Coolier - 新生・東方創想話

SSって『サイドストーリー』の略だと思ってた その7

2019/01/19 21:33:00
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61

「外で高校生やってた時に○×クイズで0点取ったことあるんですよ、イッツミラクル」
「白紙で出したんだろ?」
「違いますけどその発想は無かったです」





62

 今宵も竹林に遠吠えが響く。
 喉よ裂けよと言わんばかりに。

「……ゲホッ、ゲホッ、あーあー」

 あの後、あの異変の後。
 何かが変わると思った。

 それが小人の反乱だったと知ったのは最近。
 この私より弱い存在の、小さな小さな宣戦布告。

 弱小妖怪が反旗を翻したのかと思った。
 吐いた唾が天に届くのかと思った。

 でもその願いは叶わなかった。
 たった2人だったらしいレジスタンスは、あっけなく解体されたそうだ。

 あの日、あの異変の日。
 何かが変わると思った。

 どこからともなくあふれ出た、力の本流にあてられて。
 私は、1匹の妖怪として野を駆けた。

 自分の都合を振り回し、力の限り身勝手を通す。
 あの日、私は確かに怪物だった。

 それでこそ妖怪。
 そう思ったのは私だけじゃないはずだ。

 今宵も竹林に遠吠えが響く。
 涙混じりの遠吠えが響く。

 私だけじゃないはずだ。
 私だけじゃないはずだ。

 まだ見ぬ仲間に届けるために。
 いるはずの同胞に伝えるために。

「アオォ―――……ゥン!!」

 私はここで待っている。
 私はまだ、暴れ足りない。





63

 2人に増えた針妙丸が夜な夜な私をいじめてくる。
 姫は背丈が手のひらサイズなため、私の肩に乗ると口がちょうど私の耳元の高さになるのだ。
 そんなのが両サイドから交互にささやいてくるものだから、くすぐったくてたまらない。

「正邪ちゃん。今日も一日お疲れ様♪」                     「身体からスーッと、力が抜けていくね」
「あなたは気持ちいいことが好き、そうでしょ?」          「あたまからっぽにして、気持ちよくなりたいよね?」

「あああああぁぁぁぁぁ~~♡♡♡」

 クセになりそうで困っている。





64

 ここのところ橙が生意気盛りで困っていたので、一計を案じることにした。
 飲みの席の余興と称して、橙とその場にいた適当な2人を呼んでゲームを挑んだのだ。

 ここに赤い帽子が3つと、白い帽子が2つある。
 ツバの内側は全て同色なため、自分が何色の帽子をかぶっているのかはわからない。
 これを今から君たち3人にかぶせるから、他の2人の帽子を見ただけで自分の帽子の色を当ててみろと言った。

 ほくそ笑む橙たちに後ろを向かせ、それぞれに帽子をかぶせる。
 そして最初に正解したものには賞品をやると言ってゲームを始めると、振り向くが早いか橙は自分の帽子は赤だと答えた。

 何故そう思うと問うた私に、奴はさもその場で答えを編み出したかのように揚々と解説を始めた。
 論理の旋律は必ず真実を奏でるなどと調子の良いことを言っている橙に帽子を脱がせると、奴は顔を真っ青にしてしまった。

 私が橙にかぶせた帽子は白だ。
 こんな有名な問題を私がそのまま出すはずがない。
 青くなっていた顔を今度は真っ赤にしながら、クソガキは私を睨みつけていた。

 確かに理屈の上では『赤が2つ見えていて仮に自分が白なら、他の2人は現在白と赤が見えている、その2人は【白白が見えていたら自分は赤確定なのにもかかわらず赤のあいつは答えない】のだから自分は赤だとわかる、にもかかわらず2人とも答えないのなら、自分が白という仮定が間違い、故に自分は赤』となる。

