☆
『お嬢様、お茶をご用意いたしましたわ』
これは咲夜。
『お嬢様ー、今日も月が綺麗ですね』
間延びしたこの声は美鈴。
『ねぇ、レミィ。今度こんな実験をしてみようと思うのよ』
んでパチュリー。
『レミリアお嬢様? 何か御本をお探しですか?』
司書をするのは小悪魔ね。
こうやって思い返してみると妖精メイドたちも私の事をお嬢様と呼ぶし、巫女や白黒は私の事を「レミリア」って呼ぶ、か。
あ、あぁ……そうね、あの子も――アリスも私の事を名前で呼んでくれるわ。
それは分かるのよ。
巫女や白黒にお嬢様だなんて言われるのは気持ちが悪いし、アリスには……名前を呼んで欲しいし。
でも……、
「お姉さまー! ねぇねぇ、遊ぼうよぉ」
お姉さまって、なんだろう?
・
「――ねぇってば、お姉さま?」
「んー、フラン……美鈴に相手をしてもらいよ」
「えー、だってぇ、美鈴なんか寝てんだもん」
「叩き起こせばいいのよ」
「というか? 今日はお姉さまの気分!」
考え出すと、お姉さまという響きがとても不思議に思えたのだ。
無論、私――レミリア・スカーレットはフランドール・スカーレットの姉であるから不自然な事は何も無い。
だが、無性に気になってしまったのだ。
「……ところでフラン。"お姉さま"って口にする時、どんな気分?」
「ふぇー? 変な質問…………うーん、うぅん…」
うんうんと悩む姿がかわいらしい。
おっかないようでいてとびきりに可愛い妹だけれど、これって恋慕とは違うのよね。
「なんていうか、きゅんっ!ってなって、ふわっ!ってなって、みゅんっ!……って感じ?」
「……………きゅん?」
「みゅんっ」
「……………良く分からないわ」
とても楽しそうで、嬉しそうなのは分かるけど。
「いいじゃん、そんなの。でさ、遊ぼうよぉー」
「はいはい……分かったわよ」
むむむ、余計に謎は深まるばかりである。
かくなる上は……。
☆
「お邪魔するわよ」
「あらアリス、また来たの?」
「だって日課ですもの」
「……そうね。レミィは奥にいるわよ」
「ありがとう、パチュリー」
山積みの本に囲まれたパチュリーの脇を通り過ぎて、背の高い本棚の間を通り抜けて。
丸いテーブルの置かれた閲覧所に、いつもいるはずのレミリアはいなかった。
テーブルの上にポツリとかぎ針と真紅の毛糸玉、そして編みかけのマフラーが置かれているだけ。
ぐるりと辺りを見回そうとしたところで、視界を閉ざされた。
小さな掌に両目を塞がれた。
「だぁれだ?」
「……ふふっ、誰って、ねぇ?」
背後で羽のはためく音がする。
それに第一、
「私が貴方の声を聞き間違えると思うの? レミリア」
「それもそうね」
レミリアがクスクスと笑いながら、視界を塞いでいた手を解いて私の視界に躍り出た。
「どうしたの、レミリア。今日はなんだか落ち着きが無いのね」
「さ、さぁ。何のことかしら」
口にしながら、その眼が泳いでいた。
「まぁ、そんなことは良いわよね。さ、今日もやりましょう」
「うん」
どうしてこんな梅雨の前の季節に「アリス、マフラーの編み方を教えて頂戴」だなんて言われたのかは今でもよく分からない。
けれどレミリアが私を頼ってくれるのが嬉しくて……私には小さな吸血鬼のお嬢様のお願い事を断る気になれなかった。
「もうだいぶ自分で進められるようになったでしょう?」
「う、うぅん。どうかな」
「ふふ、やって御覧なさい」
「分かったわ」
レミリアは頷いて、覚束ない手つきでかぎ針を動かす。
