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射命丸文氏、鬼人正邪氏、橙氏にコラムを寄稿していただきました。
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1「年の功」 (射命丸文)
何故鴉天狗である私がライバル記者とも言える姫海棠氏の新聞にコラムなど寄稿しているのか。
このことに疑問を抱く読者諸兄のことを考えると、これを説明せずに本題に入る訳にはいかないと思える。
ただこれにはそれだけでコラムひとつ書けてしまいそうになるほど込み入った事情があるのだが、本筋と関わりの無いことに長々と説明を入れて過剰に紙面を割くことは同業者としての、そして年長者としての沽券に係わる。
それ故、この理由に関してはネタ切れに悩む姫海棠氏への私からの餞別、あるいは同氏への友情故のこと、と述べるだけに留めておこうと思う。
ただし、間違っても大吟醸酒に釣られたわけではない事だけは明記しておく。
さて、妖怪の山でも古参の中では新参、くらいに位置するこの最速天狗であるが、職業柄人里での活動も少なくない。
始めのころは人間との考え方の違いに苦しめられもしたが、そこはこの鴉天狗、他種族の慣習を覚えるのも最速である。
今日はそんな私が体験したカルチャーギャップの内、最も代表的なものを書いていこうと思う。
もしこれから人里での活動をする予定のある方がいたら、ぜひ参考にしてほしい。
これは人間特有の、年齢に関する考え方についてだ。
私が昔取材に協力してもらったその人間の少女は十五歳に届くかどうかという幼さにも関わらず、短歌の名手としてその名をとどろかせていた。
彼女の詠む歌はどれもが季節を感じさせる見事なできであり、無学な私にもその素晴らしさがわかるほどにクオリティの高いものであった。
その上、無論当時の基準ではあるが、町一番の美人としても知られており、何人もの名士から婚姻を迫られるほどであったと言う。
そこで私は快く取材に応じてくれたその少女に向かって、とても十五歳には見えないと言ったのだ。
三十歳くらいに見えますね、と。
歌の評判もあり、特に社交辞令でもなく素直にでた言葉であったのだが、その少女はお気に召さなかったらしい。
少女はそれから急に不機嫌になってしまい、結局その日は碌に取材もできずに終わってしまったのだった。
賢明なる読者諸兄になら、この少女が不機嫌になった理由もわかるかもしれない。
そう、人間は実年齢以上に見られることを極端に嫌がる習性があるのだ。
普段人間と関わらない方からしたら首を傾げるであろうことだが、事実である。
普通ならば、実年齢より若く見られることの方が侮辱的だと感じるだろう。
言うまでもなく、より歴史を重ねた妖怪の方が格が高いからだ。
年を重ねるごとに、妖怪は強く、賢くなってゆく。
しかし、短い時を歩む人間にとっては、年を取ることが『劣化』に感じられるらしい。
無論、ある程度まで、具体的に言うならその時代で成人と呼ばれる年齢に達するまでは、人間にとっても紛れもなく『成長』である。
だがそれ以降についてはその限りではなく、誕生日を迎えるたびに人間はため息を付くのだと言う。
ここで少し身もふたもないことを言わせてもらうが、生殖に適した年齢こそが生物のピークであるからだという意見もある。
この意見に関しては私としても一理あると思っているし、それならばこの現象にも納得はいく。
肉体的な制限の大きい人間としては、いつまでも生命力の溢れる年齢でありたいと願うものなのだ。
しかし、私はここで一つの疑問を呈したい。
なるほど年を経るごとに失うものがあると言うのならば、年を経るごとに得るものだってあるはずだ。
それは人生経験であり、仕事の技術であり、人脈であり、実績であり、逸話であり。
永い年月を、たとえそれが我々から見て刹那の時であったとしても、人生をかけて磨き上げた何かが、その身に確かに宿っているはずである。
にもかかわらず、人間は年を取ることを嘆く。
人生の残り時間を悲観してのことではなく、若い頃の方がよかったという理由で。
これはつまり、年と共に失うものが、年と共に得るものより多いということである。
何と怠慢な話であろうか。
肉体的な老化に勝るほどの価値を獲得できないなどと、なんと情けない話であろうか。
所詮人間などこの程度である。
それでも探せばいるではないか、老齢に達しながら眼光鋭く背筋の伸びた強者も、数多の若者に囲まれ尊敬のまなざしを欲しい侭にする職人も。
我々妖怪だって過ぎゆく歳月に翻弄され、時と共に失っていくものもあるだろう。
しかし、昨日の自分より今日の自分、今日の自分より明日の自分の方が強いはずだ。
日々の研鑽、不断の努力、そういったものに支えられ、得られるものが確かにある。
願わくば、年を重ねるごとに切れ味の増す、そういった人生を歩みたいものである。
別に婚期を逃したから言っているわけではない。
2「毒殺の人形」 (鬼人正邪)
いったいなぜレジスタンスであるこの天邪鬼が鴉のためにコラムなぞ書いているのかと言うと、話は簡単である。
