今日の仕事が終わり、生徒たちにさよならして家に帰って、夕飯の用意をしていると。
ザアアア……と雨が降ってきた。夕立だな。
里に降りそそぐ雨を見ていると勢いが強くなっていく。これなら夜は少し涼しいかな。味噌汁の材料をトントンと切り終わってさあ、鍋に入れようと思った時に玄関の戸がバンッと勢いよく開いた。
「慧音、雨宿りさせてくれ!」
「なんなんですかこの雨!」
ずぶ濡れになった妹紅と薬売りの姿の鈴仙が飛び込んできた。
「……二人ともそこでちょっと待ってて。タオル取ってくるから」
そう言って作りかけの味噌汁の鍋をかまどから移動させる。
なぜ雨の降る前に帰らなかったのか。そこは分からないがとりあえず、ずぶ濡れだと風邪を引く。さっさと取ってきたタオルを二人に渡す。
「拭いたら二人ともお風呂に入ってこい。私が入ろうとして沸かしてあるから。服は貸すから行って来て」
「大丈夫だよ慧音ー、拭かせて貰えただけでマシだから」
また妹紅はそんなことを言う。
「慧音さん、櫛を貸してくれませんか……髪の毛が絡まって……」
わしゃわしゃと髪を拭いてしまったんだろう、髪がめちゃくちゃな鈴仙が言う。
「取ってくるから。それと妹紅、お風呂行くぞ」
嫌がる妹紅の服の首根っこを掴む。
「嫌だ! 家に帰ってから入る!」
「そう言っていつも入ってないのはどこのどいつだ!」
ジタバタと暴れる妹紅。体調ぐらいちゃんとしてくれ。つかんだまま歩こうとすると、上のシャツだけ脱いで逃げ始めた。
「あっ! こら待て、妹紅!」
「慧音が諦めるまで逃げるもん!!!」
「だから子供か!? あっ、鈴仙、櫛取ってくるな。おいこら待て妹紅! お風呂に入れ!」
いい歳のはずの女性二人が風呂に入るか入らないかでドタバタと逃げ回るこの光景。
「なんだか妹紅さん、猫みたい……」
髪がくしゃくしゃになったままでぼうっと追いかけっこを見続けていた鈴仙が呟いていた。
***
十分もしないうちに妹紅は捕まり、慧音の手によってお風呂に入らされた。
その悲鳴はまるで水に入るのを嫌がる猫のようだった。
「うええ……また慧音にお風呂入らされた……」
「ちゃんと入ってくれれば無理矢理しないのに」
トボトボと歩く妹紅の白い髪を丁寧に拭く。
私が追いかけ回している時に鈴仙は髪の毛を整えると帰っていった。……また謝ろうか。さすがにバタバタとし過ぎた。悪かったな。
居間について机に突っ伏す妹紅の顔はきっとふくれっ面なんだろう。
「慧音のばかー」
案の定、拗ねた妹紅はそういう事を言う。
「む、なんだ? そんなこと言うやつにはこうだ!」
ガバッと脇腹をくすぐりに行く。弱いのを知っているので効果はてきめんだ。
「あははっ、やめ、あははは!」
くすぐりで大笑いする妹紅。私は手を強める。
「はは、くすぐったいよ! やめ、て、はは!」
「ほらほら、ちゃんと謝れば止めるぞ」
大笑いしながら妹紅は叫ぶように言う。
「ごめんなさい!母上!」
……ん? 母上? それを聞いて私はピタリと止まる。
妹紅の顔を見ると真っ赤になっていた。
「あぁーっ! 今の忘れて! 無かったことにして!」
恥ずかしそうに顔を抱えている。
「私に忘れてと言うか……? 記せば思い出せるのに」
「だからそれは分かってるからそんなことを言わないでよ!?間違えちゃった……」
かぁぁと頭から煙が出てきそうなほどだ。
「まあ、聞かなかったことにしとくよ。私は妹紅の母では無いが、少しくらい甘えてくれていいんだよ」
「だから追い討ちかけるように言わないでよ……」
ゴンと机に頭をぶつけに行く妹紅。
「寺子屋でもよく間違われるからな。意外とみんな母と言うものだから……」
「なんか、そう言うのってあるよね……あー思い出すだけでダメ」
「……だから甘えてくれていいのに」
「そういう事じゃないの!」
ペシりと頭を軽くはたかれた。むう。甘えたい訳では無いのか……難しいな。
ザアアア……と雨が降ってきた。夕立だな。
