【第一話 インフィニットジャスティス、起動】
ある朝、小町が出勤したら、閻魔の代わりにインフィニットジャスティスがいました。
「……は?」
インフィニットジャスティスでした。
全高18.90m、重量79.67t。
まごう事なきインフィニットジャスティスでした。
「いやいやいや! でかいし! 天井突き破ってるし!」
小町が全力でツッコんでいると、インフィニットジャスティスがおずおずと一枚の紙切れをつまみ、小町の前へと持ってきました。
「え? 何? あたいに読めって?」
突き破ってて見えませんが、インフィニットジャスティスがこくりと頷いたような気がして、小町はそれを読みました。
『一念発起して退職し、地元で農業やることになりました。後任の閻魔はインフィニットジャスティスに決まりましたので、よろしくしてやってください。 えーき』
「いやいやいやいや!!? 何やってんですか映姫様!? いやそれよりなんで閻魔のラインナップにモビルスーツが入ってんですか!?」
小町の叫びに答えをくれる者はおらず、よろしくの礼のつもりかインフィニットジャスティスが屈んできて、ドタマがまた裁判所の天井を突き破ります。
小町はその様を見ながら、静かに意識を手放しました。
【第二話 インフィニットジャスティス、発進】
小町は、はっと目を覚ましました。
そうか夢だ。夢でなくてはインフィニットジャスティスが……閻魔に……などあるわけがないではないか。
小町はそう思い、ベッドで身じろぎしつつ、ゆっくりと上体を起こしました。
すると、膝にぽとりと何かが落ちます。
「ん……何これ……。ぼろきれ?」
心なしか湿っていて、くちゃくちゃになった布の残骸のようなものでした。
「なんだろこれ……って」
ふと、視点をぼろきれからはずすと、小町は驚きに包まれました。
「壁がなぁぁぁい! 天井もなぁぁい! あたいの家がぁぁぁ!」
ガレキの山に囲まれて、小町はベッドで寝ていたのです!
「どういうことなの……」
困惑する小町の前に、巨大で、そして無機質な手がゆっくりとおりてきます。
そしてぼろきれをちょいとつまんで、持ち上げていきます。
「……は?」
小町は上を向いて、唖然としました。
インフィニットジャスティスでした。
全高18.90m、重量79.67t。
まごう事なきインフィニットジャスティスでした。
「夢じゃなかったぁぁぁぁぁ!」
インフィニットジャスティスは、ぼろきれに冷却水を吹き付けると、指先でぎゅっと潰すように絞っていきます。
「うぉぉそんなもんでタオル冷やすなぁぁぁぁ! 別に熱出してるわけでもなんでもないから! マジで熱でそうだけど!」
小町の叫びを聞いて、インフィニットジャスティスは小首をかしげます。
「え? いきなり倒れたからびっくりして……? 介抱の仕方もそれしか知らなかったし……? ってこのモビルスーツは一体なんなのよ! そしてなんであたいはナチュラルにモビルスーツの意思を読み取ってんのよ!」
小町がベッドの上で頭を抱えていると、インフィニットジャスティスはまた、一枚の紙切れをつまみ、小町の前へと持ってきました。
「何? 今度は何なの? それを読めばいいの!?」
小町は半ばやけくそになって、それを読みました。
『さすが小町ですね。こんなに早くインフィニットジャスティスと心を通わせるとは。私の見込みどおり、あなたにはガンダムマイスターの素質があります。インフィニットジャスティスをよろしくお願いしますね。 えーき』
「いやガンダムマイスターとかインフィニットとシリーズ違いますから! っていうかあたいそんな素質見込まれてたんですか!? なにそれ!?」
その文面は信じがたく、小町がもう一度紙を目を皿のようにしてみていると、裏面になにやら文字が書いてあることに気づきました。
「一体何が!?」
小町が紙を裏返すと。
『この紙は、小町が一日以内にあなたと心を通わせた場合に渡してください。 えーき』
