今回も、前作までの紅魔館設定を引き継いでます。
が、フランちゃんが寺子屋に通ってるって事だけ知っておいて下されば問題ないと思います。
「ハロウィン? 仮装? 寺子屋の子達が? 紅魔館で?」
紅魔館の応接室。
里の護り手であり、寺子屋の教師でもある上白沢慧音の言葉を、レミリアは確認の意味を込めて、復唱した。
「ああそうだ。最近、少しずつだが幻想郷にも西洋の文化が入り込んできているだろう? 幼い頃に様々な経験を積んでおけば、情緒豊かな人間に成長してくれるだろう、という狙いだ。‥‥これ、美味しいな」
一息に説明を終えると、慧音は咲夜お手製のチーズケーキを一口。
最近では市販の菓子が口に合わなくなってきた。
深刻な事態である。
「まあ、言われてみれば何となく理解できるわ。小さな頃の情操教育は大切だって聞くし。ただね‥‥」
「ん? 何か問題が?」
「あなた、ハロウィンでの仮装の由来って知ってる?」
「一応理解したつもりだ。悪魔や魔物、死霊が現世に蘇る際、人間だと気付かれて、悪さをされないようにするためのものじゃなかったか?」
「そ。正解よ。そこまでわかっているなら、物凄く違和感を感じたりしないかしら?」
「うん、まあ、ビンビンに感じるな」
その理由は簡単だった。
慧音の目の前に座っている相手。
仮装大会を行なう場所の提供を申し込んでいる相手こそ、身を隠すべき魔物の筆頭、吸血鬼なのだから。
「仮装までして正体を隠してるのに、わざわざ悪魔の館に出向くって‥‥なんなの?」
「いや、そこは正直、私も気にはなっているんだがな。何せ、西洋の行事だろう? 神社や寺でというのも妙じゃないか?」
「確かにそれはそうだけど‥‥じゃあ、森なんてどうかしら? 木に囲まれていれば洋の東西も関係ないし、本物の魔女も住んでるわよ?」
「魔法の森か‥‥いや、やはりだめだな」
「どうして?」
「料理が出ない」
「あのさ」
「冗談だ」
どうにも最近、慧音を始めとする客人が、フランクに接して来すぎな気がする。
別に、常日頃から畏れ敬えとは言わないが、こっちだって一応由緒正しい吸血鬼なのだ。
面子というものがある。
そこまで考えた時だった。
レミリアの頭に、一つの妙案が浮かぶ。
「‥‥まあいいわ。友達が来ればフランも喜ぶだろうし」
「おお、本当か?」
「ええ。それにせっかくだし、紅魔館一同でイベントに参加させてもらうわ」
「大歓迎だ。よろしく頼む」
「ええ、当日の夜、お待ちしているわ」
「この埋め合わせは必ずしよう。それではまた」
話が上手く纏まり、安心しきった顔で慧音は館を発つ。
その後ろ姿を見送るレミリアの顔には、魔の者らしい厭らしい笑みがへばりついていた。
「と、いうわけで、ハロウィンパーティを開催するわ」
「‥‥吸血鬼が?」
「妖怪や妖精がウロウロしてるこの館で?」
「その辺りの話題は散々に出尽くしたわ。そこはもう、割り切りましょう」
パチュリーと美鈴の声を受け流し、レミリアは続ける。
「無論、私だって何の考えも無しに話を受けたわけじゃないわ。あなた達、最近誰かに怖がられた事はある?」
「怖がられた事、ですか」
「言われてみれば確かに‥‥」
パチュリーはそもそも特定の人物としか会わない。
美鈴に至っては、美人が立っているという噂を聞きつけた若者が見物に来る有様だった。
「あ、咲夜さんは怖がられてますよね。メイド達に」
「え、嘘」
美鈴の衝撃の一言が、咲夜の胸に突き刺さった。
あんなに優しく、時には気さくに接しているつもりなのに。
「余計な事言わないの。‥‥ともかく、妖怪として、それはどうかと思うわけよ」
「じゃ、じゃあお姉様‥‥あの子達に何かする気なの?」
友人達を家に招くという発表を聞いてご機嫌だったフランドール。
しかし、レミリアの意図を読み取ると途端にその顔が曇る。
「いや、まあ‥‥あんまり怖がらせすぎるっていうのも。ほら、なんだかんだで馴染んできたのに、今更避けられたりしても‥‥ねえ?」
「あなた結局何がしたいのよ」
