従者の前には主人がいます。
主人の前には従者がいます。
従者の前の主人は座っています。
主人の前の従者は立っています。
もちろん、文句なんか言いません。
それが従者の理だからです。
午後三時のことです。
主人は座ったまま今日の夕食を尋ねます。
それに対して従者は立ったまま腕組みをして首を傾げます。
最近いろんな事が起こりすぎて脳がノイローゼになりかけています。
そんな頭でプランを必死に整理します。
昨日の夕食はハンバーグとコーンスープでした。
今日は和風なメニューが良いと、あまり機能しない脳が従者に促します。
それを従者は主人に伝えます。
主人はすぐに納得しました。
冷蔵庫にエビフライが四十尾あるから取ってきなさい。
主人は従者にこう命じました。
全く断らずに従者は言われるがままに俊敏に動きます。
これも従者の理です。
廊下を歩きながら、窓の淵や床のシミを頻りにチェックします。
どこか汚れている場所はないか。
どこか腐っている場所はないか。
この些細な心遣いがここの清潔感を保っているのです。
いくら築数百年と言えど、この従者の腕にかかれば新築同然です。
いやはや尊敬するばかりです。
まさに従者の鏡です。
どこにも廃れている箇所は無く、無事に冷蔵庫の前に辿り着きました。
その扉を開けると食べ物がギッシリ詰まっています。
肉。
野菜。
デザート。
プリン。
その他諸々。
所狭しと置かれています。
大家族でしかこんな冷蔵庫の中身を見る事は滅多にないでしょう。
おやおや。
何やら困った表情の従者さん。
少しおどおどし始めました。
ああなるほど。
食材がこれでもかと詰められているのにもかかわらず、エビフライが一尾も見当たりません。
一体どういう事でしょうか。
主人が四十尾あると言っていたのに。
視界を邪魔する銀色の美しい髪を退けて、もう一度冷蔵庫の中を確認します。
ありません。
一尾もありません。
エビフライどころか尻尾すら見つかりません。
あの赤くてコリコリパリパリした食感が、従者の主人を虜にしています。
その尻尾すら無いのです。
これにはさすがの従者も困りました。
どこにも見つかりません。
つまり買いに行くほかないのです。
懐を探り財布を取り出します。
きめ細かく中身を確認します。
長方形の紙が三枚出てきました。
そこにはニッコリと笑う香霖堂店主の顔がありました。
三千円札が三枚。
エビフライ四十尾は簡単に買う事ができます。
現在の時刻午後三時三十分。
三十分もあれば人里に着く事ができます。
マイバッグを片手に、従者は歩き始めました。
もちろん、人里に向かって歩いています。
いちいち能力は使いません。
目的はエビフライ四十尾。
主人が欲しいと言ったのです。
遂行しないわけにはいきません。
途中でいろんな妖怪に声をかけられました。
そこは数々の苦難を乗り越えている従者。
一人一人にしっかりと言葉のキャッチボールをします。
二十分もしないうちに着いてしまいました。
予定よりもかなり早いです。
そんな事はお構いなし。
早速エビフライを買い求めます。
注文を受けたおっちゃんはビックリします。
当然です。
美しく可愛らしい女性がエビフライを四十尾頼んだのです。
銀色の髪ですよ。
すぐに見惚れてしまうでしょう。
すっかり上機嫌なおっちゃんは五尾サービスしてくれました。
多くて損はありません。
丁寧にお礼を言って、ありがたく四十五尾をマイバッグに入れます。
現在の時刻午後四時。
寄り道せずに帰ります。
そこで肩を叩かれました。
ふっと振り返って、利き手と逆の手で白い鋼の色を相手に突きつけます。
利き手にはマイバッグを持っているので、それを持つことができないのでした。
瞬きした間にこんな状態になりました。
さすが従者の鏡です。
身を守る動きが素早い。
しかしその色をすぐに下げます。
相手を敵ではないと判断したからです。
その相手は永遠亭のお医者さんでした。
ここに買い物にくるときよく会うのです。
従者はお医者さんに謝ります。
もちろん、優しいお医者さんは許してくれます。
顔を上げたら、視界が銀色の髪で遮られました。
すぐに取り払います。
お互いに笑いあって立ち話を始めました。
最近の景気。
マイバッグのエビフライ。
主人について。
ほかにもいろいろ話しました。
気付くと午後六時です。
二時間も話していたことになります。
従者はお医者さんに別れの挨拶を告げて、急いで帰ります。
途中でいろんな妖怪に声をかけられますが、仕方なく無視します。
十分も経たないうちに着きました。
急いでエビフライを揚げ、四十五尾全部をフルに活用します。
ばちばちと油が飛んで、体を仰け反らしたりします。
一箇所シミが付いてしまいました。
そんなことは気にせずに、早急に主人のもとに夕食を運びます。
もう待ちきれないと言う風に、主人は
フォークを机に逆様に突きたてて、トントンと叩いています。
食卓にすべて並びました。
エビフライだけですが。
さあ準備が整いました。二人は手を合わせて食事に感謝の意を示します。
「いただきます!!」
三分後には、エビフライは尻尾残らずなくなっていました。
それはもちろん、主人である幽々子様のお腹の中に入ったのでした。
主人の前には従者がいます。
従者の前の主人は座っています。
主人の前の従者は立っています。
もちろん、文句なんか言いません。
それが従者の理だからです。
午後三時のことです。
主人は座ったまま今日の夕食を尋ねます。
それに対して従者は立ったまま腕組みをして首を傾げます。
