Coolier - 新生・東方創想話

東方X10

2010/02/15 10:20:11
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東方X戦記



第10話「夢想技で覚醒してすぐ暴走!狂気の優曇華院!」
「・・・・・・妹紅さん!」
鈴仙は我にかえって爆発した場所に向かって叫んだ。あの妹紅さんが死ぬなんてとても信じられないからだ。
その時、白煙の中から何かが動いている様に見えた。目を凝らしてみると・・・・・・。
「!?妹紅さん!?」
妹紅がフラフラになりながらも立っていたのだ。だが、全身傷だらけで立っているのがやっとの状態だ。
「ふっ、流石の妹紅もこれではもはや戦えまい・・・・・・。」
「も、妹紅!?」
すぐさま、慧音が駆け寄ると妹紅は彼女に抱かれるかの様に倒れる。
「慧音か・・・・・・やっぱり慧音だったんだな・・・・・・私は・・・・・・私はそれに気づかず・・・・・・。」
「もういいんだ・・・・・・辛かったろう・・・・・・寂しかったんだろ・・・・・・妹紅・・・・・・。」
慧音と妹紅がそんなやり取りをしている間に妹紅に重傷を負わせた本人、レグリンは奇妙な車の方へ向かっていた。
そんな彼女を見て、鈴仙はすぐに引き留めようとする。
「ま、待ちなさい!よくも妹紅さんを・・・・・・!」
「・・・・・・ここから北北東の方角に私の基地がある・・・・・・。」
「え?」
「そこで1対1の勝負だ・・・・・・もし、私のやり方に不満があるなら、正々堂々と勝負だ・・・・・・。」
言うだけ言うとレグリンは車に乗り込み、去って行く。鈴仙はそれを見るしかできなかった。
「・・・・・・。」
正直、鈴仙は彼女が勇者なのは理解した。だが、彼女は本当にキリュウの仲間なのか?
見た所、正義を愛し、悪を憎む性格らしい。自ら正しい道を突き進むといった感じだ。
そんな彼女が冷酷非道なキリュウとグルなんて考えられない。見る限り、隠し事はなさそうだし・・・・・・。
だけど、今はそんな事を考えている場合じゃない。とりあえず、妹紅さんを手当てせねば。
そう考えを中断し、鈴仙は慧音達方へ駆け寄った。
(中略)
妹紅さんの怪我は思ったよりもかなり重症だった。普通ならば即死と言ってもよい。
おまけにどういう訳か傷の再生もかなり時間がかかっている。完治するには相当の日数が必要だろう。
「・・・・・・取りあえず、妹紅は何とか生きているが・・・問題は勇者だな・・・・・・。」
「!?本当に行くの?危険よ・・・・・・。」
「サニー・・・・・・。」
慧音の発言にサニーが反対した。レグリンの圧倒的な力にすぐに怯えて戦意を喪失している。
「だって・・・・・・だって見たでしょう?あいつの力を・・・・・・もう無理よ・・・・・・私達にはできないのよ・・・・・・。」
「っ・・・・・・!」
サニーの発言に慧音も苦渋の表情で鈴仙を見る。鈴仙はそこで理解した。
サニーは戦意喪失、慧音は妹紅の介抱に精一杯。と言う事は・・・・・・。
自分だけ・・・・・・。しかし、自分にはできるのか?あの勇者を倒せるのか?幻想郷や外の世界を守れるのか?
恐怖と緊張と不安で何もかもが狂いそうだ。今の心が失いそうだ・・・・・・。
そんな彼女に・・・・・・。
「・・・・・・永遠亭の兎・・・・・・鈴仙だったか?」
「は、はい!?」
突然、妹紅に名前を呼ばれて、鈴仙は驚愕した。彼女は苦しそうにこう呟く。
「お前にとって・・・・・・正義は必要なのか・・・・・・?」