「細かいな!? こんなん何パターンも作ってたんですか映姫様!?」
小町は元上司のいらん努力に涙を禁じえませんでした。
そうして小町は、ふと自分に影がかかったのに気づいて、顔を上げました。そこには、これからよろしく、と握手を求めるように手を差し出すインフィニットジャスティスの姿が。
「インフィニットジャスティス……」
小町はすぅ、と息を飲み込んで、一拍置きました。
「いやいやいやサイズ差的に握手とかムリですからー! やめてー! カヲル君の如く握りつぶされちゃうぅぅぅ!」
【第三話 インフィニットジャスティス、出勤】
(前略おとうさんおかあさん。あたいは立派に死神として仕事をしてきたと思います。――自分のペースで。……間違ってもデュオ・マックスウェル系統の死神になった覚えはありません。でも――)
小町は、キッと上方を見つめる。
(ここに、法廷に、ガンダムがいます)
小町の視線の先にいるのはもちろんインフィニットジャスティスでした。
全高18.90m、重量79.67t。
まごう事なきインフィニットジャスティスでした。
「……えー、判決を言い渡します。『しかし地獄行く』だそーです」
裁判を受ける霊魂に対し、判決を読み上げているのは小町でした。
死人に口はないのは元より、モビルスーツにも口はないので致し方ないことです。
ちなみに、小町がその役を勤めているのは、
『インフィニットジャスティスと心を通わせた今を持って、あなたを船頭の職から解任し、改めてガンダムマイスターに任命します。これがあなたの積める善行です。 えーき』
という追加の一文のせいでありました。
それを見て小町は、
「どう見てもデュオ・マックスウェルです。本当にありがとうございました」
と言って笑うしかなかったそうです。
ガンダムマイスターとはいうものの、やっていることはインフィニットジャスティス付きの通訳に他なりません。
ところで、閻魔はそれぞれ過去の行いを映す浄玻璃の鏡と、罪のある死者の罪状を書き込み、叩くための悔悟の棒を持っています。
もちろんインフィニットジャスティスも(なぜか)閻魔である以上、浄玻璃の鏡を支給されているのですが……。
(鏡っつーか、ミラーシールドだよね、これ)
インフィニットジャスティスが持つビームシールドに通常とは違う、鏡のごとく相手を映し出すビームが展開され、霊魂を映し出しています。
フルハイビジョンもビックリの大画面で過去の行いを映し出されているこの光景は、この霊魂にとってどのような想いを残すのでしょうか。
それにしても、是非曲直庁のどこにこんな予算があったのでしょう。こんな金あったら船頭の船を新しくしてくれよと小町は涙を禁じえませんでした。
「とりあえず有罪なんでスーパー悔悟タイム……って悔悟の棒!?」
浄玻璃の鏡でアレなら、悔悟の棒は一体……
「一体っていうか……予想できる!」
かくしてインフィニットジャスティスは円筒形の物体を取り出し、ブゥンと起動させました。
「やっぱりMA-M02G シュペールラケルタ・ビーム悔悟の棒! だめえええ! そんなんではたかれたら消滅しちゃうぅぅぅぅぅ!」
是非曲直庁は何を考えてこんなもんを製造したのでしょうか。
むしろこんなもん製造してるから財政難になるんじゃないでしょうか。
是非曲直庁の業は深い。
【第五話 インフィニットジャスティス、飛翔】
「やっほー! お疲れさん、小町!」
「あ、お疲れー」
ガンダムマイスターという名の通訳の仕事を終え、帰り支度をする小町に、同僚が声をかけてきました。
「書記の先輩から聞いたよー、スーパー悔悟タイムも小町がやってるんだって? すごいねー、あたしも一回やってみたいよ」
「いや……うん……」
ラケルタ・ビーム悔悟の棒なんて振り回されたら霊魂どころか裁判所がヤバイです。
タダでさえインフィニットジャスティスが収まりきらずに露天裁判所と化しているというのに。
そこでまた恒例の前閻魔、四季映姫の書置きでした。
