「なあ、これ、私達もやってみたくねぇか?」
「…はぁ…勝手に人の部屋に入ってきて、つまらないお誘いですか。」
なぜか急に早鬼が窓から入ってきたが、いつものことだ。だが、意味のわからない地上の動画を見せられた。正直散歩など興味がない。
「そもそも地上とここでは違うのです。そんな事やって、誰の得になるのですか?」
「動画を見たやつが、『八千慧ちゃん可愛いなぁ〜』とか、『鬼傑組入りたいなぁ〜』とか思うやつがいるかも知れないだろ?そうなったらお前の組はもっと強くなっていくだろうなぁ…弱いお前でもいいが、強くなったお前とも戦いたいからな。」
「相変わらず、頭の悪いお馬さんですね。」
私は、早鬼の頭をつっつくが、早鬼は動じない。
「いいでしょう。ただし、ついて行くだけですからね。」
「いいのか?」
「貴方が迷子になったら困るのは誰ですか?」
「あ、そういう…」
私は今、とある飲食店にいる。めっちゃ疲れた。
『ち、ちょっと休憩しませんか?』
『じゃあそこのカフェ行こう。もちろん八千慧のおごりな。』
休憩しようと言ったのは私だが、私のおごりなのは納得がいかない。しかも早鬼の食べる量がハンパない。
「ん?八千慧もこのパンケーキ食べるか?」
「え?あ、いえ…結構です…って、ちょっ!」
「ほら、あーん」
「…いらないって言いましたよね…美味しい」
早鬼の不意打ちに顔を赤くする八千慧。それを見て笑う早鬼。やっぱりこいつといると不快でしょうがない。
「あぁもう…早鬼にはひどいことされるし、私のおごりって…最初に誘ったのはどっちですか?」
「ん?八千慧じゃないの?」
「はぁ〜」
私はあえて早鬼に聞こえるようにため息をついた。
「あ、そろそろ帰ったほうがいいんじゃないか?お前も、仕事があるだろ?」
「いえ…ちょっと疲れてて帰るのは難しそうです…そこの宿屋で泊まっていきませんか?」
こうなったら作戦変更。反撃してみよう。
「え、ええ?なんか今日、お前、おかしくないか?」
「気のせいです。貴方も疲れてるんですよ。」
「そうかなぁ…」
そうして私たちは宿屋に入った。
「カネがかかるから一部屋でいいですよね。」
「お前がいいんだったらいいんじゃない?」
「相変わらず適当ですね。」
他の組の情報を手に入れるには、たまにはこういうことをしてみる必要があるのかもしれない。
「なあ知ってるか?今この宿に吉弔様と驪駒様が泊まりに来てるらしいぜ。」
「お、そうなのか。確認しに行くか?」
「いや、殺されそうだからやめておこうぜ。」
隣の部屋からなにか聞こえた気がする。もしかしたら大事なことを話している気がするからちょっと聞いてみることにしよう。
「そういえば、饕餮様がまたなにか考えているみたいだぜ。」
「何だ何だ?」
「確か、吉弔様を味方につけようとしているんだとか。絶対無理だろうけどな。」…
声から考えるに、カラス霊とキジ霊だろうか。饕餮と私について話してるな。いい情報が手に入った。これは驪駒に黙っておくとするか…
「…弔!聞いてるか?吉弔!」
「あ、はい。」
「あ、はい。じゃねぇよ。さっき、窓からオオワシ霊が私達のこと見てたぞ。」
「だからなんですか?」
「もし私達が一緒にいることがみんなにバレたら、どうするんだ!」
「そんな事ないから安心してください。てか、馬鹿でもそういう事気にするんですね。」
正直早鬼はいつでも純粋でそういう事を考えない奴だと思っていなかったから、びっくりした。
翌日
「吉弔様、今日の新聞、見てください!」
「なんですか?」
そこには、一面に昨日の外出の記事が載っていた。
「こ、これは何ですか?」
「吉弔様、昨日、驪駒様とこんな事されてたんですか!?」
「さ、さぁね…」
いつもどおり適当にはぐらかそうとしたが、そう上手くはいかない。
「だって、ここの取材、驪駒様が普通に答えちゃってます!」
「嘘をついてるのではないでしょうか。」
「おーい吉弔!今日の新聞読んだか〜?」
「あ、馬鹿!」
「驪駒様、どうぞごゆっくり〜それでは失礼しました。」
「あぁもう、お前のせいで誤解されてます。」
「宿に泊まろうとしたのはお前だろ?」
元はと言えば驪駒が私を誘ったのが悪い。私は悪くない。
そうして、八千慧と驪駒はしばらく外に出ることができなくなったとさ。
「…はぁ。もう外出はこりごりです。」
「…はぁ…勝手に人の部屋に入ってきて、つまらないお誘いですか。」
なぜか急に早鬼が窓から入ってきたが、いつものことだ。だが、意味のわからない地上の動画を見せられた。正直散歩など興味がない。