 だが実際の所、2人の酔っぱらいにそこまでの知恵があるか、【自分の帽子と橙の白が見えていても何も言わないから自分は赤】というのがどのタイミングで判断できるのか、それ以前に『白白が見えていたら自分は赤』ですらわからないかもしれないし、この問題を知っているからこそ白い帽子が目に入って混乱したということもありえるのだ。

 このように、実戦の前では机上の理屈などいともたやすく地金を晒す。
 それが学び取れたのなら、睨まれる価値はあったのだろう。

 ざまーみろバカ猫。
 ばーかばーか。





65

 【比那名居天子が幻想郷で二度としてはいけないことの公式リスト】
 もし比那名居天子がさらなる違反行為をするようであれば、誰でも気軽にリストへ書き加えるように。  -八雲紫

・比那名居天子は要石を博麗神社に叩きこんではいけません。

・比那名居天子は最大出力の緋想の剣でなら霧の湖をどの程度蒸発させられるのかを試してはいけません。
  追記A 『あと少しで5割に届いた』という主張はあなたの罪を軽くする要素になりえません。

・逆さ城を操縦して妖怪の山を中心に周回させる行為は禁止されました。
  追記A 針妙丸がいいと言ってもです。
  追記B どのような主張をしようとも、逆さ城が妖怪の山の周りを回る衛星だという事実はありません。
  追記C 惑星でもありません。
  追記D ラピュタでもありません。
  追記E これ以上は庇いきれないから本当にやめろ。

・打ち出の小槌はキラキラ光る鈍器ではありません。それで人を叩かないでください。
  追記A 妖怪なら叩いていいという意味ではありません。
  追記B 針妙丸がいいと言ってもです。

・要石ファンネルを室内で振り回す行為はゴキブリを発見した時の反応としてふさわしくありません。
  追記A 咄嗟のことだったことはわかりますが、そういう時にこそ育ちが表れるものと心得なさい。

・私の湯呑みに緋想の剣を突き立てる行為は茶柱ではありません。

・比那名居天子は自らが異変解決に向かうために、誰かに異変を起こすよう催促してはいけません。
  追記A 針妙丸がいいと言ってもです。
  追記B 鬼人正邪がいいと言ってもです。というか誰がいいと言ってもです。

・比那名居天子は地霊殿のことを『ジャパリパーク』と呼んではいけません。
  追記A 『旧都ちほー』という呼称は存在しません。
  追記B 2期楽しみですね。

・八雲紫を『ウーパールーパーのフレンズ』と呼んではいけません。
  追記A 『セルリアン』も同様です。
  追記B 『パークガイド』は言い得て妙ですがやめてください。

・比那名居天子は外の世界の真実と称して『進撃の巨人』を里の人間に読ませてはいけません。
  追記A 針妙丸がいいと言ってもです。
  追記B 博麗の巫女は立体機動装置で飛んでいるわけではありません。
  追記C 魔法使いもです。

・摩多羅隠岐奈に立体機動装置の試作品を装着させ、最大出力で稼働させる行為は楽しかったですが以後禁止します。
  追記A 当時の映像記録は保存してありますので忘れたころに一緒に見ましょう。

・八雲の屋敷の側に逆さ城をビタ付けするのはやめてください。
  追記A 針妙丸がいいと言ってもです。
  追記B 通勤に便利という主張に正当性はありません。
  追記C 日照権の問題ではありません。日陰に移動してもダメなものはダメです。

・逆さ城に出没したゴキブリを退治させるために八雲紫を呼び出してはいけません。
  追記A 逆さ城の窓から顔を出して大声で呼ぶという呼び出し方法にも問題があります。
  追記B 緊急事態だったという主張に正当性はありません。
  追記C 「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ」ではありません。妖怪を化け物と呼ぶだけならまだしも、ごく一般的な昆虫を化け物呼ばわりするのは大げさです。
  追記D 針妙丸にとっては化け物だったという主張に正当性はありません。