『巫女さん、きれいな星空だね~!』
少女の問い掛けに私は嬉しそうな彼女を見て微笑む。やはり、彼女と一緒にいる方が心地いい。
『そうだね・・・・・・。ねぇ、知ってる?月にも人間が住んでいる事。』
『月にも人が住んでいるの!?』
『うん。お母様の蔵を整理している時に見つけた本に書いてあった。まぁ、諸説だけどね。』
『ふ―――ん・・・・・・。でも月にも人がいたら会ってみたいな。どんな人なんだろう?』
無邪気そうに言う彼女。そんな彼女と私は立場が違っていた。でも、私は彼女が好きだった。
『だったら・・・・・・もし大きくなったら、月へ行ってみない?』
『えぇっ!?巫女さん、いいの!?だって私・・・・・・只の女の子だよ。』
『それでも、構わない。巫女と人里の子だろうと、私達はいつだって友達だから。』
『わかった!きっとだよ!いつか月へ行くこと!』
『分かっているわ。姉さんに負けない位、立派な巫女になってきっと願いを叶えて見せるから。』
『ありがとう、巫女さん!』
そう言って笑う彼女を見て、私は絶対に叶えようと決心した。
だが、私は現実の非情さに打ちのめさせ、願いは叶えられず、彼女はもう二度と帰らぬ人となり、
そして、私は・・・・・・闇へと堕ちた・・・・・・。

「っ!?」
石の上で仮眠していた霊牙が突如、目を開く。何か懐かしい闇の波動を感じる。それにしても・・・・・・。
「嫌な夢を見たものだ・・・・・・我の過去か・・・・・・だが、我にとって永遠に必要のない事だ!」
頭を振って夢の出来事を振り払い、かすかな闇の波動の発生場所を探った。
「・・・・・・成程、奴らか・・・・・・だが、奴等の封印を解いた者は一体、何者なんだ?何故、封印を解く必要がある?」
だが、奴等の封印が解かれたのは好都合。自分の野望に利用できる価値はまだある。
「ふぅむ。どれ、我が配下の封印を解いた奴の顔でも見てやるか・・・・・・。」
そう言って、闇の巫女、霊牙は空を飛んで、そこへと向かう。
一体、彼女に何があったのか、そして彼女の野望とは・・・・・・?



