がZのホテルで手に入った武器の説明書(箱に同封していた)を読んでいる。チルノにとっては難しいからだ。
「チルノちゃん・・・別に止めろとは言わないけど・・・腕時計で何見たの?」
大妖精が恐る恐る尋ねる。脱落者の知らせを聞いた時、チルノが豹変したからだ。
大妖精も腕時計が付いてあるが、とても怖くて見れなかった。
チルノはしばらく黙っていたが、やがて話し出す。
「・・・スター、ルナ、リリーホワイト、橙、藍、パルスィが死んだのよ。」
「!?」
チルノの言葉に大妖精は驚いた。パルスィ除いてどれもチルノと馴染みのある者ばかりではないか。
特に、九尾の狐である藍が死んだとなれば・・・T‐Jはそんなにも強いのか?
チルノちゃんはそのT‐Jと戦うなんて、大丈夫だろうか・・・。
そんな心配をよそに、チルノは剣を興味津々に見る。
大サイズの剣が一つ、中サイズが二つ、小サイズが二つ、それに特殊な形の剣が一つと合計六本。
「何だか、どれもかっこいい剣ね・・・。これ名前なんて言うの?」
「え?えーと・・・大きなのが『メロス』、中位のが『アポロン』、小さいのは『イカロス』、そしてなんか凄いのは『ゼウス』。」
「へ~覚えにくいけど、カッコいいじゃん。他には?」
「この六本の剣は科学の力により魔力を込めた剣で、六本合体すると物凄い力を発揮するらしい。」
「合体するの!?凄いじゃん!」
「でも、あまり魔力が危険なので、それを制御するアーマーが必要だって・・・。」
「あ、これ?成程・・・。」
チルノはアーマーを見て、納得する。制御用の鎧にしては、なんか動きやすそうだ。
「所で、この鎧の名前は?」
「えーと・・・『アドベント・アーマー』だって・・・。」
「わーお!まさに最強の名に相応しい名ね!どれどれ・・・。」
そう言い、チルノはアーマーを着始める。
まずは脚部アーマー、次に腕部アーマー、最後に脚部アーマーと装着してみる。
「・・・完成!・・・えーと、アドバンス・チルノ!」
「アドベントよ・・・。」レティが訂正する。
「あ、そっか。アドベント・・・難しいから省略!完成!A(エース)チルノ!!」
ビシッと決めポーズを取るチルノ。何だか、超最強の気分で満喫していた。
おっと、自分のかっこいい姿に惚れ惚れしている場合じゃない。まずは、武器を使いこなさなければいけない。
そう思い、チルノは一番特殊な剣、『ゼウス』に手をかける。
「よしっ!まずは要練習!最初の目標は・・・あの木よ!」
大きな木に『ゼウス』を突き出し、チルノは思いっきり走る。
頭の中には、手本なのか半人半霊の剣士の事を想像していた。
「みょ―――――――――――――――――――ん!!!」
奇怪な言葉を叫びながら、チルノは『ゼウス』を振るう!
すると・・・。
バゴォォォオン!!