・正月から八雲の屋敷に入り浸るのはやめてください。
  追記A 貧乏神と針妙丸が実家に帰ったことは理由になりません。
  追記B あなたも実家に帰ればいいのでは?
  追記C こんなことで泣かないでください。あなたの友人はあなたを見捨てたわけではありません。
  追記D あなたのために眠い目をこすって起き出してきている私のことも少しは考えてくださいな。

・比那名居天子はこのリストが自らの活動を制限するためにあるものだと誤解してはいけません。
  追記A 本リストはあなたに『幻想郷内ではどの程度の行動まで許容されるのか』を理解してもらうために作成されています。本リストに書かれていることは遵守しなければなりませんが、あなたの行いに共感し、賛同している者も確かに存在します。しかしながら幻想郷はあなたの全力を受け止められるほど頑健ではなく、何かの拍子にすべてが台無しになってしまう可能性を常に秘めています。そのためあなたを始めとした強大な力を持つ者たちには加減の仕方を知ってもらう必要があるのです。私はあなたにもこの地で活躍し、この楽園を堪能して欲しいからこそこのリストを作りました。心配しなくとも私は断固として比那名居天子を受け入れます。
  追記B 他の強者たちにもこのようなリストがあるという意味ではありません。彼らはあなたと違って言えばわかってくれます。





66

 66分の1だけ第三の目が開いてしまった。
 ぼんやりとした薄目の視界に、人々の心が写り込む。

 原因はわかっている。
 私は自室に鍵をかけ、引き出しにしまってあった希望の面を取り出した。

「……」

 手の中の面から力が流れ込んでくる。
 この面は希望という名の感情そのもの。
 これを持つ限り、私は希望を失わない。
 感情を、閉ざせない。

「……」

 ガチャリ、とカギが開く音がした。

「入るわよ、こいし」
「あっ」

 姉の姿が目に入る。
 その瞬間、姉の心の声が私の中に流れ込んできた。

(ここにいたのね)

 そして、こちらの心も向こうに伝わり、向こうに伝わった心がさらに私に流れ込んでくる。

((お姉ちゃん)ここにいたのね)

 さらにその心が、さらにさらにその心が。
 私とお姉ちゃんの間で反響する。

(お姉ちゃん)ここにいたのね)お姉ちゃん)ここにいたのね)お姉ちゃん)あらら)お姉ちゃん)共振しちゃって)目を逸らさないと)痛たたた)あううう)

 慌てて後ろを向く。
 ズキズキと痛みが走る頭を押さえながら、背後に向かって文句を投げた。

「カギ掛けたのに」
「マスターキーよ」
「お姉ちゃんズルい」
「お姉ちゃんはズルいものなのよ」

 そう言いながらお姉ちゃんと背中合わせに寄り添い合う。
 温かい、泣きたくなる程温かい。

 前を向くことは許されない。
 覚妖怪は、向き合えないのだ。

「おねえちゃん、久しぶり」
「ええ、久しぶりね」

 向き合えば、暴走する。
 お互いの能力で、ハウリングを起こしてしまう。

「私、あんまり記憶とかはっきりしてないんだけど、迷惑かけなかった?」
「かけない日は無かったわ」
「そこはこう、嘘でもかけてないと言って欲しかった」
「いいのよ、妹は姉に迷惑をかけるものよ」

 だから、背中合わせ。
 向き合うには、寄り添うには、どちらかが心を閉ざすしかない。

「だからいいの、今度はお姉ちゃんが目を閉じるから」
「ダメだよそんなの、地霊殿どうするの」
「いいのよ、お姉ちゃん無能だし、お燐が全部やってくれるわ」
「ダメだよ、地霊殿の主は古明地が務めないと、それが閻魔様との約束でしょ」
「いいのよ、古明地は2人いるもの」
「……ダメだよ」

 私は。
 私は面を持つ手に力を込めた。
 ミシ、という嫌な感触が伝わってくる。

「お姉ちゃん」
「なあに? こいし」
「久しぶり」
「……そうね」
「会えてよかった」
「そうね」
「話せてよかった」
「……」
「大好き」

 ベキ、と手の中で面が真っ二つに割れる。
 同時に、急速に思考が鈍っていくのを感じる。
 何の偶然かわからないけど、感謝しよう。
 二度と会えないと覚悟していた人と、また話ができたのだから。

