Coolier - 新生・東方創想話

東方紅魔郷 ~ the Parallel of Scarlet Life.

2010/01/12 23:43:45
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 ***まず最初に注意書き***







・当方の書くSSは極めて 病 的 です。SSの9割はシリアスで構成されております。読まれる方を不快にする場合が多々あるかと存じ上げます。なので、読まれる方は 十 分 に 覚 悟 してください。


・多分の厨二表現が含まれます。恐らく意味が通じてないような表現も多いでしょう。十中八九、読んでて疲れる文章です。俺でも疲れるんで(爆)
で、まぁそこらへんは「あ~、こいつ、痛い奴なんだな」と納得承知の上、スルーしてやってください。


・夏コミ受かったとき、これを元に推敲して出すかもしれません。宣伝、ってわけじゃないけど、もし出すことになったら出来るだけ上々な出来に仕上げたいので、その試験的な感じで上げていることをご理解ください。











覚悟は出来ましたか?  Yes ->No<- Life.





     / 1



 その刻《とき》の異変は、紛うことなく異常たる事変を顕《あらわ》にしていた。“辺り一面”なんてそんな陳腐《ちんぷ》な形容では推し測れない。
 ――世界だ。
 世界が緋色《ひいろ》の大気で包容されていた。
「何よっ!? この霧!」
 緋《ひ》は刺激色である。過多な視覚受容は精神面を考慮するならばとても衛生的とはいえない。人の中を循環するソレを彷彿しうる霧は、悉《ことごと》くして悪意と狂気を惜しげなく漏らしていた。
「うっ――」
 吐き気が込み上げてくるほどの嫌悪感。形容しがたい味が舌を滑り、その刺激が余計に気分を害させる。いささか呼吸すらおぼつかないほどだ。時と場所が合致すれば脅威になりうる。
「うっ――――ダメっ!」
 巫女装束に身を包んだ少女――霊夢は、いたたまれず腰を落ち着けていた神社の居間から即刻飛び出し、その勢いで一気に上空へと上がる。
 ずきん。
 昇るにつれ薄まる紅い霧の中、霊夢は妙な既視感に苛まれていた。
「紅霧? これ、どこかで……」
 ノイズの奔《ほとばし》る頭が悲鳴を訴える。曖昧にしか浮かばない既視感がやけに胸騒ぎを催す。いつだって覚えの無い記憶というのは気色が悪いものだ。
 まるで、自他の意識が混在したかのようで。
「うぅぅ、何だっけ? 私は、この景色を……」
 霊夢は頼りない記憶力を万力で締め付けるような必死さで既視感の手掛かりを搾り出そうと想起する。

「この景色を――――――――知っている!?」

 霧を抜ける。
 得体の知れない脅威から開放された霊夢は、その安心感の拍子に必死な疑惑の念を愚かしくも緩めてしまう。後に残るは、雲を掴んだような空虚に似た喪失感。その後、どんなに先の不穏な感覚や景色を忠実に思念しようと、まるで記憶から抹消されたのかと懸念するほど心当たりは無かった。
「気の、せいかし、ら…………ね?」
 霊夢は眼を疑う。
「何――――コレ」
 壮大な規模の黒と紅。
 霧は紅い海となって地平を覆い、闇が狂おしいその気質を助長する。