毎日ほんの少しずつ進めていく事にしたから、出来かけのマフラーはまだとてもじゃないけど首には巻けない。
拙い形をした編みかけのマフラーが、どんなかわいらしいマフラーになるのかと私は楽しみなのだ。
でもきっとレミリアなら、冬になる頃には二人で巻けるマフラーでも、セーターでも、なんでも自在に編めるようになってしまうでしょう。
なんて、そんな事を考えてしまう。
彼女はさすがというかなんと言うべきか、物覚えがとても良いのだ。
「……やっぱりアリス」
「どうしたの?」
頬が緩んで、情けない顔をしてはいないか。
背筋を伸ばす。
「…………やっぱり、手、持って教えてもらわないと…」
「……もう、急にどうしたのよ。昨日だって、一昨日だって大丈夫だったじゃない?」
「ま、まあ、そうね」
レミリアの俯く顔が手元の毛糸くらいに真っ赤で思わず笑ってしまう。
「本当に今日は、どこか落ち着きがないわね」
これくらいの頼みごとなら可愛いものだけど。
レミリアのどんな我が儘でも聞いてあげてしまう咲夜の気持ちが、今なら分かりそうだわ。
「そ、そんなことはないでしょう?」
「あら、どうかしら」
顔を覗き込もうとするとぷいっと、目を逸らされてしまった。
「だってレミリア、貴方はじめは"恥ずかしいから"って嫌がっていたでしょう?」
はじめのはじめ、私が編んで見せるだけでは針運びが分かりにくいとレミリアに言われてしまった。
私も誰かに編み物を教えたりなんてした事が無かったから、どうしようかと考えたけど……。
それで結局、私はレミリアの背後から手を取って……いわゆる手取り足取り、って形で教えようとしたのだけど、その時レミリアには抵抗されてしまったのだ。
最終的には、大人しく従ってくれたけど。
「アリス? それはそれ、これはこれよ」
「便利な言葉ね、それ」
「ほら、いいじゃない」
「……分かったわよ」
あぁ、もう。
知らぬ間に目が細まって、頬が緩む。
パタパタと揺れる漆黒の羽が、私を手招きしているようだった。
椅子に腰かけるレミリアの後ろに立ち、包み込むように彼女の両手に、私の両手を添えた。
レミリアの真っ白な陶磁器みたいな手は、それなのにマシュマロのように柔らかで――思ったよりも大きいような気もすれば、思ったよりも小さい気がした。
とても不思議な心地になる。
寄り添った私の胸とレミリアの背中。
鼓動が交わって、重なって……。
お互いの"何か"が惹かれ合う気がする。
「…………はい、じゃあ今度こそ、ちゃんと覚えるのよ?」
「……うん」
☆
背中がとても熱い。
手の甲がとても熱い。
背後のアリスの熱が、そのまま伝わってくる。
本当は、平気。
本当は一人で編み進める事だって出来てしまうわ。
でもそうしたら……つまらないじゃない。
アリスに面倒、見てもらえなくなるじゃない。
こんな季節にマフラーだなんて編んでいるのも、冬に完璧な手編み品をアリスにプレゼントしたいだけ。
それだけだもの――
「なんだか今日のレミリアは、フランドールみたいね」
「ふぇ?」
耳元で囁かれた思いがけない言葉に間抜けな声が出る。
「いや、なんとなく思ったのよ。怒らないで聞いてくれる?」
「……怒るかどうかなんて、聞いてみないと分からないわ」
「ふふっ、それもそうか。本当になんとなくだけど今日のレミリア、フランドールが普段咲夜や美鈴、それから"お姉さま"に甘える時みたい」
再び思いがけない言葉が、単語が、耳に飛び込み私の針を持つ手が止まる。
お姉さま?