 さようなら。


「あ、お姉ちゃん! みっけ!」
「……ええ、見つかっちゃったわ」
「ねーねー、さっきわたしキッチンにいたと思うんだけど、なんでお部屋にいるの?」
「あら、あなたがフラフラどこかに行くのはいつもの事でしょ?」
「そっかー、そうだね! お姉ちゃんもそうだもんね!」
「私はそんなことないわ」
「そうなの?」
「ええ、あなたのおかげで」
「わ、くすぐったいよお姉ちゃん」
「ゴメンねこいし、あなたにばっかり」
「うん? なになに何のお話? ご飯の話?」
「待っててねこいし、私、今妖術の勉強してるの」
「うん?」
「なんとか障壁って言ってね、心を読まれないように防壁を張るんだって」
「え? わたしも心読めないよ?」
「難しい術らしいんだけど、絶対に会得するから、待っててね」
「んー? よくわかんないけど待ってるよ」
「ええ、そしたらまた、お話ししましょう?」
「お話しならしてるよ?」
「ええ、だから今は、おやすみこいし」





67

 霊夢は優しい。
 天人は楽しい。
 紫苑は顔がムカつくけどまあ許す。

 でも私は退屈だ。

 私は退屈だぞ正邪!!

 メリハリがない! 刺激がない! 毎日同じことの繰り返し!
 平穏無事に1日が過ぎる! 昨日と同じ今日が来る! 天人の奇行はもう飽きた!

 下剋上を!
 私の悲願を!
 早く叶えに行きたいの!!

 なのに小槌のパワーがまぁだ溜まらない。
 9割くらいのところでなんか止まってる。
 正邪が言うには回収前に他の道具に魔力が宿ってしまったのかもしれないそうだ。
 ふざけんなよ私のだぞ、勝手に宿りやがって。
 私は早く下剋上計画を再開したいんだ。

 だから私は私の部下に命令を下す。
 たった1人の従僕に、この世でたった1人、私にかしずいてくれる天邪鬼に。
 反逆のための活動を宣言する。

「レジスタンスの頭目が命じる! そのアイテムとやら、1つ残さず取って来い!」
「えー? 自分でやれよめんどくせぇ」
「また耳元でエロい感じにささやいてあげるから!」

 全ては私の野望のため。
 下剋上は終わらせない。

 さぁ、弱者が見捨てられない楽園を築くのだ!

「だから早く行け従僕!」
「お前あれご褒美のつもりだったのかよ嫌がらせかと思ってたぞ」
「いいから早く行け!」

 締まらないなぁもう。
 でもまあ、私らはいつもこんな感じだ。





68

 この前の宴会で藍様に恥をかかされて以来なんとかして奴に一泡吹かせる方法を考えていた忠実なる私であるが、このたび飛び出すBL同人誌の開発に成功した。
 巨人の脅威から間一髪で逃げおおせたエレンとジャンが種の保存を渇望するオスの本能に抗えず、大規模な作戦中にもかかわらず事に及んでしまうといういかにも藍様が好きそうな内容である。
 立体機動装置を駆使したダイナミックなラブシーンはファン必見の出来だと自負している。

 そしてこの飛び出すBL同人誌の何が飛び出すかというと、ジャンの欲望が爆ぜるページが開かれると同時に鋼鉄製のワイヤーが本から飛び出す仕掛けなのである。
 しかもワイヤーが読者をからめとると同時に、ボヘミアンラプソディが大音量で流れて獲物がかかったことを周囲に知らせるという素敵仕様だ。最高だ。私は天才だ。

 こいつを藍様が屋敷の掃除を始めたタイミングを見計らって適当な部屋に設置し、猫形態で膝の上に居座ることで紫様を封印。狙いを奴に定めた。
 ほどなくして響き渡る絹を裂くような悲鳴とクイーンの名曲。