レミリアの複雑な気持ちを一蹴し、パチュリーが結論を急かす。
「要は、ちょびっとだけビックリさせようかなって。子供達に『ああ、やっぱり妖怪は怖いのかもな』って思わせる程度に」
「ふぅん」
「あ、でもあんまり驚かしすぎて、誰も寄り付かなくなったら寂しいから、加減は大事にね」
「そこが面倒ね‥‥」
「‥‥‥‥」
「あらフラン。まだ何かあるの?」
「うーん‥‥やっぱり、嘘でも怖がらせるのはなあ‥‥」
レミリアの説明を聞いた後でも、フランドールの表情は晴れない。
友人を罠にかけるようで、どうにも気が乗らないのだ。
そんなフランドールに、レミリアが言う。
「‥‥フラン」
「ん?」
「私達が、あなたの友達を驚かせるでしょう?」
「うん」
「でも、そのすぐ後に、実は冗談でしたっとやるわけよ」
「うん」
「想像してご覧なさい? ‥‥それはもう、ウケるわよ?」
「!!」
「物凄くウケるわよ。笑い過ぎてお腹が痛くなっちゃう人もいるかも」
「やろうよ! みんな!」
フランドールの性質を利用した、レミリアの見事な頭脳戦であった。
「それはいいとして、具体的にはどうするの? 魑魅魍魎がウヨウヨしてる幻想郷で、滅多な事じゃ驚かないわよ?」
「問題はそこですよね。かといって、あまりやり過ぎでもいけないようだし」
「フラン。子供って、何が怖いのかしら?」
自分達よりも子供と接する機会の多いフランドールにアイデアを求めるパチュリー。
その質問に、フランドールは即答した。
「怪人!」
「は?」
「怪人よ、怪人! 改造人間!」
「か、改造人間?」
「そう! 見た目もおっかないし、すごいのになると、攻撃された人が泡になって溶けちゃったりするの!」
「‥‥‥‥」
「でも、最後には同じ怪人である正義の味方にドッカーンってやられちゃうの!」
「フラン」
「なーに?」
「あなた、また早苗に何か借りた?」
「うん!」
「やっぱりね‥‥別にいいんだけど」
早苗のフランドールに対する影響力は強く、最近では、フランの裏にやっぱり東風谷と言われる間柄になっている。
「でもまあ、案外有効かも知れないわね。この地に住む妖怪は、見た目だけで言うと人間と変わらないのが多いし。インパクトはあるかも」
「でしょう? そうと決まれば‥‥」
「へ?」
「パチュリー! 今日は朝まで研究だよ! とりあえず、初代の全98話、ぶっ通しで鑑賞しよう!」
「へ? へ?」
「いや、この際ストロンガーまで一気に見ちゃおう! うん、そうしよう! じゃ、レッツゴー!」
「つ、つれてかないでー」
言うが早いか、パチュリーの腕を掴んで自室に引きずり込むフランドール。
研究のためとは言っているものの、実際のところ、同じ話題で話せる者を増やしたいのであった。
「‥‥えーと」
「それじゃ、私達は解散という事で‥‥」
「パチュリー様が、いいアイデアを持ってくるのを期待しましょう」
「そうね! 目指すは‥‥怖そうで怖くない、少し怖い紅魔館、ってところね」
「何か、一時的に人気が出そうですね」
残された三人は、苦笑いを浮かべながらも、まるで他人事のように言う。
後日、これが原因で酷い目に遭うとも知らずに。
レミリア達三人が、次にパチュリーに会ったのは、三日後だった。
「あら、パチェ。久しぶりね。どうだった?」
「ええ。初めこそは、子供騙しの娯楽作品として見ていたのだけれど、実に奥が深かったわ」
「えへへ、そうでしょ!」
「それじゃ、何かいい案も浮かんだかしら?」
「任せなさい。バッチリよ。後で、咲夜と美鈴も図書館に連れてきて頂戴」
「わかったわ」
「ねえねえ」
「あらフラン、どうかした?」
「パチュリーがバッチリって‥‥くふふ‥‥バッチュリー‥‥くふふふ‥‥」
「フランったら、面白い事を言うわね。ふふ、ふふふふ‥‥」
「お前ら、帰って寝ろ」
三日間ろくに寝てもおらず、画面に釘付けだった二人は、レミリアの手でベッドに押し込まれるのであった。
その日の夜、約束通り集まった面々に、パチュリーは説明を始める。
