誰もいない空間。
あるのは私と机と椅子。
全部土製。
あたりまえだけど。
その机の上には一つのお皿。
お皿は土製じゃないよ。
その上にはお寿司。
一貫だけある。
たまご一貫。
ノリで巻かれたたまご一貫。
机のど真ん中に寂しく置かれている。
箸はない。
醤油もない。
水もない。
たまごはある。
もちろん酢飯付き。
おまけにノリ付き。
丁寧に巻かれている。
それが一貫しかない。
何で一貫だけ?
所詮はたまご。
定番メニュー。
安いし子供にウケる。
主婦も子供も笑顔になれる。
普通は二貫あるはずだ。
よりによって一貫。
高級なのだろうか。
はたまた誰かが食べたのだろうか。
いや。
たぶんそれはない。
今はここに私以外いないのだから。
お空は山の神のところへ。
お燐は死体収集。
お姉ちゃんは.........
判らない。
どっか行っちゃった。
まあいいか。
さてと。
どうしようか。
机にたまご一貫。
ど真ん中に一貫。
そう言う私はウニ大好き。
できればウニがよかった。
べつにたまごが嫌いと言うわけではない。
むしろ好きだ。
でもいつも食べるのは二貫のたまご。
一貫のたまごは食べたことがない。
たまごで一貫のものを求めるか?
一貫ってたいていは高いじゃん。
二貫で十分だ。
なんか言ってることがおかしいけど。
二貫で十分。
値段的にね。
そんなことはどうでもいい。
何でたまごがある?
しかも一貫だけ。
あのケチなお姉ちゃんがよりによって一貫のたまごを買うはずがない。
茶碗蒸しさえ頼まないのだから。
少し贅沢してもいいと思うけどな。
もしかしてこれがお姉ちゃんの贅沢?
まさか。
それはないだろう。
どうせならもう少しマシなものをお姉ちゃんは食べる。
トロとか。
ウニとか。
マグロとか。
そんなのを食べる。
じゃあこのたまごは何?
しかもど真ん中に置かれたら私の手が届かないんだけど。
それが狙いとか。
うん。
ありえる。
誰の陰謀?
そんなこと企むのは一人だけだ。
お姉ちゃん。
常識的に考えれば判る。
お姉ちゃんしかいない。
目的は?
そんなの知った事ではない。
これはお姉ちゃんからの挑戦状だ。
たぶん。
あのたまごを食べてご覧なさい。
こんな事を言いそうだ。
いや。
言ってるだろう。
私はそれに応えるぞ。
食べてやる。
残さず食べてやる。
絶対に。
準備にかかろう。
手は洗った?
顔を洗ったついでに洗った。
机に登るけど服は汚れてもいい?
大丈夫。
問題ない。
トラップは?
道のりに落とし穴があるとか。
道のりが泥水になってるとか。
机が脆くて乗ると壊れるとか。
そんなことは起こるだろうか。
その程度だったら大丈夫だろう。
なんとか耐え凌ぐ。
最後に。
あれは私が食べてもいいもの?
何を言ってるのかしら。
お姉ちゃんからの挑戦状よ。
食べてもいいの。
よし。
準備完了。
任務開始。
一歩進む。
もう一歩。
慎重に。
少しの異変も見逃してはならない。
床の具合を測定。
崩れる心配なし。
泥水でもなし。
異常なし。
進め。
迅速に慎重に。
椅子を使って机に登る。
手と服が土で汚れるが気にしない。
ターゲットはもう目の前。
いや。
目の下。
たまごに酢飯が隠れて見えない位置に身を鎮めている。
右手で丁寧に掴む。
それをゆっくり口に持ってくる。
だが半分口に入った状態で動きを止めた。
否!!
待て、待つんだ私。
お姉ちゃんにしては軽くやらせすぎじゃない?
これといったトラップもなし。
あ。
判っちゃった。
一貫の理由。
二貫じゃない理由。
答えはお寿司の中にあるよ。
二貫は普通は子供が頼む。
無垢な子供の好物。
所謂イージーなお寿司。
でも一貫は高くて子供には到底食べさせるような代物ではない。
主に大人が好む。
所謂ハードなお寿司。
つまり.............