先日の異変の共犯者として逃亡生活を送っていた私が八雲の魔の手から逃げ延びようとしているまさにそのタイミングで取材を迫ってきた空気の読めない天狗に対し、私はその図々しさと言うか、キャラクター性に絆されて協力する気になったということだ。
寄稿を頼んできたこの天狗の新聞の販売部数を憐れんだからではないし、こんな弱小妖怪にすがる天狗がみじめに思えたからでもない。
それに決して、弾幕を切り取れる面白カメラに釣られたわけでもない。
どうでもいい話はこの辺にして、本題に入ろうと思う。
しかし新聞なんて政治経済面とラジオの番組表しか読まない私にはコラムと言われてもピンとこない。
聞けば、どうやら日常生活で気付いたことだとか、そういうことを書くらしい。
私の日常など書いたところでライトノベルにしかならないと思うのだが、せっかくなのでレジスタンスの活動の一部でも書こうと思う。
弱者が見捨てられない世界を創るために日夜研鑽に励む我らレジスタンスであるが、その崇高なる理念に基づく活動のひとつに『他人の活動を応援する』というものがある。
現在隣で同じくコラムを書いている子猫ちゃんが私の原稿を覗き込みながら眉をひそめているが、嘘じゃない、本当だ。
その活動の善悪や社会的意義を問わず、無差別に応援して回る。
そういう活動があるのだ。
まあ無差別とはいっても、我々レジスタンスのパワー的な限界もあり、大抵の場合相手は弱小階級の妖怪であるのだが、その点はご容赦いただきたい。
今日はこの活動を通じて出会った1人の人形について話そうと思う。
先日、私は某所へと友人を訪ねに行ったのだが、久しぶりに会ったそいつには付喪神の娘ができていた。
娘と言っても血の繋がりはなく、付喪神と言っても私たちの異変で生まれたわけではないらしい。
これがまた可愛らしくもなく、年相応に生意気でもない小娘であったのだが、それについては深く言及はしないでおく。
とにかくそんな子がいたのだ。
その子には夢があった。
世界中の人形を解放し、自分を捨てた人間たちに復讐をすることだ。
この場合の復讐とはつまり人類のジェノサイドを指しているらしく、話を聞く限りどうやら本気のようであった。
そこで私はレジスタンスとしてこの子を応援してやらねばならないと思い、いったいどうやって人類を滅ぼす気なのかと聞いてみた。
すると小娘はこう言うのだ。
人類の歴史上、最も多くの生命を奪った武器はなんだと思う? それは刃物でも銃でも核でもない……毒だ、と。
そう、そいつは口から致死性の毒ガスを吐く能力を持っていたのだ。
そこだけ聞けばなかなか危険な妖怪に感じられるが、悲しいかな大したパワーもない一介の付喪神では人類滅亡など夢のまた夢だ。
しかしどうだ、小娘が言うには厳しい修行を繰り返すうちに毒ガスの散布能力は年々上昇しているそうではないか
その子の親代わりである私の友人に確認を取ると、途中で投げ出したと思われる朝顔の観察日記の余ったページに、小娘の成長日記が綴られているのを見せてもらえた。
朝顔と生物兵器を並べて記すそのセンスは最高にロックであるが、その日記には確かに毒ガスの散布範囲が3年間の修業で半径5メートルから5メートル60センチに伸び、高さも4メートル60センチから4メートル90センチに伸びていることが記載されていた。
その日記を高々と掲げながら、小娘はいつかこれで地球丸ごと覆ってやるんだからと息巻いていた。
それを聞いてまず私はこう口にした、素晴らしい、と。
きちんと記録を取っているところが特に偉い、この調子ならいつかきっと夢は叶うだろう、と。
そして同時に心の中でこうつぶやいた。
さあ、私に勝ってみろ。
上機嫌に鼻歌を歌う小娘に私は問うた。
地球を覆うつもりらしいが、高さは何メートルだ? と。
その質問に小娘はしばし考え込み、10メートル! と元気よく答えてくれた。
明らかに今決めた感じであったが私にとってそれは重要な事ではなかったし、私たちは空が飛べるから大丈夫、と言葉を足されたことも重要ではなかった。
自分たちだけ安全圏から一方的に敵を葬るつもりらしいこの小娘に母親からの血筋を感じたが、これも重要ではなかった。
さて、聡明なる諸君および隣に座っている猫又君ならば、ここで必要な数字が出そろったことに気が付いただろう。
あとは、地球の赤道半径が約6371[km]なのは常識の範疇としても、ドーム状の物体、つまり球冠の体積の求め方までは知らない人も多いはずだ。
証明は省くが、公式だけ言うなら『1/6πh(3r^2+h^2)』である。
hは球冠の高さでrは底面の半径だ。
これに実際の数字を当てはめると、3年前の段階での散布範囲の体積は231.6[m^3]で、現在は303.0[m^3]であることがわかる。
その差は71.4[m^3]で年間平均だと23.8[m^3]ほど毒ガスを多く撒けるようになっていったということだ。
努力の賜物である。
ここで地球全体を高さ10[m]まで毒ガスで覆う、という目標に注目したい。
