我輩はぬえである。名前はまだ無い。いえ、すいませんぬえたんです調子乗りました。
「えっと、みなさん、こんにちは……」
一生分の勇気を振り絞って、フランさんとこいしさんにご挨拶をしました。緊張のあまり自分の心臓の音がバクバクと耳に鳴り響きます。
なのにこいしさんったら目を真ん丸にして、フランさんなんてしかめっ面で私の事を凝視します。二人の沈黙が私の胸に突き刺さってとっても痛いです。
ぬ、ぬえぇ……、もしかしてなにか私、不味い事でもしてしまったのでしょうか?
そ、それならすぐに謝らないとです。
「も、もし私が何か二人に不快な事をしちゃったら、ごめんなさいです……」
私は二人に怒られる前に深々と頭を下げました。
これで許してくれると嬉しいのですが、二人からはなんの反応もありません。
口をポカーンと開けながら私の事を観察してます。どうして何も言ってくれないのでしょう。
ちらりとフランさんを見てみましたが、腕組みをしていてやっぱり怖いです……。
「いや、会って早々それは一体なんのマネかしら?」
どうも、ぬえ様が正体不明『紫鏡』を宣言してるときに、一緒にくねくねしながら弾幕を放っているぬえです。
ややこしいのでぬえ様からはぬえたんって愛称で親しまれています。なんだかマヌケです。
私が「反対読みの『えぬ』じゃなくていいんですか?」って聞いたら可愛くないから却下とのことです。えぬの方がカッチョイイのにです。
普段は誰かに写真を撮られそうになっただけで、恥ずかしくなってぬえ様の中に戻っちゃうくらい小心者なんです。
だけど、フランさんやこいしさんと遊んでいるぬえ様がなんだが羨ましくなっちゃいました。
でも、私はぬえ様の能力で生まれた偽者なんです。偽者の私じゃみんなの友達になんてなれるわけありません。
なので今日は、部屋で寝ていたぬえ様をスマキにしてお風呂に放り込んじゃいました。
そんでもって、ぬえ様が水底に沈んでいる隙を狙って、今日だけでも私が本物と入れ替わっちゃおう作戦を決行中です。
ぬえ様は私が外に出るのをいつも心配してましたけど、勇気を出さないと道は切り開けません。
それに私の姿形はぬえ様そのものなので、絶対にバレるはずは無いです。今の私は生涯で一番張り切っています!
なんですけど、
「ちょっと、私の話を聞いてるかしら? さっきから目の焦点が合ってないみたいだけど」
「あぅ、すいませんフランさん……」
「その『フランさん』ってのも不気味だからやめなさいよ。あとオロオロもしない」
「はうぅ、ごめんなさいフランさん……」
「あーもう、わからない奴ねぇ」
早くも挫折しそうです。
フランさんとっても怖いです。これじゃ悪魔ですよ。きっと私がぬえ様ではないと分かったら、八つ裂きのボロ雑巾にされちゃいます。
あうぅ、ぬえ様お願いですから助けてください。あ、私がお風呂に沈めちゃったんでした。
かくなる上はフランさんに睡眠薬を盛って、一緒に沈めちゃうしか……。
「もー、フランちゃんそんなに虐めちゃ駄目だよー。かわいそーに、震えちゃってるじゃない」
「こいしさん……」
「よーしよし、きっと何か悪いものでも食べて調子が悪いんだよね♪」
救いの手が舞い降りてきました。私の頭をこいしさんは優しくなでなでしてくれます。
はふぅ、こいしさんの柔らかい手はとっても気持ちがいいです。羽がワンちゃんの尻尾のようにパタパタと動いちゃいます。
フランさんが悪魔ならこいしさんは天使様に違いありません。
いつもぬえ様が「こいしは時々ヘンテコだから気をつけないとね」って言ってるのは嘘だったようです。
「ほーら、もう怖くないからねー」
「あふぅ……」