「そもそも地上とここでは違うのです。そんな事やって、誰の得になるのですか?」
「動画を見たやつが、『八千慧ちゃん可愛いなぁ〜』とか、『鬼傑組入りたいなぁ〜』とか思うやつがいるかも知れないだろ?そうなったらお前の組はもっと強くなっていくだろうなぁ…弱いお前でもいいが、強くなったお前とも戦いたいからな。」
「相変わらず、頭の悪いお馬さんですね。」
私は、早鬼の頭をつっつくが、早鬼は動じない。
「いいでしょう。ただし、ついて行くだけですからね。」
「いいのか?」
「貴方が迷子になったら困るのは誰ですか?」
「あ、そういう…」
私は今、とある飲食店にいる。めっちゃ疲れた。
『ち、ちょっと休憩しませんか?』
『じゃあそこのカフェ行こう。もちろん八千慧のおごりな。』
休憩しようと言ったのは私だが、私のおごりなのは納得がいかない。しかも早鬼の食べる量がハンパない。
「ん?八千慧もこのパンケーキ食べるか?」
「え?あ、いえ…結構です…って、ちょっ!」
「ほら、あーん」
「…いらないって言いましたよね…美味しい」
早鬼の不意打ちに顔を赤くする八千慧。それを見て笑う早鬼。やっぱりこいつといると不快でしょうがない。
「あぁもう…早鬼にはひどいことされるし、私のおごりって…最初に誘ったのはどっちですか?」
「ん?八千慧じゃないの?」
「はぁ〜」
私はあえて早鬼に聞こえるようにため息をついた。
「あ、そろそろ帰ったほうがいいんじゃないか?お前も、仕事があるだろ?」
「いえ…ちょっと疲れてて帰るのは難しそうです…そこの宿屋で泊まっていきませんか?」
こうなったら作戦変更。反撃してみよう。
「え、ええ?なんか今日、お前、おかしくないか?」
「気のせいです。貴方も疲れてるんですよ。」
「そうかなぁ…」
そうして私たちは宿屋に入った。
「カネがかかるから一部屋でいいですよね。」
「お前がいいんだったらいいんじゃない?」
「相変わらず適当ですね。」
他の組の情報を手に入れるには、たまにはこういうことをしてみる必要があるのかもしれない。
「なあ知ってるか?今この宿に吉弔様と驪駒様が泊まりに来てるらしいぜ。」
「お、そうなのか。確認しに行くか?」
「いや、殺されそうだからやめておこうぜ。」
隣の部屋からなにか聞こえた気がする。もしかしたら大事なことを話している気がするからちょっと聞いてみることにしよう。
「そういえば、饕餮様がまたなにか考えているみたいだぜ。」
「何だ何だ?」
「確か、吉弔様を味方につけようとしているんだとか。絶対無理だろうけどな。」…
声から考えるに、カラス霊とキジ霊だろうか。饕餮と私について話してるな。いい情報が手に入った。これは驪駒に黙っておくとするか…
「…弔!聞いてるか?吉弔!」
「あ、はい。」
「あ、はい。じゃねぇよ。さっき、窓からオオワシ霊が私達のこと見てたぞ。」
「だからなんですか?」
「もし私達が一緒にいることがみんなにバレたら、どうするんだ!」
「そんな事ないから安心してください。てか、馬鹿でもそういう事気にするんですね。」
正直早鬼はいつでも純粋でそういう事を考えない奴だと思っていなかったから、びっくりした。
翌日
「吉弔様、今日の新聞、見てください!」
「なんですか?」
そこには、一面に昨日の外出の記事が載っていた。
「こ、これは何ですか?」
「吉弔様、昨日、驪駒様とこんな事されてたんですか!?」
「さ、さぁね…」
いつもどおり適当にはぐらかそうとしたが、そう上手くはいかない。
「だって、ここの取材、驪駒様が普通に答えちゃってます!」
「嘘をついてるのではないでしょうか。」
「おーい吉弔!今日の新聞読んだか〜?」
「あ、馬鹿!」
「驪駒様、どうぞごゆっくり〜それでは失礼しました。」
「あぁもう、お前のせいで誤解されてます。」
「宿に泊まろうとしたのはお前だろ?」
元はと言えば驪駒が私を誘ったのが悪い。私は悪くない。
そうして、八千慧と驪駒はしばらく外に出ることができなくなったとさ。
「…はぁ。もう外出はこりごりです。」
やちさきよかったです
何も考えてなさそうな驪駒が特に素敵でした
ずっとこのままでいてほしい
今後の作品も楽しみにお待ちしています。
恐縮ですが個人的なアドバイスとしては、もう少し描写を詳しく書くと場面がもっと伝わりやすい気がします。
(例)「吉弔様、今日の新聞、見てください!」の部分
カワウソ霊が話していることは文脈的に伝わるのですが、「翌朝、カワウソ霊が唐突に話しかけてきた」などとしたほうがすっと場面が入ってきやすいかもしれません。