どうやって均一にするとか、気流がどうだとかそういったことは気にしない。
下らない揚げ足を取る意味などないし、少なくとも最低限これだけ必要、という数字ははっきりさせられる。
地球の半径は少なめに6300000[m]としておき、ソロバンを駆使して半径を10[m]追加した球の体積から地球の体積を引いた値を延々と計算すれば、差が4987600400023550[m^3]となることがわかる。
書き方を変えればだいたい五千兆立方メートルだ。
つまりこれを埋め尽くすような毒ガスを散布できればいいわけだ。
なんとなく嫌な予感がしてきただろう。
単純に割り算すれば『4987600400023550[m^3]÷23.8[m^3/y]』なので209563042017796[y]となる。
わかると思うが[y]は年である。
つまり209兆年ほど修行を積めば、小娘は見事地球を覆うほどの毒ガスを吐けるようになるということだ。
どうやって山とか谷とかに対して均一にするのかはともかく。
誰にも邪魔されないと仮定して。
ばれないように練習する場所とかも何とかして確保するとして。
成長速度は最初と同じペースを維持するものとして。
私は上記を懇切丁寧に説明し、がんばれ、と激励の言葉を投げかけた。
50億年後には地球無くなってるけど、とも付け加えた。
私からの応援により、事前に計算をして具体的な計画を立てることが如何に重要かを理解した小娘は、涙ながらに自らの計画を反省し、その浅慮を悔いた。
半泣きになりながら殴りかかって来たとも言う。
母親からのフォローもあってようやく泣き止んだ小娘は、私を睨み付けながら画用紙とクレヨンを用いて次なる作戦を立て始めた。
その瞳に宿る下剋上の炎はまさしく私が望んでいた物であり、母親である私の友人が、私に期待していたことでもあった。
いいぞ小娘、PDCAサイクルに砕けぬ物はない。
悪かったところを反省し、次なる挑戦を行うのだ。
さて、この話をすることで私が何を言いたいのかは、みんなわかっているだろう。
それは球冠の体積の求め方でも、レジスタンスの活動内容でも、計画を立てることの大切さでもない。
一番大事なことは、この小さな付喪神がまだあきらめていないということだ。
この新聞は、それが新聞を発行している天狗の見栄でなければ、人間の購読者も少なからずいると聞く。
ならば人間よ、覚悟しておくがいい。
この無名の付喪神は貴様らを殲滅するつもりだ。
計画が1回2回頓挫したところで諦める気配もない。
ならば、いずれこいつはやってくる。
完璧な計画と十分な実力を引っ提げて、必ずや貴様らへの報復を完遂するだろう。
人形を粗末に扱った報いだ。
罪を悔やんで震えて眠れ。
さあ行くのだ小娘よ、お前にはこのレジスタンスが付いているぞ。
3「期待」 (橙)
どうして私が天狗の新聞にコラムを書いているのか、その経緯をすべて語るにはこのコラムのスペースは小さすぎる。
それに異変のケジメを付けようとしない愚かな天邪鬼をやっとの思いで追いつめたその矢先に、割り込むように飛び込んできた愚かな天狗が我々に対して何を述べたのかを詳細に書き記すことは、彼女の名誉を著しく損なう可能性があるため、割愛してやるのが武士の情けというものである。
それでも最低限のことだけ言わせてもらえるならば、額から血が出るまで土下座しなくてもいいじゃないかとだけ言っておく。
どうやら今度の新聞大会での成績が彼女の進退に大きく影響することを上司から直接的に告げられているらしく、この天狗はなりふり構っていられないようなのであった。
コラムのコーナーは必須なのか? という天邪鬼からのもっともな問いに対し、ライバル紙でのコラムが事の他好評だったため、自分もそれにあやかって丸パクリするのだと息巻いていた。
しかも話を聞く限り、ただでさえ少ない紙面にコラムを複数個載せる気らしく、新聞全体における記事の占める割合がかなり低いものになることは想像に難くないのであった。
それにしても、公務員故に副業を禁じられているため私だけノーギャラである。
大吟醸酒もオモチャのカメラも貰っていないのだ。
ノーギャラである。
まあ寄稿とは本来そういうものなのかもしれないが、完成した新聞のサンプルすらもらえないのだ。
しかも機密事項を漏えいしていないか確認するという建前の元、上長に検閲を受ける始末である。
しかもノーギャラである。
こんな狭苦しいワンルームで。
隣に座る嘘つき天邪鬼にカメラを自慢されながら、それでも地域住民のために慣れない筆を執る私は公務員の鑑なのである。
天狗ならせめてもうちょっといい所に住めよと言いたい。
無駄に前置きが長くなったが、件の天狗にスペース余ってるからもっと書いてくれと言われたので仕方がない。
最初にスペースが小さすぎると言っていたじゃないかという意見は至極もっともであるが、新聞の発行間際にいきなり言われて急きょ加筆しているため致し方ないと思って欲しい。
さて、私の隣でコラムを書いているこの天邪鬼であるが、先日の異変の黒幕であることは皆さんご存じであろう。