 そこに、人間たちが“幻想郷”と冠して誇張していた大地の姿は無かった。

 突如、“闇”が蠢いて迫った。
 愕然と呆然とで危機感を失念していた霊夢は、その唐突なる襲撃者の反応に僅かながら遅れてしまった。
「ムーンライト、レイ……」
「ッ!?」
 上空から伸びる二本の太い閃光が、それぞれ逆回転する短針と長針のような軌道を描いて霊夢へ迫る。
 回避の間の余裕も無い霊夢は、腰の帯締めから封魔呪印の書かれた札を二枚、即座に取り出し、左右にかざして八角形の陣を展開させる。光の刃が陣に喰らいつき、陣が刃に乗った妖力を拡散させて熱量へ変換――せめぎ合いとなった矛と盾《パラドックス》が、分散されて飛び散る火花で脚色される。
 パァン! 壮絶な妖と霊の衝突で。
「きゃあぁあ!」
 弾けた空気の衝動で霊夢は地上へくるくる乱回転しながら急降下していく。理不尽にも霊夢の身を地上へ引き寄せる重力。霧に再び没入する寸前で、渾身の飛翔力をフルに斥力として働かせ、どうにかこうにか霊夢は体制を整えることに成功した。
 見上げる天空の先、闇に紛れる球状の闇の中から、白と黒の袖長に黒のスカートで身を包む紅眼金髪の少女が顕在した。
「初めまして」
 少女は微笑む。その笑顔には先ほどの脅威など忘れさせてくれるほどの純真無垢な善行本位が見受けられた。
 好意的に見えるが、そんなのは上辺だ。
 霊夢は啖呵を切る。
「ずいぶん手荒な社交辞令ね」
 外見なんてのは所詮、薄皮一枚の仮面で覆えるほどの浅薄なもの。あくまで邪気を覆い隠していると判断した相手を、霊夢は睨み付ける。
 そこで沸き起こる、件の既視感――。
(うっ、また?)
 強烈な記憶の誤差は微小の眩暈や嘔吐感などを併発させる。
 気取られないように奥歯をかみ締め、ギリギリと頭を締め付けるような不快感を意識化から除外する。
 幸いにも、その不調を金髪の少女が勘ぐることはなかった。
「あなた、妖怪よね。悪いけど、今あなたの相手をしてる暇は無いの。そこを退いてもらえる?」
 一触即発な緊張を装う霊夢の敵意を、暖簾のごとく受け流す金髪の少女。
「相変わらず手厳しいわね。ワタシはただ感謝しに来ただけなのに」
「感謝?」
「うん」
 感謝? そんなことをされる覚えはない。そもそもこの妖怪とは初対面のはず。
 霊夢は内心、疑念を抱きながらも敵意の眼は収めなかった。
 それでも言葉を続ける少女。
「ありがとね。リボンを解いてくれて」
「リボン? アンタ、何を言って――」
「あ、いいのよ、それ以上気にしなくて。貴方はいつも通り、仕事を全うすればいいの――――ね、霊夢?」
「!?」
 まるで、
 以前に出会っている、という含みを兼ねた物言いに、霊夢は眼を丸くする。何より、彼女はたった今「初めまして」といったのだ。その矛盾が示す意味は何なのか。
 そしてそれ以上に霊夢の度肝を抜かせたのは、

 真名を、この少女が知っているという事実。

 “博麗”の字《あざな》は、こと幻想郷において万人周知の事実である。言わずもがな、それは妖怪や妖精、その他幻想郷にあまねく種族においても同様だ。
 だが、“真名”まで通じているとなると話は変わる。
 彼女――博麗霊夢の実態は、幻想郷を跋扈し、人間を脅かす危険分子の排斥と治安維持貢献だ。普段こそ、神社の巫女の真似事などをやっているが、一度その身に宿す、才ある霊力を振るえば、そんじょそこらの不逞妖怪に遅れを取ることはまず皆無といって過言ではない。その上、彼女は幻想郷唯一の人間が在住する里とは疎遠な現状。そも、名を語ったことなど、片手で余る程度の数しかない。
 つまるところ、“博麗の巫女”という貞操は、外面《そとづら》のみしか流布されることはなく、その中で真名を知るものがいるとすれ、一部の身内を除いて他にありえない。