『こんなこともあろうかと、私が愛用していた悔悟の棒を置いておきます。小町が代行してやってくださいね。それがあなたの積める善行です。 えーき』
「だったら最初からラケルタ・ビーム悔悟の棒なんて作らないでくださいよぉぉぉぉぉぉ!」
とは小町の言。
「どったの?」
不思議そうに覗き込んでくる同僚に、小町は疑問をぶつけました。
「モビルスーツが閻魔って、おかしい、よね?」
インフィニットジャスティスがこの裁判所に配備されてから二、三日経ちますが、みんな平然と業務をしているのです。
小町自身とてそれなりに順応してきてしまっていると自覚はしますが……。
「いいじゃん! いやー、それにしてもインフィニットジャスティスさんってかっこいいよねー」
「……まぁ、ガンダムだしね」
小町はうなだれました。
問題提起を華麗にスルーされてしまった悲しみを背負い、今なら夢想天生が撃てそうです。
「そういえば、小町は家どうしたの? 壊れちゃったんでしょ?」
同僚の一言に、小町は苦い笑いを浮かべます。
そこで聞こえてくる、モビルスーツのエンジン駆動音。
「あ、インフィニットジャスティスが呼んでる……。もう帰らないと」
「あ、一緒に帰ってるの? 憎いねーこのこの」
「色々あったんだよ……」
小町は同僚の煽りに背を向け、裁判所を後にしました。
そこで待っていたのは、もちろんインフィニットジャスティスでした。
全高18.90m、重量79.67t。
まごう事なきインフィニットジャスティスでした。
インフィニットジャスティスは小町の姿を捉えるとウィィンとコクピットを開きます。
(なんで自我があるのにコクピットが……ゼノグラシアみたいなもんなんだろうか)
小町がこうしてインフィニットジャスティスと一緒に帰るようになったのには、海よりも深いわけがありました。
それは今を去ること二、三日前。ぶっちゃけインフィニットジャスティスが小町の家を壊したときの話。
「……え? お詫びにコクピットを使って送り迎えする? いや、意味がわからないし、一応閻魔だってのならあたいが部下だし、そんなに気を使われても困るというか……」
インフィニットジャスティスはふるふると首を振ります。
「え? 何々? 別にそんなに深い意味はないんだからね? 罪滅ぼしをしたいだけなんだからね? いや、なんでツンデレなんですか」
結局、お詫びの印を何かあらわしたいだけのインフィニットジャスティスに押される形で、小町はモビルスーツ出勤をすることになったのです。
以上、山よりも高く海よりも深いわけでした。
そうして、初めて職場から帰ってきたときには驚きました。
何せ、小町の家の残骸ではなく、彼岸にぽつんと立つ格納庫に連れて来られたのですから。
そして格納庫の扉を見て、再び小町は驚きました。
『こんなこともあろうかと、インフィニットジャスティスの格納庫にあなたの部屋を作っておきました。家が壊れてしまった場合に使ってください。それがあなたの積める善行です。 えーき』
映姫様の慧眼ぶりにいろんな意味で泣くしかない小町でした。
【第十九話 インフィニットジャスティス、決闘】
風見幽香は、今日も太陽の畑にやってくる人妖を虐めて楽しんでいました。
「うーん、やっぱりいいわ。日々の活力よね」
散々に追い散らした妖怪の後姿を笑んで眺めつつ、このままティータイムにでも雪崩れ込みたい幽雅な気分に浸っています。
だが、そんな幽雅空間の中に突如吹き付ける豪風と……
「な、何!? この私が気圧されているなんて……!」
幽香は焦って、その威圧感のするほうへと向き直ります。
「……は?」
インフィニットジャスティスでした。
全高18.90m、重量79.67t。
まごう事なきインフィニットジャスティスでした。
「ええええええ!? なんで太陽の畑にモビルスーツ!?」
「インフィニットジャスティスさーん! 待ってくださーい!」