名前は鬼人正邪、職業はレジスタンス、目的は下剋上、主犯は小人、宙に浮かぶ逆さ城、打出の小槌、付喪神の発生、妖怪の暴走、小人を見捨てて逃亡中。
それらについてひと通りのことは知っている事だろう。
あなただけではない、大半の妖怪がそれを正しく認識している。
では、なぜそれらが人々に知られているか、ということを考えたことはあるだろうか。
催しには主役の他に裏方がおり、さらに言うなら後始末をする者もいる。
誰が、何の目的で、何をしでかし、どのような影響があり、誰が解決に向かい、どのような顛末で、結果どうなったか。
それらを過不足なく正確に、伝聞推定の余地も無く迅速に真実を流布することも八雲の大事な仕事である。
紅霧異変、主犯レミリア・スカーレット、昼間も活動するために、日光を遮る赤い霧を幻想郷全域に発生させた、博麗の巫女によって解決、残件無し。
春雪異変、主犯西行寺幽々子、西行妖を咲かせるため、『春度』を集めて冬を長引かせた、博麗の巫女および有志によって解決、残件無し。
永夜異変、主犯蓬莱山輝夜、遊び半分で、夜を明けなくした、博麗の巫女および有志によって解決、残件無し。
名称未定、主犯少名針妙丸、ヒエラルキーを逆転させるため、逆さ城を召喚して反旗を翻した、博麗の巫女および有志によって解決、暴走した妖怪も今はもう大人しい、主犯を騙して扇動していた黒幕が逃走中。
他にも、厳密に異変と言う形でなくとも博麗の巫女が出動した事件に関してはその都度私も出動し、幻想郷中にその事実関係を伝えている。
業務の一部を外注してはいるが、それでも大変な作業であるのだ。
何しろ幻想郷の識字率の低さは目を覆いたくなる程で、文字の読める者はそれこそ新聞でもなんでも読んでいただければそれで済むのだが、そうでない者に対しては草の根的活動で聞かせて回らなければならない。
事実と異なる認識を広める訳にはいかない。
そのため早く、正確な仕事が求められるので、私は毎回ひやひやしながら業務にあたっているのだ。
他にも怪我をした者がいれば薬を手配し、破損した物があれば修繕費用を見積もる。
赤い霧が早くはけるように鴉天狗に気流操作を依頼したり、雪に埋もれた同胞を救助したり失われた畜産物などを供給するためにいろいろ見積もったりもした。
大量発生した怨霊を掃討した時の現場指揮は他の何より大変だったし、魔界に飛んで行った連中が侵略目的ではない事を説明に行くときに特使として先行するのも骨が折れた。
復活した偉人が『放置しても問題ない』ことを確認するのにもばく大な時間をかけたし、小槌の影響で妖怪が暴走した時に起きた隣人トラブルを片っ端から仲裁するのにも手こずった。
大変だった、なんて言葉ではまるで足りない。
解決後に主犯格や解決屋たちが楽しく打ち上げをしている裏で、私の仕事はもうスタートしている。
このコラムを読んでいる皆さんにも、表舞台に上がらないところでそういう活動をする者もいるということを知っておいてほしい。
異変とは、やって終わりではないのだということを、後始末をする者が見えないところで飛び回っているのだということを。
その上で言おう。
貴様らもっと異変を起こせ。
ド派手で、斬新で、実害が少なくて、後腐れなく、楽しい奴をだ。
輝夜から正邪までどれだけ開いたと思っている。
どこぞの誰かが復活したとか、怨霊があふれて来たとか、そんな事件や事故じゃ面白くない。
強大な妖怪が退屈しのぎに猛威を振るう姿こそが異変のあるべき形なのだ。
別に異変を起こすことは犯罪でもなんでもない、面倒な手続きも事前通告も一切必要ない、正邪を追いかけているのだってほとんどシャレだ。
妖怪ならば力を示せ。
知性とセンスの限りを尽くせ。
後のことなら心配いらない、ケツなら私が拭いてやる。
今まで何度こなしたことか、後方支援の体制はとっくに整っているのだ。
やり方がわからなければ経験者に聞けばいい。
特に計画に不安があるのなら、そこで私の原稿を盗み見て頭を下げている天邪鬼でも捕まえれば、いい感じに応援してくれるはずだ。
誰だっていい、異変を起こすのに資格はいらない。
強者である必要すらない。
お前ら揃って小人以下か、違うと言うならやってみろ。
幻想郷を管理するのは八雲の仕事だが、盛り上げるのは地域住民の仕事だ。
私はそれを期待している、誰も見てない舞台の裏で。
<花果子念報より抜粋>
射命丸文氏、鬼人正邪氏、橙氏にコラムを寄稿していただきました。
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1「年の功」 (射命丸文)
何故鴉天狗である私がライバル記者とも言える姫海棠氏の新聞にコラムなど寄稿しているのか。
このことに疑問を抱く読者諸兄のことを考えると、これを説明せずに本題に入る訳にはいかないと思える。
ただこれにはそれだけでコラムひとつ書けてしまいそうになるほど込み入った事情があるのだが、本筋と関わりの無いことに長々と説明を入れて過剰に紙面を割くことは同業者としての、そして年長者としての沽券に係わる。
それ故、この理由に関してはネタ切れに悩む姫海棠氏への私からの餞別、あるいは同氏への友情故のこと、と述べるだけに留めておこうと思う。