一度お寿司をお皿に戻す。
そしてノリを剥がして丁寧にたまごを取り除く。
お皿の脇に添えた。
そしたらなにやら酢飯の上に緑色の物体が大量にのっていた。
案の定、ワサビであった。
大人向けのお寿司には必須の味付け。
ピリピリ鼻を刺激する感がウケてる。
これを見破ったら最後、敵はいない。
私はワサビが苦手なので、食べない。
小指でワサビを拭い取る。
酢飯に付着しているのも抉る。
たまごにも付いてるのも見逃さない。
ついに全てのワサビがお皿の脇に添えられた。
そして丁寧にたまごを酢飯にのせ、ノリをまく。
元通りになった。
中身以外は。
見た目が同じ。
それでいい。
よし。
これで決着はついた。
私の勝ちだ。
お姉ちゃんに勝った。
どや顔。
昂ぶった感情。
満面の笑みを浮かべながら、お寿司を一口で食べた。
一瞬でたまごの旨味が舌に伝わった。
美味。
たまごの味は悪くない。
流石一貫だ。
二貫よりも美味い。
辛さも効いてて............
って、辛さ?
あれ?
なんかめちゃくちゃ辛いんですけど。
ワサビは全部とったはずなのに。
おかしいな。
ってかこれワサビとかそういうレベルじゃない。
辛すぎる。
喉が焼ける。
頭がおかしくなりそう。
鼻腔が熱い。
水が欲しい。
でもここには無い。
ワサビがのったお皿しかない。
もうダメだ。
耐えられない。
私の負けだ。
何をいれたのかは判らないけど。
やっぱり私はお姉ちゃんに勝てなかった。
マジで..........から.........い........
「む.........無念..........」
私は辛さに耐えることができず、机の上で気絶した。
WINNER さとりん!
あるのは私と机と椅子。
全部土製。
あたりまえだけど。
その机の上には一つのお皿。
お皿は土製じゃないよ。
その上にはお寿司。
一貫だけある。
たまご一貫。
ノリで巻かれたたまご一貫。
机のど真ん中に寂しく置かれている。
箸はない。
醤油もない。
水もない。
たまごはある。
もちろん酢飯付き。
おまけにノリ付き。
丁寧に巻かれている。
それが一貫しかない。
何で一貫だけ?
所詮はたまご。
定番メニュー。
安いし子供にウケる。
主婦も子供も笑顔になれる。
普通は二貫あるはずだ。
よりによって一貫。
高級なのだろうか。
はたまた誰かが食べたのだろうか。
いや。
たぶんそれはない。
今はここに私以外いないのだから。
お空は山の神のところへ。
お燐は死体収集。
お姉ちゃんは.........
判らない。
どっか行っちゃった。
まあいいか。
さてと。
どうしようか。
机にたまご一貫。
ど真ん中に一貫。
そう言う私はウニ大好き。
できればウニがよかった。
べつにたまごが嫌いと言うわけではない。
むしろ好きだ。
でもいつも食べるのは二貫のたまご。
一貫のたまごは食べたことがない。
たまごで一貫のものを求めるか?
一貫ってたいていは高いじゃん。
二貫で十分だ。
なんか言ってることがおかしいけど。
二貫で十分。
値段的にね。
そんなことはどうでもいい。
何でたまごがある?
しかも一貫だけ。
あのケチなお姉ちゃんがよりによって一貫のたまごを買うはずがない。
茶碗蒸しさえ頼まないのだから。
少し贅沢してもいいと思うけどな。
もしかしてこれがお姉ちゃんの贅沢?
まさか。
それはないだろう。
どうせならもう少しマシなものをお姉ちゃんは食べる。
トロとか。
ウニとか。
マグロとか。
そんなのを食べる。
じゃあこのたまごは何?
しかもど真ん中に置かれたら私の手が届かないんだけど。
それが狙いとか。
うん。
ありえる。
誰の陰謀?