最近いろんな事が起こりすぎて脳がノイローゼになりかけています。
そんな頭でプランを必死に整理します。
昨日の夕食はハンバーグとコーンスープでした。
今日は和風なメニューが良いと、あまり機能しない脳が従者に促します。
それを従者は主人に伝えます。
主人はすぐに納得しました。
冷蔵庫にエビフライが四十尾あるから取ってきなさい。
主人は従者にこう命じました。
全く断らずに従者は言われるがままに俊敏に動きます。
これも従者の理です。
廊下を歩きながら、窓の淵や床のシミを頻りにチェックします。
どこか汚れている場所はないか。
どこか腐っている場所はないか。
この些細な心遣いがここの清潔感を保っているのです。
いくら築数百年と言えど、この従者の腕にかかれば新築同然です。
いやはや尊敬するばかりです。
まさに従者の鏡です。
どこにも廃れている箇所は無く、無事に冷蔵庫の前に辿り着きました。
その扉を開けると食べ物がギッシリ詰まっています。
肉。
野菜。
デザート。
プリン。
その他諸々。
所狭しと置かれています。
大家族でしかこんな冷蔵庫の中身を見る事は滅多にないでしょう。
おやおや。
何やら困った表情の従者さん。
少しおどおどし始めました。
ああなるほど。
食材がこれでもかと詰められているのにもかかわらず、エビフライが一尾も見当たりません。
一体どういう事でしょうか。
主人が四十尾あると言っていたのに。
視界を邪魔する銀色の美しい髪を退けて、もう一度冷蔵庫の中を確認します。
ありません。
一尾もありません。
エビフライどころか尻尾すら見つかりません。
あの赤くてコリコリパリパリした食感が、従者の主人を虜にしています。
その尻尾すら無いのです。
これにはさすがの従者も困りました。
どこにも見つかりません。
つまり買いに行くほかないのです。
懐を探り財布を取り出します。
きめ細かく中身を確認します。
長方形の紙が三枚出てきました。
そこにはニッコリと笑う香霖堂店主の顔がありました。
三千円札が三枚。
エビフライ四十尾は簡単に買う事ができます。
現在の時刻午後三時三十分。
三十分もあれば人里に着く事ができます。
マイバッグを片手に、従者は歩き始めました。
もちろん、人里に向かって歩いています。
いちいち能力は使いません。
目的はエビフライ四十尾。
主人が欲しいと言ったのです。
遂行しないわけにはいきません。
途中でいろんな妖怪に声をかけられました。
そこは数々の苦難を乗り越えている従者。
一人一人にしっかりと言葉のキャッチボールをします。
二十分もしないうちに着いてしまいました。
予定よりもかなり早いです。
そんな事はお構いなし。
早速エビフライを買い求めます。
注文を受けたおっちゃんはビックリします。
当然です。
美しく可愛らしい女性がエビフライを四十尾頼んだのです。
銀色の髪ですよ。
すぐに見惚れてしまうでしょう。
すっかり上機嫌なおっちゃんは五尾サービスしてくれました。
多くて損はありません。
丁寧にお礼を言って、ありがたく四十五尾をマイバッグに入れます。
現在の時刻午後四時。
寄り道せずに帰ります。
そこで肩を叩かれました。
ふっと振り返って、利き手と逆の手で白い鋼の色を相手に突きつけます。
利き手にはマイバッグを持っているので、それを持つことができないのでした。
瞬きした間にこんな状態になりました。
さすが従者の鏡です。
身を守る動きが素早い。
しかしその色をすぐに下げます。
相手を敵ではないと判断したからです。
その相手は永遠亭のお医者さんでした。
ここに買い物にくるときよく会うのです。
従者はお医者さんに謝ります。
もちろん、優しいお医者さんは許してくれます。
顔を上げたら、視界が銀色の髪で遮られました。
すぐに取り払います。
お互いに笑いあって立ち話を始めました。
最近の景気。
マイバッグのエビフライ。
主人について。
ほかにもいろいろ話しました。
気付くと午後六時です。
二時間も話していたことになります。
従者はお医者さんに別れの挨拶を告げて、急いで帰ります。
途中でいろんな妖怪に声をかけられますが、仕方なく無視します。
十分も経たないうちに着きました。
急いでエビフライを揚げ、四十五尾全部をフルに活用します。
ばちばちと油が飛んで、体を仰け反らしたりします。
一箇所シミが付いてしまいました。
そんなことは気にせずに、早急に主人のもとに夕食を運びます。
もう待ちきれないと言う風に、主人は
フォークを机に逆様に突きたてて、トントンと叩いています。
食卓にすべて並びました。
エビフライだけですが。
さあ準備が整いました。二人は手を合わせて食事に感謝の意を示します。
「いただきます!!」
三分後には、エビフライは尻尾残らずなくなっていました。
それはもちろん、主人である幽々子様のお腹の中に入ったのでした。
私は騙されなかったぞ!
主人が輝夜だったら騙されてた。
騙されました。
逆に引っ掛け要素が分からないんですが、どのあたりでしょうか?
視界に入らず瞬時にお世話ができるよう斜め後ろかせめて横に待機するでしょうし
そこで違和感を覚えたらもう謎かけがなりたたないだろうし、位置関係はかくべきじゃなかったかなぁと
ということで中途半端に感じたのでこの点数で
二度も騙されるとこだった…
ええ、もちろん妖夢が大好きですから。
前回では100点入れましたが、今回はどんでん返し感がゼロなのでフリーレスで
前回は楽しめましたが今回は正直… 二回目は難しいですね