チュンチュン・・・・・・・・。
私はスズメらしきさえずりでパチリと目を覚ます。
むくりと起き上がり、辺りを見回す。いつもと変わらない風景だ。
昨日食べた鍋の後始末をしていないことを除けば、なんら変わりは無かった。
部屋の障子をあけると、サンサンと柔らかな太陽の陽射しが差し込む。
私は目をしぶしぶさせながら、本日も晴天であり、素晴らしい天気であるということを認識した。
庭で飼っているニワトリたちも元気そうに地面をつつき、ひまわりも風にあおられ気持ちよさそうになびいている。
私はそれをひとしきり眺めた後、散歩に出かけることにした。
しかし、散歩といっても何かを特別買うわけではないから、手ぶらだ。
服装もお気に入りのシャツにもんぺにサスペンダー。いつも通りだ。
そろそろ服を変えてみようかなと思ったが、誰も見るわけでもないし気にしないことにした。
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人里に着いたが、そこには活気は無く、そこにあるのはボロボロになった町並みだけだ。
かつてあった子供たちの元気な声、商売の掛け声、婦人たちののんきな与太話・・・・・。
それらは、とうの昔に無くなっていた。何年前ぐらいだったのだろうか。
どこの家のドアを叩いても、私を招き入れる人間はいない。
せいぜい、空き家でくもの巣を張っている家主が私を睨みつける程度だった。
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私は何があるというわけではなく、いつの間にか寺小屋のあった場所にいた。
そこだけは私がいつも手入れしているので、昔のままで保存されている。
かつてケイネが檄を飛ばしていた教壇。生徒の落書きでいっぱいの勉強机・・・。
まるで、そこだけが昔のように。昔を思い出させるように・・・・残されていた。
「あの頃は楽しかったなぁ・・・・・。」
ポツリとつぶやく。
あの頃がいつを指すのかはもう思い出せない。
でも、思い出はの自分の頭のなかにずっと、ずっと残っている。
それはいつまでも色あせず、ずっと綺麗なままで。
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・・・・私は、いつからか空を飛ぶ事をやめ、歩くようになった。
移動するぶんには飛んだほうが良いのだが、いつからか私は歩くようになっていたのだ。。
地面をゆっくり歩いていると、飛んでいると分からないようなものをたくさん見つけることが出来た。
森を駆け回る生き物たちの姿が。すくすくと育ちつつある植物たちの姿が。
それはそれは小さなつまらないものであったが、今の私を満足させるには十分事足りるものだった。
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その様子を見守るように、たたずんでいた、紅い紅い吸血鬼の館。
かつては紅魔館と呼ばれ。吸血鬼の姉妹、その友人、それに仕えるもの・・・・。
たくさんの生き物がいたにぎやかな場所だったが、そこも今ではとても静かになっていた。
一説によると、吸血鬼の妹が暴走したとも、友人の魔女が実験に失敗したとも聞いたが、
どれもありえそうだが信憑性に欠け、とてもじゃないが信じれるものではなかった。
だがそれといえば、肝試しのあの晩の事が今でも鮮明に思い出される。
時間を止める不思議なメイド・・・・・・馬鹿力でごり押しの吸血鬼・・・・・。
あの日は彼女らにトラウマを植えつけてやろうと思ったが、植えつけられたのはこちらだったな。
・・・・・・・・まあ、昔のハナシだ。
私は紅魔館の近くにあった誰のとも分からないような墓標に花を添え、ぴしゃりと手を合わせた。
もう文字は潰れていて読めないが、恐らくこの館の人物なのだろう。
少し前の思い出に浸った私は帰路に付く事にした。
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「弾幕ごっこ・・・懐かしい響きだ。」
今現在、スペルカードルールは無い。いや、無いと言うよりも、
”それをする生き物が存在しなくなった”といったほうが正しいだろう。
世代の移り変わりとともに、それは忘れ去られてゆき、いつの間にか書物の影で
ひっそりとその名のみを記されるような存在となってしまっていたのだ。
あれはあれで中々楽しかった。
アイツとの殺し合いに飽きていたあのころ、突然そのルールが現れた。
結局のところ、殺しあうのには変わりはないのだが、秩序が生まれた。
如何にアイツを叩きのめすか連日連夜研究し、ケイネ達にも手伝ってもらい、
それが終わる頃には数十枚のスペルカードが出来ていた。まるでどこかの魔女のような枚数だがな。
結局、それが廃れるにつれて、お蔵入りになったのもたくさんあるのだが・・・・・。
「アイツも、何で死んじゃったんだろうな・・・・・。」
私は空を見上げる。
先ほどまでの晴れ渡った空は色を変え、空を赤く染めていた。
――――――輝夜は少し前に死んだ。
蓬莱の薬を飲んだものは、老いる事の死ぬ事も無く滅びる事も無い。
永遠の自分を手に入れる事が出来る。それは不滅でもあり、何度でも蘇る。
しかし、アイツは勝手に死にやがった。私を差し置いてな。
輝夜が死ぬ数ヶ月前、アイツは私の家を訪ねてきた。
いつもどおりの殺し合いかと身構えた私だったが、あいつの口から出た言葉はこうだった。
殺し合いをやめよう、と。
いつもの下らない冗談かと思って胸倉を掴んだ私だったが、
あいつは下を向いたまま、それ以上何も言わなかった。
気味が悪くなった私はその後追い払ったが、それ以来輝夜はうちに来る事はなくなった。
・・・・・・・・・それから輝夜が死んだという風の噂を聞いた。
この前の言動が気になった私が永遠亭へ向かうと、
アイツと薬師が添い遂げるように斃(たお)れていた。
その後、生きるあても無く幻想郷中を彷徨った。
しかし、そこにはどこにも人間や、妖怪が存在していなかった。
暗くじめじめとした地底、亡霊姫がいる冥界、魔界、はては天界まで・・・・・・。
私は自分の運命を呪った。まさかこうなるとは予測が付いていなかった。
あまりにも生きすぎたゆえに孤独となっていたのだ。
そして、孤独を和らげていたその相手も死んだ。何を糧にすればいいのか。
そうだ、話し相手を探せばいいんだ。退屈しないように。
幸いここは幻想郷だ。今は誰もいなくても後からやってくる人はいるはずだ。
その人たちと楽しく過ごせばいい、孤独はもういやなんだ―――。
――――――それから、ずっとこれまで何年間も行ってきた。
――――――しかし、今までに誰も見つける事は出来なかった。
――――――でも、明日は見つかるかもしれない。
――――――そんな期待を胸に、妹紅は眠る。
再生したらエイリアン2だったみたいなそんな気分
面白いとは思うけどハッピーエンド好きで「ほのぼの」タグに
ひかれて読み始めた自分には辛い話だったのであえてフリーレスで。
普通に考えて、結界が無くなれば外と完全に地続きになるだけと思いますが、
ネタがじゃなく、文章が下手糞。
無の空間って言っても、単純に誰もいないって意味なんだと思いましたが・・・植物とかはあるわけですし。
あと博麗大結界が崩壊したとも書いてありませんし、外といまだに隔離されているともとれます。
説明不足かな、というのは私も感じたのでそこを改善していってほしいと思いました。
しかし「ほのぼの」のタグはいただけないと思ったのでこの点数です・・・