ただし、間違っても大吟醸酒に釣られたわけではない事だけは明記しておく。
さて、妖怪の山でも古参の中では新参、くらいに位置するこの最速天狗であるが、職業柄人里での活動も少なくない。
始めのころは人間との考え方の違いに苦しめられもしたが、そこはこの鴉天狗、他種族の慣習を覚えるのも最速である。
今日はそんな私が体験したカルチャーギャップの内、最も代表的なものを書いていこうと思う。
もしこれから人里での活動をする予定のある方がいたら、ぜひ参考にしてほしい。
これは人間特有の、年齢に関する考え方についてだ。
私が昔取材に協力してもらったその人間の少女は十五歳に届くかどうかという幼さにも関わらず、短歌の名手としてその名をとどろかせていた。
彼女の詠む歌はどれもが季節を感じさせる見事なできであり、無学な私にもその素晴らしさがわかるほどにクオリティの高いものであった。
その上、無論当時の基準ではあるが、町一番の美人としても知られており、何人もの名士から婚姻を迫られるほどであったと言う。
そこで私は快く取材に応じてくれたその少女に向かって、とても十五歳には見えないと言ったのだ。
三十歳くらいに見えますね、と。
歌の評判もあり、特に社交辞令でもなく素直にでた言葉であったのだが、その少女はお気に召さなかったらしい。
少女はそれから急に不機嫌になってしまい、結局その日は碌に取材もできずに終わってしまったのだった。
賢明なる読者諸兄になら、この少女が不機嫌になった理由もわかるかもしれない。
そう、人間は実年齢以上に見られることを極端に嫌がる習性があるのだ。
普段人間と関わらない方からしたら首を傾げるであろうことだが、事実である。
普通ならば、実年齢より若く見られることの方が侮辱的だと感じるだろう。
言うまでもなく、より歴史を重ねた妖怪の方が格が高いからだ。
年を重ねるごとに、妖怪は強く、賢くなってゆく。
しかし、短い時を歩む人間にとっては、年を取ることが『劣化』に感じられるらしい。
無論、ある程度まで、具体的に言うならその時代で成人と呼ばれる年齢に達するまでは、人間にとっても紛れもなく『成長』である。
だがそれ以降についてはその限りではなく、誕生日を迎えるたびに人間はため息を付くのだと言う。
ここで少し身もふたもないことを言わせてもらうが、生殖に適した年齢こそが生物のピークであるからだという意見もある。
この意見に関しては私としても一理あると思っているし、それならばこの現象にも納得はいく。
肉体的な制限の大きい人間としては、いつまでも生命力の溢れる年齢でありたいと願うものなのだ。
しかし、私はここで一つの疑問を呈したい。
なるほど年を経るごとに失うものがあると言うのならば、年を経るごとに得るものだってあるはずだ。
それは人生経験であり、仕事の技術であり、人脈であり、実績であり、逸話であり。
永い年月を、たとえそれが我々から見て刹那の時であったとしても、人生をかけて磨き上げた何かが、その身に確かに宿っているはずである。
にもかかわらず、人間は年を取ることを嘆く。
人生の残り時間を悲観してのことではなく、若い頃の方がよかったという理由で。
これはつまり、年と共に失うものが、年と共に得るものより多いということである。
何と怠慢な話であろうか。
肉体的な老化に勝るほどの価値を獲得できないなどと、なんと情けない話であろうか。
所詮人間などこの程度である。
それでも探せばいるではないか、老齢に達しながら眼光鋭く背筋の伸びた強者も、数多の若者に囲まれ尊敬のまなざしを欲しい侭にする職人も。
我々妖怪だって過ぎゆく歳月に翻弄され、時と共に失っていくものもあるだろう。
しかし、昨日の自分より今日の自分、今日の自分より明日の自分の方が強いはずだ。
日々の研鑽、不断の努力、そういったものに支えられ、得られるものが確かにある。
願わくば、年を重ねるごとに切れ味の増す、そういった人生を歩みたいものである。
別に婚期を逃したから言っているわけではない。
2「毒殺の人形」 (鬼人正邪)
いったいなぜレジスタンスであるこの天邪鬼が鴉のためにコラムなぞ書いているのかと言うと、話は簡単である。
先日の異変の共犯者として逃亡生活を送っていた私が八雲の魔の手から逃げ延びようとしているまさにそのタイミングで取材を迫ってきた空気の読めない天狗に対し、私はその図々しさと言うか、キャラクター性に絆されて協力する気になったということだ。
寄稿を頼んできたこの天狗の新聞の販売部数を憐れんだからではないし、こんな弱小妖怪にすがる天狗がみじめに思えたからでもない。
それに決して、弾幕を切り取れる面白カメラに釣られたわけでもない。
どうでもいい話はこの辺にして、本題に入ろうと思う。
しかし新聞なんて政治経済面とラジオの番組表しか読まない私にはコラムと言われてもピンとこない。
聞けば、どうやら日常生活で気付いたことだとか、そういうことを書くらしい。
私の日常など書いたところでライトノベルにしかならないと思うのだが、せっかくなのでレジスタンスの活動の一部でも書こうと思う。