 そして駆け付けた私が見たものは、ワイヤーの餌食になっている顔を真っ赤にした天人であった。





69

 近頃幻想郷が騒がしい。
 民は常に不安を抱えて生活しており、何が起きているのかわからない恐怖からか、救いを求める欲の声が毎日のように私のもとへと集まってきていた。

 まず1つ目。デザイアネーム『書のように舞い、鈴のように刺す』さんからの欲。
 『太子様こんばんは! いつも楽しく欲を送らせてもらっています。最近でっかいお城が逆立ちしながら山の周りを回っていたのですが、この世の終わりでしょうか』
 お便りありがとうございます。
 そうですね、それに関しては人里でもあり得ないほど多彩な流言飛語が飛び交ってますね。大喜利じゃないんだから無責任なことを言うのは自重してほしいです。
 私も気になって布都に調べさせましたが、どうも守矢神社の連中が一枚噛んでいるらしいということがわかりました。
 あのような権力の誇示ともとれる行動は、まさに連中らしいやり方だと考えられます。
 何か問題が起きるようなら私が行って懲らしめてきますので、書のように舞い、鈴のように刺すさんも不確定な情報にとらわれず、私を信じて安心してください。

 続いてはデザイアネーム『抗うつ剤おじさん』さんからの欲。
 『初めまして太子様! いつも素敵な笑顔を振りまく太子様の大ファンです! 欲を送るのも初めてなのでとても緊張しています! ところで昨日黒猫が私の前を横切ったのですが、この世の終わりでしょうか』
 初めまして抗うつ剤おじさんさん、さんさんっていうと変なので抗うつ剤おじさんって呼んじゃいますね。
 それでえーっと。大丈夫です。大丈夫大丈夫。
 あなたはきっとその黒猫以前から辛いことや苦しいことに苛まされていたのだと思います。特に妖怪や神による圧政だとか脅威だとか。
 そういったものの影響でホルモンバランスを崩し、本来気にするほどのことでもないことにも過剰に反応してしまっているだけだと思いますよ。
 それでも不安が収まらないのなら、猫の気持ちになってみてください。
 想像してください。あなたは黒い毛並みの猫で、週末の大通りを歩きます。ご自慢のカギしっぽを水平に、威風堂々と。
 はい。何人の人とすれ違いましたか? いっぱいいたでしょ。適当な大通りを気まぐれに横切るだけで同時に数人の人間の前を横切ることになります。
 それも毎日です。その都度世界が滅びますか? 大丈夫です。
 この世の終わりが来るようなときはほかにいくらでも前兆があるでしょう。山が噴火するとか天変地異が起こるとか。
 猫が横切った直後に世界の終わりってのはさすがに早すぎます。他のセンサーは何やってたんだってなるでしょう。
 ですので大丈夫です。私を信じて安心してください。

 さて本日最後はいつものこの人。デザイアネーム『セイントシロちゃん』さんからの欲。まーた送ってきてますねー、何度目でしょう。この人私のこと好きすぎでしょ(笑)
 『先日一見様お断りのお店を追い返されていた太子様、こんばんは。お店の中から一部始終を見させていただきました。布都さんによる必死のフォローも支離滅裂で非常におもしろかったです。さてこの間、山の方から大音量の音楽が流れてきたという連絡がありました。この世の終わりでしょうか』
 私はお前が嫌いだけどな。
 それはともかく、こちらも芳香がたまたま山の近くにいたようで、どこからか異国の曲が聞こえてきたとの報告がありました。芳香が言うにはたぶんビートルズだろうとのことです。
 ビートルズと言えば外の世界では知らぬ者のいないほどの超有名アーティスト。しかもその歌は反戦をテーマとしたものが多いと聞きます。
 そのような歌が聞こえてくるということは、山の方でも争いを好まず和平を望む者がいるということかもしれません。
 立場上その意思を大っぴらにできない者たちが歌によって戦意無き事を伝えようとする、離れた仲間に呼びかける遠吠えのようなものだと思います。
 ですのでまあ、この世の終わりどころか縁起の良いものだと思いますよ。
 私を信じて安心してください。
 あと進撃のなんたらとかいう巨大な鬼と戦う話をノンフィクションだと布都に吹き込んだ馬鹿を見つけたら連絡ください。探してるんです。