「・・・・・・来たな、鈴仙・・・・・・。」
拠点№6の前の広場で鈴仙は勇者6号・・・・・・レグリンと対峙する。見た所、機械人形が潜んでいる気配はない。
これはまさに1対1の戦い・・・・・・彼女が言った通りの状況だった。
「レグリン・・・・・・聞きたい事があるの。」
「何だ?」
「・・・・・・貴方は本当にキリュウの仲間なの?どうしてあんな奴等と一緒にいるの?」
「っ!?・・・・・・私はキリュウによって作られたクローン・・・・・・だが、私はもう関係を断つ事を決めた。」
「それって・・・・・・?」
「革命だ。」
「!?・・・・・・ど、どうして!?」
「今、この世界は狂っている・・・・・・戦争が多くの罪なき人々の命を奪い、Zやキリュウの様な輩が生まれるのだ・・・・・・私はそのような者達に裁きを与え、お前達の住む幻想郷の様な平和をもたらす為にキリュウらに革命を起こす。」
レグリンの説明に鈴仙は絶句する。彼女はキリュウ達と手を切ろうとしている・・・・・・だが・・・・・・。
「だ、だったら私達と一緒に行こう!一緒にキリュウ達を倒そうよ!」
「・・・・・・。」
「ど、どうしたの?」
「・・・・・・すまない、今は革命を起こす時期ではない・・・・・・それに・・・・・・。」
そう言い、レグリンは光の剣、EDセイバーを出す。
「っ!?」
「幻想郷の様な自然が生み出したお前達と人の狂気が生み出した我々は・・・・・・戦い合わなければ分かりあえない!!」
そう叫び、レグリンは鈴仙に剣を振るう。
「レグリンッ!?」
かわしながら、鈴仙はショックを受けた。何故だ?何故、自分とレグリンは戦い合わなければならないのか?
何故、何故、何故・・・・・・?
「どうして!?どうしてこうなるのよ!?」
鈴仙は堪らず叫びながら狂気の眼を発動する。この眼を見た者はまともでいられなくなるという、鈴仙の特殊能力だ。
「成程、目くらましか・・・・・・だが、そうはさせない!」
対するレグリンも同じように狂気の眼を発動し、無効にする。やはり、鈴仙の能力も似ているのか・・・・・・。
「ならば、スペルで!」
鈴仙はありったけのスペルカードを取り出し、発動する。対するレグリンも。
「ならばこちらも!」
そう言い、彼女もスペルカードを取り出し、発動する。その時、鈴仙の目がきらりと光る。
互いのスペルが相殺されている時、鈴仙は一気に走りだす。その方向は・・・・・・。
「!?何!?」
「この瞬間を待っていたのよ!」
そう言い、鈴仙は指先に力を込める。彼女得意の銃撃のポーズを構える。その先はレグリンだった。
「これで・・・・・・終わりよ!」
そう言い、鈴仙は霊距離射撃を放った。
「ぐはっ!」
霊距離での攻撃でレグリンは吹っ飛んだ。流石に接近戦に得意そうなレグリンもこれは大ダメージを与えたかもしれない。
・・・・・・が、
「まだだ・・・・・・まだ負けるわけにはいかない!」
しかし、レグリンはまだ立っていた。まるで傷をものとしないかの様に。
「そんな・・・・・・どうして・・・・・・!ま、まさか・・・・・・姫様や 師匠、妹紅さんと同じ・・・・・・!?」
「そう・・・・・・私も不老不死なのだ!」
驚く事に、レグリンも輝夜姫や永琳師匠、妹紅さんの様に不死身の体を持っていたのだ。
これでは、勝ち目が薄い事は鈴仙でも分かった。不老不死を相手にどう戦えばいいのだ?
「流石だな、鈴仙・・・・・・今のは流石に効いたぞ・・・・・・だが、どうやら、私を本気にさせたようだな・・・・・・!」
そう言って、レグリンは謎の姿勢で構える。それを見て、鈴仙は波長を調べると・・・・・・。
「波長が・・・・・・強くなっている!?」
「そうだ・・・・・・私はオリジナルのスペルを1枚持っているだけじゃなく、1回だけ強化変身できるのだ!」
そう言って、レグリンは拳に力を込め、初登場時と同じ様に変わったポーズを取る。
「MX!・・・・・・変・・・・・・身!!」
ポーズを決めたその時、レグリンの体が輝きだし、やがて直視できない程の閃光に眩む。
「っ・・・・・・!」
閃光が収まり、よく見るとレグリンはいた・・・・・・が、姿は変わっていた。
目の前の彼女は白い長髪をし、頭は兎の耳ではなくハクタクの角、そして一際目立つ赤い目。
「人も知らず、世も知らず、月に隠れて悪を討つ!私は満月の娘!月影勇者レグリン・フジワラ・MX!!」
ビシィッとまたもやカッコいい(??)ポーズをとり、パワーアップしたレグリンはこう思った。
「(ヤハリ、決まったな・・・・・・!)」
そして鈴仙はこう思った。
「(色んな意味でもうおしまいだこの人・・・・・・!)」
鈴仙が(別の意味で)絶句している中、レグリンは誇らしげに彼女に言う。
「実はと言うが、この姿を見せたのはキリュウ等を除いて、お前が最初だ!」
「いや、貴方達と関わりがあるの、私達しかいないし・・・・・・。」
「何はともあれ、正義のスペルを受けるがいい!」
そう言い、レグリンは光輝くスペルカードを取り出し、スペルを発動する。
スペル発動と共に、何と光輝く銃みたいなのが現れ、レグリンはそれを持ってチャージし始める。
「行くぞっ!最終奥儀、『ジャスティスムーンバスター』!!成敗!」
レグリンの銃から放たれた弾幕はまさに光玉・・・・・・それが大きく、目にも止まらない速さで鈴仙に着弾した。
「きゃあああっ!!」
直撃を食らい、倒れる鈴仙。こんな痛みは今まで感じた事はない。もはや立ち上がる気力はない。
そんな彼女を憐れむような眼で見ながら、レグリンは寂しそうに言う。
「これで決着がついたな・・・・・・命までは奪わないから、慧音達と共に幻想郷へ戻るがいい・・・・・・。」
「痛っ・・・・・・わ、私は・・・・・・!」
「確かに、幻想郷を襲うキリュウ等を許さない気持ちは分かる・・・・・・仲間を殺された気持ちも分かる・・・・・・だが、今のお前や慧音、そしてあの博麗霊夢ですらキリュウ・・・そして、“紅”に勝てる望みはないだろう・・・・・・だから、安らかに暮らしてほしい・・・・・・。」
「私は・・・!」
私はこのままでいいのか?月の戦いで逃走した時の様に?1年前、姫様が氷の中に閉じ込められてるのを見ているしか出来なかった様に?嫌、そんなのは嫌・・・・・・
「嫌よ・・・・・・!」
「ん?・・・鈴仙の波長が変わった!?まさか、奥の手があるのか!?」
「逃げ続けるなんてもう嫌―――――――――――――――――!!」
そう叫んだ鈴仙の体が突如、輝きだし・・・・・・。