こいしさんがお母さん(といっても私の母はぬえ様のようなもんですが)みたいで、なんだか涙が出ちゃいそうです。
この前の夜に、ぬえ様と一緒にこいしさんの脇をコチョコチョして苦しめちゃった事を心の底から謝りたいです。
でも口に出したら私の正体がバレちゃうので内緒です。
それにあの後、緊張のしすぎで寝込んでしまって、一週間くらいぬえ様に看病して貰ったのでイーブンです。
「さーて落ち着いたところで、私がげーんきになれる方法を教えてあげるよ!」
「えっと、元気に……ですか?」
これでも普段の十倍増しくらいはしゃいでるんですけど、どうやらこいしさんには私が落ち込んでいるように見えたみたいです。
でも、これ以上テンションをあげるのは無理です。血管が切れて全身から血が噴き出ちゃいます。
で、でもこいしさんの行為を無駄にしちゃ駄目ですよね。ここは素直に頭を下げてお願いします。
「ぜ、ぜひ教えてください」
「うん、それじゃあ服を脱いでね♪」
「はい。えっと、はひ?」
ぬふぅ、私の耳がおかしくなってしまったのでしょうか。
うん、そうに違いないですよ。きっとこいしさんは「うん、それじゃあフックをぬえでね♪」って言ったんですよ、やっぱり意味わからないですけど。
「あ、パンツも脱がなきゃ駄目だよ」
「はふぅ、やっぱり間違いじゃなかったんですね。で、でも脱ぐなんて、恥ずかしいです……」
こんなハレンチな服を着てるだけで頭が沸騰しそうですのに、脱いだらそのままショック死しちゃいますよ。
「そんな事ないよ。脱げば体が火照って元気になるってお姉ちゃんも言ってたもん!」
ぬえぇ、それ絶対お姉ちゃんに騙されちゃってますよこいしさん。
ぬえ様が言っていた事は正しかったです。信じなかった私がお馬鹿さんでした。
だから早く助けてくださいぬえ様……。あぁ、私が沈めちゃったから無理ですよね。
「ふふっ、さとりさんが言ってたなら仕方ないわね。私も手伝うわよこいしちゃん」
「ありがとうフランちゃん♪」
不味いです、二人とも私を脱がす気満々です。
あうぅ、笑顔のフランさんを見てるだけで足がガタガタと震えて来ました。逃げようにもこれじゃ一歩も動けません。
緊張で息も乱れて苦しくなってきました。
「それじゃあ一気に脱いじゃおうね♪」
「はぅ……」
こいしさんの小さな手が私の胸に擦れて思わず吐息が漏れてしまいます。うぅ、もうおしまいです。こんな薄っぺらいピチピチの服なんてすぐに剥がされちゃいます。
だいたいこの服、スカートが短くてえっちぃんですよ。
いつも裾を引っ張ってパンツが見えないように頑張っている私の身にもなってくださいよぬえ様。靴下も狙ってるとしか想えません。
あぅ、そんなくだらない事を想っている間にも、二人の魔の手が私の服を弄くります。
もうおしまいです。ぬえ様、私はこれからお嫁に行けない体に改造されちゃいます……。
「うぅ……」
「むー。ごめんね、泣かせちゃって」
「え、あれ?」
こいしさんの手が止まっちゃいました。
どうやら私はいつのまにか、恐怖で泣いちゃっていたようです。
自分の顔を触ってみたらグショグショに湿っていました。
だけど、それでなんでこいしさんは悲しそうな顔をするのでしょうか? フランさんも、あちゃー、っていう顔をしています。
「元気一杯になって貰いたいなーと想ったんだけど、怖がらせちゃったみたい、だね」
「はぅ、こいしさんの元気も無くなっちゃいました」
こいしさん、悪ふざけではなかったんですね。
せっかく私のためを想ってくれたのに、恥ずかしいってだけで脱ぐのを嫌がっちゃって激しく後悔です。
こんな事ではいつまでたっても私に友達なんて出来ないですよね……。