大きな音と共に木が一気に真っ二つになった・・・いや、粉々に割れた。
それを見て、ペタンと座りこんだチルノや大妖精達はポカーンとなった。
「ふふふふ・・・。」
「チルノ?」
「チルノちゃん?」
急に吹き出すチルノに後ろに引く2人。
「あ~はははっは!!これって凄いよ!これならあいつに勝てる!皆の仇をとれる!超最強・・・うんにゃ、究極最強の座を手に入れたのよ!あたいったら究極且つ、強靭・無敵・最強ね!!」
笑い出すチルノにレティはこう思う。
「(可哀想なチルノ・・・。自分の力に酔ったのね・・・。)」
ルーミア達の仇を取ってやるという言葉は嘘ではない。だが、今は自分の力に酔い始めたのだ。
チルノが本当にT‐Jを倒せた、と想像する。
きっと彼女はもっと強い奴と戦うことを望むかもしれない。更なる最強を目指して。
最悪、T‐Jの様な殺人鬼になる恐れが・・・。
そんな思考をレティは必死に振り払う。いくらチルノでも、そんなことは絶対しない。
だが・・・。
「ははははは!次はあの木だ―!」
そんな事を考えているレティにはお構いなしに両手に『イカロス』を持って、次の木に近づくチルノ。
その後、チルノが満足して練習を終わるまではレティ達は止めることができなかった・・・。
「ふ~、あとは合体剣を試したいけど、少し疲れたから休憩。」
練習の標的とされた木々は悲惨なものだった。
2つに切られたり、割れたり、粉々だったり、バラバラだったり・・・。辺りは伐採されたような感じだった。
「チ、チルノちゃん・・・。いいのこんな風にして?ここはZさんの島なんだよ・・・。」
「あ。・・・あー・・・。まぁ、あれよ。幽香に頼めばいいし、駄目だったら、戦闘でこうなったと言えばいいわよ。」
まぁ、頭はいつものチルノであり、なんとか誤魔化そうとしている。
「と、とにかく急ぐわよ!」
「ど、何処に・・・?」
決まっているんじゃない・・・とチルノは不敵に笑い、こう言う。
「デンジャーゾーン、つまり、T‐Jの出現場所よ!」
「「えぇぇぇぇえ!?」
突然の一言にレティ達は驚く。しかし、チルノは本気だった。
「チ、チルノ・・・。何故・・・?」
「理由は簡単よ。Zが言ったデンジャーゾーンという赤い円は多分、あいつの家かもしれない。そこをあたいが殴りこんで一気にやっつける、という作戦よ!」
「で、でも・・・。まず、霊夢さん達と合流しないと・・・私達では・・・。」
「大ちゃん・・・無理にあたいについて来なくてもいいよ。」
「っ!!」
突然にチルノの言葉に大妖精はショックを受けた。ついて来なくていい?
「(チルノちゃんは剣で強くなったから、もう私を必要としないの?そんなのチルノちゃんじゃない・・。)」
そんな大妖精にはお構いなしにチルノは続ける。
「正直、大ちゃんもあたいのかっこよさを見させたいけど、相手がT‐Jだしなぁ・・・。」
「チルノちゃんは・・・私が足手まといだと思っているの?」
「いや、大ちゃんが一緒にいると、なんか大ちゃんが危ないし・・・。大丈夫よ!1人でもあたいはやってのけるわ!」
「チルノちゃん・・・。」
大妖精は首を振る。自分がいると彼女の足手まといになってしまう恐れがある。
だが、それだと、チルノちゃんが私を必要としなくなる。いつものように一緒にいられなくなる・・・。
「私なら大丈夫よ・・・心配しないで・・・。」
「そうかぁ・・・。」
「仕方がないわね・・・。私も同行するわ。」
レティもそう言う。彼女もチルノのことが心配なのだ。
何としてでも、復讐鬼ではなく、いつもの馬鹿な氷の妖精に戻したかった。
憎むべき者を倒す為に力を欲するなどチルノではない。
「サンキューレティ!」
そう言い、チルノは腕時計の地図を確認する。いくら馬鹿でも、3人の内、唯一使いこなしている。
「えーと、デンジャーゾーンはここから北と西・・・今はお昼だから、お日様に背を向けて行けばいいのね!」
そして、チルノは勇敢に2人に言う。
「行くわよっ!打倒T‐J!ルーミア達の弔い合戦だ―――――!!」
ここに、後に「氷の魔剣士妖精」として歴史に名を残す戦士・・・
『Aチルノ』が誕生したのだった・・・。
だが、Aチルノの活躍はこの惨劇の後にとんでもないこととなってしまう。
その未来は、今の3人には想像もつかなかった・・・。
続く
某動画サイトでしか東方projectを知らないんですね。