Aチルノは任務を遂行し本部へ帰ろうとすると、変な巫女に出会った。
顔は霊夢そっくりだが、着ている脇巫女は黒いし、何気に雰囲気が違っていた。
そんな巫女は自分を一瞥し、こう尋ねる。
「ふぅむ、成程な。魔力の援助を受けて強くなって調子に乗っている氷の妖精が封印を解いたのか・・・・・・貴様、目的は何だ?」
「目的~?あたいの目標は勇者になる事!だからこの任務を遂行しに幻想郷へ戻って来たの!所で、あんたは?」
剣を抜く体制を取りながら、Aチルノは警戒する。誰だが知らないが、危険な香りをする巫女だ。
「それで何故、任務を遂行しようとしたのだ?勇者とかいうのになると言う理由だけか?」
「違うわよ、キリュウが「頼まれたからやっとけ」って。」
「で?」
「で?って・・・・・・紅姉ちゃんが・・・・・・。」
「っ!!??」
“紅姉ちゃん”と言う言葉を聞いた黒い巫女は突如、表情を変える。
「・・・・・・今、何と言った?」
「え?紅姉ちゃんの事知っているの?」
「紅・・・・・・そうか、分かったぞ・・・・・・Zが遂に・・・・・・!」
「Z!?何であいつの事を知っているの!?もう死んだけど!?」
明らかに怪しい!Aチルノの警戒心は一気に高まる。そんな彼女を無視し、巫女は独り言をいう。
「そうか・・・・・・遂に成功したのか、コード“紅”の序章を・・・・・・我が人形ながら、恐ろしい事をしでかした事だ・・・・・・。通りで我が奇妙な島で謎の機械人形に憑いて、魅魔達と戦う羽目になったという事か・・・・・・。」
「謎の機械人形ってT‐Jの事?一体、何なのあんた!?」
「喚くな、豚骨。」
「と、豚骨ぅぅぅぅぅぅ!?あたいは醬油派よ!冷やしラーメンだけど!」
き~と怒るAチルノを見、巫女はこう答える。
「この我は・・・・・・最強にして勝つ美しき闇の巫女であり、貴様の言う紅の親友なのだ・・・・・・。」