 初対面の妖怪が、“霊夢”を知るなど、如何なる因果をもってしてもありえないのだ。

 その不気味な矛盾に、霊夢は隠すことなく顔を歪めて眼を剥く。
 金髪の少女は、続けて意図の読めない言葉を紡ぐ。
「霊夢は、人間と妖怪の間に生まれた絆の話を知ってる?」
「……絆?」
「うん」
 金髪の少女は語る。その表情は、どこか郷愁に憂《うれ》う物悲しげな色を帯びていた。
「かつて賢者が言いました。人と妖が手を取り合わなければ、近い将来幻想郷は滅んでしまうと。中には反対する妖怪もいましたが、大半の妖怪は賢者の言うことに賛同しました」
 記憶にない。
「しかし、妖怪たちは悩みました。人間は妖怪にとって食料でしかなく、妖怪は人間にとって生きる上での礎《いしずえ》でしかない。人間の血肉は妖怪の糧となり、妖怪の骨肉は人間の衣食住の材料となる関係。そんな互いの生の規範を崩してまで溝を埋める方法があるのかと、妖怪たちは悩みに悩み抜きました」
 記憶にあるわけがない。
「そこで、一人の女の子がやってきました。その子は巷ではかなりの気丈っぱりで有名でした。そして、誰よりもその子は強く、幻想郷にはまず必要不可欠な存在だったのです。その子はいいました。『人と妖《あやかし》の両者。互いに同意の上でいがみ合えばいい』と。食の問題解決には少し弱い意見でしたが、そこは持ち前の気丈さで、事態を強引にまとめてしまったのです」
 いつだって覚えの無い記憶というのは気色が悪い。
「その意見は机上の空論になることもなく、正確に幻想郷に導入され、その後の人と妖の関係を変えるどころか、蔓延してた退屈の空気さえも変えていってしまったのです。その画期的で斬新なシステムの名前は、“スペルカード”。それを提案した女の子の名前は――――」
 ここまで、微塵も記憶にない。
「神社に住む、幻想郷の素敵な巫女、博麗霊夢」

 そして、やはり記憶に―――――――――――ない!

「あぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!」
 霊夢は決壊した荒々しい感情の波に身を委ねるしかなかった。このままでは自分自身すら疑いかねない。自覚不信に堕ちてしまう。
 奮い立つ困惑と混乱と憤怒の混沌が、彼女の脳内をないまぜにして一緒くたに奔り回る。暴走した感情はそのまま破壊願望に変換され、それは当然、目の前にいる妖怪を対象にされる。
 その眼はもはや敵意などとは及びつかない、絶対なる殺意。荒ぶる感情の波はやがて冷静なる鎮まりと共に、怒気の色一色に染まる。
「あんたは一体何なんだ! 妖怪の分際で気味の悪い話持ち出してきて私を混乱させて! そっちがその気ならね!!」
 霊夢は両手を交わせそのまま両の袂へ入れると、中から長い紐を取り出す。それを一気に引っ張り出すと、紐の先についていた無数の退魔符が空を散らばって舞い落ちる。さながらその光景は、夏の景色に似つかない桜の舞を模していた。

 ――桜苗《おうびょう》の芯を喰らいて対となし、百々たる墨染の契りにその身を宿せ!

 言霊が響いた瞬間、舞っていた数多の退魔符が直立する。紙面は全て金髪の少女へ。
 対象の指定化だ。
 霊夢が掌中を少女にかざし、呪文を締めくくる。
 瞬間、退魔符は四方へ乱舞した。続けて霊夢は言霊を乗せる。

 ――夢夢《ゆめゆめ》死に想うことなかれ。陰陽開衛《おんみょうかいえい》、悪鬼降伏《こうぶく》の陣!

 分散した符は、少女を中心に竜巻のごとく速さと鋭さで螺旋する。その大きさは見る見る狭まり、半径数メートルほどまでに縮まると、先ほど桜の舞を醸していた符は、羽虫の群れが飛び交う様へと変わり果てた。
「退魔符による擬似結界よ。そこから出ようとすれば一斉にあんたを切り刻む。命が惜しくば知っていることを全て話しなさい。そうすれば見逃さないでもないわ」
「……」
 立体球状の退魔符で覆われた少女は、四方八方、妖力分解の力を施す、擬似結界の中に身を置いてるにも関わらず、その表情には余裕と悲哀の色が混じった笑みが浮かんでいた。
「ねぇ、霊夢。霊夢にとって幻想郷って何? 何をして過ごすところ? 何を生きがいにして息づくところ? 貴方の中で形作られている幻想郷って、一体どんな価値を持っているの?」
 少女の挑発染みた問いに、霊夢は激昂する。
「質問に質問で返してるんじゃないわよ!」
 結界の礎となっていた無数の退魔符の内、三枚が少女の腕、頬、脇腹をかすめる。カマイタチのように皮膚をぱっくり切り裂き、そこから生々しく血が服に滲んでいく。
 それでも少女は笑う。無垢に、無邪気に、そして、無情に。
「霊夢。貴方は、かつてを繰り返さなければならない。それが貴方の、この世界での役目。
 そして、私の役目は、霊夢。あなたを妨害すること。でも、決して、屈服させてはいけない。私はここで死ななければならないのよ。
 でもね、それでも――」
 少女は眼を閉じる。伴い、闇に紛れていく、消えていく……。