「さて、私がフランと共に研究をして分かったのは、改造人間が実に多種多様であるという事よ」
「と、言いますと?」
「基本となるのは、人間に蜘蛛の能力といったように、人間と動物の融合体。それから、鷲とカマキリみたいに動物の特徴を併せ持つ者。猪と磁石のように、生物と無生物の特徴を兼ね揃えた者もいるわ」
「へえ」
「それらを踏まえて、私は独自の魔法を編み出したわ。そう! 人間や妖怪を怪人に変身させる魔法を!」
「あ、あら、そう‥‥」
完全に妙なスイッチが入ったパチュリーに、三人はドン引きであった。
が、それにも構わずパチュリーは続ける。
「私の魔法では、素体になった者の能力を最大限に引き出す、合理的な改造が可能になるわ。早速試してみましょう。美鈴、向こうの部屋へ行くわよ」
「え! 私ですか!?」
「そうよ。格闘戦に特化したあなたなら、合理的な改造というのが、わかりやすく伝わる筈よ」
「は、はあ。わかりました」
連れ立って隣の部屋へ移動する二人。
レミリア達は若干の心配を抱えて待っている。
パチュリーが戻ってきたのは、それから数分も経たない頃だった。
「あら、案外早いわね」
「改造といっても、あくまで魔法だからね。それより、さあ見てちょうだい! 彼女こそ、私の英知が誕生させた、完璧な生物! 美鈴の体術と雀蜂の俊敏さを併せ持つ‥‥」
ガチャリ。
ドアが開き、美鈴が入ってくる。
「ええ!?」
「きゃあ!?」
否、入ってきたのは美鈴では無かった。
「その名も『スズメバチカンフー』よ!」
「キョキョキョーッ!」
・
・
・
・
・
「‥‥で、何よこれ」
「スズメバチカンフー」
「美鈴は?」
「ここにいるじゃない」
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
「キョキョキョーン」
「な、何て事してくれてるのよぉ! 美鈴! めいりーん!」
何という事だろう。
自分が軽い気持ちで立てた計画のせいで、美鈴が変わり果てた姿になってしまった。
ちょっとカッコイイけど。
妖怪とは思えない人懐っこい笑顔が、心を暖かくしてくれる声が、永遠に失われ、こんなに無機質な化け物へと変貌してしまった。
ちょっとカッコイイけど。
「ああ、美鈴‥‥ごめんなさい‥‥愛する部下を‥‥いえ、家族とも呼べるあなたを、こんな姿にしてしまうなんて‥‥」
「落ち着きなさいよ。元に戻れるに決まってるでしょう?」
「へ?」
「そうですよ、お嬢様」
「あ、あなた喋れるんじゃないの! 何がキョキョキョーよ! バカ! 美鈴のバカ!」
早とちりで、みっともない姿と涙を見せてしまった。
美鈴の胸をポカポカと叩くレミリア。
しかし、その顔には安堵の表情が浮かんでいた。
「いい話っぽく終わろうとしてるところ悪いけど、感想を聞かせて貰える?」
「あ、はいはい」
「うっかりしてたわ」
「そうですねえ。確かに、身軽になった気がしますね。このまま門番を続けるのもいいかも!」
「やめて」
満更でも無さそうな美鈴を本気で止めるレミリア。
当然である。
「そう。それじゃ次、咲夜いってみる?」
「え? は、はい!」
「あら? 何か乗り気じゃない?」
「そ、そう見えますか?」
それには理由がある。
この館で唯一の人間である咲夜。
普段、表には出さないものの、心の奥底では妖怪に対する、憧れにも似た感情を抱いていたのだ。
それがこうして、擬似的にせよ叶う機会が来たのだ。
それも、元に戻れるという保証付きで。
美鈴の姿を見る限りでは、怪人と言ってもなかなかスマートなデザインのようだし。
咲夜は足取り軽くドアへ向かう。
「それではパチュリー様。よろしくお願いします」
「はいはい」
先と同じく、隣室での作業を待つ。
しかし‥‥
「え!? な、なんでですか! ちょ‥‥いやああああ!」
「‥‥何事かしら?」
「さ、さあ‥‥」
耳をつんざくような悲鳴が聞こえた。
その後は、水を打ったように静かな時間が流れる。