お姉さま、か。
耳元がくすぐったくなって首を竦める。
「あ……ごめんなさい。別に変なつもりで言ったんじゃないの……機嫌、悪くした?」
なんだか、胸がきゅん、ってしてる。
「べ、別にそんな事は無いわ。ただ……」
「……ただ?」
頭の中がふわっ、て。
ふわふわしてて。
「…………侘びとして我が儘を一つ聞いて頂戴」
「……そんな所はしっかりレミリアね。分かったわ。善処してあげる」
振り向かなくても、アリスがどんな顔をしているか分かってしまうの。
ちょっと困った顔をして、その後すぐに、にっこりって、笑うんだ。
そんなの分かるって。
だっていっつも、自分がそうだったから。
「さ、どんな我が儘?」
遊ぼうよって、言い寄るフランを思い出すんだ。
思い出して、それが、今の私に重なってる。
「……………………私に編み物を教えてくれる間だけ、アリスは私の姉になりなさい」
「姉……?」
私の背後で、アリスが不思議そうに呟いた。
そしてクスクスと、笑い出した。
「……笑わないでよ。屈辱的だわ」
「うふふ、ごめんなさい。そういうんじゃないの。ただレミリアが、あんまりかわいらしいものだから」
「か、からかわないでよ……」
振り向く。
アリスの顔が目の前にあった。
鼻がぶつかりそうだった。
私の水色の髪の毛とアリスの金色の髪の毛が重なって、それが蝋燭の光を透かして不思議な色をしていた。
不思議な心地でアリスの顔を眺めると、彼女は穏やかに、優しく微笑んだ。
「からかっているのでは無いわ。かわいいものをかわいいと言って、何が悪いのかしら? ……私のレミリア」
心臓が、みゅんっ、って跳ねた。
たぶん、こういう事なんだ……。
「ア……」
頬が震えて言葉が出ない。
出そうとする気はあるんだけど。
優しいはずのアリスの笑顔が、とっても意地悪に見えてしまう。
「アリス……」
絞り出した言葉に、アリスが首を傾げる。
目の前で、宝石のように蒼いアリスの瞳が私を見つめていた。
「アリス、お姉さま……」
アリスが微笑んで、少しかがんで……おでことおでこがコツンってなった。
彼女が上目づかいに私を見るから、私も上目づかいにアリスを見つめる。
「本当にかわいいわ……レミリア」
「…………アリスお姉様」
もう一度言ったら頭がぼうっとして、お姉さまが側にいるって、こういう事なんだって、ぼんやり思った。
『お嬢様、お茶をご用意いたしましたわ』
これは咲夜。
『お嬢様ー、今日も月が綺麗ですね』
間延びしたこの声は美鈴。
『ねぇ、レミィ。今度こんな実験をしてみようと思うのよ』
んでパチュリー。
『レミリアお嬢様? 何か御本をお探しですか?』
司書をするのは小悪魔ね。
こうやって思い返してみると妖精メイドたちも私の事をお嬢様と呼ぶし、巫女や白黒は私の事を「レミリア」って呼ぶ、か。
あ、あぁ……そうね、あの子も――アリスも私の事を名前で呼んでくれるわ。
それは分かるのよ。
巫女や白黒にお嬢様だなんて言われるのは気持ちが悪いし、アリスには……名前を呼んで欲しいし。
でも……、
「お姉さまー! ねぇねぇ、遊ぼうよぉ」
お姉さまって、なんだろう?
・
「――ねぇってば、お姉さま?」
「んー、フラン……美鈴に相手をしてもらいよ」
「えー、だってぇ、美鈴なんか寝てんだもん」
「叩き起こせばいいのよ」
「というか? 今日はお姉さまの気分!」
考え出すと、お姉さまという響きがとても不思議に思えたのだ。
無論、私――レミリア・スカーレットはフランドール・スカーレットの姉であるから不自然な事は何も無い。
だが、無性に気になってしまったのだ。
「……ところでフラン。"お姉さま"って口にする時、どんな気分?」
「ふぇー? 変な質問…………うーん、うぅん…」
うんうんと悩む姿がかわいらしい。
おっかないようでいてとびきりに可愛い妹だけれど、これって恋慕とは違うのよね。
「なんていうか、きゅんっ!ってなって、ふわっ!ってなって、みゅんっ!……って感じ?」
「……………きゅん?」
「みゅんっ」
「……………良く分からないわ」
とても楽しそうで、嬉しそうなのは分かるけど。
「いいじゃん、そんなの。でさ、遊ぼうよぉー」
「はいはい……分かったわよ」
むむむ、余計に謎は深まるばかりである。
かくなる上は……。
☆
「お邪魔するわよ」
「あらアリス、また来たの?」
「だって日課ですもの」
「……そうね。レミィは奥にいるわよ」
「ありがとう、パチュリー」
山積みの本に囲まれたパチュリーの脇を通り過ぎて、背の高い本棚の間を通り抜けて。
丸いテーブルの置かれた閲覧所に、いつもいるはずのレミリアはいなかった。