 おっともうこんな時間。
 夜更かしはお肌の敵、私は良い子なのでそろそろおねむの時間です。
 最近空気が乾燥してきておりますので皆さま風邪などひかぬよう気を付けましょう。
 民草の欲をまるっと解消、聖徳太子のデザイア相談Night。パーソナリティはわたくし豊聡耳神子がお送りいたしました。
 次回もお楽しみに。





70

 外来人が行き倒れた。

 ある時、早苗が近くを通りかかった。
 急いでいたため外来人に気付かず通り過ぎた。

 次に、影狼が近くを通りかかった。
 小腹が空いていたが、拾い食いははしたないと思って無視して通り過ぎた。

 次に、針妙丸が近くを通りかかった。
 空腹であったが、傷んできた死体を見て食欲が失せた。

 次に、正邪が近くを通りかかった。
 ハエのたかった死体をチラ見したが、追手が迫ってきていたので無視して通り過ぎた。

 次に、橙が近くを通りかかった。
 腐敗が激しかったので、鼻をつまんで通り過ぎた。

 次に、天子が近くを通りかかった。
 異臭を放つ死体を眺め、しょうがないわねと思い、持っていたスコップで地面を掘り始めた。

 次に、紫が近くを通りかかった。
 死体を埋葬するのを手伝い、そのスコップは何に使うつもりだったのか問いただした。

 次に、こいしが近くを通りかかった。
 無意識に死体を掘り起こして剥製にしようとしたところを、さとりに連れ戻された。

 次に、神子が近くを通りかかった。
 掘り起こされたままになっている死体を見て、踵を返した。

 次に、神子が芳香を連れてきた。
 神子に促され、芳香は死体を丸のみにした。

 後には何も残らなかった。



25度目ましてこんにちは。

・比那名居天子は『ステレオダブル攻め』と称して夢人格の比那名居天子と2人掛かりで八雲紫の耳元でわいせつな言葉をささやいてはいけません。
  追記A 針妙丸がいいと言ってもです。
  追記B 正直興奮します。

それではまた。
南条
http://twitter.com/nanjo_4164
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コメント



0.280簡易評価
1.70奇声を発する程度の能力削除
面白かったです
2.100サク_ウマ削除
相変わらずのごった煮混沌ストーリー。笑かして頂きました。
サトリ妖怪のハウリング、なかなか面白い解釈で良いですね。とても良いです。
比那名居天子が幻想郷で二度としてはいけないことの公式リスト、アンサイクロペディア味があります。とても愉快だし針妙丸はもう叱られろ。
3.100名前が無い程度の能力削除
針妙丸が二度といいと言ってはいけないことの公式リストが必要
4.80名前が無い程度の能力削除
面白かったです。75点の四捨五入、もう少し捻ってからの方が良かった。
5.100名前が無い程度の能力削除
ゆかりんと天子ちゃん仲良すぎかよ最高です
7.70名前が無い程度の能力削除
ちょっと、話についていけないところがありましたが面白かった。
9.無評価名前が無い程度の能力削除
作家が創想話でしてはならないことの公式リストも欲しいと思う今日この頃
10.100ヘンプ削除
針妙丸がしていいと言ってもです。にツボりましたw
とても面白かったです!
12.100名前が無い程度の能力削除
面白かった!
14.90小野秋隆削除
一つ一つしっかり面白かったです。
15.70名前が無い程度の能力削除
ごり押し感に負けました
17.80名前が無い程度の能力削除
紫様が優しく天子ちゃんに諭しているところを想像すると正直興奮します。