「さ、できたわよ」
「何か騒がしかったけど、どうしたのよ?」
「ああ、ちょっとモチーフに不満があったみたいでね」
「モチーフ?」
「まあ見て頂戴。咲夜の能力を象徴する道具、時計! そこに、人間であるが故に、体が脆弱であるという弱点をカバーする生き物を合成する事で生まれた怪人! その名も‥‥」
ガチャリ。
「ギギギギーッ!」
「『ザリガニストップウォッチ』よ!」
「うわあ‥‥」
「こ、これはちょっと‥‥」
「え! なんで!? かっこいいじゃん!」
女性である咲夜を元にしたとは思えない重厚な外見。
喜んでいるのはフランドールだけであった。
「うう‥‥もうお嫁に行けない‥‥」
「大丈夫ですよ咲夜さん!」
女の子座りでへたり込むザリガニの化け物。
それを慰めるスズメバチの化け物。
異様な光景であった。
「‥‥ま、まあ、なんとかなりそうね。うん」
「そうね。私は当日、イカになる予定だし」
「え、パチェもやるんだ。それも‥‥イカ? イカって」
「当然でしょう? 幹部が怪人体を持っているのは、お約束よ。頭脳派はイカの怪人になるのも。ねえ?」
「ねー!」
フランドールに続いて、友人までもが早苗色に染まってしまった。
レミリアは溜め息を吐くが、今は、数日後に控えたパーティを待つしか無いのであった。
ハロウィンパーティ当日。
紅魔館の広間には、可愛らしいお化け達が集まっていた。
開催地が紅魔館という事で、吸血鬼の仮装が多いようだ。
空気の読める子供達である。
「やあレミリアにフランドール。今日は無理を言ってすまなかったな」
「あら慧音、ご機嫌よ‥‥何? その格好」
普段の服装とは違い、より吸血鬼らしい衣装の二人に声をかけてきた慧音の身を包んでいるのは、ピンク色のドレスに帽子。
背中にはご丁寧に翼までつけてある。
「何って‥‥いつものお前じゃないか」
「うん。私、ハロウィンは初めてだけど、仮装って多分そういう事じゃないと思う」
「なんだって!? お前は吸血鬼じゃないか!」
「いや、そうなんだけどね。ほら見てよ。私がマントなんて付けてるもんだから、アンタ、完全に浮いちゃってるじゃない」
「なんという事だ‥‥」
薄明かりの中に光るピンクが眩しい。
「せっかくカボチャパンツも手に入れてきたのに」
「そんな報告いらないんだけど」
「‥‥ともかく、あの子達も楽しんでいるようだ。礼を言わせてもらう」
「その格好で何を言われても耳に入って来ないんだけど‥‥まあいいわ。そろそろちょっとしたイベントもあるから、楽しみにしてて頂戴」
「ほう」
その時、タイミングよく前方のステージがライトアップされる。
そこには、額にお札を貼った美鈴が立っていた。
「お集まりの皆さーん! 今日は、レミリアお嬢様主催のパーティにご参加頂き、ありがとうございます!」
「あの仮装、楽そうでいいわね」
「そうだな。それより、これが例のイベントというやつか?」
「ええ。度肝抜かれるわよ?」
二人がそんな話をしていると、順調に挨拶をしていた美鈴の声のトーンが落ちる。
「しかし、皆さんに残念なお知らせです。今宵のパーティに、人間が紛れ込んでいるというのです!」
「ははは、なるほど。本物の妖怪の集まりに見せかけて、子供達を驚かせる気か。考えたな」
「まだまだ。これからよ」
「うん?」
ざわめく子供達の反応を確認した美鈴は、更に続ける。
「見たところ、上手く紛れ込んでいるようですね。人間は変身が得意なんでしょうか。しかし‥‥」
一度言葉を止めると、大きく見得を切る。
「あなた達が妖怪に変身するように、私達もまた変身する!」
その瞬間、美鈴の体を煙が包み、次の瞬間には、そこに怪人・スズメバチカンフーが立っていた。
「キョキョキョキョーン!」
「うわあ!」
その姿に驚いた子供の声があがる。
しかしその声は、会場のあちこちから聞こえてきた。
「ギギーッ!」
「キヒェヒェヒェヒェーン!」
つい今しがたまで、笑顔で料理を取り分けてくれていたメイドのお姉さんが。