テーブルの上にポツリとかぎ針と真紅の毛糸玉、そして編みかけのマフラーが置かれているだけ。
ぐるりと辺りを見回そうとしたところで、視界を閉ざされた。
小さな掌に両目を塞がれた。
「だぁれだ?」
「……ふふっ、誰って、ねぇ?」
背後で羽のはためく音がする。
それに第一、
「私が貴方の声を聞き間違えると思うの? レミリア」
「それもそうね」
レミリアがクスクスと笑いながら、視界を塞いでいた手を解いて私の視界に躍り出た。
「どうしたの、レミリア。今日はなんだか落ち着きが無いのね」
「さ、さぁ。何のことかしら」
口にしながら、その眼が泳いでいた。
「まぁ、そんなことは良いわよね。さ、今日もやりましょう」
「うん」
どうしてこんな梅雨の前の季節に「アリス、マフラーの編み方を教えて頂戴」だなんて言われたのかは今でもよく分からない。
けれどレミリアが私を頼ってくれるのが嬉しくて……私には小さな吸血鬼のお嬢様のお願い事を断る気になれなかった。
「もうだいぶ自分で進められるようになったでしょう?」
「う、うぅん。どうかな」
「ふふ、やって御覧なさい」
「分かったわ」
レミリアは頷いて、覚束ない手つきでかぎ針を動かす。
毎日ほんの少しずつ進めていく事にしたから、出来かけのマフラーはまだとてもじゃないけど首には巻けない。
拙い形をした編みかけのマフラーが、どんなかわいらしいマフラーになるのかと私は楽しみなのだ。
でもきっとレミリアなら、冬になる頃には二人で巻けるマフラーでも、セーターでも、なんでも自在に編めるようになってしまうでしょう。
なんて、そんな事を考えてしまう。
彼女はさすがというかなんと言うべきか、物覚えがとても良いのだ。
「……やっぱりアリス」
「どうしたの?」
頬が緩んで、情けない顔をしてはいないか。
背筋を伸ばす。
「…………やっぱり、手、持って教えてもらわないと…」
「……もう、急にどうしたのよ。昨日だって、一昨日だって大丈夫だったじゃない?」
「ま、まあ、そうね」
レミリアの俯く顔が手元の毛糸くらいに真っ赤で思わず笑ってしまう。
「本当に今日は、どこか落ち着きがないわね」
これくらいの頼みごとなら可愛いものだけど。
レミリアのどんな我が儘でも聞いてあげてしまう咲夜の気持ちが、今なら分かりそうだわ。
「そ、そんなことはないでしょう?」
「あら、どうかしら」
顔を覗き込もうとするとぷいっと、目を逸らされてしまった。
「だってレミリア、貴方はじめは"恥ずかしいから"って嫌がっていたでしょう?」
はじめのはじめ、私が編んで見せるだけでは針運びが分かりにくいとレミリアに言われてしまった。
私も誰かに編み物を教えたりなんてした事が無かったから、どうしようかと考えたけど……。
それで結局、私はレミリアの背後から手を取って……いわゆる手取り足取り、って形で教えようとしたのだけど、その時レミリアには抵抗されてしまったのだ。
最終的には、大人しく従ってくれたけど。
「アリス? それはそれ、これはこれよ」
「便利な言葉ね、それ」
「ほら、いいじゃない」
「……分かったわよ」
あぁ、もう。
知らぬ間に目が細まって、頬が緩む。
パタパタと揺れる漆黒の羽が、私を手招きしているようだった。
椅子に腰かけるレミリアの後ろに立ち、包み込むように彼女の両手に、私の両手を添えた。
レミリアの真っ白な陶磁器みたいな手は、それなのにマシュマロのように柔らかで――思ったよりも大きいような気もすれば、思ったよりも小さい気がした。
とても不思議な心地になる。
寄り添った私の胸とレミリアの背中。
鼓動が交わって、重なって……。
お互いの"何か"が惹かれ合う気がする。
「…………はい、じゃあ今度こそ、ちゃんと覚えるのよ?」
「……うん」
☆
背中がとても熱い。
手の甲がとても熱い。
背後のアリスの熱が、そのまま伝わってくる。
本当は、平気。
本当は一人で編み進める事だって出来てしまうわ。
でもそうしたら……つまらないじゃない。
アリスに面倒、見てもらえなくなるじゃない。
こんな季節にマフラーだなんて編んでいるのも、冬に完璧な手編み品をアリスにプレゼントしたいだけ。
それだけだもの――
「なんだか今日のレミリアは、フランドールみたいね」
「ふぇ?」
耳元で囁かれた思いがけない言葉に間抜けな声が出る。
「いや、なんとなく思ったのよ。怒らないで聞いてくれる?」
「……怒るかどうかなんて、聞いてみないと分からないわ」
「ふふっ、それもそうか。本当になんとなくだけど今日のレミリア、フランドールが普段咲夜や美鈴、それから"お姉さま"に甘える時みたい」
再び思いがけない言葉が、単語が、耳に飛び込み私の針を持つ手が止まる。
お姉さま?