「ほらほらこいしちゃん元気出しなさいって、落ち込んでる姿なんてらしくないわよ」
フランさんが座り込んでいるこいしさんの背中を摩ります。
怖い妖怪さんかと想ってましたけど、いまのフランさんはなんだか優しそうです。
「ありがとう、フランちゃん」
こいしさんの表情に笑顔が戻ってます。元気を取り戻してくれたようで一安心です。
いまだけは、フランさんも天使様のように見えます。
「しかしあなたもぬえと違って臆病というか泣き虫というか」
フランさんが私を見て溜息を吐きました。
私とぬえ様の性格は鏡写しのようなものなので、ほぼ違って当然なんです。
この引っ込み思案な性格の所為で、いつもぬえ様に心配かけちゃうんですが、それでも直らないんです。
「ご、ごめんなさい……」
「だからもっとしっかりしなさいって。ところであなたの名前なんていうのかしら?」
「えと、私の名前はぬえたんです」
「ぬえたんねぇ。ぬえの奴いったい何を考えているのかしら」
「……は、はれ? もしかして、私がぬえ様じゃないってバレちゃってますか?」
私が訪ねると、フランさんはあっけに取られたような顔で頷きました。
こいしさんに至っては「この前私にイタズラした子だよねー♪」と言われる始末です。
い、いつからバレてしまったのでしょうか……。
「え、いまさらなの? そらそんだけ違ったらすぐにわかるわよ。しかし初めはぬえの姿でもモジモジしてたから不気味だったわ」
「で、でも姿形はぬえ様そのものなんですよ私」
鏡写しの存在ですからぬえ様と服装や胸の大きさはもちろん、髪の毛の癖一本すら同じなはずです。わかるはずなんてないです。
「いやだって性格ぜんぜん違うじゃないの」
「あぅ……そのとおりです」
「というか羽とか髪の癖とかも位置が真逆よ」
「はぅん!」
フランさんに羽を鷲掴みにされちゃいました。うぅ、ここを触られると頭が真っ白になるのでやめて欲しいです。
ぬえ様もここは弱点でした。
前に私が寝ぼけて掴んじゃったときは「ぬぇん!」って頬を真っ赤に染めてビクビクしてました。
鵺の遺伝なのでしょうか。だとしたら困った遺伝です。
「ぬえたんもここを触られると気持ちいいんだねー♪」
「あうぅ、こいしさんの触り方なんだか慣れていてえっちぃです……」
そ、そんな事よりも困りました。
私がぬえ様ではないとバレてしまったら、二人に生爪を剥がされ目の玉を抉られ両手を切断され、ダメ押しに脳みそグチャグチャに潰されて虐殺されちゃいます。
ぬえ様助け……、私がお風呂に沈めちゃったんですよね。
「うぅ、お願いですから殺さないでください殺さないでください殺さないでぇ……」
「もーそんなに怯えなくても大丈夫だよ。ほーらいい子いい子ぬえたん♪」
「はぅ……」
しゃがみこんで震える私をこいしさんはぎゅっと抱きしめてくれました。
甘い香りのするぶかぶかな服に包み込まれて、なんだかポカポカしてきます。ふわふわな羽毛布団の中にいるようです。
「ほーら、怖くない怖くない」
こいしさんが私の頭を一回撫でるごとに、胸の奥にあった不安が消えていくようです。
気が付けば全身の震えも止まってます。
安心したらまた、涙が出ちゃいそうです。だけど、こいしさんを不安がらせないためにもグッと我慢です。
「しかしこれだけ怖がるなんて、ぬえは私達についてよっぽど酷い悪口をあなたに言ってるようね」
フランさんが深々と息を吐きながら呟きます。表情はどこか寂しそうで、羽もだらんと垂れています。
こ、このままでは不味いです、誤解を解かないとです。
「い、いえ。悪口なんてぬえ様からは一回も聞いたこと無いです。いつもぬえ様はとっても楽しそうにみなさんの事を話すんですよ。だから私もみんなと遊びたくなっちゃって……」