いつもの余裕はどこへやら、目をむいて叫ぶ幽香の耳に、ふと別の声が入ってきました。
ふと見ると、死神が慌ててこちらに向かってきているではありませんか。あの死神は花の異変のときにチラッと会った覚えがあります。
「あ、あんた! このモビルスーツなんなの!?」
「あらいつぞやの。いや、信じがたいだろうけどこのモビルスーツ……新しい幻想郷の閻魔なんだ……」
「はいィ!? どうしてモビルスーツが閻魔の理由なのよ!?」
「そんなのあたいだって知りたいわー!」
狼狽して言語を乱れさせる幽香に、小町も精一杯叫び返します。
ですが、そんな小さき者たちの騒ぎなど意に介さず、インフィニットジャスティスは目をピコーンと光らせます。
「ひっ、な、何なの!?」
「えーとですね……『よくも哀れな罪なき人妖を虐めたな! 許せんッ! 楽園の最高裁判長……インフィニットジャスティス!』だそうです」
「どこのダーマよ!」
幽香は頭を抱えました。
「やー、映姫様のことを話してみたら、自分も非番のときは幻想郷を見回ってみたいとか言い出していきなり緊急発進するもんだから……」
「するなぁー!」
インフィニットジャスティスはギュウォンと駆動音を響かせて、ゆっくりとMA-M1911 高エネルギービームライフルを構えます。
「ひいい!?」
「ちょっとインフィニットジャスティスさん! 弾幕ごっこってレベルじゃないですよ! 死にます! マジ死にます!」
小町の必死のとりなしにインフィニットジャスティスは動作を止めますが、同時にどうすればいいんだ? といわんばかりに小首を傾げます。
「いやどうすればって……インフィニットジャスティスさんがなんかすればそれだけでオーバーキルですし……」
小町が言いよどむ中、幽香が決死の行動に出ました。
「ええーい! こんなのを裁判官にしておけるもんですか! こうなったらやられる前にやってやるわ! くらいなさい元祖マスタースパァァァク!」
幽香は気合一閃、幻想郷トップクラスの妖力を極太の光線として具現させ、インフィニットジャスティスに撃ち出しました。
ですが、大出力ビーム砲の直撃さえ防ぎ切るMX-2002 ビームキャリー浄玻璃の鏡シールドの前ではいかな元祖マスタースパークとていささか力不足。
むしろ浄玻璃の鏡成分が加わったことでミラーシールド的な意味が付加され、マスパが跳ね返されてしまいました。
「うひゃあああ!? 冗談じゃないわよぉぉ!?」
自分のマスパを慌ててグレイズ。そんな幽香に小町が叫びます。
「本気で殺される前ににげてー! 加減できずに虫を潰しちゃうかのように殺されかねんから!」
「言われなくともスタコラサッサよ! ああもうー!」
さしもの大妖怪、風見幽香も涙目になって逃げていきました。
強いぞインフィニットジャスティス! 僕らのインフィニットジャスティス!
「幽香を追っ払ったあとのインフィニットジャスティスが、心なしか清々しいどや顔に見えてちょっとウザかったです」
とは小町の談。
【第六十七話 インフィニットジャスティス、暑中】
「小野塚さーん、不届きものでーす」
「不届きもの!?」
「あ、間違えた。お届けものでーす」
「ひどい間違いだぁ!」
所はインフィニットジャスティス格納庫兼小町の家。
すっかり幻想郷では季節も夏になりました。まぁ彼岸は季節とかないのであまり関係ないのではありますが。
今日はお休みの日です。
前回が色々あってインフィニットジャスティスと小町の大きさが入れ替わったり、小さくなったインフィニットジャスティスに今こそ奴を討つ好機とやってくる人妖がいっぱいいて小町が必死に守ったり、サイズの所為で宵越しの銭が完全に原始時代のお金だったりとてんやわんやだったので、今日のところはゆっくり休みたいところです。
「あ、インフィニットジャスティスさんインフィニットジャスティスさん」
宅配業者の受け取りに出た小町が、ダンボールを抱えて戻ってきます。
格納庫に鎮座しているのは、もちろんインフィニットジャスティスでした。