「私たちは、かつての妖怪の本分を果たさなければならない。分かる? この絶望感。義務尽くしの私たちに勝敗なんて無意味。雌雄を決するとき、その時が、私たちの、世界の終わり……」

 少女は消えた。
 妖力探知ができない。それゆえか、退魔符は目標を喪失し、ばらけて舞い落ちていく。
「どこ!?」
 辺りを見回しても姿は無い。上にも下にも、右にも左にも、前にも後ろにも。
 瞬間。闇が強くなったと、霊夢は錯覚した。否《いや》、それは錯覚ではなかった。
 宵闇は未《ま》だ漆黒ではない。
 黒に浮かぶ唯一の世界の光源。丸く丸い満月が、唯一の希望を示しているかのように、空に凛と咲いていたのだ、が。
 霊夢は頭上を見上げる。
 影の指す月。世界を照らすその明光を背に、少女は浮遊していた。
「な、何よ―――――――――――――ソレ」
 それはさながら、悪魔を模すシルエットだった。
 先ほどまで等身大の人間の形をしていた少女の背から生えるは、片方だけで身の丈を超えそうなほどの巨大な翼。そして。
 圧倒的存在感を誇るは、右手の――大剣。
「霊夢」
 闇を伴う妖力の漏出により、満月は次第に隠れていく。
 彼我の絶対なる力量差に、霊夢の顔から見る見る血気が引いていった。少女は、脅えきった霊夢をまるで母性溢れる母親が子供をあやす様に、そして、言った。
「大丈夫。心配しないで――」

 ――すぐ、終わるから。

 宵闇の妖怪――ルーミアの奏でる戦慄と絶望。
 それに脅えるように。ひとしきりに浮んでいた希望の月《ひかり》は、姿を消し、そして――。
 ぐしゅり。

 “ヒト”が“コワレル”音が響いた。





  ~ To be continued
あとがき消してやった

どんまい^p^


2話 http://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1264165611&log=98
sEtsURa
http://kurokiyuzu.blog109.fc2.com/
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コメント



0.480簡易評価
2.無評価名前が無い程度の能力削除
あなたにこれを
つ100点
5.50名前が無い程度の能力削除
なんだこのルーミアは
批評が多くなりそうな感じの設定だけど、他のバージョンも見てみたい気もする。
とりあえず次に期待します。
6.10名前が無い程度の能力削除
内容よりも作者の自分語りのほうがよっぽどイタい。
9.70名前が無い程度の能力削除
普通によかった。
文章は個性が人それぞれなのでこれくらい飾るのは普通にありだと思う。
ただ、タグとあとがきをもう少しすっきりとさせてほしいかな。なんかもったいない。
あとがきはブログとかでやることもできるのだし。
もう少し量を増やして、続きを期待してます。
10.70名前が無い程度の能力削除
100%ネタになってしまわない程度の程よい中二臭バランスがすごくいい。
どうなっていくか楽しみだ。
14.80名無し削除
おお、痛い痛いwww
23.80名前が無い程度の能力削除
思い切った心意気と完結に期待して100点を、
そこから個人的な読み辛さとあとがきで減点を。

ともあれ、投稿を気長に待たせていだだきます。
27.70ずわいがに削除
俺にはまだ覚悟が足りなかったようです;
しかし続きが気になってしまうのも正直なところです。