弱者が見捨てられない世界を創るために日夜研鑽に励む我らレジスタンスであるが、その崇高なる理念に基づく活動のひとつに『他人の活動を応援する』というものがある。
現在隣で同じくコラムを書いている子猫ちゃんが私の原稿を覗き込みながら眉をひそめているが、嘘じゃない、本当だ。
その活動の善悪や社会的意義を問わず、無差別に応援して回る。
そういう活動があるのだ。
まあ無差別とはいっても、我々レジスタンスのパワー的な限界もあり、大抵の場合相手は弱小階級の妖怪であるのだが、その点はご容赦いただきたい。
今日はこの活動を通じて出会った1人の人形について話そうと思う。
先日、私は某所へと友人を訪ねに行ったのだが、久しぶりに会ったそいつには付喪神の娘ができていた。
娘と言っても血の繋がりはなく、付喪神と言っても私たちの異変で生まれたわけではないらしい。
これがまた可愛らしくもなく、年相応に生意気でもない小娘であったのだが、それについては深く言及はしないでおく。
とにかくそんな子がいたのだ。
その子には夢があった。
世界中の人形を解放し、自分を捨てた人間たちに復讐をすることだ。
この場合の復讐とはつまり人類のジェノサイドを指しているらしく、話を聞く限りどうやら本気のようであった。
そこで私はレジスタンスとしてこの子を応援してやらねばならないと思い、いったいどうやって人類を滅ぼす気なのかと聞いてみた。
すると小娘はこう言うのだ。
人類の歴史上、最も多くの生命を奪った武器はなんだと思う? それは刃物でも銃でも核でもない……毒だ、と。
そう、そいつは口から致死性の毒ガスを吐く能力を持っていたのだ。
そこだけ聞けばなかなか危険な妖怪に感じられるが、悲しいかな大したパワーもない一介の付喪神では人類滅亡など夢のまた夢だ。
しかしどうだ、小娘が言うには厳しい修行を繰り返すうちに毒ガスの散布能力は年々上昇しているそうではないか
その子の親代わりである私の友人に確認を取ると、途中で投げ出したと思われる朝顔の観察日記の余ったページに、小娘の成長日記が綴られているのを見せてもらえた。
朝顔と生物兵器を並べて記すそのセンスは最高にロックであるが、その日記には確かに毒ガスの散布範囲が3年間の修業で半径5メートルから5メートル60センチに伸び、高さも4メートル60センチから4メートル90センチに伸びていることが記載されていた。
その日記を高々と掲げながら、小娘はいつかこれで地球丸ごと覆ってやるんだからと息巻いていた。
それを聞いてまず私はこう口にした、素晴らしい、と。
きちんと記録を取っているところが特に偉い、この調子ならいつかきっと夢は叶うだろう、と。
そして同時に心の中でこうつぶやいた。
さあ、私に勝ってみろ。
上機嫌に鼻歌を歌う小娘に私は問うた。
地球を覆うつもりらしいが、高さは何メートルだ? と。
その質問に小娘はしばし考え込み、10メートル! と元気よく答えてくれた。
明らかに今決めた感じであったが私にとってそれは重要な事ではなかったし、私たちは空が飛べるから大丈夫、と言葉を足されたことも重要ではなかった。
自分たちだけ安全圏から一方的に敵を葬るつもりらしいこの小娘に母親からの血筋を感じたが、これも重要ではなかった。
さて、聡明なる諸君および隣に座っている猫又君ならば、ここで必要な数字が出そろったことに気が付いただろう。
あとは、地球の赤道半径が約6371[km]なのは常識の範疇としても、ドーム状の物体、つまり球冠の体積の求め方までは知らない人も多いはずだ。
証明は省くが、公式だけ言うなら『1/6πh(3r^2+h^2)』である。
hは球冠の高さでrは底面の半径だ。
これに実際の数字を当てはめると、3年前の段階での散布範囲の体積は231.6[m^3]で、現在は303.0[m^3]であることがわかる。
その差は71.4[m^3]で年間平均だと23.8[m^3]ほど毒ガスを多く撒けるようになっていったということだ。
努力の賜物である。
ここで地球全体を高さ10[m]まで毒ガスで覆う、という目標に注目したい。
どうやって均一にするとか、気流がどうだとかそういったことは気にしない。
下らない揚げ足を取る意味などないし、少なくとも最低限これだけ必要、という数字ははっきりさせられる。
地球の半径は少なめに6300000[m]としておき、ソロバンを駆使して半径を10[m]追加した球の体積から地球の体積を引いた値を延々と計算すれば、差が4987600400023550[m^3]となることがわかる。
書き方を変えればだいたい五千兆立方メートルだ。
つまりこれを埋め尽くすような毒ガスを散布できればいいわけだ。
なんとなく嫌な予感がしてきただろう。
単純に割り算すれば『4987600400023550[m^3]÷23.8[m^3/y]』なので209563042017796[y]となる。
わかると思うが[y]は年である。
つまり209兆年ほど修行を積めば、小娘は見事地球を覆うほどの毒ガスを吐けるようになるということだ。