全高18.90m、重量79.67t。
まごう事なきインフィニットジャスティスでした。
「前閻魔の映姫様からですよこれ」
びこーんとインフィニットジャスティスは興味を示したように目を光らせます。
「なんか嫌な予感しかしないんですけど……まぁ開けてみましょうか」
インフィニットジャスティスのズームな視線を感じつつ、小町がダンボールを開封すると、中にはいっぱいに夏蜜柑が入っていました。
「うお?」
そして、蓋の部分の裏側に便箋が張り付いています。
『お久しぶりです。暑中見舞い申し上げます。そちらはそれなりに上手くやっていると風の噂に聞きました』
「それなりに……上手くやってるの……かな……」
『こちらは彼岸と違って季節があるので、季節感を掴むのに四苦八苦です。知識としては持っていましたが、実際に生活してみると勝手が違うものですね』
「え? 『四季』映姫なのにって? うん、まぁ映姫様にも色々あったんだよ」
『これはこちらの先代から受け継いだものではありますが、夏蜜柑がよくできましたので、よければ召し上がってください。それがあなたの積める善行です』
「相変わらず閻魔癖が抜けてませんねえ」
さすがに第六十七話ともなれば小町も慣れたものです。
『あといくつかの写真と、インフィニットジャスティス向けに夏蜜柑から抽出したオイルも同梱しておきましたので、どうぞ。 えーき』
「なんかいきなり技術力跳ね上がった! そんなオイル何に使うの!?」
インフィニットジャスティスは核エンジンですから、別に燃料として使えるとは思いません。
「ええと、関節にでも挿す?」
なんか目を光らせて嬉しそうなのでそれでいいのでしょう。そんなの使って大丈夫なのかは小町のあずかり知るところではありませんが。
「あ、便箋の裏に写真もありますね。この写真は……うっわー、映姫様めっちゃ日焼けしてらっしゃる!」
写真は収穫作業を写したもののようです。
山のような夏蜜柑を背景に、珠のような汗と咲くような笑顔を浮かべた映姫がピースして写っています。
「健康的すぎる! しかも麦わら帽にランニングシャツですよ! 農家の人というか虫取り少年だ!」
閻魔時代からは想像できない変わりように小町が驚愕していると、インフィニットジャスティスがふるふると首を振りました。
「え? だがそれがいいって? インフィニットジャスティスさん……あなた結構……」
首を振る速度が加速度的に増大したことは言うまでもなく、結局ミカンオイルは首の辺りに使用されることになったということです。
とっぺんぱらりのぷう。
【第五十三万話 インフィニットジャスティスよ、永遠に】
<前回までのあらすじ!>
自我がどうのこうので暴走し、
そして色々あって幻想郷の危機なのだ!
「よかった……! 正気に戻ったのねインフィニットジャスティス……!」
そうして小町が足元に抱きつくように寄り添っているのは、もちろんインフィニットジャスティスでした。
全高18.90m、重量79.67t。
まごう事なきインフィニットジャスティスでした。
インフィニットジャスティスは小町の頬を撫ぜるように、指先をそっと添えます。
五十三万話の長きに渡り培われてきた二人の絆を思えば、涙なしには見られない名シーンですよね!
「よかった、インフィニットジャスティスさんは止まったんですね……!」
「サナーエ!」
「だけど、非想天則ダブルツインマークⅡセカンドが奴らの手に渡っちゃったよ! オマケに完成したばかりの幻想核融合エンジンも!」
「オ・クー!」
機動戦士として完成した非想天則ダブルツインマークⅡセカンドのパイロットである東風谷早苗と、動力であるレイマリなんとかさん――通称おくう。
その二人が、小町の前に急いでやってきました。
ずっとライバル関係にあった守矢・地霊連合ですが、第三の敵に対して手を取り合う熱い展開があったのは記憶に新しいでしょう。
……新しいでしょう!