「ふーん。ちなみにあいつは私の事をなんて言ってるのかしら?」
「え、えと。生意気で子供っぽいけど、みんなの事をいつも大事に想ってる。そんなぬえ様の大切な親友って聞いてます……」
私が言うと、フランさんは「ふふっ何言ってんだか」って、笑いながら自分の頭を掻きだしました。
生意気、なんて言ったからてっきり怒られると想ったのに意外です。
「ねー、私の事はなんて言ってた?」
「こいしさんは、一緒にいるだけで何をされるかわからないけど、一緒にいるだけで笑顔になれるそんな優しい親友だって聞いてます」
「よかったぁ、嬉しいよー♪」
こいしさんにさっきよりもさらに力強く抱きしめられちゃいました。
「ふぐぅ……」
こいしさんの胸が私の顔を圧迫して少し苦しかったです。それでもお二人が嬉しそうだと、なんだか私も嬉しくなっちゃいます。
だけど……、
「私の正体がバレちゃったから、もうこれでお別れですね……」
「えー、どうして? せっかくお友達になれたのに」
「こいしさんが私の事を『友達』って言ってくれてとっても嬉しいです。だけど、私は所詮ぬえ様の偽者なんです。能力から生まれた虚像の存在なんです。だから、みんなと友達になんて、絶対に無理なんです。だからさよならです……」
「なーに馬鹿な事言ってるのよ」
後ろから急にフランさんの声が聞こえたので振り返りました。
そしたら私を射るような目つきをしたフランさんに、頭をポカリッと殴られてしまいました。
脳がガンガン揺さぶられます。
「はぅ、痛いです……」
「まったく、あなたがぬえの偽者かどうかなんて興味は無いわよ。だってあなたはここにちゃんと存在してるじゃないの。それなのにつまらない事をグチグチ言うんじゃないの」
「フランさん、だけど私はぬえ様にも危ないから外に出ないほうがいいって……」
「余計な事は考えなくていいの。せっかくあなたは自分の狭い殻を破って外に興味を持ち出したんでしょ? それなら後悔しないように精一杯楽しまないと損よ。ね、こいしちゃん」
「そーだよ。一緒にいーっぱい面白いことしないとね♪」
そう言ってフランさんとこいしさんが、ちっぽけな私に手を差し伸べてくれました。
二人の小さな手が大きく感じて、とても頼もしく感じます。
なんだかまた体が震えてきちゃいました。さっきまでは恐怖で身震いしちゃいましたが、今度の震えは違う感情から来たみたいです。涙も出てきちゃいました。
うぅ、こんな事じゃまたフランさんに怒られちゃいます。こいしさんを不安がらせちゃいます。
何より、もうぬえ様に心配をかけないと心に誓ったんです。
駄目な私を変えるって、決心したんです。
「わ、わたしもう服脱ぎます!」
「いや、どうしてそうなったのよ」
「こいしさんの言うとおりに脱いで元気になるんです。これでも私、プロポーションには自信があるんです」
自分の裸をマジマジと見たことなんてもちろん無いです。
ですけど、前にぬえ様と一緒にお風呂で体を洗いっこしてたとき、ぬえ様の体を見たらボンッきゅっボンッだったので、私もきっとナイスバディーです。
「わー、楽しみだよぬえたん♪」
こいしさんが両手を合わせて笑ってくれました。こんな私でも誰かを笑顔にすることが出来て嬉しいです。
「では、脱ぎますね」
自分の服に手をかけて一気に脱ぐ準備をします。
だけどそのとき後ろから、ちょっと待ったー! って叫び声と一緒にガラスが割れる音がして手が止まっちゃいました。どうやら窓から誰かが侵入して来たようです。
フランさんとこいしさんも音のしたほうに目を向けます。
せっかく私が服を脱ぐ決意をしたというのに、いったい誰でしょうか?