お姉さま、か。
耳元がくすぐったくなって首を竦める。
「あ……ごめんなさい。別に変なつもりで言ったんじゃないの……機嫌、悪くした?」
なんだか、胸がきゅん、ってしてる。
「べ、別にそんな事は無いわ。ただ……」
「……ただ?」
頭の中がふわっ、て。
ふわふわしてて。
「…………侘びとして我が儘を一つ聞いて頂戴」
「……そんな所はしっかりレミリアね。分かったわ。善処してあげる」
振り向かなくても、アリスがどんな顔をしているか分かってしまうの。
ちょっと困った顔をして、その後すぐに、にっこりって、笑うんだ。
そんなの分かるって。
だっていっつも、自分がそうだったから。
「さ、どんな我が儘?」
遊ぼうよって、言い寄るフランを思い出すんだ。
思い出して、それが、今の私に重なってる。
「……………………私に編み物を教えてくれる間だけ、アリスは私の姉になりなさい」
「姉……?」
私の背後で、アリスが不思議そうに呟いた。
そしてクスクスと、笑い出した。
「……笑わないでよ。屈辱的だわ」
「うふふ、ごめんなさい。そういうんじゃないの。ただレミリアが、あんまりかわいらしいものだから」
「か、からかわないでよ……」
振り向く。
アリスの顔が目の前にあった。
鼻がぶつかりそうだった。
私の水色の髪の毛とアリスの金色の髪の毛が重なって、それが蝋燭の光を透かして不思議な色をしていた。
不思議な心地でアリスの顔を眺めると、彼女は穏やかに、優しく微笑んだ。
「からかっているのでは無いわ。かわいいものをかわいいと言って、何が悪いのかしら? ……私のレミリア」
心臓が、みゅんっ、って跳ねた。
たぶん、こういう事なんだ……。
「ア……」
頬が震えて言葉が出ない。
出そうとする気はあるんだけど。
優しいはずのアリスの笑顔が、とっても意地悪に見えてしまう。
「アリス……」
絞り出した言葉に、アリスが首を傾げる。
目の前で、宝石のように蒼いアリスの瞳が私を見つめていた。
「アリス、お姉さま……」
アリスが微笑んで、少しかがんで……おでことおでこがコツンってなった。
彼女が上目づかいに私を見るから、私も上目づかいにアリスを見つめる。
「本当にかわいいわ……レミリア」
「…………アリスお姉様」
もう一度言ったら頭がぼうっとして、お姉さまが側にいるって、こういう事なんだって、ぼんやり思った。
何故レミリアはアリスの所へ教わりに行ったのか
背景がちょっとうやむやでしたね。
次回に期待してますよ
気がするのは私の錯覚なんでしょうか?
当然、大歓迎なんですけどね。
しかし、ここからメイド長の大反抗作戦が始まる予感がひしひしと……
過去話とか期待してみたり。レミアリはすっごく少ないけど、すっごく好きです。
やっぱ背景は気になっちゃうかな。
緋想天で「人形作り、教えてよぅ」とか甘い声(イメージ)で言ってるから
レミリアってアリスには甘えっ子な感じしますよねw
レミアリ増えるのが凄く嬉しいです。