「なんだって! 幻想核融合エンジンまで奪われたら……今度は非想天則ダブルツインマークⅡセカンドが敵に回っちゃうじゃないか」
動揺する小町に、早苗はきっぱりと言い切ります。
「はい、ですから、インフィニットジャスティスさんに、非想天則ダブルツインマークⅡセカンドを破壊していただきたいのです」
早苗の言葉に、小町は驚きました。
「なんだって、非想天則ダブルツインマークⅡセカンドはあんたたちが心血を注いで作り上げたロボだろう!?」
「はい。ですが、非想天則はその名のとおり何も考えない人形。……私はインフィニットジャスティスさんがうらやましかったのです。ですが、非想天則にインフィニットジャスティスさんを超えさせることは、最後まで出来ませんでした。事ここに至れば、もはや天則に従うのみです!」
「早苗……! だけど、インフィニットジャスティスの動力はもう限界なのよ……」
ロクな補給もメンテもなく、幻想郷征服をたくらむ悪い奴らの思惑のままに暴れ回ってしまったインフィニットジャスティスは、もう限界です。
「ふん、バカね。この私を誰だと思ってるの?」
「オ・クー!」
小町の言葉を聞いて、おくうが胸を張ってしゃしゃり出ました。
「インフィニットジャスティスの動力、私がつとめるわ。胸を張りなさい、ガンダムマイスター」
「おくう……!」
「私も、及ばずながら奇跡を起こしてこのお話がちゃんとオチるようにします。だから、後ろのことは気にしないで、戦ってきてください」
「早苗……!」
長く敵対していた二人の温かい言葉に、小町は思わず涙を流します。
「え? これで戦えるね、って……? ありがとうインフィニットジャスティス。……じゃあ、行こう!」
小町はコックピットに、おくうは動力炉に。
早苗さんは七星壇で東南の風でも祈っててください。
「インフィニットジャスティスと、あたいと、おくうと、早苗……四人の力をあわせれば、怖いものなんて!」
『フフフ……私もいますよ』
「こ、この声は、映姫様!?」
どこからともなく聞こえる音声に、小町は動揺します。
『こんなこともあろうかと、インフィニットジャスティスの動力が地獄烏に変わったときに音声が流れるようにセッティングしておきました』
「いくらなんでも先読みしすぎですよ映姫様ぁぁぁぁぁ!」
『さぁ、ここにいたるまでに、あなた達はあらゆる困難に打ち勝ってきたはずです。あきらめない。諦めなければ、絶対に現状を打破できる』
「映姫様……」
『それを胸に、敵に勝ってきなさい。それが、あなたに積める善行です。 えーき』
「最後の署名も口頭で言うんですか!?」
そうして、音声は終了します。
「ふふ……こんな最後の戦いにまで、あの人は」
そうして小町は、覚悟完了とばかりに、笑みを浮かべました。
(今です! パワーを奇跡に!)
(いいですとも!)
「ウオオオいくぞオオオ!」
小町の正義が幻想郷を救うと信じて……!
ご愛読ありがとうございました!
こまちといんふぃにっと! ――完
そうか……これがカオスというものか……
うん。ナルスフさんはこの道を極めるべきじゃないかなうん
美学を感じる。
ガンダムネタもっとふえねえかな。UC系列のが見たいぜ。
まぁ、人は選ぶ作品なのは間違いないですが、結局SSって、そういうものなのでは無いかと…
次回は衝撃的な自由を期待します
の繰り返しがツボにハマって出てくるたび笑いましたよw
あとごめん、種は見たけど種死は見てないんだ。そして俺は∀が一番(ry
どうでもいいが伏字のまったくないタグに男気を感じた。
これの破壊力が高すぎるw
っていうか、本当に繰り返さないでww
インフィニットジャスティス可愛いです。
まさかこの話、ヤゴッコーロ・リンエーの創作だったりしてw
強引だとも思ったけど
勢いがあればなんとかなるものですね
ただ個人的にデスサイズだけでなくフォビドゥン的なネタも欲しかった……
ガンダムをここまで東方の世界に持ち込むなんて素晴らしいですね。
各キャラクターも良かったですよ。
ガンダムは初代シリーズしかわからないのですが十分楽しめました。
これはいいものだー。
八千九百一話から始まった博麗神社編が名シーン揃いで個人的ベストエピソードでした!
…えーと…
覚えちまったよインフィニットジャスティスwww
とっぴんぱらりのって山々のへっぴりじさまですか
もしこれがストライクフリーダム(笑)とかデスティニー(失笑)とかだったら……
意外に馴染むな……