「勝手に私と同じである裸体を晒すな、淫獣かお前は!」
「はひ? あ、ぬえ様だ。もう何やってたんですか、登場するのが遅いですよ」
「お前が私を風呂に沈めたんだろうが!」
「はぐぅ……」
ぬえ様からドきつい拳骨を貰いました。頭が割れるように痛いです。ちょっと割れたかもしれません。さきほどフランさんから貰った拳骨の比じゃありませんよ。ぬえ様とっても鬼畜です。
フランさん、こいしさんもあっけに取られたように私達を眺めています。
「あ、本当だぬえだわ。なんで濡れてるかと思ったら暢気に沈んでたのね」
「パンツまでビチョビチョで凄いさむそーだね」
「まったく酷い目にあったよ。後こいしは私のスカート捲ってパンツ覗くな。ところでこの子が何か余計な事言わなかった?」
ぬえ様がチラリと私を見ると、フランさんが怪しげに口元を歪めました。あわわ、これは不味いです。
「いやー、ぬえたんからいろいろと聞かせてもらったわよ。たいぶ私達の事絶賛してくれてるみたいじゃないの」
「やっぱり喋っちゃったんだな。あれだけ私が皆には内緒だって言ったのにぃ」
「はぅ、すいませんつい。で、でもぬえ様がみんなの事を『あいつらは大好きで手間焼ける親友だから、私が守ってあげるんだ』っていっつも豪語してた事は黙ってましたよ……」
「だから言うなっての!」
ぬえ様の叫びでビクゥって身が縮んじゃいました。やっぱりぬえ様怒るとおっかないです。
フランさんとこいしさんがそんな私達のやり取りを見て微笑んでいます。
だけど次の瞬間、フランさんが急に真剣な目付きをしてぬえ様に詰め寄りました。
「ところでさ、あんたこの子の扱い悪いんじゃないの? 外に出せない理由があるのかは知らないけど、孤独の悲しさをあんたも知ってるはずでしょ」
フランさんが咎めるような口調で言うと、こいしさんも今までの笑顔からは考えられないような真面目な表情で頷きます。
ぬえ様はぬぅって唸るだけで他に言葉が出ないようです。
二人が私の事を思ってくれるのはとっても嬉しいです。けれどそれで私と同じ姿のぬえ様がションボリするのは、なんだか胸が痛くなっちゃいます。
「この子私と違って恥ずかしがりやだからさ、外に出すのが怖かったんだ。この前も蟻が部屋に侵入して来ただけで失神しちゃったし……」
ぬえ様がボソボソと声を喉に詰まらせたように喋りました。あのときは、流石に怖がりすぎてしまったと反省です……。
「だからこそ私達に紹介しなさいよ。元は同じあなたなんだから邪険にするわけ無いでしょうがまったく」
フランさんが落ち込むぬえ様の背中を叩きました。バシッという音が部屋に鳴り響いてとっても痛そうでしたが、ぬえ様はなんだか元気を取り戻したみたいです。羽が嬉しそうにピクピクと動いています。
「そうだよ、私達に相談してくれたらいつだって遊びに行ったのに。友達を一人ぼっちになんて絶対にしないよ!」
そう叫んだこいしさんが私とぬえ様に勢いよく飛びついてきました。思わず私達の口からうわって声が漏れちゃいます。
そして、フランさんも私達に混じって円陣のような形になりました。みんなの顔がとても近くて、息遣いや体温まで私に伝わって来ます。みんなの鼓動の音もドクドクと耳に鳴り響きます。
こんなに大勢の人と、こんなに近くにいた事なんて今まで無かったので、とても恥ずかしくて、でもとっても幸せで、なんだか胸が熱くなってきちゃいました。
「あはは、ありがとう。信用してなかったわけじゃないんだよ。でも、ありがとうねフラン、こいし」
ぬえ様が顔を伏せながら笑ってます。なぜかその笑い声は震えてるように聞こえました。だけど、ぬえ様が楽しそうな姿を見ると私も安心します。