レグリンは鈴仙の波長を読み、戦慄していた。まさか、あの鈴仙がそこまで本気を出すとは・・・。
記憶によれば彼女は戦いを恐れており、かつて故郷である月から逃げ出した事があったのだ。
やはり、幻想郷の住人達だから見くびるのはいけなかった。今だ、その能力は未知数だからだ。
「最後まで抵抗するか・・・・・・ならば、恨みはないがこの一撃で終わりにするぞ!」
正直、彼女を殺すのは躊躇う。彼女は自分のDNAの元の一人であり、まさに母親的存在だった。
だが、こうなった以上、仕方がない。自分達は闘わなければならない宿命なのだ。
そう考え、レグリンは先程のスペルを発動する。
「スペル発動!最終奥儀、『ジャスティスムーンバスター』!!成敗!」
銃から光玉が鈴仙に襲いかかる。その鈴仙は微動しなかったが・・・・・・。
「・・・・・・分析完了。」
ぼそっと呟くと何と鈴仙は少し動いただけでその弾幕をかわしたのだ!
「な、何っ!?」
「・・・・・・戦況報告・・・・・・。」
「!?」
「最終奥儀『ジャスティスムーンバスター』は大火力の反面、直線的な弾幕であり、かわしやすくなっている・・・・・・幅さえ覚えれば簡単にかわせるスペルである・・・・・・。」
鈴仙の説明にレグリンは只事じゃない事に気づいた。鈴仙は何か変わっている・・・・・・!
「お前は一体・・・・・・何者だ!?鈴仙じゃない!」
レグリンの質問に鈴仙は顔を上げる。だが、その表情はいつもの彼女ではなく、その眼は赤く輝いていた。
「・・・・・・私の名はレイセン・・・・・・もう一人の鈴仙・・・・・・。」
そう答えると彼女は光輝くスペルを取り出し、宣言する。
「スペル発動・・・・・・夢想永夜砲・・・・・・。」
「!?」
記憶のないスペルにレグリンは驚愕した。まさかいつの間にそんなスペルを持っていたなんて・・・・・・。
それとは裏腹に鈴仙・・・いや、レイセンはどこからか巨大な武器を取り出す。見た所、レグリンのより長い銃の様だ。
「!?まずいっ!」
何やら分からないが、危険である事には確かだ、とレグリンは考え、避けようとするが・・・・・・。
「・・・・・・キャッチビーム、発射。」
機械の様な声で放たれた光線はどういう訳かレグリンの方へ向かい、直撃すると光がレグリンを包む。
「なっ!?体が・・・・・・!?」
「捕獲完了。チャージ完了まで10秒前・・・・・・3、2、1・・・・・・射出。」
そう言うや否や、レイセンは長い銃を振り回しながら弾幕を発射する。弾幕は自動的にレグリンの元に向かい・・・・・・。
「しまっ・・・・・・!」
ピチュチュチュ―――ン!!
直撃を受けた。
「・・・・・・着弾、確認。任務完了・・・・・・。」