そんなこと企むのは一人だけだ。
お姉ちゃん。
常識的に考えれば判る。
お姉ちゃんしかいない。
目的は?
そんなの知った事ではない。
これはお姉ちゃんからの挑戦状だ。
たぶん。
あのたまごを食べてご覧なさい。
こんな事を言いそうだ。
いや。
言ってるだろう。
私はそれに応えるぞ。
食べてやる。
残さず食べてやる。
絶対に。
準備にかかろう。
手は洗った?
顔を洗ったついでに洗った。
机に登るけど服は汚れてもいい?
大丈夫。
問題ない。
トラップは?
道のりに落とし穴があるとか。
道のりが泥水になってるとか。
机が脆くて乗ると壊れるとか。
そんなことは起こるだろうか。
その程度だったら大丈夫だろう。
なんとか耐え凌ぐ。
最後に。
あれは私が食べてもいいもの?
何を言ってるのかしら。
お姉ちゃんからの挑戦状よ。
食べてもいいの。
よし。
準備完了。
任務開始。
一歩進む。
もう一歩。
慎重に。
少しの異変も見逃してはならない。
床の具合を測定。
崩れる心配なし。
泥水でもなし。
異常なし。
進め。
迅速に慎重に。
椅子を使って机に登る。
手と服が土で汚れるが気にしない。
ターゲットはもう目の前。
いや。
目の下。
たまごに酢飯が隠れて見えない位置に身を鎮めている。
右手で丁寧に掴む。
それをゆっくり口に持ってくる。
だが半分口に入った状態で動きを止めた。
否!!
待て、待つんだ私。
お姉ちゃんにしては軽くやらせすぎじゃない?
これといったトラップもなし。
あ。
判っちゃった。
一貫の理由。
二貫じゃない理由。
答えはお寿司の中にあるよ。
二貫は普通は子供が頼む。
無垢な子供の好物。
所謂イージーなお寿司。
でも一貫は高くて子供には到底食べさせるような代物ではない。
主に大人が好む。
所謂ハードなお寿司。
つまり.............
一度お寿司をお皿に戻す。
そしてノリを剥がして丁寧にたまごを取り除く。
お皿の脇に添えた。
そしたらなにやら酢飯の上に緑色の物体が大量にのっていた。
案の定、ワサビであった。
大人向けのお寿司には必須の味付け。
ピリピリ鼻を刺激する感がウケてる。
これを見破ったら最後、敵はいない。
私はワサビが苦手なので、食べない。
小指でワサビを拭い取る。
酢飯に付着しているのも抉る。
たまごにも付いてるのも見逃さない。
ついに全てのワサビがお皿の脇に添えられた。
そして丁寧にたまごを酢飯にのせ、ノリをまく。
元通りになった。
中身以外は。
見た目が同じ。
それでいい。
よし。
これで決着はついた。
私の勝ちだ。
お姉ちゃんに勝った。
どや顔。
昂ぶった感情。
満面の笑みを浮かべながら、お寿司を一口で食べた。
一瞬でたまごの旨味が舌に伝わった。
美味。
たまごの味は悪くない。
流石一貫だ。
二貫よりも美味い。
辛さも効いてて............
って、辛さ?
あれ?
なんかめちゃくちゃ辛いんですけど。
ワサビは全部とったはずなのに。
おかしいな。
ってかこれワサビとかそういうレベルじゃない。
辛すぎる。
喉が焼ける。
頭がおかしくなりそう。
鼻腔が熱い。
水が欲しい。
でもここには無い。
ワサビがのったお皿しかない。
もうダメだ。
耐えられない。
私の負けだ。
何をいれたのかは判らないけど。
やっぱり私はお姉ちゃんに勝てなかった。
マジで..........から.........い........
「む.........無念..........」
私は辛さに耐えることができず、机の上で気絶した。
WINNER さとりん!
面白かった
食べらんないけどね! お嬢様
た!たまごじゃなくてマスタードの塊ですかー! 超門番
最初はたまごから。私の決勝パターンです。 冥途蝶