里に降りそそぐ雨を見ていると勢いが強くなっていく。これなら夜は少し涼しいかな。味噌汁の材料をトントンと切り終わってさあ、鍋に入れようと思った時に玄関の戸がバンッと勢いよく開いた。
「慧音、雨宿りさせてくれ!」
「なんなんですかこの雨!」
ずぶ濡れになった妹紅と薬売りの姿の鈴仙が飛び込んできた。
「……二人ともそこでちょっと待ってて。タオル取ってくるから」
そう言って作りかけの味噌汁の鍋をかまどから移動させる。
なぜ雨の降る前に帰らなかったのか。そこは分からないがとりあえず、ずぶ濡れだと風邪を引く。さっさと取ってきたタオルを二人に渡す。
「拭いたら二人ともお風呂に入ってこい。私が入ろうとして沸かしてあるから。服は貸すから行って来て」
「大丈夫だよ慧音ー、拭かせて貰えただけでマシだから」
また妹紅はそんなことを言う。
「慧音さん、櫛を貸してくれませんか……髪の毛が絡まって……」
わしゃわしゃと髪を拭いてしまったんだろう、髪がめちゃくちゃな鈴仙が言う。
「取ってくるから。それと妹紅、お風呂行くぞ」
嫌がる妹紅の服の首根っこを掴む。
「嫌だ! 家に帰ってから入る!」
「そう言っていつも入ってないのはどこのどいつだ!」
ジタバタと暴れる妹紅。体調ぐらいちゃんとしてくれ。つかんだまま歩こうとすると、上のシャツだけ脱いで逃げ始めた。
「あっ! こら待て、妹紅!」
「慧音が諦めるまで逃げるもん!!!」
「だから子供か!? あっ、鈴仙、櫛取ってくるな。おいこら待て妹紅! お風呂に入れ!」
いい歳のはずの女性二人が風呂に入るか入らないかでドタバタと逃げ回るこの光景。
「なんだか妹紅さん、猫みたい……」
髪がくしゃくしゃになったままでぼうっと追いかけっこを見続けていた鈴仙が呟いていた。
***
十分もしないうちに妹紅は捕まり、慧音の手によってお風呂に入らされた。
その悲鳴はまるで水に入るのを嫌がる猫のようだった。
「うええ……また慧音にお風呂入らされた……」
「ちゃんと入ってくれれば無理矢理しないのに」
トボトボと歩く妹紅の白い髪を丁寧に拭く。
私が追いかけ回している時に鈴仙は髪の毛を整えると帰っていった。……また謝ろうか。さすがにバタバタとし過ぎた。悪かったな。
居間について机に突っ伏す妹紅の顔はきっとふくれっ面なんだろう。
「慧音のばかー」
案の定、拗ねた妹紅はそういう事を言う。
「む、なんだ? そんなこと言うやつにはこうだ!」
ガバッと脇腹をくすぐりに行く。弱いのを知っているので効果はてきめんだ。
「あははっ、やめ、あははは!」
くすぐりで大笑いする妹紅。私は手を強める。
「はは、くすぐったいよ! やめ、て、はは!」
「ほらほら、ちゃんと謝れば止めるぞ」
大笑いしながら妹紅は叫ぶように言う。
「ごめんなさい!母上!」
……ん? 母上? それを聞いて私はピタリと止まる。
妹紅の顔を見ると真っ赤になっていた。
「あぁーっ! 今の忘れて! 無かったことにして!」
恥ずかしそうに顔を抱えている。
「私に忘れてと言うか……? 記せば思い出せるのに」
「だからそれは分かってるからそんなことを言わないでよ!?間違えちゃった……」
かぁぁと頭から煙が出てきそうなほどだ。
「まあ、聞かなかったことにしとくよ。私は妹紅の母では無いが、少しくらい甘えてくれていいんだよ」
「だから追い討ちかけるように言わないでよ……」
ゴンと机に頭をぶつけに行く妹紅。
「寺子屋でもよく間違われるからな。意外とみんな母と言うものだから……」
「なんか、そう言うのってあるよね……あー思い出すだけでダメ」
「……だから甘えてくれていいのに」
「そういう事じゃないの!」
ペシりと頭を軽くはたかれた。むう。甘えたい訳では無いのか……難しいな。
妹紅も子猫っぽいですが、慧音も慧音で親猫っぽかったです
誰もが通る道だと思うな〜
自分もあった(笑)
1番不幸なのが私の友達で男性教師にママって言ったような気がするw
妹紅も間違えたんだなぁw
もこたん可愛すぎ!