倒れているレグリンだったが、不老不死故かまだ立っていた。
「・・・・・・ま、まだだ・・・・・・!」
「・・・・・・戦闘はすでに終了・・・・・・。」
「!?」
驚いて振り向くレグリンにレイセンは彼女の武器であるEDセイバーを彼女の胸に突き立てた。深く。
「がはっ!」
「この剣で妹紅を攻撃した技の名はジャスティス・クラッシュの模様・・・・・・。」
剣でレグリンを突き刺したレイセンは彼女を壁に打ち付け、固定する。
「くっ・・・!卑怯だぞ!敵同士とはいえ、相手を捕獲して攻撃するなんて!」
怒りに駆られ、叫ぶレグリン。だが、そんな彼女をレイセンは冷ややかな目で見ていた。
「・・・・・・この世には正義も悪もない・・・・・・。」
「何だと・・・・・・?」
「妹紅の質問により考慮した結果、この世に正義と悪の戦いと言うのは夢物語・・・・・・従って私は正義ではない。」
更に追い打ちをかける様に彼女は言う。
「無論、貴方達や慧音達も正義ではない・・・・・・違うのは思想だけ。」
「!?違う!私は正義だ!私のやり方は間違っていない!」
「・・・・・・違う。それは正義ではない。」
「何だと!?」
「貴方は自分のやっている事を正義と思いながら、他人を巻き込んでいた。仮に悪がいたら、貴方はそれを排除しようとする。しかし、それだと不可能になる・・・・・・。」
「それはどういう事だ!?」
「それだと、知的生命体全てを抹殺しなければならない・・・・・・。」
「!?」
レイセンの言葉にレグリンは絶句する。そんな彼女を見ながらレイセンは続ける。
「全ての生命体・・・・・・人間や妖怪等は生まれた時から罪を犯し続けている。人は誰かに教わらずとも、殺人などを行っている。私も妹紅も他の者も罪を犯しながら生きている。従って、正義と悪を区別する貴方は何も分かっていない、只の子供・・・・・・。」
駄目押しの様にレイセンはこう述べた。
「故に私達は正義と悪の戦いではなく・・・・・・戦争をしている・・・・・・。」
「!!!???」
これが止めなのかレグリンはもはや反論の余地はなかった。レイセンはそんな彼女を冷ややかに見ている。
「これから、貴方には2つの選択がある・・・・・・私達と一緒に行動するか、この基地もろとも散るか・・・・・・?」
「・・・・・・私は・・・・・・。」
「?」
「私は・・・・・・戦うっ!人々の正しき心の為に私は闘い続ける!!ゴルディン!」
そう叫ぶや否や、先ほどの車が彼女達の間に割って入るかのように飛び出してきた。流石のレイセンも予測不可能だった。
レグリンは剣を引き向くとそれに入り、レイセンにこう告げる。
「敵前逃亡で卑怯かもしれないが許せ!私は信じているぞ・・・鈴仙がお前の意志に打ち勝つ事を!きっと信じているぞ!」
ゴルディンは基地の壁に穴を開けながら飛行形態へと変形し彼方へと去って行く。それを見るレイセン。
「・・・・・・状況判断結果、レグリン逃走。これにより再度、夢想永夜砲での迎撃に移る。」
(駄目よ・・・・・・!)
「!?」
突如、頭の中に響く声にレイセンは驚愕する。しかも自分と同じ声だったのだ。しかし数秒後、理解する。
(お願い、彼女を殺さないで!)
「何故、止めようとする?敵を倒すのが我々の役目・・・・・・。」
(私達は彼女を殺す為に戦っていないの!皆を守るのに闘っているのよ!)
「防御的な戦いはいずれ失敗する・・・・・・敵の排除こそが真の勝利に近い。それが戦い。」
(違うの!違う!私は彼女に本当の事を言ってないの!まだ、本当の事を言っていないの!)
「現に、姫は未だにR島の洞窟で閉じ込められている・・・・・・彼女の救出と仲間の仇打ちが目的で、話し合うのではない。」
(機械的な貴方が偉そうに言わないでよ!出て行って!!)
そんな声が響くとレイセンの様子に変化が生じた。体が思うようにいかない。
「意志を乗っ取る模様・・・・・・しかし、弱気の貴方では活動に支障が出る。」
(貴方に・・・・・・貴方に何が分かるの!彼女だって悩んでいたのよ!自分の生みの親であるZと仲間であるキリュウに逆らってまでも彼女なりに平和を愛しているのよ!私には分かるの!)
「・・・・・・考慮の結果、同じ境遇での同情と判断・・・・・・故郷での敵前逃走故に好意が湧いていた模様。」
(!?そうよ・・・・・・私と彼女は敵同士よ!でも、何も戦う事はないでしょ!話し合えば、誰かを死なせずに終われる事もあるの!確かに勇者が私達の敵かもしれない・・・けど、全部とは限らないのよ!貴方は・・・・・・貴方にはそれが分からないの!?)
「・・・・・・了解、意志の交換を容認。しかし、警告する・・・・・・私は貴方自身が生み出した裏の人格だと言う事を・・・・・・。」
それだけ言うと、レイセンは体の内側に引っ込んだらしく、今の彼女・・・・・・鈴仙は戻っていた。
「私自身が生み出した裏の人格・・・・・・!」
レイセンが言った言葉を反芻し、鈴仙は涙を流していた。
「私は・・・・・・自分が臆病なせいで彼女を生み出してしまった・・・・・・取り返しのつかない事をしてしまった・・・・・・!」
そう言い、泣く鈴仙。全ての生きものは罪を犯しながら生きている・・・・・・まさにレイセンの言うとおりだった。
けど・・・・・・。
「でも・・・・・・私は諦めない・・・・・・!」
涙を拭い、鈴仙は立ちあがる。今は泣いている時ではない、戦いはまだ続いているのだ。
「レイセンの言う通り、これは戦争かもしれない・・・・・・けど、私は諦めない。いつか、彼女なら私達の味方になってくれる事を。」
一歩、ゆっくりと、しかし確実に鈴仙は基地を出る。決心した表情で仲間達の元へ向かう。
明日の為に、私も戦う・・・・・・。そう、月の兎は決意し、歩きだす。成長した彼女は決して歩みを止めない。
(・・・・・・愚かな・・・・・・。)
しかし、感情のない言葉が聞こえるのは幻聴か?それとも・・・・・・?