珍しい物語を聞かせていてくれた魔女さんが。
目の前で異形の怪物になり果てた。
そんな状況に、耐えかねた一人の少年が叫び声をあげた。
「うわああ! すっげえ! かっくいいーっ!」
「へ?」
「はい?」
「なんと?」
それを皮切りに、子供達が怪人に群がっていく。
「うわー! うわー!」
「何これ! エビ!? エビ!?」
全く想定していなかった事態に慌てる三人。
「ギギーッ! ちょっと美鈴! どうなってるの!?」
「し、知りませんよ!」
「い、痛っ! 頭は弱点なんだから触らないでー!」
もみくちゃにされる怪人達を眺めるレミリアとフランドール、そして慧音。
「ははは、すごいな。大喜びだ。ありがとう」
「え? ああ‥‥」
「う、うん‥‥どういたしまして」
レミリアとフランドールの歯切れは悪く、辺りに微妙な空気が流れる。
その時。
「ねえねえ。フランちゃんのお姉さんは変身しないの?」
「ばっか! この人は大ボスなんだから、凄いのになるに決まってんだろ!」
瞬時に集まってくる期待の眼差し。
当初とは予定が違うが、どうやら一応凄い事をしたと思われているらしい。
つまり、ここで変身すれば尊敬が得られる。
頭が答えを弾き出すと同時に、何とか逃れてきたパチュリーに目配せをする。
「ふふふ‥‥いいでしょう。レミリア・スカーレットの真の姿、その目に焼き付けるといいわ!」
「えーとえーと‥‥レミィに相応しい怪人は‥‥!」
レミリアはテンションが上がり始めたが、パチュリーはたまったものじゃない。
高度な魔法はそんなにポンポン使えるものじゃないのだ。
「変・身!」
「ええい! もう、なんでもいいわ!」
先と同じく、レミリアが煙に包まれる。
少し遅れて、どんな魔法がかかったのかを把握したパチュリーは、重たく口を開く。
「え、ええと‥‥きゅ、吸血鬼の象徴であるコウモリ! そして、最大の弱点である日光を完璧に克服した能力を併せ持つ究極の怪人! そ、その名も!」
「バサッ、カチッ。バサッ、カチッ」
「こ、『コウモリガサ』!」
「‥‥‥‥」
大きなホール全体が静寂に包まれる。
それもその筈、期待に胸を膨らませていた面々の前には、ただの日用品が置かれているだけだったのだ。
「パ、パチェ! パチュリー! 何よこれ! どうなってるのよ!」
「いや、その‥‥コウモリと傘の合体怪人で‥‥」
「どこが怪人よ! 私、傘の妖怪見た事あるけど、あの子の方がまだ怪物に見えるわよ!」
大声で怒鳴り散らすコウモリ傘。
そのシュール過ぎる光景に、一拍開けて会場は爆笑に包まれる。
そして、この日を境に人間達の間での紅魔館の評価は変わった。
怖くなさそうで怖くない 少し変な人達
まさかの日用品
文章はわかりませんが皆さんが今までとお変わりなくて安心しました。
しかしフランドールさんは笑いのためなら手段を選ばないのですね…
しかも結構なズレが。
レミリア様も苦労されますね。
文句無しの100点ですw
というか、その魔法いいなあ。
里の子供たちのノリの良さがよすぎます。
文章も私としては前作と違和感なく楽しく読ませていただきました。
オチが面白かったです。
コウモリガサが怖くてかっこいいかどうかはコメントを控えさせていただきます
れみぃstyleけーね、れみけーね・・・うぉぉぉぉぉ!
怖くなさそうで怖くない人達の主催でよかった
あなたの優しい幻想郷、大好きです。
貴方の書く「怖くなさそうで怖くない 少し変な人達」が大好きです。
ライダーの敵だったらアポロガイストさんとシャドームーンが人気二大巨頭ですよねー
って「太陽の追跡者」「暗躍する月」ってもこたんとえーりんじゃないか
格闘スズメバチって仮面ライダースーパー1じゃないか
おまけにパチュのイカデビル=死神博士!w
あんた、マジモンやぁ!
黒幕の前に出てきたと思いきや、とがったものを投げまくるだけで
結果、主人公に利する行為をしてしまい、黒幕からも使えない系のことを言われた……
うん、だいたいあってる