どうやって山とか谷とかに対して均一にするのかはともかく。
誰にも邪魔されないと仮定して。
ばれないように練習する場所とかも何とかして確保するとして。
成長速度は最初と同じペースを維持するものとして。
私は上記を懇切丁寧に説明し、がんばれ、と激励の言葉を投げかけた。
50億年後には地球無くなってるけど、とも付け加えた。
私からの応援により、事前に計算をして具体的な計画を立てることが如何に重要かを理解した小娘は、涙ながらに自らの計画を反省し、その浅慮を悔いた。
半泣きになりながら殴りかかって来たとも言う。
母親からのフォローもあってようやく泣き止んだ小娘は、私を睨み付けながら画用紙とクレヨンを用いて次なる作戦を立て始めた。
その瞳に宿る下剋上の炎はまさしく私が望んでいた物であり、母親である私の友人が、私に期待していたことでもあった。
いいぞ小娘、PDCAサイクルに砕けぬ物はない。
悪かったところを反省し、次なる挑戦を行うのだ。
さて、この話をすることで私が何を言いたいのかは、みんなわかっているだろう。
それは球冠の体積の求め方でも、レジスタンスの活動内容でも、計画を立てることの大切さでもない。
一番大事なことは、この小さな付喪神がまだあきらめていないということだ。
この新聞は、それが新聞を発行している天狗の見栄でなければ、人間の購読者も少なからずいると聞く。
ならば人間よ、覚悟しておくがいい。
この無名の付喪神は貴様らを殲滅するつもりだ。
計画が1回2回頓挫したところで諦める気配もない。
ならば、いずれこいつはやってくる。
完璧な計画と十分な実力を引っ提げて、必ずや貴様らへの報復を完遂するだろう。
人形を粗末に扱った報いだ。
罪を悔やんで震えて眠れ。
さあ行くのだ小娘よ、お前にはこのレジスタンスが付いているぞ。
3「期待」 (橙)
どうして私が天狗の新聞にコラムを書いているのか、その経緯をすべて語るにはこのコラムのスペースは小さすぎる。
それに異変のケジメを付けようとしない愚かな天邪鬼をやっとの思いで追いつめたその矢先に、割り込むように飛び込んできた愚かな天狗が我々に対して何を述べたのかを詳細に書き記すことは、彼女の名誉を著しく損なう可能性があるため、割愛してやるのが武士の情けというものである。
それでも最低限のことだけ言わせてもらえるならば、額から血が出るまで土下座しなくてもいいじゃないかとだけ言っておく。
どうやら今度の新聞大会での成績が彼女の進退に大きく影響することを上司から直接的に告げられているらしく、この天狗はなりふり構っていられないようなのであった。
コラムのコーナーは必須なのか? という天邪鬼からのもっともな問いに対し、ライバル紙でのコラムが事の他好評だったため、自分もそれにあやかって丸パクリするのだと息巻いていた。
しかも話を聞く限り、ただでさえ少ない紙面にコラムを複数個載せる気らしく、新聞全体における記事の占める割合がかなり低いものになることは想像に難くないのであった。
それにしても、公務員故に副業を禁じられているため私だけノーギャラである。
大吟醸酒もオモチャのカメラも貰っていないのだ。
ノーギャラである。
まあ寄稿とは本来そういうものなのかもしれないが、完成した新聞のサンプルすらもらえないのだ。
しかも機密事項を漏えいしていないか確認するという建前の元、上長に検閲を受ける始末である。
しかもノーギャラである。
こんな狭苦しいワンルームで。
隣に座る嘘つき天邪鬼にカメラを自慢されながら、それでも地域住民のために慣れない筆を執る私は公務員の鑑なのである。
天狗ならせめてもうちょっといい所に住めよと言いたい。
無駄に前置きが長くなったが、件の天狗にスペース余ってるからもっと書いてくれと言われたので仕方がない。
最初にスペースが小さすぎると言っていたじゃないかという意見は至極もっともであるが、新聞の発行間際にいきなり言われて急きょ加筆しているため致し方ないと思って欲しい。
さて、私の隣でコラムを書いているこの天邪鬼であるが、先日の異変の黒幕であることは皆さんご存じであろう。
名前は鬼人正邪、職業はレジスタンス、目的は下剋上、主犯は小人、宙に浮かぶ逆さ城、打出の小槌、付喪神の発生、妖怪の暴走、小人を見捨てて逃亡中。
それらについてひと通りのことは知っている事だろう。
あなただけではない、大半の妖怪がそれを正しく認識している。
では、なぜそれらが人々に知られているか、ということを考えたことはあるだろうか。
催しには主役の他に裏方がおり、さらに言うなら後始末をする者もいる。
誰が、何の目的で、何をしでかし、どのような影響があり、誰が解決に向かい、どのような顛末で、結果どうなったか。
それらを過不足なく正確に、伝聞推定の余地も無く迅速に真実を流布することも八雲の大事な仕事である。
紅霧異変、主犯レミリア・スカーレット、昼間も活動するために、日光を遮る赤い霧を幻想郷全域に発生させた、博麗の巫女によって解決、残件無し。
春雪異変、主犯西行寺幽々子、西行妖を咲かせるため、『春度』を集めて冬を長引かせた、博麗の巫女および有志によって解決、残件無し。