「何、これ・・・・・・?」
別の地方で天人の天子は絶句していた。隣のナズーリンや小傘、一輪も同様だった。
何せ、目の前にあるのは何やらデカイ城だった。デカイだけでなく、浮いているのだ。驚くのも無理はない。
「どうやら、幻想郷に襲撃した船と同じ動力で動いているな。まさに難攻不落の要塞だな・・・・・・。」
目をパチクリさせながらナズーリンが言う。すると隣の一輪があるものに気づく。
「?あれって勇者達の船じゃありませんか?」
「え?」
良く見ると、確かに幻想郷を襲撃した船が巨大な城に近づいているのだ。一体、何があったんだろう?
「どうするの?彼ら、人形だから驚かないよ~。」
「行くに決まっているでしょ!」
そう、もう逃げるのはできない。衣玖を殺した奴等を許しはしない。仇討つまで私は戦いを止めない。
「皆、行くよ!」
そう言うと天子達は飛んで城らしきものに近づく。一体何があるのか、分からないが決して逃げずに。



一方、同様に城に近づいている船の内部では機械人形と勇者5号がいた。
「Zのレポートにあった通りです・・・・・・!これこそが史上最強の要塞なのですよ・・・・・・!」
彼女は興奮し、機械人形に指示を出す。
「このまま進みなさい。必ず、入口はある筈です。それから、6号に伝えなさい、予定通りに要塞に到着したと。」

続く
次回:「大きな要塞に近づく天子達に現れたのは紫の能力で外の世界へやって来た聖達だった。天子達が奥へ進むとそこには財宝がギッシリ!しかし、勇者5号は要塞の恐るべき力を手にいれ、鵺に魔の手を伸ばす!次回、『天空の要塞!震える天人(前編)』!」


キャラ紹介
「月影勇者:レグリン・フジワラ」
クローン勇者6号。正義感が強く、悪を許さない性格。その為、自分の運命や生き様に苦悩している。プロポーションの大半は鈴仙。空を飛ぶ車:ゴルディンに乗り込み、カッコいいポーズを決めまくる。本気出すとMXフォームにチェンジする。
格闘戦を得意とし、スペルの他にもEDセイバーでの「ジャスティク・クラッシュ」や必殺キック「ルナティックキック」等の必殺技を持つ。彼女の苦悩に鈴仙は好意を抱いているのか、同情しているのかは皆さんのご想像にお任せします・・・・・・。
ZRXです。ちょっと、遅れてしまいましたが今回で鈴仙編は終了です
次回は天子が活躍しますのでお楽しみに。
名前が無い程度の能力
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コメント



0.540簡易評価
6.無評価名前が無い程度の能力削除
ここまで連載するなら他のサイトでやれと
7.無評価名前が無い程度の能力削除
名前忘れてますよ。
作品にかける情熱に100点。
8.100名前が無い程度の能力削除
点数入れ忘れた。
15.無評価名前が無い程度の能力削除
キタwwwwwwww
16.無評価名前が無い程度の能力削除
何故かホットした
19.無評価名前が無い程度の能力削除
>次回は天子が活躍します
天子が氏ぬの間違いじゃないか?
26.無評価名前が無い程度の能力削除
作者名は統一しない方向ですか。
29.無評価名前が無い程度の能力削除
今後、作者名修正されるのかな……
続けなよ。創想話で自分の存在価値を見いだせるなら。
34.無評価名前が無い程度の能力削除
もう有名人ですね
35.無評価名前が無い程度の能力削除
ここの管理人さんに恨みでもあるのですか?
38.無評価名前が無い程度の能力削除
叩かれるのが好きな醜いブタですね
ブタの思考は私には分かりません
40.無評価名前が無い程度の能力削除
マジキチ
41.無評価名前が無い程度の能力削除
折角アドバイスや色々指摘をいただいているのに、一度もご自分のSSを更新されたことないですよね
「お楽しみに」とはまあ…
度胸は評価しますがね
貴方は余程厭世的な方なのでしょうか
叩かれたいならいくらでも他に場所がありますが