それにフランさんもこいしさんも、ぬえ様みたいに本当はとっても優しいお方でした。勇気を出して会いに来てとっても良かったです。
「むー、そうだぬえ」
「どしたのこいし?」
「そのビチョビチョな服、寒そうだから脱ごうよー」
「えっ、はぁ? 意味がわかんぬぇ」
こいしさんが言うとぬえ様が、後ずさりしました。確かにぬえ様の服はなぜか濡れていて、このままじゃ風邪を引いちゃいそうです。
「そうね、このままじゃぬえの体調が悪化するわ。というわけでぬえたん、ぬえが逃げないようにちゃんと押さえてなさい」
「は、はいフランさん」
「ちょっとやめろ馬鹿! 私が私を捕まえてどうするんだよ!」
後ろからしっかりとぬえ様の両手を掴みます。ぬえ様がジタバタと暴れてますけど、私と同じ力なのでこの状況では逃げることなんて出来ません。
抵抗しても無駄なんです。
「それじゃあぬえ、観念しなさい」
「パンツも脱ぎ脱ぎしようねー♪」
その隙を狙って、笑みを浮かべたフランさんとこいしさんがぬえ様のスカートの裾を掴みました。二人が掴むと、ぬえ様のスカートから水がポタポタと滴り落ちて、なんだかえっちぃです。
「だから脱がさなくていいから、もっと寒くなっちゃうだろ。ばか、やめろっ、ぬへぇ、ぬえーん!」
フランさんやこいしさんが子供のようにはしゃいでいる姿を見ていると、さっきまで私の中にあった暗い想いが明るく塗り潰されていくようです。
ぬえ様も迷惑そうに叫んでますけど、それでも楽しそうです。同じ自分ですから、微妙にぬえ様の口元が緩んでるのがわかるんです。
「「ねぇ、ぬえたん」」
「はひ? なんですか?」
私が尋ねたら、フランさんとこいしさんに左右から、「またぬえと一緒にいつでも遊びに来てね」って囁かれました。なんだか、感動で目頭が熱くなっちゃいます。
ぬえ様、やっぱり私、頑張って自分の殻を破ってよかったです。お友達、出来ました。
あ、ぬえ様の顔、なんだか濡れていてえっちぃです。
明るいほのぼので、元気がもらえました。ありがとう。
誤字報告本当にありがとうございます
修正させていただきました
ぬえたん可愛いですね。みょんな所で積極的になるのも含めて。
ぬえたん今回限りにするには勿体無いです。次からはぜひ4人でのお話にしてください。
また三人に戻ってしまったら家で寂しそうにしているぬえたんを思って悲しくなってしまいます。
でもぬえたん一人で外に出したら駄目だと思います。絶対さらわれる。いやさわられる。どっちだっけ?
まあいいや。私が見かけたらちゃんと安全なところに連れて行ってあげますけど。
>某westさん
こちらこそコメントありがとうございます。
元気になれます。
>6さん
なんだかんだで中身はぬえちゃんですからね
積極的なのはサガです。
>ぺ・四潤さん
お回りさーん!
ってのは冗談で、自分もなんだかんだでこのキャラは結構好きですw
違うぬえちゃん書いてる感じだったので楽しくかけました。
とはいえ、毎回出しちゃうと話や自分の腕の関係上
メイン三人娘をしっかりと描ききれない場合があるので、またこんな感じの話が思いついたら
番外みたいな感じでジャネあたりに投下したいと想います。そのときはもし良かったら見てやってください。
ちなみに、脳内ではこの後ぬえたん、キャプテン辺りと家で仲良くやってる感じですたw
という感じの顔になってしまいます。大変です。和みます。
なるほど。そのストーリーも見てみたいです。
大変和みました
和んでもらえてよかったです。
自分も(*´Д`)の顔文字で和んじゃいましたw
>ぺ・四潤さん
きゅんとする船長も可愛いですね。
そんな話も書いて見たいです。
>29さん
こちらこそ、コメントありがとうございます。