永夜異変、主犯蓬莱山輝夜、遊び半分で、夜を明けなくした、博麗の巫女および有志によって解決、残件無し。
名称未定、主犯少名針妙丸、ヒエラルキーを逆転させるため、逆さ城を召喚して反旗を翻した、博麗の巫女および有志によって解決、暴走した妖怪も今はもう大人しい、主犯を騙して扇動していた黒幕が逃走中。
他にも、厳密に異変と言う形でなくとも博麗の巫女が出動した事件に関してはその都度私も出動し、幻想郷中にその事実関係を伝えている。
業務の一部を外注してはいるが、それでも大変な作業であるのだ。
何しろ幻想郷の識字率の低さは目を覆いたくなる程で、文字の読める者はそれこそ新聞でもなんでも読んでいただければそれで済むのだが、そうでない者に対しては草の根的活動で聞かせて回らなければならない。
事実と異なる認識を広める訳にはいかない。
そのため早く、正確な仕事が求められるので、私は毎回ひやひやしながら業務にあたっているのだ。
他にも怪我をした者がいれば薬を手配し、破損した物があれば修繕費用を見積もる。
赤い霧が早くはけるように鴉天狗に気流操作を依頼したり、雪に埋もれた同胞を救助したり失われた畜産物などを供給するためにいろいろ見積もったりもした。
大量発生した怨霊を掃討した時の現場指揮は他の何より大変だったし、魔界に飛んで行った連中が侵略目的ではない事を説明に行くときに特使として先行するのも骨が折れた。
復活した偉人が『放置しても問題ない』ことを確認するのにもばく大な時間をかけたし、小槌の影響で妖怪が暴走した時に起きた隣人トラブルを片っ端から仲裁するのにも手こずった。
大変だった、なんて言葉ではまるで足りない。
解決後に主犯格や解決屋たちが楽しく打ち上げをしている裏で、私の仕事はもうスタートしている。
このコラムを読んでいる皆さんにも、表舞台に上がらないところでそういう活動をする者もいるということを知っておいてほしい。
異変とは、やって終わりではないのだということを、後始末をする者が見えないところで飛び回っているのだということを。
その上で言おう。
貴様らもっと異変を起こせ。
ド派手で、斬新で、実害が少なくて、後腐れなく、楽しい奴をだ。
輝夜から正邪までどれだけ開いたと思っている。
どこぞの誰かが復活したとか、怨霊があふれて来たとか、そんな事件や事故じゃ面白くない。
強大な妖怪が退屈しのぎに猛威を振るう姿こそが異変のあるべき形なのだ。
別に異変を起こすことは犯罪でもなんでもない、面倒な手続きも事前通告も一切必要ない、正邪を追いかけているのだってほとんどシャレだ。
妖怪ならば力を示せ。
知性とセンスの限りを尽くせ。
後のことなら心配いらない、ケツなら私が拭いてやる。
今まで何度こなしたことか、後方支援の体制はとっくに整っているのだ。
やり方がわからなければ経験者に聞けばいい。
特に計画に不安があるのなら、そこで私の原稿を盗み見て頭を下げている天邪鬼でも捕まえれば、いい感じに応援してくれるはずだ。
誰だっていい、異変を起こすのに資格はいらない。
強者である必要すらない。
お前ら揃って小人以下か、違うと言うならやってみろ。
幻想郷を管理するのは八雲の仕事だが、盛り上げるのは地域住民の仕事だ。
私はそれを期待している、誰も見てない舞台の裏で。
<花果子念報より抜粋>
嘘つけ!
永夜の項で情報の改竄しとるやんけ!
八雲の陰謀や!
原作らしい感じで楽しめました
あと誤字発見しましたので、訂正宜しくお願い致します。
>年を重ねるごとに、妖怪は強く、賢くになってゆく。✖️
年を重ねるごとに、妖怪は強く、賢くなってゆく。 ⭕️
面白かったです。
この独特の面白さ、これが南条スタイル! 嫌いじゃないです
ここは確かにそれぞれ変えるか、記事に寄稿したものだからとかはっきり理由付けした方が良いのかなとも。
でも、面白かったし、語っている内容はそれぞれのキャラそのものだった!
コラムの魅力って本来そういうものだよねと納得してしまいました。
(橙のキャラには若干驚いたけど、怪しい機械とか何とか何かしらの理由で心の奥底の本音を
引き出されてるのだとしたら、それはそれでギャップがあって凄くいい!)
つまり何が言いたいかと言うと、
①このSSは100点だ!
②この花果子念報はコラム買い不可避!
③あと、文さん、そんな事言うなら僕が求婚しm(ピチューン
楽しいコラムSSをありがとうございました!
ただ、文ちゃんに一つ言いたいことを。
肉体的な老化に勝るほどの価値を獲得できないのは情けない。怠慢だ。
違います。
年をとるに事対して恐怖する人間は怠慢なのではなく、傲慢なのです。
肉体的な老化に勝るほどの価値と同時に若さも得て居続けたい、そういう思いを持った、傲慢な人間が、文ちゃんの言う情けない人間なのです。
私です。
みっちり詰まりながらも読むことを苦としない文章故、心地よく読み進める事が出来ました。
また、それぞれのコラム同士の繋がりにもニヤリとせざるを得ません。
PDCAサイクルの件はずるいと思います。